JP4214415B2 - 触媒温度推定装置 - Google Patents
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Description
また、燃料復帰時においては運転状態検出手段によりエンジンの運転状態が検出され、O 2 ストレージ指標算出手段により触媒に吸蔵されているO 2 量と相関するO 2 ストレージ指標が算出され、空燃比推定手段により触媒上の空燃比が推定される。これらのエンジン運転状態、O 2 ストレージ指標、空燃比に基づき触媒の浄化反応で発生する反応熱量が浄化反応熱量算出手段により算出され、算出された反応熱量に基づき触媒温度推定手段により触媒温度が推定される。
燃料復帰時には、燃料カット中に触媒上に吸蔵されたO 2 により排ガス中のCOやHCが浄化されることで多量の反応熱が発生し、この反応熱が触媒の温度を急激に上昇させる要因となるが、このような現象を反映した反応熱量に基づき触媒温度の推定処理が実行される。これにより燃料カット時に加えて燃料復帰時においても、触媒温度の挙動を正確に推定可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、空燃比推定手段が、O 2 ストレージ指標算出手段により算出されたO 2 ストレージ指標に基づき触媒がO 2 吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にあると判定したときには、排気空燃比検出手段により検出された排気空燃比を触媒上の空燃比と見なす一方、触媒が吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にないと判定したときには、理論空燃比を触媒上の空燃比と見なすものである。
触媒がO 2 ストレージ機能を発揮しているときには、排気空燃比がストイキオ以外であっても触媒上の空燃比は理論空燃比に保持される一方、触媒がO 2 ストレージ機能を発揮していないときには、触媒上の空燃比は排気空燃比となることから、このような現象を反映した実状に則した正確な触媒上の空燃比に基づいて反応熱量、ひいては燃料復帰時の触媒温度の挙動を一層正確に推定可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、燃料カット時にエンジンから排出される排ガスと触媒との間の熱伝達量を算出する熱伝達量算出手段を備え、触媒温度推定手段が、熱伝達量算出手段により算出された熱伝達量と酸化反応熱量算出手段により算出された反応熱量とから触媒の温度を推定するものである。
従って、未燃燃料成分の吸着速度より排ガス中の未燃燃料成分量が小のときには、排ガス中の未燃燃料成分量により触媒上への未燃燃料成分の吸着速度が制限されるが、この場合には排ガス中の未燃燃料成分量が吸着速度と見なされることで、一層正確な吸着速度、ひいては反応熱量を算出可能となる。
従って、触媒の活性状態に基づき反応速度算出手段により触媒上の未燃燃料成分と排ガス中のO2との反応速度が算出され、この反応速度、吸着未燃燃料成分量、排気O2量の内の最も小の値に基づいて酸化反応熱量算出手段により反応熱量が算出される。
請求項7の発明は、請求項1乃至6において、触媒温度推定手段が、推定した触媒温度を触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタにより補正するものである。
また、燃料復帰時に触媒の浄化反応による反応熱量を算出して触媒温度を推定するため、燃料カット時に加えて燃料復帰時においても触媒温度の挙動を正確に推定することができる。
請求項2の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1に加えて、触媒のO 2 ストレージ機能の有無に応じた触媒上の空燃比に基づき反応熱量を算出するため、燃料復帰時の触媒温度の挙動を一層正確に推定することができる。
請求項6の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1乃至5に加えて、未燃燃料成分とO2との反応速度を考慮して反応熱量を算出することで、さらに正確に反応熱量を算出することができる。
図1は本実施形態の触媒温度推定装置を示す全体構成図であり、エンジン1は筒内噴射型火花点火式の直列4気筒ガソリンエンジンとして構成されている。エンジン1のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ2と共に電磁式の燃料噴射弁3が取り付けられ、この燃料噴射弁3から燃焼室内に直接燃料が噴射される。シリンダヘッドには各気筒毎に略直立方向に吸気ポート4aが形成されており、これらの吸気ポート4aは吸気マニホールド4を介してスロットルバルブ5と接続され、スロットルバルブ5は図示しない吸気通路と接続されている。
燃料カット時及び燃料復帰時においても他の運転状態と同様に、基本的に触媒の昇温は排ガスと床下触媒9との間の熱伝達量ΔHtに応じて行われるため、触媒温度Tcatfの推定には熱伝達量ΔHtを考慮する必要がある。この熱伝達量ΔHtによる触媒昇温に加えて、燃料カット時には、燃料カット以前に触媒9上に吸着されたCOやHC(共に未燃燃料成分であり、以下の説明では代表としてCOと称するがHCも含むものとする)が排ガス中のO2により酸化反応したときの反応熱で触媒温度Tcatfが上昇する現象が生じることから、このときの酸化反応熱量ΔHrを触媒温度Tcatfの推定に反映させる必要がある。
図2はECU21のF/C時反応熱量算出部50の処理を示す制御ブロック図である。燃料カット時には排ガス中のO2との反応により触媒上からCOが脱離する現象のみならず、触媒上にCOが吸着する現象も並行して発生し、これらの現象が相俟って触媒9のCO吸着率θco、ひいては燃料カット時の酸化反応熱量ΔHrに影響を及ぼす。そこで、当該CO酸化反応熱量ΔHrの算出処理では、触媒上からのCOの脱離及び触媒上へのCOの吸着を考慮して触媒9の吸着CO量CATcoを算出し、この吸着CO量CATcoをCO酸化反応熱量ΔHrの算出処理に反映させている。
吸着定数算出部52では、触媒温度Tcatf及び空燃比センサ10により検出された排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って吸着速度定数Kadが求められる。触媒上へのCOの吸着速度Radは触媒9の活性状態のみならず、排気空燃比A/Fに応じた排ガス組成の相違に影響されることから、触媒温度Tcatf及び排気空燃比A/Fに応じて吸着速度定数Kadが設定される。なお、排気空燃比A/Fは周知の演算手法によりエンジン運転状態などから推定してもよい。
CO濃度算出部54では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って排ガス中のCO濃度Pco(atm)が求められる。CO濃度Pcoは排気空燃比A/Fと相関することから、排気空燃比A/Fに応じてCO濃度Pcoが設定される。
θco=rρco/ρco ………(1)
ここに、rρcoは実際の触媒9のCO吸着サイトである。
Rred=Kred・ρco・θco ………(2)
また、上記CO吸着率θcoは減算部56に入力され、減算部56では1からCO吸着率θcoが減算される(1−θco)。減算部56による算出値と、上記吸着定数算出部52で算出された吸着速度定数Kad、吸着サイト算出部53で算出された吸着サイトρco、及びCO濃度算出部54で算出されたCO濃度Pcoとが吸着速度算出部57に入力され、吸着速度算出部57では、これらの入力値に基づき次式(3)に従って触媒上へのCO吸着速度Rad(mol/sec)が算出される(吸着速度算出手段)。
また、CO濃度算出部54で算出されたCO濃度Pco、全圧1(atm)、単位時間当たりの排ガス中の全物質量n all(mol/sec)が分圧算出部58に入力され、分圧算出部58では次式(4)に従って分圧として排ガス中のCO量GASco(mol/sec)が算出される。なお、詳細は説明しないが排ガス中の全物質量n allは、吸入空気量Q、空気及び燃料の分子量、排気空燃比A/Fなどに応じて周知の演算手法により算出される。
上記触媒上へのCO吸着速度Radと排ガス中のCO量GAScoとは最小選択部59に入力され、最小選択部59では入力値の小の側を選択して最終的な触媒上へのCO吸着速度Radとして決定する。即ち、CO吸着速度Radは触媒9のCO吸着能力を意味する値であり、当該CO吸着速度Rad以上のCO量GAScoを排ガスが有している場合には、CO吸着速度Radが実際の触媒上へのCO吸着速度Radとなるが、排ガス中のCO量GAScoがCO吸着速度Rad未満の場合には、触媒上へのCO吸着速度RadはCO量GAScoに制限される。このため、最小選択部59で何れか小の側を選択しているのである。
Δadθco=Rad−Rred ………(5)
算出された単位時間吸着CO量Δadθcoは、触媒9の吸着サイトρco及びECU21の演算周期f(例えば、0.1msec)と共に吸着率変化量算出部61に入力され、吸着率変化量算出部61では次式(6)に従って演算周期f間のCO吸着率θcoの変化量Δθcoが算出される。
CO吸着率θcoの変化量ΔθcoはCO吸着率θcoと共に吸着率算出部62に入力され、吸着率算出部62ではCO吸着率θcoを前回処理時の値θco(n-1)と見なし、次式(7)に従って今回のCO吸着率θco(n)が算出される。
θco(n)=θco(n-1)+Δθco ………(7)
その後、CO吸着率θco(n)は吸着サイトρco及びECU21の演算周期fと共に吸着CO量算出部63に入力され、吸着CO量算出部63では次式(9)に従って現在触媒9に吸着されている吸着CO量の単位時間相当値CATco(mol/sec)が算出される(吸着リッチ成分量算出手段)。
一方、O2濃度算出部64では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従ってO2濃度Po2が求められる。上記CO濃度Pcoと同じくO2濃度Po2は排気空燃比A/Fに応じて決定されるが、後述する反応速度式(10)に適用するときの便宜のために、このときマップからはO2濃度Po2を1/2乗した値Po2 1/2が算出される。
O2濃度算出部64で算出されたO2濃度Po2 1/2、反応速度定数算出部65で算出された反応速度定数KrはCO吸着率θco及び吸着サイトρcoと共に反応速度算出部66に入力され、反応速度算出部66では次式(10)に従ってCOとO2とが反応可能な最大の反応速度r(mol/sec)が算出される(反応速度算出手段)。
即ち、触媒上でのCOとO2との最大の反応速度rはCO量CATco(=θco・ρco)とO2濃度Po2との積により定まり、且つ次式(11)で示すようにCOとO2との反応モル比が「2」であることから、上式(10)ではO2濃度をPo2 1/2としているのである。
CO+1/2O2→CO2………(11)
上式(11)に基づいて設定された反応モル比の「2」、O2濃度算出部64で算出されたO2濃度Po2 1/2、全圧1(atm)、単位時間当たりの排ガス中の全物質量n allは排気O2量算出部67に入力され、排気O2量算出部67では次式(12)に従って排ガス中のO2量GASo2(mol/sec)が算出される(排気O2量算出手段)。
吸着CO量算出部63で算出された触媒上の吸着CO量CATco、反応速度算出部66で算出された反応速度r、排気O2量算出部67で算出された排気O2量GASo2は最小選択部68に入力され、最小選択部68ではこれらの値の最小値がCOの反応量Rct(mol/sec)として選択される。基本的にCOとO2との反応は、吸着CO量CATcoと排気O2量GASo2との何れか小の側の供給量により定まるが、反応速度rを越える反応は不可能であるため、反応速度rを加えた3つの要件の最小値がCO反応量Rctとして決定される。
吸着率更新部72で算出されたCO吸着率θcoは上限クリップ部73により上限を1.0に制限され、下限クリップ部74により下限を0に制限される。各クリップ部73,74での処理は、何らかの要因により不適切なCO吸着率θcoが算出された場合への対策であり、これらの処理後のCO吸着率θcoが次回のECU21の処理で適用される。
図3はECU21の排ガス・触媒間の熱伝達量算出部80の処理を示す制御ブロック図である。排ガスと触媒9との間の熱伝達量ΔHtは、排ガスと触媒9との温度差、排ガスと触媒9との接触面積、及び熱伝達係数に依存し、これらの間には次式(14)が成立する。
ここに、Svは触媒9の比表面積、hは熱伝達係数、Texは推定処理により推定された排ガス温度、Tcatfは触媒温度、Vcatは触媒体積である。なお、ここではTexは、推定処理により推定された排ガス温度としているが、図1に示すように排気温度センサ11を用いて検出するようにしてもよい。
また、熱伝達係数算出部82では、予め設定されたマップに従って吸入空気量Q及び排ガス温度Texから熱伝達係数hが算出される。温度差算出部83では、排ガス温度Texと仮触媒温度Tcat(触媒温度Tcatfのフィルタ処理前の値)との差ΔTが算出される。
次に、上記燃料復帰時の触媒9に吸蔵されたO2によるCO浄化反応熱量ΔHcの算出処理について説明する。
上記燃料カット時の触媒上でのCOの挙動と同様に、燃料復帰時には排ガス中のCOとの反応により触媒上からO2が放出される現象のみならず、排ガス中のO2が触媒上に吸蔵される現象も並行して発生しており、これらの現象が相俟って触媒9のO2吸蔵率θo2、ひいては燃料復帰時のCO浄化反応熱量ΔHcに影響を及ぼす。そこで、当該CO浄化反応熱量ΔHcの算出処理では、触媒上からのO2の放出及び触媒上へのO2の吸蔵を考慮して触媒9の吸蔵O2量を算出し、この吸蔵O2量をCO浄化反応熱量ΔHcの算出処理に反映させている。
ここに、rρo2は実際の触媒9のO2吸蔵サイトである。
吸蔵サイト算出部91で算出された吸蔵サイトρo2及び前回処理時のO2吸蔵率θo2はO2放出能力量算出部92に入力され、O2放出能力量算出部92では、これらの入力値に基づき次式(16)に従って現在の触媒9のO2放出能力量Cred(mol)が算出される。
なお、上式(15)で−1の乗算によりO2放出能力量Credを負の値として設定しているのは、O2放出がO2吸蔵率θo2に対して減少側に作用するためである。
また、減算部93では1からO2吸蔵率θo2が減算され(1−θo2)、減算後の値と上記吸蔵サイト算出部91で算出された吸蔵サイトρo2とがO2吸蔵能力量算出部94に入力され、O2吸蔵能力量算出部94では、これらの入力値に基づき次式(17)に従って現在の触媒9のO2吸蔵能力量Cad(mol)が算出される。
一方、O2過不足量算出部95では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って排ガス中のO2過不足量ΔO2(vol%)が求められる。当該O2過不足量ΔO2はストイキオを基準としたO2の過剰量またはO2の不足量を意味し、排気空燃比A/Fに応じて設定される。設定されたO2過不足量ΔO2は単位時間当たりの排ガス中の全物質量n all(mol/sec)と共に換算部96に入力され、単位時間当たりの値(mol/sec)に換算される。
expΔO2=Rct/2 ………(18)
減算部98には、換算部96で換算後のO2過不足量ΔO2、及びO2消費量算出部97で算出されたO2消費量expΔO2が入力され、次式(19)に従って、排ガスをストイキオにするために必要な(即ち、排ガスを浄化するために必要な)単位時間当たりのO2量としてO2ストイキオ必要量Δado2が算出される。具体的には、排気空燃比A/Fがリッチ側で排ガス中のCOのO2による酸化反応を要するときには触媒上からの放出O2量(負の値)として、また、排気空燃比A/Fがリーン側で余剰O2の吸蔵を要するときには触媒上への吸蔵O2量(正の値)としてO2ストイキオ必要量Δadθo2が算出される。算出されたO2ストイキオ必要量Δado2は換算部99に入力され、次式(20)に従って演算周期f間の値Δadθo2に換算される。
Δadθo2=Δado2・f ………(20)
換算後のO2ストイキオ必要量Δadθo2は、上記触媒9のO2放出能力量Cred及びO2吸蔵能力量Cadと排気空燃比A/Fと共にO2放出吸蔵量算出部100に入力される。O2放出吸蔵量算出部100では、排気空燃比A/Fがストイキオ以下のリッチ側で、触媒上においてO2の放出現象が生起されていると推測されるときには、O2放出能力量CredとO2ストイキオ必要量Δadθo2との大の側が選択される(共に負の値のため絶対値では小の側となる)。また、排気空燃比A/Fがストイキオを越えてリーン側で、触媒上においてO2の吸蔵現象が生起されていると推測されるときには、O2吸蔵能力量CadとO2ストイキオ必要量Δadθo2との小の側が選択される。
吸蔵率更新部102で算出されたO2吸蔵率θo2は上限クリップ部103により上限を1.0に制限され、下限クリップ部104により下限を0に制限される。
以上のように算出された触媒9のO2吸蔵率θo2が図4に示すF/C復帰時浄化熱量算出部110のA/F判定部111に入力される。A/F判定部111では、O2吸蔵率θoが0(O2の放出限界)または1.0(O2の吸蔵限界)であり触媒9がO2ストレージ機能を奏していないと判定したときには、触媒上の空燃比として排気空燃比A/Fが選択される(空燃比推定手段)。また、O2吸蔵率θoが0>θ0>1.0の条件を満たして触媒9がO2ストレージ機能を奏していると判定したときには、触媒上の空燃比としてストイキオが選択される(空燃比推定手段)。
図6はECU21が実行する触媒温度推定部120の処理状況を示す制御ブロック図である。F/C時反応熱量算出部50で算出された燃料カット時のCO酸化反応熱量ΔHr、上記F/C復帰時反応熱量算出部110で算出された燃料復帰時のCO浄化反応熱量ΔHc、熱伝達量算出部80で算出された排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtが総熱量算出部121に入力される。上記のように燃料カット時にはCO酸化反応熱量ΔHrと排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtとが有効値として算出され、燃料復帰時にはCO浄化反応熱量ΔHcと排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtとが有効値として算出されるため、総熱量算出部121ではそれぞれの場合に対応する2つの値が加算されて触媒温度上昇の要因となる総熱量ΣHが算出される。
第3フィルタ部127では上記第2触媒温度セルTf2、フィルタゲインKca、前回処理時の第3触媒温度セルTf3(第3フィルタ処理後の触媒温度)に基づき、今回の第3触媒温度セルTf3が算出され、この第3触媒温度セルTf3が記憶されると共に最終的な触媒温度Tcatfとして出力される。吸入空気量Qと共にフィルタゲインKcaが増加されるほど、各フィルタ部125〜127の処理では前回値が反映され難くなって今回値に近い値が算出され、結果として最終的な触媒温度Tcatfは吸入空気量Qと相関する触媒中での熱伝導を模擬した値として算出される。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では燃料カット時と燃料復帰時との双方で共に触媒温度Tcatfを推定したが、必ずしも燃料復帰時に触媒温度Tcatfを推定する必要はなく、例えば燃料カット時のみにCO酸化反応熱量ΔHrに基づいて触媒温度Tcatfを推定するようにしてもよい。また、上記実施形態ではエンジン1は筒内噴射型火花点火式のガソリンエンジンとして説明したが、これに限定されることはなく、吸気ポートに燃料を供給するガソリンエンジンであってもよく、またディーゼルエンジンでも本発明を適用可能である。
9 床下触媒
10 空燃比センサ(排気空燃比検出手段)
21 ECU
23 回転速度センサ(運転状態検出手段)
55 脱離速度算出部(脱離速度算出手段)
57 吸着速度算出部(吸着速度算出手段)
63 吸着CO量算出部(吸着リッチ成分量算出部)
65 反応速度算出部(反応速度算出手段)
67 排気O2量算出部(排気O2量算出手段)
70 ΔHr算出部(酸化反応熱量算出手段)
84 ΔHt算出部(熱伝達量算出手段)
102 吸蔵率更新部(O2ストレージ指標算出手段)
111 A/F判定部(空燃比推定手段)
112 ΔHc算出部(浄化反応熱量算出手段)
123 触媒温度算出部123(触媒温度推定手段)
Claims (7)
- エンジンの排気通路に設けられた排ガス浄化用触媒の温度を推定する触媒温度推定装置において、
上記エンジンの燃料カット時に上記触媒上に吸着している未燃燃料の成分量を算出する吸着未燃燃料成分量算出手段と、
上記燃料カット時に排ガス中に含まれるO2量を算出する排気O2量算出手段と、
上記吸着未燃燃料成分量算出手段により算出された吸着未燃燃料成分量と上記排気O2量算出手段により算出された排気O2量とが反応したときの反応熱量を算出する酸化反応熱量算出手段と、
上記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
上記触媒に吸蔵されたO 2 量と相関するO 2 ストレージ指標を算出するO 2 ストレージ指標算出手段と、
上記触媒上の空燃比を推定する空燃比推定手段と、
上記エンジンの燃料復帰時において、上記運転状態検出手段により検出されたエンジン運転状態、上記O 2 ストレージ指標算出手段により算出されたO 2 ストレージ指標、及び上記空燃比推定手段により推定された空燃比に基づき上記触媒の浄化反応により発生する反応熱量を算出する浄化反応熱量算出手段と、
上記燃料カット時には上記酸化反応熱量算出手段により算出された反応熱量に基づき触媒温度を推定し、上記燃料復帰時には上記浄化反応熱量算出手段により算出された反応熱量に基づき触媒温度を推定する触媒温度推定手段と
を備えたことを特徴とする触媒温度推定装置。 - 上記空燃比推定手段は、上記O2ストレージ指標算出手段により算出されたO2ストレージ指標に基づき上記触媒がO2吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にあると判定したときには、排気空燃比検出手段により検出された排気空燃比を上記触媒上の空燃比と見なす一方、上記触媒が吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にないと判定したときには、理論空燃比を上記触媒上の空燃比と見なすことを特徴とする請求項1記載の触媒温度推定装置。
- 上記燃料カット時に上記エンジンから排出される排ガスと上記触媒との間の熱伝達量を算出する熱伝達量算出手段を備え、
上記触媒温度推定手段は、上記熱伝達量算出手段により算出された熱伝達量と上記酸化反応熱量算出手段により算出された反応熱量とから上記触媒の温度を推定することを特徴とする請求項1または2記載の触媒温度推定装置。 - 上記燃料カット時に上記触媒上の未燃燃料成分が吸着される吸着速度を算出する吸着速度算出手段と、
上記燃料カット時に上記触媒上から未燃燃料成分が脱離する脱離速度を算出する脱離速度算手段とを備え、
上記吸着未燃燃料成分量算出手段は、上記吸着速度算出手段により算出された吸着速度と上記脱離速度算手段により算出された脱離速度とに基づき、上記触媒上に吸着している未燃燃料成分量を算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の触媒温度推定装置。 - 上記吸着速度算出手段は、算出した未燃燃料成分の吸着速度より排ガス中の未燃燃料成分量が小のときには、該排ガス中の未燃燃料成分量を上記吸着速度と見なすことを特徴とする請求項4記載の触媒温度推定装置。
- 上記触媒の活性状態に基づき該触媒上の未燃燃料成分と排ガス中のO2との反応速度を算出する反応速度算出手段を備え、
上記酸化反応熱量算出手段は、上記吸着未燃燃料成分量、上記排気O2量、上記反応速度の内の最小値に基づいて上記反応熱量を算出することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の触媒温度推定装置。 - 上記触媒温度推定手段は、推定した触媒温度を上記触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタにより補正することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の触媒温度推定装置。
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