JP4217875B2 - ウェハ搬送装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンフィルタユニットを有する筐体内で用いられるウェハ搬送装置に関するもので、ロボットが特に水平方向に移動する際にウェハ近辺で気流が乱れないようにするウェハ搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりウェハ搬送装置は公知であり、ウェハ搬送装置を収納する筐体幅の増加を防ぐために、筐体の内部にポッドステージと上中下段のポッド棚とポッドオープナの載置台とを同一の垂直面内に含まれるように配置し、ポッドステージと各ポッド棚との間や、各ポッド棚とポッドオープナとの間でポッドを搬送するポッド搬送装置をポッドステージとポッドオープナとの間に設置するものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−246436号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のウェハ搬送装置は水平方向に移動することは行っておらず、したがってウェハ搬送装置が水平方向に移動する際の問題については全く触れていない。
図7は本発明の前提となる水平方向に移動することのできるウェハ搬送装置の概念斜視図である。図の(a)〜(c)は、ウェハ搬送装置が水平方向に移動する前(a)、移動後(b)、垂直方向に移動中(c)をそれぞれ表している。
図7において、100はウェハ搬送装置、1は筐体、2はファンフィルタユニット(以下、FFUと称す)、3は昇降用機台、4はウエハ載置装置、5は水平駆動装置、6は昇降駆動装置をそれぞれ表している。なお、想像線で描く7はウェハを収納するロボットである。
図で、AとBはそれぞれ筐体1の横と縦の長さ、aとbはそれぞれ昇降用機台3の横と縦の長さである。したがって、A×Bは筐体1の横と縦の作る長方形の面積、a×bは昇降用機台3の横と縦の作る長方形の面積となる。
図7に示すように、筐体1は内部に大きな直方体の空間があり、この空間内において半導体ウエハに不純物を拡散したり、絶縁膜や金属膜を形成する各種処理装置(図示なし)が配備されている。
これらの各種処理装置間で半導体ウエハを搬送するように、半導体ウエハをロボット7に収納し、ロボット7がウエハ載置装置4によって筐体1内を水平および垂直方向に目標の処理装置まで搬送されて、ウエハをその処理装置の処理テーブル上へ届ける。
筐体1の内部空間を水平方向に移動できるように、例えば水平駆動装置5を、垂直方向に移動できるように、例えば昇降駆動装置6を備えている。
また、天井面にダウンフローを供給するためのFFUと、底面または側面にFFUから供給されたダウンフローを排出する吐出し口(図示なし)を有している。
FFU2は、筐体1の天井面に敷設された格子状天井フレームに複数台設置されている。このFFUを駆動すると、天井チャンバ(図示なし)のエアがフィルタによって除塵され清浄エアとなって筐体1たるクリーンルームに供給される。供給された清浄エアはダウンフローされて筐体1の塵埃とともに筐体1下面の床から床下チャンバ(図示なし)に吸い込まれる。床下チャンバに吸い込まれたエアは、一部が筐体1外に排気され、残りが循環路を介して天井チャンバに導かれる。天井チャンバに導かれたエアは前記FFUにより除塵されて再び筐体1に供給される。これにより筐体1が清浄な空間に維持される。
【0005】
昇降用機台3は、筐体1の内部空間の床から天井に亘って横方向全面に広がる矩形板で、筐体1の上部に備え付けの水平駆動装置5によって昇降用機台3が自らこの空間内を水平方向Yに移動可能となっている。
また、この昇降用機台3にはウエハ載置装置を垂直方向に移動するための昇降駆動装置6が備わっている。水平駆動装置5および昇降駆動装置6は後述のボールねじ駆動機構やベルト駆動機構を用いてモータからの伝達を行なうことにより実現できる。
なお、従来の昇降用機台3には通気穴は一切設けられていない。
【0006】
ウエハ載置装置4は、ウェハを収納するロボット7を載置して筺体1内を水平および垂直方向に移動するもので、昇降用機台3の上下に延びるボールねじ軸にウエハ載置装置4の一端(スライダ部分)が噛み合う構成となっており、垂直方向に移動可能に昇降用機台3に取り付けられている。なお、この他にウエハ載置装置4を安定して昇降用機台3上に沿って移動するためにウエハ載置装置4の他端に図示しないウエハ載置装置を案内支持するためのガイド部材等がボールねじ軸に平行に設けられている。
ウエハ載置装置4の水平移動は、水平駆動装置5により昇降用機台3自体が水平移動することで、昇降用機台3に固定されたウエハ載置装置4も水平移動する。
水平駆動装置5は、図7(c)に見られるように、筐体1の上部隅部に固定のモータ51とモータ51に直結のボールねじ軸52とボールねじ軸52に平行に置かれたガイド部材53とで構成される。ボールねじ軸52とガイド部材53はそれぞれ昇降用機台3の対向箇所に穿たれた穴を通って対向壁面に固定されている。ボールねじ軸52の通る穴はネジ穴が形成されており、ガイド部材53の通る穴は緩い穴で形成されている。これによってモータ51の回転で昇降用機台3は水平方向Xの一方に移動し、モータ51の逆転で昇降用機台3は逆方向に移動する。
なお、昇降用機台3の底部にはキャスターやベアリングを埋め込み、筐体1の床に敷設したレール11の上を走行するようにしておくと、ボールねじ軸52の負荷荷重が軽減され、したがってモータ51の負荷が軽くなる。
【0007】
昇降駆動装置6は、図(c)に見られるように、昇降用機台3の下部隅部に固定のモータ61とモータ61に直結のボールねじ軸62とで構成される。ボールねじ軸62はウエハ載置装置4の側面に設けられたスライダ41穿たれたネジ穴を通って昇降用機台3の上部隅部から延設するアーム31に回転可能に固定されている。昇降用機台3の下部にはウエハ載置装置4のそれ以上の降下を阻止するストッパ32が設けられている。これによってモータ61の回転でウエハ載置装置4は垂直方向Yの一方(例えば上方向)に移動し、モータ61の逆転で逆(下)方向に移動する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
次に、図7を用いて、ウエハ載置装置の移動について説明する。
(a)はウエハ載置装置4が水平方向に移動する前を表し、ウエハ載置装置4は図で筐体1内の最下端、手前に位置している。
モータ51の回転により昇降用機台3は水平方向Xに移動し、したがってウエハ載置装置4も図で筐体1内の最下端、奥に到着している(b)。
次に、モータ61の回転によりウエハ載置装置4は昇降用機台3に沿って垂直方向Yに上昇開始し、モータ61の停止により所望の高さで静止する(c)。
従来のウエハ載置装置4は、このように水平・垂直に移動可能となっているものの、特にウエハ載置装置4が水平方向に移動するに伴って、昇降用機台3も水平に移動するのでウェハ近辺の気流を乱していた。
図8は昇降用機台が水平方向に最高動作速度V1=0.5(m/s)で移動する際の筐体中央断面での気流の大きさを示す図である。
(a)は本発明に係る昇降用機台(後述)、(b)は図7のウエハ載置装置の気流を示す図である。図(b)において、1は筐体、3は昇降用機台で図の右から左に速度V1=0.5(m/s)で移動中である。7はウエハ載置装置に載置されたロボットである。91は天井から吹き込まれるクリーンエアの気流で、0.5m/sであった。92は昇降用機台3の下方を通って昇降用機台3の裏側に回り込む気流で、測定によると2.0m/s以上であった。93は昇降用機台3の上方を通って昇降用機台3の裏側に回り込む気流で、同じく2.0m/sであった。94は昇降用機台3の側方を通って昇降用機台3の裏側に回り込む気流で、同じく2.0m/sであった。
このようにウェハ近辺の気流を大きく乱す理由は、図7(a)で示す筐体1の水平方向の断面積(A×B)に対して、昇降用機台3の稼動部の断面積(a×b)が占める割合が高いため、空気が筐体1と昇降用機台3の隙間から高速に漏れ出し、昇降用機台3の背面での大規模な後流を発生させ、気流を乱すためであることが判明した。そして筐体1内に存在するパーティクルは、この気流の乱れによって拡散するため、高クリーン度を維持できなくなった。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、本発明は筐体とウエハ載置装置の隙間から漏れ出す高速な気流を緩和することで、気流の乱れを抑制し、高クリーン度を維持することのできるウエハ載置装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本願請求項1記載のウェハ搬送装置は、内部に横Aと縦Bの直方体空間を有するクリーンルームを構成しかつこのクリーンルームの天井から内部にクリーンエアの気流が吹き込まれる直方体筐体と、該筐体の直方体空間内に上下左右に僅かの空隙を空けて配置されると共に、水平駆動装置のガイド部材に案内支持された横a(A>a)と縦b(B>b)の長方形を有する長方形昇降用機台と、該長方形昇降用機台に設けられた昇降駆動装置のガイド部材に案内支持されつつ、ウエハを収納するロボットを載置するウエハ載置装置とから成り、該ロボットを水平移動かつ昇降移動自在に搬送し、かつ前記水平移動の際、前記長方形昇降用機台の進行方向前方の筐体内空気がA−aおよびB−bの空隙を通って前記長方形昇降用機台の後方へ移動するウェハ搬送装置において、
前記長方形昇降用機台が通気穴を有し、
かつ、前記通気穴が式(1)の条件式を満足することを特徴とする。
S1=S2×α×V ・・・(式1)
ただし、S1:水平方向の通気穴断面積(m 2 )
S2:a×bの面積(m 2 )
α:補正係数で0.2〜0.4(s/m)
V:水平方向の稼動部最高動作速度(m/s)
請求項2記載の発明は、請求項1記載のウェハ搬送装置において、前記補正係数αの範囲が式(2)の条件式を満足することを特徴とする。
0.27≦α≦0.33 ・・・(式2)
このような構成にすることにより、筐体とウエハ載置装置の隙間から漏れ出す高速な気流を緩和することができ、気流の乱れを抑制して高クリーン度を維持することができるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面に基づいて詳細に説明する。
〈第1の実施の形態〉
まず、第1の実施の形態に係るウェハ搬送装置について、図1に基づいて説明する。図において、水平および垂直方向の移動装置は見易くするため図示を省略している。また、図7と同じ符号は同一物を指している。3’は本発明に係る昇降用機台で、本発明による通気穴3Aを有する点が図7の昇降用機台3とは異なっている。92’は昇降用機台3’の下方を通って昇降用機台3’の裏側に回り込む気流、93’は昇降用機台3’の上方を通って昇降用機台3’の裏側に回り込む気流、94’は昇降用機台3’の側方を通って昇降用機台3’の裏側に回り込む気流、96は昇降用機台3’の通気穴3Aを通って昇降用機台3’の裏側に回り込む気流である。
図において、筐体1内の奥にある昇降用機台3’が矢印方向(すなわち手前へ)へ移動するとき、従来装置における気流92,93,94に対応する気流92’、93’、94’が昇降用機台3’の裏側に回り込む他に、気流96が昇降用機台3’の通気穴3Aを通って昇降用機台3’の裏側に回り込むため、気流が分散され、各気流自体の流れは低速となる。
このように本発明の第1の実施の形態によれば昇降用機台3’に通気穴3Aを設けたことにより、筐体1の水平方向の断面積に対して、昇降用機台3’の稼動部の断面積が占める割合が低くなるため、空気が低速で漏れ出るようになり、したがって昇降用機台3’の背面での大規模な後流も発生せず、気流が乱れないため、筐体1内に存在するパーティクルは拡散しなくなり、高クリーン度が維持できる。
そしてその通気穴3Aは、種々の実験の結果、式(1)の条件式を満足する大きさが適切であることが確認された。
S1=S2×α×V ・・・(式1)
ただし、S1:水平方向の通気穴断面積(m2)
S2:水平方向の稼動部断面積(m2)
α:補正係数で0.2〜0.4(s/m)
V:水平方向の稼動部最高動作速度(m/s)
【0011】
前記式(1)および(2)を満たす範囲の通気穴断面積を空けて実験した結果、図8(a)において、水平方向の稼動部最高動作速度V1=0.5(m/s)で、通気穴断面積/昇降用機台断面積が14(%)のときの天井からの気流91’、昇降用機台3’の下方からの気流92’、昇降用機台3’の上方からの気流93’、昇降用機台3’の側方からの気流94’、および通気穴3Aを通る気流96はどれもほぼ1.0m/sとなった。
このように本発明によれば、通気穴3Aを通って流れる気流96が新たに追加形成されるため、ウェハ近辺の気流が大きく乱れなくなり、したがって筐体1内に存在するパーティクルはこの程度の気流によっては拡散できなくなるので、高クリーン度を維持することができた。
【0012】
〈第2の実施の形態〉
次に、第2の実施の形態に係るウェハ搬送装置について、図2に基づいて説明する。図において、図7と同じ符号は同一物を指し、したがって説明は省略する。また、水平および垂直方向の移動装置は図示を省略して見易くしている。
図2のウェハ搬送装置が図1のウェハ搬送装置と異なる点は、昇降用機台3”が第1の実施の形態に係る通気穴3Aよりも大きな通気穴3Bを有することである。図2のウェハ搬送装置の通気穴3Bが図1の通気穴3Aよりも大きくした理由は、図2の昇降用機台3”の最高動作速度V2が図1の昇降用機台3’の最高動作速度V1よりも大きいからである。
このように本発明の第2の実施の形態に係るウェハ搬送装置は、昇降用機台の水平方向の移動速度の大きさによって、通気穴の大きさを変えることにある。
【0013】
図3は解析から求めた気流を乱さないための通気穴と昇降用機台の移動速度の関係を示す相関図である。図において、縦軸は昇降用機台の断面積に対する通気穴断面の占有率(%)、横軸は昇降用機台の移動速度(m/s)である。
ハッチングで示す範囲がパーティクルが拡散しない範囲である。補正係数αの範囲は気流の変動分を考慮したもので、種々の実験により補正係数αは0.2〜0.4(s/m)、さらに好ましくは0.27≦α≦0.33がよいことが判った。図ではα1=0.33、α2=0.27、α0=0.3の場合を示している。
例えば、昇降用機台の水平方向の最高移動速度が0.5(m/s)の場合は、通気穴断面積は10〜20(%)がよく、最高移動速度が1.0(m/s)の場合は、通気穴断面積は25〜34(%)がよいことがこの図から判る。
【0014】
図4は図3の図表を用いて作成されたウェハ搬送装置の実験結果を示す図である。(a)は通気穴断面積0.074(m2/s)(昇降用機台3’の断面積の14%)、水平方向の最高移動速度=0.5(m/s)で、(b)は通気穴断面積0.14(m2/s)(昇降用機台3”の断面積の30%)、水平方向の最高移動速度=1(m/s)である。
図(a)において、昇降用機台3’の下方を通って昇降用機台3’の裏側に回り込む気流95および昇降用機台3’の裏側に回り込む気流96は1.0m/sとなり、通気穴3Aの効果でウェハ近辺の気流が小さくなった。
したがって筐体1内に存在するパーティクルはこの程度に気流によっては拡散できなくなり、高クリーン度を維持することができた。
図(b)において、昇降用機台3”の下方を通って昇降用機台3”の裏側に回り込む気流97および昇降用機台3”の裏側に回り込む気流98は1.0m/sとなり、最高速度V2が大きくなっても、これに伴って通気穴3Bも大きく形成されたことによりウェハ近辺の気流が小さくなった。したがって筐体1内に存在するパーティクルはこの程度に気流によっては拡散できなくなり、高クリーン度を維持することができた。
【0015】
図5は本発明の水平駆動装置あるいは昇降駆動装置が採用するボールねじ機構駆動装置の1例を示す平面図である。
図において、ボールねじ駆動装置5は水平軸サーボモータ51と、この水平軸サーボモータ51の駆動によって回転する一対の軸受部材55,56に軸支されたボールねじ軸52と、このボールねじ軸52に螺着されてガイド部材53に案内されつつボールねじ軸52の回転で正・逆移動する昇降用機台3と、昇降用機台3の位置を検出するために水平軸サーボモータ51に付設されたエンコーダ54と、エンコーダ54からの検出信号に基づいて水平軸サーボモータ51に向けて制御信号を出力する制御装置70とから構成されている。
制御装置70は昇降用機台3の全体的な制御を行うCPU72と、このCPU72に設けられた主記憶装置71と、水平軸サーボモータ51の駆動制御を行うサーボコントローラ73と、このサーボコントローラ73に設けられた記憶装置74とから構成されている。主記憶装置71には、水平軸サーボモータ51の駆動を制御するプログラムが記憶されている。
CPU72は、ボールねじ駆動装置5の稼働が開始されると主記憶装置71が記憶しているプログラムを取り込んで制御可能状態となり、エンコーダ54から入力された情報に基づいて水平軸サーボモータ51上の昇降用機台3の位置を決め、これを基に上記プログラムが実行され、水平軸サーボモータ51の回転数が演算される。この演算結果は制御信号として記憶装置74に記憶された後、サーボコントローラ73からはこの制御信号に基づく駆動信号が水平軸サーボモータ51に向けて出力され、これによる水平軸サーボモータ51の駆動でボールねじ軸52は駆動信号で示される回転数で回転し、昇降用機台3はこの回転数に対応した速度で移動する。
以上は水平駆動装置5について詳述したが、昇降駆動装置6については移動方向が異なるだけで原理は全く同様である。
【0016】
図6は本発明が採用することのできるベルト駆動装置の1例を示す斜視図である。図において、昇降用機台3は水平梁81の上に移動可能に載置されている。昇降用機台3から下方に下方部材35が延設し、その先端にベルト83とピン36で固定されている。
一方、水平梁81の両端にプーリ71を回転可能に取り付けたプーリ固定部材82を固定している。この両方のプーリ71間にベルト83が巻回されている。2つのプーリ71の一方にこのプーリ71の軸と直結されるサーボモータ51が設けられ、サーボモータ51のエンコーダ54が備えられている。サーボモータ51およびエンコーダ54には、エンコーダ54からの検出信号に基づいて水平軸サーボモータ51に向けて制御信号を出力する制御装置70が接続されている。
制御装置70の内部構成および機能は図5のそれと同一であるので、説明は省略する。
サーボモータ51の回転によりプーリ71が回転し、これによってプーリ71に巻回されているベルト83が回動し、したがってベルト83にピン36で固定された下方部材35が移動し、昇降用機台3が移動する。
また、サーボモータ51の逆転により、昇降用機台3が逆方向に移動する。
なお、水平駆動装置、垂直駆動装置の各駆動機構にボールねじと回転モータ、ベルトと回転モータの例を示したが、これらに替えてリニアモータを採用しても構わない。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、内部に空間を有するクリーンルームを構成する筐体と、該筐体の空間内に上下左右に僅かの空隙を空けて配置されると共に、水平駆動装置のガイド部材に案内支持された昇降用機台と、該昇降用機台に設けられた昇降駆動装置のガイド部材に案内支持されつつ、ウエハを収納するロボットを載置するウエハ載置装置とから成り、該ロボットを水平移動かつ昇降移動自在に搬送するようにしたウェハ搬送装置において、前記昇降用機台に通気穴を設けることとし、その通気穴が上記実施の形態記載の式(1)の条件式を満足するようにした。さらに、補正係数αの範囲を上記実施の形態記載の式(2)の条件式を満足するようにしたので、昇降用機台とウェハ搬送装置の隙間から漏れ出す気流の流速を軽減することができ、したがって気流の乱れを抑制し、高クリーン度が維持できるウェハ搬送装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るウェハ搬送装置の構成図である。
【図2】第2の実施の形態に係るウェハ搬送装置の構成図である。
【図3】解析から求めた気流を乱さないための通気穴と昇降用機台の移動速度の関係を示す相関図である。
【図4】図3の図表を用いて作成されたウェハ搬送装置の実験結果を示す図で、通気穴を有する昇降用機台の水平方向に移動する移動速度と筐体中央断面での気流の大きさを示す図である。(a)は通気穴断面積0.074(m2/s)(昇降用機台3’の断面積の14%)、水平方向の最高移動速度=0.5(m/s)で、(b)は通気穴断面積0.14(m2/s)(昇降用機台3”の断面積の30%)、水平方向の最高移動速度=1(m/s)である。
【図5】本発明が採用するボールねじ機構駆動装置の1例を示す平面図である。
【図6】本発明が採用することのできるベルト駆動装置の1例を示す斜視図である。
【図7】従来のウェハ搬送装置の概念斜視図で、(a)〜(c)は、ウェハ搬送装置が水平方向に移動する前(a)、移動後(b)、垂直方向に移動後(c)をそれぞれ表している。
【図8】昇降用機台の水平方向に移動する際の筐体中央断面での気流の大きさと方向を示す図である。(a)は後述の本発明に係る昇降用機台、(b)は図7のウエハ載置装置のそれぞれの気流の大きさと方向を示す図である。
【符号の説明】
100 ウェハ搬送装置装置
1 筐体
2 ファンフィルタユニット(FFU)
3、3’、3” 昇降用機台
4 ウェハ載置装置
5 水平駆動装置
6 昇降駆動装置
7 ロボット
A、B 筐体の横と縦の長さ
a、b 昇降用機台の横と縦の長さ
Claims (2)
- 内部に横Aと縦Bの直方体空間を有するクリーンルームを構成しかつこのクリーンルームの天井から内部にクリーンエアの気流が吹き込まれる直方体筐体と、該筐体の直方体空間内に上下左右に僅かの空隙を空けて配置されると共に、水平駆動装置のガイド部材に案内支持された横a(A>a)と縦b(B>b)の長方形を有する長方形昇降用機台と、該長方形昇降用機台に設けられた昇降駆動装置のガイド部材に案内支持されつつ、ウエハを収納するロボットを載置するウエハ載置装置とから成り、該ロボットを水平移動かつ昇降移動自在に搬送し、かつ前記水平移動の際、前記長方形昇降用機台の進行方向前方の筐体内空気がA−aおよびB−bの空隙を通って前記長方形昇降用機台の後方へ移動するウェハ搬送装置において、
前記長方形昇降用機台が通気穴を有し、
かつ、前記通気穴が式(1)の条件式を満足することを特徴とするウェハ搬送装置。
S1=S2×α×V ・・・(式1)
ただし、S1:水平方向の通気穴断面積(m 2 )
S2:a×bの面積(m 2 )
α:補正係数で0.2〜0.4(s/m)
V:水平方向の稼動部最高動作速度(m/s) - 前記補正係数αの範囲が式(2)の条件式を満足することを特徴とする請求項1記載のウェハ搬送装置。
0.27≦α≦0.33 ・・・(式2)
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