ところが、上述の特許文献2のデフロスト運転では、電気ヒータで加熱した空気を冷却熱交換器へ供給して霜を融かすため、加熱された空気が冷凍庫内へ流入してしまい、庫内温度の上昇を招くおそれがある。また、冷却熱交換器に付着した霜を空気によって外側表面から暖めなければならず、冷却熱交換器の除霜に長時間(例えば40分以上)を要するため、消費電力が嵩み、冷凍装置のランニングコストの上昇を招くという問題もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置において、利用側熱交換器の除霜に要する時間を削減すると共に、この冷凍装置のデフロスト運転時の消費電力を削減することにある。
第1の発明は、低段側圧縮機(101,102,121,122)と、高段側圧縮機(41,42,43)と、熱源側熱交換器(44)と、利用側熱交換器(83,93)とが接続された冷媒回路(20)を備え、熱源側熱交換器(44)が凝縮器となって利用側熱交換器(83,93)が蒸発器となる冷却運転中に、上記低段側圧縮機(101,102,121,122)及び高段側圧縮機(41,42,43)を運転して二段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置を前提としている。そして、この冷凍装置は、上記利用側熱交換器(83,93)を除霜するためのデフロスト運転が上記冷却運転と切り換え可能になっており、上記デフロスト運転中には、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒を上記低段側圧縮機(101,102,121,122)で更に圧縮すると共に、利用側熱交換器(83,93)が凝縮器となって熱源側熱交換器(44)が蒸発器となる冷凍サイクルを行うことを特徴とするものである。
第1の発明の冷却運転時には、冷媒回路(20)において2段圧縮冷凍サイクルが行われ、蒸発器となる利用側熱交換器(83,93)によって冷凍庫内等の空気の冷却が行われる。具体的に、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、熱源側熱交換器(44)で凝縮した後、例えば膨張弁等で減圧される。この冷媒は利用側熱交換器(83,93)で蒸発する一方、庫内の空気は冷媒に蒸発熱を奪われて冷却される。利用側熱交換器(83,93)で蒸発した冷媒は、低段側圧縮機(101,102,121,122)で圧縮される。この低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒は、高段側圧縮機(41,42,43)に吸入されて更に圧縮され、再び熱源側熱交換器(44)に送られる。
本発明のデフロスト運転時には、高段側圧縮機(41,42,43)が運転状態となり、利用側熱交換器(83,93)の除霜が行われる。具体的に、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、高温高圧の状態で利用側熱交換器(83,93)に導入される。利用側熱交換器(83,93)では、その表面に付着した霜が内側から加熱されて融解する。一方、冷媒は、この霜に融解熱を奪われて凝縮する。利用側熱交換器(83,93)で凝縮した冷媒は、例えば膨張弁等で減圧された後、熱源側熱交換器(44)を流れる。熱源側熱交換器(44)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。熱源側熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、再び高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮される。
本発明のデフロスト運転中には、高段側圧縮機(41,42,43)と低段側圧縮機(101,102,121,122)の双方が運転状態となる。即ち、高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒は、低段側圧縮機(101,102,121,122)で更に圧縮されて利用側熱交換器(83,93)に送られ、利用側熱交換器(83,93)の除霜に利用される。以上のように、本発明のデフロスト運転時には、高段側圧縮機(41,42,43)と低段側圧縮機(101,102,121,122)との双方で冷媒が圧縮されるため、デフロスト運転時に冷媒に付与される熱量が増大する。
第2の発明は、第1の発明において、上記デフロスト運転中には、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒の一部を上記低段側圧縮機(101,102,121,122)で更に圧縮し、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出側に戻すことを特徴とするものである。
第2の発明のデフロスト運転中には、高段側圧縮機(41,42,43)の一部が低段側圧縮機(101,102,121,22)に吸入されて更に圧縮される。低段側圧縮機(101,102,121,122)で圧縮された冷媒は、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒と混合し、この冷媒は利用側熱交換器(83,93)へ送られ、利用側熱交換器(83,93)の除霜に利用される。以上のように、本発明のデフロスト運転時には、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒の一部が低段側圧縮機(101,102,121,122)で圧縮されるため、デフロスト運転時に冷媒に付与される熱量が増大する。
第3の発明は、第2の発明において、上記デフロスト運転中には、利用側熱交換器(83,93)で凝縮した冷媒の一部を低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に戻すことを特徴とするものである。
第3の発明では、第2の発明のデフロスト運転時において、利用側熱交換器(83,93)で凝縮して液状態となった冷媒の一部が、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に送られる。つまり、本発明のデフロスト運転時には、低段側圧縮機(101,102,121,122)に対して、いわゆる液インジェクションが行われる。その結果、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入冷媒が冷却される。
第4の発明は、低段側圧縮機(101,102,121,122)と、高段側圧縮機(41,42,43)と、熱源側熱交換器(44)と、利用側熱交換器(83,93)とが接続された冷媒回路(20)を備え、熱源側熱交換器(44)が凝縮器となって利用側熱交換器(83,93)が蒸発器となる冷却運転中に、上記低段側圧縮機(101,102,121,122)及び高段側圧縮機(41,42,43)を運転して二段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置を前提としている。そして、この冷凍装置は、上記利用側熱交換器(83,93)を除霜するためのデフロスト運転が上記冷却運転と切り換え可能になっており、上記デフロスト運転中には、高段側圧縮機(41,42,43)を運転し、該利用側熱交換器(83,93)が凝縮器となって熱源側熱交換器(44)が蒸発器となる冷凍サイクルを行うように構成され、上記低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側と吐出側とを繋ぐ液戻し管(141,142)を備え、上記デフロスト運転の終了後には、高段側圧縮機(41,42,43)のみを運転し、利用側熱交換器(83,93)内に溜まった冷媒を上記液戻し管(141,142)を介して高段側圧縮機(41,42,43)に吸入させる冷媒回収動作を行うことを特徴とするものである。
第4の発明の冷媒回路(20)には、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側と吐出側とを繋ぐ液戻し管(141,142)が設けられる。そして、本発明の冷凍装置では、デフロスト運転の終了後、再び冷却運転を行う際に、低段側圧縮機(101,102,121,122)に液冷媒が吸入されてしまうのを防ぐための冷媒回収動作が行われる。
即ち、上述のデフロスト運転を行うと、利用側熱交換器(83,93)では、冷媒が除霜のための融解熱を放出して徐々に凝縮していく。従って、デフロスト運転の終了後には、利用側熱交換器(83,93)内に液冷媒が溜まり込んでしまうことがある。この状態から低段側圧縮機(101,102,121,122)及び高段側圧縮機(41,42,43)を運転して上述の冷却運転を行うと、利用側熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒が低段側圧縮機(101,102,121,122)に吸入されてしまい、いわゆる液圧縮現象(液バック現象)により、低段側圧縮機(101,102,121,122)の故障を招く虞がある。
そこで、本発明では、デフロスト運転の終了後に以下の冷媒回収動作を行うようにしている。この冷媒回収動作では、高段側圧縮機(41,42,43)のみが運転され、低段側圧縮機(101,102,121,122)は停止状態となる。高段側圧縮機(41,42,43)の運転によって利用側熱交換器(83,93)に送り込まれた冷媒は、利用側熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒と共に該利用側熱交換器(83,93)の外部へ流出する。この冷媒は、停止状態の低段側圧縮機(101,102,121,122)をバイパスするように液戻し管(141,142)を流れ、高段側圧縮機(41,42,43)に吸入される。
以上のように、本発明では、デフロスト運転の終了後に、利用側熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒を液戻し管(141,142)を介して高段側圧縮機(41,42,43)に吸入させている。このため、その後に冷却運転を再開した後に、低段側圧縮機(101,102,121,122)で液圧縮現象が生じてしまうのを確実に回避できる。
また、このような冷媒回収動作を行うと、利用側熱交換器(83,93)から排出された液冷媒は、液戻し管(141,142)や他の連絡配管等を経由して高段側圧縮機(41,42,43)に吸入されるので、これらの配管を流れる際に、液冷媒が配管の周囲空気から吸熱して蒸発し易くなる。従って、冷媒回収動作時において、高段側圧縮機(41,42,43)に液冷媒が吸入されてしまうのも回避できる。
第5の発明は、第4の発明において、上記低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出側に設けられる油分離器(143,144)と、該油分離器(143,144)で回収した冷凍機油を低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に送る油戻し管(141,142)とを備え、該油戻し管(141,142)が、上記冷媒回収動作時の上記液戻し管を兼ねていることを特徴とするものである。
第5の発明では、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出側に油分離器(143,144)が設けられる。上述の冷却運転時に低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒が油分離器(143,144)に流入すると、油分離器(143,144)では冷媒中から油が分離されて回収される。分離後の冷媒は、高段側圧縮機(41,42,43)へ送られて更に圧縮される一方、回収後の油は、油戻し管(141,142)を経由して低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に送られ、再び低段側圧縮機(101,102,121,122)の各摺動部の潤滑に利用される。
ここで、本発明では、上記油戻し管(141,142)が第4の発明の油戻し管を兼ねている。つまり、上述した冷媒回収動作では、利用側熱交換器(83,93)から排出された液冷媒が、油戻し管(141,142)及び油分離器(143,144)を経由して高段側圧縮機(41,42,43)へ送られる。
第6の発明は、第5の発明において、上記冷媒回収動作時の油分離器(143,144)は、液戻し管(141,142)から流入した冷媒からガス冷媒を分離して高段側圧縮機(41,42,43)の吸入側に送るように構成されていることを特徴とするものである。
第6の発明では、上記冷媒回収動作時において、油分離器(143,144)が気液分離器として機能する。即ち、本発明の冷媒回収動作において、利用側熱交換器(83,93)に溜まった液冷媒を含む冷媒が、油戻し管(141,142)を経由して油分離器(143,144)に流入すると、油分離器(143,144)内で冷媒がガス冷媒と液冷媒とに分離する。そして、この冷媒回収動作では、油分離器(143,144)で分離されたガス冷媒だけが、高段側圧縮機(41,42,43)に送られる。従って、上記冷媒回収動作時における高段側圧縮機(41,42,43)での液圧縮現象を効果的に回避することができる。
本発明によれば、デフロスト運転時において、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒を利用側熱交換器(83,93)に導入することで、利用側熱交換器(83,93)の表面に付着した霜を内側から加熱するようにしている。このため、利用側熱交換器(83,93)の除霜を効果的に行うことができ、利用側熱交換器(83,93)の除霜に要する時間を削減することができる。
また、本発明によれば、デフロスト運転時に熱源側熱交換器(44)を蒸発器とすることで、空気から冷媒へ付与された熱を利用側熱交換器(83,93)の除霜に利用することができる。つまり、本発明では、高段側圧縮機(41,42,43)で冷媒に付与された熱と、熱源側熱交換器(44)で冷媒に付与された熱との双方が、利用側熱交換器(83,93)の除霜に利用される。したがって、デフロスト時間を短縮でき、更には冷凍装置のデフロスト運転時の消費電力を削減することができる。
また、第1又は第2の発明では、上記デフロスト運転時において、高段側圧縮機(41,42,43)と低段側圧縮機(101,102,121,122)の双方で冷媒を圧縮するようにしている。このため、これらの発明によれば、デフロスト運転時に冷媒に付与される熱量が増大するので、利用側熱交換器(83,93)のデフロスト能力を向上させることができる。従って、例えば第2の発明のデフロスト運転では、デフロスト能力が不足する場合にも、本発明のデフロスト運転によって利用側熱交換器(83,93)を効果的に除霜することができる。
更に、第3の発明では、デフロスト運転中において、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に液冷媒を戻すことで、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入冷媒を冷却するようにしている。このため、第3の発明によれば、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒温度が異常上昇してしまうことを未然に回避でき、低段側圧縮機(101,102,121,122)を確実に保護することができる。
第4の発明では、デフロスト運転の終了後に、利用側熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒を高段側圧縮機(141,142)に吸入させる冷媒回収動作を行うようにしている。このため、本発明によれば、デフロスト運転が終了して再び冷却運転を行う際、低段側圧縮機(101,102,121,122)で液圧縮現象が生じてしまうのを確実に回避することができる。一方、このように液冷媒を高段側圧縮機(41,42,43)側に送るようにすると、液冷媒を低段側圧縮機(101,102,121,122)側へ送る場合と比較して、液冷媒が流れる配管の長さを稼ぐことができる。このため、本発明では、利用側熱交換器(83,93)から排出された液冷媒が高段側圧縮機(141,142)に吸入されるまでの間に、配管の周囲の空気の熱を利用して液冷媒を蒸発させることができる。従って、本発明によれば、冷媒回収動作時における高段側圧縮機(141,142)での液圧縮現象を回避することができる。
第5の発明では、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出側に油分離器(143,144)を設けている。このため、本発明によれば、冷却運転時に低段側圧縮機(101,102,121,122)から流出した油を確実に低段側圧縮機(101,102,121,122)に戻すことができ、低段側圧縮機(101,102,121,122)の冷凍機油不足を解消することができる。
ここで、本発明では、油分離器(143,144)で回収した油を低段側圧縮機(101,102,121,122)に戻すための油戻し管(141,142)を上記冷媒回収動作時の液戻し管としても用いるようにしている。従って、本発明によれば、冷媒回路(20)の簡素化を図ることができる。
第6の発明では、冷媒回収動作時において、利用側熱交換器(83,93)に溜まった液冷媒を油分離器(143,144)内に送り込み、この油分離器(143,144)内で分離したガス冷媒を高段側圧縮機(41,42,43)へ送るようにしている。このため、本発明によれば、冷媒回収動作時において、高段側圧縮機(41,42,43)での液圧縮現象を確実に回避することができる。ここで、本発明では、冷却運転時には油を分離するために用いる油分離器(143,144)を、冷媒回収動作時には気液分離器として用いるようにしている。このため、本発明によれば、新たに気液分離器を設けることなく、冷媒回収動作時における高段側圧縮機(41,42,43)での液圧縮現象を回避することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《参考形態》
本発明の前提となる参考形態の冷凍装置(10)は、コンビニエンスストア等に設置されて、複数の冷凍庫内の冷却を行うものである。
図1に示すように、参考形態の冷凍装置(10)は、室外ユニット(11)、第1冷凍ショーケース(12)、第2冷凍ショーケース(13)、第1ブースタユニット(14)、及び第2ブースタユニット(15)を備えている。室外ユニット(11)は、屋外に設置されている。一方、残りのユニット(12,13,14,15)は、何れもコンビニエンスストア等の店内に設置されている。
室外ユニット(11)には室外回路(40)が、第1冷凍ショーケース(12)には第1冷凍回路(80)が、第2冷凍ショーケース(13)には第2冷凍回路(90)が、第1ブースタユニット(14)には、第1ブースタ回路(100)が、第2ブースタユニット(15)には、第2ブースタ回路(120)がそれぞれ設けられている。この冷凍装置(10)では、これらの回路(40,80,90,100,120)を配管で接続することによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)が構成されている。
上記第1冷凍回路(80)及び第1ブースタ回路(100)は、互いに直列に接続されて第1冷却回路を構成している。上記第2冷凍回路(90)及び第2ブースタ回路(120)は、互いに直列に接続されて第2冷却回路を構成している。これら第1冷却回路及び第2冷却回路は、上記室外回路(40)に対してそれぞれ並列に接続されている。
具体的に、室外回路(40)の端部には第1閉鎖弁(21)及び第2閉鎖弁(22)が、第1ブースタ回路(100)の端部には第3閉鎖弁(23)が、第2ブースタ回路(120)の端部には第4閉鎖弁(24)がそれぞれ設けられている。上記第1閉鎖弁(21)には、液連絡配管(31)の一端が接続されている。この液連絡配管(31)の他端は2つに分岐しており、分岐した一方が第1冷凍回路(80)の端部に、他方が第2冷凍回路(90)の端部にそれぞれ接続されている。上記第2閉鎖弁(22)には、ガス連絡配管(32)の一端が接続されている。このガス連絡配管(32)の他端は2つに分岐しており、分岐した一方が上記第3閉鎖弁(23)に、他方が第4閉鎖弁(24)にそれぞれ接続されている。
《室外ユニット》
室外ユニット(11)の室外回路(40)には、第1可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、第2固定容量圧縮機(43)、室外熱交換器(44)、レシーバ(45)、過冷却熱交換器(46)、第1室外膨張弁(47)、第2室外膨張弁(48)、及び四路切換弁(49)が設けられている。
上記第1可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、及び第2固定容量圧縮機(43)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機であり、冷媒回路(20)の高段側圧縮機を構成している。第1可変容量圧縮機(41)には、インバータを介して電力が供給される。この第1可変容量圧縮機(41)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。一方、第1固定容量圧縮機(42)及び第2固定容量圧縮機(43)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。
第1可変容量圧縮機(41)の吸入側には第1吸入管(61)が、第1固定容量圧縮機(42)の吸入側には、第2吸入管(62)の一端が、第2固定容量圧縮機(43)の吸入側には、第3吸入管(63)の一端がそれぞれ接続されている。これらの吸入管(61,62,63)の他端は、高段側吸入管(64)を介して四路切換弁(49)に接続されている。
上記第1可変容量圧縮機(41)の吐出側には第1吐出管(65)が、第1固定容量圧縮機(42)の吐出側には、第2吐出管(66)が、第2固定容量圧縮機(43)の吐出側には、第3吐出管(67)がそれぞれ接続されている。これらの吐出管(65,66,67)の他端は、高段側吐出管(68)を介して上記四路切換弁(49)に接続されている。
上記室外熱交換器(44)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、熱源側熱交換器を構成している。室外熱交換器(44)の近傍には、室外ファン(50)が設けられている。この室外熱交換器(44)では、上記室外ファン(50)が送風する室外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(44)の一端は、第5閉鎖弁(25)を介して四路切換弁(49)に接続されている。一方、室外熱交換器(44)の他端は、第1液管(71)を介してレシーバ(45)の頂部に接続されている。
上記過冷却熱交換器(46)は、高圧側流路(46a)と低圧側流路(46b)とを備え、各流路(46a,46b)を流れる冷媒同士を熱交換させるものである。この過冷却熱交換器(46)は、例えばプレート熱交換器により構成されている。
上記高圧側流路(46a)の流入端は、レシーバ(45)の底部に接続されている。また、上記高圧側流路(46a)の流出端は、第2液管(72)を介して上記第1閉鎖弁(21)に接続されている。一方、上記低圧側流路(46b)の流入端は、第1分岐管(73)を介して上記第2液管(72)の途中に接続されている。また、上記低圧側流路(46b)の流出端は、上記高段側吸入管(64)に接続されている。
上記第2液管(72)には、上記第1分岐管(73)の接続部と第1閉鎖弁(21)との間に第2分岐管(74)の一端が接続されている。この第2分岐管(74)の他端は、上記第1液管(71)における室外熱交換器(44)とレシーバ(45)との間に接続されている。
上記第1分岐管(73)には、上記第1室外膨張弁(47)が設けられている。この第1室外膨張弁(47)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。また、第1分岐管(73)には、上記第1室外膨張弁(47)の上流側に第3分岐管(75)の一端が接続されている。この第3分岐管(75)の他端は、上記第1液管(71)における第2分岐管(74)の接続部と室外熱交換器(44)の間に接続されている。上記第3分岐管(75)には、上記第2室外膨張弁(48)が設けられている。この第2室外膨張弁(48)は、開度が調節可能な電子膨張弁であって、熱源側膨張弁を構成している。
上記四路切換弁(49)は、第1のポートが高段側吐出管(68)に、第2のポートが高段側吸入管(64)に、第3のポートが室外熱交換器(44)に、第4のポートが第2閉鎖弁(22)にそれぞれ接続されている。この四路切換弁(49)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通して第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
室外回路(40)には、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、上記高段側吸入管(64)には第1吸入温度センサ(151)と第1吸入圧力センサ(152)が設けられている。上記第1吐出管(65)には、第1高圧圧力スイッチ(153)と第1吐出温度センサ(154)と第1吐出圧力センサ(155)が設けられている。上記第2吐出管(66)には、第2高圧圧力スイッチ(156)と第2吐出温度センサ(157)とが設けられている。上記第3吐出管(67)には、第3高圧圧力スイッチ(158)と第3吐出温度センサ(159)とが設けられている。上記室外熱交換器(44)の室外ファン(50)の近傍には、外気温度センサ(160)が設けられている。上記第2液管(72)には、液温度センサ(161)が設けられている。
また、室外回路(40)には、一方向の冷媒の流通を許容しつつ、この方向とは逆の冷媒の流通を禁止する複数の逆止弁も設けられている。具体的に、上記第1吐出管(65)には逆止弁(CV-1)が、上記第2吐出管(66)には逆止弁(CV-2)が、上記第3吐出管(67)には逆止弁(CV-3)がそれぞれ設けられている。また、上記第1液管(71)における第3分岐管(75)の接続部と第2分岐管(74)の接続部との間には、逆止弁(CV-4)が設けられている。上記第2液管(72)における第1分岐管(73)の接続部と第2分岐管(74)の接続部との間には、逆止弁(CV-5)が設けられている。上記第2分岐管(74)には、逆止弁(CV-6)が設けられている。なお、これらの逆止弁(CV-1,CV-2,…)は、図1の逆止弁を示す記号に付した矢印の方向への冷媒の流通だけを許容するように構成されている。
《冷凍ショーケース》
上記第1冷凍ショーケース(12)の第1冷凍回路(80)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、第1ドレンパン加熱用配管(81)、第1室内膨張弁(82)、及び第1冷却熱交換器(83)が設けられている。
上記第1室内膨張弁(82)は、開度が調節可能な電子膨張弁であって、利用側膨張弁を構成している。また、上記第1冷却熱交換器(83)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、利用側熱交換器を構成している。この第1冷却熱交換器(83)の近傍には、第1庫内ファン(84)が設けられている。第1冷却熱交換器(83)では、第1庫内ファン(84)が送風する庫内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。また、第1冷却熱交換器(83)の下方には、第1ドレンパン(85)が設けられている。この第1ドレンパン(85)は、第1冷却熱交換器(83)の表面から落下する霜や結露水を回収するものである。
上記第1ドレンパン加熱用配管(81)は、上記第1ドレンパン(85)の底面に沿うようにして配設された冷媒配管で構成されている。この第1ドレンパン加熱用配管(81)は、第1ドレンパン(85)に回収された霜や、第1ドレンパン(85)内の液滴が凍結して生成される氷塊を、冷媒の熱を利用して融解させるものである。
また、第1冷凍回路(80)には、3つの温度センサが設けられている。具体的に、第1冷却熱交換器(83)の伝熱管には、第1冷媒温度センサ(162)が設けられている。第1冷凍回路(80)におけるガス側端の近傍には、第1ガス温度センサ(163)が設けられている。第1庫内ファン(84)の近傍には、第1庫内温度センサ(164)が設けられている。
上記第2冷凍ショーケース(13)の第2冷凍回路(90)は、上記第1冷凍回路(80)と同様の構成となっている。即ち、第2冷凍回路(90)には、上記第1冷凍回路(80)と同様、第2ドレンパン加熱用配管(91)、第2室内膨張弁(92)、第2冷却熱交換器(93)、第2庫内ファン(94)、及び第2ドレンパン(95)が設けられている。また、第2冷凍回路(90)には、上記第1冷凍回路(80)と同様、第2冷媒温度センサ(165)、第2ガス温度センサ(166)、及び第2庫内温度センサ(167)が設けられている。
《ブースタユニット》
上記第1ブースタユニット(14)の第1ブースタ回路(100)は、第1ブースタ連絡管(33)を介して上記第1冷凍回路(80)のガス側端と接続されている。この第1ブースタ回路(100)には、第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102) が設けられている。
上記第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機であり、冷媒回路(20)の低段側圧縮機を構成している。第2可変容量圧縮機(101)には、インバータを介して電力が供給される。この第2可変容量圧縮機(101)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。一方、第3固定容量圧縮機(102)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。
第2可変容量圧縮機(101)の吸入側には第4吸入管(111)の一端が、第3固定容量圧縮機(102)の吸入側には第5吸入管(112)の一端がそれぞれ接続されている。これらの吸入管(111,112)の他端は、第1低段側吸入管(113)を介して上記第1ブースタ連絡管(33)と接続されている。
第2可変容量圧縮機(101)の吐出側には第4吐出管(114)の一端が、第3固定容量圧縮機(102)の吐出側には第5吐出管(115)の一端がそれぞれ接続されている。これらの吐出管(114,115)の他端は、第1低段側吐出管(116)を介して上記第3閉鎖弁(23)と接続されている。
第1ブースタ回路(100)には、第1油排出管(117)、第1逃がし管(118)、及び第1バイパス管(119)も設けられている。
上記第1油排出管(117)は、一端が第2可変容量圧縮機(101)の油排出口に接続され、他端が上記第1低段側吐出管(116)に接続されている。第1油排出管(117)には、電磁弁(SV-1)が設けられている。この電磁弁(SV-1)は、第2可変容量圧縮機(101)内の冷凍機油が過剰となる場合に開状態となる。その結果、この冷凍機油は、上記第1油排出管(117)を介して室外回路(40)側へ流れ込み、上記第1可変容量圧縮機(41)や第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
上記第1逃がし管(118)は、一端が第1低段側吸入管(113)に接続され、他端が第1低段側吐出管(116)に接続されている。この第1逃がし管(118)は、第2可変容量圧縮機(101)や第3固定容量圧縮機(102)の故障時等において、第1低段側吸入管(113)を流れる冷媒を第1低段側吐出管(116)を介して室外回路(40)側へ送り込み、上記第1可変容量圧縮機(41)や第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入させる。
上記第1バイパス管(119)は、一端が上記第1逃がし管(118)に接続され、他端が第1低段側吐出管(116)に接続されている。この第1バイパス管(119)には、電磁弁(SV-2)が設けられている。電磁弁(SV-2)は、この冷凍装置(10)の冷却運転時に開放され、デフロスト運転時に閉鎖される(デフロスト運転の詳細の運転動作は後述するものとする)。
また、第1ブースタ回路(100)には、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、上記第1低段側吸入管(113)には第2吸入温度センサ(168)と第2吸入圧力センサ(169)が設けられている。上記第4吐出管(114)には、第4高圧圧力スイッチ(170)と第4吐出温度センサ(171)とが設けられている。上記第5吐出管(115)には、第5高圧圧力スイッチ(172)と第5吐出温度センサ(173)とが設けられている。上記第1低段側吐出管(116)には、第2吐出圧力センサ(174)が設けられている。
また、第1ブースタ回路(100)には、複数の逆止弁も設けられている。具体的に、上記第4吐出管(114)には逆止弁(CV-7)が、上記第5吐出管(115)には逆止弁(CV-8)が、上記第1逃がし管(118)には、逆止弁(CV-9)がそれぞれ設けられている。
上記第2ブースタユニット(15)の第2ブースタ回路(120)は、第2ブースタ連絡管(34)を介して上記第2冷凍回路(90)のガス側端と接続されている。この第2ブースタ回路(120)は、上記第1ブースタ回路(100)と同様の構成となっている。即ち、第2ブースタ回路(120)には、上記第1ブースタ回路(100)と同様にして、第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)が設けられている。
また、第2ブースタ回路(120)には、上記第1ブースタ回路(100)と同様にして、第6吸入管(131)、第7吸入管(132)、第2低段側吸入管(133)、第6吐出管(134)、第7吐出管(135)、第2低段側吐出管(136)、第2油排出管(137)、第2逃がし管(138)、及び第2バイパス管(139)が設けられている。上記第2油排出管(137)には電磁弁(SV-3)が、第2バイパス管(139)には電磁弁(SV-4)がそれぞれ設けられている。
また、第2ブースタ回路(120)には、第1ブースタ回路(100)と同様にして、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、上記第2低段側吸入管(133)には第3吸入温度センサ(175)と第3吸入圧力センサ(176)が設けられている。上記第6吐出管(134)には、第6高圧圧力スイッチ(177)と第6吐出温度センサ(178)とが設けられている。上記第7吐出管(135)には、第7高圧圧力スイッチ(179)と第7吐出温度センサ(180)とが設けられている。上記第2低段側吐出管(136)には、第3吐出圧力センサ(181)が設けられている。
また、第2ブースタ回路(120)には、複数の逆止弁も設けられている。具体的に、上記第6吐出管(134)には逆止弁(CV-10)が、上記第7吐出管(135)には逆止弁(CV-11)が、上記第2逃がし管(138)には、逆止弁(CV-12)がそれぞれ設けられている。
−運転動作−
以下に、参考形態の冷凍装置(10)の運転動作について説明する。
<冷却運転>
この冷凍装置(10)の冷却運転では、第1冷凍ショーケース(12)及び第2冷凍ショーケース(13)の庫内の冷却が行われる。
図2に示すように、冷却運転時の室外回路(40)では、四路切換弁(49)が第1状態に設定される。また、第2室外膨張弁(48)が全閉状態となる一方、第1室外膨張弁(47)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)の開度が適宜調節される。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)の開度が適宜調節される。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)及び電磁弁(SV-2)が閉の状態に設定される。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)及び電磁弁(SV-4)が閉の状態に設定される。
冷却運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)がそれぞれ運転される。その結果、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(44)が凝縮器となり、各冷却熱交換器(83,93)が蒸発器となって、2段圧縮冷凍サイクルが行われる。
第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(68)から四路切換弁(49)を通過して室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒に室外空気の熱が付与され、この冷媒が凝縮する。
室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、第1液管(71)、レシーバ(45)、及び過冷却熱交換器(46)の高圧側流路(46a)を通過し、第2液管(72)へ流入する。第2液管(72)を流れる冷媒は、一部が第1分岐管(73)へ分配され、残りが液連絡配管(31)へ流入する。
第1分岐管(73)を流れる冷媒は、第1室外膨張弁(47)を通過して減圧されてから、過冷却熱交換器(46)の低圧側流路(46b)を流通する。過冷却熱交換器(46)では、上記高圧側流路(46a)を流れる高圧冷媒と、低圧側流路(46b)を流れる低圧冷媒とが熱交換する。その結果、高圧側流路(46a)を流れる冷媒の熱が、低圧側流路(46b)を流れる冷媒の蒸発熱として奪われる。つまり、過冷却熱交換器(46)では、高圧側流路(46a)を流れる冷媒が過冷却される。過冷却熱交換器(46)の低圧側流路(46b)で蒸発した冷媒は、高段側吸入管(64)へ流入する。
一方、上記液連絡配管(31)へ流入した冷媒は、第1冷凍回路(80)と第2冷凍回路(90)とに分配される。
第1冷凍回路(80)へ流入した冷媒は、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流通する。ここで、上記第1ドレンパン(85)には、第1冷却熱交換器(83)の表面から落ちた霜や、回収後の結露水が凍結して生成される氷塊が貯まっている。このため、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる冷媒によって第1ドレンパン(85)の近傍が加熱されると、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊が融解する。以上のようにして液体となった水は、ドレン排水として第1ドレンパン(85)から排出される。
逆に、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる冷媒は、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊に融解熱を奪われて冷却される。その結果、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる冷媒は更に過冷却される。
第1ドレンパン加熱用配管(81)を流出した冷媒は、第1室内膨張弁(82)を通過して減圧されてから、第1冷却熱交換器(83)を流通する。第1冷却熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、第1冷凍ショーケース(12)の庫内空気が冷却され、この庫内温度が例えば−20℃に保たれる。
第1冷却熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ブースタ連絡管(33)を介して第1ブースタ回路(100)に流入し、第1低段側吸入管(113)を経由して第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)に吸入される。各圧縮機(101,102)で圧縮された冷媒は、第1低段側吐出管(116)を経由してガス連絡配管(32)に流入する。
第2冷凍回路(90)へ流入した冷媒は、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流通する。ここで、上記第2ドレンパン(95)には、第2冷却熱交換器(93)の表面から落ちた霜や、回収後の結露水が凍結して生成される氷塊が貯まっている。このため、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる冷媒によって第2ドレンパン(95)の近傍が加熱されると、第2ドレンパン(95)内の霜や氷塊が融解する。以上のようにして液体となった水は、ドレン排水として第2ドレンパン(95)から排出される。
逆に、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる冷媒は、第2ドレンパン(95)に回収された霜や氷塊に融解熱を奪われて冷却される。その結果、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる冷媒は更に過冷却される。
第2ドレンパン加熱用配管(91)を流出した冷媒は、第2室内膨張弁(92)を通過して減圧されてから、第2冷却熱交換器(93)を流通する。第2冷却熱交換器(93)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、第2冷凍ショーケース(13)の庫内空気が冷却され、この庫内温度が例えば−20℃に保たれる。
第2冷却熱交換器(93)で蒸発した冷媒は、第2ブースタ連絡管(34)を介して第2ブースタ回路(120)に流入し、第2低段側吸入管(133)を経由して第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)に吸入される。各圧縮機(121,122)で圧縮された冷媒は、第2低段側吐出管(136)を経由してガス連絡配管(32)に流入する。
ガス連絡配管(32)で合流した冷媒は、四路切換弁(49)を通過して高段側吸入管(64)へ流入する。この冷媒は、上述の過冷却熱交換器(46)の低圧側流路(46b)で蒸発した冷媒と混合し、第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
<デフロスト運転>
この冷凍装置(10)のデフロスト運転では、第1冷却熱交換器(83)及び第2冷却熱交換器(93)の除霜が同時に行われる。
図3に示すように、デフロスト運転時の室外回路(40)では、四路切換弁(49)が第2状態に設定される。また、第1室外膨張弁(47)が全閉状態となる一方、第2室外膨張弁(48)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)が全開状態となる。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)が全開状態となる。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-2)が開の状態に設定される。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-4)が開の状態に設定される。
デフロスト運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)が運転される一方、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)が停止状態となる。その結果、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(44)が蒸発器となり、各冷却熱交換器(83,93)が凝縮器となって、冷凍サイクルが行われる。
第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(68)から四路切換弁(49)を通ってガス連絡配管(32)へ流入する。上記ガス連絡配管(32)へ流入した冷媒は、第1ブースタ回路(100)と第2ブースタ回路(120)とに分配される。
第1ブースタ回路(100)へ流入した冷媒は、第1低段側吐出管(116)の途中から第1バイパス管(119)を経由して第1低段側吸入管(113)を通過し、第1冷凍回路(80)へ流入する。つまり、第1ブースタ回路(100)に流入した冷媒は、停止状態の第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)をバイパスして第1ブースタ回路(100)を流出する。
第1冷凍回路(80)へ流入した冷媒は、第1冷却熱交換器(83)を流れる。第1冷却熱交換器(83)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第1冷却熱交換器(83)で凝縮した冷媒は、全開状態の第1室内膨張弁(82)を通過した後、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる。その結果、この冷媒によって第1ドレンパン(85)の近傍が加熱され、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊が融解する。逆に、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる冷媒は、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊に融解熱を奪われる。その後、第1冷凍回路(80)を通過した冷媒は液連絡配管(31)へ流入する。
一方、第2ブースタ回路(120)へ流入した冷媒は、第2低段側吐出管(136)の途中から第2バイパス管(139)を経由して第2低段側吸入管(133)を通過し、第2冷凍回路(90)へ流入する。つまり、第2ブースタ回路(120)に流入した冷媒は、停止状態の第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)をバイパスして第2ブースタ回路(120)を流出する。
第2冷凍回路(90)へ流入した冷媒は、第2冷却熱交換器(93)を流れる。第2冷却熱交換器(93)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第2冷却熱交換器(93)で凝縮した冷媒は、全開状態の第2室内膨張弁(92)を通過した後、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる。その結果、この冷媒によって第2ドレンパン(95)の近傍が加熱され、第2ドレンパン(95)内の霜や氷塊が融解する。逆に、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる冷媒は、第2ドレンパン(95)内の霜や氷塊に融解熱を奪われる。その後、第2冷凍回路(90)を通過した冷媒は、液連絡配管(31)へ流入する。
液連絡配管(31)で合流した冷媒は、第2液管(72)の途中から第2分岐管(74)を経由し、レシーバ(45)、過冷却熱交換器(46)の高圧側流路(46a)を通過する。この冷媒は、第1分岐管(73)を経由して第3分岐管(75)の第2室外膨張弁(48)を通過して減圧されてから、室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、四路切換弁(49)を通過して高段側吸入管(64)へ流入し、第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
−参考形態の効果−
上記参考形態によれば、デフロスト運転時において、高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒を利用側熱交換器(83,93)に導入することで、冷却熱交換器(83,93)の表面に付着した霜を内側から加熱するようにしている。このため、冷却熱交換器(83,93)の除霜を効果的に行うことができ、冷却熱交換器(83,93)の除霜に要する時間を削減することができる。
また、上記参考形態では、デフロスト運転時に室外熱交換器(44)を蒸発器とすることで、空気から冷媒へ付与された熱を利用側熱交換器(83,93)の除霜に利用するようにしている。つまり、上記参考形態では、高段側圧縮機(41,42,43)で冷媒に付与された熱と、室外熱交換器(44)で冷媒に付与された熱との双方が、冷却熱交換器(83,93)の除霜に利用される。したがって、デフロストに要する時間を削減することができ、更には冷凍装置(10)のデフロスト運転時の消費電力を削減することができる。
また、上記参考形態では、上記冷却運転時において、室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒をドレンパン加熱用配管(81,91)に流通させるようにしている。このため、本参考形態によれば、冷媒の熱を利用してドレンパン(85,95)内の霜や氷塊を融解させることができ、融解した後の水をドレン水として速やかに排出することができる。またこの際には、ドレンパン加熱用配管(81,91)を流れる冷媒が、ドレンパン(85,95)内の霜や氷塊に融解熱を奪われて過冷却される。したがって、この冷却運転時において、利用側熱交換器(83,93)における空気と液冷媒とのエンタルピ差を多くとることができ、利用側熱交換器(83,93)による空気の冷却効果を増大させることができる。
更に、上記参考形態では、上記デフロスト運転時において、冷却熱交換器(83,93)の除霜に利用された冷媒を室内膨張弁(82,92)で減圧せずにドレンパン加熱用配管(81,91)に送るようにしている。このため、ドレンパン加熱用配管(81,91)を流れる冷媒の凝縮熱を利用してドレンパン(85,95)内の霜や氷塊を融解させることができる。
《実施形態1》
本発明に係る実施形態1の冷凍装置(10)は、上記参考形態と冷媒回路(20)の構成、及びデフロスト運転の動作が異なるものである。以下には、上記参考形態と異なる点について説明する。
図4に示すように、実施形態1の冷媒回路(20)には、2本の液インジェクション配管(190,192)が設けられている。第1液インジェクション配管(190)の一端は、第1冷凍回路(80)における第1冷却熱交換器(83)と第1室内膨張弁(82)の間に接続されている。一方、第1液インジェクション配管(190)の他端は、第1ブースタ回路(100)における第1低段側吸入管(113)に接続されている。この第1液インジェクション配管(190)には、第1液インジェクション弁(191)が設けられている。第1液インジェクション弁(191)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。また、第2液インジェクション配管(192)の一端は、第2冷凍回路(90)における第2冷却熱交換器(93)と第2室内膨張弁(92)の間に接続されている。一方、第2液インジェクション配管(192)の他端は、第2ブースタ回路(120)における第2低段側吸入管(133)に接続されている。この第2液インジェクション配管(192)には、第2液インジェクション弁(193)が設けられている。第2液インジェクション弁(193)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。
−運転動作−
実施形態1の冷凍装置(10)では、上述した参考形態のデフロスト運転(第1デフロスト運転)と、後述するデフロスト運転(第2デフロスト運転)とが切り換えて行われる。この2つのデフロスト運転は、第1冷却熱交換器(83)及び第2冷却熱交換器(93)にそれぞれ設けられた第1冷媒温度センサ(162)及び第2冷媒温度センサ(165)の検出温度に応じて切り換えられる。
具体的に、実施形態1の冷凍装置(10)で各冷却熱交換器(83,93)の除霜を行う場合には、上記参考形態と同様の第1デフロスト運転が行われる。即ち、この第1デフロスト運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)が運転される一方、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)が停止状態となり、上述のようにして各冷却熱交換器(83,93)の除霜が行われる。
一方、このような第1デフロスト運転では各冷却熱交換器(83,93)の除霜能力が不足し、各冷却熱交換器(83,93)の除霜に要する時間が長くなってしまう場合には、次のようにして第2デフロスト運転が行われる。
具体的に、上記第1デフロスト運転において、第1冷媒温度センサ(162)や第2冷媒温度センサ(165)の検出温度がなかなか所定温度まで上がらない場合には、各冷却熱交換器(83,93)の除霜能力が不足していると判定される。その結果、第1デフロスト運転から第2デフロスト運転へ移行する。
この第2デフロスト運転では、第1デフロスト運転と同様、室外回路(40)の四路切換弁(49)が第2状態に設定される。また、第1室外膨張弁(47)が全閉状態となる一方、第2室外膨張弁(48)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)が全開状態となる。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)が全開状態となる。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-2)が開の状態に設定される。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-4)が開の状態に設定される。
一方、第2デフロスト運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)が運転されると同時に、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)が運転状態となる。その結果、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(44)が蒸発器となり、各冷却熱交換器(83,93)が凝縮器となって、冷凍サイクルが行われる。
第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(68)から四路切換弁(49)を通ってガス連絡配管(32)へ流入する。上記ガス連絡配管(32)へ流入した冷媒は、第1ブースタ回路(100)と第2ブースタ回路(120)とに分配される。
第1ブースタ回路(100)へ流入した冷媒は、第1低段側吐出管(116)の途中から第1バイパス管(119)を流れる。ここで、第1バイパス管(119)を流れる冷媒は、その一部が第1低段側吸入管(113)を介して第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)に吸入される。これらの圧縮機(101,102)で圧縮された冷媒は、再び第1バイパス管(119)へ送られ、高段側の各圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒と合流する。一方、第1バイパス管(119)を流れる冷媒の残りは、第1冷凍回路(80)へ流入する。つまり、第1ブースタ回路(100)では、冷媒の一部が第2可変容量圧縮機(101)や第3固定容量圧縮機(102)で圧縮されながら循環し、これらの圧縮機(101,102)の入力熱が冷媒に付与されることになる。
第1冷凍回路(80)へ流入した冷媒は、第1冷却熱交換器(83)を流れる。第1冷却熱交換器(83)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第1冷却熱交換器(83)で凝縮した冷媒は、全開状態の第1室内膨張弁(82)を通過した後、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる。その結果、この冷媒によって第1ドレンパン(85)の近傍が加熱され、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊が融解する。逆に、第1ドレンパン加熱用配管(81)を流れる冷媒は、第1ドレンパン(85)内の霜や氷塊に融解熱を奪われる。その後、第1冷凍回路(80)を通過した冷媒は液連絡配管(31)へ流入する。
一方、第2ブースタ回路(120)へ流入した冷媒は、第2低段側吐出管(136)の途中から第2バイパス管(139)を流れる。ここで、第2バイパス管(139)を流れる冷媒は、その一部が第2低段側吸入管(133)を介して第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)に吸入される。これらの圧縮機(121,122)で圧縮された冷媒は、再び第2バイパス管(139)へ送られ、高段側の各圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒と合流する。一方、第2バイパス管(139)を流れる冷媒の残りは、第2冷凍回路(90)へ流入する。つまり、第2ブースタ回路(120)では、冷媒の一部が第3可変容量圧縮機(121)や第4固定容量圧縮機(122)で圧縮されながら循環し、これらの圧縮機(101,102)の入力熱が冷媒に付与されることになる。
第2冷凍回路(90)へ流入した冷媒は、第2冷却熱交換器(93)を流れる。第2冷却熱交換器(93)では、その表面の霜が内側から加熱されて融解する一方、冷媒はこの霜に融解熱を奪われて凝縮する。第2冷却熱交換器(93)で凝縮した冷媒は、全開状態の第2室内膨張弁(92)を通過した後、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる。その結果、この冷媒によって第2ドレンパン(95)の近傍が加熱され、第2ドレンパン(95)内の霜や氷塊が融解する。逆に、第2ドレンパン加熱用配管(91)を流れる冷媒は、第2ドレンパン(95)内の霜や氷塊に融解熱を奪われる。その後、第2冷凍回路(90)を通過した冷媒は、液連絡配管(31)へ流入する。
液連絡配管(31)で合流した冷媒は、第2液管(72)の途中から第2分岐管(74)を経由し、レシーバ(45)、過冷却熱交換器(46)の高圧側流路(46a)を通過する。この冷媒は、第1分岐管(73)を経由して第3分岐管(75)の第2室外膨張弁(48)を通過して減圧されてから、室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、四路切換弁(49)を通過して高段側吸入管(64)へ流入し、第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
ところで、このような第2デフロスト運転では、室外回路(40)の高段側の圧縮機(41,42,43)で圧縮した冷媒の一部を各ブースタ回路(100,120)の低段側の圧縮機(101,102,121,122)で更に圧縮するため、このような運転を継続すると、低段側の圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒の温度が著しく上昇し、これらの圧縮機(101,102,121,122)の故障を招く恐れがある。このため、実施形態1の冷凍装置(10)では、このような圧縮機(101,102,121,122)の故障を未然に回避するために、次のような液インジェクション動作を行うようにしている。
具体的に、第2デフロスト運転では、上記第1液インジェクション弁(191)の開度が、第2可変容量圧縮機(101)や第3固定容量圧縮機(102)に吸入される冷媒の過熱度に応じて調節される。なお、この冷媒の過熱度は、第2吸入温度センサ(168)及び第2吸入圧力センサ(169)の検出値に基づいて適宜算出される。そして、例えばこの過熱度が所定過熱度より高い場合、第1液インジェクション弁(191)の開度が大きくなる。その結果、第1冷却熱交換器(83)で凝縮した冷媒の一部が第1液インジェクション配管(190)を経由して第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)の吸入側に送られる。このため、これらの圧縮機(101,102)に吸入される冷媒が冷却されるので、該圧縮機(101,102)の吐出冷媒温度が異常上昇してしまうのが未然に回避される。
同様にして、第2液インジェクション弁(193)の開度は、第3可変容量圧縮機(121)や第4固定容量圧縮機(122)に吸入される冷媒の過熱度に応じて適宜調節される。その結果、これらの圧縮機(121,122)の吐出冷媒温度が異常上昇してしまうのが未然に回避される。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、上記参考形態と同様、デフロスト運転時において高段側圧縮機(41,42,43)の吐出冷媒を冷却熱交換器(83,93)に導入することで、冷却熱交換器(83,93)の表面に付着した霜を内側から加熱するようにしている。このため、冷却熱交換器(83,93)の除霜を効果的に行うことができ、冷却熱交換器(83,93)の除霜に要する時間を削減することができる。
更に、上記実施形態1では、第1デフロスト運転と第2デフロスト運転とが切換可能となっている。ここで、実施形態1では、第1デフロスト運転で冷却熱交換器(83,93)の除霜能力が不足する場合に、低段側圧縮機(101,102,121,122)も運転するようにしている。このため、実施形態1によれば、第2デフロスト運転によって冷媒に付与される熱量を増大させることができるので、冷却熱交換器(83,93)のデフロスト能力を向上させることができる。従って、この第2デフロスト運転によって冷却熱交換器(83,93)を効果的に除霜することができる。
また、上記実施形態1では、第2デフロスト運転中において、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入側に液冷媒を戻すことで、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吸入冷媒を冷却するようにしている。このため、低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒温度が異常上昇してしまうことを未然に回避でき、低段側圧縮機(101,102,121,122)を確実に保護することができる。
《実施形態2》
本発明に係る実施形態2の冷凍装置(10)は、上記参考形態及び実施形態1とブースタユニット(14,15)の構成が異なるものである。以下には、上記参考形態及び実施形態1と異なる点について説明する。
図6に示すように、第1ブースタユニット(14)の第1ブースタ回路(100)には、第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)の吐出側に第1油分離器(143)が設けられている。同様に、第2ブースタユニット(15)の第2ブースタ回路(120)には、第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)の吐出側に第2油分離器(144)が設けられている。
図7に示すように、各油分離器(143,144)は、いわゆるデミスタ式の油分離器で構成されている。各油分離器(143,144)は、密閉状の油回収容器(145)と、デミスタ(146)とをそれぞれ備えている。各油回収容器(145)は、中空の円筒状に形成されており、その上部側の空間がガス溜め部(147)を構成し、その下部側の空間が液溜め部(148)を構成している。各デミスタ(146)は、上記ガス溜め部(147)に設けられている。デミスタ(146)は、ガス冷媒中の油を補足することで、ガス冷媒から冷凍機油を分離するものである。
第1油分離器(143)には、第1油戻し管(141)と、第1低段側吐出管(116a)と、第1吐出連絡管(116b)とが接続されている。第2油分離器(144)には、第2油戻し管(142)と、第2低段側吐出管(136a)と、第2吐出連絡管(136b)とが接続されている。
各油戻し管(141,142)は、各油分離器(143,144)の各油回収容器(145)の底部に接続している。各油戻し管(141,142)の一端は、各油分離器(143,144)の各液溜め部(148)にそれぞれ開口している。各油戻し管(141,142)の他端は、各低段側吸入管(113,133)にそれぞれ接続している。また、各油戻し管(141,142)には、開閉自在な電磁弁(SV-5,SV-6)がそれぞれ設けられている。
上記各低段側吐出管(116a,136a)は、各油分離器(143,144)の各油回収容器(145)の周壁に接続している。各低段側吐出管(116a,136a)は、各油分離器(143,144)の各ガス溜め部(147)に開口している。上記各吐出連絡管(116b,136b)は、各油分離器(143,144)の各油回収容器(145)の頂部に接続している。各吐出連絡管(116b,136b)は、各油分離器(143,144)の各ガス溜め部(147)に開口している。
各ブースタ回路(100,120)には、上記参考形態及び実施形態1と同様のバイパス管(119,139)がそれぞれ接続されている。第1バイパス管(119)は、一端が第1低段側吸入管(113)と接続し、他端が第1油戻し管(141)の途中に接続している。第2バイパス管(139)は、一端が第2低段側吸入管(133)と接続し、他端が第2油戻し管(142)の途中に接続している。各バイパス管(119,139)には、上記参考形態及び実施形態1と同様に、開閉自在な電磁弁(SV-2,SV-4)がそれぞれ設けられている。
上記各油戻し管(141,142)は、冷媒回収動作時において、各冷却熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒を各低段側圧縮機(101,102,121,122)をバイパスさせて各高段側圧縮機(41,42,43)の吸入側へ送るための液戻し管を兼ねている。また、上記各油分離器(143,144)は、この際に油戻し管(141,142)から流入した冷媒中からガス冷媒を分離し、このガス冷媒だけを各高段側圧縮機(41,42,43)へ送るための気液分離器を構成している。
この冷媒回収動作についての詳細は後述するものとする。
−運転動作−
実施形態2の冷凍装置(10)では、参考形態と同様、冷却運転とデフロスト運転とが切り換えて行われる。また、実施形態2の冷凍装置(10)では、デフロスト運転の終了後に各冷却熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒を回収するための冷媒回収動作が行われる。
<冷却運転>
実施形態2に係る冷凍装置(10)の冷却運転では、上記参考形態及び実施形態1と同様、第1冷凍ショーケース(12)及び第2冷凍ショーケース(13)の庫内の冷却が行われる。
図8に示すように、冷却運転時の室外回路(40)では、四路切換弁(49)が第1状態に設定される。また、第2室外膨張弁(48)が全閉状態となる一方、第1室外膨張弁(47)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)の開度が適宜調節される。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)の開度が適宜調節される。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)及び電磁弁(SV-2)が閉の状態に設定される一方、電磁弁(SV-5)が適宜開閉する。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)及び電磁弁(SV-4)が閉の状態に設定される一方、電磁弁(SV-6)が適宜開閉される。
冷却運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)がそれぞれ運転される。その結果、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(44)が凝縮器となり、各冷却熱交換器(83,93)が蒸発器となって、2段圧縮冷凍サイクルが行われる。
第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(68)から四路切換弁(49)を通過して室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒に室外空気の熱が付与され、この冷媒が凝縮する。
室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、第1液管(71)、レシーバ(45)、及び過冷却熱交換器(46)の高圧側流路(46a)を通過し、第2液管(72)へ流入する。第2液管(72)を流れる冷媒は、一部が第1分岐管(73)へ分配され、残りが液連絡配管(31)へ流入する。過冷却熱交換器(46)では、上記参考形態と同様にして、高圧側流路(46a)を流れる冷媒が過冷却される。
一方、上記液連絡配管(31)へ流入した冷媒は、第1冷凍回路(80)と第2冷凍回路(90)とに分配される。
第1冷凍回路(80)へ流入した冷媒は、第1ドレンパン(85)の氷塊を融解させた後、第1室内膨張弁(82)で減圧され、第1冷却熱交換器(83)を流通する。第1冷却熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、第1冷凍ショーケース(12)の庫内空気が冷却される。
第1冷却熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ブースタ連絡管(33)を介して第1ブースタ回路(100)に流入し、第1低段側吸入管(113)を経由して第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(102)に吸入される。各圧縮機(101,102)で圧縮された冷媒は、第1低段側吐出管(116a)を通過して第1油分離器(143)内に流入する。
第1油分離器(143)では、油回収容器(145)内の冷媒がデミスタ(146)を通過しながら上方に流れる。冷媒がデミスタ(146)を通過すると、冷媒中の油がデミスタ(146)に補足される。デミスタ(146)に補足された油は、油回収容器(145)内の液溜め部(148)に回収される。一方、油が分離された後のガス冷媒は、第1吐出連絡管(116b)を介してガス連絡配管(32)に流入する。
第1油分離器(143)内に回収された油は、第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(112)の吸入側に適宜返送される。つまり、第1油戻し管(141)の電磁弁(SV-5)は、タイマーの設定時間や、油回収容器(145)内に溜まった油の液面等に応じて適宜開放される。その結果、液溜め部(148)内に溜まった油は、第1油戻し管(141)を流れ、第1低段側吸入管(113)へ送られる。この油は、第2可変容量圧縮機(101)及び第3固定容量圧縮機(112)に吸入され、各圧縮機(101,112)の摺動部の潤滑に利用される。
第2冷凍回路(90)へ流入した冷媒は、第2ドレンパン(95)の氷塊を融解させた後、第2室内膨張弁(92)で減圧され、第2冷却熱交換器(93)を流通する。第2冷却熱交換器(93)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その結果、第2冷凍ショーケース(13)の庫内空気が冷却される。
第2冷却熱交換器(93)で蒸発した冷媒は、第2ブースタ連絡管(34)を介して第2ブースタ回路(120)に流入し、第2低段側吸入管(133)を経由して第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)に吸入される。各圧縮機(121,122)で圧縮された冷媒は、第2低段側吐出管(136a)を通過して第2油分離器(144)内に流入する。
第2油分離器(144)では、上記第1油分離器(143)と同様に、デミスタ(146)によってガス冷媒中の油が補足され、この油が液溜め部(148)に回収される。油が分離されたガス冷媒は、第2吐出連絡管(136b)を介してガス連絡配管(32)に流入する。また、第2油戻し管(142)の電磁弁(SV-6)が適宜開放されることで、第2油分離器(144)内の油が第3可変容量圧縮機(121)及び第4固定容量圧縮機(122)の吸入側に返送される。
ガス連絡配管(32)で合流した冷媒は、四路切換弁(49)を通過して高段側吸入管(64)へ流入する。この冷媒は、上述の過冷却熱交換器(46)の低圧側流路(46b)で蒸発した冷媒と混合し、第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
<デフロスト運転>
実施形態2に係る冷凍装置のデフロスト運転では、上記参考形態及び実施形態1と同様、第1冷却熱交換器(83)及び第2冷却熱交換器(93)の除霜が同時に行われる。
図9に示すように、デフロスト運転中の室外回路(40)では、四路切換弁(49)が第2状態に設定される。また、第1室外膨張弁(47)が全閉状態となる一方、第2室外膨張弁(48)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)が全開状態となる。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)が全開状態となる。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)及び電磁弁(SV-5)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-2)が開の状態に設定される。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)及び電磁弁(SV-6)が閉の状態に設定され、電磁弁(SV-4)が開の状態に設定される。
デフロスト運転では、室外回路(40)の各圧縮機(41,42,43)が運転される一方、第1ブースタ回路(100)の各圧縮機(101,102)、及び第2ブースタ回路(120)の各圧縮機(121,122)が停止状態となる。その結果、冷媒回路(20)では、室外熱交換器(44)が蒸発器となり、各冷却熱交換器(83,93)が凝縮器となって、冷凍サイクルが行われる。
第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)から吐出された冷媒は、高段側吐出管(68)から四路切換弁(49)を通ってガス連絡配管(32)へ流入する。上記ガス連絡配管(32)へ流入した冷媒は、第1ブースタ回路(100)と第2ブースタ回路(120)とに分配される。
第1ブースタ回路(100)へ流入した冷媒は、第1吐出連絡管(116b)を介して第1油分離器(143)内に流入する。第1油分離器(143)の油回収容器(145)内に流入したガス冷媒は、ガス溜め部(146)から液溜め部(148)側へ流れ、第1油戻し管(141)へ流出する。この際、液溜め部(148)に溜まった油や液冷媒は、ガス冷媒と共に第1油戻し管(141)へ流出する。第1油戻し管(141)に流出した冷媒は、第1バイパス管(119)を経由して第1低段側吸入管(113)を通過し、第1冷凍回路(80)へ流入する。
第2ブースタ回路(120)では、第1ブースタ回路(100)と同様に、ガス冷媒が第2油分離器(144)を通過し、その後に第2油戻し管(142)、第2バイパス管(139)、及び第2低段側吸入管(133)を経由して、第2冷凍回路(90)に流入する。
各冷凍回路(80,90)へ流入した冷媒は、上記参考形態と同様、各冷却熱交換器(83,93)の除霜や、各ドレンパン(85,95)内の氷塊の融解に利用される。
各冷凍回路(80,90)を流出した冷媒は、液連絡配管(31)で合流した後、第2液管(72)、第2分岐管(74)、レシーバ(45)、第1分岐管(73)を順に流れる。その後、冷媒は、第3分岐管(75)の第2室外膨張弁(48)を通過して減圧されてから、室外熱交換器(44)を流れる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、四路切換弁(49)を通過して高段側吸入管(64)へ流入し、第1可変容量圧縮機(41)及び第1,第2固定容量圧縮機(42,43)に吸入される。
<デフロスト運転終了後の冷媒回収動作>
ところで、上述したデフロスト運転を行うと、各冷凍ショーケース(12,13)では、各冷却熱交換器(83,93)の除霜に凝縮した液冷媒が、各冷却熱交換器(83,93)の内部に溜まり込んでしまうことがある。このような状態で上述の冷却運転を再開すると、各冷却熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒が、各ブースタ回路(100,120)の各低段側圧縮機(101,102,121,122)に吸入されることになる。その結果、いわゆる液圧縮現象により、各低段側圧縮機(101,102,121,122)が故障してしまう虞がある。
そこで、実施形態2に係る冷凍装置では、デフロスト運転を終了させた後、上記冷却運転を再開する際に、このような低段側圧縮機(101,102,121,122)の液圧縮現象を回避すべく、デフロスト運転の終了後に次のような冷媒回収動作を行うようにしている。
図10に示すように、冷媒回収動作では、上述の冷却運転と同様、四路切換弁(49)が第1状態に設定される。また、第2室外膨張弁(48)が全閉状態となる一方、第1室外膨張弁(47)の開度が適宜調節される。第1冷凍回路(80)では、第1室内膨張弁(82)の開度が適宜調節される。第2冷凍回路(90)では、第2室内膨張弁(92)の開度が適宜調節される。第1ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-1)及び電磁弁(SV-2)が閉の状態に設定される一方、電磁弁(SV-5)が開放状態となる。第2ブースタ回路(120)では、電磁弁(SV-3)及び電磁弁(SV-4)が閉の状態に設定される一方、電磁弁(SV-6)が適宜開閉される。
また、冷媒回収動作では、室外回路(40)側の各高段側圧縮機(41,42,43)が運転される一方、各ブースタ回路(100,120)側の各低段側圧縮機(101,102,121,122)が停止状態となる。
この冷媒回収動作の室外回路(40)では、各高段側圧縮機(41,42,43)で圧縮された冷媒が上述の冷却運転と同様の経路を流れる。つまり、室外回路(40)では、高圧冷媒が室外熱交換器(44)で凝縮して液連絡配管(31)に流入した後、各冷凍回路(80,90)に分流する。
第1冷凍回路(80)に流入した冷媒は、第1室内膨張弁(82)で減圧された後、第1冷却熱交換器(83)を流れる。第1冷却熱交換器(83)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。同時に、第1冷却熱交換器(83)内に溜まっていた液冷媒は、ガス冷媒に圧送されて第1冷却熱交換器(83)から排出される。
その後、冷媒は第1ブースタ回路(100)に流入する。この冷媒は、液戻し管としての第1油戻し管(141)を流れた後、第1油分離器(143)に流入する。第1油分離器(143)では、油回収容器(145)内において、冷媒が液冷媒とガス冷媒とに分離する。分離後の液冷媒は、油回収容器(145)内の液溜め部(148)に溜まり込む。一方、分離後のガス冷媒は、ガス溜め部(147)に溜まり込み、第1吐出連絡管(116b)より油回収容器(145)の外部へ流出する。
同様に、第2冷凍回路(90)に流入した冷媒は、第2冷却熱交換器(93)で蒸発すると共に、その内部に溜まっていた液冷媒を搬送しながら第2ブースタ回路(120)へ送られる。この冷媒は、液戻し管としての第2油戻し管(142)を介して第2油分離器(144)に流入する。第2油分離器(144)においても、冷媒はガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみが第2吐出連絡管(136b)より油回収容器(145)の外部へ流出する。
各ブースタ回路(100,120)を流出した冷媒は、ガス連絡配管(32)を流通する。ここで、ガス連絡配管(32)を流れる冷媒中に液冷媒が残存している場合、この液冷媒はガス連絡配管(32)の周囲の空気から吸熱して蒸発する。ガス連絡配管(32)を流出したガス冷媒は、室外回路(40)に流入し、各高段側圧縮機(41,42,43)に吸入される。
−実施形態2の効果−
上記実施形態2では、デフロスト運転の終了後に、各冷却熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒を高段側圧縮機(141,142)に吸入させる冷媒回収動作を行うようにしている。このため、上記実施形態2によれば、デフロスト運転をして再び冷却運転を行う際、各低段側圧縮機(101,102,121,122)で液圧縮現象が生じてしまうのを確実に回避することができる。一方、このように液冷媒を各高段側圧縮機(41,42,43)側に送るようにすると、液冷媒を低段側圧縮機(101,102,121,122)側へ送る場合と比較して、液冷媒が流れる配管の長さを稼ぐことができる。具体的に、上記実施形態2では、各冷却熱交換器(83,93)から排出された液冷媒が、各油戻し管(141,142)やガス連絡配管(32)等の各冷媒配管を介して高段側圧縮機(141,142)に吸入される。このため、上記実施形態2によれば、各冷媒配管の周囲の空気の熱を利用して冷媒中に残存する液冷媒を蒸発させることができる。従って、冷媒回収動作時において、高段側圧縮機(141,142)での液圧縮現象を回避することができる。
また、上記実施形態2では、各低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出側に油分離器(143,144)を設けている。このため、上記実施形態2の冷却運転時には、各低段側圧縮機(101,102,121,122)から流出した油を確実に各低段側圧縮機(101,102,121,122)に戻すことができ、各低段側圧縮機(101,102,121,122)の冷凍機油不足を解消することができる。
ここで、上記実施形態2では、各油分離器(143,144)で回収した油を低段側圧縮機(101,102,121,122)に戻すための油戻し管(141,142)を上記冷媒回収動作時の液戻し管としても用いるようにしている。従って、上記実施形態2によれば、冷媒回路(20)の簡素化を図ることができる。
更に、上記実施形態2の冷媒回収動作時には、各冷却熱交換器(83,93)に溜まった液冷媒を各油分離器(143,144)内に送り込み、各油分離器(143,144)内で分離したガス冷媒を高段側圧縮機(41,42,43)へ送るようにしている。このため、上記実施形態2によれば、冷媒回収動作時において、高段側圧縮機(41,42,43)での液圧縮現象を確実に回避することができる。ここで、上記実施形態2では、冷却運転時には油を分離するために用いる各油分離器(143,144)を、冷媒回収動作時には気液分離器として用いるようにしている。このため、上記実施形態2によれば、新たに気液分離器を設けることなく、冷媒回収動作時における各高段側圧縮機(41,42,43)での液圧縮現象を回避することができる。
<実施形態2の変形例>
上記実施形態2で説明した油分離器(143,144)や油戻し管(141,142)を上記参考形態及び実施形態1の冷凍装置(10)に適用し、実施形態2と同様の冷却運転、デフロスト運転、冷媒回収動作を行うようにしても良い。
また、例えば図9に示す実施形態2の各ブースタ回路(100,120)について、各バイパス管(119,139)の一端を各吐出連絡管(116b,136b)に接続し、他端を各低段側吸入管(113,133)にそれぞれ接続するようにしても良い。この構成では、デフロスト運転時において、高圧冷媒を各油分離器(143,144)内に送り込まず、各バイパス管(119,139)に直接導入して各冷却熱交換器(83,93)の除霜を行うことができる。
更に、例えば図11に示すように、デフロスト運転時に利用する各バイパス管(119,139)を各油戻し管(141,142)が兼ねるように構成しても良い。つまり、この例では、冷却運転時に各油戻し管(141,142)の電磁弁(SV-5,SV-6)が適宜開閉されることで、各油分離器(143,144)内に回収された油が各油戻し管(141,142)を介して各低段側圧縮機(101,102,121,122)へ返送される。また、この例のデフロスト運転時には、電磁弁(SV-5,SV-6)が開放状態となることで、室外回路(40)側から送られた高圧冷媒が各油戻し管(141,142)を介して各冷凍回路(80,90)へ送られる。つまり、この例のデフロスト運転時には、各油戻し管(141,142)が、上述の各バイパス管として機能する。また、この例のデフロスト運転終了時の冷媒回収動作では、電磁弁(SV-5,SV-6)が開放状態となることで、各冷却熱交換器(83,93)内に溜まった液冷媒が各油戻し管(141,142)を介して各油分離器(143,144)に流入し、各油分離器(143,144)で分離されたガス冷媒が各高段側圧縮機(41,42,43)へ送られる。このように、図11の例では、油戻し用の油戻し管(141,142)が、デフロスト運転時のバイパス管と、冷媒回収動作時の液戻し管との双方を兼ねてることになるので、冷媒回路(20)の構成を一層簡素化することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、冷却運転時やデフロスト運転時に、各高段側圧縮機(41,42,43)を全て運転するようにしているが、これらの高段側圧縮機(41,42,43)のうちの1台又は2台を運転させるようにしてもよい。
また、上記実施形態1では、第2デフロスト運転時に、各ブースタ回路(100,120)で両方の低段側圧縮機(101,102,121,122)を運転するようにしているが、これらの低段側圧縮機(101,102,121,122)のうちの一方のみを運転させるようにしてもよい。
また、この第2デフロスト運転時には、各圧縮機(101,102,121,122)に吸入される冷媒の過熱度に応じて各液インジェクション弁(191,193)の開度が適宜調節されているが、この過熱度に代わって、各低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒温度に基づいて各インジェクション弁(191,193)の開度を適宜調節するようにしてもよい。この場合にも、各低段側圧縮機(101,102,121,122)の吐出冷媒温度が異常上昇してしまうのを未然に回避することができる。
更に、上記実施形態1では、液インジェクションを行うことで、各ブースタ回路(100,120)の各圧縮機(101,102,121,122)の吐出温度を低下させるようにしているが、この液インジェクションを行わない構成としてもよい。この場合においては、例えば第2可変容量圧縮機(101)や第3可変容量圧縮機(121)の運転周波数を低減させ、吐出冷媒温度を低下させるようにしてもよいし、各ブースタ回路(100,120)で、いずれか一方の低段側圧縮機(101,102,121,122)を停止させるようにしてもよい。
また、上記実施形態の冷凍装置(10)では、冷媒回路(20)に複数の冷却熱交換器(83,93)を設け、複数の冷凍ショーケース(12,13)の庫内を同時に冷却するようにしているが、冷媒回路(20)に一つの冷却熱交換器を設け、一つの冷凍ショーケースのみの庫内を冷却するようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。