JP2005091490A - 反射防止フィルム、樹脂微粒子及び反射防止用コーティング剤 - Google Patents

反射防止フィルム、樹脂微粒子及び反射防止用コーティング剤 Download PDF

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JP2005091490A
JP2005091490A JP2003321769A JP2003321769A JP2005091490A JP 2005091490 A JP2005091490 A JP 2005091490A JP 2003321769 A JP2003321769 A JP 2003321769A JP 2003321769 A JP2003321769 A JP 2003321769A JP 2005091490 A JP2005091490 A JP 2005091490A
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Hiroshi Maenaka
寛 前中
Michiya Nakagawa
道也 中川
Takahiro Omura
貴宏 大村
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄に強く、機械的強
度にも優れる反射防止フィルム、該反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子及び反射防止用
コーティング剤を提供する。
【解決手段】 体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒
子とバインダーとを含有し、表面が平滑である反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄に強く、機械的強
度にも優れる反射防止フィルム、該反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子及び反射防止用
コーティング剤に関する。
パソコン、ワープロ、携帯電話等に用いる液晶ディスプレイや、その他種々の商業ディス
プレイ等は、極めて広範な分野で利用されている。これらのディスプレイにはガラスやプ
ラスチック等の透明基板が用いられており、これらの透明基板を通して物体や文字、図形
等の視覚情報を認知している。
これらのディスプレイの実用上の問題点として、表示面の反射による視認性の悪化が挙げ
られる。即ち、室内外を問わずに外光等が入射するような環境下で使用した場合に、外光
等の入射光が透明基板の表面で反射することにより、内部の視覚情報が見えにくくなる。
このような透明基板の反射を防止する方法としては、例えば、透明基板の表面に凹凸のあ
るコーティング層を形成し、この表面に凹凸により外光を乱反射させる方法があった。
特許文献1には、ゾルゲル法により調製されたシリケート系コーティング剤中にシリカ分
散液を混合し、その混合液をガラス基板上に塗布して焼成した、表面にシリカ粒子又はシ
リカ粒子の凝集体による凹凸を有する反射防止膜が記載されている。また、特許文献2に
は、透明基材フィルム上に樹脂を主成分とする中間層を形成し、この中間層上に、屈折率
1.45以下の有機超微粒子を含有する塗布液を塗布することにより形成された、有機超
微粒子の表面が露出した凹凸の最表層を有する反射防止膜が記載されている。
しかしながら、表面に凹凸を形成して外光を乱反射させる方法は、見かけ上の眩しさは低
減されるものの、全体としての反射光の量は減っておらず、全体が白っぽくなるという問
題があった。また、表面の凹凸に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着しやすく、かつ
、一度付着した汚れは微細な凹凸があるために除去することが容易ではないという問題も
あった。
これに対して、透明基板の表面に低屈折率の反射防止層を形成する方法が提案されている

低屈折率の反射防止層を透明基板の表面に形成することにより、光の乱反射や汚れの問題
等もなく透明基板の反射を防止することができる。
このような低屈折率の反射防止層としては、シリコン系又はフッ素系の材料からなるもの
が用いられていたが、これらは一般に透明基材との密着性に劣ることから、例えば、シリ
カ微粒子等の低屈折率の微粒子を分散させたコーティング剤を用いて基材上にコーティン
グ層を形成した反射防止フィルム等が試みられている。
特許文献3には、一定の構造を有する有機珪素化合物重合体をバインダーとして中空シリ
カ微粒子を配合した低屈折率コーティング剤と、該低屈折率コーティング剤を用いた反射
防止フィルムが開示されている。
しかしながら、シリカ微粒子はアルカリ溶液への耐性に劣ることから、シリカ粒子を含む
コーティング層は、汚れを拭き取る際に市販のアルカリ洗剤等を使用した場合に性能が低
下してしまうことがあるという問題があった。また、有機珪素化合物重合体等をバインダ
ーとした場合、脆く機械的強度に欠けるコーティング層しか得られないが、シリカ粒子を
用いる限りは、樹脂への分散性の問題から、成膜性に優れ機械的強度に優れる透明樹脂を
バインダーとして用いることが難しいという問題もあった。
特開平09−101518号公報 特開平07−092305号公報 特開2002−317152号公報
本発明は、上記現状に鑑み、透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄
に強く、機械的強度にも優れる反射防止フィルム、該反射防止フィルムに用いる樹脂微粒
子及び反射防止用コーティング剤を提供することを目的とする。
本発明1は、体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子
とバインダーとを含有し、表面が平滑である反射防止フィルムである。
本発明2は、体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子
とバインダーとを含有し、表面が平滑である反射防止層と、基材層とを有する反射防止フ
ィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明1の反射防止フィルムは、樹脂微粒子とバインダーとを含有する。
反射防止フィルム中の低屈折率材として樹脂微粒子を用いることにより、従来のシリカ粒
子を用いた場合と比較して優れた耐アルカリ性を得ることができ、市販のアルカリ洗剤等
を用いた場合に性能が低下することを防ぐことができる。また、樹脂微粒子は、樹脂中へ
の分散性に優れることからバインダーの選択の幅が広がる。従って、成膜性に優れ、かつ
、塗膜の機械的強度の優れる透明樹脂等をバインダーとして用いた場合でも、粒子の凝集
等による、表示品質のムラ、表面の凹凸の発生等を防ぐことができる。
上記樹脂微粒子は、体積平均粒子径の上限が100nmである。このような体積平均粒子
径が100nm以下である樹脂微粒子を用いることにより、得られる本発明1の反射防止
フィルムは、粒子表面のレイリー散乱に起因する透明性の低下及び画像の白化が起こらな
い。また、厚さを200nm以下とした場合にも、表面に樹脂微粒子による凹凸が生じず
、表面が平滑なフィルムを得ることができる。好ましい上限は70nm、より好ましい上
限は50nmである。体積平均粒子径の下限は特にないが、好ましい下限は10nmであ
る。10nm未満であると、樹脂微粒子同士の凝集が発生することがある。
上記樹脂微粒子は、屈折率の上限が1.45である。1.45を超えると、外光等の入射
光が透明基板の表面で反射する効果が得られにくくなり、反射を防止するために必要な反
射防止フィルムの厚さが必要以上に厚くなってしまう。好ましい上限は1.40、より好
ましい上限は1.30である。
上記樹脂微粒子は、少なくとも、表層部を構成する樹脂のガラス転移温度が60℃以上で
あることが好ましい。60℃未満であると、バインダーとしてシリケート系又はチタネー
ト系等の無機系コーティング剤を用いた場合に、塗布後に乾燥、焼成する際に粒子同士の
融着、凝集が起こることがある。また、バインダーとしてポリメチルメタクリレート等の
透明樹脂コーティング剤を用いる場合に、樹脂微粒子よりガラス転移温度の低いバインダ
ーの選定が困難となる。より好ましくは120℃以上である。
従来はこのような粒子径が充分に小さく、かつ、低屈折率な樹脂微粒子はなかったが、本
発明者らは、鋭意検討の結果、下述の方法によれば得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。
反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子であって、体積平均粒子径が100nm以下、かつ
、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子もまた、本発明の1つである。
上記樹脂微粒子を製造する方法としては、例えば、低屈折率とするためには、屈折率の低
い樹脂が得られるモノマーを選択する方法、中空状の樹脂微粒子とする方法等が挙げられ
る。また、体積平均粒子径を100nm以下とするためには、乳化重合、滴下型の乳化重
合、ソープフリー重合、マイクロエマルジョン重合、ミニエマルジョン重合、マイクロサ
スペンジョン重合等の重合方法を用いて合成する方法が挙げられ、なかでも、滴下型の乳
化重合法やミニエマルジョン重合法を用いると、体積平均粒子径70nm以下の樹脂微粒
子を簡便に製造することができる。
上記屈折率の低い樹脂が得られるモノマーとしては、例えば、フッ素系モノマー等が挙げ
られる。
上記フッ素系モノマーとしては、例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル
−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;下記一般式(1)で表されるトリフ
ルオロエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のア
クリル又はメタクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類;完全又は部
分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
Figure 2005091490
式中、Rは水素原子、メチル基又はフッ素原子を表し、p、nは正の整数を表す。
また、その他の重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)
アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イ
ソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロ
ニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニ
ルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン
、プロピレン、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等が挙げられる。なかでも、アル
キル(メタ)アクリレートモノマー、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等は比較的
屈折率が低く好適である。
また、粒子表層部のガラス転移温度を60℃以上とし、耐凝集性を改善するためには、多
官能性モノマーを共重合してもよい。このような多官能性モノマーとしては、例えば、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アク
リレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、
ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌ
レート等のジアリル化合物又はトリアリル化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジ
ビニル化合物等が挙げられる。
上記樹脂微粒子としては、これらのモノマーを組み合わせて上述の方法により重合するこ
とにより得ることができる。
例えば、中空状ではない通常の樹脂微粒子とする場合には、上記フッ素系モノマーを含有
することにより得られる樹脂微粒子の屈折率を効果的に低くすることが可能となる。この
場合、樹脂粒子中のフッ素原子含有量の好ましい下限は35重量%である。35重量%未
満であると、得られる樹脂微粒子の屈折率を1.45以下とすることができないことがあ
る。より好ましい下限は45重量%である。
また、上記樹脂微粒子を中空状とする場合には、内部の空気相は屈折率が1.00である
ことから、高価なフッ素系モノマーを用いることなくても樹脂微粒子全体としての屈折率
を容易に1.45以下とすることができる。また、フッ素系モノマーを用いることにより
より低い屈折率の樹脂微粒子を得ることができる。この場合、中空状の樹脂微粒子の中空
度の好ましい下限は3体積%、好ましい上限は95体積%である。3体積%未満であると
、得られる樹脂微粒子の屈折率を1.45以下とすることができないことがあり、95体
積%を超えると、得られる樹脂微粒子の強度が極端に劣ることがある。より好ましい下限
は30体積%、より好ましい上限は70体積%である。
なお、本明細書において中空状には、多孔質状等の空隙を有する場合が含まれる。
更に、充分な低屈折率を維持したまま樹脂微粒子の表層部のガラス転移温度を60℃以上
にするためには、樹脂微粒子の構造をガラス転移温度が60℃以上であるシェル部と、ガ
ラス転移温度がシェル部より低いコア部よりなるコア/シェル粒子としてもよい。
また、コア部に充分に低屈折率の樹脂を用い、一方、シェル部に機械的強度等に優れる樹
脂を用いる等、コア部とシェル部とで機能分離したコア/シェル粒子は、充分な低屈折率
と機械強度とを両立させることができ好ましい。
このようなコア/シェル粒子を製造する方法としては、例えば、シード重合、シード分散
重合、ヘテロ凝集法、コアセルベーション法等が挙げられる。
上記バインダーとしては、透明であり、成膜可能な材料であれば特に限定はされず、樹脂
等の有機系材料、無機系材料のいずれも用いることができる。
上記有機系材料としては、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プ
ロピオニルセルロース、ブタノイルセルロース、アセチルプロピオニルセルロースアセテ
ート、ニトロセルロース等のセルロース誘導体;ポリアミド、ポリカーボネート、特公昭
48−40414号公報に記載されたポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、
ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン1,2−ジフェ
ノキシエタン−4,4−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、
ポリメチルメタクリレート、又は、これらの各種含フッ素体等の比較的低屈折率の透明樹
脂等が挙げられる。
なお、上記バインダーとして透明樹脂を用いる場合には、ガラス転移温度が上記樹脂微粒
子のガラス転移温度よりも低いものを用いることが好ましい。これにより、バインダーが
製膜時に樹脂粒子間の結着剤の役割を果たし充分な膜強度を得ることができる。
上記無機系材料としては、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物
と結合した配位化合物が挙げられ、具体的には例えば、チタンテトラエトキシド、チタン
テトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブト
キシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、ア
ルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリブ
トキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラ
エトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポ
キシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシ
ド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド等の金属アルコレート化合物;ジ−イソ
プロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチル
アセトネート、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセト
ンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシド
モノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセ
テート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート等のキレート化
合物;炭酸ジルコニールアンモニウム又はジルコニウムを主成分とする活性無機ポリマー
等が挙げられる。
本発明1の反射防止フィルムにおけるバインダーと樹脂微粒子との混合比率としては特に
限定されないが、上記樹脂微粒子の配合量の好ましい下限は5体積%、好ましい上限は9
5体積%である。5体積%未満であると、得られる反射防止フィルムの屈折率を充分に低
くできないことがあり、95体積%を超えると、得られる反射防止フィルムの機械強度が
劣ることがある。より好ましい下限は30体積%、より好ましい上限は90体積%であり
、更に好ましい下限は50体積%、更に好ましい上限は80体積%である。
本発明1の反射防止フィルムの表面は、平滑である。本明細書において表面が平滑とは、
JIS B 0601に規定される方法により算出した表面荒れRzが0.2μm以下で
あることを意味する。
表面が平滑であることにより本発明1の反射防止フィルムは、表面での光の乱反射によっ
て全体が白っぽくなることがなく、また、表面に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着
しにくく、一度付着した汚れも容易に除去することができる。
本発明1の反射防止フィルムの厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は50n
m、好ましい上限は200nmである。50nm未満であると、耐擦傷性が不充分となる
ことがあり、200nmを超えると、フィルムが割れやすくなることがある。
本発明1の反射防止フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、上記バインダ
ーと樹脂微粒子とを含有する反射防止用コーティング剤を離型フィルム等上、又は、直接
透明基板上に塗工した後、乾燥する方法が好適である。
体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子とバインダー
とを含有する反射防止用コーティング剤もまた、本発明の1つである。
本発明の反射防止用コーティング剤は、上記バインダーとして硬化型のものを用いる場合
にはバインダー中に樹脂微粒子が懸濁したエマルジョンであってもよく、また、それ以外
の場合には適宜の揮発性溶媒に希釈したものであってもよい。
上記希釈溶媒としては特に限定されないが、組成物の安定性、濡れ性、揮発性等から、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノー
ル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル等のエー
テル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコ
ール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトー
ル等のグリコールエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ハ
ロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N−メチルピロ
リドン、ジメチルホルムアミド等が好適である。これらの希釈溶媒は単独で用いてもよく
、2種以上を併用してもよい。
本発明の反射防止用コーティング剤を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、デ
ィップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーテ
ィング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーテ
ィング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティ
ング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビ
アコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィス
コーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
本発明の反射防止用コーティング剤を離型フィルム等上、又は、直接透明基板上に塗工し
た後、加熱乾燥等により塗膜を形成し、その後、加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等
を行い塗膜を硬化させることにより、本発明1の反射防止フィルムが得られる。
本発明2は、体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子
とバインダーとを含有し、表面が平滑である反射防止層と、基材層とを有する反射防止フ
ィルムである。
本発明2の反射防止フィルムは、本発明1の反射防止フィルムを反射防止層として、これ
を基材層と積層したものである。基材層と積層することにより、本発明2の反射防止フィ
ルムは機械的強度が向上し、取り扱い性にも優れる。
上記基材層としては、透明であれば特に限定されないが成形性や機械的強度の点から、例
えば、上記バインダーとして用いることができる透明樹脂等からなるものが好適である。
上記基材層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は
7μmである。3μm未満であると、本発明2の反射防止フィルムの強度が劣ることがあ
り、7μmを超えると、本発明2の反射防止フィルムの透明性が劣り、内部の視覚情報が
見えにくくなることがある。
本発明2の反射防止フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、上記
基材層上に本発明の反射防止用コーティング剤を塗工した後、加熱乾燥等により塗膜を形
成し、その後、加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等を行い塗膜を硬化させて反射防止
層とする方法;別々に製造した基材層と本発明1の反射防止フィルムとを従来公知の接着
剤等を用いて貼り合わせる方法等が好適である。
本発明によれば、透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄に強く、機
械的強度にも優れる反射防止フィルム、該反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子及び反射
防止用コーティング剤を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
(1)樹脂微粒子の調製
表1に示した重合組成に基づいて、下記の手順で樹脂微粒子を得た。
撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20Lの重合槽に、極性溶媒として
のイオン交換水に乳化剤及び水溶性開始剤を添加して、攪拌を開始した。重合槽内を減圧
して容器内の脱酸素を行った後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気
とした。重合槽を80℃まで昇温した後、極性溶媒中にモノマー混合液を2時間かけて滴
下し重合を行った。その後1時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。得
られたスラリーを分画分子量1万のセルロース膜を用いて透析し、過剰な界面活性剤や無
機塩類を除去し、更に濾過にて凝集粒子及び不溶分を除去して、樹脂微粒子を得た。
(2)反射防止フィルムの製造
バインダーとしてポリメチルメタクリレート10重量部と、得られた樹脂微粒子とを混合
して反射防止用コーティング剤を調製した。
得られた反射防止用コーティング剤を厚さ5μmのトリアセチルセルロースフィルム上に
スピンコーターを用いて塗布し、90℃で120分乾燥して、厚さ100nmの反射防止
層を形成して、反射防止フィルムを得た。
(実施例2)
(1)樹脂微粒子の調製
表1に示した重合組成に基づいて、モノマー混合物、非重合性有機溶剤、セチルアルコー
ルを混合・撹拌して重合用モノマー溶液を調製した。次いで、イオン交換水に過硫酸カリ
ウム(KPS)と水溶性乳化剤とを添加した混合水溶液を調製し、これに重合用モノマー
溶液を添加した後、超音波ホモジナイザーにて60分間強制乳化し、平均粒径50nmの
ミニエマルジョン懸濁液を調製した。
得られたミニエマルジョン懸濁液を、撹拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備え
た20Lの重合槽に投入し、攪拌を開始した。重合槽内を減圧して容器内の脱酸素を行っ
た後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、重合槽を80℃
まで昇温し重合を開始した。4時間で重合を終了し、その後1時間の熟成期間をおいた後
、重合槽を室温まで冷却した。得られたスラリーを分画分子量1万のセルロース膜を用い
て透析し、過剰な界面活性剤や無機塩類を除去し、更に濾過にて凝集粒子及び不溶分を除
去して、樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして反射防止用コーティング剤及び
反射防止フィルムを作製した。
(実施例3)
表1に示した重合組成に基づいて重合用モノマー溶液を調製し、これを用いた以外は実施
例2と同様にして、樹脂微粒子、反射防止用コーティング剤及び反射防止フィルムを作製
した。
(比較例1)
表1に示した重合組成に基づいて樹脂微粒子を調製し、これを用いた以外は実施例1と同
様にして、樹脂微粒子、反射防止用コーティング剤及び反射防止フィルムを作製した。
(比較例2)
平均粒径60nm、屈折率1.36の多孔性シリカ粒子の表面を有機珪素化合物で被覆し
た粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、反射防止用コーティング剤及び反射防止フ
ィルムを作製した。
(評価)
実施例1〜3及び比較例1、2で作製した粒子及び反射防止フィルムについて、以下の方
法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)粒子形状の観察
走査型電子顕微鏡を用いて粒子の形状を観察した。
(2)粒子の内部構造の観察
透過型電子顕微鏡を用いて粒子の断面を観察して、その内部構造を調べた。
なお、中空粒子については、実測された屈折率と、用いたモノマー組成から計算される屈
折率との計算値との差から体積分率を逆算した。
(3)粒子の体積平均粒子径の測定
レーザードップラー式粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC UPA150)を
用いて、体積平均粒径を測定した。測定は、濾過後のスラリーから任意に3カ所サンプリ
ングを行い、3回測定して得られた平均値を用いた。
(4)粒子の屈折率の測定
液浸法により粒子の屈折率を測定した。
(5)反射防止フィルムの反射率の測定
分光光度計を用いて、光波長400nm〜800nmにおける平均反射率(視感反射率)
を測定した。
(6)反射防止フィルムの表面荒れの測定
JIS B 0601に規定される方法に準拠して原子間力顕微鏡を用いて表面荒れRz
を測定した。
(7)反射防止フィルムの防汚性の評価
反射防止フィルムの表面に付着した油性ペンをセルロース製不繊布で拭き取り、その取れ
安さを目視にて観察し、以下の基準により判定した。
○:完全に除去
△:おおむね除去
×:残存
(8)反射防止フィルムの耐アルカリ性の評価
得られた反射防止フィルムを、市販のアルカリ洗剤を含浸させたセルロース製不繊布で1
00g/cmの加重をかけ100往復させた後のフィルム外観を目視にて観察し、以下
の基準にて判定した。
○:良好
△:おおむね良好
×:不良
Figure 2005091490
本発明によれば、透明基板の反射を効率的に抑えることができ、汚れ及び洗浄に強く、機
械的強度にも優れる反射防止フィルム、該反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子及び反射
防止用コーティング剤を提供できる。

Claims (6)

  1. 体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子とバインダー
    とを含有し、表面が平滑であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 樹脂微粒子を5〜95体積%含有することを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム
  3. 体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子とバインダー
    とを含有し、表面が平滑である反射防止層と、基材層とを有することを特徴とする反射防
    止フィルム。
  4. 反射防止層は、樹脂微粒子を5〜95体積%含有することを特徴とする請求項3記載の反
    射防止フィルム。
  5. 反射防止フィルムに用いる樹脂微粒子であって、体積平均粒子径が100nm以下、かつ
    、屈折率が1.45以下であることを特徴とする樹脂微粒子。
  6. 体積平均粒子径が100nm以下、屈折率が1.45以下である樹脂微粒子とバインダー
    とを含有することを特徴とする反射防止用コーティング剤。
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