JP3214602B2 - 貯留施設の遮水構造 - Google Patents

貯留施設の遮水構造

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JP3214602B2 JP26498995A JP26498995A JP3214602B2 JP 3214602 B2 JP3214602 B2 JP 3214602B2 JP 26498995 A JP26498995 A JP 26498995A JP 26498995 A JP26498995 A JP 26498995A JP 3214602 B2 JP3214602 B2 JP 3214602B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物処分場等の
貯留施設の底面に設けられる遮水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】産業廃棄物や一般廃棄物を埋立処分する
廃棄物処分場では、所定の年月の間、廃棄物を生活環境
の保全に支障がない状態で貯留することがきわめて重要
である。そして、そのためには、廃棄物に含まれている
有害物質が汚染水として外部に浸出し地下水に流入する
ことがないよう、処分場の底面に所定の遮水工を施す必
要がある。
【0003】かかる遮水工は、通常、軟質合成樹脂、ゴ
ム等で形成された遮水シートで構成されるが、シートが
破損した場合のことを考えて該シートを安全性の高い二
重構造とする方法や、最近では、該二重遮水シートを予
め複数の区画に分割しておくことによって、破損した区
画だけを迅速に補修する方法も提案されている(特開平
6-63525号公報、同63526号公報等参照)。
【0004】図5は、二重遮水シートを複数の区画に分
割した遮水構造の一例を示したものである。同図に示す
遮水構造1は、山間部等に掘削形成された凹部2の底面
3に二重遮水シート4を敷設し、その上に砂で構成され
た保護層5を被覆してなる。二重遮水シート4は、同図
(b) でよくわかるように、敷地面側に配設される下層シ
ート6aおよび該下層シート6a上に配設される上層シ
ート6bで構成してあり、下層シート6aおよび上層シ
ート6bは、縦横に相互接着されて碁盤目状の複数の区
画に分割してある。
【0005】一方、下層シート6aおよび上層シート6
bの間には各区画ごとに空間7が形成されるが、該空間
7には不織布で構成されたマット8を配設するととも
に、セメントベントナイト等の固化材を注入するための
パイプ9を挿通してある。
【0006】かかる遮水構造においては、二重遮水シー
ト4の破損を各区画ごとに常時監視し、もし、特定の区
画の二重遮水シート4の破損が確認された場合、該区画
に対応する空間7にパイプ9を介して固化材を注入す
る。
【0007】かかる遮水構造によれば、破損した区画に
対応する空間だけに固化材を注入すればよいので、最小
限の固化材の使用で広大な二重遮水シートを補修するこ
とが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、廃棄物
の埋立量が多くなるに従い、それに相応する荷重が二重
遮水シート4に作用し、不織布で形成されたマット8内
の空隙が該荷重によってつぶれ、固化材が充填できなく
なるという問題を生じていた。
【0009】すなわち、マット8内に空隙がない状態で
パイプ9を介して固化材をいくら注入しても、同図(c)
に示すように、マット8に浸透せずに破損個所10を通
って外部に流出してしまう。また、細粒分の多い砂で構
成された保護層5内には固化材が充填される空隙がほと
んど存在しないため、破損個所10から流出した固化材
は、該破損個所近傍の保護層5に浸透することなくさら
に周囲に逸散し、結局、破損個所10の付近に不透水層
を形成することができない。
【0010】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、破損個所近傍に確実に固化材を充填して不透
水層を形成することが可能な貯留施設の遮水構造を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る貯留施設の遮水構造は請求項1に記載
したように、山間部等に形成された凹部の底面に遮水性
の下層シートと該下層シート上に配設される遮水性の上
層シートとからなる二重遮水シートを敷設した貯留施設
の遮水構造において、前記二重遮水シートを、前記上層
シート同士が所定幅だけ重複するように前記下層シート
及び前記上層シートを接着し、該重複部分に所定の固化
材を注入するためのパイプを挿入するとともに該固化材
が充填される空隙を有する中層マットを配設してなり、
該中層マットは、前記固化材の充填空隙が所定荷重下で
保持されるようになっているものである。
【0012】また、本発明に係る貯留施設の遮水構造
は、前記中層マットを、ポリプロピレン樹脂、ポリエチ
レン樹脂等のプラスチック材で網目状、格子状若しくは
ラビリンス状に形成したものである。
【0013】本発明に係る貯留施設の遮水構造において
は、固化材が充填される空隙が所定荷重下で保持される
中層マット、例えばプラスチック材で網目状に形成した
ものを下層シートおよび上層シートで挟まれた空間に配
設する。
【0014】かかる中層マットは、廃棄物による載荷重
量が作用しても、該中層マット内の空隙がつぶれること
なく、そのまま保持される。したがって、固化材を上述
した空間に注入すると、該固化材は、マット内に浸透し
て各空隙に充填され、かくして、不透水層が形成され
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る貯留施設の遮
水構造を廃棄物処分場の遮水構造に適用した実施形態に
ついて、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術
と実質的に同一の部品等については同一の符号を付して
その説明を省略する。
【0016】図1は、本実施形態に係る遮水構造を示し
た全体断面図および部分拡大図である。
【0017】同図に示す遮水構造21は、一般廃棄物や
産業廃棄物の埋立空間となる凹部2を山間部等に掘削形
成し、該凹部2の底面3に二重遮水シート22を敷設
し、その上に砂で構成された保護層5を被覆してなる。
【0018】二重遮水シート22は、同図(b) でよくわ
かるように、敷地面側に配設される下層シート6aおよ
び該下層シート6a上に配設される上層シート6bで構
成してあり、いずれも軟質合成樹脂、ゴム等の遮水性材
料で形成してある。下層シート6aおよび上層シート6
bは、接着部24において溶着等によって相互に接着し
てあり、該接着部24は、平面的に見れば二重遮水シー
ト22全体にわたって縦横に形成してあり、該二重遮水
シート22を碁盤目状の複数の区画に分割している。
【0019】一方、下層シート6aおよび上層シート6
bの間には各区画ごとに気密状態の空間7が形成される
が、該空間7には所定の固化材を該空間内に注入するた
めのパイプ9を挿入してあるとともに、該固化材が充填
される空隙を有する中層マット23を配設してある。
【0020】中層マット23は、廃棄物による上載荷重
が作用しても圧縮量が小さく、該マット23内の充填空
隙がつぶれることがないように、ポリプロピレン樹脂、
ポリエチレン樹脂等のプラスチック材で網目シートを形
成し、これを例えば図2に示すように必要に応じて数段
重ねて空隙構造に形成するのがよい。
【0021】具体的には、例えば、押し出し成形法によ
って形成された高密度ポリエチレン樹脂の網状シート
(商品名ダイプラネトロンシート)を使用することがで
きる。なお、かかる網目シートを使用した場合、50t
/m2 の上載荷重が作用しても10-1cm/sオーダー
の透水係数を確保できることをセメントベントナイトを
固化材として使用したときの透水試験で実証済みであ
る。
【0022】本実施形態に係る貯留施設の遮水構造21
においては、二重遮水シート22に破損が生じていない
かどうかを定期的に監視する。監視の仕方としては、例
えば、パイプ9の他端に真空ポンプ(図示せず)を接続
し、該ポンプを駆動して空間7の空気を抜き、その後の
空間7の真空度をセンサで計測する。ここで、空間7の
真空度が急激に低下するようであれば、その空間7に対
応する区画の下層シート6a若しくは上層シート6bに
破損が生じていると判断することができる。
【0023】破損区画が特定されたならば、図3(a) に
示すように、その区画に対応する空間7にパイプ9を介
して所定の固化材、例えばセメントベントナイト、モル
タル等のセメント系の固化材やアスファルト乳剤あるい
は樹脂系の固化材等を注入する。
【0024】すると、固化材は、同図矢印に示すように
中層マット23内の空隙に浸透して充填され、空間7内
には、同図(b) に示すような不透水層31が形成され、
破損個所10が補修される。
【0025】以上説明したように、本実施形態に係る貯
留施設の遮水構造によれば、固化材の充填空隙が所定荷
重下でも保持される中層マットを予め下層シートおよび
上層シートに挟まれた空間に配設したので、廃棄物によ
る上載荷重が作用した状態であっても、該空間に注入さ
れた固化材は、中層マット内を浸透して空隙を充填し不
透水層を形成する。
【0026】そのため、従来のように、注入された固化
材が破損個所を経て外に逸散するおそれがなくなり、破
損個所近傍に確実に不透水層を形成して汚染水の浸出を
防止することが可能となる。
【0027】また、下層シートおよび上層シートで挟ま
れた空間内で確実に不透水層を形成することができるの
で、二重遮水シート上に配設される保護層については、
固化材の充填性について配慮する必要はない。したがっ
て、保護層として細粒分の多い山砂や不織布などを使用
することができる。
【0028】本実施形態では、中層マットを網目状の構
造としたが、本発明に係る中層マットは、固化材が充填
される空隙が形成されており、なおかつ廃棄物による上
載荷重が作用してもその空隙がつぶれないのであれば、
いかなる空隙構造を採用してもよい。例えば、格子状の
空隙構造としてもよいし、線材を不規則に絡み合わせた
ラビリンス構造としてもよい。
【0029】また、本実施形態では、廃棄物処分場に適
用した例を説明したが、簡易貯水池、ため池、プールな
どの貯留施設に適用してもよい。
【0030】また、本実施形態では、二重遮水シートを
複数の区画に分割する際、下層シートおよび上層シート
を図1(b) に示すように接着したが、かかる接着方法に
代えて、例えば図4に示すように、上層シート42を下
層シート41に接着する際、該上層シート42同士が所
定幅だけ重複するように接着し、該重複部分にも上述し
た中層マット23を配設するようにしてもよい。
【0031】かかる構成により、分割された区画の境界
部分においても固化材の浸透による補修が可能となる。
なお、下層シート41、上層シート42は、それぞれ下
層シート6a、上層シート6bと実質的に同一のシート
であり、ここではその説明を省略する。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る貯留施
設の遮水構造によれば、破損個所近傍に確実に固化材を
充填して不透水層を形成することができる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る貯留施設の遮水構造の断面図
であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図。
【図2】中層マットの斜視図。
【図3】本実施形態の作用を示す図であり、(a)は固化
材を充填する様子を示した図、(b)は固化材充填後に不
透水層が形成された様子を示した図。
【図4】本実施形態の変形例に係る遮水構造の断面図。
【図5】従来技術に係る貯留施設の遮水構造の断面図で
あり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図、(c)は作用を示
す図。
【符号の説明】
6a、41 下層シート 6b、42 上層シート 9 パイプ 21 遮水構造 22 二重遮水シート 23 中層マット
フロントページの続き (72)発明者 十河 潔司 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株式会社大林組東京本社内 (56)参考文献 特開 平7−214026(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山間部等に形成された凹部の底面に遮水
    性の下層シートと該下層シート上に配設される遮水性の
    上層シートとからなる二重遮水シートを敷設した貯留施
    設の遮水構造において、 前記二重遮水シートを、前記上層シート同士が所定幅だ
    け重複するように前記下層シート及び前記上層シートを
    接着し、該重複部分に所定の固化材を注入するためのパ
    イプを挿入するとともに該固化材が充填される空隙を有
    する中層マットを配設してなり、該中層マットは、前記
    固化材の充填空隙が所定荷重下で保持されるようになっ
    ていることを特徴とする貯留施設の遮水構造。
  2. 【請求項2】 前記中層マットを、ポリプロピレン樹
    脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチック材で網目状、格
    子状若しくはラビリンス状に形成した請求項1記載の貯
    留施設の遮水構造。
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JP4084649B2 (ja) * 2002-12-19 2008-04-30 株式会社大林組 ベントナイト充填遮水マット工法における給水方法
JP4565550B2 (ja) * 2004-07-07 2010-10-20 鹿島建設株式会社 遮水材注入型遮水システム

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