JP5727962B2 - 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents

非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5727962B2
JP5727962B2 JP2012093174A JP2012093174A JP5727962B2 JP 5727962 B2 JP5727962 B2 JP 5727962B2 JP 2012093174 A JP2012093174 A JP 2012093174A JP 2012093174 A JP2012093174 A JP 2012093174A JP 5727962 B2 JP5727962 B2 JP 5727962B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
polymer fine
organic solvent
hollow
hollow polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012093174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013221070A (ja
Inventor
晃二 村田
晃二 村田
直城 小宮
直城 小宮
崇雄 木原
崇雄 木原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanko Co Ltd
Original Assignee
Sanko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanko Co Ltd filed Critical Sanko Co Ltd
Priority to JP2012093174A priority Critical patent/JP5727962B2/ja
Priority to KR1020130040962A priority patent/KR101774079B1/ko
Priority to CN201310129892.0A priority patent/CN103372409B/zh
Publication of JP2013221070A publication Critical patent/JP2013221070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5727962B2 publication Critical patent/JP5727962B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
    • C08F2/18Suspension polymerisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/12Powdering or granulating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/28Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof by elimination of a liquid phase from a macromolecular composition or article, e.g. drying of coagulum

Description

本発明は、非膨張型で高中空率の中空ポリマー微粒子を製造可能な中空ポリマー微粒子の製造方法と、該製造方法により得られた非膨張型で高中空率の中空ポリマー微粒子に関する。本発明の中空ポリマー微粒子は、例えば軽量化材、光散乱性向上材、更には感熱記録体の記録感度を高めるため支持体と感熱発色層との間に形成する中間層に含有させる断熱材等として使用される。本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法は、非膨張型で高中空率の微粒子の生成を増加させると共に、水分散性が良く塗料調製が容易で、ハンドリング時も飛散しない、環境に優しいことを特徴としている。
従来、中空ポリマー微粒子の製造方法としては特許文献1及び特許文献2が知られている。これら文献に記載の中空ポリマー微粒子は膨張型中空微粒子が対象である。つまり熱可塑性重合体の外殻を有し内部に揮発性発泡剤を内包した微小球体を懸濁重合法によって形成した後、該微小球体を加熱することで内包する発泡剤を揮発させ微小球体の内部圧を高め外殻を膨張(拡張)させるものである。
特許文献1及び特許文献2に記載の方法で製造される膨張型中空ポリマー微粒子は、膨張後の粒子径がまちまちで不揃いとなる欠点がある。粒子径が不揃いの場合、中空ポリマー微粒子を使用した塗料組成物の安定性が要求される分野、或いは制御された粒子径が求められる分野(例えば、記録感度の安定性が求められる感熱記録体)には使用適性に欠ける難点がある。
粒子径が揃った中空ポリマー微粒子を製造する方法としては特許文献3が知られている。この文献に記載の中空微粒子は、所謂シード重合法と称されている。シード重合法の基本的技術は、最初に水中に重合性モノマー(例:スチレン)を乳化剤の存在下で乳化して微粒子を形成し重合させシード(核)を形成することから始まる。次いで、このシードに他の重合性モノマー(例:アクリル酸エステル)を吸着させ、然る後に当該シードの周りに他の重合性モノマーによる外殻層を形成する。次いで、系中に該外殻層を通過し内部のシードを膨潤・溶解させる物質(例:アンモニア水溶液)を加えることで、シードを溶解させ、その溶解物と外部の水と置換させ、更に加熱乾燥して内部の水を除去し中空化する方法である。
このシード重合法による中空ポリマー微粒子は一般的には、乳化剤の存在下で乳化し微粒子を形成する為に粒子径が1μm乃至それ以下と小さく、中空率がせいぜい50%程度のものしか得られない。この中空微粒子を例えば感熱記録体用の断熱材として使用する場合、断熱効果は充分なものとはならない難点がある。このためシード重合法は如何にして粒子径を数μmにして且つ中空率を高めるかが課題である。
特許文献4には、平均粒子径が0.1〜20μm(好ましくは2〜10μm)、中空率が60(好ましくは90)%以上の非発泡型ポリマー中空微粒子を、支持体と感熱発色層との間に形成する中空層に含有させた感熱記録体が記載されている。しかしこの文献には、このような条件を満たす非発泡型中空ポリマー微粒子を如何にして製造するかについての技術的開示はない。
特許文献5には、中空ポリマー微粒子の製造方法について、揮発性炭化水素、親水性モノマー及び架橋性モノマーとが共存する懸濁液を調製し、この懸濁液において前記モノマー成分を重合させ、該揮発性炭化水素を内包するポリマー微粒子の分散液を得た後、この分散液よりポリマー微粒子を分離して乾燥処理するか、或いは分離せずに分散体に空気、窒素ガス、スチーム等を吹き込むこと、或いはこれらを併用することによりポリマー微粒子内部の揮発性炭化水素を蒸散分離し中空粒子を製造する方法が開示されている。
しかし、特許文献5に記載の方法で製造される中空ポリマー微粒子は、ポリマー壁(外殻)の一部もしくは数カ所が大きく陥没し、ひしゃげた凹状微粒子となる欠点がある。これは包含される揮発性炭化水素の気化蒸散分離に伴い、粒子内部が減圧となること、つまり、球状粒子を構成する重合膜(外殻)が内部減圧に抗し切れずに引き込まれて生じる現象で、当該重合膜の硬さ、強度が不足していることが原因と考えられる。ひしゃげた凹形状のポリマー微粒子は、中空率が減少し、感熱記録体の中間層に断熱剤として使用しても期待する断熱効果が充分に発揮されない。
特公昭42−26524号公報 特公平5−86746号公報 特開昭56−32513号公報 特開平5−169818号公報 特開昭61−87734号公報
前記のように既に公知の、膨張型タイプの中空ポリマー微粒子は、粒子径がバラツキ、均一なものにすることが難しい。シード重合法による中空ポリマー微粒子は、粒子径が数μmで且つ高中空率のものを期待する場合には適合しない。非膨張型中空ポリマー微粒子は微粒子の一部若しくは数カ所が陥没してひしゃげた凹状微粒子となり中空率の低いものとなる等の問題がある。なお、ここで記載する中空率とは、中空粒子における中空部分の体積と中空粒子の体積の比であり、下記式(1)で表される。
中空率(%)=[(中空部分の半径)/(中空粒子の半径)]×100 ・・・(1)
本発明は、有機溶剤を内包する非膨張型ポリマー微粒子から有機溶剤を気化・除去して微粒子を中空化する際、中空率の低いひしゃげた凹状微粒子の生成を減らし、高中空率の微粒子が増加する中空ポリマー微粒子の製造方法を提供することを主たる課題とする。更に本発明は、かかる課題に加えて、水性塗料組成物を構成する場合は、水への馴染み性及び分散性が良くて塗料調製が容易で、ハンドリング時にも飛散しない、環境に優しい非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記課題の解決手段につき鋭意検討を重ねた結果、従来法(熱可塑性樹脂を外殻とするポリマー微粒子分散体からポリマー微粒子を濾過分離し、例えばコニカルドライヤーのような乾燥装置で加熱乾燥して粉末化する際に、有機溶剤を気化蒸散除去し中空化する方法)は採らず、非膨張型ポリマー微粒子に内包する有機溶剤の気化・除去・中空化を該ポリマー微粒子が分散する水分散液中で行う(液中脱溶剤)という新たな方法を着想・検討し本発明を完成した。
本発明は、非膨張型ポリマー微粒子の製造において、かかる新たな方法の導入により高中空率の中空ポリマー微粒子を増やすところに特徴があり、従来法の有機溶剤を内包するポリマー微粒子を水分散液から一旦取り出し、これを乾燥し粉末化と同時に中空化する従来法とは構成・効果において根本的に相違するものである。
本発明は、水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻を形成する材料としての重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させ、重合開剤の存在下で前記重合性モノマー及び架橋剤を懸濁重合させ、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成し、当該ポリマー微粒子内包する有機溶剤を気化させ該微粒子の外殻を通して除去し、非膨張型中空ポリマー微粒子を製造する方法において、前記ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去して微粒子を中空化する工程を、ポリマー微粒子が水媒体中に体積濃度が20〜65%の範囲内で分散している水分散液の状態で、当該水分散液の液温を水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度に設定した条件下で行うことを特徴とする非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法を提供する。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法において、前記重合性モノマー及び架橋剤を懸濁重合させる際に、水媒体中に散剤、分散助剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を加えることが好ましい。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法において、前記ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去して微粒子を中空化して得られた中空ポリマー微粒子の水分散液を、固形分濃度が12〜70質量%の範囲内となるよう水を分離することが好ましい。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法において、水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻を形成する材料としての重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させる際に、前記重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物の体積濃度を20〜65%の範囲内として乳化分散させることが好ましい。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法において、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成した後に、該ポリマー微粒子の水分散液の体積濃度が20〜65%の範囲内となるように希釈液を加えて希釈することが好ましい。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法において、前記希釈液として常温水を用い、該常温水を加えて前記水分散液を希釈した後に、液温を水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度に昇温してポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去させることが好ましい。
また、前記希釈液として水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度の温水を用い、前記水分散液を前記共沸点よりも高い温度に昇温してポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去させる構成としてもよい。
本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法は、水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻形成用重合性モノマーと、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させ、重合開示剤の存在下で前記重合性モノマーを懸濁重合させ、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成し、当該ポリマー微粒子に内包する有機溶剤を気化させ該微粒子の外殻を通して除去し、中空ポリマー微粒子を製造する方法において、前記ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去して微粒子を中空化する工程を、ポリマー微粒子が水媒体中に分散している状態で行うことによって、ひしゃげた凹状微粒子の生成を減らし、非発泡性で高中空率の中空ポリマー微粒子の生成を増加させる効果がある。
また、本発明の中空ポリマー微粒子の製造方法によれば、ひしゃげた凹状微粒子の生成を減少させ、高中空率の湿潤中空ポリマー微粒子の生成を増加させ得ることに加えて、得られる湿潤中空ポリマー微粒子は、水への馴染み性及び分散性に優れるため塗料調製が容易であり、ハンドリング時には飛散しないため、取扱い作業員の健康を害する吸引の恐れがなく、環境に優しい効果がある。
本発明によって得られる中空ポリマー微粒子は、高中空率のポリマー微粒子が多く含まれるため、これを例えば感熱記録体の中間層に断熱材として含有させると、記録時にサーマルヘッドから付与されるジュール熱を受け止め断熱効果が向上し、記録感度を飛躍的に向上させ得る効果がある。
有機溶剤を内包するポリマー微粒子の水分散液から、当該ポリマー微粒子を分離し、これを乾燥すると同時に中空化させる従来法に基づき、比較例1で製造したポリマー微粒子群の電子顕微鏡拡大画像である。 本発明(希釈液に常温水使用)に基づく、実施例1で製造した中空ポリマー微粒子群の電子顕微鏡拡大画像である。 本発明(希釈液に水媒体と当該有機溶剤の共沸点よりも高い温度に昇温し得る温水使用)に基づく、実施例2で製造した非膨張型中空ポリマー微粒子群の電子顕微鏡拡大画像である。
本発明において用いられる、ポリマー微粒子の外殻形成用重合性モノマーとしては、ビニルピリジン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、イタコン酸、フマル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、スチレンから選ばれ、中でも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリロニトリルは、内包させる有機溶剤よりも水への溶解性が高く内包溶剤の外周に重合膜の形成に優れることからより好適である。
これらの重合性モノマーは、単独で使用してもよいし、例えば(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸とアクリロニトリルを組合わせて使用してもよい。
前記重合性モノマーの単独又は組合わせ使用によって有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成するには、他に架橋剤、重合開始剤、分散剤、分散助剤の併用が好ましい。
本発明において用いられる、有機溶剤としては、ジエチルエーテル、ネオヘキサン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、イソオクタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンの何れかから選択することを特徴とし、重合性モノマーの重合中及び重合が終了した後は微粒子に内包された状態では気化せず、当該微粒子の分散液を60〜130℃に加温することによって気化し微粒子の重合膜(外殻)からスムーズに除去できるヘキサン、ヘプタン、オクタン等が好ましく使用し得る。
有機溶剤の使用量は、重合性モノマー100質量部に対し400質量部〜2000質量部、好ましくは800質量部〜1700質量部、更に好ましくは1200質量部〜1400質量部を使用する。因みに、400質量部未満では、形成される微粒子に於ける外殻の厚味が相対的に増大して中空率が低下し、高中空率のポリマー微粒子を形成することができない。一方、2000質量部以上を使用しても、超えた量に対応する技術的効果は期待し難く、経済的にも得策ではない。
前記ポリマー微粒子の外殻形成用重合性モノマーと、前記有機溶媒との混合物は、水媒体中で乳化分散させる。
前記水媒体中には、前記重合性モノマーと有機溶媒の他に、各種の添加剤を加えることができる。該添加剤としては、架橋剤、分散剤、分散助剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を加えることが好ましい。また、前記重合性モノマーの懸濁重合に際しては、前記重合性モノマーの重合開始剤が添加される。
前記架橋剤は、重合膜の硬さ、強度にも影響することから重合性モノマーとの関連において選択することになる。具体的にはジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート及びアリル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、重合性モノマーに(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル又はこれらの組合わせを選択する場合、架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンが好適である。
架橋剤の使用量は、使用する重合性モノマーとの関連で検討されるが、重合性モノマー100質量部に対し10質量部〜200質量部、好ましく40質量部〜150質量部、更に好ましくは60質量部〜100質量部で使用する。因みに、10質量部未満では硬く強度に優れた非膨張型中空性ポリマー微粒子を形成することが難しく、また200質量部以上を使用しても超えた量に対応する技術的効果は期待し難く、経済的にも得策ではない。
分散剤は、有機溶剤を内包する微粒子の分散体を形成した後、微粒子の安定した分散性を維持する為に必要である。このような機能を有する物質であれば分散剤として使用可能であるが、本発明者等はリン系分散剤、水溶性高分子系分散剤、コロイド状シリカ等について効果を調べた結果、中でもコロイド状シリカが、それ自体プラス電荷を有し、微粒子の重合膜外周に付着して各微粒子を互いに反発させて凝集を阻止する優れた分散効果を発揮することを確認した。
本発明において、コロイド状シリカが優れた分散効果を発揮する理由は、酸性条件で重合性モノマーを重合反応させることで、コロイド状シリカはそれ自体プラスの電荷を帯びる。プラス電荷を帯びたシリカは微粒子の重合膜に組み込まれて各微粒子がプラス電荷を持つ粒子となる。プラスに帯電した各微粒子は互い反発し合い凝集を防いでいることが考えられる。
分散剤の使用量は、分散剤がコロイド状シリカの場合、重合性モノマー100質量部に対し30質量部〜100質量部、好ましくは40質量部〜80質量部、更に好ましくは50質量部〜70質量部を使用する。因みに、30質量部未満では、分散効果が得られない。また、100質量部以上を使用しても、超えた量に対応する技術的効果は期待し難く、経済的にも得策ではない。
分散助剤は、分散剤と併用することによって、より安定した分散液の形成・維持に相乗効果を発揮するもので、例えばアジピン酸とジエタノールアミンの縮合物、アジピン酸と2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールの縮合物、アジピン酸とモノエタノールアミンの縮合物等が好適である。
分散助剤の使用量は、分散助剤がアジピン酸とジエタノールアミンの縮合物の場合は、重合性モノマー100質量部に対し1質量部〜10質量部、好ましくは2質量部〜7質量部、更に好ましくは3質量部〜5質量部を使用する。因みに、1質量部未満では、分散助剤の効果が得られない。また10質量部以上を使用しても、超えた量に対応する技術的効果は期待し難く、経済的にも得策ではない。
重合開始剤は、油溶性であり、かつ、ラジカルを発生させるものであれば使用可能であり、内包させる有機溶剤が気化しない温度範囲下で、重合性モノマーが最適な時間で重合反応を完了させるものが良く、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等が使用可能である。有機溶剤にn−ヘプタンを用いた場合は、60℃における半減期が10時間である2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが良い。
本発明により中空ポリマー微粒子を得るには、前記各材料を含む混合物を乳化分散、懸濁重合させて有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成するが、各材料の配合割合は、どのような特徴の中空ポリマー微粒子を得るかとの関連において決まるもので特定されない。
前記の乳化分散方法は、まずホモミキサーの様な乳化用攪拌機を使用する。懸濁重合は、乳化分散液を所定の温度に昇温させた状態で別の攪拌機によって攪拌を続行する間に進行する。
懸濁重合が進行し形成されたポリマー微粒子は、次いで微粒子に内包する有機溶剤を気化・除去・中空化させるが、本発明の特徴は、有機溶剤の気化・除去・中空化を、該ポリマー微粒子が分散している水分散液中で、且つ当該分散液の液温が水媒体と当該有機溶剤の共沸点よりも高い温度に設定されている条件下で行う(液中脱溶剤)処にある。
その際の該ポリマー微粒子が分散する水分散液の体積濃度は20〜65%、好ましくは30〜50%、更に好ましくは40〜45%の範囲内である。因みに、体積濃度が20%以下の場合は、低濃度に伴う製造効率の極端な低下、一方65%以上の場合は、分散液の粘度が高くなり、気化した有機溶剤が分散液中に除去され、系外への留出する際に泡立ちを起こし易くするため除去効率が悪くなり製造効率が極端に低下するからである。
体積濃度が20〜65%のポリマー微粒子水分散液とするには、水媒体、ポリマー微粒子形成用重合性モノマー、架橋剤、有機溶剤、分散剤及び分散助剤からなる混合物の体積濃度が20〜65%となる配合条件下で乳化分散する方法と、ポリマー微粒子を形成した後に、当該ポリマー微粒子が分散する水分散液の体積濃度が20〜65%になるように希釈液を加えて調節する方法とがある。何れの方法を採用することも可能であるが、混合物の乳化分散効率を考慮に入れると後者の方法が有利となる。
前記の通りポリマー微粒子を形成した後に、希釈液を加える方法の場合、その希釈液は、常温水と、温水が対象となるが、中空率の低い凹状微粒子の生成を減少させ、中空率の高い微粒子の生成を増加させには温水の使用がより効果的である。
因みに、有機溶剤を内包する微粒子を懸濁重合させる場合の温度は、内包させる有機溶剤を基準に設定される。例えば当該有機溶剤にn−ヘプタンを使用する場合は79℃以下に設定することになる。
ここに希釈液として常温水を使用すると、架橋が完了の域に達しない状態の外殻膜は硬さ及び強度が充分でないため急冷で収縮する。そして内包する有機溶剤を気化・除去・中空化させることによって微粒子の内部圧は更に低下する。これらの要因が重なることにより外殻は内部に引き込まれ微粒子はひしゃげた凹状微粒子が出来易い状態となる。
しかし、中空率の高い微粒子の生成を増やすという本発明の課題に関しては、ポリマー微粒子に内包される有機溶剤の気化・除去・中空化を、ポリマー微粒子が分散している水分散液中で行うことにより、その効果は、従来法に基づき製造した中空ポリマー微粒子(図1)に比べ、改良されることは(図2)から明らかである。
一方、希釈液として当該懸濁重合液の液温が水媒体と当該有機溶剤の共沸点よりも高い温度に設定し得る温水を使用する場合は、微粒子を形成する重合膜(外殻)の架橋は連続的に進行し、その硬度、強度がより向上し、微粒子の内部圧が低下して外殻が内部に引き込まれようとする力に耐え得るものとなり、ひしゃげた凹状微粒子は減り、高中空率の微粒子がより増えるのである。これは、(図3)を、従来法に基づき製造した中空ポリマー微粒子(図1)及び常温水を使用して製造した中空ポリマー微粒子(図2)と比べても明らかである。
この様に、従来法に基づき製造したポリマー微粒子群は、ほぼ全てがひしゃげた凹状微粒子化しており、中空率の高い球状微粒子は殆ど見られない。一方、本発明に基づき製造した中空ポリマー微粒子群(図2)、(図3)は、中空率の高い微粒子が多く生成されていることが(図1)と比較して見ると明らかである。
因みに、前記の効果が得られる理由について本発明者等は以下の様に考える。本発明による中空ポリマー微粒子は、ポリマー微粒子に内包される有機溶剤の気化・除去・中空化を、当該微粒子が分散する水分散液中で体積濃度が20〜65%、当該分散液の液温が水媒体と当該有機溶剤の共沸点よりも高い温度に設定された条件下で行うことと密接に関係している。
有機溶剤の気化・除去・中空化を、前記条件で行う場合、微粒子に内包される有機溶剤は気化して微粒子の外殻を通じて外部に抜け出るが、その出方は、外部を覆う水分散液の水圧で抑制され緩慢である。そのため微粒子は気化した有機溶剤の滞留により内圧が上昇し、その圧力は微粒子の内壁にかかる。この時は、気化した有機溶剤が抜け出ることに伴う内部の減圧よりも、気化した有機溶剤の滞留による内部の圧力上昇が勝ることとなる。
そして経時的に気化した有機溶剤が抜け出ることによって内圧は次第に減少する。しかし、その間、微粒子の外殻は架橋も進み、内部の減圧に耐え球状を維持し得る硬度・強度の微粒子が増えるものと考える。
一方、従来法は、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を水分散液から一旦取り出し、これを加熱乾燥し同時に中空化する。この時、気化した有機溶剤が微粒子の外殻を通じて外部に抜け出る際に抑制される要因がない。そのため微粒子内の有機溶剤は気化しながら順次抜け出て内圧は低下し、外殻は内部に引き込められ、その結果、微粒子の殆どがひしゃげた凹状微粒子となってしまうものと考える。
次いで、ポリマー微粒子に内包する有機溶剤を気化・除去・中空化させる際の分散液の液温は、水媒体と当該有機溶剤の共沸点よりも高い温度に設定されることが重要である。具体的には使用する有機溶剤の種類によって決まることになる。
有機溶剤に例えば、オクタンを使用した場合は89.6℃以上、ヘプタンを使用した場合は79.2℃以上、シクロヘキサンを使用した場合は69.5℃以上、ヘキサンを使用した場合は61.6℃以上に分散体の液温を設定することになる。
有機溶剤を内包するポリマー微粒子分散液の液温を前記のように設定することにより、ポリマー微粒子に内包されている有機溶剤は気化し、ポリマー微粒子の外殻から外部に抜け出てポリマー微粒子は中空化する。
得られた高中空率の球状粒子が増加した中空ポリマー微粒子分散液は、用途に適合する形態に整えることが出来る。例えば、水分を分離した後に乾燥して粉末中空ポリマー微粒子とすることも出来るし、或いは湿潤中空ポリマー微粒子とすることも可能である。例えば、湿潤中空ポリマー微粒子の形態にすれば、取扱い時に外部へ飛散しない環境に優しく、水への馴染み性及び分散性に優れることから、塗料調製が容易となる。因みに、湿潤中空ポリマー微粒子とするには、固形分濃度が12〜70%、好ましくは20〜50%、更に好ましくは30〜40%になるように水を分離除去すればよい。因みに12%以下だと水分散状態であり湿潤状態とはならない。一方、70%以上にすると中空ポリマー微粒子は飛散し易くなり、取扱い作業員の健康を害する吸引の恐れがあって取り扱い難くなる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
脱イオン水201.2gを入れた1000mlの4口フラスコに、分散助剤としてアジピン酸とジエタノールアミンの縮合物0.6gを溶解し、分散剤としてコロイダルシリカ8.5gを加えた。この水溶液を3%希硫酸水溶液4.5gを用いてpH3.0に調整して水相とした。
重合性モノマーとしてメタアクリル酸メチル11.2g、アクリロニトリル1.3g、架橋剤としてトリメタクリル酸トリメチロールプロパン12.5g、有機溶剤としてn−ヘプタン150.0gを混合し油相とした。
水相と油相を混合し、T.KオートホモミキサーM型(特殊機化工業(株)製)で回転数12000rpmにて6分間攪拌し、粒子径を1〜10μmに調整した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加え、窒素置換し、反応温度78℃、回転数180rpmで攪拌しながら4時間かけて重合させた。
重合を終えた水系重合分散体に常温水385.0gを加え、攪拌しながら分散体を常圧条件下で79〜100℃まで加温し8時間かけてポリマー微粒子に内包させたn−ヘプタンの気化・除去を行いポリマー微粒子の中空化を行った(液中脱溶剤)。この時、常温水を加えることで分散体は重合反応を行った際の温度78℃から40℃まで一度冷却された。
ポリマー微粒子から除去したn−ヘプタンの量は141gで、仕込み量とほぼ同等量のn−ヘプタンがポリマー微粒子内で気化し外殻から除去されたことが確認された。
n−ヘプタンを気化・除去した後、当該水性系重合分散体を吸引濾過し、固形分18.7%の湿潤状態のポリマー微粒子155.3gを得た。得られたポリマー微粒子の粒子径は4.0μmであった。(粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定器「SALD−2000(島津製作所(株)製)」により測定し、体積粒度分布の累積50%となる粒子径をいう。)
得られた非膨張型である中空ポリマー微粒子を電子顕微鏡で撮影した拡大画像を図2に示す。この画像から、得られたポリマー微粒子は、従来法に基づき製造した中空ポリマー微粒子(図1)に比べても、ひしゃげた凹状微粒子は減り、高中空率の微粒子が増えていることが確認された。
得られた非膨張型中空ポリマー微粒子は、湿潤状態であるため、水への馴染み性及び分散性が良く塗料調製が容易で、ハンドリング時にも飛散しない、環境に優しい微粒子であった。
実施例1で得られた微粒子の目視形状は表1に、この微粒子を断熱材として使用したときの感熱記録体の記録感度を表2に記載した。
[実施例2]
n−ヘプタンを内包し重合を終えた微粒子分散体の希釈液として、n−ヘプタンと水の共沸点である79℃以上の温水(85℃)385.0gを加えた以外は、実施例1と同様にして湿潤状態の高中空率のポリマー微粒子を製造した。
重合反応から有機溶剤の気化・除去まで分散体の温度を一度も冷却させない状態を維持し、実施例1と同様にして微粒子に内包させたn−ヘプタンの気化・除去を行い中空化した湿潤状態の微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を電子顕微鏡で撮影した拡大画像を図3に示す。この図3から、得られたポリマー微粒子は、従来法に基づき製造した中空ポリマー微粒子(図1)に比べても、また希釈液に常温水を使用して製造した実施例1による中空ポリマー微粒子(図2)に比べても、ひしゃげた凹状微粒子は減り、高中空率の中空ポリマー微粒子が更に増えていることが確認された。
また、得られた粒子をエポキシ樹脂で包埋して、電子顕微鏡で断面図を観察すると粒子の形状は従来法で得られるひしゃげた凹状微粒子と比べて球状微粒子が多く生成されており、平均粒子径が4.0μmで外殻膜の厚さが0.05μm程度であり、中空率が90%を超える高い中空率を有していた。得られた中空ポリマー微粒子の嵩比重は0.1g/mlであった。
この効果は、温水を使用することにより、分散体の温度を重合反応から有機溶剤の気化・除去・中空化までに一度も冷却させない状態を維持することができるため、収縮を与えずに微粒子を形成する重合膜の架橋は連続的に進行して該ポリマー微粒子の硬度、強度が向上することに起因するものと考える。
実施例2で得られた微粒子の目視形状は表1に、この微粒子を断熱材として使用した感熱記録体の記録感度を表2に記載した。
[実施例3]
水相を調製する際に使用する脱イオン水を586.2gとし、乳化分散、懸濁重合させた後は希釈液を使用しない以外は実施例2と同様にして微粒子に内包させたn−ヘプタンの気化・除去を行い中空化した湿潤状態の微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子は、ひしゃげた凹状微粒子は減り、高中空率の中空ポリマー微粒子が更に増えていることが確認され、その程度は実施例2とほぼ同程度であった。
実施例3で得られた微粒子の目視形状は表1に、この微粒子を断熱材として使用した感熱記録体の記録感度を表2に記載した。
[比較例1]
実施例1と同じ水相と油相を混合し、T.KオートホモミキサーM型(特殊機化工業(株)製)で回転数12000rpmにて6分間攪拌し、粒子径を1〜10μmに調整した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加え、窒素置換し、反応温度78℃、回転数180rpmで攪拌しながら4時間かけて重合させた。
重合を終えたn−ヘプタンを含むポリマー微粒子水分散体から、当該ポリマー微粒子を吸引濾過にて固液分離を行い、n−ヘプタンを含むポリマー微粒子を得た。
このポリマー微粒子を常圧条件下、40℃で24時間かけて微粒子に内包されているn−ヘプタンを気化・除去して乾燥状態のポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を電子顕微鏡で撮影した拡大画像を図1に示す。この画像からも明らかなように、このポリマー微粒子群は、ほぼ全ての粒子がひしゃげた凹状微粒子であった。
比較例1で得られた微粒子の目視形状は表1に、この微粒子を断熱材として使用した感熱記録体の記録感度を2に記載した。
[比較例2]
水相を調製する際に使用する脱イオン水を72.6gとした以外は、実施例2と同様にして乳化分散、懸濁重合させ、体積濃度70%のn−ヘプタン包含ポリマー微粒子の分散体を得た。
この分散体を攪拌しながら常圧条件下で79〜100℃まで加温しポリマー微粒子に内包させたn−ヘプタンを気化・除去しようと試みたが、分散助剤の濃度が高くなり、界面活性剤としての能力が上がり、内包されたn−ヘプタンがポリマー微粒子の外殻から分散液中に除去され、系外に留出する際にフラスコ内が激しく泡立ち、n−ヘプタンの気化・除去が困難であった。
[比較例3]
実施例1と同様にして、n−ヘプタン包含ポリマー微粒子を得た。n−ヘプタンと水の共沸点である79℃以上の温水(85℃)385.0gを加え、この分散体を300mmHgの減圧条件下でポリマー微粒子に内包させたn−ヘプタンを気化・除去させようと試みたが、フラスコ内の温度が79℃以上に上がらず、分散体中の水が気化・除去されるのみでn−ヘプタンの気化・除去は困難であった。
この理由は、分散体を300mmHgの減圧条件下においたことにより、水の蒸気圧が下がり、フラスコ内の温度が79℃よりも下廻ったためである。本組成で形成された微粒子において、n−ヘプタンをポリマー微粒子の外殻から除去させるためにはn−ヘプタンを気化させる必要がある。このとき、n−ヘプタンはポリマー微粒子に内包されているため、減圧によって蒸気圧の低下を受けにくくなる。減圧条件でもn−ヘプタンの沸点近くまでフラスコ内を加温しなければ気化・除去することができないため、減圧条件で水の蒸気圧を下げ、フラスコ内の温度を内包させたn−ヘプタンの沸点よりも著しく下げたためn−ヘプタンの気化・除去が困難であったと考えられる。
[中空率と断熱効果]
実施例1〜3で得た湿潤微粒子、比較例1で得た乾燥微粒子及びシード重合法で得た中空微粒子をそれぞれ感熱記録体の中間層に断熱材として混ぜ、感熱記録体の発色感度を調べた。
感熱記録体の構成は、下記の配合で下塗り層用塗料及び感熱記録層用の塗料を調製した。
(下塗り層用塗料の調製)
実施例1〜3で得た中空ポリマー微粒子、比較例1で得られた中空ポリマー微粒子及び
市販のシード重合法で合成された中空微粒子(ローム&ハース(株)製「商品名:ローペイク SN−1055:粒子径1μm、中空率約50%)のそれぞれについて、下記の配合組成で下塗り層用塗料を調製した。
(組成) (質量部)
中空微粒子 100
ゴーセランL−3266(日本合成(株)製) 5
ラテックスL−1571(旭化成(株)製) 7
王子エースC(王子コーンスターチ(株)製) 5
脱イオン水 800
(記録層用塗料の調製)
記録層用塗料として下記の配合組成で塗料を調製した。
(組成) (質量部)
炭酸カルシウム 50
ステアリン酸亜鉛 10
3−ブチルアミノ−6−メチル−N−アニリノフルオラン 10
4,4’−ジフェニルスルホン 20
王子エースC(王子コーンスターチ(株)製) 10
PVA−105 5
脱イオン水 395
(感熱記録体の作製)
坪量64g/mの上質の中性紙片面に、各下塗り層用塗料を乾燥重量で4g/m、更に当該下塗り層上に記録層用塗料を乾燥重量で3g/mとなるように塗布・乾燥して感熱記録体を得た。なお、各層を形成した後、スーパーカレンダー処理した。
(発色性試験)
得られた各感熱記録体について、以下のような発色性試験を行った。
大倉電気(株)製の商品名「TH−PMD(感熱ヘッド1653Ω)」を用い、24V、 0.6msec、0.8msec及び1.6msecで感熱記録体を発色させ、記録濃度をマクベス濃度計「RD−914」で測定した。その結果を表2に示す。
(評価)
表2からも、「ローペイク」のようなシード重合法によって作製された中空微粒子と比較して本発明によって得られる非発泡性の中空ポリマー微粒子は、断熱効果が高く、感熱記録体の発色感度の向上に効果的に寄与すること、また非発泡性の中空ポリマー微粒子においても、ひしゃげた凹状微粒子が減り、高中空率の中空ポリマー微粒子が増えるに伴い断熱効果が高くなり、感熱記録体の発色感度の向上により効果的に寄与することがデーターから明らかである。
本発明の非膨張型で高中空率の粒子が増加する中空ポリマー微粒子の製造方法は、中空率の低いひしゃげた凹状微粒子の生成を極力減らし、中空率の高い中空ポリマー微粒子の生成を増やす非膨張型中空ポリマー微粒子を製造する方法として有用であり、本発明によって得られる非膨張型中空ポリマー微粒子は、軽量化材、光散乱性向上材、或いは液体成分含有保持剤、更には感熱記録体の記録感度を高めるため支持体と感熱発色層との間に形成する中間層に含有させる断熱材等として有用であり、更に本発明によって得られる湿潤非膨張型中空ポリマー微粒子は水への馴染み性及び水分散性が良くて塗料調製が容易で、ハンドリング時にも飛散することなく、環境にも優しく利用するのに有用である。

Claims (7)

  1. 水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻を形成する材料としての重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させ、重合開始剤の存在下で前記重合性モノマー及び架橋剤を懸濁重合させ、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成し、当該ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化させ該微粒子の外殻を通して除去し、非膨張型中空ポリマー微粒子を製造する方法において、
    前記ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去して微粒子を中空化する工程を、ポリマー微粒子が水媒体中に体積濃度が20〜65%の範囲内で分散している水分散液の状態で、当該水分散液の液温を水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度に設定した条件下で行うことを特徴とする非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  2. 前記重合性モノマー及び架橋剤を懸濁重合させる際に、水媒体中に分散剤、分散助剤からなる群から選択される1種又は2種以上の添加剤を加えることを特徴とする請求項1に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  3. 前記ポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去して微粒子を中空化して得られた中空ポリマー微粒子の水分散液を、固形分濃度が12〜70質量%の範囲内となるよう水を分離することを特徴とする請求項1又は2に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  4. 水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻を形成する材料としての重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させる際に、前記重合性モノマー及び架橋剤と、有機溶剤とを含む混合物の体積濃度を20〜65%の範囲内として乳化分散させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  5. 有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成した後に、該ポリマー微粒子の水分散液の体積濃度が20〜65%の範囲内となるように希釈液を加えて希釈することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  6. 前記希釈液として常温水を用い、該常温水を加えて前記水分散液を希釈した後に、液温を水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度に昇温してポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去させることを特徴とする請求項5に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
  7. 前記希釈液として水媒体と有機溶剤との共沸点よりも高い温度の温水を用い、前記水分散液を前記共沸点よりも高い温度に昇温してポリマー微粒子の内包する有機溶剤を気化、除去させることを特徴とする請求項5に記載の非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法。
JP2012093174A 2012-04-16 2012-04-16 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法 Active JP5727962B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012093174A JP5727962B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法
KR1020130040962A KR101774079B1 (ko) 2012-04-16 2013-04-15 중공 폴리머 미립자와 그 제조 방법
CN201310129892.0A CN103372409B (zh) 2012-04-16 2013-04-15 非膨胀型空心聚合物微粒及其制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012093174A JP5727962B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013221070A JP2013221070A (ja) 2013-10-28
JP5727962B2 true JP5727962B2 (ja) 2015-06-03

Family

ID=49458621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012093174A Active JP5727962B2 (ja) 2012-04-16 2012-04-16 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5727962B2 (ja)
KR (1) KR101774079B1 (ja)
CN (1) CN103372409B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4234650A2 (en) 2018-03-30 2023-08-30 Zeon Corporation Hollow resin particles and sheet

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019026899A1 (ja) 2017-08-01 2019-02-07 日本ゼオン株式会社 ラテックスの製造方法及び中空樹脂粒子の製造方法
WO2019164786A1 (en) * 2018-02-22 2019-08-29 Arkema Inc. Water resistant voided polymer particles
JP6513273B1 (ja) * 2018-08-31 2019-05-15 三井化学株式会社 樹脂粒子
EP3858473A4 (en) * 2018-09-28 2022-03-30 Zeon Corporation HOLLOW PARTICLES, METHOD FOR PRODUCTION THEREOF, AND AQUEOUS DISPERSION CONTAINING HOLLOW PARTICLES
JPWO2020162300A1 (ja) * 2019-02-06 2021-12-16 日本ゼオン株式会社 中空樹脂粒子の製造方法
CN113993918B (zh) * 2019-06-27 2024-01-16 日本瑞翁株式会社 中空树脂颗粒的制造方法
CN111978441B (zh) * 2020-08-07 2021-09-10 华东师范大学 一种凹陷空心聚苯乙烯纳米颗粒及其制备方法和应用
US20230383021A1 (en) * 2020-10-30 2023-11-30 Zeon Corporation Method for producing hollow particles and hollow particles
CN116695262B (zh) * 2023-05-04 2024-04-12 湖北民族大学 一种串珠结构微纳米纤维及其制备方法与应用

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62201231A (ja) * 1986-02-28 1987-09-04 Matsumoto Yushi Seiyaku Kk 微小発泡体の製造方法
US5583162A (en) * 1994-06-06 1996-12-10 Biopore Corporation Polymeric microbeads and method of preparation
AU2002237576A1 (en) * 2001-03-14 2002-09-24 Sekisui Chemical Co., Ltd. Hollow polymer particles, method for preparing hollow polymer particles, porous ceramic filter, and method for preparing porous ceramic filter
JP2003181274A (ja) * 2001-12-18 2003-07-02 Sekisui Chem Co Ltd 中空ポリマー粒子の製造方法
JP4217200B2 (ja) * 2004-09-24 2009-01-28 積水化学工業株式会社 中空樹脂微粒子の製造方法、中空樹脂微粒子、反射防止フィルム用コーティング剤及び反射防止フィルム
JP2006326501A (ja) * 2005-05-26 2006-12-07 Casio Electronics Co Ltd 中空マイクロカプセル及びその製造方法
CN101541415B (zh) * 2006-11-14 2012-08-22 巴斯夫欧洲公司 生产亚微核/壳粒子的微悬浮乳液或悬浮液的方法
JP2008231241A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Sanyo Chem Ind Ltd 中空樹脂粒子
CN101920180A (zh) * 2009-06-09 2010-12-22 中国科学院理化技术研究所 毫米级空心聚合物微球的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4234650A2 (en) 2018-03-30 2023-08-30 Zeon Corporation Hollow resin particles and sheet
US11926763B2 (en) 2018-03-30 2024-03-12 Zeon Corporation Hollow resin particles and sheet

Also Published As

Publication number Publication date
KR101774079B1 (ko) 2017-09-01
KR20130116817A (ko) 2013-10-24
CN103372409A (zh) 2013-10-30
JP2013221070A (ja) 2013-10-28
CN103372409B (zh) 2015-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5727962B2 (ja) 非膨張型中空ポリマー微粒子の製造方法
JP7318531B2 (ja) ラテックスの製造方法及び中空樹脂粒子の製造方法
WO2020261926A1 (ja) 中空樹脂粒子の製造方法
BR112020004306B1 (pt) Microesferas termicamente expansíveis processo de fabricação das microesferas, processo de preparação de microesferas expandidas e microesferas expandidas
WO2020066623A1 (ja) 中空粒子及びその製造方法、並びに当該中空粒子を含む水分散液
WO2021172402A1 (ja) 中空樹脂粒子の製造方法
JP7310797B2 (ja) 中空樹脂粒子及びシート
Yao et al. Efficient preparation and formation mechanism of polymer/SiO 2 nanocomposite particles in miniemulsions
JP6419948B2 (ja) 熱発泡性マイクロスフェアー
JP4986124B2 (ja) ビニル系樹脂粒子の製造方法
Fu et al. Preparation of single-hole silica hollow microspheres by precipitation-phase separation method
US20220153881A1 (en) Method for producing hollow resin particles
JP7468120B2 (ja) 中空粒子の製造方法
JP6123156B2 (ja) 表面積の大きい真球状架橋ポリアクリロニトリル系微粒子
JP6813227B1 (ja) 樹脂分散液、樹脂粒子、及び樹脂分散液の製造方法
JP2004035785A (ja) 多層高分子微粒子及びその製造方法
KR20100103952A (ko) 경량성 부품 소재를 위한 열팽창성 마이크로스페어 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141118

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150324

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5727962

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250