JP4217895B2 - ポリウレタン発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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請求項1:
金型内に形成されたキャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給し、その後前記キャビティ内を減圧することにより、所定の圧力条件下で前記ポリウレタン発泡原液を発泡させて成形体を得るポリウレタン発泡成形体の製造方法において、前記キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給する際のキャビティ内圧力条件(mmHg)と前記所定の圧力条件(mmHg)との圧力差である減圧度a(mmHg)値を、キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給した後に減圧を開始してから前記所定の圧力条件に達するまでの減圧到達時間t(sec)値で除した平均減圧速度a/t(mmHg/sec)値が、10mmHg/sec以上であることを特徴とするポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項2:
前記キャビティ内に前記ポリウレタン発泡原液を供給し終えた直後に、前記キャビティ内の減圧を開始する請求項1記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項3:
前記ポリウレタン発泡原液が、(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートと、(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールとを含み、かつ前記(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールの粘度が、液温25℃において2400mPa・s以下である請求項1又は2記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項4:
前記(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートと前記(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールとを配合した直後に、これら(A)成分及び(B)成分を含む前記ポリウレタン発泡原液を前記キャビティ内に供給する請求項3記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項5:
前記ポリウレタン発泡原液が、更に(C)架橋剤と(D)触媒と(E)水とを含む請求項3又は4記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
請求項6:
前記ポリウレタン発泡原液のうち、前記(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートを除いた他の各成分からなるポリオール混合物の粘度が、液温25℃において2400mPa・s以下である請求項5記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
本発明のポリウレタン発泡成形体の製造方法は、金型内に形成されたキャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給し、その後キャビティ内を減圧することにより、所定の圧力条件下でポリウレタン発泡原液を発泡させて成形体を得るポリウレタン発泡成形体の製造方法において、キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給する際のキャビティ内圧力条件(mmHg)と前記所定の圧力条件(mmHg)との圧力差である減圧度a(mmHg)値を、キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給した後に減圧を開始してから前記所定の圧力条件に達するまでの減圧到達時間t(sec)値で除した平均減圧速度a/t(mmHg/sec)値が、10mmHg/sec以上であることを特徴とするポリウレタン発泡成形体の製造方法である。
また、キャビティ内に前記ポリウレタン発泡原液を供給する際のキャビティ内圧力条件(mmHg)としては、通常、大気圧でも良いが、大気圧(760mmHg)以下、好ましくは560mmHg以下、より好ましくは360mmHg以下である。キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給する際のキャビティ内圧力が大気圧を超えると、注入液が金型外へ逆流する場合がある。
従来、減圧工法において、ポリウレタン発泡原液を発泡させる際の圧力条件が、得られるポリウレタン発泡成形体の密度に影響を及ぼすことは知られていたが、驚くべきことに、前記減圧度a値を前記減圧到達時間t値で除した値、即ち平均減圧速度a/t値を指標として減圧工法のプロセスを設定することによっても、得られるポリウレタン発泡成形体の密度を調節することが可能となるばかりか、非常に軽量性に優れたポリウレタン発泡成形体を実現し得ることを本発明者は見出した。
ここで、上記TDIとしては、特に限定されるものではないが、2,4−TDIと2,6−TDIとの配合比が80/20〜65/35(質量比)の混合物であることが好ましく、80/20〜50/50(質量比)の混合物であることが特に好ましい。
一方、MDIとしても特に限定されるものではなく、その分子量分布の広狭を問わず用いることができ、例えば、純(ピュア)MDI(4,4’−MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDIなどを好適に用いることができる。
このようなTDI、MDIとしては市販品を使用することができ、TDIとしては、例えばTDI−80(住友バイエルウレタン(株)製)、MDIとしては、例えば44V20(住友バイエルウレタン(株)製 クルードMDI)を用いることができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、反応性の観点から、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
このような架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、開始剤に対してエチレンオキシドだけを付加重合させた架橋剤を挙げることができ、市販品を用いることも可能である。
上記(D)成分の触媒としては市販品を用いることができ、例えばトリエチレンジアミン(花王(株)製)、ジエタノールアミン(日本触媒製)等を挙げることができる。
ポリウレタン発泡原液中の(E)水の配合量としては、上記(B)成分のポリオール100質量部に対して通常1〜7質量部、好ましくは2〜5質量部である。(E)成分の配合量が上記範囲を逸脱すると、得られるポリウレタン発泡成形体の熱圧縮残留歪み特性に劣る場合がある。
中でも、本発明において好適に用いられる上記減圧工法としては、上記キャビティ空間内の圧力を制御する圧力調整装置を配設して、上記キャビティ空間内にポリウレタン発泡原液を大気圧下に供給し、金型を閉じた後でポリウレタン発泡原液が充満する前に上記圧力調整装置を作動させてキャビティ空間内を減圧にすると共に、上記ポリウレタン発泡原液がゲル化した後であって脱型前に、上記圧力調整装置を作動させることによりキャビティ空間内を大気圧に戻すことによって、ポリウレタン発泡成形体を製造する方法が挙げられる。
また、前記ポリウレタン発泡原液は前記キャビティ内に速やかに供給されることが好ましく、当該供給に要する時間としては通常10秒以内、好ましくは5秒以内である。前記ポリウレタン発泡原液を前記キャビティ内に供給し始めてから供給し終えるまでに要する時間が10秒を超えると、注入した液が金型からあふれる場合や、ポリウレタン発泡原液の発泡が不十分となって軽量化の効果が小さくなる場合がある。
表1に示すイソシアネート及びポリオール混合物を各々予め攪拌混合し、次いで両成分を混合してポリウレタン発泡原液(液温25℃)を調製し、調製直後にこれをキャビティ内の減圧が可能な金型(型温60℃)のキャビティに大気圧下にて注入し、注入し終えた直後に減圧を開始した。当該注入に要した時間は5秒であった。
下表2に示す減圧条件(mmHg)、減圧度(mmHg)、及び減圧到達時間(sec)条件の下で上記ポリウレタン発泡原液を発泡硬化させてポリウレタン発泡成形体を得た。得られたポリウレタン発泡成形体の成形下限密度(kg/m3)を測定し、軽量化度を算出した。結果を表2に併記した。
キャビティ内を減圧しない方法でポリウレタン発泡原液を発泡させてポリウレタン発泡成形体を得たこと以外は、実施例1〜5と同様にしてポリウレタン発泡成形体を得た。得られたポリウレタン発泡成形体の成形下限密度(kg/m3)を測定した。結果を表2に併記した。
TDI−80(住友バイエルウレタン(株)製)。
MDI
44V20(住友バイエルウレタン(株)製 クルードMDI)。
イソシアネート当量
上記配合原料中のイソシアネート成分の配合量(質量部)、ポリオール成分の配合量(質量部)、及び水の配合量(質量部)から、下記式により算出した。
ポリエーテルポリオール
三洋化成製。数平均分子量8,000、官能基(OH基)数4、EO15%,PO85%(仕込みモル)。不飽和度0.065ミリ当量/g。粘度1300mPa・s(液温25℃)。
ポリマーポリオール
三洋化成製。ベースポリオール平均分子量5,000、ベースポリオール官能基数3、EO13%、PO87%。
架橋剤
旭硝子製。数平均分子量400、官能基数4、EO100%(仕込みモル)。
触媒A
トリエチレンジアミン(花王(株)製)。
触媒B
ジエタノールアミン((株)日本触媒製)。
整泡剤
L5309(日本ユニカー(株)製)。
減圧の有無
有:減圧工法を用いた。
無:減圧工法を用いなかった(減圧せずに成形した)。
減圧条件(mmHg)
発泡成形時のキャビティ内圧力として設定した、キャビティ内の実際の圧力(mmHg)。
減圧度(mmHg)
キャビティ内にポリウレタン発泡原液を投入した際のキャビティ内圧力(上記実施例においては大気圧(760mmHg)である)と、上記減圧条件(mmHg)との圧力差(mmHg)。
減圧到達時間(sec)
キャビティ内の減圧を開始してから上記減圧条件に達するまでに要した時間(sec)。
平均減圧速度(mmHg/sec)
減圧度(mmHg)の値を減圧到達時間(sec)の値で除した値(mmHg/sec)。
成形下限密度(kg/m 3 )
フォームが金型内を充填するために必要な最低限の密度。
軽量化度(%)
減圧工法を用いない場合に得られる発泡成形体の成形下限密度(kg/m3)を基準として、所定の減圧工法により得られる発泡成形体の成形下限密度(kg/m3)がどの程度低下したのかを示す指標。具体的には、[100×(所定の減圧工法により得られる発泡成形体の成形下限密度、即ち、各実施例の成形下限密度)/(減圧工法を用いない場合に得られる発泡成形体の成形下限密度、即ち、比較例1の成形下限密度)]の値である。
Claims (6)
- 金型内に形成されたキャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給し、その後前記キャビティ内を減圧することにより、所定の圧力条件下で前記ポリウレタン発泡原液を発泡させて成形体を得るポリウレタン発泡成形体の製造方法において、前記キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給する際のキャビティ内圧力条件(mmHg)と前記所定の圧力条件(mmHg)との圧力差である減圧度a(mmHg)値を、キャビティ内にポリウレタン発泡原液を供給した後に減圧を開始してから前記所定の圧力条件に達するまでの減圧到達時間t(sec)値で除した平均減圧速度a/t(mmHg/sec)値が、10mmHg/sec以上であることを特徴とするポリウレタン発泡成形体の製造方法。
- 前記キャビティ内に前記ポリウレタン発泡原液を供給し終えた直後に、前記キャビティ内の減圧を開始する請求項1記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
- 前記ポリウレタン発泡原液が、(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートと、(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールとを含み、かつ前記(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールの粘度が、液温25℃において2400mPa・s以下である請求項1又は2記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
- 前記(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートと前記(B)ヒドロキシル基を供給するポリオールとを配合した直後に、これら(A)成分及び(B)成分を含む前記ポリウレタン発泡原液を前記キャビティ内に供給する請求項3記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
- 前記ポリウレタン発泡原液が、更に(C)架橋剤と(D)触媒と(E)水とを含む請求項3又は4記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
- 前記ポリウレタン発泡原液のうち、前記(A)イソシアネート基を供給するポリイソシアネートを除いた他の各成分からなるポリオール混合物の粘度が、液温25℃において2400mPa・s以下である請求項5記載のポリウレタン発泡成形体の製造方法。
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