JP4215653B2 - 熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置に関し、さらに詳しくは、自動車などに配策されるワイヤーハーネスを構成する電線の分岐部に樹脂材料を充填し固化して固定する熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置に関する。
従来、例えば自動車などに配索されるワイヤーハーネスは、調尺切断した電線の端末に端子を接続して、これら端子をコネクタに挿入するなどにより仮結束ハーネスを複数形成すると共に、これら仮結束ハーネスを順次組立図版上に布線してから本結束することにより、配策される形態に組み立てられる。
ワイヤーハーネスの組立てにおいては、複数の電線が並行する部分に樹脂からなるテープを巻くなどして1本にまとめた幹線電線を形成する。この際、幹線電線から各電線が分岐する分岐部については、この分岐部から幹線電線の結束が解けないように固定する必要がある。このようなワイヤーハーネスの分岐部を固定する構成としては、例えば、ホットメルトタイプのポリアミド系樹脂組成物を用いることにより、分岐部を樹脂材料中に埋め込んで固定する方法などがある。ポリアミド系樹脂組成物は、多くの種類の材料に対して良好な接着性を有することから、電線の被覆材との密着性が良いという利点がある。しかしながら、一般的に使用されるホットメルトタイプのポリアミド系樹脂組成物は、熱に弱いという特性がある。このため例えば、自動車のエンジンルームなどの高温環境下に配索されるワイヤーハーネスへの適用は、耐久性の観点から困難である。
このため、耐熱性の高い樹脂材料を用いてワイヤーハーネスの分岐部を固定したいという要求がある。このような場合、アウトサート成形を適用して分岐部分を可塑化した樹脂材料で固定する構成が考えられる。しかしながら、アウトサート成形を適用する場合には、以下のような問題点がある。
すなわち、アウトサート成形の金型内にワイヤーハーネスの分岐部を載置する際に、この分岐部の位置決めのための樹脂部材を金型内にセットする。ここに可塑化した樹脂材料を充填して成形固定するため、ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材、ワイヤーハーネスに巻かれた樹脂テープ、及び位置決めのための部材と、射出充填された樹脂材料との界面の密着性が必要となる。このような場合、予め被覆材料、テープ、位置決めのための部材の表面を可塑化しやすくしてから可塑化した樹脂材料を充填すればよいと考えられる。しかし、これらの部材は通常それぞれ種類の異なる樹脂材料から形成されるため、可塑化効果が得られる溶媒は全く異なることが多い。また、加熱する場合においても、それぞれの樹脂材料の軟化温度が異なるため、温度設定の最適化が困難である。
射出充填する樹脂材料と、この樹脂材料中に埋め込まれる部材との界面の密着性を向上させる構成としては、例えばインサート成形において、インサート部材を保持する保持ピンに加熱部材(発熱部材)を適用する構成が提案されている(非特許文献1)。すなわち、保持ピンとして急速に昇温可能なセラミックグロープラグを用い、樹脂材料を射出充填した後の保圧工程において、保持ピンを昇温して抜き取るものである。このような構成によれば、従来の抜きピン成形では必ず生じていたピン穴部の未溶着部を無くすことができ、かつインサート部材には熱変形等の影響を与えることがない。
しかしながら、樹脂材料に埋め込む部品の形状や設置位置によっては、このような加熱部材からなる保持ピンを用いることができない場合がある。
ところで、超臨界二酸化炭素や超臨界窒素などを使用し、金型キャビティ内に充填される樹脂のガラス転移点を降下させることで樹脂の流動性を改善し、金型の微細構造を転写させる構成が提案されている(非特許文献2参照)。この構成では、バレル内の溶融樹脂に超臨界流体を注入することと、金型キャビティ内に同種の超臨界流体でカウンタープレッシャーをかけることで、未発泡樹脂の高転写性を実現している。
また、固体樹脂に超臨界流体を含浸させた場合も樹脂の結晶化挙動の変化からガラス転移点の降下が示唆される結果が成形加工シンポジア’02報告B208で報告されている。
しかしながら、金型に充填される樹脂材料のガラス転移点を下げることによって、インサート部材等との界面の密着性を向上させるという構成は開示されるものではない。
プラスチック成形加工 第2回 実践講座シリーズ 成形加工編テキスト 成形加工 Vol.14 No.1 2002 pp8
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ワイヤーハーネス上に成形される熱可塑性樹脂成形部材と、この成形部材中に埋め込まれる部材との界面の密着性を向上することができる熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置を提供することである。
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、金型キャビティ内にワイヤーハーネスを配置し、前記金型キャビティ内に可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填して固化させて前記ワイヤーハーネス表面に熱可塑性樹脂成形部材を形成する熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法であって、前記金型キャビティ内に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を注入し、射出充填される可塑化した熱可塑性樹脂材料の熱により前記被覆材料の表面を加熱して可塑化し、形成される熱可塑性樹脂成形部材と前記被覆材料の表面とを密着させることを要旨とするものである。
そして、インサート部材を併せて埋め込む際には、請求2に記載の発明のように、前記金型キャビティ内には、熱可塑性樹脂材料成形部材に埋め込まれる樹脂材料からなるインサート部材をさらに配置し、該インサート部材の表面の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を注入し、射出充填される可塑化した熱可塑性樹脂材料の熱により前記インサート部材の表面を加熱して可塑化し、形成される熱可塑性樹脂成形部材とインサート部材の表面とを密着させることが望ましい。
これらの場合において、請求項3に記載のように、注入される流体状の可塑剤は、気体、液体、亜臨界流体状態又は超臨界流体状態にある二酸化炭素又は窒素を好適に用いることができる。
また、請求項4に記載のように、前記金型キャビティ内に射出充填してワイヤーハーネスに成形される熱可塑性樹脂成形部材は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかからなるものであることが好ましい。
請求項5に記載の発明は、金型キャビティ内にワイヤーハーネスを配置し、前記金型キャビティ内に可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填して固化させて前記ワイヤーハーネスに熱可塑性樹脂成形部材を形成する熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置であって、金型キャビティの内壁面に多孔質部材を装着すると共に、前記熱可塑性樹脂成形部材が形成される部分の前記ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を給排する経路を、前記多孔質部材に連通状に設け、該多孔質部材を通じて前記金型キャビティ内に前記流体状の可塑剤が給排されるようにしたことを要旨とするものである。
ここで、請求項6に記載のように、前記金型のパーティング面に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線を挟持する半割状の溝を形成し、該溝に前記多孔質部材を挿着して該多孔質部材の一端を金型キャビティの内壁面に露出させるとともに、他端を該多孔質部材に形成される流体状の可塑剤を給排する経路に連通させていることが好ましい。
また、請求項7に記載のように、前記多孔質部材は、多孔質金属あるいは多孔質セラミックスからなり、前記多孔質部材の有する連続泡の泡径あるいは通孔の孔径は50μm以下であるものを好適に用いることができる。
さらに、請求項8に記載のように、前記多孔質部材に形成される流体状の可塑剤を供給及び/又は排出する経路には、該経路を通過する流体状の可塑剤の圧力を調整する圧力調整弁が配設されていることをが望ましい。
請求項1あるいは請求項2に記載の発明によれば、金型キャビティ内に流体状の可塑剤を供給し、キャビティ内に配置されるワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材、ワイヤーハーネスに巻かれる樹脂テープ、あるいは併せて埋め込まれるインサート部材の表面に、予めこれらの材料の可塑化温度を降下させる可塑剤を浸透させることができる。このため、その後に射出充填される可塑化した樹脂材料の熱により、これらの埋め込まれる部材の表面が可塑化して、射出充填される熱可塑性樹脂材料とこれらの材料の表面の界面が良好に密着する。
二酸化炭素あるいは窒素は、多数の種類の樹脂材料の可塑化温度を降下させることができるから、請求項3に記載のように流体状の可塑剤として二酸化炭素あるいは窒素を用いれば、ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料、ワイヤーハーネスの幹線電線に巻かれた樹脂テープ、インサート部材がそれぞれ異なる種類の樹脂から形成されるものであったとしても、それぞれ可塑化温度を下げることができ、可塑化した熱可塑性樹脂材料との界面の密着性を向上させることができる。
請求項4に記載のように、射出充填する熱可塑性樹脂材料として、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはポリアミド系樹脂を適用すれば、従来の一般的なホットメルトタイプのポリアミド樹脂組成物を用いる構成に比較して、固定した分岐部の耐熱劣化性を向上させることができる。このため、自動車のエンジンルーム内などの高温環境下において使用されるワイヤーハーネスに好適に適用することができる。
請求項5に記載の発明によれば、ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料、ワイヤーハーネスに巻かれる樹脂テープ、あるいは併せて埋め込まれるインサート部材の表面に浸透させる流体状の可塑剤を、多孔質部材を通じて金型キャビティ内へ給排できる。このため、金型に可塑剤の供給用のノズルなどを配設する必要が無く、装置の構成を単純化、小型化できるほか、メンテナンス性にも優れる。また、この多孔質部材は耐熱性に優れるほか、前記機能を実現するための適度な通孔が得られやすい。
ここで、請求項6に記載の発明よれば、流体状の可塑剤は半割状の溝の端面から金型キャビティ内に給排される。このため、流体状の可塑剤の圧力により、半割状の溝の接合面や、半割状の溝とワイヤーハーネスを構成する電線との隙間から可塑化した樹脂材料が流出することが防止され、バリなどの成形不良の発生が抑制される。
請求項7に記載のように、流体状の可塑剤の供給経路及び回収経路に圧力調整弁を配設すれば、キャビティ内に供給される流体状の可塑剤を所定の圧力に維持することが容易となる。このため、ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材、ワイヤーハーネスに巻かれた樹脂テープ、あるいはインサート部材の表面への流体状の可塑剤の浸透を促進させることができる。
以下に、本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法及び成形装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本実施の形態に係る熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法を「本方法」と、本実施の形態に係る熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置を「本装置」と略して記すことがある。
図1は、本装置の構成、及びその要部の断面構造を模式的に示した図であり、(a)は成形用金型のパーティング面に対して垂直方向の断面を、(b)はパーティング面に対して平行方向の断面を示す。本装置1は、可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填し、ワイヤーハーネス5の分岐部に熱可塑性樹脂成形部材を形成する成形用金型2と、この成形用金型2に流体状の可塑剤を供給及び回収をする可塑剤供給源3とを備える。そして成形用金型2と可塑剤供給源3とは、可塑剤供給経路4及び可塑剤排出経路5により連通する。なお、(b)においては、可塑剤供給源3、可塑剤供給経路4及び可塑剤排出経路5は省略している。
成形用金型2は、ワイヤーハーネス5を付線する図版6上に載置される下型21と、この下型21に係合して固定する上型22とを備える。この下型21と上型22とのパーティング面23には、キャビティ24が形成される。このキャビティ24は、その内部に、ワイヤーハーネス5の分岐部と、このワイヤーハーネス5の分岐部を仮固定するインサート部材6とを載置可能で、かつ、これらを載置した状態で、可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填可能に構成される。なおインサート部材6については後述する。上型22の下型21への固定は、例えばボルト止めなど、公知の各種緊締手段が適用される。
また、前記下型21と上型22とのパーティング面23には、ワイヤーハーネス5を構成する電線、即ち幹線電線51や分岐する各電線52を挟んで固定する半割状の溝が形成される。そしてこの半割状の溝には多孔質部材25が挿着される。この多孔質部材25の一端はキャビティ24の内壁面に露出してキャビティ24の内壁面の一部を形成する。また、他端側は可塑剤供給経路4あるいは可塑剤排出経路5に連通する。
この多孔質部材25は微細な連続泡や通孔を有する材料であり、流体状の可塑剤のような気体や粘度の低い液体の通過は許容するが、可塑化した熱可塑性樹脂材料のような粘稠な材料の浸入は阻止するという機能を有するものである。この機能を実現するための連続泡の泡径や通孔の孔径の範囲は、対象とする熱可塑性樹脂材料の種類、温度や圧力により異なるため、適宜選択して適用する。例えばPP(ポリプロピレン)樹脂やPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を適用する場合には、連続泡の泡径や通孔の孔径は50μm以下であればよい。なお、この多孔質部材25は、連続泡や通孔を有する形態に限られず、前記機能を具備するような通気性を備えるものであれば、その形態は問わない。
このような多孔質部材としては、例えば多孔質アルミニウムや多孔質ステンレスなどの多孔質金属、ゼオライトなどの多孔質セラミックスなどが挙げられる。より具体的には、「メタポール−METAPOR(商品名)」(Pontc Ltd.スイス社製)、「ヒポラス(商品名)」((株)神戸製鋼所製)などが適用できる。
さらに、この半割状の溝には半割状のパッキン26などが挿着される。このため、ワイヤーハーネス5を載置して下型21に上型22を係合固定した際に、キャビティ24の気密性が保たれる。この半割状のパッキン26としては、例えば離型性の高いフッ素ゴムや、半割のパッキン同士の接合面にDLC(Diamond Like Carbon)コーティングを施したゴムなどから形成されるものなどが適用できる。
前記多孔質部材25に連通する可塑剤供給経路4及び可塑剤排出経路5には、それぞれ通過する流体状の可塑剤の圧力を調整できる圧力調整弁41、51が配設される。
ここで用いられる流体状の可塑剤は、樹脂材料中に埋め込まれる部材、具体的には、ワイヤーハーネス5を構成する電線51、52の被覆材、ワイヤーハーネス5の幹線電線51などに巻かれた樹脂テープ、樹脂からなるインサート部材6など(以下、このような可塑化温度を降下させて樹脂材料に埋め込まれる部材を総称して「埋め込まれる部材」と記すことがある。)の表面に浸透し、これらの埋め込まれる部材の可塑化温度を降下させるためのものである。適用可能な流体状の可塑剤としては、気体、液体、亜臨界流体状態あるいは臨界流体状態にある二酸化炭素や窒素が挙げられる。
下型21にはこのほか、成形固定されたワイヤーハーネス5の分岐部をキャビティ24から取り出すエジェクタピン7が配設される。このエジェクタピン7は一般的な射出成形用の金型に用いられるエジェクタピンと同一の機能を有するものであり、詳細な説明は省略する。なお、このエジェクタピン7は例えば図版の下方等に配設される足踏みペダルなど(図示せず)により操作できるように構成される。
また、上型22には、可塑化した熱可塑性樹脂材料をキャビティ24内に射出充填するための注入ノズル8が配設される。この注入ノズル8は、樹脂材料の射出成形機に用いられる射出成形用ノズルと同構造のものが適用できる。この場合、シャットオフタイプのノズル、オープンタイプのノズルのいずれであっても良い。ただし、注入ノズル8から熱可塑性樹脂材料の可塑化装置内への流体状の可塑剤の流入を防止するためには、逆流不可能な構造を有するシャットオフタイプのノズルを用いることが好ましい。
次いで、前記構成を有する本装置を用いて本方法を実施する手順について説明する。
まず、下型21にインサート部材6を載置する。このインサート部材6は、可塑剤により可塑化温度が降下する樹脂材料から形成されるものであり、成形される樹脂材料中に埋め込まれる部位と、成形される樹脂材料にから突出する部位とを有する。可塑化した熱可塑性樹脂材料中に埋め込まれる部位には複数のピン61が立設され、熱可塑性樹脂材料の射出充填操作中にワイヤーハーネス5の分岐部がキャビティ24内で変位しないように、分岐部を位置決めして仮固定する。また熱可塑性樹脂材料から突出する部位には、ワイヤーハーネス5の組立後の配索作業時において、自動車の車体等に固定するためのネジ穴あるいはピン穴挿入62などが形成される。
なお、このインサート部材6は、必ずしも部材全体が樹脂から形成されているものでなくともよい。すなわち、少なくとも可塑化した熱可塑性樹脂材料中に埋め込まれる部位の表面が、可塑剤の浸透により可塑化温度が低下する樹脂材料から形成されていればよい。例えば、インサート部材6の本体を金属材料から形成し、熱可塑性樹脂材料中に埋め込まれる部位の表面に樹脂コーティングなどで樹脂層を形成するものなどである。
そして下型21にワイヤーハーネス5の分岐部を載置する。この際に、インサート部材6から突出するピン61をガイドとしてワイヤーハーネス5の分岐部を載置する。すなわち、インサート部材6から突出形成されるピン61の間に、幹線電線51及び分岐する電線52を挟むように収める。また、分岐部より延びる幹線電線51及び分岐する各電線52は、半割状の溝に挿着される半割状のパッキン26に収まるように載置する。そして下型21に上型22を被せるように係合して固定する。
その後、可塑剤供給源3から流体状の可塑剤を供給する。可塑剤供給源3から供給される流体状の可塑剤は、圧力調整弁41により所定の圧力に調整され、半割状の溝に挿着される多孔質部材25を経てキャビティ24内に流入する。図中の矢印aは供給される流体状の可塑剤の流れを示す。キャビティ24内に流入した流体状の可塑剤は、キャビティ24内に充満するとともに、半割状の溝に挿着される多孔質部材25を経て、可塑剤排出経路5から排出される。図中の矢印bはキャビティから排出される流体状の添加剤の流れを示す。可塑剤排出経路5にも圧力調整弁51が配設され、通過する流体状の可塑剤の圧力が調整することがき、これによりキャビティ24内は、流体状の可塑剤が所定の圧力で充満している状態に維持される。
このキャビティ24内の流体状の可塑剤の圧力は、大気圧以上15MPa以下であることが好ましく、大気圧以上4MPa以下であることがより好ましい。
可塑剤排出経路5から排出された流体状の可塑剤は、可塑剤供給源3に回収されて再び送り出される。なお、流体状の可塑剤として二酸化炭素ガスや窒素ガスのような無害な気体を用いるのであれば、キャビティ24から排出された流体状の可塑剤を回収せず、圧力調整弁51を通過させた後に大気中に放散する構成としても良い。
そして、キャビティ24内への流体状の可塑剤の供給を継続し、キャビティ24内に配置されるワイヤーハーネス5やインサート部材6を可塑剤の雰囲気下に置く。流体状の可塑剤は、これら埋め込まれる部材5、6の表面から内部へ浸透し、浸透した部分は可塑化温度が降下する。射出充填される熱可塑性樹脂材料との良好な密着性を得るには、流体状の可塑剤を前記各埋め込まれる部材5、6の表面から10〜20μm程度の深さにまで浸透させればよい。
その後、上型に配設される注入ノズル8から、可塑化した熱可塑性樹脂材料をキャビティ24内に射出充填する。図中の矢印cは射出充填される熱可塑性樹脂材料の流れを示す。ワイヤーハーネス5の分岐部は、インサート部材6のピン61によって仮固定されているから、射出充填される熱可塑性樹脂材料の圧力によって移動することがない。このため、分岐部を確実に樹脂中に埋め込むことができる。
また、流体状の可塑剤は、半割状の溝の端面の半割状のパッキン26が挿着される位置からキャビティ24内に供給され、かつ排出される。このため、可塑化した熱可塑性樹脂材料の射出充填中においても流体状の可塑剤を供給するものであれば、流体状の可塑剤の圧力により、半割状のパッキン26同士の接合面や、パッキン26とワイヤーハーネス5を構成する電線51、52との隙間から可塑化した樹脂材料の流出が防止される。このため、バリなどの成形不良の発生が抑制される。
射出充填する熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはポリアミド系樹脂等を適用することができる。
ここで、射出充填する熱可塑性樹脂材料として、PP(ポリプロピレン)樹脂を用いる場合には200℃程度、PBT樹脂を用いる場合には240℃程度に加熱して射出充填することが望ましい。ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材、ワイヤーハーネスに巻かれた樹脂テープ、インサート部材の表面層には可塑剤が浸透しており、可塑化温度が降下して可塑化しやすい状態になっている。このため射出充填される熱可塑性樹脂材料の熱によりこれらの部材の表面が可塑化し、射出充填される熱可塑性樹脂材料と、これら部材の表面の界面に良好な密着性が得られる。
なお、可塑化した樹脂材料の射出充填操作中においても流体状の可塑剤を供給すると、射出充填される熱可塑性樹脂材料にも可塑剤が浸透し、射出充填される熱可塑性樹脂材料と埋め込まれる部材5、6の表面の界面の密着性がさらに向上する。ただし、埋め込まれる部材5、6の可塑化温度の降下により十分な密着性が得られるのであれば、可塑化した熱可塑性樹脂材料の射出充填操作中においては、必ずしも流体状の可塑剤の供給を継続する必要はない。
射出充填した熱可塑性樹脂材料が固化した後、下型21から上型22を取り外し、エジェクタピン7を操作して、成形された熱可塑性樹脂材料成形部材をキャビティ24から取り出す。これで1回の操作が終了する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であることはいうまでもない。例えば、適用できるワイヤーハーネスは自動車のエンジンルーム内に配索されるものには限られず、他の部分に配策されるものや、その他の民生品に用いられるものであっても良い。また、前記実施の形態においては、電気的に独立した複数の電線を束ねた幹線電線から電線の束を解く分岐部の固定に適用する構成を示しているが、電線の電気的な分岐部に適用するものであっても良い。
(a)は、本発明の実施の形態に係る熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置の構成、及びその要部の断面構造を示した模式図、(b)は、成形用金型の下型にインサート部材及びワイヤーハーネスの分岐部を載置した状態を、上型とのパーティング面の側から見た平面図である。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置
2 成形用金型
5 ワイヤーハーネス
6 図版
8 注入ノズル
21 成形用金型の下型
22 成形用金型の上型
23 パーティング面
24 キャビティ
25 多孔質部材
51 ワイヤーハーネスの幹線電線
52 ワイヤーハーネスの幹線電線から分岐する電線

Claims (8)

  1. 金型キャビティ内にワイヤーハーネスを配置し、前記金型キャビティ内に可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填して固化させて前記ワイヤーハーネス表面に熱可塑性樹脂成形部材を形成する熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法であって、前記金型キャビティ内に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を注入し、射出充填される可塑化した熱可塑性樹脂材料の熱により前記被覆材料の表面を加熱して可塑化し、形成される熱可塑性樹脂成形部材と前記被覆材料の表面とを密着させる熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法。
  2. 前記金型キャビティ内には、熱可塑性樹脂材料成形部材に埋め込まれる樹脂材料からなるインサート部材をさらに配置し、該インサート部材の表面の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を注入し、射出充填される可塑化した熱可塑性樹脂材料の熱により前記インサート部材の表面を加熱して可塑化し、形成される熱可塑性樹脂成形部材とインサート部材の表面とを密着させる請求項1に記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法。
  3. 注入される流体状の可塑剤は、気体、液体、亜臨界流体状態又は超臨界流体状態にある二酸化炭素又は窒素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法。
  4. 前記金型キャビティ内に射出充填してワイヤーハーネスに成形される熱可塑性樹脂成形部材は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかからなるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形方法。
  5. 金型キャビティ内にワイヤーハーネスを配置し、前記金型キャビティ内に可塑化した熱可塑性樹脂材料を射出充填して固化させて前記ワイヤーハーネスに熱可塑性樹脂成形部材を形成する熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置であって、金型キャビティの内壁面に多孔質部材を装着すると共に、前記熱可塑性樹脂成形部材が形成される部分の前記ワイヤーハーネスを構成する電線の被覆材料の可塑化温度を降下させる流体状の可塑剤を給排する経路を、前記多孔質部材に連通状に設け、該多孔質部材を通じて前記金型キャビティ内に前記流体状の可塑剤が給排されるようにしたことを特徴とする熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置。
  6. 前記金型のパーティング面に、前記ワイヤーハーネスを構成する電線を挟持する半割状の溝を形成し、該溝に前記多孔質部材を挿着して該多孔質部材の一端を金型キャビティの内壁面に露出させるとともに、他端を該多孔質部材に形成される流体状の可塑剤を給排する経路に連通させていることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置。
  7. 前記多孔質部材は、多孔質金属あるいは多孔質セラミックスからなり、前記多孔質部材の有する連続泡の泡径あるいは通孔の孔径は50μm以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置。
  8. 前記多孔質部材に形成される流体状の可塑剤を供給及び/又は排出する経路には、該経路を通過する流体状の可塑剤の圧力を調整する圧力調整弁が配設されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂材料成形部材のワイヤーハーネスへの成形装置。
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