JPH1026034A - 車両の加速スリップ制御装置 - Google Patents

車両の加速スリップ制御装置

Info

Publication number
JPH1026034A
JPH1026034A JP8177894A JP17789496A JPH1026034A JP H1026034 A JPH1026034 A JP H1026034A JP 8177894 A JP8177894 A JP 8177894A JP 17789496 A JP17789496 A JP 17789496A JP H1026034 A JPH1026034 A JP H1026034A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cut
fuel
cylinders
cylinder
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8177894A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimoto Kawai
利元 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP8177894A priority Critical patent/JPH1026034A/ja
Publication of JPH1026034A publication Critical patent/JPH1026034A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
    • Y02T10/84Data processing systems or methods, management, administration

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Auxiliary Drives, Propulsion Controls, And Safety Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動輪の加速スリップを抑制するため、内燃
機関の出力トルクを低減する燃料カットをしても、触媒
等の排気系部品の過熱をより確実に防止する。 【解決手段】 ECU24は各速度センサ28,30に
より検出した駆動輪25と従動輪29との回転速度差か
ら加速スリップ量を算出し、この算出値に基づき加速ス
リップを抑制させるために必要な燃料カット気筒数を求
める。ECU24はエンジン1の各気筒の混合気濃度
(詳しくは燃料増量係数)を燃料カット気筒数決定のた
めのパラメータとして管理する。そして、ECU24は
燃料カットされる気筒から排出される酸素O2 と、燃料
供給される気筒から排出される未燃燃料(HC等)との
反応による触媒14の過熱を予測可能なマップにより、
このパラメータを用いて初期の燃料カット気筒数を必要
に応じて触媒14を過熱させないような燃料カット気筒
数に変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に加速スリッ
プが発生したときに、エンジンの燃料カット制御を行う
ことにより、エンジントルクを低下させて加速スリップ
を抑える車両の加速スリップ制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の加速スリップ制御装置が、例え
ば特開平2−233855号公報、特開平2−2454
33号公報、特開平7−166906号公報、特開平7
−217467号公報及び特開平7−247879号公
報等に開示されている。
【0003】例えば特開平2−233855号公報にお
いては、駆動輪を目標加速スリップ量に制御するための
目標トルクを算出し、目標トルクに応じて算出した燃料
カット気筒数の燃料カットを行うことにより、エンジン
の出力トルクを低下させて加速スリップを制御するよう
にしている。しかし、燃料カットされたために排気ガス
と共に多量の酸素O2 が触媒へ流れると、触媒での未燃
HC成分の酸化反応が促進されることになる。そして、
この触媒での発熱反応により触媒の温度が必要以上に上
がり過ぎた場合には、触媒が劣化するなどの熱害を早め
る恐れがある。
【0004】この問題を解決する対策として、例えば特
開平2−233855号公報においては、燃料カット気
筒から排出される多量の酸素O2 と他の気筒から排出さ
れる未燃HC成分とが反応して触媒が劣化することを防
止するため、空燃比をリーン側に補正することで、燃料
カット気筒数を減らすようにしている。そして、燃料カ
ット気筒数を減らすことにより、排気ガス中の酸素O2
量を減らすとともに、空燃比のリーン側への移行により
未燃HC成分を減少させ、触媒での発熱反応を抑制する
ようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高負荷
運転中に空燃比をリーン側に補正すると、排気ガス温度
が上昇するとともに失火を起こす恐れがあった。排気ガ
ス温度の上昇は、この高い温度の排気ガスに加熱される
触媒の温度上昇をもたらす。また、失火が起こること
は、燃焼室に取り込まれた混合気が全く燃焼しないか、
その一部が燃焼しないことを意味するため、排気ガスと
共に未燃焼燃料が触媒へ流れることとなる。触媒ではそ
の未燃焼の燃料によって急激な化学反応が起こり、この
化学反応熱により触媒の温度が急激に上昇する。そのた
め、空燃比をリーン側に補正することは、排気ガス温度
の上昇による触媒の温度上昇と、失火により排気ガスと
して排出された未燃焼の燃料の触媒での発熱反応とによ
り、触媒が過熱状態となってやはり熱害をもたらす恐れ
があった。
【0006】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その第1目的は、駆動輪の加速スリ
ップを抑制するために内燃機関の出力トルクを低下させ
る燃料カットをしても、触媒等の排気系部品に及ぶ恐れ
のある熱害をより確実に防止することができる車両の加
速スリップ制御装置を提供することにある。また、第2
の目的は、前記第1の目的を達成するために燃料カット
気筒数を変更しても駆動輪に逆トルクが作用して減速ス
リップすることを回避することにある。さらに、第3の
目的は、前記第1の目的を達成するために行われる燃料
カット気筒数の変更を1気筒未満単位の高い分解能で実
施し、きめ細かな制御を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め請求項1に記載の発明では、駆動輪M1の加速スリッ
プ量を検出する加速スリップ検出手段M2と、前記加速
スリップ量に基づき前記駆動輪M1を所定の目標加速ス
リップ量に制御するのに必要な内燃機関M3の目標トル
クを算出する目標トルク算出手段M4と、前記目標トル
クに応じて燃料カットすべき気筒数を算出する燃料カッ
ト気筒数算出手段M5と、燃料カットが行われる気筒M
6から排出される酸素量と燃料が供給される気筒M6へ
の燃料供給量とに基づき触媒M7での発熱反応によって
触媒温度が所定値以上となるか否かを判断する判断手段
M8と、前記判断手段M8により触媒温度が所定値以上
となると判断された場合に、燃料カットすべき気筒数を
変更する燃料カット気筒数変更手段M9と、前記燃料カ
ット気筒数変更手段M9により必要に応じて変更された
燃料カット気筒数に基づき前記内燃機関M3の燃料カッ
ト制御を行う燃料供給制御手段M10とを備えたことを
要旨としている。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の車両の加速スリップ制御装置において、前記燃料カ
ット気筒数変更手段M9は、前記判断手段M8により触
媒温度が所定値以上となると判断された場合に、前記燃
料カット気筒数算出手段M5により算出された燃料カッ
トすべき気筒数を増加させることを要旨としている。
【0009】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の車両の加速スリップ制御装置におい
て、前記燃料カット気筒数変更手段M9は、前記内燃機
関M3の燃料カットにより前記駆動輪M1に逆トルクを
引き起こすような前記燃料カット気筒数の変更を禁止す
る禁止手段を備えている。
【0010】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれか一項に記載の車両の加速スリップ制御
装置において、前記燃料カット気筒数算出手段M5及び
前記燃料カット気筒数変更手段M9は、1/N気筒(但
し、Nは2以上の自然数)単位の分解能で前記燃料カッ
ト気筒数の算出及び変更を行い、前記燃料供給制御手段
M10は、前記燃料カット気筒数変更手段M9により、
燃料カット気筒数が(K+n/N)気筒(Kは内燃機関
の気筒数未満で0以上の整数、nは1≦n<Nを満たす
自然数)と確定されると、前記内燃機関M3に対して1
サイクル毎にK気筒の燃料カットをするとともに、さら
にもう1気筒についてNサイクルにn回の割合で燃料カ
ットを実行する燃料カット気筒数制御手段を備えてい
る。
【0011】(作用)従って、請求項1に記載の発明に
よれば、図1に示すように、駆動輪M1の加速スリップ
量が加速スリップ検出手段M2により検出されると、目
標トルク算出手段M4により、この加速スリップ量に基
づき駆動輪M1を所定の目標加速スリップ量に制御する
のに必要な内燃機関M3の目標トルクが算出される。そ
して、燃料カット気筒数算出手段M5により、この目標
トルクに応じて燃料カットすべき気筒数が算出される。
そして、判断手段M8により、燃料カットが行われる気
筒M6から排出される酸素量と、燃料が供給される気筒
M6への燃料供給量とに基づき触媒M7での発熱反応に
よって触媒温度が所定値以上となるか否かが判断され
る。判断手段M8により触媒温度が所定値以上となると
判断された場合には、燃料カット気筒数変更手段M9に
より、燃料カットすべき気筒数が変更される。そして、
必要に応じて変更された燃料カット気筒数に基づき燃料
供給制御手段M10により内燃機関M3の噴射制御が行
われる。
【0012】燃料カット制御により触媒が過熱される要
因は、気筒M6から排出される未燃燃料(HC等)が存
在する状態で、気筒M6の一部が燃料カットされること
により、燃料カットされた気筒M6から排出される酸素
が、未燃燃料の触媒での反応を促進することに起因す
る。そこで、燃料カット気筒数変更手段M9は、触媒が
所定温度以上に過熱することを防止するため、燃料カッ
ト気筒数を変更する。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数変更手段M9は、判断手段M8により触媒温度
が所定値以上となると判断された場合に、燃料カット気
筒数算出手段M5により算出された燃料カットすべき気
筒数を増加させる。燃料カット気筒数を増加させること
により、燃焼に供されないまま触媒へ流れる空気量が増
えて触媒の空気冷却が促進されるとともに、触媒へ排出
される未燃燃料量が減少し、触媒での発熱反応が抑制さ
れる。また、未燃燃料に対して過剰な酸素が供給される
こととなって、触媒での反応が逆に抑制される。従っ
て、触媒を所定温度以上に過熱させることなく、燃料カ
ットを行うことが可能となる。
【0014】一方、燃料カット気筒数変更手段M9にお
ける触媒が所定温度以上とならないような燃料カット気
筒数の選択は、図2に示すように、燃料混合気比率(空
燃比に比例)に基づき行うことが挙げられる。燃料混合
気比率が、触媒の温度上昇の原因となる未燃燃料の触媒
への排出量を決める要因となるからである。例えば燃料
混合気比率(例えば値X)が、燃料カット気筒数算出手
段M5により算出された燃料カット気筒数(例えば「1
気筒」)で燃料カットを実行したときに、触媒を所定温
度以上に過熱する恐れがある燃料カット禁止領域にある
と判断されたとする。この場合、燃料カット気筒数を、
その燃料混合気比率(例えば値X)において、触媒を所
定温度以上に過熱させない燃料カット許容領域に入る
(例えば「2気筒」)まで増やしてやる。このように燃
料混合気比率をパラメータとして触媒を所定温度以上に
過熱させない燃料カット気筒数の選択が可能となる。な
お、燃料カット気筒数の選択方法は、燃料混合気比率を
パラメータとする判定方法に限定されず、触媒が所定温
度以上に過熱されないことを判定可能な適宜な方法を採
用できる。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数変更手段M9が、内燃機関M3の燃料カットに
より駆動輪M1に逆トルクを引き起こすような燃料カッ
ト気筒数の変更を行おうとすると、その変更が禁止手段
により禁止される。従って、燃料カット気筒数算出手段
M9により算出された燃料カット気筒数が、駆動輪M1
に逆トルクを引き起こすような燃料カット気筒数に変更
されることがない。そのため、駆動輪M1が逆トルクに
より減速スリップすることが防止される。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数算出手段M5及び燃料カット気筒数変更手段M
9は、1/N気筒(但し、Nは2以上の自然数)単位の
分解能で燃料カット気筒数の算出及び変更を行う。燃料
供給制御手段M10は、燃料カット気筒数変更手段M9
により、燃料カット気筒数が(K+n/N)気筒と確定
されると、燃料カット気筒数制御手段により、内燃機関
M3に対して1サイクル毎にK気筒の燃料カットをする
とともに、さらにもう1気筒についてNサイクルにn回
の割合で燃料カットを実行する。そのため、燃料カット
気筒数を変更しても、内燃機関M3の出力トルクを目標
トルクにより近い値で制御することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、本発明を具体化した第1実施
形態を図3〜図9に基づいて説明する。図4は直列型6
気筒エンジンを搭載する自動車に備えられた加速スリッ
プ制御装置の概略構成図である。内燃機関としてのエン
ジン1には複数(この実施例では「6個」)のシリンダ
2が設けられている。各シリンダ2にはピストン3が上
下動可能にそれぞれ設けられている。ピストン3はクラ
ンクシャフト1aに連結されており、ピストン3が上下
動することにより、クランクシャフト1aが回転され
る。各シリンダ2内において、ピストン3の頂部に面す
る側が燃焼室4となっている。各燃焼室4には点火プラ
グ5がそれぞれ設けられている。各燃焼室4は、吸気バ
ルブ6及び排気バルブ7を介して吸気通路8及び排気通
路9にそれぞれ連通されている。吸気通路8及び排気通
路9は、それぞれ互いに連結された複数の管路より構成
されている。各バルブ6,7はカムシャフトを含む動弁
装置(図示しない)によりクランクシャフト1aの回転
に連動して駆動される。各バルブ6,7はエンジン1の
吸気行程、圧縮行程、爆発行程及び排気行程の一連の行
程に同期して所定のタイミングで作動し、吸気ポート・
排気ポートを開閉する。
【0018】吸気通路8の入口側にはエアクリーナ10
が設けられている。各シリンダ2の近傍には、吸気ポー
トに燃料を噴射するための燃料供給制御手段を構成する
インジェクタ11がそれぞれ設けられている。各インジ
ェクタ11は通電により開弁される電磁弁である。周知
のように、各インジェクタ11には、燃料タンク(図示
しない)内の燃料が燃料ポンプ(図示しない)の作動に
基づいて圧送供給される。
【0019】吸気通路8にはエアクリーナ10を通じて
外気(空気)が取り込まれる。その空気の取り込みと同
時に、各インジェクタ11から燃料が噴射されることに
より、空気と燃料との混合気が、吸入行程で吸気バルブ
6が開かれる際に燃焼室4に吸入される。燃焼室4に吸
入された混合気は点火プラグ5の作動により爆発・燃焼
される。この燃焼によりピストン3に運動力が付与さ
れ、クランクシャフト1aに回転力が付与される。そし
て、燃焼後の排気ガスは、排気行程で排気バルブ7が開
かれる際に燃焼室4から排気ポートへ排出され、更に排
気通路9を通じて外部へと排出される。
【0020】また、吸気通路8の途中には、アクセルペ
ダル(図示しない)の操作に連動して開閉されるスロッ
トルバルブ12が設けられている。このバルブ12が開
閉されることにより、吸気通路8を通過する空気の量、
即ち吸気量Qが調節される。スロットルバルブ12の下
流には、吸気脈動を平滑化させるためのサージタンク1
3が設けられている。一方、排気通路9の途中には、排
気ガスを浄化するための触媒14が設けられている。こ
の触媒(三元触媒)14は、排気ガス中の炭化水素(H
C)、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素(NOx)を酸
化・還元する。
【0021】エアクリーナ10の近傍には、吸気温セン
サ15が設けられている。このセンサ15では、吸気通
路8に取り込まれる吸気の温度(吸気温)THAが検出
され、その大きさに応じた信号が出力される。スロット
ルバルブ12の近傍には、スロットルセンサ16が設け
られている。このセンサ16では、スロットルバルブ1
2の開度(スロットル開度)TAが検出され、その大き
さに応じた信号が出力される。更に、サージタンク13
には、吸気圧センサ17が設けられている。このセンサ
17では、サージタンク13内における吸気圧PMが検
出され、その大きさに応じた信号が出力される。排気通
路9の途中には、酸素センサ18が設けられている。こ
のセンサ18では、排気中の酸素濃度Oxが検出され、
その大きさに応じた信号が出力される。
【0022】エンジン1には、水温センサ19が設けら
れている。このセンサ19では、エンジン1の内部を流
れる冷却水の温度(冷却水温)THWが検出され、その
大きさに応じた信号が出力される。
【0023】各点火プラグ5には、ディストリビュータ
20にて分配された点火信号が印加される。ディストリ
ビュータ20はイグナイタ21から出力される高電圧が
クランクシャフト1aの回転、即ちクランク角度に同期
して各点火プラグ5に分配するものであり、各点火プラ
グ5の点火タイミングはイグナイタ21からの高電圧出
力タイミングにより決定される。つまり、イグナイタ2
1はエンジン1の運転状態に応じた点火時期に点火信号
を発生させるための装置である。
【0024】ディストリビュータ20には、そのロータ
の20aの回転からエンジン1の回転数(エンジン回転
数NE)を検出する回転数センサ22、ロータ20aの
回転に応じてエンジン1のクランク角の変化を所定の割
合で検出する気筒判別センサ23がそれぞれ設けられて
いる。この実施形態では、1行程に対してエンジン1が
2回転するものとして、気筒判別センサ23「30°C
A」の割合でクランク角を検出するようになっている。
【0025】図4に示すように、各インジェクタ11、
イグナイタ21は電子制御装置(以下単に「ECU」と
いう)24に電気的に接続され、ECU24によりそれ
ぞれ所定の駆動タイミングで駆動制御される。ECU2
4には、吸気温センサ15,スロットルセンサ16、吸
気圧センサ17、酸素センサ18、水温センサ19、回
転数センサ22、気筒判別センサ23が接続されてい
る。ECU24は各種センサ15〜19,22,23か
らの出力信号に基づきインジェクタ11及びイグナイタ
21を好適に駆動制御する。なお、このECU24は、
加速スリップ検出手段及び燃料供給制御手段を構成する
とともに、目標トルク算出手段、燃料カット気筒数算出
手段、判断手段及び燃料カット気筒数変更手段として機
能する。
【0026】エンジン1のクランクシャフト1aの回転
を駆動輪25に伝達する動力伝達系には、トルクコンバ
ータ26aを備えた自動変速機26が設けられている。
エンジン1の出力トルク(エンジントルク)は、自動変
速機26及び周知のディファレンシャルギヤ27を介し
て駆動輪25に伝達されるようになっている。
【0027】また、この車両には、左右の駆動輪25の
回転速度をそれぞれ検出する加速スリップ検出手段を構
成する駆動輪速度センサ28と、左右の従動輪29の回
転速度をそれぞれ検出する加速スリップ検出手段を構成
する従動輪速度センサ30とが設けられている。各速度
センサ28,30はECU24に接続され、それぞれ駆
動輪25及び従動輪29の回転速度に応じた大きさの出
力信号を出力する。そして、ECU24は各速度センサ
28,30から入力した検出信号に基づき駆動輪25と
従動輪29との回転速度差ΔVから駆動輪25の加速ス
リップ量ΔSLを算出する。
【0028】次に、ECU24に係る電気的構成を図5
のブロック図に従って説明する。ECU24は中央処理
装置(CPU)31、読み出し専用メモリ(ROM)3
2、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、バックア
ップRAM34,タイマ35及びカウンタ36等を備え
ている。CPU31は演算等を実行する。ROM32に
は所定の制御プログラム等が予め記憶されている。RA
M33はCPU31の演算結果等を一時記憶する。バッ
クアップRAM34は記憶されたデータを保存する。タ
イマ35はECU24に電力が供給されることによりカ
ウントアップを続行するフリーランニングカウンタより
構成されており、そのカウント値は時刻を表すことにな
る。カウンタ36は6種類のカウンタC1〜C6を備
え、CPU31からの制御信号に基づきセット・リセッ
トされるともに、所定数値を計数する。そして、ECU
24はこれら各部31〜35と、アナログ/デジタル変
換器を含む外部入力回路37と外部出力回路38等とを
バス39により接続してなる論理演算回路として構成さ
れている。
【0029】外部入力回路37には、前述した各センサ
15〜19,22,23,28,30等がそれぞれ接続
されている。外部出力回路38には、前述した各部材1
1,21等がそれぞれ接続されている。そして、CPU
31は外部入力回路37を介して入力される各センサ1
5〜19,22,23等の検出信号に基づきエンジン1
の運転状態を把握し、エンジン1の運転状態に応じて各
気筒#1〜#6に対する燃料噴射量制御及び点火時期制
御等を実行する。また、CPU31は駆動輪速度センサ
28及び従動輪速度センサ30から入力した検出信号に
基づき駆動輪25の加速スリップを検出すると、そのス
リップを抑えるべくエンジン1の燃料カット制御を実行
してエンジントルクを低減するトルク低減制御を実行す
る。
【0030】ROM32には、CPU31が前述した各
制御を実行するための各種プログラムデータが記憶され
ている。プログラムデータとしては、図6に示す「燃料
噴射量算出ルーチン」、図7,図8に示す「トルク低減
制御ルーチン」、図9に示す「燃料噴射制御ルーチン」
等がある。
【0031】この実施形態では、以下のような基本的な
考え方に基づいてトルク低減制御のための燃料カット制
御が行われている。加速スリップが発生したときにはそ
のスリップを抑えられるような燃料カット気筒数が求め
られる。この燃料カット気筒数でそのまま燃料カットを
行うと、燃料カットされた気筒からは未燃の空気がその
まま排出されるため、燃料が噴射されて通常通り燃焼が
行われた気筒から排出された未燃燃料(HC等)が触媒
14で反応する際、未燃の空気による多量の酸素により
未燃燃料の触媒14での反応が促進され、触媒14の過
熱がもたらされることとなる。このような触媒14の過
熱は、触媒14へ排出される未燃燃料の量が多くなるほ
ど助長される。そこで、未燃燃料の排出量を増やす要因
を幾種かのパラメータで管理し、これらのパラメータに
触媒14が過熱しないようなしきい値(ガード値)を設
定している。そして、これらのパラメータがガード値を
越えるような燃料カット気筒数での燃料カットを実行さ
せないように、燃料カット気筒数を変更する処理を行っ
ている。
【0032】この実施形態では、排気ガス中の未燃HC
濃度が高くなる要因として主に次の3つが挙げられる。
(1) エンジン1の運転状態が例えば過渡状態・高負荷状
態にあるときには、ベースの燃料量に対しての燃料を増
量する燃料増量制御をしており、このような燃料増量制
御が実行されているときには、排気ガス中の未燃HC/
酸素O2 値が高くなる。
【0033】(2) 吸入空気温(吸気温)THAが低温の
場合、空気密度が高く1気筒内に取り込まれる酸素量
(酸素質量)が増大し、また噴射した燃料が気化し難い
ため吸気管の壁面に付着してしまう場合もあり、その分
だけ噴射燃料量を余分に噴射する制御が行われる。その
ため、このような吸気温THAによる燃料増量制御が実
行されているときには、排気ガス中の未燃HC/酸素O
2 値が高くなる傾向にある。この燃料増量は吸気温低下
による吸入酸素質量の増加に対して行われるものである
ため、燃料増量分のうち一部が混合気比率を高めること
となる。
【0034】(3) 燃料カット後は必ず燃料を増量する制
御をしている。燃料カットの継続時間が長いと、インジ
ェクタ11から燃焼室4までの吸気通路8の壁面に付い
ている燃料が乾いてしまう。通常は壁面に少しついてい
る状態で常時燃焼が行われるが、燃料カット復帰後は噴
射しても乾いた壁面に燃料の一部が付着してしまい、燃
焼室4において混合気濃度がリーンになって失火する可
能性がある。失火は排気ガス中の未燃燃料を増やし、触
媒14の過熱を助長させる。そのため、燃料カット復帰
後は、失火を起こさないように壁面に付着する分を考慮
して余分に燃料を噴射している。この燃料増量分は混合
気濃度を通常の値に保つためのものであるため、本来は
余剰燃料とはならない。しかし、燃料カット・噴射が短
時間(所定インターバル)に繰り返されると、この燃料
カット復帰毎の燃料増量分が未燃HCの増加の原因とな
る場合がある。
【0035】上記の(1) 〜(3) の要因を、実際に採用す
る燃料カット気筒数の良否を判断するためのパラメータ
としている。つまり、理想混合気よりも燃料が増量され
た増量分を未燃燃料の原因と考え、混合気中の燃料増量
分を監視することにより、触媒14へ流れる未燃燃料量
(HC等)を管理し、一方、燃料カット気筒数により触
媒14へ流れる酸素量を予測して、この未燃燃料量と酸
素量との比率から触媒14での発熱量を予測するように
している。また、燃料カットをするとその気筒から排出
される未燃の空気により触媒14が空気冷却されるた
め、このような触媒14の空気冷却効果を燃料カット気
筒数から加味するようにしている。また、燃料カットを
した気筒からは結果的に未燃燃料が排出されなくなるこ
とも加味している。
【0036】本実施形態では、パラメータとして上記
(1) 〜(3) の要因を燃料増量係数に換算したものを用い
るようにしている。これは、各要因が組み合わされた結
果として混合気中の燃料増量分が決まるためで、各要因
毎の燃料増量分を加算することにより、混合気中の燃料
増量分が求まるからである。そして、気筒毎の燃料増量
係数を総和したもの(総燃料増量係数という)を、燃料
カット気筒数決定のためのパラメータとしている。そし
て、総燃料増量係数のガード値を燃料カット気筒数毎に
求めたものが、図3に示すマップMP1である。このマ
ップMP1はROM32に記憶されている。なお、燃料
増量係数とは、燃料のベース値BO に対する増量率を示
す係数であり、ベース値BO に(1+燃料増量係数A)
を乗ずると燃料噴射量が求まる。
【0037】次に上記(1) 〜(3) の要因による燃料増量
係数の求め方について説明する。この実施形態では、燃
料噴射量算出のためのパラメータとして(1) 及び(2) の
要因別に燃料増量係数A1,A2をそれぞれ管理してい
る。そのため、(1) の要因については、燃料増量分がそ
のまま混合気濃度の増加に繋がるため、この燃料増量係
数A1をそのままパラメータとして用いる。また、(2)
の要因については、この燃料増量係数A2のうち一部
(低温時の増加酸素質量に対する過剰増量分)が混合気
濃度の増加に寄与するだけなので、燃料増量係数A2か
らマップ(図示せず)に基づき混合気濃度の増加に寄与
する分(燃料増量係数ΔA2)を求めるようにしてい
る。
【0038】また、(3) の要因については、次回の燃焼
サイクル前の所定単位時間における各気筒#1〜#6毎
の燃料カット・噴射の切り換え回数RNj(j=1,
2,…,6)を、カウンタC1〜C6に計数させるよう
にし、これらカウンタC1〜C6の計数値RNjからマ
ップ(図示せず)に基づき混合気濃度の増加に寄与する
分(燃料増量係数A3j)を気筒#1〜#6毎に求める
ようにしている。
【0039】そして、気筒#1〜#6毎に燃料増量係数
A1,ΔA2,A3jを加算し、気筒#1〜#6毎の燃
料増量係数Ajを求める。この燃料増量係数Ajは気筒
#1〜#6毎に異なる値をとり得るため、本実施形態で
は、各気筒#1〜#6毎の燃料増量係数Ajを総和した
総燃料増量係数ATを燃料カット気筒数を決定するため
の判定量とし、気筒#1〜#6毎に異なる1気筒当たり
の燃料増量係数Ajの実質的な平均化を図るようにして
いる。
【0040】なお、エンジン1において燃料噴射方式は
運転状態によって切り換わるようになっており、運転状
態が燃料カット禁止領域になく、しかも独立噴射方式が
実行されているときに燃料カット制御(トルク低減制
御)が実行されるようになっている。また、水温が所定
温度以下の低温時など、所定運転条件においてはトルク
低減制御は実行されない。さらに、低水温のときに燃料
カットを強制実行するためガードを無視する所定時間を
計時するためのカウンタ(図示せず)を備え、その時間
を越えて燃料カットしようとすると禁止がかかるように
なっている。
【0041】次に、この加速スリップ制御装置の作用に
ついて説明する。通常の燃料噴射制御は次のように行わ
れる。まず、ステップ100において、スロットル開度
TA,エンジン回転数NE,吸気温THA,水温TH
W,吸気圧PM等のデータを読み込む。そして、ステッ
プ110において、これらのデータから得られる負荷率
に基づき燃料増量係数A1を算出する。この負荷率とは
エンジン1の運転状態が過渡状態や高負荷状態にあると
きの負荷の程度を示す値である。また、ステップ120
において、吸気温THAに基づき吸入空気密度(酸素質
量)に応じた燃料増量係数A2を算出する。
【0042】次のステップ130では、燃料カット復帰
後の燃料増量を実行中であるか否かの判断をするための
噴射増量フラグF1を各気筒について調べる。このフラ
グ値が「1」となる気筒が1つでもあれば、ステップ1
40に進み、このフラグ値が「1」となる気筒が1つも
なければステップ150に進む。ステップ140では、
該当する気筒#j(j=1,2,…,6)に対する燃料
カット復帰増量値Bjを算出する。燃料カット復帰増量
値Bjは燃料カット復帰時からの経過時間と共に減衰す
る値であり、これ専用のカウンタが計数する燃料カット
復帰時からの経過時間と、燃料カット復帰増量値Bjの
初期値Bjo とから求められる。ステップ150ではこ
れらの燃料増量係数A1,A2(<1)及び燃料カット
復帰増量値Bjに基づき燃料噴射量Sj (j=1,2,
…,6)を算出する。すなわち、 Sj =(1+A1+A2+Bj)×Sb (但し、Sb は
燃料噴射量のベース値) を算出する。こうして各気筒に対する燃料噴射量Sj が
それぞれ決まる。
【0043】CPU31は、トルク低減制御フラグFTR
C が「0」(エンジン始動時等の特別な場合はFTRC 値
が「0」となる)でない限り、各サイクル毎に図7,図
8に示す「トルク低減制御ルーチン」を実行する。
【0044】まず、ステップ200において、駆動輪車
速センサ28と従動輪車速センサ30からの各検出信号
に基づき、駆動輪25の回転車速VRと従動輪29の回
転速度VFを算出する。次のステップ210では、回転
速度VR,VFの速度差ΔV=VR−VFを算出する。
さらにステップ220では、この速度差ΔV(≧0)に
基づき加速スリップ量ΔSLを算出する。次のステップ
230では、加速スリップ量ΔSLが予め設定された許
容値SLo を越えるか否かを判断する。ΔSL≦SLo
であればステップ240に進み、燃料カットフラグFF
Cを「0」とし、このトルク低減制御ルーチンを終了す
る。一方、ΔSL>SLo であればステップ250に進
む。
【0045】ステップ250では、現在のエンジントル
クTEを算出する。このエンジントルクTEは、現在の
エンジン回転数NEと負荷率とからマップ(図示せず)
に基づき算出される。次のステップ260では、加速ス
リップ量ΔSLを許容値SLo に抑えることができる目
標エンジントルクTSをΔSL値に基づき算出する。こ
の目標エンジントルクTSは、加速スリップ量ΔSLに
基づきギヤ比,路面摩擦係数,車両重量等の各種読込み
データを用いて算出される。そして、ステップ270で
は、現在のエンジントルクTEと目標エンジントルクT
Sとのトルク差ΔTRを算出する。
【0046】ステップ280では、このトルク差ΔTR
を無くすために必要な燃料カット気筒数ΔFCNをマッ
プを用いて算出する。そして、ステップ290におい
て、1サイクル前の処理で確定された燃料カット気筒数
FCR(現在実行中の燃焼サイクルにおいて燃料カット
を行っている燃料カット気筒数に等しい値であり、全気
筒噴射であれな「0」値となっている)を読出し、FC
R+ΔFCNを燃料カット気筒数FCNとして保存す
る。このFCN値が次回サイクルの燃料カット気筒数の
要求値となる。本実施形態では、この燃料カット要求気
筒数FCNを、以下に続く処理において、触媒14が熱
害を受けないような好適な気筒数に必要に応じて変更す
る。
【0047】ところで、本実施形態では、各気筒#1〜
#6に対応する6つのカウンタC1〜C6が現時点より
前の所定単位時間における噴射・燃料カットの繰り返し
回数RNjをカウントしている。続くステップ300に
おいては、燃料増量係数A1,A2及び繰り返し回数R
Njを読み込む。ステップ310では、燃料増量係数A
2に基づき吸気温THAの低下時の燃料増量が混合気濃
度を増加させることになる余剰燃料分をマップを用いて
燃料増量係数ΔA2に換算した値として算出する。さら
に、繰り返し回数RNjに基づき燃料カット復帰増量が
混合気濃度を増加させることになる余剰燃料量をマップ
を用いて燃料増量係数A3jに換算した値として気筒#
1〜#6毎に算出する。そして、ステップ320におい
て、気筒毎の燃料増量係数A1,ΔA2,A3jを加算
した値を全気筒で総和し、次回1サイクル分の総燃料増
量係数ATを算出する。この総燃料増量係数ATは全気
筒噴射を行った場合に1サイクルで排出される未燃燃料
(HC等)の総量を一義的に定める値である。
【0048】ステップ330では、燃料カット要求気筒
数FCNを読み込み、FCNが「6気筒」以下の値であ
ることを確認する。そして、ステップ340では、燃料
カット要求気筒数FCNから図3のマップMP1を用い
てガード値ATGを算出する。図3のマップMP1にお
けるラインL上の値が各燃料カット気筒数FCNに対す
るガード値ATGとなっている。ガード値ATGは、1
サイクルの燃焼を実施したときに、その1サイクルで排
出される未燃HC量と酸素O2 量の濃度が触媒温度を所
定温度以上に過上昇させるような値を取り得る総燃料増
量係数ATの限界値を、燃料カット気筒数毎に表したも
のである。
【0049】次のステップ350では、総燃料増量係数
ATがガード値ATGより小さいか否か、すなわち総燃
料増量係数ATがその燃料カット気筒数FCNにおける
燃料カット許容領域にあるか否かを判断する。ここで、
AT≦ATGを満たせば、ステップ360に進んでFC
RにFCNをセットし、燃料カット気筒数を確定する。
そして次のステップ370において、次回のサイクルで
燃料カットを実行するための燃料カット実行フラグFF
Cを「1」とする。一方、AT>ATGが成立すれば、
すなわち燃料カット気筒数「FCN」で燃料カットを実
行すると触媒温度が所定温度以上に過上昇すると判定さ
れた場合には、ステップ380に進み、燃料カット気筒
数FCNをインクリメントした後、ステップ330に戻
る。
【0050】例えば燃料カット要求気筒数FCN=2の
ときに、AT>ATGが成立すれば、これは「2気筒」
の燃料カットを実行とすると、燃料が噴射された他の4
気筒からの排気ガス中の未燃HC量と、主に燃料カット
された2気筒から排気される空気による排気ガス中の酸
素O2 量との濃度比率が触媒14を所定温度以上に過熱
させることになる。そのため、このような場合には、燃
料カット気筒数を1つ増やし、排気される未燃HCの絶
対量を減らすとともに、燃料カット気筒から排出される
未燃の空気量を増やして触媒14の空気冷却効果を高
め、さらに排気ガス中の酸素O2 濃度を触媒14の過熱
反応が抑制されるような高い濃度領域にもっていくこと
により、触媒の過熱を抑えるようにしている。
【0051】そのため、ステップ350においてAT≦
ATGが成立するまで、燃料カット気筒数FCNを1気
筒ずつインクリメントし、ステップ330〜350,3
80の処理を繰り返し行う。そして、ステップ350に
おいてAT≦ATGが成立すれば、そのときの燃料カッ
ト気筒数FCNを実行気筒数FCRとして確定する(S
360,S370)。仮りにFCNを「6」までインク
リメントしてもAT≦ATGが成立しなければ、ステッ
プ330からステップ390に進み、燃料カット実行フ
ラグFFCを「0」にセットする。つまり、触媒の過熱
を回避するため全気筒噴射を確定する。
【0052】こうして以上の各ルーチンにおいて気筒#
1〜#6毎の燃料噴射量と燃料カット気筒数とが決定さ
れると、次に実際に今回の燃焼サイクルの燃料噴射を行
うため、図9に示す「燃料噴射制御ルーチン」を実行す
る。
【0053】まずステップ400において、気筒#1〜
#6毎の燃料噴射量Sj(j=1,2,…,6)を読み
込む。次のステップ410では、燃料カット実行フラグ
FFCが「1」であるか否かを判断する。このフラグF
FCが「0」であればステップ420に進み、燃料噴射
量Sj(j=1,2,…,6)で全気筒噴射を実行す
る。
【0054】一方、このフラグFFCが「1」であれ
ば、ステップ430に進み、先に確定した燃料カット気
筒数FCRを読み込む。そして、ステップ440におい
て、燃料カットの対象となる気筒の気筒番号#nを決定
する。この気筒番号#nはFCRから一義的に算出され
る。例えば1気筒カットであれば気筒番号#1が、2気
筒カットであれば気筒番号#1,#4が、3気筒カット
であれば気筒番号#1,#2,#4が決定される(直列
型6気筒エンジンの場合)。そして、ステップ450に
おいて、気筒番号#nの気筒の燃料噴射をカットする燃
料カット噴射を実行する。このとき燃料噴射気筒(#n
以外)では各気筒番号に応じた燃料噴射量Sjで燃料噴
射される。また、燃料カット気筒に対しては点火プラグ
5の点火もカットされる。
【0055】こうしてトルク低減制御ルーチンにより決
定された燃料カット気筒数FCRにて燃料カットを実行
しても、触媒14が所定温度以上に過熱されることがな
くなる。その結果、触媒14及びその他の排気系部品に
早期に熱害が及ぶことが回避される。なお、燃料カット
気筒数を増加する変更が行われても、エンジントルクが
少し要求値より余分に抑えられることになるだけである
ため、加速スリップは抑制される。
【0056】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下に列記する効果が得られる。 (a)1サイクル分の混合気中の過剰燃料を示す総燃料
増量係数ATを管理し、加速スリップを抑えるような燃
料カット気筒数FCNが要求された場合、総燃料増量係
数ATが燃料カット気筒数FCN毎のガード値ATG以
下となるように燃料カット気筒数FCNを増加変更する
ようにした。そのため、加速スリップを抑えるべく燃料
カットを実行しても、触媒14に早期に熱害を及ぼすよ
うな触媒14の過熱をより確実に抑えることができる。
【0057】(b)混合気をリーン側に移行させること
をしないので、従来技術において混合気をリーン側に移
行させたために招いていた排気ガス温度の上昇及び失火
による触媒の過熱を招くことがない。そのため、このよ
うな要因で触媒14が過熱することを確実に回避でき
る。
【0058】(第2の実施形態)次に、本発明を具体化
した第2実施形態を、図10,図11等に基づいて説明
する。この実施形態では、燃料カット気筒数FCNを増
加変更したためにエンジントルクが過剰に抑制されて引
き起こる恐れのある逆スリップ(減速スリップ)を防止
する調整制御をしている。ROM32には図7,図8に
代えて図10,図11に示す「トルク低減制御ルーチ
ン」が記憶されている。この「トルク低減制御ルーチ
ン」における燃料カット気筒数FCNの選定処理が前記
第1実施形態と異なり、他の制御については前記第1実
施形態と同様なので、以下、「トルク低減制御ルーチ
ン」について特に異なる点のみを説明する。
【0059】ステップ200〜ステップ220の処理で
加速スリップ量ΔSLを算出し、ステップ230におけ
る判断処理でΔSL>SLo が成立すると、ステップ2
50で現在のエンジントルクTEを算出するとともに、
ステップ260で加速スリップ量ΔSLに応じた目標エ
ンジントルクTSを算出する。
【0060】次のステップ265では、加速スリップ量
ΔSLに基づき下限エンジントルクTSmin を算出す
る。この下限エンジントルクTSmin は、駆動輪25に
逆スリップを発生させないような値であり、予め用意さ
れた計算式により、加速スリップ量ΔSLに基づきギヤ
比,路面摩擦係数,車両重量等の各種読込みデータを用
いて算出される。
【0061】ステップ270では、現在のエンジントル
クTEと目標エンジントルクTSとのトルク差ΔTRを
算出する。ステップ275では、現在のエンジントルク
TEと下限エンジントルクTSmin とのトルク差ΔTR
min を算出する。そして、ステップ280において、ト
ルク差ΔTRに基づいて燃料カット気筒数ΔFCNを算
出し、続くステップ285において、トルク差ΔTRmi
n に基づいて燃料カット気筒数ΔFCNmin を算出す
る。この燃料カット気筒数ΔFCNmin は、現在の燃料
カット気筒数(通常は「0気筒」)に対して燃料カット
気筒数をさらにΔFCNmin を越えた数だけ増やすと、
駆動輪25に逆トルク(マイナストルク)を発生すると
いう限界値を示す。
【0062】次のステップ290では、燃料カット気筒
数FCRを読出してFCR+ΔFCNを燃料カット気筒
数FCNとして保存する。ステップ295では、燃料カ
ット気筒数FCRを読出してFCR+ΔFCNmin を燃
料カット許容気筒数FCNmin として保存する。
【0063】次に、燃料増量係数A1,A2及び繰り返
し回数RNjを読み込むと(S300)、燃料増量係数
A2及び繰り返し回数RNjに基づきそれぞれのマップ
を用いて燃料増量係数ΔA2,A3jを算出し(S31
0)、次に各気筒毎にA1,ΔA2,A3jを加えた値
を全気筒で総和し、1サイクル分の総燃料増量係数AT
を算出する(S320)。
【0064】そして、以下の処理において、この総燃料
増量係数ATが、燃料カット要求気筒数FCNに対する
ガード値ATGを越えた値であると、総燃料増量係数A
Tをガード値ATG以下とする燃料カット気筒数FCN
までFCN値をインクリメントさせる訳であるが、この
ときのインクリメントさせる上限値を燃料カット許容気
筒数FCNmin に設定している。
【0065】すなわち、ステップ335において、FC
N≦FCNmin の判断処理を設け、ステップ350にお
いて、ステップ340で求めたそのときの燃料カット気
筒数FCNに対するガード値ATGを、総燃料増量係数
ATが越えていると判断すると、ステップ380におい
てFCN値をインクリメントする。そして、S335〜
S350,S380の処理を繰り返したときに、ステッ
プ350において、AT≦ATGを満たさないまま、ス
テップ335において、燃料カット気筒数FCNが燃料
カット許容気筒数FCNmin を越えるようなことになる
と(FCN≦FCNmin が不成立)、ステップ390に
進み、燃料カット実行フラグFFCを「0」とし、全気
筒噴射を実行するようにする。つまり、燃料カット許容
気筒数FCNmin を越えた気筒数での燃料カットの実行
が禁止され、駆動輪25が減速スリップを引き起すよう
なエンジントルクの抑制が禁止される。その結果、加速
スリップ発生時にトルク低減制御ルーチンに基づいて燃
料カット噴射制御が実行されても、駆動輪25が逆スリ
ップ(減速スリップ)することが回避される。
【0066】以上詳述したように本実施形態によれば、
前記第1実施形態と同様に、触媒14を所定温度以上に
過熱させないような燃料カット制御を実現できる他、次
の効果が得られる。
【0067】(a)駆動輪25が減速スリップを起こす
ような燃料カット気筒数FCRの変更(増加)を禁止し
たので、トルク低減制御のために燃料カットを実行した
ときには、駆動輪25の減速スリップの発生をほぼ確実
に防止することができる。 (第3の実施形態)次に本発明を具体化した第3実施形
態について図12〜図14に基づいて説明する。この実
施形態では、0.5気筒単位の燃料カットを実現し、よ
り細かなトルク低減制御を実現する点が前記各実施形態
と異なっている。
【0068】ROM32には図14に示す「燃料噴射制
御ルーチン」が記憶されており、図13に示すように
「トルク低減制御ルーチン」の一部が前記第1実施形態
と異なる。この実施形態では、「トルク低減制御ルーチ
ン」におけるCPU31の演算上のLSB(最小単位)
が0.5気筒に相当するように設定されており、FCN
値及びFCR値を燃料カット気筒係数として用いてい
る。つまり、燃料カット気筒係数FCNが「1」のとき
は「0.5気筒」,「2」のときは「1気筒」,「3」
のときは「1.5気筒」,…,「12」のときは「6気
筒」となる。そのため、FCN値が奇数のとき、例えば
「5」のときには「2.5気筒」となり、これで確定さ
れれば「2.5気筒」の燃料カット制御が行われる。
【0069】また、図12に示すように、総燃料増量係
数ATに対して燃料カット気筒係数FCN毎にガード値
ATGが設定されたマップMP2がROM32には記憶
されている。また、「トクル低減ルーチン」は、エンジ
ン1の2サイクル毎に実行されるようになっている。
【0070】以下、この実施形態におけるトルク低減制
御について、図6,図7,図13,図14等のフローチ
ャートに従って説明する。CPU31は、2サイクル毎
にトルク低減制御ルーチンを実行する。各気筒#1〜#
6毎の燃料噴射量Sjは1サイクル毎に前記各実施形態
と同様に図6のフローチャートに基づき算出される。
【0071】トルク低減制御ルーチンにおいては、図7
に示すように、速度センサ28,30の速度差ΔVに基
づき算出した加速スリップ量ΔSLが許容値SLo を越
えると(S200〜S230)、現在のエンジントルク
TEと目標エンジントルクTSを算出し、そのトルク差
ΔTRに基づき燃料カット気筒係数ΔFCNを算出する
(S250〜S280)。そして、ステップ290にお
いて、前回サイクルの燃料カット気筒係数FCRにΔF
CNを加算し、燃料カット要求気筒係数FCNとして保
存する。この燃料カット気筒係数FCNは「1〜12」
の範囲の値をとる。
【0072】続いて、燃料増量係数A1,A2、繰り返
し回数RNjを読み込むとともに(S300)、燃料増
量係数ΔA2,Bjを算出し、1サイクル分の総燃料増
量係数ATを算出する(S310,S320)。そし
て、このステップ320の処理を終えると、次に図13
に示すステップ338に進み、燃料カット気筒係数FC
Nが「12」以下であるか否かを判断する。FCN≦1
2が成立すれば、ステップ345に進み、図12に示す
マップMP2を用いてこのFCN値に応じたガード値A
TGを求める。ガード値ATGは「0.5気筒」毎の気
筒数に対して求められる。
【0073】そして、ステップ350において、総燃料
増量係数ATがガード値ATG以上であると判断すれ
ば、ステップ380に移行してFCN値をインクリメン
トし、総燃料増量係数ATがガード値ATG以下となる
まで、S338,S345,S350,S380の処理
を繰り返す。そして、AT≦ATGを満たせば、そのと
きの燃料カット気筒係数FCNをFCRにセットして確
定する。また、FCN値を「12」までインクリメント
しても、AT≦ATGが成立しないときには、ステップ
338からステップ390(図8)へ進み、フラグFF
Cを「0」として全気筒噴射が確定される。また、燃料
カット気筒係数FCRが確定されたときには、フラグF
FCを「1」とする(S370)。
【0074】次に、この実施形態では、図14に示す
「燃料噴射制御ルーチン」を実行する。まず、燃料カッ
ト気筒係数FCRが「奇数」である場合を例にして説明
する。この場合、フラグFFCには「1」がセットされ
ている。まず、ステップ500において、カウンタCT
に「1」を計数する。このカウンタCTはエンジン1の
始動時にリセットされた後、1サイクル毎に「1」を計
数する。次のステップ510では、気筒#1〜#6毎の
燃料噴射量Sjを読み込む。この燃料噴射量Sjは今回
のサイクルにおける燃料カット復帰増量分が考慮されて
いる。
【0075】ステップ520では、燃料カット実行フラ
グFFCが「1」であるか否かを判断する。この場合、
フラグFFCが「1」であることから、ステップ530
に進み、燃料カット気筒係数FCRを読み込む。次のス
テップ540では、燃料カット気筒係数FCRが奇数で
あるか否かを判断する。この場合、FCR値が奇数であ
ることから、ステップ550に進む。ステップ550で
は、カウンタCTの計数値Kが「偶数」であるか否かを
判断する。このカウンタCTが1サイクル毎に計数され
るのに対し、「トルク低減制御ルーチン」が2サイクル
毎に実行されることから、「トルク低減制御ルーチン」
が実行されたときのサイクルにおいては、カウンタCT
の計数値Kが必ず「奇数」となる。そのため、ステップ
560の処理に進む。
【0076】ステップ560では、燃料カット気筒数F
C=(FCR−1)/2を算出する。例えばFCR値が
「5」であれば、燃料カット気筒数FCは「2気筒」と
決まる。そして、次のステップ570において、燃料カ
ット気筒数FCから燃料カット気筒番号#nを決定する
と、ステップ580において、燃料カット噴射制御を実
行する。例えばFCR値が「5」の場合、「トルク低減
制御ルーチン」が実行された後の最初の燃焼サイクルで
は気筒番号#1,#4の2気筒が燃料カットされる。
【0077】そして、次のサイクルの「燃料噴射制御ル
ーチン」において、ステップ500で計数値Kに「1」
が計数されるため、カウンタCTの計数値Kが「偶数」
となる。そして、ステップ510から540までの処理
を終えてステップ550に進むと、この判断処理でカウ
ンタCTの計数値Kが「偶数」と判断されるため、今度
はステップ590に進む。
【0078】ステップ590では、燃料カット気筒数F
C=(FCR+1)/2を算出する。例えばFCR値が
「5」であれば、燃料カット気筒数FCは「3気筒」と
決まる。そして、次のステップ570において、燃料カ
ット気筒数FCから燃料カット気筒番号#nを決定する
と、ステップ580において、燃料カット噴射制御を実
行する。例えばFCR値が「5」の場合、「トルク低減
制御ルーチン」が実行された後の2回目のサイクルでは
気筒番号#1,#2,#4の3気筒が燃料カットされ
る。
【0079】このように燃料カット気筒係数FCRが例
えば「5」のような「奇数」の場合には、2気筒燃料カ
ットと3気筒燃料カットが1サイクル毎に交互に繰り返
されられることとなるため、トータルとして「2.5気
筒」の燃料カットをしたことに相当するエンジントルク
が得られる。つまり、気筒番号#2の気筒が2爆発に1
爆発抜かれることになるため、「0.5気筒」単位での
燃料カット制御が可能となる。
【0080】一方、燃料カット気筒係数FCRが「偶
数」である場合は、ステップ540において「偶数」と
判断されるため、ステップ600へ進み、燃料カット気
筒数FC=FCR/2を算出する。例えばFCR値が
「4」であれば、燃料カット気筒数FCは「2気筒」と
決まる。そして、次のステップ570において、燃料カ
ット気筒数FCから燃料カット気筒番号#nを決定する
と、ステップ580において、燃料カット噴射制御を実
行する。このような燃料カット気筒係数FCRが「偶
数」である場合は、2サイクル共に同気筒数で燃料カッ
トが実施される。また、ステップ520において、燃料
カット実行フラグFFCが「0」と判断された場合は、
ステップ610に進んで全気筒噴射が実行される。
【0081】以上詳述したように本実施形態によれば、
前記各実施形態と同様に、触媒14を所定温度以上に過
熱させないような燃料カット制御を実現できる他、以下
に列記する効果が得られる。
【0082】(a)「0.5気筒」単位での燃料カット
制御が可能となるため、エンジントルクを前記各実施形
態の2倍の高い分解能でより細かく制御することができ
る。従って、燃料カット気筒数を触媒14の過熱を避け
るために変更しても、「0.5気筒」単位で細かく選択
できるため、加速スリップを抑えるためのエンジントル
クを前記各実施形態よりもより目標値に近い値とするこ
とができる。
【0083】(b)前記第1及び第2実施形態におい
て、燃料カット気筒数FCNを「1」ずつインクリメン
トしていたものが、実質的に「0.5」ずつのインクリ
メントとすることになるので、例えば「5.5気筒」や
「(FCNmin −0.5)気筒」においてAT≦ATG
を満たすような場合、前記各実施形態ではエンジントル
クの抑制が実行されなかった。これに対し、この実施形
態によれば、このような場合にもエンジントルクの抑制
を実行することができる。
【0084】尚、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次の
ように構成することもできる。 (1)判断手段が燃料カット気筒数を決めるときに触媒
が所定温度以上となるか否かの判断のためのパラメータ
は、前記各実施形態に限定されない。混合気濃度を高め
るようなその他の燃料増量要因をパラメータの1つとし
て採用してもよい。また、燃料増量以外で混合気濃度を
高めるような要因があれば、それをパラメータの1つと
して採用することができる。例えば、過剰燃料量や混合
気濃度をパラメータとして採用してもよい。
【0085】(2)前記各実施形態では、混合気中の過
剰燃料を招く要因を同一の物理量(燃料増量係数)に変
換して総合的に判断したが、混合気中の過剰燃料の原因
となる要因(パラメータ)別にそのガード値を判定する
ためのマップを用意し、ガード値に引っ掛かるパラメー
タがあれば、燃料カット気筒数(気筒係数)を変更する
構成としてもよい。この場合、ガード値に引っ掛かるパ
ラメータが1つでもあったらFCN値を変更する構成と
してもよいし、ガード値に引っ掛かるパラメータの数か
ら総合的にFCN値を変更を判断する構成としてもよ
い。
【0086】例えば、前記繰り返し回数RNjに代え
て、燃料カット継続時間tfcや燃料噴射継続時間Tf を
管理し、これらの時間tfc,Tf 等にガード値を設定す
ることにより、次回の噴射サイクル前の所定単位時間に
おける燃料カット・噴射の繰り返し回数に起因する燃料
増量分の管理を、これらの時間tfc,Tf 等により間接
的に行うようにしてもよい。
【0087】(3)前記第3実施形態において、燃料カ
ット気筒数の分解能は1/2気筒単位に限定されない。
例えば1/3気筒単位の分解能で実施しても構わない。
すなわち、例えば(K+n/3)(Kは内燃機関の気筒
数未満で0以上の整数、nは1≦n<N(=3)を満た
す自然数)が確定されると、エンジンに対して1サイク
ル毎にK気筒の燃料カットを実行するとともに、さらに
もう1気筒については3サイクルにn回の割合で燃料カ
ットを実行する。もちろん、1/N(Nは4以上の自然
数)気筒の分解能でも構わない。このように燃料カット
気筒数の分解能を高くすればするほど、きめ細かな燃料
カット制御を実施することができ、例えば燃料カット気
筒数(気筒係数)FCNを変更(増加)してもエンジン
の出力トルクを目標トルクにより近づけた制御をするこ
とができる。なお、1/N気筒単位の分解能では「トル
ク低減制御ルーチン」をNサイクル毎に行う。
【0088】(4)前記各実施形態において、燃料カッ
ト気筒数(気筒係数)FCNが「6気筒」(但し、第3
実施形態では「12」)までインクリメントしてもステ
ップ350においてAT≦ATGとなる場合に、トルク
差ΔTRが所定許容トルク値を越える場合(加速スリッ
プ量が過大なとき)には、燃料カットを強制実行するよ
うにしてもよい。この構成によれば、加速スリップ抑制
開始時期の遅れを少しでも回避することができる。
【0089】(5)前記第3実施形態において、第2実
施形態に採用した燃料カット許容気筒数FCNmin に相
当する燃料カット許容気筒係数FCNmin を採用し、駆
動輪25に減速スリップを引き起こすマイナストルクを
発生させるような燃料カット気筒係数FCNの変更を禁
止する構成を採用してもよい。この構成によれば、燃料
カットの分解能を高くした構成において、駆動輪25の
減速スリップを招くようなトルク低減制御を回避でき
る。
【0090】(6)燃料カット気筒数の変更は燃料カッ
ト気筒数の増加に限定されない。例えば、エンジンの気
筒数や気筒当たりの排気量等の要因により、排出酸素量
を低減した方が触媒が所定温度以上に過熱されないと判
定されるようであれば、燃料カット気筒数を減少させて
も構わない。
【0091】(7)燃料カット気筒数をインクリメント
していっても、ガード値ATGに引っ掛からない燃料カ
ット気筒数が見つからなかったときには、許容最大気筒
数の燃料カットをするようにしてもよい。この場合、駆
動輪25に逆トルクが発生しない範囲内の燃料カット気
筒数とすることが望ましい。この構成によれば、触媒1
4の温度上昇を最小限に抑えつつ、駆動輪25の加速ス
リップを抑えることができる。
【0092】(8)前記各実施形態では、本発明を直列
型6気筒エンジンに適用したが、その他のエンジン型式
において本発明を適用してもよい。例えばV型エンジン
に適用してもよいし、4気筒エンジンに適用してもよ
い。
【0093】前記各実施形態から把握され、特許請求の
範囲に記載されていない技術思想(発明)を、その効果
とともに以下に記載する。 (イ)請求項3に記載の発明において、前記N値は
「2」である。この構成によれば、前記燃料カット気筒
数算出手段及び前記燃料カット気筒数変更手段は、1/
2気筒単位の分解能で前記燃料カット気筒数の算出及び
変更を行い、燃料供給手段は、燃料カット気筒数変更手
段により燃料カット気筒数が(K+1/2)気筒(Kは
内燃機関の気筒数未満で0以上の整数)と確定される
と、燃料カット気筒数制御手段により、内燃機関に対し
てK気筒燃料カットと(K+1)気筒燃料カットを1サ
イクルずつ交互に実行する。従って、簡単な内燃機関の
制御で燃料カット気筒数の分解能を1気筒未満とするこ
とができる。
【0094】(ロ)請求項1〜請求項4及び前記(イ)
のいずれか一項の発明において、前記燃料カット気筒数
変更手段は、燃料噴射量を決めるためそのベース値に対
する燃料増量の程度を示すパラメータ(燃料増量係数)
からマップに基づき燃料カット気筒数を算出する。この
構成によれば、燃料噴射量を決めるためのパラメータを
利用して触媒を所定温度以上に過熱させない燃料カット
気筒数を選択するため、新たな判定量を設定しなくて済
む。
【0095】(ハ)前記(ロ)の技術思想(発明)にお
いて、前記燃料カット気筒数変更手段は、各気筒におけ
る単位時間当たりの燃料カット・噴射の繰り返し回数を
燃料カット気筒数を選択するためのパラメータの1つと
する。この構成によれば、燃料カットから燃料噴射復帰
した気筒に対して失火防止を目的として燃料増量を実施
する構成とした場合でも、単位時間当たりの燃料カット
・噴射の繰り返し回数が燃料カット気筒数を選択するた
めの1つのパラメータとされるため、燃料カット・噴射
が短時間に繰り返されたことに起因するその気筒から排
出される未燃燃料の増量分が考慮して、触媒を所定温度
以上に過熱させない燃料カット気筒数を選択することが
できる。
【0096】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、駆動輪の加速スリップを抑制するために算
出された燃料カット気筒数を、燃料カットが行われる気
筒から排出される酸素量と、燃料が供給される気筒への
燃料供給量に基づき予測した触媒での発熱反応により触
媒が所定温度以上となると判断した場合に、燃料カット
気筒数を変更するようにしたので、触媒等の排気系部品
に及ぶ恐れのある熱害をより確実に防止することができ
る。
【0097】請求項2に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数変更手段により算出された燃料カット気筒数が
触媒を所定温度以上に過熱させると判断された場合、燃
料カット気筒数を増加させる変更を行うようにしたた
め、触媒の空気冷却を促進するとともに、触媒で反応す
る未燃燃料の排出量を減少させ、触媒での発熱反応を抑
制することができる。
【0098】請求項3に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数変更手段が、内燃機関の燃料カットにより駆動
輪に逆トルクを引き起こすような燃料カット気筒数の変
更を行おうとすると、その変更が禁止手段により禁止さ
れるようにしたので、駆動輪が逆トルクにより減速スリ
ップすることを防止することができる。
【0099】請求項4に記載の発明によれば、燃料カッ
ト気筒数が(K+n/N)気筒と確定されると、燃料カ
ット気筒数制御手段により、内燃機関に対して1サイク
ル毎にK気筒の燃料カットをするとともに、さらにもう
1気筒についてNサイクルにn回の割合で燃料カットす
るようにし、1/N気筒単位の分解能で燃料カット制御
を行うようにしたので、きめ細かな燃料カット制御を実
現することができ、燃料カット気筒数を変更しても内燃
機関の出力トルクを目標トルクにより近づけることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念構成図。
【図2】本発明の作用を説明するためのグラフ。
【図3】第1実施形態におけるマップ図。
【図4】加速スリップ制御装置の概略構成図。
【図5】同じく電気的構成を示すブロック図。
【図6】「燃料噴射量算出ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【図7】「トルク低減ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図8】同じくフローチャート。
【図9】「燃料噴射制御ルーチン」を示すフローチャー
ト。
【図10】第2実施形態における「トルク低減ルーチ
ン」を示すフローチャート。
【図11】同じくフローチャート。
【図12】第3実施形態におけるマップ図。
【図13】「トルク低減ルーチン」の一部を示すフロー
チャート。
【図14】「燃料噴射制御ルーチン」を示すフローチャ
ート。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、11…燃料供給制御手
段を構成するインジェクタ、14…触媒、24…加速ス
リップ検出手段及び燃料供給制御手段を構成するととも
に目標トルク算出手段、燃料カット気筒数算出手段、判
断手段、燃料カット気筒数変更手段、禁止手段及び燃料
カット気筒数制御手段としてのECU、25…駆動輪、
28…加速スリップ検出手段を構成する駆動輪速度セン
サ、30…加速スリップ検出手段を構成する従動輪速度
センサ、ΔSL…加速スリップ量、TS…目標トルクと
しての目標エンジントルク、#1〜#6…気筒。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪の加速スリップ量を検出する加速
    スリップ検出手段と、 前記加速スリップ量に基づき前記駆動輪を所定の目標加
    速スリップ量に制御するのに必要な内燃機関の目標トル
    クを算出する目標トルク算出手段と、 前記目標トルクに応じて燃料カットすべき気筒数を算出
    する燃料カット気筒数算出手段と、 燃料カットが行われる気筒から排出される酸素量と燃料
    が供給される気筒への燃料供給量とに基づき触媒での発
    熱反応によって触媒温度が所定値以上となるか否かを判
    断する判断手段と、 前記判断手段により触媒温度が所定値以上となると判断
    された場合に、燃料カットすべき気筒数を変更する燃料
    カット気筒数変更手段と、 前記燃料カット気筒数変更手段により必要に応じて変更
    された燃料カット気筒数に基づき前記内燃機関の燃料カ
    ット制御を行う燃料供給制御手段とを備えたことを特徴
    とする車両の加速スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記燃料カット気筒数変更手段は、前記
    判断手段により触媒温度が所定値以上となると判断され
    た場合に、前記燃料カット気筒数算出手段により算出さ
    れた燃料カットすべき気筒数を増加させることを特徴と
    する請求項1に記載の車両の加速スリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記燃料カット気筒数変更手段は、前記
    内燃機関の燃料カットにより前記駆動輪に逆トルクを引
    き起こすような前記燃料カット気筒数の変更を禁止する
    禁止手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の車両の加速スリップ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記燃料カット気筒数算出手段及び前記
    燃料カット気筒数変更手段は、1/N気筒(Nは2以上
    の自然数)単位の分解能で前記燃料カット気筒数の算出
    及び変更を行い、前記燃料供給制御手段は、前記燃料カ
    ット気筒数変更手段により、燃料カット気筒数が(K+
    n/N)気筒(Kは内燃機関の気筒数未満で0以上の整
    数、nは1≦n<Nを満たす自然数)と確定されると、
    前記内燃機関に対して1サイクル毎にK気筒の燃料カッ
    トをするとともに、さらにもう1気筒についてNサイク
    ルにn回の割合で燃料カットを実行する燃料カット気筒
    数制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3のいずれか一項に記載の車両の加速スリップ制御
    装置。
JP8177894A 1996-07-08 1996-07-08 車両の加速スリップ制御装置 Pending JPH1026034A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8177894A JPH1026034A (ja) 1996-07-08 1996-07-08 車両の加速スリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8177894A JPH1026034A (ja) 1996-07-08 1996-07-08 車両の加速スリップ制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1026034A true JPH1026034A (ja) 1998-01-27

Family

ID=16038929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8177894A Pending JPH1026034A (ja) 1996-07-08 1996-07-08 車両の加速スリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1026034A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173497A (ja) * 1999-12-21 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の燃料制御装置
KR100753395B1 (ko) 2006-04-11 2007-08-31 문준호 차량 연료 절감 제어 장치 및 제어 방법
JP2009138546A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Toyota Motor Corp 車両および内燃機関の制御方法
JP2010031848A (ja) * 2008-06-26 2010-02-12 Kawasaki Heavy Ind Ltd 車両用エンジン制御装置
US7854113B2 (en) 2006-05-19 2010-12-21 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Catalyst temperature estimation device
US8452512B2 (en) 2008-06-26 2013-05-28 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control system for vehicle
US8554439B2 (en) 2008-06-26 2013-10-08 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control for a motorcycle with an on/off input device
US8676465B2 (en) 2008-06-26 2014-03-18 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control system for vehicle

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173497A (ja) * 1999-12-21 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の燃料制御装置
KR100753395B1 (ko) 2006-04-11 2007-08-31 문준호 차량 연료 절감 제어 장치 및 제어 방법
US7854113B2 (en) 2006-05-19 2010-12-21 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Catalyst temperature estimation device
JP2009138546A (ja) * 2007-12-04 2009-06-25 Toyota Motor Corp 車両および内燃機関の制御方法
JP2010031848A (ja) * 2008-06-26 2010-02-12 Kawasaki Heavy Ind Ltd 車両用エンジン制御装置
US8452512B2 (en) 2008-06-26 2013-05-28 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control system for vehicle
US8554439B2 (en) 2008-06-26 2013-10-08 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control for a motorcycle with an on/off input device
US8676465B2 (en) 2008-06-26 2014-03-18 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Slip suppression control system for vehicle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5505447B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US8939135B2 (en) Internal combustion engine system, method of determining occurrence of air-fuel ratio imbalance therein, and vehicle
US9026341B2 (en) Apparatus for and method of detecting abnormal air-fuel ratio variation among cylinders of multi-cylinder internal combustion engine
US6901327B2 (en) Computer instructions for control of multi-path exhaust system in an engine
KR20200016786A (ko) 내연 기관의 제어 장치
JPH1026034A (ja) 車両の加速スリップ制御装置
US7997067B2 (en) Exhaust emission control device and method for internal combustion engine, and engine control unit
JP4346118B2 (ja) 内燃機関の触媒温制御装置
US11454182B2 (en) Controller and control method for internal combustion engine
JP4306004B2 (ja) エンジンの制御装置
JPH10252532A (ja) 内燃機関の燃料カット制御装置
JP2013133790A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4339599B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP2013181486A (ja) 内燃機関の制御装置
JP3323223B2 (ja) エンジンの排気ガス浄化装置
JP7427991B2 (ja) ハイブリッド車両
JP2000073927A (ja) 内燃機関の燃焼状態検出装置
US20230323832A1 (en) Controller and control method for internal combustion engine
JP2004232477A (ja) 内燃機関の制御装置
JPH10266886A (ja) 内燃機関の燃料カット制御装置
JP2000154748A (ja) 内燃機関制御装置
JP3879596B2 (ja) 空燃比センサ状態判定装置
JP4123093B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2024065320A (ja) 内燃機関の制御装置
JPH1162664A (ja) 内燃機関の燃料カット制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040608