JP4217774B2 - 低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 - Google Patents
低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4217774B2 JP4217774B2 JP2002168434A JP2002168434A JP4217774B2 JP 4217774 B2 JP4217774 B2 JP 4217774B2 JP 2002168434 A JP2002168434 A JP 2002168434A JP 2002168434 A JP2002168434 A JP 2002168434A JP 4217774 B2 JP4217774 B2 JP 4217774B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- fat
- low
- fat composition
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低脂肪油中水型油脂組成物に関し、更に詳しくは、主にデニッシュペーストリーの製造等に用いられる低脂肪ペーストリー用マーガリン等の低脂肪油中水型乳化油脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、クロワッサンの製造において、マーガリンを折り込む工程では、ミキシングした生地をマーガリンを折り込み易いように冷やし低温(0〜2℃)にする。その後、生地を薄く伸ばし、その上にシート状にしたマーガリンを載せ、これを3つ折りにして包み薄く伸ばす。通常、この工程を3回繰り返した後、成形し、ホイロ(30〜40℃)において醗酵させ、オーブンで焼成する。
しかし生地休めの時間を長く採ることによりベーカリー製品の品質を高めることができるため、一晩リタードと呼ばれる工程を取ることが広く知られている。3つ折り工程を2回行った後、生地を発酵しないよう低温(−5〜0℃)で12時間程度休めてから3回目の3つ折りを行う。その後これを成型し、ホイロで発酵させオーブンで焼成する。この工程では折り込みマーガリンは0℃以下の低温で長時間置かれることになり、過酷な条件下で展延されることとなる。
【0003】
従来、この種の折り込み用マーガリン等として使用される低脂肪油中水型乳化油脂組成物として、乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用することによって安定なマーガリンを得ることが提案されている。例えば、乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルと重合度7以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用してなる高水分油中水型乳化油脂組成物の製造法(特開昭58−198243号)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよび炭素数12個以上の飽和脂肪酸エステルからなる乳化剤を用いた高水分油中水型乳化油脂組成物(特開昭58−170432号)、乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルおよびレシチン、乳化安定剤としてキサンタンガムおよびラムダカラギーナンの少なくともいずれか一方を併用してなる低脂肪油中水型乳化油脂組成物(特開昭63−169931号)、水相にDE(ブドウ糖量)が7〜30であるデキストリンを添加する低脂肪油中水型乳化油脂組成物(特開平4−258242)等が提案されている。
しかしながら、従来の低脂肪マーガリンは、短時間のリタードでは作業性が良好であっても、前記のような0℃以下の低温での折り込み工程において充分な伸展性がないものがほとんどで、生地の中で充分な層を作れず、ボリュームの低下、食感の悪化、表皮の荒れ、パン様の内層といったベーカリー製品の品質の低下につながっていた。このようなペーストリー用マーガリンとして要求される特性を必ずしも充分に満足しうるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑み、主にペーストリー用マーガリンとして使用される低脂肪油中水型乳化油脂組成物として、低温で充分な可塑性を有することにより、デニッシュペーストリーの製造等における低温での折り込み工程において、生地とともに良好な層構造を作ることの可能な伸展性を有する低脂肪油中水型油脂組成物を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、油脂組成物を調製する際に、所定のDE(ブドウ糖量)値を有するデキストリンを使用するとリタード特性が飛躍的に向上することを見出して本発明を完成させた。すなわち本発明は、70〜20重量%の連続相である油相と30〜80重量%の分散相である水相とからなる油脂組成物において、DEが0ないし7未満のデキストリンを水相に用いることを特徴とする低脂肪用油中水型油脂組成物である。
ここで、油相に用いられる油脂としては、公知の食用動植物性油脂、例えば、魚油、牛油、豚油、パーム油、大豆油、菜種油、コーン油、サフラワー油、乳脂、または、これらの水素添加油、エステル交換油、分別等を行った加工油脂等が挙げられる。通常のペーストリー用マーガリンは油脂中に使用温度帯(−5℃から38℃)で固形脂を含むため、本発明においても同温度帯で固形脂であるものを含むことが望ましい。
また、本発明の油脂組成物(マーガリン)の調製に際しては、乳化剤を併用することが望ましく、当該乳化剤としては、従来から公知のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、またはレシチン等がある。これらの乳化剤の種類、およびその添加量、添加方法等は特に限定されない。
【0006】
本発明で用いられるデキストリンは、例えばワキシースターチを酸または酵素を用いて一部分解したもの、または、その還元澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の加工澱粉であって、DEが0(澱粉そのもの)または7未満のものである。DEが0ないし7未満、特に7未満のデキストリンは脂肪分が少ないマーガリンに構造を与え、生地に折り込んだ際に伸展性と層を作る機能を改善する。デキストリンのDEが7より大きい場合はマーガリンに十分な構造を与えることができず、満足できる伸展性、機能を得ることが出来ない。これらのデキストリンを調製するために用いられる澱粉は、とうもろこし澱粉、もち米澱粉、小麦澱粉等いずれでもよい。
なおデキストリンの添加量は、本発明の油中水型乳化油脂組成物中の水分に対して5〜60重量%の範囲である。この場合、デキストリンの添加量が水分に対して5重量%に満たないときは、製造工程中の転相、製品での水の分離が起こったり、これを使用したベーカリー製品の内層の不良、食感の悪化等品質が低下する。また、水分に対するデキストリンの添加量が60重量%を越える場合には十分な乳化が行えず、製造そのものが困難となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る低脂肪油中水型乳化油脂組成物の製造方法を以下に説明する。
まず、油脂に乳化剤、および目的に応じて色素、抗酸化剤、香料等の必要な油溶性成分を添加し、所定の温度で完全に溶解させて油相を調製し、これと食塩、糖類、香辛料等の各種調味料、脱脂粉乳、カゼインナトリウム、醗酵乳、ヨーグルトパウダー等の乳製品、または澱粉、多糖類、クエン酸等の水溶性成分を必要に応じて分散、溶解させた水相と混合し予備乳化する。デキストリンは水相に分散溶解した方が好ましいが、直接油相に分散させて使用することもできる。また、乳化温度は、油脂が完全に溶解しうる温度であればよいが、好ましくは40〜70℃の範囲である。次に、上記のようにして得られた予備乳化物を、均一に攪拌しながらパーフェクター、コンビネーター、ボテーター等を用いて急冷捏和し、安定化した後、必要に応じて所定サイズのシート状あるいはブロック状に成形し、目的とするペーストリー用マーガリンを得る。
油相に対する水相の分散は,水相の平均粒径が2μm以下であることが好ましい。粒径が2μmより大きいとペーストリー用油脂としての性能の低下を生じさせる場合がある。
【0008】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。本発明の趣旨はもとよりこれに限定されるものではない。
下記表1に示す組成により、上昇融点37±1.5℃となるように配合した油脂を70℃に加熱し、これに乳化剤を溶解して油相を調製した。一方、表1の組成により、水に各デキストリン、食塩等を分散溶解後、85℃30分殺菌して水相とした。この水相を60℃に冷却した後、油相に攪拌を続けながら混合して予備乳化液を調製した。
得られた予備乳化液をコンビネーターを用いて急冷捏和し、安定化し、続いて生地に折り込み易いようにシート状に成形し、低脂肪ペーストリー用マーガリンを得た。得られた各マーガリンの油相中の水相の平均粒径も併せて表1に示す。
これらのマーガリンの特性について、下記表2に示す配合および工程によりクロワッサン製造試験を行い、下記表3に示す結果を得た。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】
表3に示す結果から明らかなように、使用したデキストリンのDEが7未満でその添加量が水分量に対して5〜60重量%の範囲である実施例1〜3の低脂肪ペーストリー用マーガリンは、比較例1〜5で得られたマーガリンに比べ折り込み特性が良好であり、本発明に係る低脂肪油中水型乳化油脂組成物である低脂肪ペーストリー用マーガリンが優れていることが明らかである。
【0013】
【発明の効果】
本発明に係る低脂肪ペーストリー用油中水型油脂組成物によれば、DEが0ないし7未満のデキストリンを用いるだけで低温における可塑性を改善し、良好な組織を持つマーガリンが得られ、ボリュームが大きく食感、内層、表皮の良好なベーカリー製品を得ることが出来る。したがって、低脂肪食品に対する関心、および需要が高まっている現在、この低脂肪ペーストリー用マーガリンを用いることで、これらの需要にこたえうる低カロリー化した高品質なデニッシュペーストリー等を容易に製造することができる。
Claims (3)
- 70〜20重量%の連続相である油相と30〜80重量%の分散相である水相とからなる油脂組成物において、DEが0ないし7未満のワキシースターチ由来のデキストリンを水相に用い、水相の平均粒径が2μm以下であることを特徴とする低脂肪ペーストリー用油中水型油脂組成物。
- デキストリンが水分に対して5〜60重量%添加されていることを特徴とする請求項1に記載の低脂肪油中水型油脂組成物。
- 請求項1または2に記載の低脂肪ペーストリー用油中水型油脂組成物を折り込むことによって得られるベーカリー製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002168434A JP4217774B2 (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | 低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002168434A JP4217774B2 (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | 低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004008147A JP2004008147A (ja) | 2004-01-15 |
JP4217774B2 true JP4217774B2 (ja) | 2009-02-04 |
Family
ID=30435351
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002168434A Expired - Fee Related JP4217774B2 (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | 低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4217774B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2992983B1 (fr) | 2012-07-06 | 2014-07-04 | Roquette Freres | Sauces de couchage pour papier et carton contenant une dextrine a teneur elevee en amylopectine |
JP6144555B2 (ja) * | 2013-07-05 | 2017-06-07 | 株式会社Adeka | 可塑性油脂組成物 |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168434A patent/JP4217774B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004008147A (ja) | 2004-01-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2902763B2 (ja) | 練り込み用油中水型乳化油脂組成物 | |
JP6588706B2 (ja) | 油中水型乳化油脂組成物とそれを用いたマーガリン類及びベーカリー製品 | |
JP4007410B2 (ja) | 発酵風味材 | |
CA2197040A1 (en) | Process for preparing an edible laminated dough and edible lamination dispersion therefor | |
JP5298706B2 (ja) | 水中油型乳化油脂組成物 | |
JP6534350B2 (ja) | 油脂組成物、該油脂組成物が配合された小麦膨化食品、及び該油脂組成物の製造方法 | |
JP2002253117A (ja) | ロールイン用油脂組成物 | |
JP3998364B2 (ja) | ロールイン用油脂組成物及びこれを用いたペストリー | |
JP4217774B2 (ja) | 低脂肪油中水型油脂組成物および該油脂組成物を使用したベーカリー製品 | |
JP4507052B2 (ja) | 練込用油脂組成物、製造方法及び用途 | |
JPH04258242A (ja) | 低脂肪油中水型乳化油脂組成物 | |
JP2835126B2 (ja) | 練り込み用油中水型乳化油脂組成物 | |
JP4812511B2 (ja) | フラワーペースト類 | |
JP3603743B2 (ja) | 白焼きパンの製造法 | |
JP2018166414A (ja) | ロールイン油中水型乳化組成物 | |
JP5119883B2 (ja) | 油中水型乳化物 | |
JP6316604B2 (ja) | ベーカリー製品の製造方法 | |
JP2021101731A (ja) | 可塑性油脂組成物、食品、食感向上剤、保存安定性向上剤及び方法 | |
JP5609128B2 (ja) | ロールイン用油脂組成物及び当該油脂組成物を用いた食品 | |
JP6931275B2 (ja) | 可塑性油脂組成物及び焼成品 | |
JPWO2006011331A1 (ja) | ロールイン用油中水型乳化組成物 | |
JP2004073030A (ja) | 可塑性油脂組成物及びこれを用いたパン、菓子類 | |
JPH0987657A (ja) | デキストリン含有乳化油脂組成物 | |
JP3506102B2 (ja) | パン類の改質材及びパン類の製造法 | |
JP4419632B2 (ja) | ロールイン用油中水型乳化組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050112 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070913 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071003 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071203 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081001 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20081010 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081016 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20081010 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131121 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |