JP4217200B2 - 中空樹脂微粒子の製造方法、中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルム - Google Patents

中空樹脂微粒子の製造方法、中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルム Download PDF

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Description

本発明は、外殻の一部にへこみが生じたり扁平形状となったりすることがなく真球状で、
充分に低い屈折率が得られる程の高い空隙率を有する中空樹脂微粒子を製造することがで
きる中空樹脂微粒子の製造方法、該中空樹脂微粒子の製造方法により製造されてなる中空
樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルムに関する。
パソコン、ワープロ、携帯電話等に用いる液晶ディスプレイや、その他種々の商業ディス
プレイ等は、極めて広範な分野で利用されている。これらのディスプレイにはガラスやプ
ラスチック等の透明基板が用いられており、これらの透明基板を通して物体や文字、図形
等の視覚情報を認知している。
これらのディスプレイの実用上の問題点として、表示面の反射による視認性の悪化が挙げ
られる。即ち、室内外を問わずに外光等が入射するような環境下で使用した場合に、外光
等の入射光が透明基板の表面で反射することにより、内部の視覚情報が見えにくくなる。
このような透明基板の反射を防止する方法としては、例えば、透明基板の表面に凹凸のあ
るコーティング層を形成し、この表面に凹凸により外光を乱反射させる方法があった。
特許文献1には、ゾルゲル法により調製されたシリケート系コーティング剤中にシリカ分
散液を混合し、その混合液をガラス基板上に塗布して焼成した、表面にシリカ粒子又はシ
リカ粒子の凝集体による凹凸を有する反射防止膜が記載されている。また、特許文献2に
は、透明基材フィルム上に樹脂を主成分とする中間層を形成し、この中間層上に、屈折率
1.45以下の有機超微粒子を含有する塗布液を塗布することにより形成された、有機超
微粒子の表面が露出した凹凸の最表層を有する反射防止膜が記載されている。
しかしながら、表面に凹凸を形成して外光を乱反射させる方法は、見かけ上の眩しさは低
減されるものの、全体としての反射光の量は減っておらず、全体が白っぽくなるという問
題があった。また、表面の凹凸に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着しやすく、かつ
、一度付着した汚れは微細な凹凸があるために除去することが容易ではないという問題も
あった。
これに対して、透明基板の表面に低屈折率の反射防止層を形成する方法が提案されている
。低屈折率の反射防止層を透明基板の表面に形成することにより、光の乱反射や汚れの問
題等もなく透明基板の反射を防止することができる。
このような低屈折率の反射防止層としては、シリコン系又はフッ素系の材料からなるもの
が用いられていたが、これらは一般に透明基材との密着性に劣ることから、例えば、ナノ
メートルオーダーのシリカ微粒子等の低屈折率の微粒子を分散させたコーティング剤を用
いて基材上にコーティング層を形成した反射防止フィルム等が試みられている。例えば、
特許文献3には、一定の構造を有する有機珪素化合物重合体をバインダーとして中空シリ
カ微粒子を配合した低屈折率コーティング剤と、該低屈折率コーティング剤を用いた反射
防止フィルムが開示されている。
しかしながら、シリカ微粒子はアルカリ溶液への耐性に劣ることから、シリカ微粒子を含
むコーティング層は、汚れを拭き取る際に市販のアルカリ洗剤等を使用した場合に性能が
低下してしまうことがあるという問題があった。また、有機珪素化合物重合体等をバイン
ダーとした場合、脆く機械的強度に欠けるコーティング層しか得られないが、シリカ微粒
子を用いる限りは、樹脂への分散性の問題から、成膜性に優れ機械的強度に優れる透明樹
脂をバインダーとして用いることが難しいという問題もあった。
これに対して、空隙率が一定以上である中空樹脂微粒子を用いることが検討さている。中
空樹脂微粒子は、耐アルカリ性やバインダーに対する分散性に優れることから、これをシ
リカ微粒子の代わりに用いれば、透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び
洗浄に強く、機械的強度にも優れる反射防止フィルムが得られことが期待される。
このような粒子内部に空隙を有する中空樹脂微粒子に関としては、従来から種々の提案が
なされているが、なかでも、粒子内部に単一孔を有する中空樹脂微粒子は、高い空隙率を
保持できる、内部の空隙の密閉性に優れるため、粒子内部へのバインダーの侵入を抑制で
きるという利点を有している。例えば、特許文献4及び5には、ラジカル重合による単一
孔を有する中空樹脂微粒子の製造方法が開示されている。
しかしながら、このような内部に単一孔を有する中空樹脂微粒子は、内部に2個以上の空
隙を有する多孔粒子と比較して構造的に脆弱であり、特に空隙率が高い単一孔粒子の場合
、粒子乾燥時における粒子の変形を防止することが困難であった。そのため、いずれの方
法で製造した場合あっても、粒子乾燥時にポリマー粒子の外殻の一部へこみ又は扁平形状
等粒子の変形が観察され、乾燥状態で真球形状を維持した単孔中空樹脂微粒子を製造する
ことは困難であった。
また、中空樹脂微粒子を製造する他の方法としては、例えば、特許文献6〜8に開示され
ている。しかしながら、中空樹脂微粒子を充分に低屈折率にするためには、高い空隙率を
達成し、かつ、粒子内部の空隙部へのバインダーの浸入を防止することが必須であるとこ
ろ、これらの方法では、ナノメートルオーダーの粒子径を有し、充分に低い屈折率が得ら
れる程の高空隙率を達成した中空樹脂微粒子は得られなかった。
特開平9−101518号公報 特開平7−92305号公報 特開2002−317152号公報 特開平2−255704号公報 特開昭61−87734号公報 特開平1−185311号公報 特開平6−248012号公報 特開平8−20604号公報
本発明は、上記現状に鑑み、外殻の一部にへこみが生じたり扁平形状となったりすること
がなく真球状で、充分に低い屈折率が得られる程の高い空隙率を有する中空樹脂微粒子を
製造することができる中空樹脂微粒子の製造方法、該中空樹脂微粒子の製造方法により製
造されてなる中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルム
を提供することを目的とする。
本発明は、ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体、及び
、有機溶媒を含有する反応性溶液を調製する工程1、前記反応性溶液からなる油滴を極性
溶媒に懸濁する工程2、前記反応性単量体中のラジカル重合可能な官能基を重合させて前
記有機溶媒と相分離させ、前記有機溶媒を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を作
製する工程3、前記マイクロカプセル型ポリマー粒子中の架橋可能な官能基を反応させる
工程4、及び、前記マイクロカプセル型ポリマー粒子から前記有機溶媒を除去する工程5
を有する中空樹脂微粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、内部に単一孔を有する中空樹脂微粒子を製造する際に
、ラジカル重合により有機溶媒を内包したマイクロカプセル型ポリマー粒子を作製する工
程と、該マイクロカプセル型ポリマー粒子を構成する樹脂間を架橋させる工程とを、分離
し、かつ、重合工程、架橋工程の順番で行うことにより、得られる有機溶媒を内包したマ
イクロカプセル型ポリマー粒子は、外殻の樹脂が均一に架橋され、極めて高い強度を有す
るものとなり、このようなマイクロカプセル型ポリマー粒子中の有機溶媒を除去すること
で、へこみが生じたり、扁平形状となったりすることがなく真球状の中空樹脂微粒子を製
造することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の中空樹脂微粒子の製造方法は、まず、ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官
能基とを有する反応性単量体、及び、有機溶媒を含有する反応性溶液を調製する工程1を
行う。
上記反応性単量体は、ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する。
上記ラジカル重合可能な官能基としては特に限定されず、例えば、ビニル基等が挙げられ
る。
上記架橋可能な官能基とは、上記ラジカル重合可能な官能基を反応させて得られた樹脂間
に架橋を与える官能基である。なお、本明細書において、上記「架橋可能な官能基」とは
、架橋剤が添加されること等により、それ自体が他の樹脂間を架橋するような官能基の他
、それ自体は他の樹脂と架橋することのない官能基であるが、架橋剤と反応し、この反応
した架橋剤が他の樹脂間を架橋するような官能基をいう。
上記架橋可能な官能基としては特に限定されないが、例えば、イソシアネート基、エポキ
シ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホン基、クロロスルホン基、水酸基、メルカ
プト基、ニトリル基、アミノ基、アセテート基、アセチルアセトナト基、アジリジノ基、
オキサゾリノ基、アルコキシシラン基、シラノール基、t−ブチル基等が挙げられ、なか
でも、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシラン基及びt−ブチル基が好適であ
る。
上記イソシアネート基は、水やアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を有する反応成分と
反応して上記反応性単量体がラジカル重合してなる樹脂間に架橋を与える官能基である。
このようなイソシアネート基と上記ラジカル重合可能な官能基とを有する反応性単量体と
してとしては特に限定されず、例えば、2−メチル−2イソシアネートプロピル(メタ)
アクリレート、側鎖にイソシアネートを含有したビニルエーテル等の任意のモノマーが挙
げられる。
上記エポキシ基は、アミノ基やカルボキシ基、クロロスルホン基、メルカプト基、水酸基
、イソシアナート基等を有する反応成分と反応して上記反応性単量体がラジカル重合して
なる樹脂間に架橋を与える官能基である。
このようなエポキシ基とラジカル重合可能な官能基とを有する反応性単量体としては特に
限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ化スチレン等が挙げら
れる。
上記アルコキシシラン基は、加水分解した後水酸基を有する化合物と反応して、又は、自
己縮合して上記反応性単量体がラジカル重合してなる樹脂間に架橋を与える官能基である

このようなアルコキシシラン基とラジカル重合可能な官能基とを有する反応性単量体とし
ては特に限定されず、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジ
メトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3
−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記t−ブチル基は、架橋剤として、例えば、後述する有機過酸化物を用いた場合、該有
機過酸化物の水素引き抜き反応により上記反応性単量体がラジカル重合してなる樹脂に反
応し、こられの樹脂間に上記有機過酸化物による架橋を与える官能基である。
このようなt−ブチル基とラジカル重合可能な官能基とを有する反応性単量体としては特
に限定されず、例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記反応性溶液において、上記ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する
反応性単量体の配合量の好ましい下限は5重量%である。5重量%未満であると、高い空
隙率を有する真球状の中空樹脂微粒子を製造することができないことがある。上記反応性
単量体の配合量の上限は特に限定されず、次工程で極性溶媒中に反応性溶液を懸濁させた
際に、反応性溶液が油滴状に分散できるよう適宜調整される。
本発明の中空樹脂微粒子の製造方法では、更に、ラジカル重合可能な官能基を2つ以上有
する多官能不飽和重合性単量体を混合することが好ましい。このような多官能不飽和重合
性単量体を混合して製造される中空樹脂微粒子は、耐圧縮強度が優れたものとなる。
上記多官能不飽和重合性単量体としては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ
(メタ)アクリレート;ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
ストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリ
ルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリ
ル化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。これらの
多官能不飽和重合性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記反応性溶液において、上記多官能不飽和重合性単量体の配合量としては特に限定され
ないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は10重量%である。0.1重量%
未満であると、得られる中空樹脂微粒子の耐圧縮強度が不充分となることがあり、10重
量%を超えると、上記反応性単量体の配合量が少なくなり、真球状で高い空隙率を有し、
充分に低い屈折率の中空樹脂微粒子を製造することができないことがある。
工程1では、上記反応性溶液に上述した反応性単量体のラジカル重合可能な官能基をラジ
カル重合させる重合開始剤を添加することが好ましい。
上記重合開始剤は、上記反応性単量体に可溶でフリーラジカルを発生する化合物であれば
特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブ
チルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸
化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物及びレドックス開始剤等が挙げられ
る。なかでも、アゾ系化合物が好適である。
また、使用する反応性単量体の種類によっては、上記反応性溶液に架橋剤を添加すること
が好ましい。例えば、上記反応性単量体の架橋可能な官能基がアルコキシシラン基である
場合、加水分解した後自己縮合するため架橋剤がなくても架橋させることができる。また
、イソシアネート基は、極性媒体である水又はアルコールと反応して架橋を行うことがで
きるが、このように架橋剤を特に添加しなくても架橋可能な反応性単量体以外の反応性単
量体を使用した場合、架橋可能な官能基を架橋させるためには架橋剤が必要となる。
ただし、上述したように、本発明の中空樹脂微粒子の製造方法は、上記反応性単量体を重
合させて樹脂を形成する工程と、この樹脂間を架橋させる工程とを分離させたものである
。そのため、上記反応性溶液に添加する架橋剤は、上記反応性単量体を次工程でラジカル
重合させる際に反応しないものであることが必要である。
例えば、上記反応性単量体のラジカル重合可能な官能基が加熱により重合を開始する場合
、上記反応体溶液に添加する架橋剤は、上記反応性単量体のラジカル重合可能な官能基が
ラジカル重合を開始する温度よりも高温で反応するものであることが必要である。
このような架橋剤としては特に限定されないが、例えば、有機過酸化物が好適に用いられ
る。上記有機過酸化物は、上記反応性単量体がラジカル重合してなる重合体を水素引き抜
き反応により架橋させることができる。
上記有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、ジ−sec−ブチルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオ
キシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート、t−ブチルパーオキシプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオ
キシベンゾネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5トリメチルヘキ
サン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2メチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド等の各種ケトンパ
ーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイ
ド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等が好適で
ある。
なお、架橋反応温度が上記反応性単量体のラジカル重合可能な官能基がラジカル重合を開
始する温度と同じか、それよりも低い架橋剤は、後述するマイクロカプセル型ポリマー粒
子の外殻を架橋させる工程4において添加することで使用することができる。
その他の架橋剤としては、例えば、光の照射、超音波の照射又は反応性溶液のpHを変化
等のように、温度以外の刺激で架橋反応を開始するもの等が挙げられる。
本工程では、上記反応性単量体や必要に応じて添加する重合開始剤及び架橋剤等を有機溶
媒に混合することで、反応性溶液を調製する。
上記有機溶剤としては、上記反応性単量体と反応せずに混和し、かつ、反応性単量体のラ
ジカル重合温度において液状であるものであれば特に限定されず、例えば、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、
塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。
上記有機溶媒の添加量としては特に限定されないが、好ましい下限は、上記反応性単量体
100重量部に対して100重量部、好ましい上限は9900重量部である。100重量
部未満であると、得られる中空樹脂微粒子の空隙率が低くなり、充分な低屈折率を実現で
きないことがあり、9900重量部を超えると、空隙率が大きくなりすぎて得られる中空
樹脂微粒子の強度が低下することがある。
次に、本発明の中空樹脂微粒子の製造方法は、上記反応性溶液からなる油滴を極性溶媒に
懸濁する工程2を行う。
上記極性溶媒としては特に限定されず、例えば、水やエタノール、メタノール、イソプロ
ピルアルコール等の通常の懸濁重合法等に用いられるものを用いることができる。
また、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の乳化剤や、セチルアルコール
等の分散助剤を併用してもよい。
上記反応性溶液からなる油滴を極性溶媒に懸濁する方法としては特に限定されず、例えば
、反応性溶液を予め調製し、これを上記極性媒体に添加し、攪拌により油滴状に分散させ
る方法等が挙げられる。
上記攪拌の際には、ホモミキサー、バイオミキサー、ホモジナイザー等の機械的攪拌機を
用いてもよいし、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー等を用いてもよい。本
発明により得られる中空樹脂微粒子の粒子径は、懸濁液中の油滴径に依存するため、乳化
剤、界面活性剤及び分散安定剤の種類や量、又は、撹拌の方法や強度等により、得られる
中空樹脂微粒子の粒径を容易に制御することができる。
次に、上記反応性単量体中のラジカル重合可能な官能基を重合させて上記有機溶媒と相分
離させ、上記有機溶媒を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を作製する工程3を行
う。
工程3では、例えば、上記反応性溶液に重合開始剤を添加した場合、上記極性溶媒に油滴
状に分散させた反応性溶液を加熱して上記重合開始剤の反応開始温度にすることにより、
上記反応性溶液における反応性単量体中のラジカル重合可能な官能基が反応して樹脂を生
じる。このとき、ラジカル重合により生成した樹脂は、上記有機溶媒と相分離を起こし、
その結果生成した樹脂からなる外殻に、有機溶媒を内包したマイクロカプセル型ポリマー
粒子が作製される。
次に、上記マイクロカプセル型ポリマー粒子中の架橋可能な官能基を反応させる工程4を
行う。
上記マイクロカプセル型ポリマー粒子中の架橋可能な官能基を反応させる方法としては、
例えば、上記反応性溶液を調製する工程において有機過酸化物等の架橋剤を添加していた
場合、上記マイクロカプセル型ポリマー粒子を上記架橋剤の反応温度にまで加熱する方法
が挙げられる。
一方、上記反応性溶液を調製する工程において架橋剤を添加していなかった場合、本工程
で架橋剤を添加することが好ましい。この場合、架橋剤としては、上記有機過酸化物等で
あってもよく、上記反応性溶液を調製する工程において、その反応温度が反応性単量体の
ラジカル重合可能な官能基がラジカル重合を開始する温度とほぼ同じか、それよりも低い
ため、添加することができなかった架橋剤であってもよい。
上記架橋剤としては、架橋する相手の官能基種により異なり、また官能基自体が自己架橋
する場合もあるため特に限定されないが、エチレンジアミン及びその付加物、ジエチレン
トリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタ
ミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノ
プロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン及びその変性品、N−アミノエチルピペラジン
、ビス−アミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−ヘキサ
メチレントリアミン、ジシアンジアミド、ジアセトアクリルアミド、各種変性脂肪族ポリ
アミン、ポリオキシプロピレンジアミン等の脂肪族アミン、3,3’−ジメチル4,4’
−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、
4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族アミン及びそ
の変性物、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、2
,4’−トルイレンジアミン、m−トルイレンジアミン、o−トルイレンジアミン、メタ
キシリレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族アミン及びその変性物、その他特殊
アミン変性物、アミドアミン、アミノポリアミド樹脂等のポリアミドアミン、ジメチルア
ミノメチルフェノール、2,4,6トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリ(ジ
メチルアミノメチル)フェノールのトリ−2エチルヘキサン塩等の3級アミン類、3フッ
化ホウ素化合物及びその錯化合物、ケチミン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4
−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2
−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−
シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2ウンデシルイミダゾール
、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル
イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノ
エチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニル
イミダゾールトリメリテート、2,4ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1
)’]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾ
リル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2,4ジアミノ−6−[2’−エチル−4
’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、1−ドデシル−2−メ
チル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾ
リウムクロリド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−
フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル
−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾールとトリア
ジン複合物、2−フェニルイミダゾールとトリアジン複合物等のイミダゾール類、イソフ
タル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジド
類、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸及びその混合物、シクロペ
ンタン・テトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無
水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル・テト
ラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレ
ンテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3−
メチル−3−シクロヘキセン−1,2’−ジカルボン酸無水物、無水メチルナジック酸等
の酸無水物及びその変性物、シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン
酸、コハク酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、(o−、m−、p−)ベンゼンジ
カルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等のポリカルボン酸、エチレングリコール、プロピ
レエングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,1,1−ト
リメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポ
リオキシアルキレングリコール、ヒドロキシンジヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキノ
ン、ジヒドロキシベンゾフェノン等のポリオール類、1,6−ヘキサンジチオール等のメ
ルカプタン類、多官能フェノール類、トルイレンジソシアナート、2,4−トルイレンジ
イソシアナートの2量体、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、o−トルイレンジイ
ソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、トリス−(p−イソシアナートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフ
ェニルイソシアナート等の多官能芳香族イソシアナート、芳香族ポリイソシアナート、多
官能芳香族脂肪族イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサ
メチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等の多官能脂肪族イソシアナー
ト、ブロック型ポリイソシアナート等のポリイソシアナート類、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリ
シジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジル
エーテル、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂肪族
型、脂環式型、ノボラック型、アミノフェノール型、ヒダトイン型、イソシアヌレート型
、ビフェノール型、ナフタレン型等の各種エポキシプレポリマー等の多官能エポキシ樹脂
等が挙げられる。
本工程において、上記架橋剤を反応させて上記マイクロカプセル型ポリマー粒子中の架橋
可能な官能基を架橋させることで、マイクロカプセル型ポリマー粒子の外殻を強固なもの
とすることができる。このようなマイクロカプセル型ポリマー粒子は、続くマイクロカプ
セル型ポリマー粒子中の有機溶媒を除去する工程5において有機溶媒を除去する際に、へ
こみが発生したり扁平形状等になったりすることなく、内部に単一孔を有し、高い空隙率
を有する中空樹脂微粒子を得ることができる。
次に、上記マイクロカプセル型ポリマー粒子から上記有機溶媒を除去する工程5を行い、
内部に単一の空隙を有する真球状の中空樹脂微粒子を製造する。
上記有機溶媒を除去する方法としては特に限定されず、例えば、得られたマイクロカプセ
ル型ポリマー粒子の分散液に窒素、空気等の気体を吹き込む方法;減圧雰囲気とする方法
等が挙げられる。
本発明の中空樹脂微粒子の製造方法は、ラジカル重合により有機溶媒を内包したマイクロ
カプセル型ポリマー粒子を作製する工程と、該マイクロカプセル型ポリマー粒子を構成す
る樹脂間を架橋させる工程とを、完全に分離し、かつ、重合工程、架橋工程の順番で行う
ことにより、得られる有機溶媒を内包したマイクロカプセル型ポリマー粒子は、外殻の樹
脂が均一に架橋され、極めて高い強度を有するものとなるため、このようなマイクロカプ
セル型ポリマー粒子中の有機溶媒を除去することで、へこみが生じたり、扁平形状となっ
たりすることがなく真球状の中空樹脂微粒子を製造することができる。
本発明の中空樹脂微粒子の製造方法により製造された中空樹脂微粒子もまた、本発明の1
つである。
本発明の中空樹脂微粒子は、平均粒子径の好ましい下限が10nm、好ましい上限が10
0nmである。10nm未満であると、中空樹脂微粒子同士の凝集が発生して、取扱い性
に劣る。100nmを超えると、例えば反射防止フィルムに用いた場合には、フィルムの
表面に中空樹脂微粒子による凹凸が生じて平滑性が劣ったり、中空樹脂微粒子表面のレイ
リー散乱に起因してフィルムの透明性が低下し画像が白化したりする。より好ましい上限
は70nm、更に好ましい上限は50nmである。
本発明の中空樹脂微粒子は、粒子径のCV値の好ましい上限が20%である。20%を超
えると、100nm以上の粗大粒子の比率が高くなり、例えば反射防止フィルムに用いた
場合には透明性や平滑性が劣ることをもある。より好ましい上限は15%である。
本発明の中空樹脂微粒子は、空隙率が50%以上であることが好ましい。本発明の中空樹
脂微粒子の製造方法は、このような高空隙率の中空樹脂微粒子の製造に特に有利である。
また、例えば、本発明の中空樹脂微粒子を反射防止フィルム用途向けの低屈折率粒子とし
て用いる際には、空気相は屈折率が1.00であることから、中空状とすることにより、
極めて低い屈性率を実現することができる。空隙率が50%未満であると、充分な低屈折
率を実現することができない。空隙率の上限は特に限定されないが、形状の維持及びある
程度の強度を確保する必要があることから、好ましい上限は95%、より好ましい上限は
70%である。
なお、本明細書において空隙率とは、中空樹脂微粒子全体積中に占める中空部体積を百分
率(%)で表示したものであり、例えば、アムコ社製ポロシメーター2000を用いて封
入水銀圧力2000kg/cmの条件等にて測定することができる。
本発明の中空樹脂微粒子は、反射防止フィルム用途向けの低屈折率粒子として用いる際に
は、屈折率の好ましい上限は1.30である。1.30を超えると、反射防止フィルムに
用いたときに、外光等の入射光が透明基板の表面で反射する効果が充分に得られなくなり
、反射を防止するために必要な反射防止フィルムの厚さが必要以上に厚くなってしまう。
好ましい上限は1.27、より好ましい上限は1.25である。
このような本発明の中空樹脂微粒子の製造方法により製造されてなる本発明の中空樹脂微
粒子は、真球状で高い空隙率を有し、充分に低い屈折率を有する。また、耐アルカリ性、
バインダーに対する分散性にも優れることから、本発明の中空樹脂微粒子を適当なバイン
ダー等に分散させて反射防止フィルム用コーティング剤とすれば、容易に透明基板の反射
を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄に強く、機械的強度にも優れる反射防止フィ
ルムを作製することができる。
このような本発明の中空樹脂微粒子を含有する反射防止フィルム用コーティング剤もまた
、本発明の1つである。
更に、本発明の中空樹脂微粒子、又は、本発明の反射防止フィルム用コーティング剤を用
いてなる反射防止フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明の中空粒子を用いて反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルムを作
製する場合、本発明の中空樹脂微粒子を適当なバインダーに分散させることが好ましい。
上記バインダーとしては、透明であり、成膜可能な材料であれば特に限定されず、樹脂等
の有機系材料、無機系材料、重合可能なモノマー溶液のいずれも用いることができる。
上記有機系材料としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プ
ロピオニルセルロース、ブタノイルセルロース、アセチルプロピオニルセルロースアセテ
ート、ニトロセルロース等のセルロース誘導体;ポリアミド、ポリカーボネート、特公昭
48−40414号公報に記載されたポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、
ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン1,2−ジフェ
ノキシエタン−4,4−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、
ポリメチルメタクリレート、又は、これらの各種含フッ素体等の比較的低屈折率の透明樹
脂等が挙げられる。
なお、上記バインダーとして透明樹脂を用いる場合には、ガラス転移温度が本発明の中空
樹脂微粒子のガラス転移温度よりも低いものを用いることが好ましい。これにより、バイ
ンダーが製膜時に中空樹脂微粒子間の結着剤の役割を果たし充分な膜強度を得ることがで
きる。
上記無機系材料としては、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物
と結合した配位化合物が挙げられ、具体的には、例えば、チタンテトラエトキシド、チタ
ンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブ
トキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、
アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ
ブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテト
ラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロ
ポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキ
シド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド等の金属アルコレート化合物;ジ−イ
ソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジブトキシチタニウムビスアセチル
アセトネート、ジエトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトン
ジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモ
ノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテ
ート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート等のキレート化合
物;炭酸ジルコニールアンモニウム又はジルコニウムを主成分とする活性無機ポリマー等
が挙げられる。
上記重合可能なモノマー溶液における重合可能なモノマーとしては透明なものであれば特
に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プ
ロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチ
ル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリ
レート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリ
ルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アク
リル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチ
レン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー;ビニルピリジン、2−アクリロ
イルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン等が挙げられ
る。これらのモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合可能なモノマー溶液は、バインダーの膜強度を向上する目的で多官能モノマーを
含有してもよい。
上記多官能モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(
メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)
アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)ア
クリレート;ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アク
リレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレ
ート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリル化合物
;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。これらの多官能モ
ノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の中空樹脂微粒子と上記バインダーとの配合比率としては特に限定されないが、中
空樹脂微粒子の配合量の好ましい下限は5体積%、好ましい上限は95体積%である。5
体積%未満であると、得られる反射防止フィルムの屈折率を充分に低くできないことがあ
り、95体積%を超えると、得られる反射防止フィルムの機械強度が劣ることがある。よ
り好ましい下限は30体積%、より好ましい上限は90体積%であり、更に好ましい下限
は50体積%、更に好ましい上限は80体積%である。
本発明の中空樹脂微粒子を用いてなる反射防止フィルム用コーティング剤は、上記バイン
ダーとして硬化型のものを用いる場合にはバインダー中に中空樹脂微粒子が懸濁したエマ
ルジョンであってもよく、また、それ以外の場合には適宜の揮発性溶媒に希釈したもので
あってもよい。
上記希釈溶媒としては特に限定されないが、組成物の安定性、濡れ性、揮発性等から、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノー
ル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル等のエー
テル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコ
ール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトー
ル等のグリコールエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ハ
ロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N−メチルピロ
リドン、ジメチルホルムアミド等が好適である。これらの希釈溶媒は単独で用いてもよく
、2種以上を併用してもよい。
上記反射防止フィルム用コーティング剤を離型フィルム、又は、直接透明基板上に塗工し
た後、乾燥する方法により、反射防止フィルムを作製することができる。
上記反射防止用コーティング剤を塗工する方法としては特に限定されず、例えば、ディッ
プコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティン
グ法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティン
グ法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング
法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコ
ーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコー
ティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
上記反射防止フィルム用コーティング剤を離型フィルム等上、又は、直接透明基板上に塗
工した後、加熱乾燥等により塗膜を形成し、その後、加熱、加湿、紫外線照射、電子線照
射等を行い塗膜を硬化させることにより、本発明の中空樹脂微粒子を用いてなる反射防止
フィルムが得られる。
本発明の中空樹脂微粒子を用いてなる反射防止フィルムは、表面が平滑であることが好ま
しい。本明細書において表面が平滑とは、JIS B 0601に規定される方法により
算出した表面荒れRzが0.2μm以下であることを意味する。
表面が平滑であることにより本発明の中空樹脂微粒子を用いてなる反射防止フィルムは、
表面での光の乱反射によって全体が白っぽくなることがなく、また、表面に指紋、皮脂、
汗、化粧品等の汚れが付着しにくく、一度付着した汚れも容易に除去することができる。
上記反射防止フィルムは、本発明の中空樹脂微粒子を用いてなる反射防止フィルム用コー
ティング剤を用いてなる層の他に、更に、基材層を有していてもよい。基材層を有するこ
とにより、反射防止フィルムは機械的強度が向上し、取扱い性が向上する。
上記基材層としては、透明であれば特に限定されないが、成形性や機械的強度の点から、
例えば、上記バインダーとして用いることができる透明樹脂等からなるものが好適である
上記反射防止フィルムの厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は50nm、好
ましい上限は200nmである。50nm未満であると、耐擦傷性が不充分となることが
あり、200nmを超えると、フィルムが割れやすくなることがある。
また、上記反射防止フィルムが上記基材層を有する場合、基材層の厚さとしては特に限定
されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は7μmである。3μm未満であると
、反射防止フィルムの強度が劣ることがあり、7μmを超えると、反射防止フィルムの透
明性が劣り、内部の視覚情報が見えにくくなることがある。
本発明によれば、外殻の一部にへこみが生じたり扁平形状となったりすることがなく真球
状で、充分に低い屈折率が得られる程の高い空隙率を有する中空樹脂微粒子を製造するこ
とができる中空樹脂微粒子の製造方法、該中空樹脂微粒子の製造方法により製造されてな
る中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルムを提供する
ことができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
(1)中空樹脂微粒子の調製
ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体としてグリシジル
メタクリレート30重量部、有機溶媒としてヘプタン69重量部、及び、重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル1重量部を混合・攪拌して反応性溶液を調製した。
調製した反応性溶液の全量を、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム2重量部と分散助剤としてセチルアルコール2重量部とを含有するイオン交換水400
重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒径46nmの
液滴が分散した分散液を調製した。
攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内
を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られ
た分散液を投入し、重合槽を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合しマイクロ
カプセル型ポリマー粒子を得た。
その後、架橋剤としてジエチレントリアミン30重量部を加えて重合槽を80℃まで昇温
して6時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。
得られたスラリーを分画分子量1万のセルロース膜を用いて透析し、過剰な界面活性剤や
無機塩類を除去し、更に濾過にて凝集粒子及び不溶分を除去した。得られた樹脂微粒子を
、真空乾燥して中空樹脂微粒子を得た。
(2)反射防止フィルム用コーティング剤の調製及び反射防止フィルムの形成
バインダーとしてポリメチルメタクリレート100重量部に対して、得られた中空樹脂微
粒子100重量部と希釈溶媒としてトルエン800重量部とを混合して反射防止フィルム
用コーティング剤を調製した。
得られた反射防止フィルム用コーティング剤を、スピンコーターを用いてトリアセチルセ
ルロース(TAC)フィルム上に塗布し、90℃、120分間乾燥して、厚さ100nm
の反射防止フィルムを形成した。
(実施例2)
ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体として2−メチル
−2イソシアネートプロピルメタクリレート30重量部を用いた以外は、実施例1と同様
にして反応性溶液を調製し、この反応性溶液を用いて平均粒径60nmの液滴が分散した
分散液を実施例1と同様にして調製した。
調製した反応性溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして中空樹脂微粒子を得た。
得られた中空状樹脂微粒子を用い、架橋剤としてポリエチレングリコールを用いた以外は
、実施例1と同様にして反射防止フィルムコーティング剤を調製し、反射防止フィルムを
形成した。
(実施例3)
ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体として3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン30重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして
反応性溶液を調製し、この反応性溶液を用いて平均粒径50nmの液滴が分散した分散液
を実施例1と同様にして調製した。
調製した反応性溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして中空樹脂微粒子を得た。
得られた中空状樹脂微粒子を用い、架橋剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様
にして反射防止フィルムコーティング剤を調製し、反射防止フィルムを形成した。
(実施例4)
ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体としてt−ブチル
メタクリレート30重量部、有機溶媒としてヘプタン67重量部、及び、ラジカル重合開
始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1重量部、有機過酸化物としてジクミルパーオキ
サイド2重量部を混合・攪拌して反応性溶液を調製した。
調製した反応性溶液の全量を、水溶性乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム2重量部と分散助剤としてセチルアルコール2重量部とを含有するイオン交換水400
重量部に添加し、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化して、平均粒径62nmの
液滴が分散した分散液を調製した。
攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内
を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して内部を窒素雰囲気とした後、得られ
た分散液を投入し、重合槽を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合し、その後
重合槽を180℃まで昇温して2時間の熟成期間をおき有機過酸化物による架橋を行った
後、重合槽を室温まで冷却した。
得られたスラリーを分画分子量1万のセルロース膜を用いて透析し、過剰な界面活性剤や
無機塩類を除去し、更に濾過にて凝集粒子及び不溶分を除去した。得られた樹脂微粒子を
、真空乾燥して中空樹脂微粒子を得た。
得られた中空状樹脂微粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムコー
ティング剤を調製し、反射防止フィルムを形成した。
(比較例1)
低屈折率粒子として、平均粒径60nm、屈折率1.36の多孔性シリカ粒子の表面を有
機珪素化合物で被覆したものを用いた。
バインダーとしてポリメチルメタクリレート100重量部に対して、低屈折率粒子100
重量部と希釈溶媒として酢酸メチル800重量部とを混合して反射防止フィルム用コーテ
ィング剤を調製した。
得られた反射防止フィルム用コーティング剤を、スピンコーターを用いてTACフィルム
上に塗布し、90℃、120分間乾燥して、厚さ100nmの反射防止フィルムを形成し
た。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1で得られた中空樹脂微粒子(低屈折率粒子)、及び、反射防止
フィルムについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)中空樹脂微粒子(低屈折率粒子)の平均粒子径及び粒子径のCV値の測定
レーザードップラー式粒度分布計(日機装社製、「MICROTRAC UPA150」
)を用いて体積平均粒子径及び粒子径のCV値を測定した。
(2)中空樹脂微粒子(低屈折率粒子)の屈折率及び空隙率の測定
液浸法により、中空樹脂微粒子(低屈折率粒子)の屈折率を測定した。
次いで、屈折率の実測値と、モノマー組成から計算した屈折率の理論値とを用いて、中空
樹脂微粒子(低屈折率粒子)の空隙率を算出した。
(3)反射防止フィルムの反射率の測定
分光光度計を用いて、光波長200〜800nmの反射率の平均反射率(視感反射率)を
測定した。
(4)反射防止フィルムの耐アルカリ性の評価
反射防止フィルムを、市販のアルカリ洗剤を含浸させたセルロース製不繊布で100g/
cmの加重をかけ100往復させた後のフィルム外観を目視にて観察し、下記の基準で
判定した。
○:良好
△:おおむね良好
×:不良
Figure 0004217200
本発明によれば、外殻の一部にへこみが生じたり扁平形状となったりすることがなく真球
状で、充分に低い屈折率が得られる程の高い空隙率を有する中空樹脂微粒子を製造するこ
とができる中空樹脂微粒子の製造方法、該中空樹脂微粒子の製造方法により製造されてな
る中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルムを提供でき
る。

Claims (5)

  1. ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体、及び、有機溶媒を含有する反応性溶液を調製する工程1、
    前記反応性溶液からなる油滴を極性溶媒に懸濁する工程2、
    前記反応性単量体中のラジカル重合可能な官能基を重合させて前記有機溶媒と相分離させ、前記有機溶媒を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を作製する工程3、
    前記マイクロカプセル型ポリマー粒子中の架橋可能な官能基を反応させる工程4、及び、前記マイクロカプセル型ポリマー粒子から前記有機溶媒を除去する工程5を有する中空樹脂微粒子の製造方法であって、
    前記反応性溶液における前記ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体の配合量が5重量%以上である
    ことを特徴とする中空樹脂微粒子の製造方法。
  2. 反応性溶液を調製する工程1において、更にラジカル重合可能な官能基を2つ以上有する多官能不飽和重合性単量体を混合することを特徴とする請求項1記載の中空樹脂微粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の中空樹脂微粒子の製造方法により製造されてなることを特徴とする中空樹脂微粒子。
  4. 請求項3記載の中空樹脂微粒子を含有することを特徴とする反射防止フィルム用コーティング剤。
  5. 請求項3記載の中空樹脂微粒子、又は、請求項4記載の反射防止フィルム用コーティング剤を用いてなることを特徴とする反射防止フィルム。
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