JP4215566B2 - タイヤ横滑り測定方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤの横滑りを測定する方法に関し、更に詳しくは、１回の測定で使用するタイヤの数を減らして、無駄となるタイヤの数を低減するようにしたタイヤ横滑り測定方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
横に傾斜した雪や氷などの路面上を走行中に車両に制動を付与した際に、タイヤがスリップして横滑りが生じることがしばしばある。このような横滑りが生じると、事故を招き易くなるため、タイヤの横滑りを測定する試験を行い、タイヤの横滑り性能を評価するようにしている。
【０００３】
従来、タイヤの横滑り測定試験では、例えば、測定車両に試験用タイヤを装着し、横滑りした際の車両のヨー角を検出手段で測定してタイヤの横滑り性能を評価するようにしている（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】
特開平９−３０４２３９公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した測定では、測定車両の全ての車輪に性能を評価するタイヤを取り付ける必要があり、例えば、トラック・バス用のタイヤを試験する際には最低でも６本のタイヤを要する。そのため、１回の試験で使用するタイヤの数が多く、それにより無駄にするタイヤが多く発生するという問題があった。
【０００６】
本発明の目的は、１回の測定で使用するタイヤの数を減らして、無駄となるタイヤの数を低減することが可能なタイヤ横滑り測定方法を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ横滑り測定方法は、トラクタの後端に対してフレーム状のボディを有するトレーラの前端を左右に揺動自在に連結し、前記ボディに１本の回転自在な車軸を横設すると共に、該車軸の両端に試験用タイヤを装着可能にし、該試験用タイヤに前記トラクタ側からの操作により制動を付与する制動部を取り付け、該ボディの後端中央に横滑り検出器を取り付け、かつ前記トラクタの駆動力を前記制動部の制動力よりも大きく設定した構成にし、該トラクタにより前記トレーラを一方に傾斜した雪または氷の路面上で牽引し、前記試験用タイヤに前記制動部により制動を付与して所定距離を走行した時に前記トレーラが横滑りする距離を前記横滑り量検出器により検出する横滑り量検出器により検出することを特徴とする。
【０００９】
上述した本発明によれば、トラクタにより、１本の回転自在な車軸を具え、該車軸の両端に１本ずつ試験用タイヤを装着したトレーラを牽引することで、試験用タイヤの横滑り測定が可能になるため、従来の測定車両の全ての車輪に性能を評価するタイヤを取り付ける必要がなく、トレーラの１本の車軸の両端にのみ試験用タイヤを取り付ければよいため、１回の測定で使用するタイヤの数を減らして、無駄となるタイヤの数を低減することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１１】
図１は、本発明のタイヤ横滑り測定方法に用いる測定装置の一例を示し、この装置はトラクタ１とトレーラ２を備えている。
【００１２】
トラクタ１は、トレーラ２を牽引する車両であり、トレーラ２を牽引可能であればいずれの車両から構成してもよい。トラクタ１は、トレーラ２に制動が付与された際にもトレーラ２を牽引して走行するため、その駆動力がトレーラ２における制動力より大きくなっている。
【００１３】
好ましくは、制動力より１．５倍以上の駆動力を有するものがよく、例えば、そのような駆動力を有する４輪駆動車両や２トン以上のトラックを用いることができる。トラクタ１の後端中央には、トレーラ２を連結するための連結部３が突設されている。
【００１４】
トレーラ２は、１本の回転自在な車軸４を備えたフレーム状のボディ５を有し、車軸４の両端にホイールに取り付けた試験用タイヤＴを装着できるようになっている。ボディ５には、試験用タイヤＴに制動を付与する制動部６が設けられている。制動部６が作動することで、車軸４に制動を加え、それにより試験用タイヤＴを制動するようになっている。
【００１５】
この制動部６は試験員が乗車するトラクタ１から制動操作可能にしてある。ボディ５の前端には、トラクタ１の連結部３に着脱自在に連結するための連結部７が突設されている。連結部７の上下に延在する連結軸８がトラクタ１の連結部３に回動自在に取り付けられ、トレーラ２がトラクタ１に対して連結軸８を支点として左右に揺動自在になっている。
【００１６】
トレーラ２のボディ５の後端中央には、非接触式の横滑り量検出器９が取り付けられている。この横滑り量検出器９は、トレーラ２が横滑りした時の横滑り距離を検出できるようになっており、その検出した信号をトラクタ１に設置した処理手段１０に出力するようにしてある。横滑り量検出器９としては、路面に対して照射した電波あるいは光の反射を利用して測定する従来公知のものを使用することができる。また、非接触式に代えて、接触式のものであってもよい。
【００１７】
処理手段１０は、横滑り量検出器９から入力された信号により、制動開始時から測定区間終了時までの所定距離を走行した時のトータルの横滑り距離を算出するようになっている。また、その距離データ及び測定時に時間（秒）から速度を時系列的に算出し、これらの速度データから、制動開始時から測定区間終了時までの横滑り速度の平均値を算出し、更に制動開始時から測定区間終了時までの横滑り速度の積分値を計算するようになっている。
【００１８】
処理手段１０で得られた各データは、表示手段１１に表示され、また出力手段１２からデータ出力される。これらのデータはタイヤの横滑り性能を評価するデータとして使用される。
【００１９】
以下、上述した装置を用いて本発明のタイヤ横滑り測定方法を図２，３を参照しながら説明する。
【００２０】
横に（一側方に向けて）傾斜した雪または氷の試験用の路面２１上を、試験用タイヤＴを車軸４に装着したトレーラ２を牽引しながらトラクタ１を試験員が進行方向Ｘに走行させる。一定の速度（例えば、時速２０km/h）で走行し、試験員がトレーラ２の制動部６を作動させ、その状態で所定距離走行する。
【００２１】
トレーラ２の制動部６の作動により、試験用タイヤＴに制動が付与されると、回転がロックされた試験用タイヤＴがスリップして傾斜した路面２１上を図３の矢印で示す方向に横滑りしながら前進する。
【００２２】
横滑り量検出器９から検出信号が処理手段１０に入力され、処理手段１０では、制動開始時からの横滑り距離を逐次算出し、またこの距離データから横滑り時の速度を順次算出して、表示手段１１に表示し、出力手段１２からデータ出力する。
【００２３】
所定距離走行すると、処理手段１０は、制動開始時から測定区間終了時までの所定距離を走行した時のトータルの横滑り距離を算出する。また速度データから制動開始時から測定区間終了時までの横滑り速度の平均値を算出し、更に制動開始時から測定区間終了時までの横滑り速度の積分値を計算する。これらのデータが表示手段１１で表示され、更に出力手段１２からデータ出力され、タイヤの横滑り性能を評価するデータとして使用される。
【００２４】
上述した本発明によれば、１本の回転自在な車軸の両端に１本ずつ試験用タイヤＴを装着したトレーラ２をトラクタ１により牽引することで、試験用タイヤＴの横滑りを測定することができるので、従来の測定車両の全ての車輪に性能を評価するタイヤを取り付けることが不要になり、トレーラ２にのみ試験用タイヤＴを装着すればよいため、１回の測定で使用するタイヤの数を減らして、無駄となるタイヤの数を低減することができる。
【００２５】
本発明において、上記実施形態では、トレーラ２に２本の試験用タイヤＴを取り付ける構成にしたが、車軸４の一方側にバランス用部材を取り付けることで、車軸４の他方側に１本の試験用タイヤＴを取り付けて測定試験を行うことも可能である。
【００２６】
また、横滑り量検出器９は、上述したように、最も滑る量が大きくなるトレーラ２の後端に取り付けるのが測定精度を高める上で好ましいが、トレーラ２の他の箇所であってもよい。
【００２７】
【発明の効果】
上述したように本発明は、トラクタの後端に対してフレーム状のボディを有するトレーラの前端を左右に揺動自在に連結し、前記ボディに１本の回転自在な車軸を横設すると共に、該車軸の両端に試験用タイヤを装着可能にし、該試験用タイヤに前記トラクタ側からの操作により制動を付与する制動部を取り付け、該ボディの後端中央に横滑り検出器を取り付け、かつ前記トラクタの駆動力を前記制動部の制動力よりも大きく設定した構成にし、該トラクタにより前記トレーラを一方に傾斜した雪または氷の路面上で牽引し、前記試験用タイヤに前記制動部により制動を付与して所定距離を走行することで、試験用タイヤの横滑りを測定することができるので、トレーラにのみ試験用タイヤを取り付ければよく、従って、１回の測定で使用するタイヤ数を減らして、無駄となるタイヤ数の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のタイヤ横滑り測定装置の平面説明図である。
【図２】横滑りした状態を示す平面説明図である。
【図３】横滑りするトレーラの説明図である。
【符号の説明】
１ トラクタ ２ トレーラ
４ 車軸 ５ ボディ
６ 制動部 ９ 横滑り量検出器
１０ 処理手段 Ｔ 試験用タイヤ

Claims (5)

1. トラクタの後端に対してフレーム状のボディを有するトレーラの前端を左右に揺動自在に連結し、前記ボディに１本の回転自在な車軸を横設すると共に、該車軸の両端に試験用タイヤを装着可能にし、該試験用タイヤに前記トラクタ側からの操作により制動を付与する制動部を取り付け、該ボディの後端中央に横滑り検出器を取り付け、かつ前記トラクタの駆動力を前記制動部の制動力よりも大きく設定した構成にし、該トラクタにより前記トレーラを一方に傾斜した雪または氷の路面上で牽引し、前記試験用タイヤに前記制動部により制動を付与して所定距離を走行した時に前記トレーラが横滑りする距離を前記横滑り量検出器により検出するタイヤ横滑り測定方法。
2. 前記車軸の両端に取り付けた２本の試験用タイヤの一方をバランス用部材に置き換えて１本の試験用タイヤのみで試験を行う請求項１に記載のタイヤ横滑り測定方法。
3. 前記トラクタの駆動力を前記制動部の制動力の１．５倍以上にした請求項１または２に記載のタイヤ横滑り測定方法。
4. 前記横滑り量検知器が光又は電波の反射を利用する非接触式である請求項１、２または３に記載のタイヤ横滑り測定方法。
5. 前記トラクタに前記横滑り検出器の検出信号を入力する処理手段を設置し、該処理手段により制動開始から測定区間の終了時までの横滑り速度及びその積分値を算出するようにした請求項１〜４のいずれかに記載のタイヤ横滑り測定方法。

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