JP4217928B2 - 溶解性鉛直ドレーン材を用いた軟弱地盤の改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば湖沼周囲の埋立造成区域などの軟弱地盤に多量に含まれる水を排出することで、軟弱地盤を硬質地盤へと改良する軟弱地盤の改良工法に適用される溶解性鉛直ドレーン材を用いた軟弱地盤の改良工法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、鉛直ドレーン材を用いた軟弱地盤の改良工法としては、カードボード工法がある。このカードボード工法は、軟弱な地盤の圧密を促進するためのものであり、厚さ3mm、幅100mm程度の帯状原紙の中に縦方向に連続した通水孔を設けたカードボードをマンドレルによって適当な間隔に打ち込み設置し、このカードボードを通して地盤中の水を抜き取るようにしたものである。
【0003】
また、鉛直ドレーン材を用いた別の改良工法としては、図7に示すように、地盤中に所定の間隔に打設したカードボード1の上端部1aにこれと接触するように水平状に真空ポンプ3に連結した有孔管2を配置し、これらカードボード1及び有孔管2を砂層4で覆い、さらにその砂層4上面を気密シート5で覆うようにしたものであり、有孔管2を通してこれに連結した真空ポンプ3からの真空圧を負荷することで、地盤Aを減圧状態とし、これにより地盤A中の水をカードボード1及び有孔管2を介して排水するようにしたものがある。
【0004】
しかしながらこれらの改良工法に用いる鉛直ドレーン材(カードボード)は、地盤改良後もそのまま地盤中に置かれていた。このため、例えば改良地盤中にシールドトンネルを掘削する場合に、地盤中の鉛直ドレーン材がシールド機のカッタービットに引っ掛かり、掘削不能になるといった不具合を生じるなど、地盤中の溶解性鉛直ドレーン材(カードボード)は、地盤改良後の後工程の障害となることがあった。
【0005】
また、溶解性鉛直ドレーン材(カードボード)が地盤改良後もそのまま地盤中に置かれていると、地盤改良後に構築物を構築する際に生じる掘削土には、前記溶解性鉛直ドレーン材またはその破片が含まれることになり、これがため、改良地盤からの掘削土は、産業廃棄物としての取り扱いを余儀なくされていた。
【0006】
そこで、このような不具合の発生を回避するため、土中又は水中に存在する微生物や水分などにより容易に分解してしまう生分解性成形材料により構成した分解性鉛直ドレーン材が提案され、地盤改良に試用されている。
【0007】
ところが、この鉛直ドレーン材にあっては、自然な分解を待たねばならない。この分解性鉛直ドレーン材の分解は、土中又は水中に存在する微生物や水分の多少、温度の高低に大きく左右され、分解の時期を人為的に調整できないという不具合があった。
【0008】
このため、圧密沈下が完了しない前に分解してしまったり、地盤改良後、分解が進まず、後工程にかかれないなどの問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、地盤改良後に地盤を掘り返して除去する必要がなく、地盤改良後の後工程の障害となったり、産業廃棄物の取り扱いを受けたりすることがなく、必要なときに人為的に溶解させることができる溶解性鉛直ドレーン材を用いた軟弱地盤の改良工法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、改良地盤中に所定の間隔をおいて、 溶解性材料によって構成した溶解性鉛直ドレーン材を設置する工程と、
前記改良地盤上面に前記溶解性材料を溶解する溶解剤を貯留する貯留部を形成する工程と、
前記改良地盤の改良後、前記貯留部内に前記溶解剤を貯留することで、前記改良地盤中の溶解性鉛直ドレーン材に溶解剤を流下させ接触させる工程と、
を含むことを特徴とする軟弱地盤の改良工法(以下ドレーン工法という)をその要旨とした。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
請求項2記載の発明は、溶解性材料が、アルカリ溶解性材料、酸溶解性材料、溶剤溶解性材料から選択された1種若しくは2種以上であることを特徴とするドレーン工法をその要旨とした。
【0014】
請求項3記載の発明は、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した溶解性鉛直ドレーン材とこれに繋がる通水材を通じて、前記改良地盤中に前記通水材と接続する真空ポンプからの真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に減圧領域を造り出す地盤の改良工法において、前記溶解性鉛直ドレーン材を溶解性材料によって構成すると共に、前記改良地盤の改良後、前記減圧領域が減圧状態から常圧へと戻る時の減圧による吸引力を利用して前記溶解性材料を溶解する溶解剤を前記溶解性鉛直ドレーン材に注入し接触させるようにしたことを特徴とする軟弱地盤の改良工法(以下真空圧密工法という)をその要旨とした。
【0015】
請求項4記載の発明は、溶解性材料が、アルカリ溶解性材料、酸溶解性材料、溶剤溶解性材料から選択された1種若しくは2種以上であることを特徴とする真空圧密工法をその要旨とした。
【0016】
請求項5記載の発明は、真空ポンプからの真空圧の負荷、停止を繰り返すことを特徴とする真空圧密工法をその要旨とした。
【0017】
【発明の実施の形態】
(作用)
請求項1及び2記載のドレーン工法にあっては、改良地盤の改良後、改良地盤上面に形成した貯留部内に貯留された溶解剤の水圧で、改良地盤中の溶解性鉛直ドレーン材に溶解剤を流下させ、この溶解剤との接触により前記溶解性鉛直ドレーン材が溶解し、土に戻されるようになっている。
【0018】
(削除)
【0019】
また、請求項3〜5記載の真空圧密工法にあっては、改良地盤の改良後、改良地盤中に造り出された減圧領域が減圧状態から常圧へと戻る時の減圧による吸引力を利用して、溶解性鉛直ドレーン材とこれに繋がる通水材を通じて、前記溶解剤を溶解性鉛直ドレーン材に注入し、この溶解剤との接触により前記溶解性鉛直ドレーン材が溶解し、土に戻されるようになっている。
【0020】
またこの真空圧工法においては、真空ポンプからの真空圧の負荷、停止を繰り返すこともでき、この場合、減圧による吸引力を利用した溶解剤の注入、真空圧の負荷による溶解剤の排出が繰り返し行われることになるので、より確実に溶解剤が溶解性鉛直ドレーン材と接触できるようになる。
【0021】
以下、本発明の溶解性鉛直ドレーン材を用いた改良工法、及び真空圧工法についてさらに詳しく説明する。まず本発明の工法に用いる溶解性鉛直ドレーン材について説明する。この溶解性鉛直ドレーン材は溶解性材料によって構成されている。
【0022】
溶解性材料としては、溶解剤との接触により溶解する材料、具体的にはアルカリ溶解性材料、酸溶解性材料、溶剤溶解性材料から選択された1種若しくは2種以上を挙げることができる。アルカリ溶解性材料とは、NaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)2などのアルカリを溶解剤として溶解する材料を言い、例えばNaOH(pH9〜13)によって溶解するイソブチレン−無水マレイン酸共重合体やビスコースレーヨンなどを挙げることができる。尚、NaOHは、溶解性鉛直ドレーン材の溶解に供された後は、土中のCO2と反応してNa2CO3となり、さらに土中に含まれる水で希釈されることになる。
【0023】
酸溶解性材料とは、酢酸や蟻酸、硫酸、塩酸などの酸を溶解剤として溶解する材料を言い、例えば酢酸(pH1〜4)を溶解剤として溶解するポリビニルアルコール(PVA)などを挙げることができる。尚、前述の溶解剤としての酸は、いずれも土中に含まれる水で希釈されることになる。尚、PVAは、アルカリにも溶解する材料である。
【0024】
溶剤溶解性材料とは、リモネン、テルペン油といったテルペン類や、ケロシン、灯油、軽油、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの油類(好ましくはテルペン類)を溶解剤として溶解する材料を言い、例えばテルペン類によって溶解する発泡ポリスチレンなどを挙げることができる。
【0025】
前記溶解剤のうち、酸またはアルカリは水で希釈して溶解性鉛直ドレーン材の溶解に供される。溶剤については、原液のまま或いはアルコール類に溶解させたり、エマルジョンの形態で用いる。溶剤をアルコール類に溶解し、またはエマルジョンの形態で用いるとき、その溶液濃度は3〜100%が好ましい。
【0026】
またこの溶解性鉛直ドレーン材は、地盤加圧の環境でも排水経路として(特に、後述する真空圧工法の場合、真空圧(減圧)の伝播経路として)の機能を確保でき、かつ目詰まりせず、沈下による圧縮や減圧で潰れることがないものであれば、その構造、素材、大きさなどはまったく任意である。
【0027】
図1に示す溶解性鉛直ドレーン材11は、長手方向に一定間隔に立てて並べた長尺な平板状の合成樹脂線材12aに同じく長尺な平板状の合成樹脂線材12bを直交方向に所定間隔に立てて並べて、これらの合成樹脂線材12a、12bを交点で接合した合成樹脂ネット12と、これを内包する不織布13とからなる。この溶解性鉛直ドレーン材11にあっては、折れたり曲がったりしても、合成樹脂ネット12と不織布13とによって形成されている通水経路が確保されており、しかも合成樹脂ネット12全体が不織布13で覆われていて、目詰まりを生じ難いというメリットがある。この溶解性鉛直ドレーン材11は、これを構成する合成樹脂ネット12が、前述したイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を素材とし、不織布13についても同じくイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を素材としており、NaOH(pH9〜13)と接触させることで、合成樹脂ネット12及び不織布13の両者が一度に溶解するようになっている。
【0028】
次に、この溶解性鉛直ドレーン材を用いたドレーン工法について説明する。図2〜4に示す形態は、いずれも前述の溶解性鉛直ドレーン材11を改良地盤A中に所定間隔に打設することで、改良地盤A中に鉛直状の排水柱を造成し、各排水柱間の改良地盤A中に含まれる水及び空気を、図2中矢印で示すように溶解性鉛直ドレーン材11を排水経路として改良地盤A上面へと吸い上げられるようにして圧密脱水し、地盤の改良を行うようにしたものである。
【0029】
図2に示す形態は、改良地盤A上面の周囲に堰20を設けて前記地盤A上面を底面とするプール21を形成し、地盤改良後、このプール21を溶解剤の貯留部として、このプール21内に溶解剤Mを貯留させ、プール21内に貯留された溶解剤Mの水圧で、改良地盤A中の溶解性鉛直ドレーン材11に溶解剤Mを流下させ、この溶解剤Mとの接触により前記溶解性鉛直ドレーン材11が溶解し、土に戻されるようになっている。
【0030】
図3に示す形態は、溶解性鉛直ドレーン材11毎に、その上端部を取り囲むように器状部22を形成し、この器状部22を溶解剤の貯留部として、この器状部22内に溶解剤Mを貯留させ、器状部22内に貯留された溶解剤Mの水圧で、改良地盤A中の溶解性鉛直ドレーン材11に溶解剤Mを流下させ、この溶解剤Mとの接触により前記溶解性鉛直ドレーン材11が溶解し、土に戻されるようになっている。
【0031】
図4に示す形態は、溶解性鉛直ドレーン材11毎に、その上端部周りに凹部23を形成し、この凹部23を溶解剤の貯留部として、この凹部23内に溶解剤Mを貯留させ、凹部23内に貯留された溶解剤Mの水圧で、改良地盤A中の溶解性鉛直ドレーン材11に溶解剤Mを流下させ、この溶解剤Mとの接触により前記溶解性鉛直ドレーン材11が溶解し、土に戻されるようになっている。
【0032】
次に、溶解性鉛直ドレーン材を用いた真空圧密工法について説明する。この工法は、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した溶解性鉛直ドレーン材とこれに繋がる通水材を通じて、前記改良地盤中に前記通水材と接続する真空ポンプからの真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に減圧領域を造り出すというものである。
【0033】
すなわち、改良地盤中に減圧領域が造り出されたとき、改良地盤中の減圧領域とその周囲の地盤との間には、減圧領域周囲の地盤から減圧領域へと向かう地盤加圧(水圧、土圧)が発生する。この地盤加圧に従って、減圧領域周りの地盤に含まれる間隙水が空気と共に減圧領域へ、減圧領域から溶解性鉛直ドレーン材へと向かって吸い出され、溶解性鉛直ドレーン材とこれに繋がる通水材を排水経路として排水され、減圧領域周りの地盤も減圧領域となる。
【0034】
真空ポンプからの真空圧は、減圧領域となった地盤からさらにその周囲の地盤へと伝播していき、やがて改良地盤全域が減圧領域となる。同時に、溶解性鉛直ドレーン材を中心にした圧密、強度増加も、やがて改良地盤全域にわたって進行し、地盤の改良がなされるというものである。
【0035】
こうして改良が施された後の改良地盤内は減圧状態にあり、空気を吸引して元の1気圧(常圧)に戻ろうとする。この時の吸引力を利用して溶解剤を吸い込ませ、排水経路(溶解性鉛直ドレーン材)に溶解剤を注入し、これと接触させるのである。
【0036】
以下、この工法を図5及び図6に示す形態に従ってさらに詳しく説明する。まず、前述の溶解性材料により構成した溶解性鉛直ドレーン材11を改良地盤A中に所定間隔に打設する。溶解性鉛直ドレーン材11を打設する間隔は、負荷された真空圧による減圧伝播の可能な範囲が望ましく、具体的には1m程度である。
【0037】
溶解性鉛直ドレーン材11の打設は、同溶解性鉛直ドレーン材11をマンドレル(図示しない)に内挿した状態で地盤A中に貫入し、溶解性鉛直ドレーン材11を改良地盤A内に残したままマンドレル(図示しない)を引き上げることで行うことができる。
【0038】
こうして溶解性鉛直ドレーン材11を改良地盤A中に所定の間隔をおいて打設することで、改良地盤A中には所定の間隔をおいて鉛直状の排水柱が造成されることになり、各排水柱間の改良地盤A中に含まれる水及び空気が、図5中矢印で示すように溶解性鉛直ドレーン材11を排水経路として改良地盤A上面へと吸い上げられるようになっている。
【0039】
この溶解性鉛直ドレーン材11には通水材14が繋がれている。図5に示すように、溶解性鉛直ドレーン材11の上端部は改良地盤Aの上面に突出している。この突出部分に通水材14を接触するように平行状に配置する。通水材14としては、水及び空気が該通水材14の長手方向(水平方向)へと移動できる通路としての機能を持つものならば、線状や帯状、面状のものなど何でもよいが、改良地盤A側からの水及び空気が該通水材14内部へ侵入する口、例えば孔、スリットなどが、地盤中の砂や土砂などによって閉塞してしまい、水及び空気の通水材14内部への侵入が困難となったり、同じく改良地盤A中の砂や土砂などによって通路が閉塞して水及び空気が該通水材14内を移動できなかったりすることが少ない構造のものが好ましい。
【0040】
具体的には図1に示した溶解性鉛直ドレーン材11と同様な構造(合成樹脂ネットとその表面を覆う不織布とからなり、溶解剤との接触により溶解する溶解性材料よりなるもの)を持つものが好ましい例として挙げられる。この場合、水及び空気は、合成樹脂ネットを覆う不織布側から侵入し、合成樹脂ネットと不織布との隙間、及び不織布の構成繊維相互間を通して移動するようになる。
【0041】
この通水材14の一端側には真空ポンプ15が接続されている。図5及び図6に示した態様では、真空ポンプ15は通水材14の一端側に直接接続されず、排水タンク18、通路切り替え弁17を備えた溶解剤タンク16を介している。
【0042】
次いで図5に示すように、改良地盤A上を前記ドレーン材11及び通水材14とともに気密シート19で覆う。気密シート19は、厚手の合成樹脂シート単独のものでも良いが、図5に示す形態では、当該気密シート19の気密性とともに破損防止、ピンホールの発生防止という観点から、織物、不織布などの繊維基材表面に合成樹脂フィルムをラミネートしたものを用いた。尚、気密シート19は、前述の溶解性鉛直ドレーン材11や通水材14と同じく、溶解剤との接触により溶解する溶解性材料により構成しても良い。
【0043】
この気密シート19で改良地盤A上を覆い、この状態で真空ポンプ15を作動させると、真空ポンプ15からの真空圧(溶解性鉛直ドレーン材11内部が0.4気圧以下となるように負荷する)は、排水タンク18を介して通水材14、溶解性鉛直ドレーン材11、さらには溶解性鉛直ドレーン材11周囲の地盤Aへと伝達し、改良地盤A中に減圧領域が造り出される。
【0044】
減圧領域の造出に伴い、減圧領域周囲の地盤から減圧領域に向かう地盤加圧(水圧、土圧)が発生する。この地盤加圧に従って、減圧領域周りの地盤に含まれる間隙水が空気と共に減圧領域へ、減圧領域から溶解性鉛直ドレーン材11へと向かって吸い出され、さらに溶解性鉛直ドレーン材11からの水及び空気は通水材14へと入り込み、同通水材14内を水平方向に移動して排水タンク18へと排出され、減圧領域周りの地盤も減圧領域となる。
【0045】
真空ポンプ15からの真空圧は、減圧領域となった地盤からその周囲の地盤へと伝播していき、やがて改良地盤A全域が減圧領域となる。同時に、溶解性鉛直ドレーン材11を中心にした圧密、強度増加も、やがて改良地盤全域にわたって進行し、地盤の改良がなされる。
【0046】
このようにして地盤が改良された後、真空ポンプ15を停止する。そして、通路切り替え弁17を操作して、溶解剤タンク16からの通路を開き、溶解剤タンク16、通水材14、溶解性鉛直ドレーン材11の経路を連通状態とする。
【0047】
地盤改良後、改良地盤A内は減圧状態にあり、空気を吸引して元の1気圧(常圧)に戻ろうとする。溶解剤タンク16からの通路が開かれたとき、溶解剤タンク16からの溶解剤Mは、その吸引力で、通水材14及びその周りを経由して溶解性鉛直ドレーン材11及びその周りへと吸い込まれ、溶解性鉛直ドレーン材11に注入され、溶解性鉛直ドレーン材11に接触することになる。そして、溶解剤Mとの接触により溶解性鉛直ドレーン材11は溶解し、土に戻されるのである。
【0048】
尚、溶解性鉛直ドレーン材が溶解したかどうかの確認は、真空ポンプを再稼働させ、所定の真空度に到達する時間をもって判断する。すなわち到達時間が短いとき、溶解性鉛直ドレーン材は溶解しており、到達時間が長いとき、溶解性鉛直ドレーン材は溶解していないことになる。
【0049】
尚、真空ポンプ15からの真空圧の負荷、停止を繰り返したならば、減圧による吸引力を利用した溶解剤Mの注入、真空圧の負荷による溶解剤Mの排出が繰り返し行われることになるので、溶解剤Mが溶解性鉛直ドレーン材11とより確実に接触できるようになる。
【0050】
尚、上記実施の形態に示した例は、単なる説明例に過ぎず、例えば間隙水の排水経路を構成する材料をすべて溶解剤のと接触により溶解する溶解性材料とするなど、特許請求の範囲の欄に記載された範囲内で自由に変更することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明のドレーン工法にあっては、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した溶解性鉛直ドレーン材が、地盤改良後、改良地盤上面に形成した貯留部から流下した溶解剤との接触によって溶解するようになっているので、地盤改良後に地盤を掘り返して除去する必要がなく、溶解性鉛直ドレーン材の除去に要する費用を大幅に削減することができる。
【0052】
(削除)
【0053】
また本発明のドレーン工法によれば、溶解性鉛直ドレーン材を必要なときに人為的に溶解させることができるので、地盤改良後の後工程の障害とならず、自然溶解を持たなければならなかった従来の生分解性材料よりなる分解性鉛直ドレーン材に比べ、施工期間の管理をより確実に行うことができる。
【0054】
また本発明の真空圧密工法にあっては、空気を吸引して元の1気圧(常圧)に戻ろうとする減圧による吸引力を利用して溶解剤を改良地盤中に設置した溶解性鉛直ドレーン材に注入するようにしたので、溶解性鉛直ドレーン材は、より確実にしかもスピーディーに、溶解剤と接触し、溶解することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶解性鉛直ドレーン材を示した拡大斜視図。
【図2】図1に示す溶解性鉛直ドレーン材を用いたドレーン工法を示した模式図。
【図3】図1に示す溶解性鉛直ドレーン材を用いたドレーン工法の別例を示した模式図。
【図4】図1に示す溶解性鉛直ドレーン材を用いたドレーン工法のさらに別の例を示した模式図。
【図5】図1に示す溶解性鉛直ドレーン材を用いた真空圧密工法を示した模式図。
【図6】同じく要部拡大図。
【図7】従来の改良工法を示した模式図。
【符号の説明】
11・・・溶解性鉛直ドレーン材
14・・・通水材
15・・・真空ポンプ
19・・・気密シート
A・・・改良地盤
Claims (5)
- 改良する軟弱地盤(以下改良地盤という)中に所定の間隔をおいて、溶解性材料によって構成した溶解性鉛直ドレーン材を設置する工程と、
前記改良地盤上面に前記溶解性材料を溶解する溶解剤を貯留する貯留部を形成する工程と、
前記改良地盤の改良後、前記貯留部内に前記溶解剤を貯留することで、前記改良地盤中の溶解性鉛直ドレーン材に溶解剤を流下させ接触させる工程と、
を含むことを特徴とする軟弱地盤の改良工法。 - 前記溶解性材料が、アルカリ溶解性材料、酸溶解性材料、溶剤溶解性材料から選択された1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項1記載の軟弱地盤の改良工法。
- 改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した溶解性鉛直ドレーン材とこれに繋がる通水材を通じて、前記改良地盤中に前記通水材と接続する真空ポンプからの真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に減圧状態の領域(以下減圧領域という)を造り出す地盤の改良工法において、
前記溶解性鉛直ドレーン材を溶解性材料によって構成すると共に、前記改良地盤の改良後、前記減圧領域が減圧状態から常圧へと戻る時の減圧による吸引力を利用して前記溶解性材料を溶解する溶解剤を前記溶解性鉛直ドレーン材に注入し接触させるようにしたことを特徴とする軟弱地盤の改良工法。 - 前記溶解性材料が、アルカリ溶解性材料、酸溶解性材料、溶剤溶解性材料から選択された1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項3記載の軟弱地盤の改良工法。
- 前記真空ポンプからの真空圧の負荷、停止を繰り返すことを特徴とする請求項3または4記載の軟弱地盤の改良工法。
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