JP4214327B2 - 酸化チタン膜及び光触媒膜の作製方法 - Google Patents

酸化チタン膜及び光触媒膜の作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水浄化、空気浄化、消臭、油分の分解等に用いられる光触媒として有効な酸化チタン膜及びこの酸化チタン膜からなる光触媒膜並びに酸化チタン膜の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、TiO2,ZnO,WO3,Fe23,SrTiO3等の金属酸化物は光触媒として水浄化、空気浄化、消臭、油分の分解等に広く使用されている。このような光触媒は、通常粉末状で用いられ、例えば浄化、脱臭すべき水などの液体中に撹拌分散させて使用されているが、かかる粉末状の光触媒では使用後に回収することに手間を要し、回収が困難な場合もある。粉末状の光触媒を固定化するために、粉末にバインダーとして樹脂やゴムなどを混ぜて練り、それを基材に塗って数百℃で焼結させる方法もある。しかし、このバインダー固定法の場合、金属酸化物を基材に密着よく担持することが難しく、密着性を上げるためにバインダー量を多くすると触媒効果が弱まり、少ないと密着できない。また、光触媒を基材に膜状に密着させる方法として金属アルコキシド溶液を用いてゲルコーティング膜を形成し、それを数百℃で加熱するゾル−ゲル法で得た金属酸化膜を光触媒に用いることも知られている。しかし、これらバインダー固定法も、ゾル−ゲル法も、金属酸化物膜の形成時には高温で加熱する必要があるため、高温耐熱性を有する基材しか用いることができず、使用できる基材が著しく制限される。
【0003】
従って、担持する基材の種類を選ばず、取扱い性に優れ、触媒効率が良好な光触媒に対する要求が高まっている。
【0004】
そこで、本出願人は、各種基材に密着性よく担持され、バインダーを使用しなくても光触媒効果が得られ、膜状で取扱い性が良く回収等を容易に行うことができ、低温で成膜できる光触媒を先に提案している(特開平8−309204号公報)。そして、この光触媒を低温で成膜する方法として、酸素分子を有するガスと不活性ガスとの存在下において金属ターゲットを用いるマグネトロンスパッタリングを採用することを開示している。
【0005】
しかし、上記方法で得られる光触媒膜は良好な触媒効率を有しているが、更に高活性の光触媒膜が要望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記要望を達成し、高活性の光触媒膜を効率よく簡単に形成することができる光触媒膜の作製方法につき鋭意検討を行った結果、対向ターゲット式スパッタリング法により酸化チタン膜を作製すること、この場合、不活性ガスと酸素分子を有するガスからの酸素ガスとの容量比を2:1〜1:3としてスパッタリングを行うこと、更に好ましくはターゲットに対する投入パワーを高くして成膜することが有効であることを知見した。
【0007】
即ち、対向ターゲット式スパッタリング法は、特公昭62−56575号、同63−20304号、特公平3−1810号公報等で公知の手法であり、対向ターゲット式スパッタリング法で垂直磁気記録薄膜などを成膜している。そして、この方法によれば、結晶性の良好な膜を形成し得ることが記載されている。
【0008】
ところで、触媒活性が高い酸化チタン膜を得るためにはアナターゼ型の結晶系がリッチである必要があるが、酸化チタンの成膜に当り、種々の方法で結晶性の高い薄膜を形成することはできるものの、得られた結晶系はルチル型のものが多いため、光触媒効果が低いものである。ところが、対向ターゲット式スパッタリング法により酸化チタンを成膜した場合、低温でアナターゼリッチの光触媒膜を作製することができ、特にアルゴンガスと酸素ガスとの比率を上記の比率とすることにより、アナターゼ型結晶がよりリッチな光触媒膜を形成し得ること、また、投入パワーを高くすることで膜質を粗くし、表面積を大きくすることができるので、触媒活性をより高くし得ること、そして上記方法で得られた酸化チタン膜が柱状のアナターゼ型集合体であり、この酸化チタン膜が上記のように顕著な光触媒活性を有していることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、酸素分子を有するガスを含有する不活性ガス中でチタンターゲットを用いてリアクティブスパッタリングを行うことにより、基板上に酸化チタン膜を形成するに当り、上記スパッタリングを、互いに対向するターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にて行うと共に、不活性ガスと酸素分子を有するガスからの酸素ガスとの比率を容積比で2:1〜1:3とし、かつターゲットに対する投入パワーを1.3W/cm2以上として、アナターゼ型柱状結晶が90%以上を占め、かつ各柱状結晶が縦20〜1,000Å、横20〜1,000Åの横断面寸法を有する柱状結晶の集合体からなる酸化チタン膜を形成することを特徴とする酸化チタン膜の作製方法、及び、酸素分子を有するガスを含有する不活性ガス中でチタンターゲットを用いてリアクティブスパッタリングを行うことにより、基板上に酸化チタン膜からなる光触媒膜を形成するに当り、上記スパッタリングを、互いに対向するターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にて行うと共に、不活性ガスと酸素分子を有するガスからの酸素ガスとの比率を容積比で2:1〜1:3とし、かつターゲットに対する投入パワーを1.3W/cm2以上として、アナターゼ型柱状結晶が90%以上を占め、かつ各柱状結晶が縦20〜1,000Å、横20〜1,000Åの横断面寸法を有する柱状結晶の集合体からなる酸化チタン膜を光触媒膜として形成することを特徴とする光触媒膜の作製方法を提供する。
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0011】
本発明の酸化チタン膜は、主としてアナターゼ型柱状結晶の集合体からなるものであり、また本発明の光触媒膜はこの酸化チタン膜からなるものである。
【0012】
本発明の酸化チタン膜は、図2〜図5中に示したように、基材表面から結晶が柱状に発達したもので、実質的に柱状結晶の集合体である。この場合、その断面寸法は、通常、縦20〜1,000Å、特に30〜800Å、横20〜1,000Å、特に30〜800Åであるが、横断面形状は正方形に限られず、長方形等の四角形状、多角形状等の形状を取り得る。通常は、横断面が四角形状のものを50%以上、特に70%以上含む。
【0013】
また、上記柱状結晶の高さは、酸化チタン膜の形成すべき厚さによって相違するが、通常100〜20,000Å、好ましくは400〜10,000Å、より好ましくは500〜8,000Å、更に好ましくは1,000〜5,000Åである。
【0014】
本発明の柱状結晶は、主としてアナターゼ型結晶からなる。この場合、酸化チタン結晶(非晶質は含まない)中のアナターゼ型結晶は、X線解析より90%以上、特に97%以上であり、他はルチル型結晶である。
【0015】
本発明の上記アナターゼ型柱状結晶の集合体からなる酸化チタン膜は、対向ターゲット式スパッタリング法を採用して形成することができる。
【0016】
ここで、この対向ターゲット式スパッタリング装置としては、公知の装置を用いることができ、例えば図1に示す装置を使用し得る。即ち、図1において、1は内部を脱気真空可能な装置本体で、この装置本体1内に一対の金属ターゲット2,2が互いに所定間隔離間対向して配置されたものである。これらターゲット2,2は、それぞれ支持部3a,3aを有するホールド3,3に保持され、これらホールド3,3を介して直流電源(スパッタ電源)4の陰極に接続されていると共に、上記ターゲット2,2の背後に磁石5,5が互いに異なる磁極が対向するように配置され、上記ターゲット2,2間のスパッタ空間6に、ターゲット2,2に対して垂直方向の磁界が発生するようになっている。そして、上記スパッタ空間6の側方には、スパッタ膜を形成すべき基板7が配置されたものである。なお、8は基板7を所定方向に移動可能に支持する支持部材である。
【0017】
上記のような装置を用いてスパッタリングを行い、基板上に酸化チタン光触媒膜を形成するに際し、使用する金属ターゲットとしてはチタンを用いる。
【0018】
また、上記スパッタを行う上で、真空度は0.1〜100mTorr、特に1〜30mTorrとした後、不活性ガスと酸素分子を有するガスが導入される。ここで、上記スパッタ空間に供給される酸素分子を有するガス(酸化性ガス)としては、公知のガスを使用することができ、具体的には、酸素、オゾン、空気、水等が挙げられ、通常は酸素が用いられる。また、不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどを用いることができ、特に工業的に安価なアルゴンが好適に使用し得る。
【0019】
この場合、不活性ガスと酸素分子を有するガスとは、不活性ガスと酸素ガスとの比率が2:1〜1:3、特に1.5:1〜1:2(容量比)となるように導入することが好ましい。これにより高活性のアナターゼ型リッチの酸化チタン結晶を形成し得る。上記比率を逸脱すると、ルチル型結晶が多くなるおそれがある。なお、上記ガスの流量は、チャンバーの大きさ、カソードの数などにより適宜選定されるが、不活性ガスと酸素分子を有するガスとの合計量で、通常2〜1,000cc/min程度である。
【0020】
投入電力も適宜選定されるが、高い投入電力とすることが好ましく、例えば2枚の100mmφのターゲットを用いた場合、400ワット以上、特に800ワット以上とすることが推奨され、この場合、ターゲット面積当りのエネルギー量を1.3W/cm2以上、好ましくは2.6W/cm2以上、特に5.1W/cm2以上とすることが推奨され、これにより得られる膜の膜質を粗くすると共に、表面積を大きくできるので、光触媒膜として用いられる酸化チタンの性能を更に向上させることができる。この場合、供給電力が400ワット未満、ターゲット面積当りのエネルギー量が1.3W/cm2未満であると、活性の高い膜を得ることができなくなる場合がある。
【0021】
なお、電源は、図示の例では直流電源であるが、これに限られず、例えば高周波電源等を使用することができ、また装置の構成も図示の例に限定されるものではない。
【0022】
更に、スパッタリングのその他の条件は公知の条件でよく、例えばスパッタリング時の圧力は1mTorr〜1Torrとし得、スパッタ膜(酸化チタン膜)が形成される基板の種類、膜厚なども適宜選定される。
【0023】
本発明の酸化チタン膜は、100%酸化チタンで形成されていて、最表面まで結晶が保たれているため、薄い膜でも非常に触媒活性が高い。また、高温処理を必要としないので、非耐熱性の基材にも成膜でき、膜の強度が強く膜内での破壊が起こらない。更に、スパッタで成膜しているため、基材との密着性が優れている。
【0024】
なお、上述した通り、触媒活性が高い酸化チタン膜を得るためにはアナターゼ型の結晶系がリッチである必要があるが、酸化チタンの成膜に当り、種々の方法で結晶性の高い薄膜を形成することはできるものの、得られた結晶系はルチル型のものが多いため、光触媒効果が低いものである。ところが、対向ターゲット式スパッタリング法により酸化チタンを成膜した場合、低温でアナターゼリッチの光触媒膜を作製することができ、特にアルゴンガスと酸素ガスとの比率を上記の比率とすることにより、アナターゼ型結晶がよりリッチな光触媒膜を形成し得る。
【0025】
また、従来のゾルゲル法による膜は、高温により結晶化するため、耐熱性の基材にしか用いることができず、コーティング法による酸化チタン膜は、酸化チタン微粒子を無機バインダーに混ぜたコーティング液を基材に塗布後、熱硬化させて膜を作るものであり、熱硬化温度はコーティング剤によって様々で、100〜300℃の範囲が多い。100〜150℃で硬化可能なものは、プラスチックなどの非耐熱性基材にも適用できるが、一般的に熱硬化温度が低いと膜の硬度が低く、傷つきやすい膜になる上、バインダー含有量が増えるため光触媒活性が低い。膜の表面は酸化チタンとバインダーが混在していて、酸化チタンの面積が少ないため触媒活性が低下する。また、膜の強度や基材との密着性が弱いものである。
【0026】
いずれにしても従来法によっては、アナターゼ型リッチの柱状酸化チタン結晶は得られないものである。
【0027】
以上のようにして得られる酸化チタン膜からなる光触媒膜は、公知の光触媒膜と同様にして使用することができ、例えばこの光触媒膜に光を照射することによって光触媒が励起し、殺菌、脱臭等の作用を発揮するもので、水浄化、空気浄化、消臭、油分の分解などに用いることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の酸化チタン膜は、高い光触媒活性を有しており、また本発明の酸化チタン膜の作製方法によれば、高い触媒活性を有する酸化チタン光触媒膜を容易に作製することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0030】
〔実施例1,2、比較例1,2〕
実施例1
スパッタリング装置:図1に示す対向ターゲット式スパッタリング装置
基材 :ガラス
ターゲット材料 :Ti
供給ガス :アルゴン5cc/min+酸素5cc/min
圧力 :5mTorr
供給電力 :1.2kW
成膜時間 :60分
実施例2
スパッタリング装置:図1に示す対向ターゲット式スパッタリング装置
基材 :ステンレススチール
ターゲット材料 :Ti
供給ガス :アルゴン5cc/min+酸素5cc/min
圧力 :5mTorr
供給電力 :1.2kW
成膜時間 :60分
【0031】
上記方法で得られた酸化チタン膜の断面顕微鏡写真を図2〜5に示す。ここで、図2,3は実施例1の酸化チタン膜であり、図2は5万倍、図3は20万倍の顕微鏡写真である。この顕微鏡写真の撮影については膜表面にPt蒸着を施した。また、図4,5は実施例2の酸化チタン膜であり、図4は5万倍、図5は20万倍の顕微鏡写真である。
【0032】
上記実施例1の酸化チタン柱状結晶の横断面寸法は平均で150×150Å、実施例2の酸化チタン柱状結晶の横断面寸法は平均で100×100Åであった。
比較例1
ゾルゲル法による酸化チタン膜
チタンテトライソプロポキシド溶液中に基材を浸漬させ、引き上げて乾燥後550℃で1時間加熱する。この工程を10回繰り返して酸化チタン膜を作製した。
比較例2
コーティング法による酸化チタン膜
アナターゼ型酸化チタン微粒子と無機型バインダーを混合したコーティング剤を基材上に薄く塗布し、その後乾燥させた。この工程を5回繰り返した後、300℃で1時間加熱して酸化チタン膜を作製した。
【0033】
上記比較例の酸化チタン膜の断面顕微鏡写真を図6〜9に示す。なお、図6,7は比較例1の酸化チタン膜であり、図6は5万倍、図7は20万倍の顕微鏡写真である。この顕微鏡写真の撮影については膜表面にPt蒸着を施した。また、図8,9は比較例2の酸化チタン膜であり、図8は5万倍、図9は20万倍の顕微鏡写真であり、この場合にもPt蒸着を施した。
【0034】
〔実施例3及び比較例3〕
図1に示される対向ターゲット式スパッタリング装置を使用し、基材としてSiO2膜が形成された5×5cm2のポリエステルフィルム(基材の光触媒劣化を防ぐため、基材表面にSiO2膜1,000Åをスッパッタで成膜したフィルム)と金属ターゲットとしてチタンターゲットをそれぞれ配置した後、酸素ガス10cc/min、アルゴンガス10cc/minを供給すると共に、装置本体内圧力を5mTorrとし、供給電力3kW、60分間の条件下で3,000Å成膜を行った(実施例3)。
【0035】
得られた酸化チタン膜は、横断面寸法が150×150Åであった。
【0036】
比較のため、下記条件で酸化チタンコーティング膜を形成した(比較例3)。
コーティング剤:酸化チタン微粒子、無機バインダー混合液
基材 :ポリエステルフィルム(5×5cm2
(基材の光触媒劣化を防ぐため、基材表面にSiO2膜1,0
00Åをスッパッタで成膜したフィルム)
熱硬化 :150℃、60分
膜厚 :1μm
【0037】
次に、上記酸化チタン膜の光触媒活性、膜の強度と付着法を評価した。
(1)光触媒活性
22mlのアマランス(赤色顔料)溶液(3mg/l)中に光触媒体を浸し、250W超高圧水銀灯(300nm以下はカット)を照射して、その濃度変化をUV−可視光度計で測定し、アマランスの分解率を求めた。
【0038】
【表1】
Figure 0004214327
【0039】
(2)膜の強度と付着性
JIS K5400に基づき鉛筆引っかき値(手かき法)とXカットテープ法で評価した。
【0040】
【表2】
Figure 0004214327
【0041】
【表3】
Figure 0004214327
【0042】
〔実施例4及び比較例4,5〕
図1に示される対向ターゲット式スパッタリング装置を使用し、基材として厚さ0.1mmのステンレススチール(SUS304)、金属ターゲットとして直径100mmのチタンターゲットをそれぞれ配置した後、酸素ガス10cc/min、アルゴンガス10cc/minを供給した後、装置本体内圧力を5mTorrとし、供給電力800W、60分間の条件下で成膜を行った。
【0043】
また、比較例4として、チタンターゲット(直径100mm)に厚さ0.1mmのSUS304からなる基材を対向配置した通常のマグネトロンスパッタリング法にて、酸素ガス10cc/min、アルゴンガス10cc/minを供給した後、装置本体内圧力を5mTorrとし、供給電力400Wの条件下にて成膜を行った。
【0044】
次に、得られた酸化チタンが成膜された基材に0.1mg/cm2の鉱物油を塗布し、低圧水銀灯で5時間照射した後の油分解率を調べた。なお、比較例5はSUS304そのものを用いた。結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
Figure 0004214327
【0046】
〔実施例5,6〕
ターゲットに対する投入電力を800W(5W/cm2,実施例5)、1200W(7.6W/cm2,実施例6)とした以外は実施例4と同様に酸化チタン膜を成膜し、実施例4と同様にして油分解率を調べた。結果を表5に示す。
【0047】
【表5】
Figure 0004214327
【0048】
以上の結果より、本発明法によれば、光触媒活性の非常に高い薄膜を形成し得ることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる対向ターゲット式スパッタリング装置の一例を示す概略図である。
【図2】実施例1の酸化チタン膜の倍率5万倍の顕微鏡写真である。
【図3】実施例1の酸化チタン膜の倍率20万倍の顕微鏡写真である。
【図4】実施例2の酸化チタン膜の倍率5万倍の顕微鏡写真である。
【図5】実施例2の酸化チタン膜の倍率20万倍の顕微鏡写真である。
【図6】比較例1の酸化チタン膜の倍率5万倍の顕微鏡写真である。
【図7】比較例1の酸化チタン膜の倍率20万倍の顕微鏡写真である。
【図8】比較例2の酸化チタン膜の倍率5万倍の顕微鏡写真である。
【図9】比較例2の酸化チタン膜の倍率20万倍の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 装置本体
2 金属ターゲット
3 ホールド
3a 支持部
4 直流電源
5 磁石
6 スパッタ空間
7 基板
8 支持部材

Claims (2)

  1. 酸素分子を有するガスを含有する不活性ガス中でチタンターゲットを用いてリアクティブスパッタリングを行うことにより、基板上に酸化チタン膜を形成するに当り、上記スパッタリングを、互いに対向するターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にて行うと共に、不活性ガスと酸素分子を有するガスからの酸素ガスとの比率を容積比で2:1〜1:3とし、かつターゲットに対する投入パワーを1.3W/cm2以上として、アナターゼ型柱状結晶が90%以上を占め、かつ各柱状結晶が縦20〜1,000Å、横20〜1,000Åの横断面寸法を有する柱状結晶の集合体からなる酸化チタン膜を形成することを特徴とする酸化チタン膜の作製方法。
  2. 酸素分子を有するガスを含有する不活性ガス中でチタンターゲットを用いてリアクティブスパッタリングを行うことにより、基板上に酸化チタン膜からなる光触媒膜を形成するに当り、上記スパッタリングを、互いに対向するターゲット間のスパッタ空間の側方に基板を配置し、該基板上にスパッタ膜を形成する対向ターゲット式スパッタリング法にて行うと共に、不活性ガスと酸素分子を有するガスからの酸素ガスとの比率を容積比で2:1〜1:3とし、かつターゲットに対する投入パワーを1.3W/cm2以上として、アナターゼ型柱状結晶が90%以上を占め、かつ各柱状結晶が縦20〜1,000Å、横20〜1,000Åの横断面寸法を有する柱状結晶の集合体からなる酸化チタン膜を光触媒膜として形成することを特徴とする光触媒膜の作製方法。
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