ところで、特許文献2に開示されているような複数の利用側熱交換器を備えた冷凍装置において、特許文献1に開示のデフロスト運転を行い各利用側熱交換器を同時に除霜することが考えられる。しかしながら、このような逆サイクルデフロストによるデフロスト運転では、凝縮した冷媒が利用側熱交換器で液冷媒となって溜まり込み、いわゆる冷媒の寝込みが生じてしまうことがある。このため、上述の如く複数の利用側熱交換器を同時に除霜する場合には、各利用側熱交換器に溜まり込む冷媒の総量も増加するので、デフロストに用いられる冷媒の量を充分確保できなくなることがある。その結果、各利用側熱交換器を効率良く除霜できなくなるという問題が生じる。
特に、上述のような二段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置では、低圧側の圧力が極めて低く、各利用側熱交換器の容量が大きくなる場合が多い。このため、このような冷凍装置で複数の利用側熱交換器の除霜を行うと、各利用側熱交換器に溜まる冷媒の量も多くなってしまい、デフロストに用いられる冷媒の量を確保するのが一層困難となってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の利用側熱交換器を除霜するデフロスト運転が可能な冷凍装置において、デフロストに用いられる冷媒の量を充分確保できるようにして、デフロスト運転の高効率化を図ることである。
第1の発明は、圧縮機(41,42,43)及び熱源側熱交換器(44)を有する熱源側回路(40)と、各々が利用側熱交換器(102,112)を有すると共に上記熱源側回路(40)に並列に接続される複数の利用側回路(100,120,110,160)とを備え、上記熱源側熱交換器(44)が凝縮器となり、上記利用側熱交換器(102,112)が蒸発器となる冷凍サイクルを行う冷却運転と、上記利用側熱交換器(102,112)が凝縮器となり、上記熱源側熱交換器(44)が蒸発器となる冷凍サイクルを行うデフロスト運転とが切換可能な冷凍装置を前提としている。そして、この冷凍装置は、上記デフロスト運転中には、複数の利用側熱交換器(102,112)のうちの一部を凝縮器として残りを休止状態とする個別デフロスト動作を、全ての利用側熱交換器(102,112)が一度は凝縮器となるように一回ごとに凝縮器となる利用側熱交換器(102,112)を変更して複数回行うと共に、上記個別デフロスト動作で休止状態となる利用側熱交換器(102,112)から冷媒を排出する排出動作を行うように構成され、上記熱源側回路(40)には、高段側圧縮機(41,42,43)が設けられる一方、上記各利用側回路(100,120,110,160)には、それぞれ低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)が設けられ、上記冷却運転では、高段側圧縮機(41,42,43)及び低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)を運転して二段圧縮冷凍サイクルを行う一方、上記デフロスト運転では、上記高段側圧縮機(41,42,43)を運転して除霜対象の利用側熱交換器(102,112)のみを凝縮器とする冷凍サイクルを行うように構成され、上記排出動作では、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)を運転させることで、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)内の冷媒を除霜対象の利用側熱交換器(102,112)側へ送ることを特徴とするものである。
第1の発明の冷凍装置では、熱源側回路(40)に複数の利用側回路(100,120,110,160)が並列に接続されることで冷媒回路が構成される。この冷凍装置では、各利用側熱交換器(102,112)で例えば冷凍庫内を冷却する冷却運転と、各利用側熱交換器(102,112)の表面の霜を融かすデフロスト運転とが可能となっている。
具体的には、上記冷却運転では、圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、熱源側熱交換器(44)で凝縮した後、膨張弁等によって減圧され、各利用側熱交換器(102,112)へ送られる。各利用側熱交換器(102,112)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。その結果、例えば冷凍庫内の空気が冷却される。各利用側熱交換器(102,112)で蒸発した冷媒は、圧縮機(41,42,43)に吸入されて再び圧縮される。
一方、本発明のデフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)のみが凝縮器となり、残りの利用側熱交換器(102,112)は除霜対象外となって休止状態となる個別デフロスト動作が行われる。この個別デフロスト動作について具体例を挙げながら説明する。
個別デフロスト動作において、例えば第1の利用側熱交換器(102)が除霜対象となり、第2の利用側熱交換器(112)が除霜対象外になるとする。この場合、圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、第1の利用側熱交換器(102)のみに送られ、第2の利用側熱交換器(112)には送られない。第1の利用側熱交換器(102)では、冷媒が伝熱管の表面に付着した霜に対して放熱する。その結果、第1の利用側熱交換器(102)では、冷媒が凝縮する一方、伝熱管の表面の霜が徐々に融解して除霜される。第1の利用側熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、膨張弁等で減圧された後、熱源側熱交換器(44)で蒸発する。熱源側熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、圧縮機(41,42,43)に吸入されて再び圧縮される。
本発明のデフロスト運転では、上述のような個別デフロスト動作が、除霜対象を所定の順序で漸次変更するよう繰り返し行われる。つまり、上述の例の個別デフロスト動作が終了した後には、第2の利用側熱交換器(112)が除霜対象(凝縮器)となり、第1の利用側熱交換器(102)が除霜対象外(休止状態)となる個別デフロスト動作が行われる。このため、本発明では、例えば各利用側熱交換器(102,112)へ冷媒を分流させて、各各利用側熱交換器(102,112)を同時に除霜する場合と比較して、1つの利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が多くなる。従って、個別デフロスト動作において、利用側熱交換器(102,112)内に冷媒が寝込んでしまっても、各利用側熱交換器(102,112)のデフロストに用いられる冷媒の量が不足してしまうことがない。
また、本発明のデフロスト運転中には、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)内の冷媒を排出する排出動作が行われる。つまり、個別デフロスト動作時には、休止側となる利用側熱交換器(102,112)内に冷媒が残存していることがあるが、本発明では、この冷媒が排出動作によって排出される。従って、個別デフロスト動作では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が更に増すことになる。
本発明の冷凍装置では、二段圧縮冷凍サイクルが可能に構成される。つまり、この冷凍装置の冷媒回路には、高段側圧縮機(41,42,43)と低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)とが設けられる。この冷凍装置の冷却運転では、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、熱源側熱交換器(44)で凝縮し、減圧弁等で減圧され、各利用側熱交換器(102,112)へ送られる。各利用側熱交換器(102,112)で蒸発した冷媒は、各低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)でそれぞれ圧縮された後、高段側圧縮機(41,42,43)に吸入されて更に圧縮される。
一方、この冷凍装置のデフロスト運転では、高段側圧縮機(41,42,43)を運転状態としながら個別デフロスト動作が行われる。具体的には、個別デフロスト動作では、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、例えば除霜対象となる第1の利用側熱交換器(102)へ送られる一方、除霜対象外の第2の利用側熱交換器(112)へは送られない。第1の利用側熱交換器(102)の除霜に利用された冷媒は、膨張弁等で減圧され、熱源側熱交換器(44)で凝縮した後、高段側圧縮機(41,42,43)に吸入されて再び圧縮される。
ここで、本発明の排出動作では、個別デフロスト動作で除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)を運転させることで、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ冷媒が送られる。具体的には、例えば個別デフロスト動作において、第2の利用側熱交換器(112)が休止側となる場合、第2の利用側熱交換器(112)に対応する第2の利用側回路(110,160)の第2の低段側圧縮機(161,162,163)が運転される。その結果、第2の利用側熱交換器(112)内に溜まった冷媒は、第2の低段側圧縮機(161,162,163)に吸入されて圧縮され、除霜対象となる第1の利用側熱交換器(102)へ送り込まれる。この際には、第2の利用側回路(110,160)において、第2の低段側圧縮機(161,162,163)の吸入側の配管等に溜まっている冷媒も、第1の利用側熱交換器(102)へ送り込まれることになる。従って、個別デフロスト動作では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が更に増すことになる。
第2の発明は、圧縮機(41,42,43)及び熱源側熱交換器(44)を有する熱源側回路(40)と、各々が利用側熱交換器(102,112)を有すると共に上記熱源側回路(40)に並列に接続される複数の利用側回路(100,120,110,160)とを備え、上記熱源側熱交換器(44)が凝縮器となり、上記利用側熱交換器(102,112)が蒸発器となる冷凍サイクルを行う冷却運転と、上記利用側熱交換器(102,112)が凝縮器となり、上記熱源側熱交換器(44)が蒸発器となる冷凍サイクルを行うデフロスト運転とが切換可能な冷凍装置を前提としている。そして、本発明は、上記デフロスト運転では、複数の利用側熱交換器(102,112)のうちの一部を凝縮器として残りを休止状態とする個別デフロスト動作を、全ての利用側熱交換器(102,112)が一度は凝縮器となるように一回ごとに凝縮器となる利用側熱交換器(102,112)を変更して複数回行うと共に、上記個別デフロスト動作で休止状態となる利用側熱交換器(102,112)から冷媒を排出する排出動作を行うように構成され、上記デフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を流出する冷媒の過冷却度が所定温度以上になると個別デフロスト動作の除霜対象が変更されることを特徴とするものである。
第2の発明のデフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)内に凝縮した液冷媒が溜まり、この液冷媒の過冷却度が所定温度以上になると、個別デフロストの除霜対象が変更される。その結果、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を適宜変更しながら個別デフロスト動作を繰り返し行っても、各利用側熱交換器(102,112)内に液冷媒が溜まってしまうのが未然に回避される。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量が不足してしまうことが一層確実に回避される。
第3の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記各利用側回路(100,120,110,160)には、冷却運転中の利用側熱交換器(102,112)の流入側の冷媒を減圧する膨張弁(101,111)がそれぞれ設けられ、上記個別デフロスト動作では、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の膨張弁(101,111)が開放され、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の膨張弁(101,111)が全閉状態となることを特徴とするものである。
第3の発明では、各利用側回路(100,120,110,160)にそれぞれ膨張弁(101,111)が設けられる。上記冷却運転では、熱源側熱交換器(44)で凝縮した冷媒が、各膨張弁(101,111)で減圧されてから、各利用側熱交換器(102,112)へ送られて蒸発する。
一方、個別デフロスト動作では、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)において、膨張弁(101,111)が開放される。一方、除霜対象外の利用側回路(100,120,110,160)では、膨張弁(101,111)が全閉状態になる。この状態で、高段側圧縮機(41,42,43)が運転されると、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒は除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を流れる。一方、この冷媒が除霜対象外となる利用側熱交換器(102,112)を流れることが、全閉状態の膨張弁(101,111)によって禁止される。従って、個別デフロスト動作では、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が増すことになる。
第4の発明は、第3の発明の冷凍装置において、上記排出動作では、個別デフロスト動作の除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の膨張弁(101,111)が全閉状態になることを特徴とするものである。
第4の発明の排出動作では、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)において、膨張弁(101,111)が全閉状態になると共に低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)が運転される。具体的には、例えば休止側の第2の利用側回路(110,160)では、第2の膨張弁(111)が全閉状態となり、第2の低段側圧縮機(161,162,163)が運転される。その結果、第2の利用側回路(110,160)では、全閉状態の第2の膨張弁(111)から第2の低段側圧縮機(161,162,163)の吸入口までの間に残存している冷媒が、第2の低段側圧縮機(161,162,163)に吸入されて圧縮され、除霜対象となる第1の利用側熱交換器(102)側へ送られる。従って、個別デフロスト動作では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が更に増すことになる。
また、このようにして膨張弁(101,111)を全閉状態にすると、運転状態となった低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入側の圧力が急激に低下する。このため、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)やその前後の配管に液冷媒が溜まっていたとしても、この液冷媒が急激に減圧されて蒸発し易くなる。従って、冷媒が液状態のまま低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)に吸入されることが回避され、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)におけるいわゆる液圧縮現象を未然に防止できる。
第5の発明は、第1、3、4のいずれか1つの発明の冷凍装置において、上記各利用側回路(100,120,110,160)には、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入側と吐出側とを繋ぐと共に上記冷却運転中に閉鎖状態となる開閉弁(SV6,SV11)を有するバイパス管(145,185)がそれぞれ設けられ、上記個別デフロスト動作では、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の開閉弁(SV6,SV11)が開放され、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の開閉弁(SV6,SV11)が閉鎖されることを特徴とするものである。
第5の発明では、各利用側回路(100,120,110,160)にそれぞれバイパス管(145,185)が設けられる。冷却運転中には、各バイパス管(145,185)の開閉弁(SV6,SV11)が閉鎖状態となる。このため、各利用側熱交換器(102,112)で蒸発した冷媒は、バイパス管(145,185)を流れずに各低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)に圧縮され、その後に高段側圧縮機(41,42,43)で更に圧縮される。
一方、個別デフロスト動作では、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の開放弁(SV6,SV11)が閉鎖状態となる。このため、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、バイパス管(145,185)を通じて除霜対象外の利用側熱交換器(101,112)へ送られることが、閉鎖状態の開放弁(SV6,SV11)によって禁止される。従って、個別デフロスト動作では、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が増すことになる。
第6の発明は、第5の発明の冷凍装置において、上記排出動作では、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)の開閉弁(SV6,SV11)が閉鎖されることを特徴とするものである。
第6の発明の排出動作では、個別デフロスト動作の除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する利用側回路(100,120,110,160)において、開閉弁(SV6,SV11)が閉鎖されると共に低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)が運転される。具体的には、例えば休止側の第2の利用側熱交換器(112)に対応する第2の利用側回路(110,160)では、開閉弁(SV11)が閉鎖され、第2の低段側圧縮機(161,162,163)が運転される。その結果、第2の利用側回路(110,160)では、第2の低段側圧縮機(161,162,163)の吐出冷媒が、第2のバイパス管(185)を通じて第2の低段側圧縮機(161,162,163)の吸入側に戻ってしまうことが禁止される。従って、第2の利用側回路(110,160)に溜まった冷媒を速やかに排出でき、個別デフロスト動作で除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が更に増すことになる。
第7の発明は、第5の発明の冷凍装置において、上記各利用側回路(100,120,110,160)には、各低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吐出冷媒中の油を各低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)に吸入させるための容器状の油分離器(124,164)がそれぞれ設けられ、上記各バイパス管(145,185)は、その一端が各油分離器(124,164)に繋がっていることを特徴とするものである。
第7の発明では、各低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吐出側に油分離器(124,164)が設けられる。この油分離器(124,164)は、例えば冷却運転中において、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吐出冷媒中から油を分離する。油分離器(124,164)で分離された油は、油戻し管等を通じて低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)に吸入され、圧縮機構等の潤滑に利用される。
ところで、このように各利用側回路(100,120,110,160)に油分離器(124,164)をそれぞれ設けるようにすると、上記デフロスト運転時には、油分離器(124,164)内にも冷媒が溜まり込んでしまうことがある。即ち、デフロスト運転においては、高段側圧縮機(41,42,43)と各油分離器(124,164)における冷媒の流出配管とが連通することになるので、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒が各油分離器(124,164)内に溜まることがある。その結果、デフロスト運転においては、各利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が不足してしまい、各利用側熱交換器(102,112)の除霜能力が低下してしまうことがある。
そこで本発明では、このような各油分離器(124,164)内の冷媒の溜まり込みを回避すべく、バイパス管(145,185)の一端を油分離器(124,164)と繋ぐようにしている。このため、本発明のデフロスト運転では、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒が、油分離器(124,164)内を流れてからバイパス管(145,185)へ流出し、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ送られることになる。即ち、デフロスト運転時には、油分離器(124,164)内の冷媒が常にバイパス管(145,185)へ押し出されることになるので、油分離器(124,164)内の冷媒の溜まり込みが回避され、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量が更に増加することになる。
第8の発明は、第7の発明の冷凍装置において、上記各バイパス管(145,185)は、その一端が上記各油分離器(124,164)の底部に繋がっていることを特徴とするものである。
第8の発明では、バイパス管(145,185)の一端が油分離器(124,164)の底部と繋がる。このため、デフロスト運転中に油分離器(124,164)に溜まった冷媒が、バイパス管(145,185)へ流出し易くなる。また、油分離器(124,164)内の冷媒が凝縮し、その底部に液冷媒が溜まったとしても、この液冷媒は速やかにバイパス管(145,185)へ流出する。
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明の冷凍装置において、上記各利用側熱交換器(102,112)は、同一の庫内に設けられると共に、各々が同一のフィン(102a)を共用するように構成されていることを特徴とするものである。
第9の発明では、各利用側熱交換器(102,112)が同一の庫内に配置される。また、各利用側熱交換器(102,112)は、同じフィン(102a)を共用している。従って、本発明の個別デフロスト動作では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を凝縮器とする際、この利用側熱交換器(102,112)内の冷媒の熱が、フィン(102a)を介して残りの利用側熱交換器(102,112)へも伝わることになる。その結果、個別デフロスト動作では、凝縮器側の利用側熱交換器(102,112)の熱を利用して、休止側の利用側熱交換器(102,112)の表面の霜も融解させることができる。
第10の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記デフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を流出する冷媒の温度が所定温度以上になると個別デフロスト動作の除霜対象が変更させることを特徴とするものである。
第10の発明のデフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)内に凝縮した液冷媒が溜まり、利用側熱交換器(102,112)内の冷媒の温度が所定温度以上になると、個別デフロストの除霜対象が変更される。その結果、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を適宜変更しながら個別デフロスト動作を繰り返し行っても、各利用側熱交換器(102,112)内に液冷媒が溜まってしまうのが未然に回避される。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量が不足してしまうことが一層確実に回避される。
本発明では、デフロスト運転において、複数の利用側熱交換器(102,112)の中から除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)を適宜変更して個別デフロスト動作を行うようにしている。このため、本発明によれば、複数の利用側熱交換器(102,112)を全て凝縮器として除霜する場合と比較して、利用側熱交換器(102,112)内に溜まり込んでしまう冷媒の量が少なくなる。従って、この個別デフロスト動作では、利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量を充分に確保できるので、デフロスト運転の高効率化を図ることができる。
また、本発明では、個別デフロスト動作で除霜対象外となる利用側熱交換器(102,112)内の冷媒を除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)側へ送る排出動作を行うようにしている。このため、本発明によれば、休止側の利用側熱交換器(102,112)内に溜まり込んでしまう冷媒を除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用することができ、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量を一層確実に確保することができる。
本発明では、利用側熱交換器(102,112)の容量が大きくなり易い2段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置において、除霜対象を変更しながら個別デフロスト動作を行うようにしている。このため、本発明によれば、利用側熱交換器(102,112)内に液冷媒が多量に溜まり込んでしまったとしても、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量を充分確保できる。
また、本発明の排出動作では、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)で圧縮した冷媒を除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送るようにしている。このようにすると、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の入力熱を除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用することができる。
更に、第2の発明のデフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)から流出した冷媒の過冷却度が所定温度以上になると、除霜対象を変更するようにしている。このため、各利用側熱交換器(102,112)内の冷媒の寝込みを未然に回避することができる。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。
また、第3の発明では、個別デフロスト動作において、除霜対象外となる利用側熱交換器(102,112)に対応する膨張弁(101,111)を全閉にしている。従って、本発明によれば、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)における冷媒の流通を確実に禁止でき、その分だけ除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる冷媒の量を多く確保できる。
特に第4の発明の排出動作では、除霜対象外となる利用側熱交換器(102,112)に対応する膨張弁(101,111)を全閉状態としている。このため、本発明によれば、膨張弁(101,111)から低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入口の間に溜まった冷媒を除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる。従って、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)の除霜に用いられる冷媒の量を確実に確保することができる。また、膨張弁(101,111)を全閉とすることで、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入側の冷媒をガス化させることができるので、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)での液圧縮現象を回避できる。
第5の発明では、各利用側回路(100,120,110,160)において、低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入側と吐出側とを繋ぐバイパス管(145,185)を設けるようにしている。このため、個別デフロスト動作では、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒をバイパス管(145,185)を経由して除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる。
特に第6の発明の排出動作では、除霜対象外の利用側熱交換器(102,112)に対応する開閉弁(SV6,SV11)を閉鎖している。このため、本発明によれば、排出動作時に低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)で圧縮された冷媒を速やかに除霜対象の利用側熱交換器(102,112)側へ送ることができる。従って、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。
また、第7の発明では、バイパス管(145,185)の一端を油分離器(124,164)に繋ぐようにしている。従って、本発明のデフロスト運転では、油分離器(124,164)内に溜まった冷媒をバイパス管(145,185)を経由して除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ確実に送ることができる。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。
特に第8の発明では、バイパス管(145,185)の一端を油分離器(124,164)の底部と繋いでいるので、油分離器(124,164)内に溜まった液冷媒等を速やかにバイパス管(145,185)に流出させ、除霜対象の利用側熱交換器(102,112)へ送ることができる。
また、第9の発明では、複数の利用側熱交換器(102,112)がフィン(102a)を共用するように構成されている。このため、個別デフロスト動作時には、各利用側熱交換器(102,112)において、凝縮器側の利用側熱交換器(102,112)内の冷媒の熱を利用して、休止側の利用側熱交換器(102,112)の除霜を行うことができる。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に要する時間の短縮化を図ることができる。
また、第10の発明のデフロスト運転では、除霜対象となる利用側熱交換器(102,112)から流出した冷媒の温度が所定温度以上になると、除霜対象を変更するようにしている。このため、各利用側熱交換器(102,112)内の冷媒の寝込みを未然に回避することができる。従って、各利用側熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の冷凍装置(10)は、コンビニエンスストア等に設置されて、冷凍庫内の冷却を行うものである。
図1に示すように、実施形態の冷凍装置(10)は、室外ユニット(11)、拡張ユニット(12)、過冷却ユニット(13)、冷凍ショーケース(14)、第1ブースタユニット(15)、及び第2ブースタユニット(16)を備えている。上記室外ユニット(11)、拡張ユニット(12)、及び過冷却ユニット(13)は、屋外に設置されている。一方、残りのユニット(14,15,16)は、何れもコンビニエンスストア等の店内に設置されている。
室外ユニット(11)には室外回路(40)が、拡張ユニット(12)には拡張回路(80)が、過冷却ユニット(13)には過冷却回路(90)がそれぞれ設けられている。室外回路(40)と拡張回路(80)と過冷却回路(90)とは、直列に接続されて熱源側回路を構成している。冷凍ショーケース(14)には第1冷凍回路(100)及び第2冷凍回路(110)が、第1ブースタユニット(15)には第1ブースタ回路(120)が、第2ブースタユニット(16)には第2ブースタ回路(160)がそれぞれ設けられている。第1冷凍回路(100)と第1ブースタ回路(120)とは、直列に接続されて第1利用側回路を構成している。第2冷凍回路(110)と第2ブースタ回路(160)とは、直列に接続されて第2利用側回路を構成している。
この冷凍装置(10)では、熱源側回路(40,80,90)に第1利用側回路(100,120)と第2利用側回路(110,160)とが並列に接続されることで、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路が構成されている。
具体的には、室外回路(40)の端部には、第1閉鎖弁(21)と第2閉鎖弁(22)とが設けられている。第2閉鎖弁(22)は、第1連絡配管(31)を介して上記拡張回路(80)の一端と接続している。拡張回路(80)の他端は、第2連絡配管(32)を介して上記過冷却回路(90)の一端と接続している。過冷却回路(90)の他端は、第3連絡配管(33)を介して上記第1冷凍回路(100)及び第2冷凍回路(110)の一端と接続している。第1冷凍回路(100)の他端は、第4連絡配管(34)を介して第1ブースタ回路(120)の一端と接続し、第2冷凍回路(110)の他端は、第5連絡配管(35)を介して第2ブースタ回路(160)の一端と接続している。第1ブースタ回路(120)の他端には第3閉鎖弁(23)が、第2ブースタ回路(160)の他端には第4閉鎖弁(24)がそれぞれ設けられている。第3閉鎖弁(23)及び第4閉鎖弁(24)は、第6連絡配管(36)を介して上記第1閉鎖弁(21)と接続している。
《室外ユニット》
室外ユニット(11)の室外回路(40)には、第1高段側圧縮機(41)、第2高段側圧縮機(42)、第3高段側圧縮機(43)、室外熱交換器(44)、レシーバ(45)、内部熱交換器(46)、室外膨張弁(47)、及び四路切換弁(48)が設けられている。
上記各高段側圧縮機(41,42,43)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機で構成されている。第1高段側圧縮機(41)は、インバータを介して電力が供給される可変容量型の圧縮機を構成している。つまり、第1高段側圧縮機(41)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することにより、その容量が変更可能となっている。第2高段側圧縮機(42)及び第3高段側圧縮機(43)は、固定容量型の圧縮機を構成している。つまり、第2高段側圧縮機(42)及び第3高段側圧縮機(43)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。
第1高段側圧縮機(41)の吐出側には第1吐出管(51)の一端が、第2高段側圧縮機(42)の吐出側には第2吐出管(52)の一端が、第3高段側圧縮機(43)の吐出側には第3吐出管(53)の一端がそれぞれ接続している。これらの吐出管(51,52,53)の他端は、高段側吐出管(54)を介して上記四路切換弁(48)と接続している。また、第1高段側圧縮機(41)の吸入側には第1吸入管(55)が、第2高段側圧縮機(42)の吸入側には第2吸入管(56)が、第3高段側圧縮機(43)の吸入側には第3吸入管(57)がそれぞれ接続している。これらの吸入管(55,56,57)の他端は、高段側吸入管(58)を介して上記四路切換弁(48)と接続している。
高段側吐出管(54)には、高段側油分離器(59)が設けられている。高段側油分離器(59)には、その底部に高段側油戻し管(59a)の一端が接続されている。高段側油戻し管(59a)の他端は、高段側吸入管(58)に接続されている。また、高段側油戻し管(59a)には、開閉自在な第1電磁弁(SV1)が設けられている。高段側油分離器(59)では、各高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒中から油(冷凍機油)が分離される。高段側油分離器(59)で分離された油は、第1電磁弁(SV1)が開放された状態の高段側油戻し管(59a)を経由して、各高段側圧縮機(41,42,43)に吸入される。
上記室外熱交換器(44)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、熱源側熱交換器を構成している。室外熱交換器(44)の近傍には、室外ファン(60)が設けられている。この室外熱交換器(44)では、上記室外ファン(60)が送風する室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(44)は、その一端が四路切換弁(48)に接続され、その他端が第1液管(61)を介して上記レシーバ(45)の頂部に接続されている。
上記レシーバ(45)は、容器内で余剰冷媒を貯留するものである。レシーバ(45)は、約10L(リットル)程度の内部容積を有している。レシーバ(45)には、その頂部に上記第1液管(61)が接続され、その底部に第2液管(62)が接続されている。
上記内部熱交換器(46)は、第1伝熱管(46a)と第2伝熱管(46b)とを有し、各伝熱管(46a,46b)を流れる冷媒同士を熱交換させるものである。この内部熱交換器(46)は、例えばプレート熱交換器で構成されている。
第1伝熱管(46a)は、その一端が上記第2液管(62)に接続され、その他端が第3液管(63)を介して上記第2閉鎖弁(22)に接続されている。第3液管(63)の途中には、第1分岐管(64)及び第2分岐管(65)の一端がそれぞれ接続されている。第1分岐管(64)及び第2分岐管(65)の他端は、それぞれ第1液管(61)の途中に接続されている。第1分岐管(64)には、上記室外膨張弁(47)が設けられている。室外膨張弁(47)は、開度が調節可能な電子膨張弁であって、熱源側膨張弁を構成している。また、第1分岐管(64)の途中には、第1インジェクション管(66)の一端が接続されている。第1インジェクション管(66)の他端は、高段側吸入管(58)に接続されている。第1インジェクション管(66)には、電動弁である第1電動弁(66a)が設けられている。
第2伝熱管(46b)は、その一端が第2インジェクション管(67)を介して上記第1分岐管(64)の途中に接続され、その他端が高段側吸入管(58)に接続されている。第2インジェクション管(67)には、電動弁である第2電動弁(67a)が設けられている。
上記四路切換弁(48)は、第1から第4までのポートを備えている。四路切換弁(48)では、第1のポートが高段側吐出管(54)に、第2のポートが室外熱交換器(44)に、第3のポートが高段側吸入管(58)に、第4のポートが第1閉鎖弁(21)にそれぞれ接続されている。この四路切換弁(48)は、第1のポートと第2のポートが互いに連通して第3のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
室外回路(40)には、各種のセンサが設けられている。具体的には、上記第1吐出管(51)には第1吐出温度センサ(71)が、第2吐出管(52)には第2吐出温度センサ(72)が、第3吐出管(53)には第3吐出温度センサ(73)がそれぞれ設けられている。各吐出温度センサ(71,72,73)は、各高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒の温度をそれぞれ検出する。また、高段側吐出管(54)には高段側高圧圧力センサ(74)が、高段側吸入管(58)には高段側低圧圧力センサ(75)がそれぞれ設けられている。高段側高圧圧力センサ(74)は、室外回路(40)の高圧側の冷媒の圧力を、高段側低圧圧力センサ(75)は、室外回路(40)の低圧側の冷媒の圧力をそれぞれ検出する。また、室外ファン(60)の近傍には、室外温度センサ(76)が設けられている。室外温度センサ(76)は、室外熱交換器(44)の周囲の室外空気の温度を検出する。
室外回路(40)には、複数の逆止弁が設けられている。具体的には、第1吐出管(51)には第1逆止弁(CV1)が、第2吐出管(52)には第2逆止弁(CV2)が、第3吐出管(53)には第3逆止弁(CV3)がそれぞれ設けられている。また、第1液管(61)には第4逆止弁(CV4)が、第3液管(63)には第5逆止弁(CV5)が、第2分岐管(65)には第6逆止弁(CV6)がそれぞれ設けられている。なお、これらの逆止弁及びその後に説明する逆止弁は、図1に付した矢印の指す方向のみの冷媒の流通を許容し、その逆方向への冷媒の流れを禁止している。
室外回路(40)には、上述した第1閉鎖弁(21)及び第2閉鎖弁(22)以外にも複数の閉鎖弁が設けられている。具体的には、第1液管(61)には第5閉鎖弁(25)が、第2液管(62)には第6閉鎖弁(26)が、第1分岐管(64)には第7閉鎖弁(27)がそれぞれ設けられている。
《拡張ユニット》
拡張ユニット(12)の拡張回路(80)には、冷媒貯留器(81)が設けられている。この冷媒貯留器(81)は、円筒密閉状の縦長の容器を構成しており、その内部に冷媒が貯留可能に構成されている。具体的には、冷媒貯留器(81)は、約10L〜15L程度の内部容積を有している。冷媒貯留器(81)には、その底部寄りの周面に第4液管(82)及び第5液管(83)の一端が接続されている。第4液管(82)の他端は第1連絡配管(31)と接続し、第5液管(83)の他端は第2連絡配管(32)と接続している。また、拡張回路(80)には、第5液管(84)に第8閉鎖弁(28)が設けられている。そして、冷媒貯留器(81)は、この第8閉鎖弁(28)を通じて冷媒が充填可能に構成されている。
《過冷却ユニット》
過冷却ユニット(13)の過冷却回路(90)には、過冷却熱交換器(91)、過冷却側圧縮機(92)、過冷却側室外熱交換器(93)、及び過冷却側膨張弁(94)が設けられている。過冷却熱交換器(91)は、高圧側伝熱管(91a)と低圧側伝熱管(91b)とを有し、各伝熱管(91a,91b)を流れる冷媒同士を熱交換させるものである。この過冷却熱交換器(91)は、例えばプレート熱交換器で構成されている。
高圧側伝熱管(91a)は、その一端が上記第2連絡配管(32)と接続し、その他端が上記第3連絡配管(33)と接続している。また、低圧側伝熱管(91b)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる閉回路(90a)に設けられている。この閉回路(90a)では、低圧側伝熱管(91b)の流出側から順に、上記過冷却側圧縮機(92)、過冷却側室外熱交換器(93)、及び過冷却側膨張弁(94)が接続されている。
過冷却側圧縮機(92)は、可変容量型の圧縮機を構成している。過冷却側室外熱交換器(93)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を構成している。過冷却側室外熱交換器(93)の近傍には、過冷却側室外ファン(95)が設けられている。過冷却側室外熱交換器(93)では、過冷却側室外ファン(95)が送風する室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。過冷却側膨張弁(94)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。
また、過冷却ユニット(13)の閉回路(90a)には、過冷却側圧縮機(92)の吸入管に過冷却側低圧圧力センサ(96)が設けられている。過冷却側低圧圧力センサ(96)は、閉回路(90a)の低圧側の冷媒の圧力を検出する。また、過冷却側室外ファン(95)の近傍には、過冷却側室外温度センサ(97)が設けられている。過冷却側室外温度センサ(97)は、過冷却側室外熱交換器(93)の周囲の室外空気の温度を検出する。
《冷凍ショーケース》
冷凍ショーケース(14)では、第1冷凍回路(100)と第2冷凍回路(110)とが第3連絡配管(33)から分岐して並列に設けられている。第1冷凍回路(100)には第1室内膨張弁(101)及び第1冷却熱交換器(102)が設けられ、第2冷凍回路(110)には第2室内膨張弁(111)及び第2冷却熱交換器(112)が設けられている。各室内膨張弁(101,111)は、開度が調節可能な電子膨張弁であって、利用側膨張弁を構成している。
上記各冷却熱交換器(102,112)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、利用側熱交換器をそれぞれ構成している。第1冷却熱交換器(102)と第2冷却熱交換器(112)とは、同一の庫内に配置されている。また、各冷却熱交換器(102,112)は、図2に示すように、各々の伝熱管が同じフィン(102a)を貫通するように近接して配置されている。つまり、各冷却熱交換器(102,112)は、同一のフィン(102a)を互いに共用している。また、各冷却熱交換器(102,112)の伝熱管は、互いに接触していても良いし、所定の間隔を介して配列されていても良い。なお、図1では、便宜上、各冷却熱交換器(102,112)を互いに離して図示している。各冷却熱交換器(102,112)の近傍には、庫内ファン(103)が設けられている。各冷却熱交換器(102,112)では、庫内ファン(103)が送風する庫内空気と、各々の冷媒との間でそれぞれ熱交換が行われる。
また、冷凍ショーケース(14)では、両冷却熱交換器(102,112)の下側にドレンパン(104)が設置されている。ドレンパン(104)は、各冷却熱交換器(102,112)の表面から落下する霜や結露水を回収する開放型の容器を構成している。ドレンパン(104)の内部には、第3連絡配管(33)の一部をなす加熱配管部(33a)が設けられている。加熱配管部(33a)は、ドレンパン(104)の底板に沿うように形成されている。この加熱配管部(33a)は、その内部を流れる冷媒の熱を利用して、ドレンパン(104)に回収された霜や氷塊を融解させるものである。なお、図1では、便宜上、上記庫内ファン(103)とドレンパン(104)と加熱配管部(33a)とを、第1冷却熱交換器(102)寄りに図示している。
また、第1冷凍回路(100)には、第1冷媒温度センサ(105)と第2冷媒温度センサ(106)とが設けられている。第1冷媒温度センサ(105)は、冷却運転中の第1冷却熱交換器(102)の流入側に設けられ、第2冷媒温度センサ(106)は、冷却運転中の第1冷却熱交換器(102)の流出側に設けられている。第2冷凍回路(110)には、第3冷媒温度センサ(115)と第4冷媒温度センサ(116)とが設けられている。第3冷媒温度センサ(115)は、冷却運転中の第2冷却熱交換器(112)の流入側に設けられ、第4冷媒温度センサ(116)は、冷却運転中の第2冷却熱交換器(112)の流出側に設けられている。各温度センサ(105,106,115,116)は、対応する箇所を流れる冷媒の温度をそれぞれ検出する。更に、庫内ファン(103)の近傍には、庫内温度センサ(107)が設けられている。庫内温度センサ(107)は、冷凍ショーケース(14)内の庫内空気の温度を検出する。
《第1ブースタユニット》
上記第1ブースタユニット(15)の第1ブースタ回路(120)には、第1低段側圧縮機(121)、第2低段側圧縮機(122)、及び第3低段側圧縮機(123)が設けられている。上記各低段側圧縮機(121,122,123)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機で構成されている。第1低段側圧縮機(121)は、インバータを介して電力が供給される可変容量型の圧縮機を構成している。つまり、第1低段側圧縮機(121)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することにより、その容量が変更可能となっている。第2低段側圧縮機(122)及び第3低段側圧縮機(123)は、固定容量型の圧縮機を構成している。つまり、第2及び第3低段側圧縮機(122,123)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。
第1低段側圧縮機(121)の吐出側には第4吐出管(131)の一端が、第2低段側圧縮機(122)の吐出側には第5吐出管(132)の一端が、第3低段側圧縮機(123)の吐出側には第6吐出管(133)の一端がそれぞれ接続している。これらの吐出管(131,132,133)の他端は、第1低段側吐出管(134)を介して第3閉鎖弁(23)と接続している。また、第1低段側圧縮機(121)の吸入側には第4吸入管(135)が、第2低段側圧縮機(122)の吸入側には第5吸入管(136)が、第3低段側圧縮機(123)の吸入側には第6吸入管(137)がそれぞれ接続している。これらの吸入管(135,136,137)の他端は、第1低段側吸入管(138)を介して上記第4連絡配管(34)と接続している。
第1低段側吐出管(134)には、第1低段側油分離器(124)が設けられている。第1低段側油分離器(124)には、円筒密閉状に形成されており、その底部に第1低段側油戻し管(124a)の一端が接続されている。第1低段側油戻し管(124a)の他端は、第1低段側吸入管(138)に接続されている。また、第1低段側油戻し管(124a)には、第2電磁弁(SV2)が設けられている。第1低段側油分離器(124)では、第1から第3までの各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒中の油(冷凍機油)が分離される。第1低段側油分離器(124)で分離された油は、第2電磁弁(SV2)が開放された状態の低段側油戻し管(124a)を経由して、各低段側圧縮機(121,122,123)に吸入される。
第1ブースタ回路(120)の各低段側圧縮機(121,122,123)には、それぞれ第1から第3までの油排出管(141,142,143)が接続されている。各油排出管(141,142,143)は、その一端が各低段側圧縮機(121,122,123)のケーシング内の油溜まりにそれぞれ開口しており、その他端は第1低段側吐出管(134)にそれぞれ接続している。第1から第3までの油排出管(141,142,143)には、それぞれ第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が設けられている。各油排出管(141,142,143)では、各電磁弁(SV3,SV4,SV5)が開放状態となることで、各低段側圧縮機(121,122,123)に溜まった余剰の油が、室外回路(40)の各高段側圧縮機(41,42,43)側へ送られる。
室外回路(40)には、第1逃がし管(144)、第1バイパス管(145)、第1吸入側インジェクション管(146)、及び第1吐出側インジェクション管(147)が設けられている。
第1逃がし管(144)は、後述する冷却運転時に各低段側圧縮機(121,122,123)が故障等により休止した場合に、各低段側圧縮機(121,122,123)の吸入側の冷媒を室外回路(40)の各高段側圧縮機(41,42,43)側へ送るものである。第1逃がし管(144)は、その一端が各低段側圧縮機(121,122,123)の吸入側と接続し、その他端が第1低段側油分離器(124)と第3閉鎖弁(23)との間に接続している。
第1バイパス管(145)は、冷媒が各低段側圧縮機(121,122,123)をバイパス可能とするものである。第1バイパス管(145)は、各低段側圧縮機(121,122,123)の吸入側と吐出側とを繋いでいる。具体的には、第1バイパス管(145)の一端は、第1低段側吸入管(138)に接続されている。一方、図3に示すように、第1バイパス管(145)の他端は、第1低段側油分離器(124)の底部と繋がるように、上記第1低段側油戻し管(124a)に接続されている。第1バイパス管(145)には、第6電磁弁(SV6)が設けられている。
第1吸入側インジェクション管(146)は、各低段側圧縮機(121,122,123)の吸入側へ液冷媒を送るものである。冷却運転中には、液冷媒が各低段側圧縮機(121,122,123)に適宜吸入されることで、各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒の温度が調節される。第1吸入側インジェクション管(146)は、その一端が第3連絡配管(33)に接続し、その他端は第1低段側吸入管(138)に接続している。第1吸入側インジェクション管(146)には、開度が調節可能な第3電動弁(146a)が設けられている。
第1吐出側インジェクション管(147)は、各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出側へ液冷媒を送るものである。冷却運転中には、液冷媒が各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒と混合することで、吐出冷媒中に残った油が冷媒と共に搬送され易くなる。つまり、各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒が乾き過ぎとなると、冷媒中の油が連絡配管等に滞り易くなるが、吐出冷媒中に液冷媒を混合させることで、この油を室外回路(40)の各高段側圧縮機(41,42,43)側へ送り易くなる。第1吐出側インジェクション管(147)は、その一端が第3連絡配管(33)に接続し、その他端は第1低段側吐出管(134)に接続している。第1吐出側インジェクション管(147)には、開度が調節可能な第4電動弁(147a)が設けられている。
第1ブースタ回路(120)には、各種のセンサが設けられている。具体的には、上記第4吐出管(131)には第4吐出温度センサ(151)が、第5吐出管(132)には第5吐出温度センサ(152)が、第6吐出管(133)には第6吐出温度センサ(153)がそれぞれ設けられている。各吐出温度センサ(151,152,153)は、各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒の温度をそれぞれ検出する。また、第1低段側吐出管(134)には第1低段側高圧圧力センサ(154)が、第1低段側吸入管(138)には第1低段側低圧圧力センサ(155)がそれぞれ設けられている。第1低段側高圧圧力センサ(154)は、第1ブースタ回路(120)の吐出側の冷媒の圧力を、第1低段側低圧圧力センサ(155)は、第1ブースタ回路(120)の吸入側の冷媒の圧力をそれぞれ検出する。
第1ブースタ回路(120)には、複数の逆止弁が設けられている。具体的には、第4吐出管(131)には第7逆止弁(CV7)が、第5吐出管(132)には第8逆止弁(CV8)が、第6吐出管(133)には第9逆止弁(CV9)がそれぞれ設けられている。第1逃がし管(144)には第10逆止弁(CV10)が設けられている。
《第2ブースタユニット》
上記第2ブースタユニット(16)の第2ブースタ回路(160)は、上述した第1ブースタ回路(120)と同様の構成となっているので、詳細な説明は省略する。即ち、第2ブースタ回路(160)には、第4低段側圧縮機(161)、第5低段側圧縮機(162)、及び第6低段側圧縮機(163)が設けられている。また、第2ブースタ回路(160)には、第7から第9までの吐出管(171,172,173)と、第2低段側吐出管(174)と、第7から第9までの吸入管(175,176,177)と、第2低段側吸入管(178)とが設けられている。
第2ブースタ回路(160)には、第2低段側油分離器(164)と第2低段側油戻し管(164a)と第4から第6までの油排出管(181,182,183)が設けられている。第2低段側油戻し管(164a)には第7電磁弁(SV7)が、各油排出管(181,182,183)には第8から第10までの電磁弁(SV8,SV9,SV10)がそれぞれ設けられている。また、第2ブースタ回路(160)には、第2逃がし管(184)、第2バイパス管(185)、第2吸入側インジェクション管(186)、及び第2吐出側インジェクション管(187)が設けられている。第2バイパス管(185)には第11電磁弁(SV11)が、第2吸入側インジェクション管(186)には第5電動弁(186a)が、第2吐出側インジェクション管(187)には第6電動弁(187a)がそれぞれ設けられている。
更に、第2ブースタ回路(160)には、第7から第9までの吐出温度センサ(191,192,193)と、第2低段側高圧圧力センサ(194)と、第2低段側低圧圧力センサ(195)と、第11から第14までの逆止弁(CV11,CV12,CV13,CV14)が設けられている。
《制御ユニット》
本実施形態の冷凍装置(10)には、制御ユニットとしてのコントローラ(200)が設けられている。このコントローラ(200)は、室外ユニット(11)、過冷却ユニット(13)、冷凍ショーケース(14)、第1ブースタユニット(15)、及び第2ブースタユニット(16)の各センサ等で得られた検出信号が入力可能であり、またこれらのユニット(11,13,14,15,16)の各要素機器へ制御信号を出力可能に構成されている。
−運転動作−
以下に、実施形態の冷凍装置(10)の運転動作について説明する。この冷凍装置(10)では、冷凍ショーケース(14)内を冷却する冷却運転と、冷凍ショーケース(14)内の各冷却熱交換器(102,112)の除霜を行うデフロスト運転とが可能となっている。
<冷却運転>
図4に示す冷却運転では、四路切換弁(48)が第1状態に設定される。また、室外膨張弁(47)が全閉状態となり、過冷却側膨張弁(94)、第1室内膨張弁(101)、及び第2室内膨張弁(111)の開度が適宜調節される。また、第6電磁弁(SV6)及び第11電磁弁(SV11)が閉鎖状態となり、残りの電磁弁も原則として閉鎖状態となる。
冷却運転では、室外ファン(60)、過冷却側室外ファン(95)、庫内ファン(103)が駆動される。また、室外回路(40)の各高段側圧縮機(41,42,43)、第1ブースタ回路(120)の各低段側圧縮機(121,122,123)、第2ブースタ回路(160)の各低段側圧縮機(161,162,163)がそれぞれ駆動される。その結果、冷却運転中の冷媒回路では、室外熱交換器(44)が凝縮器となり、各冷却熱交換器(102,112)が蒸発器となる2段圧縮冷凍サイクルが行われる。
具体的には、各高段側圧縮機(41,42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(54)及び四路切換弁(48)を通過し、室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、レシーバ(45)及び内部熱交換器(46)の第1伝熱管(46a)を通過して第3液管(63)へ流入する。第3液管(63)を流れる冷媒の一部は、第2インジェクション管(67)を流れる際に第2電動弁(67a)で減圧され、その後に内部熱交換器(46)の第2伝熱管(46b)を流れる。内部熱交換器(46)では、第1伝熱管(46a)を流れる高圧冷媒と、第2伝熱管(46b)を流れる低圧冷媒とが熱交換する。その結果、第1伝熱管(46a)内の冷媒の熱が、第2伝熱管(46b)内の冷媒の蒸発熱として奪われる。つまり、内部熱交換器(46)では、第1伝熱管(46a)を流れる冷媒が冷却される。第2伝熱管(46b)で蒸発した冷媒は、高段側吸入管(58)に流入する。
第3液管(63)を流出した冷媒は、冷媒貯留器(81)を通過した後、過冷却熱交換器(91)の高圧側伝熱管(91a)を流れる。一方、過冷却ユニット(13)の閉回路(90a)では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われている。つまり、閉回路(90a)では、過冷却側圧縮機(92)で圧縮された冷媒が、過冷却側室外熱交換器(93)で凝縮し、過冷却側膨張弁(94)で減圧されてから過冷却熱交換器(91)の低圧側伝熱管(91b)を流れる。過冷却熱交換器(91)では、高圧側伝熱管(91a)内の冷媒の熱が、低圧側伝熱管(91b)内の冷媒の蒸発熱として奪われる。つまり、過冷却熱交換器(91)では、高圧側伝熱管(91a)を流れる冷媒が更に冷却される。
過冷却熱交換器(91)の高圧側伝熱管(91a)を流出した冷媒は、第3連絡配管(33)を流れ、加熱配管部(33a)を流通する。ここで、ドレンパン(104)には、各冷却熱交換器(102,112)の表面から落ちた霜や、結露水が凍結した氷塊が溜まっている。このため、加熱配管部(33a)を流れる冷媒によってドレンパン(104)が加熱されると、ドレンパン(104)内の霜や氷塊が融解する。ドレンパン(104)内で融解した水は、排水管等を介してドレンパン(104)から排出される。一方、加熱配管部(33a)を流れる冷媒は、ドレンパン(104)内の霜や氷塊に融解熱を奪われて更に冷却される。加熱配管部(33a)を流出した冷媒は、第1冷凍回路(100)と第2冷凍回路(110)とに分流する。
第1冷凍回路(100)に流入した冷媒は、第1室内膨張弁(101)を通過する際に減圧されてから第1冷却熱交換器(102)を流通する。第1冷却熱交換器(102)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、冷凍ショーケース(14)内の空気が冷却される。第1冷却熱交換器(102)で蒸発した冷媒は、第1ブースタ回路(120)へ流入する。
同様に、第2冷凍回路(110)に流入した冷媒は、第2室内膨張弁(111)を通過する際に減圧されてから第2冷却熱交換器(112)を流通する。第2冷却熱交換器(112)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。第2冷却熱交換器(112)で蒸発した冷媒は、第2ブースタ回路(160)へ流入する。以上のようにして、冷凍ショーケース(14)内の空気は、例えば−30℃に保たれる。
第1ブースタ回路(120)へ流入した冷媒は、各低段側圧縮機(121,122,123)に吸入される。各低段側圧縮機(121,122,123)で圧縮された冷媒は、第1低段側油分離器(124)を通過して第6連絡配管(36)へ流出する。第1低段側油分離器(124)内では、各低段側圧縮機(121,122,123)の吐出冷媒中から油が分離される。分離後の油は、第2電磁弁(SV2)が適宜開放されることで、第1低段側油戻し管(124a)を経由して各低段側油分離器(121,122,123)に吸入される。
同様に、第2ブースタ回路(160)へ流入した冷媒は、各低段側圧縮機(161,162,163)に吸入される。各低段側圧縮機(161,162,163)で圧縮された冷媒は、第2低段側油分離器(164)を通過して第6連絡配管(36)へ流出する。第2低段側油分離器(164)内では、各低段側圧縮機(161,162,163)の吐出冷媒中から油が分離される。分離後の油は、第7電磁弁(SV7)が適宜開放されることで、第2低段側油戻し管(164a)を経由して各低段側油分離器(161,162,163)に吸入される。
第6連絡配管(36)で合流した冷媒は、四路切換弁(48)を通過して高段側吸入管(58)へ流入する。この冷媒は、上述の内部熱交換器(46)の第2伝熱管(46b)を流出した冷媒と混合し、各高段側圧縮機(121,122,123)に吸入されて圧縮される。
<デフロスト運転>
この冷凍装置(10)のデフロスト運転では、第1冷却熱交換器(102)を除霜する第1個別デフロスト動作と、第2冷却熱交換器(112)を除霜する第2個別デフロスト動作とが繰り返し行われる。
この冷凍装置(10)では、上述の冷却運転が所定時間以上継続して行われると、上記冷却運転からデフロスト運転へと移行する。具体的には、コントローラ(200)に設けられたタイマーが所定の設定時間をカウントすると、各冷却熱交換器(102,112)の着霜量が増加していると判断し、デフロスト運転が行われる。
このデフロスト運転では、まず、第1個別デフロスト動作が行われる。第1個別デフロスト動作は、第1冷却熱交換器(102)を除霜対象とするものである。また、このデフロスト運転を開始する際には、その後の最初の第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2冷却熱交換器(112)内に溜まった冷媒を回収する事前排出動作が行われる。
《事前排出動作》
図5に示す事前排出動作では、四路切換弁(48)が第1状態に設定され、各高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となる。また、室外膨張弁(47)が全閉状態となり、過冷却側膨張弁(94)の開度が調節される。後述する第1個別デフロスト動作で除霜対象となる第1冷却熱交換器(102)に対応する第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)、第3電動弁(146a)、及び第4電動弁(147a)の開度が適宜調節され、第6電磁弁(SV6)が閉鎖状態となる。また、第1利用側回路(100,120)では、各低段側圧縮機(121,122,123)が運転状態となる。一方、第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2冷却熱交換器(112)に対応する第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)、第5電動弁(186a)、及び第6電動弁(187a)がそれぞれ全閉状態となり、第11電磁弁(SV11)も閉鎖状態となる。また、第2利用側回路(110,160)では、可変容量型の第4低段側圧縮機(161)が運転状態となる。
この事前排出動作では、各高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(44)で凝縮した後、第1利用側回路(100,120)側にだけ送られる。第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)で減圧された冷媒が、第1冷却熱交換器(102)で蒸発する。従って、この事前排出動作では、冷凍ショーケース(14)内の空気の冷却が未だ継続して行われる。第1冷却熱交換器(102)で蒸発した冷媒は、第1ブースタ回路(120)の各低段側圧縮機(121,122,123)で圧縮され、第6連絡配管(36)へ流出する。
一方、第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)から各低段側圧縮機(161,162,163)の吸入口までの間で冷媒が封止されることになる。この状態で第4低段側圧縮機(161)が駆動されると、第2冷却熱交換器(112)内に溜まった冷媒や、それ以外の配管に封止された冷媒が、第4低段側圧縮機(161)に吸入されて圧縮される。この際には、第4低段側圧縮機(161)の吸入側の圧力が急激に低下する。このため、仮に封止されている冷媒が凝縮して液化していたとしても、この冷媒が減圧されてガス化していく。従って、第4低段側圧縮機(161)に液冷媒が吸入されてしまう、いわゆる液圧縮現象が回避される。
第4低段側圧縮機(161)で吐出された冷媒は、第2低段側油分離器(164)を通過して、第6連絡配管(36)へ流出する。以上のようにして、第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2利用側回路(110,160)では、低段側圧縮機(161)の運転に伴い冷媒が系外に排出されて室外回路(40)側へ回収される。事前排出動作時には、この冷媒が、第1冷却熱交換器(102)へ送られ、冷凍ショーケース(14)の冷却に利用される。
また、この事前排出動作では、第7電磁弁(SV7)が適宜開放されることで、第2低段側油分離器(164)内に回収された油が、第2低段側油戻し管(164a)に戻される。更に、この際には、第8電磁弁(SV8)が開放されることで、第4低段側圧縮機(161)内の余剰の油が第4油送り管(181)を経由して第6連絡配管(36)へ送られ、最終的には各高段側圧縮機(41,42,43)に吸入される。以上のように、この事前排出動作では、第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2利用側回路(110,160)の低段側圧縮機(161)内の油が、各高段側圧縮機(41,42,43)に送られる油回収動作も行われる。
事前排出動作は、第2利用側回路(110,160)の各低段側圧縮機(161,162,163)の吐出側の冷媒温度に応じて、第4低段側圧縮機(161)の運転容量が制御される。具体的には、例えば第4低段側圧縮機(161)は、第7吐出温度センサ(191)で検出した吐出冷媒の温度が上がるに連れて、運転周波数が小さくなるように制御される。
また、事前排出動作では、第7吐出温度センサ(191)の検出温度が所定温度以上になると第4低段側圧縮機(161)が停止する。その結果、事前排出動作が終了し、第1個別デフロスト動作が行われる。
《第1個別デフロスト動作》
図6に示す第1個別デフロスト動作では、四路切換弁(48)が第2状態に設定され、各高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となる。また、室外膨張弁(47)及び過冷却側膨張弁(94)の開度が調節される。第1個別デフロスト動作で除霜対象となる第1冷却熱交換器(102)に対応する第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)が全開状態となり、第3電動弁(146a)及び第4電動弁(147a)が全閉状態となり、第6電磁弁(SV6)が開放される。また、第1利用側回路(100,120)では、各低段側圧縮機(121,122,123)が停止状態となる。
一方、第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2冷却熱交換器(112)に対応する第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)、第5電動弁(186a)、及び第6電動弁(187a)がそれぞれ全閉状態となり、第11電磁弁(SV11)が閉鎖される。また、第2利用側回路(110,160)では、各低段側圧縮機(161,162,163)が停止状態となる。
この第1個別デフロスト動作では、各高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、第6連絡配管(36)へ流出する。第6連絡配管(36)へ流出した冷媒は、第1ブースタ回路(120)を流れて第1低段側油分離器(124)内へ流入する。第1低段側油分離器(124)では、その内部に溜まった冷媒が押し出されるようにして、第1バイパス管(145)へ流出する。第1バイパス管(145)を流れる冷媒は、第1低段側吸入管(138)を経由して、第1冷凍回路(100)へ流入する。
第1冷凍回路(100)へ流入した冷媒は、第1冷却熱交換器(102)を流れる。第1冷却熱交換器(102)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第1冷却熱交換器(102)で凝縮した冷媒は、全開状態の第1室内膨張弁(101)を通過した後、第3連絡配管(33)の加熱配管部(33a)を流れる。その結果、この冷媒によってドレンパン(104)内が加熱され、ドレンパン(104)内の霜や氷塊が融解する。第3連絡配管(33)を通過した冷媒は、過冷却熱交換器(91)で冷却され、冷媒貯留器(81)内へ流入する。
ここで、冷媒貯留器(81)には、デフロスト運転時に各冷却熱交換器(102,112)の除霜に用いる冷媒の量を増加させるための冷媒が貯留されている。つまり、デフロスト運転中には、各冷却熱交換器(102,112)で冷媒が寝込んでしまい、除霜に用いられる冷媒の量が不足してしまうことがあるが、冷媒貯留器(81)にはこの不足分を補うだけの冷媒が貯留されている。このため、冷却熱交換器(102,112)で冷媒の寝込みが生じると、冷媒貯留器(81)からは、寝込んだ冷媒量に相当する冷媒が第4液管(82)へ適宜流出し、冷媒回路内の冷媒の補充がなされる。
冷媒貯留器(81)を流出した冷媒は、内部熱交換器(46)で更に冷却された後、室外膨張弁(47)で減圧される。室外膨張弁(47)で減圧された冷媒は、室外熱交換器(44)で凝縮し、各高段側圧縮機(41,42,43)へ吸入される。
一方、第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)、第11電磁弁(SV11)、第5電動弁(186a)、及び第6電動弁(187a)が閉じた状態となっている。このため、第2利用側回路(110,160)へは冷媒が送られず、第1個別デフロスト動作の除霜対象外の第2冷却熱交換器(112)は休止状態となる。
このような第1個別デフロスト動作は、第1冷却熱交換器(102)内に所定量の液冷媒が溜まり込む前に終了する。具体的には、第1個別デフロスト動作が継続して行われると、第1冷却熱交換器(102)内に液冷媒が溜まりこんでいくので、第1冷却熱交換器(102)から流出する冷媒の過冷却度が上昇する。第1個別デフロスト動作では、例えば第1高段側圧力センサ(74)や第1冷媒温度センサ(105)の検出値から求めた第1冷却熱交換器(102)の凝縮温度と、第2冷媒温度センサ(106)で検出した冷媒の温度との差から過冷却度が算出される。そして、算出された過冷却度が所定温度以上(例えば5℃)になると、第1個別デフロスト動作が終了する。
第1個別デフロスト動作の終了後には、除霜対象の冷却熱交換器(102,112)を変更するように次の個別デフロスト動作が行われる。具体的には、第1個別デフロスト動作の終了後には、その除霜対象が第1冷却熱交換器(102)から第2冷却熱交換器(112)へ変更され、第2個別デフロスト動作が行われる。
ところで、上述の第1個別デフロスト動作を行うと、第1冷却熱交換器(102)やその前後の配管には、冷媒が残存した状態となる。この状態から、直ぐに第2個別デフロスト動作を行うと、第2冷却熱交換器(112)の除霜に用いられる冷媒の量を充分確保できない虞がある。そこで、本実施形態の冷凍装置(10)では、第2個別デフロスト動作の前には、第2個別デフロスト動作の除霜対象外の第1冷却熱交換器(102)内の冷媒を排出する排出動作(第1排出動作)が、上述の事前排出動作と同様に行われる。
《第1排出動作》
図7に示す第1排出動作では、四路切換弁(48)が第2状態に設定され、各高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となる。また、室外膨張弁(47)及び過冷却側膨張弁(94)の開度が調節される。第2個別デフロスト動作で除霜対象となる第2冷却熱交換器(112)に対応する第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)が全開状態となり、第5電動弁(186a)及び第6電動弁(187a)が閉鎖状態となり、第11電磁弁(SV11)が開放される。また、第2利用側回路(110,160)では、各低段側圧縮機(161,162,163)が停止状態となる。
一方、第2個別デフロスト動作で除霜対象外となる第1冷却熱交換器(102)に対応する第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)、第3電動弁(146a)、及び第4電動弁(147a)がそれぞれ全閉状態となり、第6電磁弁(SV6)も閉鎖状態となる。また、第1利用側回路(110,160)では、可変容量型の第1低段側圧縮機(121)が運転状態となる。
この第1排出動作では、各高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、第6連絡配管(36)へ流出する。第6連絡配管(36)を流れる冷媒は、第2ブースタ回路(160)を流れて第2低段側油分離器(164)内へ流入する。第2低段側油分離器(164)では、その内部に溜まった冷媒が押し出されるようにして、第2バイパス管(185)へ流出する。第2バイパス管(185)を流れる冷媒は、第2低段側吸入管(178)を経由して、第2冷凍回路(110)へ流入する。
第2冷凍回路(110)へ流入した冷媒は、第2冷却熱交換器(112)を流れる。第2冷却熱交換器(112)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第2冷却熱交換器(112)で凝縮した冷媒は、全開状態の第2室内膨張弁(111)を通過した後、第3連絡配管(33)の加熱配管部(33a)を流れる。その結果、この冷媒によってドレンパン(104)内が加熱され、ドレンパン(104)内の霜や氷塊が融解する。その後の冷媒の流れについては、上記第1個別デフロスト動作と同様であるので説明を省略する。
一方、第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)から各低段側圧縮機(141,142,143)の吸入口までの間で冷媒が封止されることになる。この状態で第1低段側圧縮機(121)が駆動されると、第1冷却熱交換器(102)内に溜まった冷媒や、それ以外の配管に封止された冷媒が、第1低段側圧縮機(141)に吸入されて圧縮される。この際には、第1低段側圧縮機(121)の吸入側の圧力が急激に低下して冷媒がガス化するので、第1低段側圧縮機(121)での液圧縮現象が回避される。
第1低段側圧縮機(121)で圧縮された冷媒は、第1低段側油分離器(124)を通過して、第6連絡配管(36)へ流出する。この冷媒は、各高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒と混合し、第2利用側回路(110,160)へ送られる。つまり、第1利用側回路(100,120)から排出された冷媒は、第2冷却熱交換器(112)の除霜に利用される。ここで、第1利用側回路(100,120)から排出される冷媒には、第1低段側圧縮機(121)の入力熱が付与されている。このため、第2冷却熱交換器(112)の除霜能力が向上する。
また、第1排出動作では、上述した事前排出動作と同様にして、第2電磁弁(SV2)及び第3電磁弁(SV3)が適宜開放される。その結果、第1低段側圧縮機(121)内の余剰の油が各高段側圧縮機(41,42,43)側に送られる油回収動作が行われる。
第1排出動作は、上述した事前排出動作と同様にして、第4吐出温度センサ(151)の検出温度が所定温度以上になると終了し、第2個別デフロスト動作が行われる。
《第2個別デフロスト動作》
図8に示す第2個別デフロスト動作では、四路切換弁(48)が第2状態に設定され、各高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となる。また、室外膨張弁(47)及び過冷却側膨張弁(94)の開度が調節される。第2個別デフロスト動作で除霜対象となる第2冷却熱交換器(112)に対応する第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)が全開状態となり、第5電動弁(186a)及び第6電動弁(187a)が全閉状態となり、第11電磁弁(SV11)が開放される。また、第2利用側回路(110,160)では、各低段側圧縮機(161,162,163)が停止状態となる。
一方、第2個別デフロスト動作で除霜対象外となる第1冷却熱交換器(102)に対応する第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)、第3電動弁(146a)、及び第4電動弁(147a)がそれぞれ全閉状態となり、第6電磁弁(SV6)も閉鎖状態となる。また、第1利用側回路(100,120)では、各低段側圧縮機(121,122,123)が停止状態となる。
この第2個別デフロスト動作では、各高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が、第6連絡配管(36)へ流出する。第6連絡配管(36)を流れる冷媒は、第2ブースタ回路(160)を流れて第2低段側油分離器(164)内へ流入する。第2低段側油分離器(164)では、その内部に溜まった冷媒が押し出されるようにして、第2バイパス管(185)へ流出する。第2バイパス管(185)を流れる冷媒は、第2低段側吸入管(178)を経由して、第2冷凍回路(110)へ流入する。
第2冷凍回路(110)では、上述した第1個別デフロスト動作と同様にして、第2冷却熱交換器(112)の除霜が行われる。また、第2冷却熱交換器(112)を流出した冷媒は、ドレンパン(104)内の加熱にも利用される。その後の冷媒の流れについては、上記第1個別デフロスト動作と同様であるので説明を省略する。
このような第2個別デフロスト動作は、第2冷却熱交換器(112)内に所定量の液冷媒が溜まり込む前に終了する。具体的には、第2個別デフロスト動作では、例えば第3冷媒温度センサ(115)で検出した冷媒の温度と第4冷媒温度センサ(116)で検出した冷媒の温度との差から過冷却度が算出される。そして、算出された過冷却度が所定温度以上(例えば5℃)になると、第2個別デフロスト動作が終了する。
第2個別デフロスト動作の終了後には、再び第1個別デフロスト動作が行われる。この第1個別デフロスト動作の前には、第2冷却熱交換器(112)内の冷媒を排出する排出する動作(第2排出動作)が、上述の第1排出動作と同様にして行われる。
《第2排出動作》
図9に示す第2排出動作では、四路切換弁(48)が第2状態に設定され、各高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となる。また、室外膨張弁(47)及び過冷却側膨張弁(94)の開度が調節される。第1個別デフロスト動作で除霜対象となる第1冷却熱交換器(102)に対応する第1利用側回路(100,120)では、第1室内膨張弁(101)が全開状態となり、第3電動弁(146a)及び第4電動弁(147a)が閉鎖状態となり、第6電磁弁(SV6)が開放される。また、第1利用側回路(100,120)では、各低段側圧縮機(121,122,123)が停止状態となる。
一方、第1個別デフロスト動作で除霜対象外となる第2冷却熱交換器(112)に対応する第2利用側回路(110,160)では、第2室内膨張弁(111)、第5電動弁(186a)、及び第6電動弁(187a)がそれぞれ全閉状態となり、第11電磁弁(SV11)も閉鎖状態となる。また、第2利用側回路(110,160)では、可変容量型の第4低段側圧縮機(161)が運転状態となる。
第2排出動作では、上述の第1排出動作と同様にして、第2利用側回路(110,160)内の冷媒が系外に排出される。この冷媒は、各高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒と共に、第1冷却熱交換器(102)へ送られて除霜に利用される。
以上のように、デフロスト運転中には、事前排出動作の後に、第1個別デフロスト動作→第1排出動作→第2個別デフロスト動作→第2排出動作→第1個別デフロスト動作→…、というように、各動作が繰り返し行われる。このデフロスト運転は、コントローラ(200)に設けられたタイマーが所定の設定時間をカウントすると終了し、その後には上記冷却運転が再開される。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、デフロスト運転において、除霜対象となる冷却熱交換器(102,112)を交互に変更するように第1個別デフロスト動作と第2個別デフロスト動作とを順に行うようにしている。このため、上記実施形態によれば、2つの冷却熱交換器(102,112)を同時に凝縮器として除霜する場合と比較して、冷却熱交換器(102,112)内に溜まり込んでしまう冷媒の量が少なくなる。従って、各個別デフロスト動作では、冷却熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保できるので、デフロスト運転の高効率化を図ることができる。
また、上記実施形態では、各個別デフロスト動作を行う前に、除霜対象外となる冷却熱交換器(102,112)内の冷媒を除霜対象の冷却熱交換器(102,112)側へ送る排出動作を行うようにしている。このため、上記実施形態によれば、その後の個別デフロスト動作において、休止状態となる冷却熱交換器(102,112)内の冷媒を除霜対象となる冷却熱交換器(102,112)の除霜に利用することができ、冷媒の寝込みに伴う冷媒不足を確実に回避できる。
また、上記実施形態の第1排出動作や第2排出動作では、各低段側圧縮機(121,161)で圧縮した冷媒が、除霜対象となる冷却熱交換器(102,112)へ送られる。このため、各低段側圧縮機(121,161)の入力熱を冷却熱交換器(102,112)の除霜に利用することができるので、冷却熱交換器(102,112)の除霜能力の向上を図ることができる。
また、各排出動作では、除霜対象外となる利用側回路(100,120,110,160)の室内膨張弁(101,111)を全閉状態としている。このため、室内膨張弁(101,111)から低段側圧縮機(121,122,123,161,162,163)の吸入口までの間に冷媒を封止することができ、この冷媒を除霜対象となる冷却熱交換器(102)へ送ることができる。また、このようにして各低段側圧縮機(121,161)を運転させると、吸入側の冷媒が減圧されてガス化する。従って、各低段側圧縮機(121,161)で液圧縮現象が生じてしまうことも回避できる。
更に、上記実施形態では、各バイパス管(145,185)の一端を各低段側油分離器(124,164)に繋ぐようにしている。従って、デフロスト運転では、各低段側油分離器(124,164)内に溜まった冷媒もバイパス管(145,185)を経由して除霜対象の冷却熱交換器(102,112)へ送ることができる。従って、各冷却熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。特に、バイパス管(145,185)の一端は、低段側油分離器(124,164)の底部に繋がっているので、低段側油分離器(124,164)に溜まった液冷媒等も速やかにバイパス管(145,185)へ流出させることができる。
また、上記実施形態では、各冷却熱交換器(102,112)がフィンを共用するように構成されている。このため、各個別デフロスト動作では、凝縮器側の冷却熱交換器(102,112)内の冷媒の熱を利用して、休止側の冷却熱交換器(102,112)の除霜を行うことができる。従って、各冷却熱交換器(102,112)の除霜に要する時間の短縮化を図ることができる。
また、上記実施形態のデフロスト運転では、除霜対象となる冷却熱交換器(102,112)から流出した冷媒の過冷却度が所定温度以上になると、除霜対象を変更するようにしている。このため、各冷却熱交換器(102,112)内の冷媒の寝込みを未然に回避することができる。従って、各冷却熱交換器(102,112)の除霜に利用される冷媒の量を充分に確保することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、2段圧縮冷凍サイクルが可能な冷凍装置において、個別デフロスト動作を行うようにしている。しかしながら、単段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置において、各冷却熱交換器で個別デフロスト動作を行うようにしても良い。
上記実施形態では、2つの冷却熱交換器(102,112)を設け、これらの冷却熱交換器(102,112)で個別デフロスト動作を交互に行うようにしている。しかしながら、3つ以上の冷却熱交換器を設け、各冷却熱交換器のうち少なくとも1つを除霜対象とし、所定の順序で除霜対象を変更して個別デフロスト動作を行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、各冷却熱交換器(102,112)が同一の庫内に設けられている。しかしながら、各冷却熱交換器(102,112)を異なる冷凍ショーケース内にそれぞれ設置し、各冷却熱交換器(102,112)で個別デフロスト動作を行うようにしても良い。
また、上記実施形態の各排出動作では、低段側圧縮機(121,161)の吐出冷媒の温度が所定温度以上になると、低段側圧縮機(121,161)を停止させるようにしている。しかしながら、これ以外にも、例えば低段側圧縮機(121,161)の吸入側の圧力が所定圧力以下になると、低段側圧縮機(121,161)を停止させるようにしても良い。
また、上記実施形態では、除霜対象となる冷却熱交換器(102,112)の過冷却度が所定温度以上になると、除霜対象を変更するように次の個別デフロスト動作へ移行するようにしている。しかしながら、冷却熱交換器(102,112)から流出する冷媒の温度を各冷媒温度センサ(105,115)で検出し、この温度が所定温度以上になると、除霜対象を変更して次の個別デフロスト動作を行うようにしても良い。また、例えば室外回路(40)の高圧側の圧力を高段側高圧圧力センサ(74)で検出し、この圧力が所定圧力以上になると、次の個別デフロスト動作へ移行するようにしても良い。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。