JP5571905B2 - ポリウレタン発泡成形体 - Google Patents
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この方法は、発泡により形成される空孔(セル)の容積を大きくして密度を低減する方法であるが、ポリウレタン発泡成形体は、密度が低くなると硬度が低くなってしまう問題があった(特許文献2参照)。更に、熱圧縮残留歪み等の耐久性も低下する問題もあり、このようなポリウレタン発泡成形体は、特に、過酷な温度環境下で使用される自動車内装材用のポリウレタン発泡成形体としては十分なものとはなっていなかった。
[1]金型内に形成されたキャビティ内に(A)ポリオール成分と(B)イソシアネート成分と(C)触媒と(D)水とを含むポリウレタン発泡成形体用材料を供給し、上記キャビティ内を減圧しながら該ポリウレタン発泡成形体用材料を発泡させて成形することにより得られるポリウレタン発泡成形体であって、(A)ポリオール成分がポリオール、又はポリオール及び架橋剤からなり、(B)イソシアネート成分がイソシアネート基含有量25〜30質量%のイソシアネート基末端プレポリマーを含み、且つ(D)水が(A)ポリオール成分100質量部に対して2.5〜5.0質量部配合されてなる該ポリウレタン発泡成形体用材料を用いたことを特徴とするポリウレタン発泡成形体、
[2]前記イソシアネート基末端プレポリマーが、プレポリマー化ジフェニルメタンジイソシアネートである上記[1]のポリウレタン発泡成形体。
[3]前記(B)イソシアネート成分の全イソシアネート基中の前記プレポリマー化ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の含有量が、20〜100質量%である上記[2]のポリウレタン発泡成形体、
[4]前記ポリウレタン発泡成形体用材料のイソシアネート当量が65〜110である上記[1]〜[3]のいずれかのポリウレタン発泡成形体、
[5]前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、又はポリエーテルポリオールとポリマーポリオールの混合物である上記[1]〜[4]のいずれかのポリウレタン発泡成形体、
[6]前記ポリエーテルポリオールの重量平均分子量(GPC法により得られるポリスチレン換算値)が、4,000〜8,000である上記[5]のポリウレタン発泡成形体、及び
[7]前記架橋剤が、数平均分子量(GPC法により得られるポリスチレン換算値)200〜1,000のポリエーテルポリオールである上記[1]〜[6]のいずれかのポリウレタン発泡成形体である。
イソシアネート基含有量25〜30質量%のイソシアネート基末端プレポリマーを含むことにより、熱圧縮残留歪みの低減及び表面平滑性の改善を満足することができる。
また、(D)水は、発泡成形体を得るために必要である。(D)水が(A)ポリオール成分100質量部に対して2.5〜5.0質量部配合されることを要するのは、2.5質量部未満であると減圧工法を用いても満足のいく低密度のフォームを得ることが困難となり、5.0質量部を超えると、湿熱圧縮残留歪みが大きくなりポリウレタン発泡成形体の耐久性が損なわれてしまうからである。
このプレポリマー化MDIのイソシアネート基の含有量20〜100質量%の残余のイソシアネート成分80〜0質量%として、通常トリレンジイソシアネート(TDI)が配合されるが、TDIの全て又は一部をプレポリマー化MDI以外のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に置換しても良い。
これらの内、水酸基含有ポリエーテル(a2)が下記要件(イ)〜(ハ)を満たすものであることが好ましい。
(イ)(a2)が、数平均分子量150〜10,000であること。
(ロ)(a2)が、末端に炭素数3以上の1価の有機基を有すること。
(ハ)(a2)が、(a2)中にオキシプロピレン基を70質量%以上含有すること。
ポリオール変性MDIとしては、商品名「S−211」(住化バイエルウレタン(株)製、NCO基含有量:27質量%)、商品名「S−212」(住化バイエルウレタン(株)製、NCO基含有量:25.5質量%)等が挙げられる。
また、プレポリマー化MDIとして、カルボジイミド変性MDIも挙げられる。カルボジイミド変性MDIとしては、商品名「ミリオネート MTL」(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO基含有量:29質量%)、商品名「コロネート 69」(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO基含有量:27質量%)、商品名「コロネート MX」(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO基含有量:29質量%)、商品名「ミリオネート MTL−S」(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO基含有量:29質量%)等が挙げられる。
ここで、イソシアネート当量は、ポリウレタン発泡成形体用材料の単位質量中におけるイソシアネート基(NCO基)の数及び水酸基(OH基)の数により以下の式で表わされる。
なお、諸特性は下記の方法に従って測定した。
(1)コア密度(kg/m3)
フォーム成型ができたものについて、金型内容積とポリウレタン発泡成形体用材料の仕込み質量とからコア密度を算出した。
JIS K 6400に準じて測定した。測定に際してはポリウレタン発泡成形体のコア部を50×50×25mm切り抜き、これを試験片として使用した。試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟み、70℃,50%RHの条件下に22時間放置した。22時間放置後この試験片を取り出し、さらに30分後にその厚みを測定した。試験前の厚みの値と比較して歪み率を測定し、この歪み率を乾熱圧縮残留歪とした。
JIS K 6400に準じて測定した。測定に際しては成形したポリウレタン発泡成形体のコア部を50×50×25mm切り抜き、これを試験片として使用した。試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟み、50℃,95%RHの条件下に22時間放置した。22時間放置後この試験片を取り出し、さらに30分後にその厚みを測定した。試験前の厚みの値と比較して歪み率を測定し、この歪み率を湿熱圧縮残留歪みとした。
以下の評価基準により、表面平滑性を官能評価した。
◎: 凹凸の触感がなく滑らかである。
○: 若干ざらつき感はあるものの、シートパッドとして問題ないレベルである。
△: 収縮、欠肉及びボイドの少なくともいずれかが発生し、表面がゴツゴツしている。
×: セルが崩壊し、シートパッドとしての性能が出ない。
JIS K 6400に準じて測定した。試験片の空気を逃げ易くするために、直径6mm、中心距離19mmの多数の小孔のあいた台上に試験片を置いた。次に自動記録装置を有するインストロン型圧縮荷重試験機を用いて、直径200mmの円形加圧板で試験片の上面から押さえつけた。このとき、φ300mm以上の円形を含む大きさの試験片を用い、ILD(局部圧縮)で試験を行った。
前荷重として4.9Nかけた時の厚さを測定し、これをはじめの厚さとした。次に、円形加圧板を50mm/minの速さではじめの厚さの75%の距離を押し込んだ。押し込んだ後、直ちに50mm/minに速さで加圧板を上昇させ、はじめの厚さまで戻した。1分間放置後、再び同じ速度で初めの厚さの25%の距離まで圧縮し、静止させて20秒後の荷重を読んだ。これを25%硬さとした。
表1に示す(A)ポリオール成分、(C)触媒及び(D)水を予備撹拌混合し、また(B)イソシアネート成分を予備撹拌混合し、次いで予備撹拌混合した両者を更に混合して実施例1〜12及び比較例2の13種類のポリウレタン発泡成形体用材料(液温30℃)を調製し、これらを各々、キャビティ空間内を減圧することができる金型(サイズ:400mm×400mm×100mm、型温:60℃)のキャビティ空間内に高圧ヘッドを用いて注入し、ポリウレタン発泡成形体用材料がキャビティ空間内に充満する前にキャビティ空間内を減圧すると共に、ポリウレタン発泡成型体用材料のゲル化が開始する前に充填を完了し、ポリウレタン発泡成型体用材料がゲル化した後にキャビティ空間内を大気圧に戻す方法にてポリウレタン発泡成型体用材料を発泡させて、ポリウレタン発泡成形体を得た。得られたポリウレタン発泡成形体の硬さ、乾熱圧縮残留歪み、湿熱圧縮残留歪み、表面平滑性及び25%硬さについて、JIS K 6400に準拠して測定した。結果を表1に示す。なお、減圧工法の条件は、−250mmHg、即ち、金型キャビティ空間内の圧力が(760−250)mmHg=510mmHgであった。
表1に示す(A)ポリオール成分、(C)触媒及び(D)水を予備撹拌混合し、また(B)イソシアネート成分を予備撹拌混合し、次いで予備撹拌混合した両者を更に混合してポリウレタン発泡成形体用材料(液温30℃)を調製し、これを金型(サイズ:400mm×400mm×100mm、型温60℃)内のキャビティ空間内に高圧ヘッドを用いて注入し、キャビティ空間内を減圧しない方法で発泡させて、ポリウレタン発泡成形体を得た。得られたポリウレタン発泡成形体の硬さ、乾熱圧縮残留歪み、湿熱圧縮残留歪み、表面平滑性及び25%硬さについて、JIS K 6400に準拠して測定した。結果を表1に示す。
表1に示す(A)ポリオール成分、(C)触媒及び(D)水を予備撹拌混合し、また(B)イソシアネート成分を予備撹拌混合し、次いで予備撹拌混合した両者を更に混合してポリウレタン発泡成形体用材料(液温30℃)を調製し、これを金型(サイズ:400mm×400mm×100mm、型温60℃)内のキャビティ空間内に高圧ヘッドを用いて注入し、キャビティ空間内を減圧しない方法で発泡させたが、発泡が不十分であり、フォーム成型できなかった。
(1)減圧工法
○:減圧工法を用いた。
×:減圧工法を用いなかった(減圧せずに成形した)。
(2)ポリエーテルポリオールA
三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「EP−901P」(重量平均分子量:7,500、官能基(OH基)数:3、水酸基価:24(mgKOH/g)、EO:13%、PO:87%。
(3)ポリエーテルポリオールB
三洋化成(株)製、商品名「KC−264」(重量平均分子量:5,000、官能基(OH基)数:3、水酸基価:34(mgKOH/g)、EO:15%、PO:85%。
(4)ポリマーポリオール
Bayer MaterialScience AG製、商品名「ハイパーライトE−850」(重量平均分子量:5,000、水酸基価:20(mgKOH/g)。
(5)架橋剤
旭硝子ウレタン(株)製、商品名「EL−981」[数平均分子量:750、官能基数:6、水酸基価:450±2(mgKOH/g)、EO:23%,PO:77%(仕込みモル))。
(6)触媒A
トリエチレンジアミン(TEDA){33%ジプロピレングリコール(DPG)溶液}(東ソー(株)製、商品名「TEDA L−33」。
(7)触媒B
ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル{23%DPG溶液}、(東ソー(株)製、商品名「ET−33B」)。
(8)触媒C
ジエタノールアミン、(日本触媒(株)製、商品名「ジエタノールアミン」)。
(9)整泡剤
シリコーン混合物、(エボニック デグサ ジャパン(株)製、商品名「B8719LF」)。
(10)TDI
トリレンジイソシアネートの2,4−異性体と2,6−異性体との80:20の混合物、三井武田ケミカル(株)製、商品名「コスモネートT−80」、NCO基含有量48.2質量%。
(11)クルードMDI
住化バイエルウレタン(株)製、商品名「44V−20」、NCO基含有量31質量%。
(12)プレポリマー化MDI−A
住化バイエルウレタン(株)製、商品名「S−211」、NCO基含有量27質量%。
(13)プレポリマー化MDI−B
住化バイエルウレタン(株)製、商品名「S−212」、NCO基含有量25.5質量%。
Claims (6)
- 金型内に形成されたキャビティ内に(A)ポリオール成分と(B)イソシアネート成分と(C)触媒と(D)水とを含むポリウレタン発泡成形体用材料を供給し、上記キャビティ内を減圧しながら該ポリウレタン発泡成形体用材料を発泡させて成形することにより得られるポリウレタン発泡成形体であって、(A)ポリオール成分が、重量平均分子量(GPC法により得られるポリスチレン換算値)4,000〜8,000のポリエーテルポリオールと、重量平均分子量(GPC法により得られるポリスチレン換算値)3,000〜8,000のポリエーテルポリオールにポリアクリロニトリル又はアクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト共重合させたポリマーポリオールとの混合物、及び架橋剤である数平均分子量200〜1,000(GPC法により得られるポリスチレン換算値)のポリエーテルポリオールからなり、(B)イソシアネート成分がイソシアネート基含有量25〜30質量%のイソシアネート基末端プレポリマーであるプレポリマー化ジフェニルメタンジイソシアネートを含み、且つ全イソシアネート基中の前記プレポリマー化ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の含有量が20〜50質量%であり、且つ(D)水が(A)ポリオール成分100質量部に対して2.5〜5.0質量部配合されてなる該ポリウレタン発泡成形体用材料を用いたことを特徴とするポリウレタン発泡成形体。
- 前記プレポリマー化ジフェニルメタンジイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(a1)及び水酸基含有ポリエーテル(a2)を、(a1):(a2)=80:20〜99.9:0.1(質量比)の割合で反応させて得られたものである請求項1に記載のポリウレタン発泡成形体。
- 前記架橋剤の配合量が、(A)ポリオール成分中、10質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン発泡成形体。
- 前記ポリウレタン発泡成形体用材料中の(C)触媒の配合量が、(A)ポリオール成分100質量部に対して0.3〜3質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン発泡成形体。
- 成形時の金型の温度が50〜70℃である請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン発泡成形体。
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