JP4214178B2 - 赤外光源およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の波長の赤外光を発する赤外光源およびその製造方法に関する。また、赤外光源を使用した分析システムおよび監視システムに関する。
赤外波長域の特定波長で強い強度が得られる赤外光源は非常に少ない。
一部の特定波長で発振するレーザーは高価であり、また、特定波長を任意の値とすることはできない。
ヒータなどからの放射光を波長フィルタ等用いて任意波長の光を取り出す装置も考えられる。しかし、部品点数が多く、波長フィルタの製造方法が煩雑であり、出力エネルギが極めて低いなどの問題がある。
また、高温発光マイクロキャビティ光源も提案されている(たとえば、特表2001-519079号公報)。しかし、構造が煩雑である。
他方、赤外波長域での光源を使用したアプリケーションは、医療、バイオ分野を含む分野に拡大しつつある。
物質の赤外吸収を利用した気体や液体の分析方法に非分散型赤外線吸収法がある。非分散型赤外線吸収法は物質に固有の赤外吸収線を利用して、対応する物質の濃度や、複数の物質の成分比を測定する方法である。非分散型赤外線吸収法を利用した分析システムには、工場設備や機器に組み込む据付型のものや電池で駆動する携帯型のものなど様々な形態のものがある。
図61は、非分散型赤外線吸収法を利用した分析システムの基本的な構成を示す図である。分析システムは、赤外光源301、測定セル207、強度を周期的に変化させる手段211、波長選択素子303、赤外センサ203および復調手段205を備える。赤外光源301としては、もっぱら、黒体放射を利用した白色赤外光源(ランプ)が用いられる。強度を周期的に変化させる手段211としては、放射状スリットや光源を覆うシャッターが回転することにより赤外線を周期的に遮断するチョッパが用いられる。波長選択素子303としては、もっぱら、誘電体多層膜などで特定の波長だけを透過させる狭帯域フィルタが用いられる。赤外センサ203としては、焦電素子、ボロメータ、サーモパイル、熱流センサなど、様々な検出器が用いられる。赤外光源301からの赤外線は、測定対象物を含む測定セル207を透過し、強度を周期的に変化させる手段211、波長選択素子303、赤外センサ203に、順に入射する。
図62は、測定対象物(一例として気体)の吸光度、光源の強度、波長選択素子の透過率の関係を示す図である。図62(a)は、波長に対する測定対象気体Aの吸光度を示す図である。測定対象気体Aは、波長λSにおいて大きな吸収を示す。図62(b)は、赤外光源301の放射する赤外線の、波長に対する強度を示す図である。赤外光源301は、プランクの法則にしたがい、広い波長範囲に渡って温度に応じた強度分布の赤外線を放射する。図62(c)は、波長選択素子303の、波長に対する透過率を示す図である。波長選択素子303は、λ周辺の狭い波長範囲の光だけを透過する狭帯域フィルタである。
測定セル中の測定対象気体の濃度に応じて、波長λSの赤外線の透過量は変化し、赤外センサ203の出力も変化する。気体の濃度は、検出した信号量と予め求めておいた基準信号量との比からランベルトの法則に基づいて演算することにより求める。なお、λSは必ずしも吸収が最大の波長とは限らず、混在する他の気体の吸収と重ならないことなど、様々な要素を考慮して決定される。
実際には、この方式では素子や光学系の経時変化などの影響により信頼できる結果が得にくいので、何らかの参照信号を利用する場合が多い。
図63は、参照試料を利用する分析システムを示す図である。組成が既知の気体Bを参照セル207Aに封入し、気体Bの濃度測定用に、波長選択素子3031Aと赤外センサ203Aを設置する。測定対象気体Aを測定セル207Bに封入し、気体Aの濃度測定用に、波長選択素子3031Bと赤外センサ203Bを設置する。赤外センサ203Aおよび赤外センサ203Bの信号比と、λにおける対象気体Aと参照気体Bの吸光度から気体Aの濃度を求める。参照セル207Aには多くの場合、測定対象気体と同じ種類の気体を封入する。
図64は、2波長方式の分析システムを示す図である。測定対象気体の吸光度の大きな波長λSの赤外線用に波長選択素子3033と赤外センサ203Aを設置し、吸光度の小さな参照波長λの赤外線用に波長選択素子3035と赤外センサ203Bを設置する。波長選択素子3033の、波長λSに対する透過率は、図62(c)に示した波長選択素子303の特性と同じである。波長選択素子3035の、波長λに対する透過率は、図62(d)に示したとおりである。赤外センサ203Aおよび赤外センサ203Bの信号比と、測定対象気体Aのλにおける吸光度とλにおける吸光度から気体Aの濃度を求める。
上記のように分析システムは、測定対象物質によって決まる特定の波長の赤外線を使用する。一方、図62(b)に示すように、従来の分析システムの赤外光源は、広い波長域の赤外線を放出する。そこで、従来の分析システムにおいて、赤外光源が放出した赤外線のうち、フィルタなどの波長選択素子によって選択した波長の赤外線のみが使用され、その他の波長の赤外線は廃棄される。したがって、従来の分析システムにおいて、無駄になるエネルギが多く、赤外光源の出力を小さくすることができず、赤外光源を小型化するのが困難である。この結果、従来の分析システムは、エネルギ効率が低く、比較的大型である。
対象物を監視するために、光源によって特定の波長の光を放射して、センサによって当該光を受光する、監視システム(たとえば、特開2005-106523号公報)が使用されている。
このようなシステムには、受光素子としてシリコンセンサが使用されることが多い。シリコンセンサは、400ナノ・メータから1000ナノ・メータの範囲で感度が高いので、上記システムにおいて、この範囲の波長の光が使用されることが多い。ところが、太陽光や照明光には、この範囲の波長成分が多く、ノイズ成分となり、上記システムの誤動作の原因となる。太陽光などのノイズの影響を避けるためには、赤外波長域の光を使用するのが有利である。
このように、対象物を監視するシステムにおいて、赤外波長域の光を放射する赤外光源が必要である。しかし、赤外波長域の特定波長で強い強度が得られる赤外光源は非常に少ない。
一部の特定波長で発振するレーザーは高価であり、また、特定波長を任意の値とすることはできない。
ヒータなどからの放射光を波長フィルタ等用いて任意波長の光を取り出す装置も考えられる。しかし、部品点数が多く、波長フィルタの製造方法が煩雑であり、出力エネルギが極めて低いなどの問題がある。
また、高温発光マイクロキャビティ光源も提案されている(たとえば、特表2001-519079号公報)。しかし、構造が煩雑である。
したがって、構造が簡単であり、広い分野に応用することのできる、特定波長の赤外線を放出する赤外光源に対するニーズがある。
本発明による赤外光源は、発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射することを特徴とする。
本発明によれば、所定の偏光面を有する、特定の波長の赤外線を放出する、簡単な構造の赤外光源が得られる。
本発明の一実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 波長に対する、赤外線の強度分布を示す図である。 赤外光源において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定めた場合に、格子深さDを求める方法を示す流れ図である。 赤外光源の格子深さDを変化させた場合の、赤外光源によって放射される赤外線の強度分布の変化を示す図である。 赤外光源において、格子周期Pを定めた場合に、格子深さDおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを求める方法を示す流れ図である。 赤外光源の正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを変化させた場合に、特定の波長における赤外線強度比の変化を示す図である。 赤外光源の格子周期Pを変化させた場合に、特定の波長における赤外線強度比の変化を示す図である。 本発明の一実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。 図18の実施形態によって放射される赤外線の強度分布を概念的に示す図である。 実施形態1を説明するための図である。 実施形態2を説明するための図である。 実施形態3を説明するための図である。 実施形態4を説明するための図である。 実施形態5を説明するための図である。 実施形態6を説明するための図である。 実施形態7を説明するための図である。 実施形態8を説明するための図である。 実施形態9を説明するための図である。 実施形態10を説明するための図である。 実施形態11を説明するための図である。 実施形態12を説明するための図である。 実施形態13を説明するための図である。 実施形態14を説明するための図である。 実施形態15を説明するための図である。 実施形態16を説明するための図である。 実施形態17を説明するための図である。 実施形態18を説明するための図である。 実施形態19を説明するための図である。 実施形態20の、負の誘電体として機能する部分と正の誘電体として機能する部分との境界面が、格子面と所定の角度をなす格子の断面を示す図である。 実施形態20の赤外光源において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分の幅Tを定めた場合に、格子深さDおよび所定の角度θを求める方法を示す流れ図である。 実施形態20の赤外光源において、所定の角度と赤外線強度比の関係を示す図である。 実施形態21の、正の誘電体として機能する部分が正の誘電体材料および空気(中空)から形成され、負の誘電体として機能する部分が金から形成される格子を示す図である。 実施形態21の、正の誘電体として機能する部分が正の誘電体材料および空気(中空)から形成され、負の誘電体として機能する部分が金および銀から形成される格子を示す図である。 実施形態21の格子の、D1とD2との比率を変化させた場合の、波長と吸収率との関係を示す図である。 本発明および従来技術の赤外光源を使用した赤外線ヒータの構成例を示す図である。 格子の単位構造において、表面波の波数と角周波数との関係を示す図である。 格子の単位構造と表面波との関係を示す図である。 本発明の一実施形態による赤外光源の波長と赤外線強度との関係を示す図である。 本発明の一実施形態による赤外光源の放射指向性を示す図である。 発熱体表面温度と発熱体から放射される赤外線強度との関係を示す図である。 特定の波長を、2.5マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の赤外線強度比を示す。 特定の波長を、4.0マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の赤外線強度比を示す。 特定の波長を、6マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の赤外線強度比を示す。 本発明の一実施形態による分析システムの構成を示す図である。 測定対象の気体の赤外線吸収度および赤外光源の放射強度を示す図である。 本発明の一実施形態による参照試料方式の分析システムの構成を示す図である。 本発明の一実施形態による2波長方式の分析システムの構成を示す図である。 本発明の一実施形態による6波長方式の5成分分析システムの構成を示す図である。 3個の周期的に電力を変化させる電源の出力パルス波形、3個の赤外光源から放出される赤外線の出力波形および2個の赤外センサの出力波形を示す図である。 非分散型赤外線吸収法を利用した分析システムの基本的な構成を示す図である。 測定対象物(一例として気体)の吸光度、光源の強度、波長選択素子の透過率の関係を示す図である。 参照試料を利用する分析システムを示す図である。 2波長方式の分析システムの構成を示す図である。 糖度計のシステム構成を示す図である。 水分計のシステム構成を示す図である。 本発明の一実施形態による、監視システムの構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。 本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。 PbSe光導電素子の、波長に対する相対感度を示す図である。 太陽光の地表におけるスペクトル成分を示す図である。 地表の反射特性および放射特性を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態による赤外光源100の構成を示す図である。赤外光源100は、格子101と発熱体107とを含む。本実施形態においては、発熱体107の表面に格子101が備わる。発熱体107は、たとえば、セラミック・ヒータである。他に、SiCヒータなどであってもよい。格子101は、負の誘電体として機能する部分(金属など)103と正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105とからなる。負の誘電体として機能する部分(金属など)103は、たとえば、アルミニウム、金、銀などの金属でもよい。また、負の誘電体として機能する部分103は、任意の材料の表面に金属膜を形成したものであってもよい。正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105は、たとえば、中空またはシリコンなどの半導体としてもよい。格子101の周期をP、格子101の深さをD、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105の幅をTで表わす。図1における矢印Aは、赤外光源100が発する光の、格子の配列方向に対して直交する偏光面の方向を示す。この偏光面については後で説明する。
図2は、波長に対する、赤外線の強度分布を示す図である。横軸は波長、縦軸は放射エネルギ密度を表わす。放射エネルギ密度を強度と呼称する。
一点鎖線は、格子101を伴わない発熱体107によって放射される赤外線の強度分布を表わす。赤外線は、広い波長にわたり緩やかに分布している。発熱体107によって放射される赤外線は、あらゆる偏光面を有している。
実線は赤外光源100によって放射される赤外線の強度分布を表わす。実線で表わされる赤外光源100によって放射される赤外線の強度分布は、複数のピークを有し、ピーク以外の波長における強度はほぼゼロである。複数のピークは、波長の長い方から、第1のピーク、第2のピークというように、数字によって特定する。第2のピーク波長λは、第1のピーク波長λに対して、図8の形態の構造では約1/3である。また、図9の形態の構造では約1/2である。図2以下の図において、第1および第2のピーク以外は図示しない。
上記のピーク波長においては、格子101の配列方向に対して直交する偏光面を有する光(図1参照)のみが放射される。
図2において、横軸と一点鎖線によって囲まれる部分の面積は、同じパワーを放射する光源を比較すると、横軸と実線によって囲まれる部分の面積と等しい。このように、赤外光源100は、発熱体の放射エネルギを特定の波長の赤外線に集中させる機能を有する。しかも、特定の波長の赤外線は、格子101の配列方向に対して直交する偏光面を有する(図1参照)。
図2において、第1のピーク波長における、赤外光源100によって放射される赤外線の強度(B)の、発熱体によって放射される赤外線の強度(A)に対する比率を赤外線強度比と呼称する。
そこで、特定の波長を第1のピーク波長と一致させることができれば、当該特定波長の赤外光源が得られる。以下に、特定の波長を第1のピーク波長と一致させた赤外光源を製作する方法について説明する。
図3は、赤外光源において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定めた場合に、格子深さDを求める方法を示す流れ図である。
ステップS3010において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定める。特定の波長をλとした場合に
Figure 0004214178
である任意の格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定める。
ここで、赤外光源が回折を生じないようにするには、格子周期Pが、
Figure 0004214178
であるように定める。
以下において、赤外光源100の放射する赤外線の強度を、たとえば、FDTD法などの計算によって求めてもよい。FDTD法は、マクスウェルの方程式を差分化して電磁界をシミュレートする方法である。
ステップS3020において、格子深さDを変化させて、赤外光源100によって放射される赤外線の強度分布をもとめる。
図4は、赤外光源の格子深さDを変化させた場合の、赤外光源によって放射される赤外線の強度分布の変化を示す図である。(B)の場合の格子深さは、(A)の場合の格子深さよりも大きく、(C)の場合の格子深さは、(B)の場合の格子深さよりも大きい。図4に示すように、格子深さDを大きくすると、第1のピーク波長λも大きくなる。したがって、格子深さDを調整することにより、第1のピーク波長λを特定の波長λに一致させることができる。(C)において、第1のピーク波長λは、特定の波長λに一致している。
ステップS3030において、第1のピーク波長λが特定の波長λに一致したかどうか判断する。一致していなければ、ステップS3020に戻り、さらに格子深さDを変化させる。一致していれば、そのときの、格子深さDを赤外光源100の格子深さとして終了する。
図5は、赤外光源において、格子周期Pを定めた場合に、格子深さDおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを求める方法を示す流れ図である。
ステップS5010において、特定の波長をλとした場合に
Figure 0004214178
である任意の格子周期Pを定める。
ここで、赤外光源が回折を生じないようにするには、格子周期Pが、
Figure 0004214178
であるように定める。
ステップS5020において、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを変化させて、第1のピーク波長が特定の波長に一致する格子深さDおよびその格子深さの場合の赤外線強度比を求める。具体的に、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tをある値に定めた後、図3の流れ図にしたがって、第1のピーク波長が特定の波長に一致する格子深さDおよびその格子深さの場合の赤外線強度比を求める。つぎに、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを別の値に定めた後、図3の流れ図にしたがって、第1のピーク波長が特定の波長に一致する格子深さDおよびその格子深さの場合の赤外線強度比を求める。このステップを繰り返して、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tの値を変化させながら、その値に対して、第1のピーク波長が特定の波長に一致する格子深さDおよびその格子深さの場合の赤外線強度比を求める。
図6は、赤外光源の正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを変化させた場合に、特定の波長における赤外線強度比の変化を示す図である。格子101の負の誘電体として機能する部分(金属など)103は、金であり、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105は、空気である。図6の横軸は、所定の格子周期Pに対する正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tの比であり、縦軸は、第1のピークと一致する特定の波長における赤外線強度比である。図6に示すように、特定の波長における赤外線強度比は、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tの特定の値に対してピークを示す。具体的に、特定の波長は、9.6マイクロ・メータ、所定の格子周期Pは、3マイクロ・メータであり、
Figure 0004214178
すなわち、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tが0.06マイクロ・メータ(60ナノ・メータ)の値に対して、赤外線強度比は、ピークを示す。
また、図6から、特定の波長における赤外線強度比が十分な大きさであるのは、せいぜい、
Figure 0004214178
の範囲である。
図5のステップS5030において、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tが、図6における赤外線強度比の曲線のピークに対応する値かどうか判断する。ピークに対応していなければ、ステップS5020に戻り、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tをさらに変化させる。ピークに対応していれば、そのときの正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを赤外光源100の正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅として終了する。
図7は、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを一定として赤外光源の格子周期Pを変化させた場合に、特定の波長における赤外線強度比の変化を示す図である。格子101の負の誘電体として機能する部分(金属など)103は、金であり、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105は、空気である。図7の横軸は、所定の格子周期Pであり、縦軸は、第1のピークと一致する特定の波長における赤外線強度比である。図7に示すように、特定の波長における赤外線強度比は、格子周期Pの特定の値に対してピークを示す。具体的に、特定の波長は、9.6マイクロ・メータ、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tは、400ナノ・メータであり、
Figure 0004214178
すなわち、格子周期Pが特定の波長の近傍の値に対して、赤外線強度比は、ピークを示す。
また、図7から、特定の波長における赤外線強度比が十分な大きさであるのは、
Figure 0004214178
の範囲である。
上記においては、格子周期Pを定め、所望の特定の波長において、赤外線強度比が最大となるように格子深さDおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定める方法について説明した。上記の方法に代わり、格子深さDを定め、所望の特定の波長において、赤外線強度比が最大となるように格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定めてもよい。あるいは、誘電体材料部(誘電体など)の幅Tを定め、所望の特定の波長において、赤外線強度比が最大となるように格子周期Pおよび格子深さDを定めてもよい。
いずれの場合にも、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tは、以下の関係を満たすように定める。
Figure 0004214178
Figure 0004214178
図52乃至54は、特定の波長を、それぞれ、2.5マイクロ・メータ、4.0マイクロ・メータおよび6マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の赤外線強度比を示す。
表1乃至3は、特定の波長を、それぞれ、2.5マイクロ・メータ、4.0マイクロ・メータおよび6.0マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の仕様を示す。
Figure 0004214178
Figure 0004214178
Figure 0004214178
以下、本発明の赤外光源の原理について説明する。格子の前記一定周期をP、一定方向の正の誘電体として機能する部分の幅をT、格子深さをDとする。本発明の赤外光源では、
Figure 0004214178
とする。正の誘電体として機能する部分の幅の方が負の誘電体として機能する部分の幅よりも一般に小さいのであるから、この格子は、正の誘電体材料でできたコアを負の誘電体材料でできたクラッドによりはさみ、有限の長さDを有するスラブ導波路が周期的に配列したものとみなすことができる。本発明の赤外光源の基本となる物理現象は、スラブ導波路の表面波モードが、有限の長さの両端面で反射されることにより起こる共鳴現象である。
ここで、正の誘電体とは、誘電率の実数部が正の値であるものであり、負の誘電体とは、誘電率の実数部が負の値であるものである。正の誘電体は、一般的な非金属材料が該当し、具体的にはガラス、金属酸化物、金属フッ化物、セラミクス、半導体、高分子、液体などである。また、空気やその他の気体、真空の空間も正の誘電体に含まれる。一方、負の誘電体は、プラズマ周波数よりも低周波数、つまり可視光や赤外光領域における金属材料、正誘電体材料に金属を複合した材料などである。この他に、遠赤外光領域における炭化ケイ素や各種イオン結晶などの大きな格子振動の共鳴を示す材料、キャリアが励起された状態のシリコンなどの半導体材料も負の誘電体に含まれる。
負の誘電体と正の誘電体との界面には、一般に、電界が界面に垂直で、電磁界が界面において最大値を取り、界面から離れるにしたがって、指数関数的に減衰するような電磁界分布を持ち、表面に沿って伝搬するような表面波モードが存在する。特に誘電率の虚数成分の値が小さな材料に対しては、このような表面波は長い距離伝搬できる。負の誘電体を金属材料とする場合の表面波を、表面プラズモンと呼ぶ。
格子の周期Pが特定の波長λに比べて十分に小さい場合、格子全体の光学特性は、格子を構成する1つの単位構造、すなわち、有限の長さを有するスラブ導波路の光学特性でほとんど決定される。
図47は、表面波の波数
Figure 0004214178
と角周波数
Figure 0004214178
との関係を示す図である。ここで、
Figure 0004214178
は、表面波の波長であり、cは光速である。所定の角周波数において表面波の波長
Figure 0004214178
は、コア厚さTが小さくなるほど短くなる。つまり、コア厚さTと角周波数ωと表面波の波長
Figure 0004214178
の内の2つが決まれば残りの1つは決まる。
図48は、格子の単位構造と表面波との関係を示す図である。図48において、負の誘電体として機能する部分および正の誘電体として機能する部分を、それぞれ、AおよびBで示し、負の誘電体材料を斜線で示す。
図48(a)において、負の誘電体として機能する部分Aは、負の誘電体材料(たとえば金属)によって形成されている。図48(b)において、負の誘電体として機能する部分Aは、正の誘電体材料(たとえばプラスチック)に負の誘電体材料(たとえば金属)を被覆して形成されている。
図48に示すように、一方が開放端、他方が閉鎖端の場合には、導波路の長さDが
Figure 0004214178
に一致するような複数の場合に、波長
Figure 0004214178
の表面波が共鳴する。これらの複数の導波路の共鳴モードを、波長
Figure 0004214178
が大きいほうから、第1の共鳴モード(第1ピーク波長)、第2の共鳴モード(第2ピーク波長)というように、数字によって特定する。以上のことから、有限の長さを有するスラブ導波路において、それぞれの共鳴モードにおいて、角周波数ωとコア厚さTと導波路の長さDの内の2つが決まれば残りの1つは決まる。
ここまで、周期Pが共鳴に影響しない極限的なケースを考えてきたが、現実には、共鳴モードの生じる条件は周期Pにも影響される。周期Pが、角周波数ωに対応する真空中の波長λと近い値の時には、共鳴モードの生じる条件に対する周期Pの影響は特に大きくなる。したがって、有限の長さを有するスラブ導波路が周期的に配列された格子において、それぞれの共鳴モードにおいて、角周波数ωとコア厚さTと導波路の長さDと周期Pの内の3つが決まれば残りの1つは決まる。
実際には、図3から図7で説明したような繰り返し計算により、特定の波長λにおいて、放射率ができる限り高くなるように、格子の周期P、正の誘電体として機能する部分の幅T、格子深さDを決定する。
この格子における共鳴モードは、正の誘電体と負の誘電体の界面に垂直な電界成分を有するため、格子の配列方向に直交する偏光面を有する平面波と電磁界の対称性が一致する。したがって、格子に共鳴モードが励起されたとき。格子から空間にそのような偏光面を有する特定の波長λの平面波を格子表面の法線方向に放射することができる。
一方、この共鳴モードは、格子の配列方向に平行な偏光面を有する平面波を放射することはできない。
図49は、本発明の一実施形態による赤外光源の波長と赤外線強度との関係を示す図である。計算結果(左側目盛り)および実験結果(右側目盛り)を示す。
格子部の寸法は以下のとおりである。
サイズ 8mm X 8mm
P 3.0マイクロ・メータ
D 1.0マイクロ・メータ
T 0.35マイクロ・メータ
発熱体温度は、250℃、格子部面積8mm×8mmの赤外光源で単位面積当たりの放射強度は0.01〜 0.1W/cm/μm程度である。
赤外光源の格子部面積、表面温度、受光センサの感度により一律に検出可能な距離は様々であるが、赤外光源の格子部面積が数mm角程度,表面温度が250℃の場合には少なくとも数mは検出可能な距離である。赤外光源の格子部面積が8mm角、表面温度が250℃の場合、一般的なトリグリシンサルフェイト検出器を用いても、赤外光源から数m離れても検出可能であった。トリグリシンサルフェイト検出器は、焦電効果という、光の照射により発生する熱により電荷が変動する効果を利用した赤外線の検出器である。様々な赤外線検出器の中で、検出可能な波長範囲が特に広いことが特徴でるが、他の検出器に比べると低感度である。その低感度の検出器でも数m程度の距離で検出できる赤外線強度が得られている。
図50は、本発明の一実施形態による赤外光源の放射指向性を示す図である。不要な放射を抑制するための金属の成膜により、赤外光の放射は格子のみから生じ、法線方向に極大となるように半空間だけに放射される。その放射パターンは、一般的な平面型の光源と同様である。
図8は、本発明の一実施形態による赤外光源の構成を示す図である。発熱体107上に負の誘電体として機能する部分(金属など)103からなる格子101を設けている。本実施形態において、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105は、中空である。格子の負の誘電体として機能する部分(金属など)103および発熱体107は、金属のケース109に収納されている。金属のケース109は、格子101以外からの赤外線の放射を抑制する。ケース109の金属は、格子の負の誘電体として機能する部分(金属など)103と同種の金属であっても異種の金属であってもよい。
本実施形態による赤外光源は、以下の手順によって製造することができる。発熱体107上に金属を成膜し、レジストを塗布し電子線描画かマスク露光によって格子のパターンを形成し、その後エッチング加工を行う。あるいは、発熱体107上に金属を成膜し、高温に熱せられた、格子形成された金型によりインプリンティングして金属に格子パターンを形成する。金属を成膜するには、たとえば、真空蒸着法やスパッタ法などによる。
図9は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。発熱体107上に金属の格子凸部(格子の負の誘電体として機能する部分(金属など))103を設けている。本実施形態において、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)105は、中空である。金属の格子凸部103および発熱体107は、金属のケース109に収納されている。金属のケース109は、格子101以外からの赤外線の放射を抑制する。ケース109の金属は、格子の負の誘電体として機能する部分(金属など)103と同種の金属であっても異種の金属であってもよい。
本実施形態による赤外光源は、以下の手順によって製造することができる。発熱体107上に金属を成膜し、レジストを塗布し電子線描画かマスク露光によって格子のパターンを形成し、その後エッチング加工を行う。金属を成膜するには、たとえば、真空蒸着法やスパッタ法などによる。
図10は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。本実施形態は、正の誘電体材料(誘電体など)105に格子の形状を形成し、その上に金属膜111を成膜し、さらに材料103Aを配置して製造してもよい。材料103Aは、セラミック系接着剤やエポキシ系接着剤などの接合材料や金属などである。正の誘電体材料(誘電体など)105は、シリコンなどの半導体であってもよい。材料103Aと発熱体107とを接続する。赤外光源の赤外線放射面に反射防止コート121を設けている。反射防止121コートにより、赤外光源の放射効率が向上する。発熱体107、金属膜111、材料103A、正の誘電体材料(誘電体など)105および反射防止コート121は、金属のケース109に収納されている。金属のケース109は、格子101以外からの赤外線の放射を抑制する。ケース109の金属は、金属膜111と同種の金属であっても異種の金属であってもよい。
図11は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。本実施形態においては、材料103Aが発熱体をかねている。本実施形態は、正の誘電体材料(誘電体など)105に格子の形状を形成し、その上に金属膜111を成膜し、さらに材料103Aを配置して製造してもよい。正の誘電体材料(誘電体など)105は、シリコンなどの半導体であってもよい。赤外光源の赤外線放射面に反射防止コート121を設けている。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。金属膜111、材料103A、正の誘電体材料(誘電体など)105および反射防止コート121は、金属のケース109に収納されている。金属のケース109は、格子101以外からの赤外線の放射を抑制する。ケース109の金属は、金属膜111と同種の金属であっても異種の金属であってもよい。
図12は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。本実施形態においては、半導体などの正の誘電体材料(誘電体など)105が発熱体をかねている。本実施形態は、正の誘電体材料(誘電体など)105に格子の形状を形成し、その上に金属膜111を成膜し、さらに材料103Aを配置して製造してもよい。赤外光源の赤外線放射面に反射防止コート121を設けている。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。金属膜111、材料103A、正の誘電体材料(誘電体など)105および反射防止コート121は、金属のケース109に収納されている。金属のケース109は、格子101以外からの赤外線の放射を抑制する。ケース109の金属は、金属膜111と同種の金属であっても異種の金属であってもよい。
図10乃至12に示した実施形態による赤外光源は、以下の手順によって製造することができる。正の誘電体材料(誘電体など)105上に金属を成膜し、レジストを塗布し電子線描画かマスク露光によって格子のパターンを形成し、金属膜111および材料103Aを成膜する。その後、成膜面を研磨処理してもよい。つぎに、発熱体107を使用する場合には、材料103Aを接着材などで発熱体107に接続する。その後、周囲に金属を成膜してケース部109とする。金属を成膜するには、たとえば、真空蒸着法やスパッタ法などによる。
現在の半導体製造技術を利用した場合、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tは、30ナノ・メータまで小さくすることができる。格子深さDは、誘電体材料部(誘電体など)の幅Tの約50倍まで大きくすることができる。
図13は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。一方の面が平面で他方の面が凸面のレンズ131の、凸面に赤外光源100がレンズ131に向けて赤外線を放射するように設けられている。赤外光源100から放射された赤外線は、レンズ131によって集光される。レンズ131の平面には、反射防止コート121が設けられる。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。
図14は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。一方の面が平面で他方の面が凸面のレンズ131の、平面に赤外光源100がレンズ131に向けて赤外線を放射するように設けられている。赤外光源100から放射された赤外線は、レンズ131によって発散される。レンズ131の凸面には、反射防止コート121が設けられる。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。
図15は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。一方の面が平面で他方の面が凸面のレンズ131の、凸面に格子101が設けられている。発熱体107は、レンズ131の凸面に対向する位置に配置される。赤外光源100から放射された赤外線は、格子101によって特定波長に変換され、レンズ131によって集光される。レンズ131の平面には、反射防止コート121が設けられる。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。
図16は、本発明の他の実施形態による赤外光源の構成を示す図である。一方の面が平面で他方の面が凸面のレンズ131の、平面に格子101が設けられている。赤外光源100から放射された赤外線は、格子101によって特定波長に変換され、レンズ131によって発散される。レンズ131の凸面には、反射防止コート121が設けられる。反射防止コート121により、赤外光源の放射効率が向上する。
図13乃至16に示した実施形態のレンズは、平凸形状である。他に、平凹形状および凹凸形状のレンズのいずれかの面に格子101を設けてもよい。
図17Aは、本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。本実施形態においては、1チップの発熱体上に複数の、特定波長の異なる格子を設けている。具体的に、A乃至Dの各領域で、格子深さDを一定として、格子周期P、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを各領域で変化させることにより、各領域のピーク波長を変化させ、かつ電界強度を大きくすることが可能となる。格子周期Pについては各領域で一定としてもよい。本実施形態によれば、1チップで、複数の特定波長の赤外光源が得られる。
図17Bは、本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。本実施形態においては、1チップの発熱体上に複数の、特定波長の異なる格子を設けている。具体的に、A乃至Dの各領域で、正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを一定として、格子周期P、格子深さDを各領域で変化させることにより、各領域のピーク波長を変化させ、かつ電界強度を大きくすることが可能となる。格子周期Pについては各領域で一定としてもよい。本実施形態によれば、1チップで、複数の特定波長の赤外光源が得られる。
図18は、本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。本実施形態においては、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを一定として、深さDを変化させている。
図20は、図18の実施形態によって放射される赤外線の強度分布を概念的に示す図である。本実施形態によれば、所定の波長帯域の赤外線を放射する赤外光源が得られる。
図19は、本発明の他の実施形態による赤外光源の格子の構成を示す図である。本実施形態においては、1チップの発熱体上に、方向の異なる、複数の格子を設けている。本実施形態によれば、偏光された方向の異なる、複数の特定波長の赤外光源が得られる。
本発明によれば、構造が簡単であり、広い分野に応用することのできる、特定波長の赤外光源が得られる。
以下に、本発明の赤外光源の実施形態1乃至21を、図21乃至図45を使用して説明する。図21乃至図30において、負の誘電体として機能する部分および正の誘電体として機能する部分を、それぞれ、AおよびBで示す。また、負の誘電体材料を斜線で示す。
実施形態1(図21)
本実施形態では、基板上に成膜された平坦表面に直接、格子部を形成する。ガラス等の基板(1a)表面に金等(1b)を成膜し、その上にレジストを塗布し、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する。ドライエッチング等により表面に格子を作製する。あるいはマスター格子を直接インプリンティングし表面に格子を作製する方法である。基板と金との間に樹脂(プラスチック)やガラス等を挟んだ構造でもよい。
つぎに、発熱体(1c)を基板(1a)と接着する。発熱体と基板との間にエポキシ系やセラミック系の接着剤(1e)を配置してもよい。基板および発熱体の、格子に対応する部分以外の部分を赤外光の反射率が高い金属等(1d)で被覆すると、不要の赤外光の放射が抑制されエネルギ効率が向上する。
図51は、発熱体表面温度と発熱体から放射される赤外線強度との関係を示す図である。図51のA2は、発熱体の表面を金で被覆した場合、A1は、被覆しない場合を示す。図51により、発熱体表面に金を成膜することで発熱体から放射される赤外線強度が抑制されることが確認できる。発熱体温度250℃、格子部面積数mm角では0.01〜 0.1W/cm2/um程度である。
本実施形態は製造工程が少なく、安価に製造することができる。
実施形態2(図22)
格子部を形成するための基板(2a)(樹脂、金属、半導体等、本実施形態ではSi基板)にレジスト(2b)を塗布する(図22(a))。つぎに電子線描画あるいは干渉露光、マスク露光により格子パターンを形成し(図22(b))、ドライエッチング等により突起のアレイを作製する(図22(c))。以上の突起アレイを作製する工程にはナノインプリンティング技術を用いても良い。
つぎに、レジストを除去した後に突起アレイにAu等(2c)を成膜する(図22(d))。この時の膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍であることが望ましい。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。またAuの成膜後に塗布する接着剤との密着を確保するためにAu膜上にCrなどの密着層を成膜しても良い。
上記のようにして作製した格子に、発熱体(2d)(ヒータの抵抗線パターンを形成した発熱体等)を接着する(図22(e))。接着には耐熱性エポキシ系やセラミック系接着剤等(2e)を用いる。ここで接着剤に粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。さらに本実施形態においてこの接着剤は、発熱体のヒータパターンとAuとの電気的絶縁を保つ役目も果たす。
この接着剤塗布工程においては接着剤を充填させる部位の構造は微細であるため、接着剤に気泡が混入しないように接着前に真空脱泡処理をした方が好ましい。
つぎに、機械的剥離あるいはエッチング等により、Au表面からSi基板(2a)を除去する(図22(f))。ここでウエットエッチングを用いてSi基板を除去する場合は、HF:HNO3:CH3COOH(またはH2O)の混合液、またはKOH水溶液を使用するのが好ましい。HF:HNO3系の場合はCH3COOH(またはH2O)の濃度でエッチング速度を大きく変えることが可能である。エッチング速度は一例としてHF:HNO3:CH3COOH=1:3:5の時で0.3μm/min程度である。KOH水溶液の場合はエッチング速度に結晶面方位に異方性がありシリコンの場合は100面と110面で数μm/minのエッチング速度を得ることが可能である。
また、図22(f)でSi基板を機械的に剥離した場合には、図22(d)に戻ることにより、Si基板は複数回使用することができる。ここで正確に転写されたAu表面も、長期間の使用の間にAu原子の拡散により形状が変化したり、空洞に異物が析出したりして、光源の放射特性が変化してしまう可能性がある。そのため安定性の向上のために空洞にSiO2や樹脂などの正の誘電体材料(2f)を充填することが有効である(図22(g))。
誘電体の充填方法としては、CVD法やALD法によるSiO2、Si3N4、Al2O3、パリレンなどの気相成長、真空蒸着法やスパッタリング法などのほか、スピンオングラス(SOG)、ポリイミドなどのスピンコート・加熱硬化などがある。
さらに、格子面以外の外周面にAu等(2h)を成膜すると、不要な赤外放射を抑制することができる(図22(h))。なお、外周部のAuの効果を確認するために発熱体表面の金成膜の有無における発熱体表面温度と赤外線強度の測定結果の実験を行ったところ、金を成膜することで発熱体から放射される赤外線強度が抑制されていることが確認できた。
最後に電気配線を形成することで赤外光源が完成し、発熱体に電流を流すとAu表面から図中矢印の方向に赤外光が放射される。
また、ここでは一例として赤外線が放射する反対面に発熱体を設置しているが、他の製造フローを使用することで赤外線が放射する面に発熱体を設置する、または、格子自身(2c)を発熱体とする構造でも良い。Au層に直接電流を流し、格子自身を発熱体として用いることで、Au表面から図中矢印の方向に赤外光が放射される。
突起アレイ上にAuを成膜した後に突起アレイを除去する方法の重要な利点は、最終的に表面に出るAuの表面は、それまで平滑なSiの突起アレイに密着していた面であるので、どのような手法でAu膜を堆積した場合でも、平滑なAu表面が得られることである。また、Au表面の外形も正確に突起アレイの外形を転写したものになる。したがって、正確に設計通りの赤外放射特性を実現することができる。
成膜時に表に出ているAuの表面は、一般に結晶粒の成長などにより凹凸が激しい。また、Au膜の厚さは一般に突起の上面、側面、底面で異なるので、Au膜の外形を設計通りのプロファイルにするのは容易ではない。しかし、この面は最終的に発熱体との接着面となり、表面に現れることはない。
実施形態3(図23)
本実施形態では表面に溝のアレイが加工された金型(3b)を用いて、熱可塑性樹脂やゴムの基板等(3a)の表面に突起のアレイを転写する(図23(a))。金型は、Si基板等にレジストを塗布し、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する方法、金型表面に直接レジスト塗布し、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成、ドライエッチング等により微細パターンを形成する方法、機械的な加工により形成する方法などにより作製することができる。熱可塑性樹脂としては耐熱性を有する樹脂等が利用できる。また、転写方法としては、射出成形、ナノインプリンティング成形等が利用できる。
つぎに、熱可塑性樹脂等の表面にAu等(3c)を成膜する(図23(b))。成膜するAuの膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。またAuの成膜後に塗布する接着剤との密着を確保するためにAu膜上にCrなどの密着層を成膜しても良い。
つぎに、樹脂基板の格子面側と固定基板(3e)を接着する(図23(c))。接着には耐熱性エポキシ樹脂系やセラミック系接着剤等(3d)を用いる。ここで接着剤に粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。また、この接着剤塗布工程は実施形態2同様、接着前に真空脱泡処理をするのが好ましい。
接着する固定基板の材質は、金属、半導体、セラミック、ガラスなど、最終的に格子の形状を維持することができれば何でも良い。ただし、不要な赤外放射を抑制するためには、接着面以外の外周面をAu等赤外光の反射率の高い金属(3f)で被覆することが好ましい。固定基板が金属の場合には周囲を被覆することはさほど重要ではないが、赤外光の反射率がより高い金属で被覆すると、さらに高い不要赤外光の抑制機能が期待できる。
つぎに、トルエンなどの有機溶媒による溶解、あるいは高温加熱による溶融、あるいは酸素プラズマによるアッシング、機械的剥離等により、熱可塑性樹脂基板(3a)を除去することで赤外光源が得られる(図23(d))。最後に格子表面のAu膜(3c)に直接電気配線を形成し電流を流すことで図中の矢印方向に赤外線が放射される。あるいは、固定基板(3e)に発熱体を接着してもよい。
なお、本実施形態では格子部に成膜したAu層(3c)自身が発熱体として作用している。
また、この例ではSiの突起アレイの代わりに、樹脂やゴムの突起アレイを利用しても良い。このような突起アレイは別のマスター型から転写により作製することもできる。いずれも機械的に剥離するのにも使えるが、樹脂はトルエン、キシノン、ブタノンなど、適切な有機溶媒で溶解しても良い。
マスター型として金型を利用する場合は、金型表面にレジストを塗布し、電子線描画、干渉露光、マスク露光等の方法により格子パターンを形成し、ドライエッチング等により微細パターンを形成する。又はSi基板等によってマスター金型を作製し、それをニッケル電鋳等で型取りをする等の方法が考えられる。
本実施形態の重要な特徴は、マスター型を1個だけ作製すれば、既に確立しているプラスチックの成形技術を用いて安価に再現性良く、正確な寸法と形状を持った矩形格子を量産できることである。
また必要に応じて、さらに図22(g)のように空洞に正の誘電体材料を充填すれば、Au表面形状の安定性を向上させることができる。
実施形態4(図24)
本実施形態ではSi基板(4a)の上にSiO2層(4b)さらにその上にSi層(4g)が形成されたSOI基板を用いる。最表面のSi層(図24の4g)の面方位を110方向とし、厚さを作製したい格子の深さに設定しておく。SOI基板にレジスト(4c)を塗布し(図24(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図24(b))。これをKOH水溶液でエッチングすると、結晶面によるエッチング速度の違いにより、Si層は表面に垂直にエッチングが進み、SiO2層に到達したところでエッチングが終了し、Siの矩形格子を作製できる(図24(c))。つぎに、レジストを除去した後にSiの格子上にAu等(4d)を成膜する(図24(d))。この時の膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。
つぎに、格子部にエポキシ樹脂系等の接着剤(4e)を充填し発熱体(4f)(本例ではセラミックヒータ)を接着する(図24(e))。図24に一例として示しているセラミックヒータは、セラミック基板にスクリーン印刷などで金属の抵抗線パターンを形成したものである。
ここで用いる接着剤は粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。
この接着剤塗布工程においては接着剤を充填させる部位の構造は微細であるため、接着剤に気泡が混入しないように接着前に真空脱泡処理をした方が好ましい。
つぎにHF水溶液、あるいはバッファードHF液等でSiO2層(4b)をエッチングし、SiO2と接していたAuを表面露出させる(図24(f))。
ここで電気配線を形成しセラミクスヒータに電流を流すと、Au表面から図中矢印の方向に赤外光が放射される。さらに格子面以外の外周面にAu(4j)を成膜すると、不要な赤外放射を抑制できる(図24(g))。
また、ここでは一例として赤外線が放射する反対面に発熱体を設置しているが、他の製造フローを使用することで赤外線が放射する面に発熱体を設置する、またはc部を導電性材料とし格子自身を発熱体とする構造でも良い。
SOI基板を利用する方法の重要な利点は、まず、高度なドライエッチングやエッチング深さ制御の技術を用いることなく、正確な寸法と形状を持った矩形格子を作製できることである。また、最終的に表に出るAuの表面は平滑になり、空洞にはSiが埋め込まれた状態になるので、形状が長期間安定で、光源の放射特性が変化しないことである。なお、この場合、AuとSiが共晶合金を形成する場合があるので、動作温度には注意が必要である。
実施形態5(図25)
本実施形態ではSi基板(5a)の上にSiO2層(5b)さらにその上にSi層(5e)が形成されたSOI基板を用いる。図24の例と同様に、最表面のSi層(5e)の面方位を110方向とし、厚さを作製したい格子の深さに設定しておく。また、Si基板(5a)の面方位は100方向とする。
SOI基板にレジスト(5c)を塗布し(図25(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図25(b))。本実施形態では突起ではなくて溝のアレイが残るようなパターンを作製する例を示している。ここではSi基板の裏面にも同様にレジスト(5c)を塗布し、開口パターンを形成しておく。
これをKOH水溶液等でエッチングすると、表面にはSiの矩形格子が形成される。同時に、裏面からはSiO2層に到達するまでピラミッド状にエッチングが進み、薄いSiO2層とSi層の膜が周囲を矩形の枠で保持された状態で残る(図25(c))。
つぎに、レジストを除去した後でSi層の表面に、溝の側面や底面にも堆積するようにAu等(5d)を成膜する(図25(d))。この時の膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液を塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。
つぎに、裏面にAu(5f)を成膜すると、不要な赤外放射を抑制でき、最後に電気配線を形成し格子部のAu層に電流を流すことで図中の矢印方向に赤外線が放射される(図25(e))。
本実施形態ではAu層(5d)自身が発熱体として作用している。
本実施形態は、図22に示した実施形態2や図24に示した実施形態4に比べると、工程が少なく、また構造も簡単である。
Au表面形状の安定性については、図22(g)のように、空洞に正の誘電体材料を充填することにより改善できる。
実施形態6(図26)
本実施形態では、表面に格子深さより厚い熱酸化膜(SiO2膜)(6b)を有するSi基板(6a)を使用する。Si基板の面方位は100方向とする。
基板にレジスト(6c)を塗布し(図26(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図26(b))。ドライエッチング等によりSiO2表面に突起のアレイを作製(図26(c))する。ここで、図25の本実施形態と同様に、Si基板の裏面にもレジスト(6c)を塗布し、開口パターンを形成しておく(図26(d))。
これをKOH水溶液でエッチングすると、裏面からはSiO2層に到達するまでピラミッド状にエッチングが進み、薄いSiO2の膜が周囲を矩形の枠で保持された状態で残る(図26(e))。
つぎに、レジストを除去した後でSiO2層の表側の表面(格子部)に、Au等(6d)を成膜する(図26(f))。この時の膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。
ここで得られた構造体のAu層に電気配線を形成し直接電流を流すと、Au表面から図中矢印の方向に赤外光が放射される。
図26(f)の構造では、反対側の面もAu表面が矩形格子を形成しているので、そちらにも別の波長の赤外光が放射される場合がある。その場合には、Au膜の上から凹部を覆い尽くすように充填材(エポキシ系接着剤、セラミック系接着剤、金属等)(6e)を充填し、さらにその上からAu(6f)を成膜し、不要な赤外放射を抑制する(図26(g))。
本実施形態では格子部に成膜したAu層(6d)自身が発熱体として作用している。
本実施形態の特徴は、SiO2とAuの接着面を放射面として使用するため、平滑で且つ形状の正確な面を放射面として利用できることである。さらに空洞にSiO2が埋め込まれたまま残るので、エレクトロマイグレーションの起こりやすい状況であるにも関わらず、正確に設計通りの赤外放射特性が長期間安定に維持されることである。
実施形態7(図27)
本実施形態では表面に格子深さと等しい熱酸化膜(SiO2)(7b)を有するSi基板(7a)を使用する。Si基板の面方位は100方向とする。基板にレジスト(7c)を塗布し(図7(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図27(b))。角度のついた格子パターンは、描画速度の制御や加工の前後の温度処理などで制御が可能である。ドライエッチング等で格子を作製する際に、エッチングの最中にエッチング角度を制御することでテーパーの付いた格子を作成する(図27(c))。レジスト除去後にこの格子溝部にAu等(7d)を成膜法などによって成膜する(図27(e))。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。またAuの埋め込み後に塗布する接着剤との密着を確保するためにCrなどの密着層を成膜しても良い。
つぎに、Au等を埋め込んだ面に、接着面以外の面に金等(7f)を成膜した発熱体(7g)を、接着剤(7e)によって接着する(図27(f))。接着には耐熱性エポキシ系やセラミック系接着剤等を用いる。ここで接着剤に粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。
つぎに、機械的剥離、エッチング、レーザーリフトオフ等により、AuとSiO2から成る格子表面からSi基板(7a)を除去し電気配線を形成することで赤外光源が完成する(図27(g))。
またここでは一例として赤外線が放射する反対面に発熱体を設置しているが、他の製造フローを使用することで赤外線が放射する面に発熱体を設置し、または格子(7d)自身を発熱体とする構造でも良い。
実施形態8(図28)
本実施形態では表面に格子深さと等しいAu(8b)を有するSi基板(8a)を使用する。Si基板の面方位は100方向とする。基板にレジスト(8c)を塗布し(図28(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図28(b))。ドライエッチング等により表面にテーパーの付いた格子を作製する(図28(c))。レジスト除去後にこの格子溝部に、成膜法によって酸化膜(SiO2)等を成膜し、流体研磨やMCP(Mechanochemical polishing)などでAu表面が現れるまで平坦にした後、表面にAu膜(8b)を形成する(図28(e))。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。またAuに塗布する接着剤との密着を確保するためにCrなどの密着層を成膜しても良い。
つぎに、接着面以外の面に金等(8f)を成膜した発熱体(8g)を接着剤(8e)によって接着する(図28(f))。接着には耐熱性エポキシ系やセラミック系接着剤等を用いる。ここで接着剤に粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。
つぎに、機械的剥離、エッチング、レーザーリフトオフ等により、AuとSiO2から成る格子表面からSi基板(8a)を除去し電気配線を形成することで赤外光源が完成する(図28(g))。
またここでは一例として赤外線が放射する反対面に発熱体を設置しているが、他の製造フローを使用することで赤外線が放射する面に発熱体を設置する、または、格子(8b)自身を発熱体とする構造でも良い。
実施形態9(図29)
本実施形態では、表面に格子深さと等しいか薄い熱酸化膜(SiO2)(9b)を有するSi基板(9a)を使用する。Si基板の面方位は100方向とする。基板にレジスト(9c)を塗布し(図29(a))、電子線描画、干渉露光、マスク露光等により格子パターンを形成する(図29(b))。ドライエッチング等によりSiO2を加工し表面に突起のアレイを作製する(図29(c))。この格子表面にAu等(9d)を成膜する(図29(d))。成膜するAuの膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液をスピンコートなどで塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。またAuの成膜後に塗布する接着剤との密着を確保するためにAu膜上にCrなどの密着層を成膜しても良い。
つぎに、Au等を成膜した面に発熱体(9f)を接着する(図29(e))。接着には耐熱性エポキシ系やセラミック系接着剤等(9e)を用いる。ここで接着剤に粘性などがあった場合、格子部への接着剤の充填が不十分となるため、接着剤は格子部への充填性が良いものを使用した方が好ましい。また接着剤が厚くなった場合、線熱膨張係数の違いにより剥離等の問題が発生する可能性があるため、接着剤は可能な限り薄く充填させる方が好ましい。また、この接着剤塗布工程は実施形態2同様、接着前に真空脱泡処理をするのが好ましい。
つぎに、KOH水溶液でエッチングすることで、Si基板(9a)だけが溶解し、格子溝中にSiO2(9b)が残る(図9(f))。
最後に不要な赤外放射を抑制するために格子面以外の外周面にAu(9h)を成膜する(図9(g))。
本実施形態での特徴は最初の熱酸化膜の厚さと、ドライエッチング等の加工深さを調整することにより、格子溝中の希望の深さまでSiO2が充填された赤外光源が実現できることである。
SiO2がちょうど表面まで充填された構造は、その特殊な例であるが、このような構造を実現するには、ドライエッチングの際に、プラズマの発光スペクトルや質量分析計による反応容器内のガス分析等により、エッチングがSiO2層からSi層に到達した瞬間を検出してエッチングを停止(エンドポイント法)するのが良い。この方法を用いれば、熱酸化膜の膜厚が希望の格子深さに一致するSi基板を用意することで、ドライエッチングの条件出しに頼ることなく、またSOI基板のような特殊な基板を必要とすることなく、再現性良く正確に格子を作製することができる。
実施形態10(図30)
本実施形態では、フレキシブルで大面積の赤外光源を実現する例を示すものである.
たとえば、一方の表面に溝のアレイが加工された一対のローラー(10a、10b)を用い、加熱して押圧することにより、プラスチックシートの片面に突起のアレイをエンボス加工する(図30(a))。厚さ10〜100μm程度のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどにホログラムのような微細構造を転写する技術は十分に確立されている。
この格子上に真空蒸着あるいはスパッタリングによりAlやAg等(10d)を成膜する(図30(b))。
つぎに成膜面の上にポリエステルやポリプロピレン等の保護層(10e)を形成する(図30(c))。この層を粘着層として、他の物体の表面にシールのように貼り付けられるようにしても良い。任意の発熱体(10f)にこのシートを接着し電気配線を形成することで、赤外光源を実現することができる(図30(d))。
特殊な使い方として、このシートの金属層に電流を流せば、このフレキシブルなシートそのものを赤外光源とすることも可能である。
あるいは、このシートにシリコーンゴムシートの内部に抵抗線パターンを埋め込んだラバーヒータと接着することによっても、フレキシブルな赤外光源を実現することができる。
実施形態11(図31)
図31は、熱絶縁された赤外光源の具体的な実施形態を示す。赤外光源は、図25に示した方法によって作製される。
SOI基板(11a、11b、11e)の両面にレジスト(11c)を塗布し(図31(a))、電子線描画、マスク露光等により開口パターンを形成する(図31(b)))。つぎに、ドライエッチング等により、Si基板(11a)に到達する深さまで加工し、格子部と外周部を分離する開口を形成する (図31(c))。
つぎに、再度レジストを塗布し電子線描画、干渉露光、マスク露光等により中央部に格子パターンを形成し、ウエットエッチング等で加工することで赤外線放射部に格子を作製する(図31(d))。
さらにもう一度レジストを塗布して電子線描画、干渉露光、マスク露光等によりパターニングし、電極および赤外光源の本体となるAu等(11d)を成膜する(図31(e))。外周部に2つの電極パッドがあり、それらは2本の梁を通して格子と接続されている。成膜するAuの膜厚は全ての面について表皮深さ(Auの場合20〜30nm)の数倍の膜厚が必要である。成膜法は、真空蒸着法やスパッタリング法のほか、特に膜厚の均一性の高い原子層堆積(ALD)法が有効である。比較的厚い膜が得やすい方法として、Au超微粒子分散液を塗布した後、焼結する方法や、電解メッキ、無電解メッキなどの電気化学的手法などがある。
つぎにSOI基板の裏側をKOH水溶液でエッチングすると、裏面の開口と表側の開口からピラミッド状にエッチングが進み、薄いSiO2層とSi層の膜が周囲を4本の梁で保持された状態で残る(図31(f))。
不要な赤外放射を抑制するために、裏側からAu等(11f)を成膜して、不要な赤外放射を抑制する(図31(g)))。
なお、本実施形態では格子部に成膜したAu層(11d)自身が発熱体として作用している。
図31のような膜構造の上に格子を作る最大のメリットは格子の熱容量が図22や図24のようなバルク構造に比べて圧倒的に小さくなることである。熱容量が小さくなれば、同じ温度に到達するために必要な電流も低減でき、高速に電流を変化させた場合の温度、すなわち赤外光強度の追従性も向上する。すなわち高速動作が可能な赤外光源が実現できる。
さらに格子を膜の中央の領域に限定し、その領域を、周囲から支持するのに最低限必要な数本の梁を残して除去すると、格子部は周囲から熱的に絶縁される。このような構造はマイクロマシンの分野で一般的に利用されている。
熱絶縁性が向上すると、周囲の基板は室温近くに保ったまま、格子部のみ高温に設定できる。このことは赤外光源の実装性を格段に向上させることができる。
赤外光源チップは、メタルパッケージにダイボンディングし、パッケージの電極端子とチップの電極パッドをワイヤボンディングにより接続し、真空封止することで、手軽に利用できる形態となる。キャップをかぶせる前の状態を図31(h)に示す。
電極から電流を流すことにより中央の格子部は高温になるが、その周囲が熱絶縁されているため、チップ自体は熱の影響をあまり受けない。したがって、パッケージングにおいては特別な配慮は必要ない。
図31のような熱絶縁された赤外光源は、同一のチップ上に複数配置しても、互いに影響されずに独立に動作する。従って、一つのチップ上に、異なる波長や異なる偏光の赤外光を放射する光源が集積化できる。
さらに少しずつ放射波長の異なる赤外光源を同一チップ上に一次元配列あるいわ二次元配列することにより、可動部なしに、電気的に波長をスキャンすることのできる波長可変赤外光源が実現する。このような光源は、携帯できるほど小型で低消費電力の装置で、任意の物質の赤外スペクトルを測定し、物質を同定するために有用である。実施形態16および17を参照のこと。
さらにSiチップ上には従来技術により様々な電気電子回路が集積化できるので、赤外光源の他に、その駆動に必要な変調回路、電力分配回路、温度フィードバック回路などの周辺回路までも搭載できる。実施形態18を参照のこと。
Siチップ上には、マイクロマシニング技術の進展により、ボロメータやサーモパイルのような赤外検出素子も実装できるので、1個のSiチップ上に赤外光源と赤外検出素子、さらに必要な信号処理回路までも集積化させることができる。実施形態19を参照のこと。
実施形態12(図32)
図32は、1個の発熱体上に複数種類の格子を設けた赤外光源の格子の配置を示す図である。1種類の格子とは、一つの方向に偏光した、一つの特定波長の赤外光を放射する格子である。複数種類の格子とは偏光の方向あるいは特定波長の異なる赤外光を放射する格子である。
図32(a)は、1個の発熱体上に複数種類の格子を設け、1種類の格子が、発熱体上の一つの領域を占めている格子の配置を示す図である。
図32(b)は、1個の発熱体上に複数種類の格子を設け、1種類の格子が複数個の細かい格子に分割され、発熱体上の広い範囲に分布している格子の配置を示す図である。複数種類の格子は市松模様上に、それぞれ同一面積となるように周期的に配置されている。
図32(c)は、各種類の格子の面積の比が調整された格子の配置を示す図である。プランク則の強い波長依存性のために、特定波長の異なる格子は、単位面積あたりの放射強度が一般に異なる。また、放射された赤外光を導く光学系の透過率、反射率は一般に波長依存性や偏光依存性を持つために、異なる種類の格子から放射された赤外光の放射強度の比は、利用される場所に到達した時には変化する。そこで、各種類の格子からの放射強度が希望の比率となるように、各種類の格子の面積の比を適切に調節する。あるいは、面積比は一定のまま、各種類の格子の放射率の比を適切に調節する。
図32(d)は、図32(a)、(b)、(c)の内、少なくとも2つの配置を含む配置の一例を示す図である。
実施形態13(図33)
図33は、赤外光源パッケージの製造方法を示す図である。赤外光源パッケージとは、1個または複数の赤外光源を内蔵し、外部から電力を供給する端子を有するものである。複数の赤外光源はそれぞれ発熱体を備え、それぞれの発熱体に独立に電力を供給できる。赤外光源パッケージの一つの形態は、金属、セラミック、ガラスなどの筐体に密閉され、内部は真空であるか、あるいはN2、Ar、Kr、Xeなどの不活性ガス、あるいはその他の気体が封入され,必要に応じて不要な気体を吸着するゲッター材料も封入されたものである。その窓材は、Si、Ge、サファイア、ZnS、BaF2、CaF2、PbF2などの赤外線透過材料でできている。赤外光源パッケージのもう一つの形態は,窓材がなく,密閉されておらず,赤外光源が外界に露出したものである。
ハーメチックシール(13a)上に、ヒータパターン(13c)を印刷したセラミック基板(13b)を設置してワイヤボンディングで電極(13d)とヒータパターン(13c)を結合する。セラミック基板(13b)に格子(13g)を接着する。詳細な製造方法は以下のとおりである。
工程1において、セラミック基板(13b)上に接着剤(13e)を塗布する。さらに、金属格子13gを接着させる。
工程2において、セラミック基板(13b)上に絶縁層(13h)をコーティングする。さらに、接着剤13eを塗布する。さらに、金属格子(13g)を接着させる。
工程3において、セラミック基板(13b)の、ヒータパターン13cが配置された面と反対側の面に接着剤13eを塗布する。さらに、金属格子(13g)を接着させる。
独立した複数の赤外光源を内蔵する場合には上記工程を複数回繰り返す。複数のヒータを設け、独立に電源をオン・オフすることにより、ヒータごとの赤外線の放射を制御することができる。
キャップ(13i)をかぶせる。長寿命化を目的に、キャップ(13i)の内側には、不活性ガス(Ar、Krなど)、ハロゲンガス(I2、Br2)などを封入するとよい。
実施形態14(図34)
図34は、赤外光源パッケージの種々の形態を示す図である。窓(14j)は、レンズ機能を有していてもよい。窓(14j)の材料は、赤外線を透過させるSi,Ge、サファイア、ZnSe、BaF2、CaF2、PbF2などである。
実施形態15(図35)
図35は、半導体チップ(15d)を使用して作製された赤外光源の構成を示す図である。集積化された各赤外光源を異なる偏光方向、異なる波長、異なる面積にすることにより、半導体チップ(15d)上に様々な組み合わせの赤外光源を作製することができる。半導体チップ(15d)上には、電極パッド(15a)、格子部(15b)、熱絶縁される領域(15c)が設けられる。熱絶縁のための開口(15c)は、中空または熱絶縁物質で充填される。
本実施形態の特徴は以下のとおりである。
1. MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術等で作製することが可能であり作製が容易である。
2. 熱絶縁された構造である為、動作時の熱の影響による不良率低減が可能である。
3. 赤外光源格子部以外は熱絶縁された構造である為、熱時定数を小さくすることが出来るので高速変調が可能となる。
4. MEMS技術等を利用すれば1チップ上に独立した赤外光源を集積化できる。
実施形態16(図36)
図36は、赤外光源の1次元アレイを示す図である。1チップの赤外光源の放射する赤外線の波長を
Figure 0004214178
であらわす。
本実施形態の特徴は以下のとおりである。
1. 電気的に各赤外光源を切り替えることにより、可動部の無い波長スキャン発光素子となる。
2. 赤外光源の集積化、アレイ化により、コンパクトな、多波長赤外光源、赤外波長スキャン素子、赤外分光器などを実現できる。
実施形態17(図37)
図37は、赤外光源の2次元アレイを示す図である。1チップの赤外光源の放射する赤外線の波長を
Figure 0004214178
であらわす。
本実施形態の特徴は以下のとおりである。
1. 電気的に各赤外光源を切り替えることにより、可動部の無い波長スキャン発光素子となる。
2. 赤外光源の集積化、アレイ化により、コンパクトな、多波長赤外光源、赤外波長スキャン素子、赤外分光器などを実現できる。
実施形態18(図38)
図38は、赤外光源(18a)のアレイ、電極パッド(18b)、変調回路(18c)、温度制御回路(18d)ノイズカット回路(18e)などを集積化した装置の構成を示す図である。電子回路をチップ内に集積化すると、電極パッドの数を削減できるので、スペースを小さくすることもできる。
実施形態19(図39)
図39は、1チップ(27d)上に赤外光源(27b)および赤外検出素子(27c)を搭載した投受光素子の構成を示す図である。気体導入部(27f)から気体を測定セル(27e)に導入し気体排出部(27g)から排出する。分析したい気体の吸収波長に合致した波長の赤外光源を発光させて、反射鏡(27d)からの反射光を検出することにより、気体濃度を測定することができる。1チップ上に赤外光源(27b)および赤外検出素子(27c)を設けたことによりコンパクトな分析システムが得られる。
実施形態20(図40乃至図42)
実施形態20は、実施形態8と同じである。実施形態8においては、主に製造方法を記載した。ここでは、設計方法および機能について記載する。
図40は、負の誘電体として機能する部分(19a)と正の誘電体として機能する部分(19b)との境界面が、格子面と所定の角度θをなす格子の断面を示す図である。
図41は、赤外光源において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定めた場合に、格子深さDおよび所定の角度θを求める方法を示す流れ図である。
ステップS20010において、格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定める。特定の波長をλとした場合に
Figure 0004214178
である任意の格子周期Pおよび正の誘電体として機能する部分(誘電体など)の幅Tを定める。
ここで、赤外光源が回折を生じないようにするには、格子周期Pが、
Figure 0004214178
であるように定める。
ステップS20020において、格子深さDおよび所定の角度θを変化させて、赤外光源によって放射される赤外線の強度分布をもとめる。
ステップS20030において、第1のピーク波長λが特定の波長λに一致したかどうか判断する。一致していなければ、ステップS3020に戻り、さらに格子深さDを変化させる。一致していれば、そのときの、格子深さDおよび所定の角度θを赤外光源の格子深さおよび所定の角度として終了する。
図42は、所定の角度と赤外線強度比の関係を示す図である。以下に、格子のデータを示す。
P 3.64マイクロ・メータ
D 0.01−0.8マイクロ・メータの範囲で最適化
T 0.1マイクロ・メータ
λ 4.0マイクロ・メータ
図42に示すように、格子深さDおよび所定の角度θを調整することにより、所定の角度が90度の格子の赤外線強度比よりも高い赤外線強度比が得られる。図42は、所定の角度が90度以下の場合について示しているが、90度よりも大きな場合も同様に所定の角度が90度の格子の赤外線強度比よりも高い赤外線強度比が得られる。
実施形態21(図43乃至図45)
実施形態21は、負の誘電体として機能する部分Aおよび正の誘電体として機能する部分Bの一方または両方が複数の物質から形成される格子である。
図43は、正の誘電体として機能する部分BがSiなどの正の誘電体材料(21b)および空気(中空)から形成され、負の誘電体として機能する部分Aが金(21a)から形成される格子を示す図である。
図44は、正の誘電体として機能する部分BがSiなどの正の誘電体材料(22b)および空気(中空)から形成され、負の誘電体として機能する部分Aが金(22a)および銀(22c)から形成される格子を示す図である。
図45は、図43に示した格子の、D1とD2との比率を変化させた場合の、波長と吸収率との関係を示す図である。正の誘電体として機能する部分BのSiの深さD1を大きくすると第1ピーク波長が長波長側にシフトする。したがって、ある特定波長を得る為に必要な格子深さDを決定する際に、屈折率が空気より大きい正の誘電体材料を使用すると格子部全てが空気である場合と比較して格子深さDを小さくすることが可能となり格子部加工が容易になる。また、格子部に屈折率が異なる少なくとも2種以上の材料の深さ比率(D1:D2)を調整することにより第1ピーク波長の波長ピークを調整することができる。
このように、2種類の正の誘電体材料(空気を含む)または2種類の負の誘電体材料を使用することにより、特定の波長を調整するためのパラメータが増え、設計および製造が容易になる。
上記において説明した本発明による赤外光源の応用について以下に説明する。
二酸化炭素の検出器
二酸化炭素が特定の赤外光を吸収することを利用し、その波長の赤外線の減衰率を検出することにより、二酸化炭素濃度を検出する。
このような光吸収法で測定する検出器においては、従来、光源としてレーザーやセラミック・ヒータなどが使用されている。レーザーを使用した場合は二酸化炭素の吸収が大きい波長でのレーザーが存在しないので、近い波長のレーザーを使用しているケースが多い。セラミック・ヒータの場合も二酸化炭素の吸収が大きい波長の光強度は全エネルギに対して小さい。本発明による赤外光源を使用することにより二酸化炭素の吸収が大きい波長にエネルギを集中して検出感度および精度を向上させることができる。
赤外線分光器
赤外線分光器においては、従来、シリコンカーバイド光源、ハロゲン光源、セラミック光源などが使用されており、これらの光源からの光を、フィルタや回折格子などを使用して分光する。本発明による赤外光源を使用することにより、フィルタや回折格子の負荷が軽減し、効率が向上する。
赤外線を利用した分析装置
赤外線を利用した分析装置は、シリコンカーバイド光源、ハロゲン光源、セラミック光源などからの光を、赤外線分光器で特定の波長成分に分離し、標本に照射し、標本の反射量や透過量を測定することにより、標本の状態を分析する。本発明による赤外光源を使用することにより、赤外線分光器の負荷が軽減し、場合によっては、赤外線分光器が不要となる。
路面状況取得装置
路面に、水分の吸収波長である2乃至7マイクロ・メータの赤外線を照射し、反射量をセンサによって観察することにより、路面状況に関する情報を取得する。また、土が吸収する波長の赤外線を路面に照射し、反射量をセンサによって観察することにより、路面状況に関する情報を取得する。
従来、光源としては発光ダイオードやレーザダイオードが使用されている。これらの光源は、特定の波長のものしか存在しない。本発明による赤外光源を使用することにより、任意の波長の光源が得られるので、路面状況に関する、より多くの情報を取得することができる。
赤外線を利用した治療のための医療器具
8乃至14マイクロ・メータの遠赤外線を人体に照射する医療器具が使用されている。光源としてはランプ、発光ダイオードおよびレーザダイオードなどが使用されている。発光ダイオードおよびレーザダイオードは、特定の波長のものしか存在しない。ランプの場合には、光の波長範囲が広いので、入力電力のほとんどが不要な光として放射されている。本発明による赤外光源を使用することにより、所望の波長の光源が得られるので、効率的に治療を行うことができる。
糖度計
糖度計は、赤外光を対象物に照射し、透過量または吸収量を測定することにより糖度または酸度を測定する。光源としては、従来、ハロゲンランプ、発光ダイオードおよびレーザダイオードなどが使用されている。ハロゲンランプなどを使用すると、冷却装置が必要となり装置が大型化する。発光ダイオードおよびレーザダイオードは、特定の波長のものしか存在しない。本発明による赤外光源を使用することにより、所望の波長の光源が得られるので、糖度に関する、より多くの情報を取得することができる。
水分計
水分計は、赤外光を対象物に照射し、水分子による吸収量を測定することによって水分量を測定する。光源としては、従来、ハロゲンランプなどが使用されている。ハロゲンランプは、光の波長範囲が広いので、入力電力のほとんどが不要な光として放射されている。本発明による赤外光源を使用することにより、所望の波長の光源が得られるので、効率的に水分量を測定することができる。
赤外線物体検出システム
赤外光の光源を備えた投光器と赤外光のセンサ備えた受光器からなる。光源から射出された赤外光が、光径路中の物体によって遮蔽されセンサによって検出されない場合に、物体が存在することを検出する。光径路に反射板を備え、投光器と受光器を一体型としたものもある。本発明による赤外光源を使用することにより、たとえば、太陽光や照明光のスペクトル成分が小さい波長を選択して使用することが可能となり、太陽光や照明光によるノイズを低減することができる。
車載レーダ
車載レーダは、ミリ波や赤外光を発射し、その反射を測定することにより、たとえば、先行車や障害物の位置を検出するのに使用される。車載レーダとして、高価なミリ波レーダに代わり、発光ダイオードやレーザダイオード光源のレーダが使用され始めている。発光ダイオードおよびレーザダイオードは、特定の波長のものしか存在しない。本発明による赤外光源を使用することにより、所望の波長の光源が得られるので、より多くの情報を取得することができる。
赤外線ヒータ(図46)
赤外ランプに金をコーティングした反射鏡を組み合わせた赤外線ヒータが、非接触で対象物を加熱するために使用されている。従来の赤外ランプは、プランク則に基づいて広い波長範囲の赤外光を対象物に照射する。対象物が吸収しにくい波長の赤外光は、有効に加熱に利用されることなく、無駄に散逸されるため効率が低かった。
これに対して、本発明による赤外光源は、加熱対象物の吸収波長だけを放射するよう作製できるので、効率よく対象物を加熱することができる。また、周囲の物体を無用に加熱することなく、加熱したい対象物だけを選択的に加熱することも可能になる。対象物は固体だけではなく、液体や気体でも良い。本赤外線ヒータは、明瞭な吸収ピークを示すような対象物に特に有効である。大半の気体や液体、高分子などの固体がそのような吸収スペクトルを持つ。本赤外光源には単一の格子を用いても良いが、対象物の吸収スペクトルが複数のピークを有する場合や、広いピークを持つ場合、あるいは複数の物質を一度に加熱したい場合には、それに合わせた放射スペクトルとなるように複数の格子を組み合わせても良い。
図46(a)は、本発明の赤外光源を使用した赤外線ヒータの構成の一例を示す図である。本例において、2つの細長い矩形状の赤外光源が背中合わせに固定され、両側に赤外光を放射している。放射された赤外光を両側の放物面鏡で1本の線状領域に集光させる。
図46(b)は、本発明の赤外光源を使用した赤外線ヒータの構成の一例を示す図である。本例において、サファイアなどの赤外光を良く透過する透明材質の円筒レンズ表面に、実施形態10によるフレキシブルなシート状の赤外光源を内側に放射するように接着し、1本の線状領域に赤外光を集光させるように構成する。図46(b)の構成は、13乃至図16に示した実施形態の応用事例でもある。
図46(c)は、本発明の赤外光源を使用した赤外線ヒータの構成の一例を示す図である。本例において、円筒面状の保持基板の内面に、実施形態10によるフレキシブルなシート状の赤外光源を内側に放射するように接着し、1本の線状領域に赤外光を集光させるように構成する。
図46(d)は、従来の赤外光源を使用した赤外線ヒータの構成の一例を示す図である。線状の赤外ランプが放物面鏡の焦点位置に固定されたものである。赤外線が線状に集光され、集光された部分の物体を加熱する。
赤外光放射制御シート
実施形態10(図30)に示したような、表面に特定の波長の赤外光を放射するような格子を有するシートは、それを有限の(絶対零度ではない)温度を持つ任意の物体の表面に貼り付けることにより、その物体を、特定の波長および特定の偏光を持つ赤外光を放射する赤外光源に変えることができる。あるいはその物体の放射スペクトル分布を適当に変更することにより、他から赤外光により検知されやすくしたり、逆に検知されにくくしたりすることもできる。例えば、オーブンの内壁に水の吸収しやすい赤外光を放射するシートを貼り付けておくと、水分を選択的に効率良く加熱して調理することができる。最近では、夜間や見通しの悪い気象条件下でも歩行者の視認を容易にするために赤外線カメラが自動車などに搭載され始めている。このカメラの感度の高い波長に設定したシートを衣服や靴に組み込み,人体を熱源として赤外光を放射すれば、その歩行者が自動車から認知される確率を向上し、さらに安全性を高めることができる。あるいは、逆に、ある物体が、特定の波長の赤外光を追尾する装置により検知されることを回避したい場合には、物体の高温になる部分を特定の波長とは異なる波長の赤外光を放射するようなシートで覆っておけば,輻射による熱放出機能は保ったままで、検知を困難にすることができる。
高速動作する赤外線アレイ(図36および図37)
図36および図37に示したように、赤外光源を1次元または2次元のアレイとして1チップ上に搭載する。この場合アレイの各赤外光源は全体として熱容量の小さい形態にすることにより高速応答可能な複数の波長を発光する、赤外光源アレイを実現することができる。熱容量の小さな赤外光源は、たとえば、実施形態11による赤外光源である。発熱体温度として300℃程度とすれば、波長数μm以上の赤外領域全体をカバーできる。ミリ秒〜秒オーダー程度の熱時定数が実現可能であるので、動作周波数としては10-2〜102Hzオーダー程度が得られる。
赤外光源を備える上記のシステムのうち、分析システムについて、測定対象物を気体の濃度とする分析システムを例として、さらに詳細に説明する。
具体的に測定対象となる気体は、たとえば、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素などのいわゆるNOx、アンモニア、メタン、プロパンなど、異原子でできた赤外活性な分子である。
図55(a)乃至(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態による分析システムの構成を示す図である。上記の実施形態による分析システムは、赤外光源201と、赤外センサ203と、復調器205と、気体容器(セル)207と、を備える。赤外光源201は、一例として、図1に示した赤外光源100であり、格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線を放出する赤外光源である。赤外センサ203として、誘電体表面を加熱すると表面に電荷が発生することを利用した焦電型センサや、ボロメータや、熱電対列であるサーモパイルを使用してもよい。
図56は、測定対象の気体の赤外線吸収度(図56(a))および赤外光源201の放射強度(図56(b))を示す図である。
赤外光源201の放射する特定の波長が、測定対象気体Aの濃度を測定するのに都合の良い波長(たとえば、吸収度のピークの波長)λSに一致するように設定しておく。具体的には、たとえば、測定対象気体Aが二酸化炭素の場合には赤外光源201の放射する特定の波長は、4.3μmに設定し、一酸化炭素の場合には4.7μmに設定する。
赤外光源201は、測定対象の特性にあわせた特定の波長の赤外線を放射することができるので、従来技術の分析システムの波長選択素子(フィルタなど)は不要である。また、赤外光源201は、発熱体のエネルギを特定の波長に集中させることができるので、波長選択素子によって特定の波長以外の光が捨てられる従来技術の分析システムよりもエネルギ効率が高い。
図55(a)に示した分析システムは、さらに、測定信号の強度を周期的に変化させるためのチョッパ211を備える。赤外光源201から放射された特定の波長の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、チョッパ211によって強度を周期的に変化された後、赤外センサ203によって検出される。赤外センサ203によって検出された測定信号は、復調器205によって復調されて出力となる。
図55(b)に示した分析システムは、さらに、周期的に電力を変化させる電源213を備える。赤外光源201として、たとえば、赤外光源100を使用する場合には、赤外光源201の発熱体に供給する電力を、周期的に電力を変化させる電源213によって変化させることにより、赤外光源201によって放射される赤外線の強度を変化させる。赤外光源201から放射された特定の波長の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過した後、赤外センサ203によって検出される。赤外センサ203によって検出された測定信号は、復調器205によって復調されて出力となる。周期的に電力を変化させる電源213によって赤外線の強度を変化させるので、チョッパなどの可動部がなく構成が簡単になる。
図55(c)に示した分析システムは、さらに、赤外光源201と赤外センサ203との間に、偏光素子215を備える。偏光素子215は、所定の偏光面を有する光のみを通過させる。
2.5乃至25マイクロ・メータの波長域の偏光素子として市販のワイヤグリッド偏光素子を使用することができる。ワイヤグリッド偏光素子はワイヤに平行な偏光成分を反射し、垂直な偏光成分を透過する。図55(a)に示した分析システムでは、赤外光源201が特定の波長の赤外線を放射するので、測定対象物が変わって用いる波長が変化しても、同じ偏光素子をそのまま利用できる。
図55(c)に示した分析システムでは、偏光素子215が強度を周期的に変化させる手段としても機能する。偏光素子215は、たとえば、光軸に垂直な面内で、光軸を中心軸として回転するように構成してもよい。偏光素子215が回転することにより、測定信号の強度が周期的に変化する。
図57(a)乃至(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態による参照試料方式の分析システムの構成を示す図である。上記の実施形態による分析システムは、赤外光源201と、赤外センサ203または203Aおよび203Bと、復調器205または205Aおよび205Bと、気体容器207Aおよび207Bと、を備える。赤外光源201は、一例として、図1に示した赤外光源100であり、格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線を放出する赤外光源である。気体容器207Aは、参照試料気体を含み、気体容器207Bは、測定対象気体を含む。参照試料気体と測定対象気体に、赤外光源201によって特定の波長の赤外線が放射される。参照試料気体と測定対象気体に対する赤外センサの測定出力を求め、両者を比較することにより測定対象気体の濃度を求める。
図57(a)に示した分析システムは、さらに、測定信号の強度を周期的に変化させるためのチョッパ211を備える。赤外光源201から放射された特定の波長の赤外線は、気体容器207A中の参照試料気体および気体容器207B中の測定対象気体を通過し、チョッパ211によって強度が周期的に変化し、赤外センサ203Aおよび203Bによって検出される。赤外センサ203Aおよび203Bによって検出された測定信号はそれぞれ、復調器205Aおよび205Bによって復調されて出力となる。
図57(b)に示した分析システムは、さらに、赤外光源201によって放射される赤外線の強度を変化させるための、周期的に電力を変化させる電源213を備える。赤外光源201として、たとえば、赤外光源100を使用する場合には、赤外光源100の発熱体107に供給する電力を、周期的に電力を変化させる電源213によって変化させることにより、赤外光源201によって放射される赤外線の強度を変化させる。赤外光源201から放射された特定の波長の赤外線は、気体容器207A中の参照試料気体および気体容器207B中の測定対象気体を通過した後、赤外センサ203Aおよび203Bによって検出される。赤外センサ203Aおよび203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aおよび205Bによって復調されて出力となる。
図57(c)に示した分析システムは、さらに、赤外光源201と赤外センサ203との間に、偏光素子2151を備える。偏光素子2151は、2個の領域を備え、2個の領域を透過する光の偏光方向は直交する。
図57(c)に示した分析システムでは、偏光素子2151は、たとえば、光軸に垂直な面内で、光軸を中心軸として回転するように構成してもよい。偏光素子2151を回転させ、赤外光源201によって放射される赤外線の偏光面と、偏光素子2151が透過させる光の偏光面とが一致するときに、復調器205の出力信号を読み取るように構成すれば、1台の赤外センサ203によって、測定信号と参照信号とを別個に測定することができる。
図58(a)乃至(f)は、それぞれ、本発明の一実施形態による2波長方式の分析システムの構成を示す図である。上記の実施形態による分析システムは、赤外光源2011と、赤外センサ203または203Aおよび203Bと、復調器205または205Aおよび205Bと、気体容器207と、を備える。
赤外光源2011は、一例として、図19に示した赤外光源であり、1チップの発熱体上に、方向の異なる、複数の格子を設けている。該赤外光源は、それぞれの格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の、方向の異なる偏光面を有する赤外線を放出する。一例として、赤外光源2011は、1チップの発熱体上において、所定の方向に配列された第1の組の格子と、該所定の方向と直交する方向に配列された第2の組の格子とを備える。第1および第2の組の格子の形状は、図56(a)に示すような測定対象気体の吸光度を考慮して、特定の波長が、吸光度の大きいλSおよび吸光度の小さいλとなるように定められる。したがって、赤外光源2011は、それぞれ、波長λSおよびλを有し、互いに直交する偏光面を有する2種類の赤外線を放射する(図56(c))。
図58(a)に示した分析システムは、さらに、測定信号の強度を周期的に変化させるためのチョッパ211を備える。赤外光源2011から放射された2種類の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、チョッパ211によって強度が周期的に変化する。その後、2種類の赤外線のそれぞれは、互いに直交する偏光面を有する光を透過させる偏光素子215Aまたは215Bを通過した後、赤外センサ203Aまたは203Bによって検出される。赤外センサ203Aまたは203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aまたは205Bによって復調されて出力となる。
偏光素子215Aおよび215Bは、配置方向を変えて同じ偏光素子を使用することができる。2波長の波長選択素子が必要となる従来技術の2波長方式分析システムと比較して、部品点数が低減される。
図58(b)に示した分析システムは、さらに、赤外光源2011によって放射される赤外線の強度を変化させるための、周期的に電力を変化させる電源213を備える。赤外光源2011は、図19に示した赤外光源であり、1チップの発熱体に供給する電力を、周期的に電力を変化させる電源213によって変化させることにより、赤外光源2011によって放射される赤外線の強度を変化させる。赤外光源2011から放射された2種類の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、2種類の赤外線のそれぞれは、互いに直交する偏光面を有する光を透過させる偏光素子215Aまたは215Bを通過した後、赤外センサ203Aまたは203Bによって検出される。赤外センサ203Aまたは203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aまたは205Bによって復調されて出力となる。周期的に電力を変化させる電源213によって赤外光源2011によって放射される赤外線の強度を変化させるので、可動部がなく構成が簡単になる。
赤外光源2011では、発熱体のエネルギを特定の波長に集中させることができる。したがって、必要とされる赤外線の強度に対して、発熱体の発熱量を小さくすることができる。この結果、上記のようにチップのサイズを小さくすることができる。また、発熱体の熱容量を小さくすることができるので、周期的に電力を変化させる電源213の出力を小さくし、出力パルスの周期を短くすることができる。
図58(c)に示した分析システムは、さらに、赤外光源2011と赤外センサ203との間に、偏光素子215を備える。
図58(c)に示した分析システムでは、偏光素子215は、たとえば、光軸に垂直な面内で、光軸を中心軸として回転するように構成してもよい。偏光素子215を回転させ、赤外光源2011によって放射される2種類の赤外線のそれぞれの偏光面と、偏光素子215が透過させる光の偏光面とが一致するときに、復調器205の出力信号を読み取るように構成すれば、1台の赤外センサ203を、波長λSの赤外線およびλの赤外線に使用することができる。
図58(d)に示した分析システムは、さらに、赤外光源2011と赤外センサ203との間に、偏光素子2153を備える。偏光素子2153は、2個の領域を備え、2個の領域を透過する光の偏光方向は直交する。直交する偏光方向は、赤外光源2011の放射する2種類の赤外線の偏光面に対応する。
図58(d)に示した分析システムで、偏光素子2153は、赤外センサ203の上流側で並進往復運動するように構成される。その結果、赤外センサには、波長λの赤外線およびλの赤外線が交互に入射する。
図58(d)の偏光素子2153のような並進運動を、バイモルフなどの素子により摺動部を含まない機構によって実現すれば、分析システムの信頼性がさらに向上する。
図58(e)に示した分析システムは、さらに、測定信号の強度を周期的に変化させるためのチョッパ211を備える。赤外光源2011から放射された2種類の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、チョッパ211によって強度が周期的に変化する。その後、2種類の赤外線のそれぞれは、偏光分離素子2155を通過した後、赤外センサ203Aまたは203Bによって検出される。赤外センサ203Aまたは203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aまたは205Bによって復調されて出力となる。偏光分離素子2155としては、上述のワイヤグリッド偏光素子を使用することができる。
図58(f)に示した分析システムは、さらに、赤外光源2011によって放射される赤外線の強度を変化させるための、周期的に電力を変化させる電源213を備える。赤外光源2011は、図19に示した赤外光源であり、1チップの発熱体に供給する電力を、周期的に電力を変化させる電源213によって変化させることにより、赤外光源2011によって放射される赤外線の強度を変化させる。赤外光源2011から放射された2種類の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、2種類の赤外線のそれぞれは、偏光分離素子2155を通過した後、赤外センサ203Aまたは203Bによって検出される。赤外センサ203Aまたは203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aまたは205Bによって復調されて出力となる。周期的に電力を変化させる電源213によって赤外線の強度を変化させるので、可動部がなく構成が簡単になる。
図58(f)に示した分析システムでは、発熱体から放射された赤外線のエネルギは特定の波長の赤外線に集中されて赤外光源2011から放射される。また、チョッパを用いずに赤外光源2011から放射される赤外線そのものの強度を周期的に変化させているので、一度放射された赤外線が遮断されて廃棄されることもない。さらに、2種類の赤外線は、偏光分離素子2155によって、ほとんど損失なく赤外センサ203Aおよび203Bに到達する。このように、図58(f)に示した分析システムでは、原理上利用可能な全てのエネルギを利用することができ、エネルギ効率が極めて高い。
図58(a)乃至(f)に示した分析システムは、偏光素子によって、赤外光源から放射される、2種類の偏光面を有する赤外線を分離する。このため、2種類の赤外線を使用する小型の分析システムが得られる。また、偏光素子を使用することにより、ノイズに強い分析システムが得られる。
図59は、本発明の一実施形態による6波長方式の5成分分析システムの構成を示す図である。上記の実施形態による分析システムは、赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cと、赤外センサ203Aおよび203Bと、復調器205Aおよび205Bと、気体容器207と、周期的に電力を変化させる電源213A、213Bおよび213Cと、偏光分離素子2155とを備える。
赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cは、一例として、図19に示した赤外光源であり、1チップの発熱体上に、方向の異なる、複数の格子を設けている。該赤外光源は、それぞれの格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の、方向の異なる偏光面を有する赤外線を放出する。赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cは、それぞれ、1チップの発熱体上において、所定の方向に配列された第1の組の格子と、該所定の方向と直交する方向に配列された第2の組の格子とを備える。3個の赤外光源の第1の組の格子の配列方向は同じであり、3個の赤外光源の第2の組の格子の配列方向も同じである。赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cの第1および第2の組の格子の形状は、図56(a)に示すような測定対象気体の吸光度を考慮して、特定の波長が、5種類の測定対象気体の特徴的な波長および参照波長となるように定める。したがって、赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cは、それぞれ、上記特定の波長のいずれかの波長を有し、互いに直交する偏光面を有する2種類の赤外線を放射する。
1チップの発熱体に供給する電力を、周期的に電力を変化させる電源213A、213Bおよび213Cによって変化させることにより、赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cによって放射される赤外線の強度を変化させる。赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cのそれぞれから放射された2種類の赤外線は、気体容器207中の測定対象気体を通過し、2種類の赤外線のそれぞれは、偏光分離素子2155を通過した後、赤外センサ203Aまたは203Bによって検出される。赤外センサ203Aまたは203Bによって検出された測定信号は、復調器205Aまたは205Bによって復調されて出力となる。
図60(a)は、3個の周期的に電力を変化させる電源の出力パルス波形を示す図である。図60(b)は、3個の赤外光源から放出される赤外線の出力波形を示す図である。図60(c)は、2個の赤外センサの出力波形を示す図である。3個の赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cは、それぞれ、偏光面が直交する、2種類の波長の赤外線を、同じ周期で放出する。図60(a)に示すように、3個の赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cが赤外線を放出するタイミングは、時間的にシフトしている。図60(c)に示すように、2個の赤外センサ203Aおよび203Bは、それぞれ、2種類の偏光面の内の一方の偏光面を有する、3個の赤外光源2011A、2011Bおよび2011Cから時間的にシフトされたタイミングで放出される赤外線を検出する。
図59に示した分析システムによれば、6種類の波長の内の一つの波長を参照信号として利用すれば、5種類の気体の濃度を測定することができる。参照信号を使用しなければ、6種類の気体の濃度を測定することができる。一般的に、赤外光源の数(この場合は3)とそれぞれの赤外光源の備える格子の種類の数(この場合は2)との関の数の気体の濃度を測定することができる。
従来の分析システムでは、測定対象の気体の数が増えるほどに波長選択素子(フィルタなど)によって廃棄される赤外線が増え、エネルギ効率が低下する。しかし、たとえば、図59に示した分析システムにおいては、測定対象の気体の数が増えてもエネルギ効率は低下しない。
従来の分析システムでは、特定の波長の赤外線にエネルギを集中することができないので、エネルギ効率が低く、赤外光源の熱容量を小さくし、また小型化することができかった。また、従来の分析システムの赤外光源は、セラミックでコーティングしたものや、スクリーン印刷した配線パターンを埋め込んだセラミックス板を放射体を使用していたので、構造的な点からも小型化することができなかった。このように従来の分析システムにおいては、赤外光源を小型化することができなかったので、複数の赤外光源を組み込むことは困難であった。また、赤外光源の熱容量を小さくすることができなかったので、赤外光源を高速で点滅させることは困難であった。
他方、本発明に使用する赤外光源は、エネルギ効率が高いことに加え、半導体微細加工技術で作製できるので、個々の赤外光源の熱容量は必要最小限に抑えることができる。また、一つのチップに複数の独立の赤外光源を集積化することも可能である。このようにして、図59に例として示した分析システムを実現することができる。
なお、図55および図57乃至図59は、赤外線用の光学系を記載していないが、実際の分析システムは、赤外線用の光学系を備える。
図55および図57乃至図59は、測定対象気体の流入する測定セル(容器207など)は周囲の光学素子とは窓材により隔離されているかのように図示した。また、赤外線は測定セルを1回だけ通過する透過型のものとした。しかし、これは代表的な構成を例示したに過ぎない。光源の格子や検出素子が測定セル内に露出している構成や、1枚あるいは複数枚のミラーを用いて赤外線を一度あるいは複数回反射させて光路長を長くした構成、導波路状の光路を赤外線が反射されながら閉じ込められた状態で伝搬する構成など、従来の分析システムで利用されている種々の構成に、本発明を適用することができる。
さらに、通常は非分散型赤外線吸収法としては分類されないような、測定対象物からの反射光や散乱光を検出するような測定方法や、全反射法、高感度反射法、顕微法、光音響法、エリプソメトリなどを適用した特殊な測定方法であっても、本発明の特徴的な赤外光源を利用して物質を分析するシステムは、本発明の範囲に含まれる。
図65は、糖度計のシステム構成を示す図である。糖度計は、赤外光源201、レンズ221、レンズ223および赤外センサ203を備える。赤外光源201は、一例として、図1に示した赤外光源100であり、格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線を放出する赤外光源である。あるいは、赤外光源201として、図13または図14に示したものを使用してもよい。赤外センサ203として、誘電体表面を加熱すると表面に電荷が発生することを利用した焦電型センサや、熱電対列であるサーモパイルを使用してもよい。
赤外光源201から放射された赤外線は、レンズ221によってコリメートされ、果物などの測定対象物251を透過し、レンズ223によって赤外センサ203に集光される。また、たとえば、レンズ223の後に図示しないチョッパを設置して、赤外線の強度を周期的に変化させてもよい。
糖度計は、特定の波長の赤外線が、測定対象物の糖度に応じて吸収されることを利用して測定対象物の糖度を測定する。特定の波長の赤外線は、測定対象物によって異なるが、5乃至10マイクロ・メータの範囲である。複数の特定の波長を使用する場合には、図58および図59に関連して説明したような、複数の特定の波長の光源を1チップに集積した赤外光源を使用してもよい。
図66は、水分計のシステム構成を示す図である。水分計は、赤外光源201、レンズ225、227、反射ミラー231、235、集光ミラー233および赤外センサ203を備える。赤外光源201は、一例として、図1に示した赤外光源100であり、格子の配列方向と直交する偏光面(図1のAの方向の偏光面)を有する、格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線を放出する赤外光源である。あるいは、赤外光源201として、図13または図14に示したものを使用してもよい。赤外センサ203として、誘電体表面を加熱すると表面に電荷が発生することを利用した焦電型センサや、熱電対列であるサーモパイルを使用してもよい。
赤外光源201から放射された赤外線は、レンズ225によってコリメートされ、反射ミラー231によって反射されて測定物253に至り、測定物253によって反射される。測定物253からの反射光は、集光ミラー233によって集光され、反射ミラー235によって反射された後、レンズ227によって赤外センサ203に集光される。また、たとえば、レンズ227の後に図示しないチョッパを設置して、赤外線の強度を周期的に変化させてもよい。
水分計は、特定の波長の赤外線が、測定対象物の水分量に応じて吸収されることを利用して測定対象物の水分を測定する。
本発明による分析システムの赤外光源は、エネルギを、特定の波長の赤外線に集中させて放出するので、エネルギ効率が高く、構造的に小型化に適している。したがって、本発明による分析システムは、1チップの形態で小型化した赤外光源や、さらに、1チップ上に、多数の波長の光源や多数の偏光面の光源を集約した赤外光源を使用することができる。また、赤外光源の熱容量を小さくすることができるので、本発明による分析システムにおいては、赤外光源の発熱体に供給する電力を短い周期で変化させて、赤外光源から短い周期で赤外線を放出させることができる。
以下において、赤外光源を使用する監視システムについて説明する。
最初に、監視システムに使用される赤外線の波長について説明する。
たとえば、屋外に設置される監視システムは、太陽光、物体による太陽光の反射光、物体の放射光によるノイズの影響を受けにくい光の波長を使用するのが好ましい。
図72は、太陽光の地表におけるスペクトル成分を示す図である。横軸は波長を示し、単位はマイクロ・メータである。縦軸は、分光放射強度を示し、単位は、
Figure 0004214178
である。海面レベルでの太陽光の波長は、2.5マイクロ・メータ未満である。
図73は、地表の反射特性および放射特性を示す図である。横軸は波長を示し、単位はマイクロ・メータである。縦軸は、反射強度および放射強度の相対値を示す。反射強度および放射強度は、2.5マイクロ・メータから6.0マイクロ・メータの範囲で相対的に低い値を示す。
したがって、太陽光、物体による太陽光の反射光、物体の放射光によるノイズの影響を受けない光として、2.5マイクロ・メータから6.0マイクロ・メータの範囲の波長の光を使用するのが好ましい。
特定の波長を、それぞれ、2.5マイクロ・メータ、4.0マイクロ・メータおよび6マイクロ・メータとした場合に、図3および図5に示した方法にしたがって求めた赤外光源の赤外線強度比は、既に説明したように図52乃至54に示されている。
図67は、本発明の一実施形態による、監視システムの構成を示す図である。本実施形態による監視システムは、赤外光源1201と、レンズ1203、1207と、偏光フィルタ1205と、赤外センサ1209と、を備える。
赤外光源1201から放射された赤外線は、レンズ1203によって、赤外センサ207に向けてコリメートされる。監視対象物1221がない場合には、放射された赤外線は、偏光フィルタ1205を透過し、レンズ1207によって集光された後、赤外センサ1209に到達し、赤外センサ1209によって検出される。監視対象物1221がある場合には、放射された赤外線は、監視対象物1221によって吸収または反射され、赤外センサ1209に到達しない。このようにして、監視対象物1221の有無が監視される。
赤外光源1201として、図14または図16に示した、レンズによって赤外線を発散するものを使用してもよい。あるいは、赤外光源1201として、図13または図15に示した、レンズによって赤外線を集光し、その後拡散させるものを使用してもよい。
赤外光源1201の特定の波長を、2.5マイクロ・メータ乃至6マイクロ・メータの範囲とすれば、太陽光によるノイズの影響を受けにくい。また、赤外光源1201は、所定の偏光面を有する赤外線のみを放射するので、偏光フィルタ1205によって上記所定の偏光面を有する赤外線のみを透過させるようにすれば、太陽光などによるノイズの影響がさらに低下する。
図68は、本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。本実施形態による監視システムは、赤外光源1301と、偏光ビームスプリッタ1303と、レンズ1305と、コーナキューブ・リフレクタ1307と、赤外センサ1309と、を備える。
赤外光源1301から放射された赤外線は、偏光ビームスプリッタ1303を透過し、レンズ1305によって、コーナキューブ・リフレクタ307に向けてコリメートされる。監視対象物321がない場合には、放射された赤外線は、コーナキューブ・リフレクタ307によって反射され、レンズ1305によって集光された後、偏光ビームスプリッタ1303で反射され、赤外センサ1309に到達し、赤外センサ1309によって検出される。偏光ビームスプリッタ1303で反射されるのは、コーナキューブ・リフレクタ1307によって反射されることによって偏光面が90度変化しているためである。監視対象物1321がある場合には、放射された赤外線は、監視対象物1321によって吸収または反射され、赤外センサ1309に到達しない。このようにして、監視対象物1321の有無が監視される。
赤外光源1301として、図14または図16に示した、レンズによって赤外線を発散するものを使用してもよい。あるいは、赤外光源1301として、図13または図15に示した、レンズによって赤外線を集光し、その後拡散させるものを使用してもよい。
赤外光源301の特定の波長を、2.5マイクロ・メータ乃至6マイクロ・メータの範囲とすれば、太陽光によるノイズの影響を受けにくい。また、赤外光源301は、所定の偏光面を有する赤外線のみを放射するので、偏光ビームスプリッタ303によって上記所定の偏光面を有する赤外線のみを透過させ、上記所定の偏光面と直交する偏光面を有する赤外線のみを反射するようにすれば、太陽光などによるノイズの影響がさらに低下する。
図69は、本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。本実施形態による監視システムは、赤外光源1401と、放物面反射鏡1403、1405と、偏光フィルタ1407と、赤外センサ1409と、を備える。
赤外光源401から放射された赤外線は、放物面反射鏡403によって、放物面反射鏡405に向けてコリメートされる。監視対象物421がない場合には、放射された赤外線は、放物面反射鏡1405によって集光された後、偏光フィルタ1407を透過し、赤外センサ1409に到達し、赤外センサ1409によって検出される。監視対象物421がある場合には、放射された赤外線は、監視対象物1421によって吸収または反射され、赤外センサ1409に到達しない。このようにして、監視対象物421の有無が監視される。
赤外光源1401として、図14または図16に示した、レンズによって赤外線を発散するものを使用してもよい。あるいは、赤外光源1401として、図13または図15に示した、レンズによって赤外線を集光し、その後拡散させるものを使用してもよい。
赤外光源1401の特定の波長を、2.5マイクロ・メータ乃至6マイクロ・メータの範囲とすれば、太陽光によるノイズの影響を受けにくい。また、赤外光源1401は、所定の偏光面を有する赤外線のみを放射するので、偏光フィルタ1407によって上記所定の偏光面を有する赤外線のみを透過させるようにすれば、太陽光などによるノイズの影響がさらに低下する。
図70は、本発明の他の実施形態による、監視システムの構成を示す図である。本実施形態による監視システムは、赤外光源1501と、レンズ1503と、偏光フィルタ505と、撮像レンズ1507と、アレイ状赤外センサ1509と、を備える。
赤外光源1501から放射された赤外線は、レンズ1503を透過して、所定の監視対象物521に対して放射される。監視対象物1521およびその周囲において反射された赤外線は、偏光フィルタ1505および撮像レンズ1507を透過し、赤外センサ1509に到達し、アレイ状赤外センサ1509に画像を形成する。該画像によって、監視対象物521およびその周囲の状況を監視することができる。
赤外光源1501として、図14または図16に示した、レンズによって赤外線を発散するものを使用してもよい。あるいは、赤外光源1501として、図13または図15に示した、レンズによって赤外線を集光し、その後拡散させるものを使用してもよい。
赤外光源1501の特定の波長を、2.5マイクロ・メータ乃至6マイクロ・メータの範囲とすれば、太陽光によるノイズの影響を受けにくい。また、赤外光源501は、所定の偏光面を有する赤外線のみを放射するので、偏光フィルタ1505によって上記所定の偏光面を有する赤外線のみを透過させるようにすれば、太陽光などによるノイズの影響がさらに低下する。
上記の実施形態において、レンズは、シリコン、ゲルマニウムなどで作成したものである。
上記の実施形態において赤外センサとして、誘電体表面を加熱すると表面に電荷が発生することを利用した焦電型センサや、熱電対列であるサーモパイルなどの熱型赤外線センサやPbSe光導電素子などの量子型赤外線センサを使用してもよい。
図71は、PbSe光導電素子の、波長に対する相対感度を示す図である。PbSe光導電素子の相対感度は、4マイクロ・メータ付近の波長でピークとなるので、太陽光のノイズを避ける波長域(2.5乃至6マイクロ・メータ)の監視システムの赤外センサに適している。
上記の実施形態において、偏光フィルタや偏光ビームスプリッタとしては、市販のワイヤグリッド偏光素子を使用してもよい。
本発明の一実施形態による赤外光源は、前記格子が、前記一定周期をP、前記正の誘電体として機能する部分の、前記一定方向の幅をT、格子深さをDとし、特定の波長をλとした場合に
Figure 0004214178
であるP、TおよびDに対して、前記赤外光源から放射される赤外線の強度のピーク波長が前記特定の波長と一致するようにP、TおよびDを定めたことを特徴とする。
本実施形態によれば、格子の周期P、格子の幅Tおよび格子の深さDを調整することによって、前記特定の波長を所望の波長とすることができる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記格子が、前記一定周期をP、前記正の誘電体として機能する部分の上面における、前記一定方向の幅をT、格子深さをD、前記負の誘電体として機能する部分と前記正の誘電体として機能する部分との境界面の、前記格子の面に対する角度をθとし、特定の波長をλとした場合に
Figure 0004214178
であるP、TおよびDに対して、前記赤外光源から放射される赤外線の強度のピーク波長が前記特定の波長と一致するようにP、T、Dおよびθを定めたことを特徴とする。
本実施形態によれば、格子の周期P、格子の幅T、格子の深さD、および前記負の誘電体として機能する部分と前記正の誘電体として機能する部分との境界面の、前記格子の面に対する角度θを調整することによって、前記特定の波長を所望の波長とすることができる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記負の誘電体として機能する部分が負の誘電体材料からなることを特徴とする。
本実施形態によれば、製造工程が少なく製造が容易な赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記負の誘電体として機能する部分の表面のみが負の誘電体材料からなることを特徴とする。
本実施形態によれば、製造が容易で高精度の赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記負の誘電体として機能する部分が複数種類の負の誘電体材料からなることを特徴とする。
本実施形態によれば、特定の波長を調整するためのパラメータが増え、設計および製造が容易になる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記正の誘電体として機能する部分が複数種類の正の誘電体材料からなることを特徴とする。
本実施形態によれば、特定の波長を調整するためのパラメータが増え、設計および製造が容易になる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記負の誘電体として機能する部分が前記発熱体を兼ねることを特徴とする。
本実施形態によれば、構造が簡単でコンパクトな赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記発熱体の、前記格子に対応する部分以外の部分を金属で被覆したことを特徴とする。
本実施形態によれば、赤外光線が格子に対応する部分以外の部分に放射されないので、エネルギ効率の高い赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、複数の特定波長にそれぞれ対応する複数の格子を備えたことを特徴とする。
本実施形態によれば、複数の特定波長の赤外線を放射する、構造が簡単でコンパクトな赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、異なる方向に配列された2種類以上の格子を備えたことを特徴とする。
本実施形態によれば、2種類以上の異なる偏光面に偏光された、特定波長の赤外線を放射する、構造が簡単でコンパクトな赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記一定方向に沿って、前記特定の波長が変化するように前記格子の形状を変化させたことを特徴とする。
本実施形態によれば、所定の波長帯域の赤外線を放射する、構造が簡単でコンパクトな赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、前記格子がレンズの表面に配置されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、放射する赤外光を集光あるいは発散させる赤外光源が得られる。
本発明の他の実施形態による赤外光源は、フレキシブルなシートとして形成されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、ヒータなどに広く応用することができる赤外光源が得られる。
本発明による基板は、本発明による赤外光源を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、特定の波長の赤外線を放出するコンパクトな基板が得られる。
本発明の一実施形態による基板は、熱絶縁された膜構造上に赤外光源を備えたことを特徴とする。
本実施形態によれば、熱容量が小さく高速動作可能な赤外光源が得られる。
本発明の一実施形態による基板は、複数の赤外光源を備えたことを特徴とする。
本実施形態によれば、複数種類の赤外線を放出することのできる基板が得られる。
本発明の一実施形態による基板は、独立に制御することのできる複数の発熱体を備えたことを特徴とする。
本実施形態によれば、複数種類の赤外線の放出を独立に制御することのできる基板が得られる。
本発明による赤外光源の製造方法は、発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源の製造方法である。本方法は、プラスチックによって前記格子の型を形成し、該型の表面に負の誘電体材料を成膜することによって、前記負の誘電体として機能する部分を形成することを特徴とする。
本発明によれば、プラスチックの型の表面に負の誘電体材料を成膜することによって、負の誘電体として機能する部分を形成するので、赤外光源の格子を高精度で形成することができる。
本発明の一実施形態による分析システムは、本発明による赤外光源と、前記特定の波長の赤外線を検出することのできる赤外センサと、を備え、前記赤外光源が対象物に前記特定の波長の赤外線を放射し、前記特定の波長の赤外線を検出することによって、前記対象物の性質を分析することを特徴とする。
本実施形態による分析システムによれば、赤外光源のエネルギを特定の波長の赤外線に集中させることができるので、エネルギ効率が高まり、赤外光源、さらには分析システムを小型化することができる。また、赤外光源によって特定の波長の赤外線を放出することができるので、波長選択素子などの部品が不要となり、分析システムの構造が簡単になる。
本発明の他の実施形態による分析システムは、前記赤外光源と前記赤外センサとの間に、少なくとも一つの偏光素子を備え、前記偏光素子が所定の方向の偏光面を有する光のみを透過または反射させるように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、赤外光源は、格子の配列方向と直交する偏光面を有する赤外線を放射するので、偏光素子が該偏光面を有する赤外線のみを透過または反射させるようにすれば、ノイズに強い分析システムが得られる。
本発明の他の実施形態による分析システムは、前記偏光素子を透過し、または前記偏光素子に反射される、前記特定の波長の、前記所定の方向の偏光面を有する赤外線の強度を周期的に変化させるように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、周期的に変化する強度を有する赤外線を赤外センサによって検出し、赤外センサの出力を復調することによって、ノイズに強い分析システムが得られる。
本発明の他の実施形態による分析システムは、前記偏光素子を回転させるように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、偏光素子を回転させる簡単な構造により、ノイズに強い分析システムが得られる。
本発明の他の実施形態による分析システムは、前記偏光素子を往復運動させるように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、偏光素子を往復運動させる簡単な構造により、ノイズに強い分析システムが得られる。往復運動を、バイモルフなどの素子により摺動部を含まない構造によって行えば、さらに分析システムの信頼性が向上する。
本発明の他の実施形態による分析システムは、前記発熱体に電力を供給する電源を備え、前記発熱体に供給する電力を変化させることによって、前記赤外光源が放出する赤外線の強度を周期的に変化させるように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、赤外線の強度を周期的に変化させるための可動部を備えることなく、ノイズに強い分析システムが得られる。さらに、赤外光源のエネルギ効率が高いので、赤外光源の熱容量を小さくし、赤外線の強度変化周期を小さくすることができる。
本発明の他の実施形態による分析システムにおいては、前記赤外光源は、発熱体と、複数の格子とを備え、前記複数の格子のそれぞれの格子は、正の誘電体部および負の誘電体部を一定方向に一定周期で交互に形成した格子であり、前記発熱体の放射エネルギを、前記複数の格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記複数の格子の形状によって定まる複数の特定の波長の赤外線に集中させて放射することを特徴する。
本実施形態によれば、赤外光源が複数の特定の波長の赤外線を放出するので、複数の特定の波長の赤外線を使用する、エネルギ効率が高く小型の分析システムが得られる。
本発明の他の実施形態による分析システムにおいては、前記赤外光源は、発熱体と、異なる方向に配列された複数の格子とを備え、前記複数の格子のそれぞれの格子は、正の誘電体部および負の誘電体部を一定方向に一定周期で交互に形成した格子であり、前記発熱体の放射エネルギを、前記複数の格子の配列方向と直交する複数の偏光面を有する、前記複数の格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射することを特徴する。
本実施形態によれば、赤外光源が複数の偏光面を有する赤外線を放出する。たとえば、複数の偏光面ごとに異なる波長の赤外線を放出するようにすれば、偏光面によって異なる波長の赤外線を分離することができるので都合がよい。
本発明の他の実施形態による分析システムは、複数の赤外光源と前記複数の赤外光源のそれぞれの発熱体に電力を供給する電源を備え、前記複数の赤外光源のそれぞれの発熱体に電力を供給するタイミングを時間的にシフトさせ、前記複数の赤外光源のそれぞれが時間的にシフトしたタイミングで赤外線を放射するように構成したことを特徴する。
本実施形態によれば、複数の赤外光源から放射される複数種類の赤外線を時分割で処理することができる。さらに、赤外光源のエネルギ効率が高いので、赤外光源の熱容量を小さくし、時分割の周期を短くすることによってデータ処理速度を向上させることができる。
本発明の一実施形態による監視システムは、本発明による赤外光源と、前記特定の波長の赤外線を検出することのできる赤外センサと、を備え、前記赤外光源が前記特定の波長の赤外線を放射し、前記赤外センサが前記特定の波長の赤外線を検出することによって、前記赤外光源の周囲の状況を監視することを特徴する。
本実施形態による監視システムは、所望の特定の波長で強い強度の放射線を使用することができ、高い精度で監視を行うことができる。
本発明の他の実施形態による監視システムは、前記特定の波長が2.5マイクロ・メータから6マイクロ・メータの範囲であることを特徴とする。
本実施形態による監視システムは、2.5マイクロ・メータから6.0マイクロ・メータの範囲の波長の光を使用するので、太陽光、物体による太陽光の反射光、物体の放射光によるノイズの影響を受けにくい。
本発明の他の実施形態による監視システムは、前記特定の波長が、前記赤外センサの感度がピークとなる波長と一致するように構成したことを特徴とする。
本実施形態による監視システムは、特定の波長が、赤外センサの感度がピークとなる波長と一致するので、高い精度で監視を行うことができる。
本発明の他の実施形態による監視システムは、前記一定方向に沿って前記特定の波長が変化するように、前記一定方向に沿って前記格子の深さを変化させたことを特徴とする。
本実施形態による監視システムは、所望の波長帯域の赤外線を使用することができる。
本発明の他の実施形態による監視システムは、前記格子がレンズ面に配置されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、赤外光源によって赤外光を集光あるいは発散させることができるので、コンパクトな監視システムが得られる。
本発明の他の実施形態による監視システムは、前記赤外光源から前記赤外センサに至る赤外線の経路に、少なくとも一つの偏光素子を備え、前記偏光素子が所定の方向の偏光面を有する光のみを透過させるように構成したことを特徴とする。
本実施形態によれば、偏光素子が、赤外光源によって放射された赤外線の、所定の偏光面を有する赤外線のみを透過させるので、ノイズの影響が低減され確実に監視を行うことができる。

Claims (22)

  1. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    前記格子が、前記一定周期をP、前記正の誘電体として機能する部分の上面における、前記一定方向の幅をT、格子深さをD、前記負の誘電体として機能する部分と前記正の誘電体として機能する部分との境界面の、前記格子の面に対する角度をθとし、特定の波長をλとした場合に
    Figure 0004214178
    であるP、TおよびDに対して、前記赤外光源から放射される赤外線の強度のピーク波長が前記特定の波長と一致するようにP、T、Dおよびθを定めた、赤外光源。
  2. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    前記負の誘電体として機能する部分の表面のみが負の誘電体材料からなる赤外光源。
  3. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    前記負の誘電体として機能する部分が複数種類の負の誘電体材料からなる赤外光源。
  4. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    前記正の誘電体として機能する部分が複数種類の正の誘電体材料からなる赤外光源。
  5. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    複数の特定波長にそれぞれ対応する複数の格子を備えた赤外光源。
  6. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    異なる方向に配列された2種類以上の格子を備えた赤外光源。
  7. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    複数種類の格子を備え、各種類の格子からの放射強度が希望の比率となるように、各種類の格子の面積の比率を調整した赤外光源。
  8. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    前記一定方向に沿って、前記特定の波長が変化するように前記格子の形状を変化させた赤外光源。
  9. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源であって、
    フレキシブルなシートとして形成された赤外光源。
  10. それぞれが、発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する、複数の赤外光源と、
    前記複数の赤外光源のそれぞれの発熱体に電力を供給する電源と、を備え、
    前記複数の赤外光源のそれぞれの発熱体に電力を供給するタイミングを時間的にシフトさせ、前記複数の赤外光源のそれぞれが時間的にシフトしたタイミングで赤外線を放射するように構成した赤外光源装置。
  11. それぞれが、発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する、複数の赤外光源と、
    前記複数の赤外光源のそれぞれの発熱体に電力を供給する電源と、を備え、
    前記複数の赤外光源のそれぞれは、前記電源によって電力を供給されると異なる波長の赤外線を放射するように構成した赤外光源装置。
  12. それぞれが、発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する、複数の赤外光源が半導体チップ上に配置された赤外光源装置。
  13. 前記複数の赤外光源の偏光面の方向が異なる請求項12に記載の赤外光源装置。
  14. 前記複数の赤外光源の特定の波長が異なる請求項12に記載の赤外光源装置。
  15. 前記複数の赤外光源の面積が異なる請求項12に記載の赤外光源装置。
  16. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源の製造方法であって、プラスチックによって前記格子の型を形成し、該型の表面に負の誘電体材料を成膜することによって、前記負の誘電体として機能する部分を形成する赤外光源の製造方法。
  17. 発熱体と、正の誘電体として機能する部分および負の誘電体として機能する部分を一定方向に一定周期で交互に形成した格子とを備え、前記発熱体の放射エネルギを、前記格子の配列方向と直交する偏光面を有する、前記格子の形状によって定まる特定の波長の赤外線に集中させて放射する赤外光源の製造方法であって、基板上に前記格子の前記正の誘電体として機能する部分を形成し、前記正の誘電体として機能する部分の表面を覆うように前記負の誘電体として機能する部分の材料を埋め込み、前記基板と反対側の面において前記負の誘電体として機能する部分に発熱体を接続し、その後前記基板を除去する赤外光源の製造方法。
  18. 前記正の誘電体として機能する部分と前記負の誘電体として機能する部分との境界をなす前記格子の側面が、前記基板の面に対して所定の角度をなすように制御する請求項17に記載の赤外光源の製造方法。
  19. 請求項1から9のいずれか一項に記載された赤外光源を備えた分析システム。
  20. 請求項10から15のいずれか一項に記載された赤外光源装置を備えた分析システム。
  21. 請求項1から9のいずれか一項に記載された赤外光源を備えた監視システム。
  22. 請求項10から15のいずれか一項に記載された赤外光源装置を備えた監視システム。
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