JP4210536B2 - 気泡発生装置および気泡発生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体中に気泡を発生させるための気泡発生装置および気泡発生方法に関し、さらに該気泡発生装置および気泡発生方法を用いた物品の洗浄方法および洗浄装置、液体中の物質の検知方法および検知装置、オゾン含有水の製造方法および製造装置、ならびに気体を高濃度に含有した液体の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の気泡発生装置では、たとえば特許文献1の段落[0006]に示される「曝気装置」のように、回転するカップ状部材の内空間に給気管から空気が供給され、その空気はカップ状部材の側壁に設けられた散気孔から、インペラーの回転によって生じた水流へと噴出される。このとき、気体は散気孔の内縁によって剪断されて気泡となり、この気泡は水流へ噴出されるとすぐに、散気孔近傍にあるフィン部材に衝突して圧潰され、フィン部材に接触しながらフィン部材の周縁部に移動し、その周縁部から水流に引き千切られるように破砕され、水流と混合されて気水混相流となって吐出される。このように、特許文献1に記載の装置では、空気が散気孔で剪断されて気泡となり、この気泡がフィン部材で破砕されて水流に放出されるので、インペラーの回転数が同一で被処理水の循環流量が一定の条件では、フィン部材を有しない従来に比して、気泡がより微細化されるとのことである。
【0003】
また、ほかの例として、特許文献2「微細気泡発生方法および微細気泡発生装置」の段落[0010]に示されるように、液体ノズルとガスノズルとを有するエジェクタ式ガスノズルを用い、前記液体ノズルより被発泡液体中に液体を噴出し、当該液体の噴流による負圧により、前記ガスノズルからの気体を前記被発泡液体中に吸引させて前記被発泡液体中に微細気泡を発生させる方法がある。
【0004】
また、さらに別の例として、特許文献3「微細気泡」の[請求項10]に示されるように、装置の中心部に液体および気体の2相旋回流を形成させ、その2相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させ、前記装置の上方から、前記負圧空洞部に気体を吸入させ、通過させて、旋回気体空洞部を形成させ、その旋回気体空洞部を回転制御したり、[請求項12]に示されるように、液体に界面活性剤又はアルコールを僅かに添加するようにしている。
【0005】
また、ほかの例では、ガラス、金属、セラミック、プラスチックなどを粉砕した後に固めたフィルタや注射針を束ねたものなどを通して気体を液体に注入して気泡を作製する方法があった。
【0006】
しかし、このような気泡発生装置にあっては、気泡の大きさが必ずしも所望の大きさにまで小さくならないという問題点もあった。また、添加剤を加えた場合には、気泡が水面に浮き上がってもなかなか消えずエネルギーが無駄に使われたり、気体にオゾンを用いる場合には添加剤がオゾンと反応してオゾンが無駄に使われたり添加剤が消費されたりする問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−271590号公報
【特許文献2】
特公平7−47115号公報
【特許文献3】
特開2002−143885号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、より微小な気泡を得ることができ、液面に浮上した気泡がすぐに消える気泡発生装置および気泡発生方法を提供することを目的とする。また、気体としてオゾンを用いた場合に、オゾンと液体(添加剤)との反応が生じにくい気泡発生装置および気泡発生方法を提供することを目的とする。また、これら気泡発生装置および気泡発生方法を利用した、より効率的な洗浄装置、油臭センサあるいはガス溶解装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】
また本発明は、気泡発生槽と、該槽内に入れられた水と、該水中に気泡を発生させるための気泡発生手段とからなる気泡発生装置であって、前記水が、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、エステル基を持ち分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、またはスルホン酸基を持ち分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質を、0.001mol/L以上1mol/L以下含む気泡発生装置に関する。
【0011】
さらに本発明は、(a)カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、(b)分子内に水酸基を複数持ち分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、(c)エステル基を持ち分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、または(d)スルホン酸基を持ち分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水の中で気泡を発生させる気泡発生方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1による気泡発生装置を示す図である。
【0013】
液体タンク10に送液ポンプ12が備え付けられている。送液ポンプ12の先にはエジェクタ20が装着され、エジェクタ20には気体導入口22が設けられている。エジェクタ20の気液混合体の出口には気泡生成槽30が装着されている。エジェクタ20は中心部がくびれており、液体が通るとこの部分が減圧されるので気体が導入される。このような構成によれば、液体タンク10に任意の溶液を導入でき、また、エジェクタ20を通して任意の気体を導入できる。この液体が送液ポンプ12によりエジェクタ20に導入されれば、気体と混合され気泡になって気泡生成槽30に導入される。気泡生成槽30には、排気口36および排水バルブ38が設けられており、余剰の気体および液体を排出することができる。
【0014】
液体としては、酢酸を0.001〜1mol/L含む水を用いると好ましく、酢酸を0.01〜0.2mol/L含む水を用いるとさらに好ましい。また、この水のpHは、4以下であると好ましく、3以下であるとさらに好ましい。酢酸の量が0.001mol/Lよりも少ない場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向がある。また、水のpHが4よりも大きい場合、やはり発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向がある。酢酸の量が1mol/Lよりも多い場合には、浮上した気泡がなかなか消滅しない傾向があり、また、酢酸の揮発量が多く臭気がきつくなる傾向がある。
【0015】
なお、本発明の気泡発生装置および気泡発生方法を、たとえば機械部品の洗浄など、気泡が速やかに消滅しなくてもよく、臭気も問題とならない用途に用いる場合には、酢酸の濃度は1mol/Lよりも高くてもよい。
【0016】
ところで、なぜ酢酸を加えれば、気泡が小さくなるかを以下に述べる。
【0017】
高速度顕微ビデオカメラにより、気泡のでき方を観察した。それによると、気泡生成時には酢酸の添加効果はほとんど認められなかった。すなわち純水においても気泡は小さい。ところが純水の場合には気泡同士が次々にぶつかりすぐに融合してしまい結果的に大きな気泡になってしまう。しかし酢酸を少量加えると、気泡同士がぶつかっても融合しないことが分かった。すなわち酢酸は気泡融合防止剤として働いている。融合が起こらないのは、たとえば2個の気泡が接触するとその間に薄い液体膜が形成されるが、これが破壊されないことを意味している。ところが、酢酸水溶液は、水面上ではきわめて速やかに消滅するから、この水膜が「丈夫」ということにはならないのだ。一方、いわゆる界面活性剤やタンパク質が溶けた水溶液はシャボン玉やビールの泡のようになかなか融合しないが、これらの泡はなかなか消えないという問題もある。すなわち、親水基と疎水基を1分子中に併せ持つ両親媒性物質のうち、一定の分子量以下の分子が、液面であぶくになっても早く消滅する微小な気泡生成の効率化に有効である。
【0018】
実施の形態2
前記実施の形態1では液体として酢酸を含んだ水を用いたが、酢酸のかわりに、カルボキシル基以外の親水性の残基(−OH、−NH2(第1アミン)、−NH−(第2アミン)、−N<(第3アミン)、−C(O)NH−(ペプチド結合)、−C(O)NH2(第1アミド)、(−C(O))2NH(第2アミド)、(−C(O))3N(第3アミド)、−O−、−SO3H、−PO4H、−F、−NO2、−S(O)−、−CNなど)を持たない有機酸(カルボン酸)が使用可能である。
【0019】
なかでも、分子量をカルボキシル基(−COOH)の数で割った値(以下、M値という)が47以上140以下である有機酸が好ましく、60以上120以下である有機酸がさらに好ましい。M値が140よりも大きい有機酸を用いた場合、水面に浮上した気泡がなかなか消えない傾向にある。また、M値が47よりも小さい有機酸を用いた場合、気泡を小さくする効果がほとんど見られない。
【0020】
これら有機酸を、水に対し、残基(カルボキシル基)の濃度が0.001〜1mol/Lとなるように用いると好ましく、0.01〜0.2mol/Lとなるように用いるとさらに好ましい。残基の濃度が0.001mol/Lよりも低い場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向がある。残基の濃度が1mol/Lよりも高い場合には、浮上した気泡がなかなか消滅しない傾向がある。なお、ここで残基の濃度とは、分子の濃度に1分子中の残基(この例ではカルボキシル基)の数を乗じた値を意味する。
【0021】
また、この水のpHは、4以下であると好ましく、3以下であるとさらに好ましい。水のpHが4よりも大きい場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向がある。
【0022】
分子中のカルボキシル基の数が1個であり、M値が47以上140以下である有機酸としては、プロピオン酸(M値=74)、酪酸(88)、吉草酸(102)などがあげられる。また、分子中のカルボキシル基の数が2個であり、M値が47以上140以下である有機酸としては、フマル酸(M値=58)、マレイン酸(58)、コハク酸(59)、アジピン酸(73)、ジメチルコハク酸(73)、ジメチルアジピン酸(87)などがあげられる。
【0023】
これら有機酸のいずれを用いても、気泡を小さくする効果が得られるが、プロピオン酸や酪酸は揮発性でありしかも臭気がきついため、用途によっては不適当な場合もある。また、吉草酸は比較的M値が大きく、水面に浮上した気泡がやや消えにくい傾向があるため、M値がさらに小さい有機酸がより好ましい。
【0024】
1分子中に2個のカルボキシル基を有する有機酸であるフマル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、ジメチルコハク酸、ジメチルアジピン酸を用いると、酢酸を用いた場合と同様に、微小な気泡を多数得ることができ、しかも水面に浮上した気泡が速やかに消滅する。さらに、酢酸を用いた場合と異なり、異臭がほとんどしないという優れた効果が得られる。一方で、酢酸にくらべ水への溶解度が低いため、あまり濃い溶液は作ることができない。
【0025】
実施の形態3
前記実施の形態1および2では、カルボキシル基以外に親水性の残基を持たない有機酸を用いたが、有機酸のかわりにアミノ酸を使用することもできる。
【0026】
アミノ酸は酸性の残基であるカルボキシル基とアルカリ性の残基であるアミノ基(−NH2または−NH−)を1つの分子に持っている。このため水溶液は、濃度や物質によるがpH=5〜8程度の中性になる。アミノ酸には、同一の炭素原子にカルボキシル基とアミノ基がついているαタイプ、隣同士の炭素についているβタイプなどがあるが、いずれの場合にも気泡を小さくする効果がある。
【0027】
アミノ酸を用いる場合には、カルボキシル基以外に親水性の残基を持たない物質(前記実施の形態1または2であげた物質)にくらべ、分子量の大きい物質が好ましい。具体的には、前記M値が94以上280以下である物質が好ましく、130以上205以下である物質がさらに好ましい。M値が94よりも小さい場合、気泡を小さくする効果が少なくなる傾向があり、M値が280よりも大きい場合、水面に浮上した気泡がなかなか消えない傾向にある。
【0028】
また、最適な値は物質によって異なるが、水溶液におけるこれら物質の濃度は0.001〜1mol/Lが好ましく、0.01〜0.2mol/Lがさらに好ましい。濃度が0.001mol/Lよりも低い場合、発生する気泡の径が大きくなってしまう傾向があり、濃度が1mol/Lよりも高い場合には、浮上した気泡がなかなか消滅しない傾向がある。
【0029】
また、水溶液のpHは5〜8.5が好ましく、6〜8がさらに好ましい。pHが5未満または8.5よりも大きい場合、機器の腐食のおそれがある。
【0030】
M値が94以上280以下であるアミノ酸としては、プロリン(M値=115)、ロイシン(M値=131)、イソロイシン(131)、フェニルアラニン(165)、トリプトファン(204)などがあげられるが、これら以外のアミノ酸も用いることができる。なお、アミノ酸がD体であっても、L体であっても、ラセミ体であても、気泡を小さくする効果にかわりはない。
【0031】
本実施の形態によれば、液体のpHを小さくする必要がないため、気泡を金属製の対象物に接触させてこれを洗浄する場合など、洗浄対象を腐食させてしまう心配がない。
【0032】
実施の形態4
有機酸のかわりに使えるほかの物質としては、アルコールがある。
【0033】
なかでも、分子内にOH基を複数個持つアルコールが好適である。OH基を複数持つ分子は、揮発性が低く水への溶解度も高いので使い勝手がよい。分子量を水酸基の数で割った値(以下、A値という)が38以上73以下の物質が好ましく、45以上59以下の物質がさらに好ましい。A値が38よりも小さい場合、気泡を小さくする効果がほとんど見られず、A値が73よりも大きい場合、気泡がなかなか消えない傾向がある。
【0034】
A値が38以上73以下である具体的な分子としては、プロピレングリコール(A値=38)、ブタンジオール(45)、ヘキサンジオール(59)、オクタンジオール(73)などがあげられる。これらの分子には、OH基の位置が異なる異性体が存在するが、いずれも用いることができる。
【0035】
OH基が分子内に1個のアルコールは、揮発性が大きく、かならずしも使い勝手は良くない。ただし、たとえばブタノールやペンタノールなど、分子量がある程度大きく、おおむね70以上であるものは、好ましく用いることができる。OH基が分子内に1個のアルコールを用いる場合、A値(=分子量)が59以上89以下の物質が好ましい。A値が59よりも小さい場合、気泡を小さくする効果がほとんど見られず、揮発性も大きくなり使い勝手がよくない。A値が89よりも大きい場合、気泡がなかなか消えない傾向がある。
【0036】
A値が59以上89以下である具体的な分子としては、n−プロパノール(A値=60)、イソプロパノール(60)、n−ブタノール(74)、n−ペンタノール(88)などがある。
【0037】
ただし、揮発性があっても問題ない場合、たとえば後述する油臭センサなどでは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールも使用できる。
【0038】
これらアルコールを、残基(OH基)の濃度が0.001mol/L以上1mol/L以下となるように含んだ水が好ましく、0.01mol/L以上0.2mol/L以下となるように含んだ水がさらに好ましい。残基(OH基)の濃度が0.001mol/Lよりも低い場合、気泡を小さくする効果がほとんど見られず、残基(OH基)の濃度が1mol/Lよりも高い場合、気泡がなかなか消えない傾向がある。
【0039】
本実施の形態によれば、液体のpHを小さくする必要がないため、気泡を金属製の対象物に接触させてこれを洗浄する場合など、洗浄対象を腐食させてしまう心配がない。
【0040】
実施の形態5
ほかに有機酸のかわりに使える物質としては、分子内に親水性残基(−OH、−NH2(第1アミン)、−NH−(第2アミン)、−N<(第3アミン)、−C(O)NH−(ペプチド結合)、−C(O)NH2(第1アミド)、(−C(O))2NH(第2アミド)、(−C(O))3N(第3アミド)、−O−、−COOH、−SO3H、−PO4H、−Cl、−F、−NO2、−S(O)−、−CN、−COOR(エステル基)など)を有し、分子量を分子内の親水性残基の総数で割った値(以下、N値という)が47以上140以下である物質があげられる。N値が60以上120以下である物質がさらに好ましい。N値が47よりも小さい場合、気泡を小さくする効果が少なくなる傾向があり、N値が140よりも大きい場合、水面に浮上した気泡がなかなか消えない傾向にある。
【0041】
このような物質としては、たとえばパラトルエンスルホン酸(N値=105)、クエン酸(48)、クロロブタン(93)、酢酸ブチル(116)、フェネチジン(68.5)などがある。
【0042】
また、これら物質は、親水性残基の濃度が0.001mol/L以上1mol/L以下となるように水に添加するのが好ましく、0.01mol/L以上0.2mol/l以下となるように水に添加するのがさらに好ましい。親水性残基の濃度が0.001mol/Lよりも低い場合、気泡を小さくする効果がほとんど見られず、親水性残基の濃度が1mol/Lよりも高い場合、気泡がなかなか消えない傾向がある。
【0043】
本実施の形態によれば、一部を除き液体のpHを小さくする必要がないため、気泡を金属製の対象物に接触させてこれを洗浄する場合など、洗浄対象を腐食させてしまう心配がない。
【0044】
実施の形態6
ところでこれまでM値やA値、N値といったような分子量を残基数で割った値を指標として記述してきた。
【0045】
いくつかの有機酸について、実際に実施の形態1で述べた装置により気泡を作製し、各有機酸のM値と得られた気泡との関係を図2にグラフにして示した。図2では、横軸にM値、左縦軸に気泡径の中心値(最も多い気泡径)、右縦軸に水面に浮上した気泡が消えるまでの時間を示した。
【0046】
図2から、これまでに述べたとおり、分子量を残基数で割った値が140を超える場合には気泡が消えにくいことがわかる。もちろん、用途や目的により、気泡が消えにくくても問題がない場合には、このような物質も好ましく使うことができる。また図2から、これまでに述べたとおり、分子量を残基数で割った値が47未満であると気泡径が非常に大きくなることがわかる。
【0047】
なお、気泡径や気泡が消えるまでの時間は、温度や気体の種類、水への共存物質に多少影響されるが、これらを変化させた場合でも、M値が140を超えると気泡が消えにくくなり、47未満になると気泡径が急激に大きくなる傾向に変わりはなかった。
【0048】
ほかの物質についても図2と同様のグラフを作成して検討したところ、やはりM値、A値、N値が好ましい範囲を超えると気泡が消えにくくなり、好ましい範囲よりも小さくなると気泡径が急激に大きくなることがわかった。また、このような傾向は、温度や気体の種類、水への共存物質にあまり影響されなかった。
【0049】
ところで、これまでに述べてこなかった別の指標として、オクタノール/水分配係数の対数log Powを用いることもできる。この値は疎水性パラメータとよばれる。なお、疎水性パラメータを添加物の有効性評価に用いる場合には、残基の種類によって、好ましい値が変わってくることに注意しなければならない。
【0050】
いくつかの物質について、実施の形態1で述べた装置により気泡を作製し、各物質の疎水性パラメータと得られた気泡の質との関係を図3にグラフにして示した。なお、気泡の質は、気泡による水溶液の白濁度を肉眼で観察し(白濁が強いほど、気泡が小さくかつ多くて好ましい)、酢酸の場合を基準として点数をつけて評価した。すなわち、気泡の質すなわち白濁度が酢酸と同程度であれば評価点数は1、気泡の質が酢酸の場合よりも悪ければ評価点数は0.5や0、気泡の質が酢酸の場合よりも優れていれば評価点数は1.5や2、2.5という具合になる。
【0051】
図3から、カルボン酸基を1つ持ちほかの親水性残基を持たない物質(図3中、モノカルボン酸と表記)やカルボン酸基を複数持ちほかの親水性残基を持たない物質(図3中、ポリカルボン酸と表記)では、疎水性パラメータが−0.6〜2の範囲であると好ましく、0〜1.5の範囲であるとさらに好ましい。疎水性パラメータが−0.6よりも小さくなると、微小な気泡が得られなくなる傾向があり、2よりも大きくなると、気泡が消えにくくなる傾向がある。
【0052】
水酸基(−OH)を複数持ちほかの親水性残基を持たない物質の場合には、疎水性パラメータが−1.4〜1.5の範囲にある物質が好ましく、−1〜1の範囲にある物質がさらに好ましい。疎水性パラメータが−1.4よりも小さくなると、微小な気泡が得られなくなる傾向があり、1.5よりも大きくなると、気泡が消えにくくなる傾向がある。
【0053】
また、図3には示されていないが、−OH基を1つだけ持つアルコールの場合には、疎水性パラメータは0〜1.5が好ましく、0.4〜1.2がさらに好ましい。疎水性パラメータが0よりも小さくなると、微小な気泡が得られなくなる傾向があり、1.5よりも大きくなると、気泡が消えにくくなる傾向がある。
【0054】
アミノ酸の場合には、疎水性パラメータは−2.6〜−1が好ましく、−1.8〜−1.2がさらに好ましい。疎水性パラメータが−2.6よりも小さくなると、微小な気泡が得られなくなる傾向があり、−1よりも大きくなると、気泡が消えにくくなる傾向がある。
【0055】
スルホン酸の場合には、疎水性パラメータは−2〜0が好ましく、−1.5〜−0.4がさらに好ましい。疎水性パラメータが−2よりも小さくなると、微小な気泡が得られなくなる傾向があり、0よりも大きくなると、気泡が消えにくくなる傾向がある。
【0056】
なお、疎水性パラメータが、これら好ましい値に比べてマイナス0.5あるいはプラス0.5程度の範囲にあれば、効果があると考えられる。一方で、疎水性パラメーターが非常に大きい物質、たとえばクロロホルムのような疎水性物質は良い気泡を作らない。
【0057】
実施の形態7
図1に示した前記実施の形態1の気泡発生装置では、気泡発生槽30の液体を再利用せず、排水バルブ38から排水していた。一方、本実施の形態では、気泡発生槽30の液体を循環使用する。
【0058】
図2に、本実施の形態による気泡発生装置を示す。
【0059】
気泡生成槽30の排水口にポンプ14を接続し、気泡生成槽30の液体をエジェクタ20に循環、使用する。
【0060】
酢酸は揮発性があるので、気泡とともに槽外に出て行ってしまい次第に水中の濃度が下がる。また、揮発以外にも何らかの反応や吸着によって濃度が減少する可能性がある。そこで、気泡生成槽30内にpHセンサ42および/または濁度計44を設けて液体のpHや気泡の状態を測定し、pHが大きくなった場合および/または好ましい気泡が得られなくなった場合に、制御装置40によって送液ポンプ12を動作させ、液体タンク10の酢酸水溶液を気泡生成槽30に導入するようにするとよい。あるいは、別途用意した酢酸を直接、気泡生成槽30に導入するようにしてもよい。
【0061】
酢酸濃度の減少およびそれにともなう気泡の状態の変化は、前記pHセンサおよび濁度計のほか、吸光度計、反射率計、微粒子計などによって検出することができる。そこで、これらのセンサを系のどこかたとえば気泡生成槽や配管などに設けるとともに、これらセンサの値により不足する酢酸を計算し、系のどこかたとえば配管やエジェクタ、気泡発生槽に注入するためのポンプを設けても良い。
【0062】
また、酢酸濃度が変わらなくてもpHが増加して所望の機能がでない場合もあるので、pHセンサを用いて制御するのは酢酸添加量に限らず、塩酸や硫酸などのほかの酸の添加でも良い。この場合には、酢酸やほかの酸の添加量は少ないので、ポンプを使わず、注入には重力落下を利用して流量はバルブ開閉で制御するなどしても良い。センサの値から気体注入速度や液体注入・循環速度を制御しても良い。気泡の状態を人が観察して人為的に酸を注入するようにしても良い。
【0063】
さらには、揮発する酢酸を回収して戻すため、回収装置50を設けても良い。回収装置50には排気口52が設けられ、酢酸回収後の気体が排気される。一方、回収された酢酸は、ポンプ16によって液体タンク10に戻される。酢酸の回収方法としては、たとえば酢酸を含む気体を冷却して酢酸をトラップする方法、酢酸を活性炭などに吸着する方法などを用いることができる。
【0064】
なお、酢酸のかわりに実施の形態2〜6で示した物質を用いても同様の効果が得られる。ただし、回収装置が必要なのは揮発性のある物質を利用する場合に限られる。
【0065】
実施の形態8
前記実施の形態1〜7では、エジェクタを用いて気泡を発生させた。エジェクタの場合には必ず液体の流れが必要である。
【0066】
液体の流れを利用して気泡を発生させる装置としては、液体が流れるパイプ内に突起や螺旋状部材を設けたもの(これらは、スタティックミキサとよばれることがある)があり、エジェクタの代わりにこれらを用いてもよい。
【0067】
また、液体の流れを利用するほかの方法としては、液流を空気層を通過して液層にぶつけるようにして、空気を液層中に巻き込み気泡を発生させる方法があり(以下、ジェットという)、これを使用することもできる。液流は、たとえばシャワーのように複数本の液流であってもよく、複数本の液流を同時に高速でぶつけることにより、効率よく気泡を発生させることができる。
【0068】
これらエジェクタ、スタティックミキサおよびジェットは、単独で用いてもよく、同種のものを複数直列に組み合わせて用いてもよく、また異なる種類のものを直列に組み合わせて設けてもよく、効果的に気泡を発生させることができる。たとえば、エジェクタ→スタティックミキサの組み合わせ、エジェクタ→ジェットの組み合わせ、エジェクタ→スタティックミキサ→スタティックミキサーの組み合わせ、エジェクタ→スタティックミキサ→ジェットの組み合わせなどを用いることができる。
【0069】
実施の形態9
液体の流れを利用せずに気泡を発生させる方法としては、微小な空洞を通して気体を液体中に導入する方法を用いることができ、具体的には、微小な孔を多数有するフィルタを通して気体を液体中に注入する方法、小径のチューブを複数本設け、これらチューブを通して気体を液体中に注入する方法などを使用することができる。図5に、フィルタを通して気体を液体中に注入する装置を示す。
【0070】
気泡生成槽30中に液体が入れられており、さらに液体中にフィルタ32が設置されている。フィルタ32は、ガラス製、セラミック製、金属製またはプラスチック製であり、微小な孔を多数有している。気体をフィルタ32に供給すると、気体が微小な孔を通過して小さな気泡となり、液体中に導入される。フィルタ32のかわりに、金属製、ガラス製、セラミック製などの小径のチューブを複数本一体化して用いてもよい。
【0071】
液体の流れを利用せずに気泡を発生させるほかの方法として、気体と液体との界面において気体と液体とを攪拌する方法を用いることができる。たとえば、図6の装置は、液体と気体との界面でプロペラ34を回し、気体と液体とを攪拌して気体を液体中に巻き込むようにしたものである。また、振動装置などによって気液界面付近の液体を振動させ、気体と液体とを攪拌し気泡を発生させることもできる。
【0072】
これら以外にも、従来技術に示したような、剪断を利用するもの、気液が混在する槽全体を激しく振動させるものが使用でき、さらに複数の方法を組み合わせて用いることができる(たとえばフィルタからでてきた気泡に対して剪断装置を作用させたり振動を加えたりする)。
【0073】
液体の流れを利用する前記実施の形態の気泡発生装置では、液体タンク10を設け、ここから酢酸などの添加物を加えた液体を供給した。一方、液体の流れを利用しない本実施の形態の気泡発生装置では、液体タンク10を設ける必要は必ずしもない。この場合、酢酸などの添加物を気泡生成槽30に加え、液体が所望の濃度になるようにすればよい。あるいは、最初から所望の濃度の液体を気泡生成槽30に入れておけばよい。
【0074】
液体の流れを利用しない本実施の形態の気泡発生装置においても、前記実施の形態7と同様、センサを用いて酢酸の濃度や液体のpHを制御することができ、回収装置を設けて酢酸を回収することができる。
【0075】
実施の形態10
さて、これまでは気泡の発生方法および装置について示してきた。この気泡の利用方法としては種々ある。まず、洗浄装置への応用について示す。とりわけ油が付着した金属やガラスなどの固体の洗浄に効果的である。
【0076】
油が付着したステンレス部品を水に浸すと、油と水はなじまないので、油は部品上に留まるため、水だけでは洗浄できない。そこに空気の泡がやってくると、空気と油は水と比較して親和性が高いので、まず泡が油に付着する。次に油の一部は気泡の界面に移動する。気泡は水より軽いためそのうち水面に向かって浮上する。よって部品の表面の油は減少し、部品は洗浄されることになる。一方、水面に達した気泡は破裂し水面に油が残る。これを何らかの方法で除去すれば水も汚れずにすむ。このように気泡による油の洗浄は、気泡の気液界面を利用するため高濃度の化学物質を用いないので非常に環境にも優しいいすぐれた洗浄方法である。
【0077】
ところで、気泡1個あたりの気液界面面積は4・π・r2であり、また気泡1個あたりの体積は(4/3)・π・r3である(rは気泡の半径)。よって、一定流量(V)の気体に対して半径rの気泡ができたとするとその気泡の個数は、気泡内圧力が一定であると仮定すれば、V/((4/3)・π・r3)である。よって総気液界面面積は(4・π・r2)・(V/((4/3)・π・r3))=3V/rとなり、半径rに反比例することになる。すなわち気泡径が小さいほど洗浄に効果のある界面面積が増えることになるから、気泡界面を利用する装置や方法にとって有利である。
【0078】
すなわち、実施の形態1〜9で述べてきた本発明の気泡発生装置や方法によれば、微小な気泡を得ることができるため、洗浄装置や洗浄方法に有効である。なお、より詳細には、表面張力を考えるとrが小さくなると気泡内の圧力が上がり必ずしも前述の式のとおりにはならないが、実用的なrの範囲(5μm程度以上)では前述の式がおおむね適用できる。
【0079】
熱などの外部エネルギーで汚れの流動性を増す(汚れをマイクロ波などで直接暖める、汚れが付着している基板などをヒーターで暖める、周りの水をヒーターやマイクロ波で温めるなど)ことにより、洗浄効果が大きくなる。
【0080】
実施の形態11
ほかの応用例として、油臭センサについて説明する。水中の油を油臭センサで検出する場合、油を含む水に空気をバブリングして油を空気中に追い出し、センサで検出するとよく、油を空気に早く追い出すほどセンサの応答速度や応答量が増加する。油が空気に移動する速度はやはり気泡の界面面積が大きいほど大きくなることが予想されるので、これまで述べてきた気泡発生装置および方法が効果的である。
【0081】
油臭センサとしては、たとえば感応膜として疎水性高分子を付着した水晶振動子式油臭センサが用いられるが、このようなセンサは、親水性物質にはほとんど応答しない。したがって、酢酸やアルコールなど揮発性物質を加えても、これら酢酸やアルコールはセンサの応答にほとんど影響を与えない。
【0082】
添加する物質によって効果は異なるが、たとえば酢酸を用いる場合には、添加後の濃度が0.00033〜0.1mol/Lとなるように加えると好ましく、0.0033〜0.033mol/Lがさらに好ましい。濃度が0.00033mol/Lよりも低い場合、油の追い出しが少なく、センサの応答速度や応答量があまり向上しない傾向がある。一方、濃度が高いとセンサの応答量が大になり好ましいが、0.1mol/Lを超えると、添加物質によるセンサ応答が若干見られるようになるとともに、気泡発生槽に気泡が残る傾向にある。
【0083】
本実施の形態では、油の追い出しを利用した油センサについて述べたが、ほかの揮発性成分のセンシングや、センシングに限らず水から揮発成分を追い出すことに応用することができる。
【0084】
実施の形態12
ほかの応用例として高濃度気体含有水の製造例について述べる。具体的な気体としては酸素、窒素、オゾン、二酸化炭素、メタンなどがあげられる。含有水と述べたのはいわゆる溶存とは限らず、微小気泡は浮上速度がきわめて遅いために水と長期間にわたり共存可能で、微小気泡の状態で利用されたり徐々に溶存して利用されたりあるいはメタンのようにメタンハイドレートという特殊な水の形態による場合があるからである。利用というのは、酸素の場合には魚や微生物などの生物の活性化、オゾンの場合には、難分解性物質の酸化無害化、窒素の場合には窒素固定細菌への供給、メタンの場合には気泡を作った後に高圧低温にしてメタンハイドレートを作ってメタン貯蔵、二酸化炭素の場合には海底貯蔵などである。
【0085】
たとえば、オゾンを使用して水中の有機物を浄化する場合、本発明により微小なオゾン気泡を発生させれば、オゾン気泡の界面面積を大きくし、有機物との反応を促進させることが可能である。酢酸はオゾンと反応しないのでとくに有効である。
【0086】
また、気体としてメタンを用い、メタンの微小気泡を含んだ水を5.8MPa以上の高圧、0℃以上10℃以下の低温とすることにより、メタンを高濃度に含んだ水を製造することができ、メタンを長期間安定に貯蔵することができる。
【0087】
【実施例】
実施例1
図1に示した前記実施の形態1の気泡発生装置を用い、気泡を発生させた。
【0088】
液体タンク10として100Lの容積を持つものを用い、液体として酢酸を約0.1%(約0.017mol/L)含む水を用いた。液体のpHは3.0であった。また、気体として空気を用いた。
【0089】
送液量は3L/分とし、気体注入速度を0.3L/分とした。エジェクタ20の液体入口および出口の内径を5cm、気体導入口の内径を0.5cmとした。
【0090】
このときに気泡生成槽で観察されたほとんどの気泡直径は50〜500μmであった。しかも水面に浮き上がった気泡は速やかに消滅した。
【0091】
ところが、酢酸を0.001mol/Lよりも低濃度にした場合、気泡径は500μm以上のものが多くなった。また、水酸化ナトリウムを加えてpHを5以上にした場合も、気泡径は500μm以上のものが多くなった。
【0092】
また、酢酸の濃度を1mol/Lよりも高くしたところ、酢酸の揮発量が多く臭気がきつくなった。また、浮上した気泡がなかなか消滅しなかった。
【0093】
実施例2
前記実施例1では、液体として酢酸を約0.1%(約0.017mol/L)含むpH3.0の水を用いたが、本実施例では、酢酸のかわりにギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、コハク酸、アジピン酸、ジメチルコハク酸、ジメチルアジピン酸、フマル酸、マレイン酸およびクエン酸をそれぞれ用いた。
【0094】
液体として、これらの酸を0.017mol/L含んだ水を用いた。pHは2〜3.5程度であった。
【0095】
プロピオン酸および酢酸を用いた場合、微小な気泡が多数得られ、水面に浮上した気泡も速やかに消滅した。しかし、これら物質は揮発性であり臭気が強いため、臭いにより周囲環境が悪化した。
【0096】
吉草酸を用いた場合、微小な気泡が多数得られたが、水面に浮上した気泡がやや消えにくかった。
【0097】
コハク酸、アジピン酸、ジメチルコハク酸、ジメチルアジピン酸、フマル酸およびマレイン酸を用いたところ、微小な気泡が多数得られただけでなく、水面に浮上した気泡が速やかに消滅した。また、異臭はほとんどしなかった。
【0098】
クエン酸を用いた場合、−OHのかわりに−Hを持つ分子に比べ、気泡を小さくする効果がやや少なくなった。
【0099】
これら物質のいずれについても、濃度を希薄にすると得られる気泡径が大きくなった。また、水溶液のpHを5以上にしたところ、やはり気泡径が大きくなった。
【0100】
なお、M値が46であるギ酸については、気泡を小さくする効果がほとんど見られなかった。
【0101】
実施例3
前記実施例1では、液体として酢酸を約0.1%(約0.017mol/L)含む水を用いたが、本実施例では、酢酸のかわりにプロリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンなどのアミノ酸を使用した。
【0102】
液体として、これらアミノ酸を0.017mol/L含んだ水を用いた。pHは5.5〜6程度であった。
【0103】
ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンおよびトリプトファンを用いた場合、いずれの場合も微小な気泡が多数得られ、水面に浮上した気泡も速やかに消滅した。
【0104】
プロリンを用いた場合には、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンまたはトリプトファンを用いた場合よりも、得られる気泡の径が少し大きかった。
【0105】
実施例4
前記実施例1では、液体として酢酸を約0.1%(約0.017mol/L)含む水を用いたが、本実施例では、酢酸のかわりにn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどのアルコールを用いた。
【0106】
液体として、これらアルコールを0.017mol/L含んだ水を用い、実施例1と同様にして気泡を発生させた。
【0107】
ブタノール、ペンタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールのいずれを用いた場合も、微小な気泡が多数得られ、水面に浮上した気泡も速やかに消滅した。
【0108】
実施例5
前記実施例1では、液体として酢酸を約0.1%(約0.017mol/L)含む水を用いたが、本実施例では、酢酸のかわりにパラトルエンスルホン酸、クエン酸、クロロブタン、酢酸ブチル、フェネチジンなどを用いた。
【0109】
液体として、これらを0.017mol/L含んだ水を用い、実施例1と同様にして気泡を発生させた。
【0110】
パラトルエンスルホン酸、クエン酸、クロロブタン、酢酸ブチルおよびフェネチジンのいずれを用いた場合も、微小な気泡が多数得られ、水面に浮上した気泡も速やかに消滅した。
【0111】
実施例6
図5に示した実施の形態9の気泡発生装置を用い、ステンレス鋼板に付着した汚れを洗浄した。汚れとしては、30℃で液体である機械油、および30℃では固体であり50℃では液体であるバターを用いた。
【0112】
フィルタ32として、#3とよばれる粒子径のガラスフィルタを用いた。このガラスフィルタを、酢酸0.1%(約0.017mol/L)を含む水が入っている気泡発生槽30に挿入し、そこに空気を100mL/分の速度で入れた。すると多くの小さい気泡が発生して水は白濁した。ガラスフィルタの直上に、汚れを付着させたステンレス鋼板をかざし、洗浄をおこなった。
【0113】
気泡生成槽の水を30℃とし、機械油で汚したステンレス鋼の板をガラスフィルタの直上にかざしたのち、1分後にステンレス鋼板を取り出し目視した。このときのステンレス鋼板上の汚れの様子を図7(b)に示す。洗浄前の汚れ60は、洗浄後には確認できなかった。一方、水面には油膜が見られた。
【0114】
また、酢酸1%(約0.17mol/L)を含む水を用い、同様に1分間、機械油で汚したステンレス鋼板の洗浄を行なったところ、やはりステンレス鋼板上に油は確認できなかった。
【0115】
気泡生成槽の水を30℃とし、バターで汚したステンレス鋼の板をガラスフィルタの直上にかざしたのち、1分後にステンレス鋼を取り出し目視したところ洗浄効果はわずかにしか認められなかった。
【0116】
一方、気泡生成槽の水を50℃とし、同様にバターの洗浄を行なったところ、1分でステンレス板上には汚れの存在が認められなくなった。
【0117】
これは30℃ではバターが固体であるが、50℃では液体になるためである。このように、熱などの外部エネルギーで汚れの流動性を増す(汚れをマイクロ波などで直接暖める、汚れが付着している基板などをヒーターで暖める、周りの水をヒーターやマイクロ波で温めるなど)ことにより、洗浄効果が大きくなる。
【0118】
一方、酢酸を加えなかった場合には、水温30℃、50℃のいずれについても、機械油およびバターともに1分では板上に存在が認められた。このときの様子を図7(a)に示す。洗浄前の汚れ60は、洗浄により少なくなったものの、洗浄後にも残っていた。
【0119】
また、実施の形態1の装置において液体として酢酸を0.1%(0.0167mol/L)含む水を用い、エジェクタからの吹き出し口に上述の油汚染ステンレス鋼板を設置したところ、10秒でステンレス鋼板上に油の存在が認められなくなった。
【0120】
実施例7
灯油を含んだ水をサンプルとして用い、油臭センサによる検知を試みた。油臭センサとしては、感応膜として疎水性高分子を付着した水晶振動子式油臭センサを用いた。灯油300ppb含む水を50℃に暖め、これにガラスフィルタを通して空気をバブリングした。出てきた油を含む空気をセンサに接触させたときの周波数変化を調べた。
【0121】
水に酢酸を最終濃度が0.1%(約0.017mol/L)になるように加えた場合、および酢酸を加えない場合について、両者の差を調べた。周波数変化応答の様子を図8に示す。水に酢酸を添加した場合を実施例として示し、酢酸を添加しなかった場合を比較例として示してある。5分後の周波数変化について、酢酸を加えた場合には250Hz減少したが、酢酸を加えなかった場合には70Hzしか減少しなかった。酢酸添加効果がきわめて大きいことが分かった。
【0122】
また、灯油を含まないイオン交換水を用いた場合には、センサの周波数は、酢酸を含む場合にも含まない場合にも変化が見られなかった。今回用いた油臭センサは、親水性物質にはほとんど応答しないので、酢酸やアルコールなど揮発性物質を加えても応答にはほとんど影響ないことが分かり、酢酸の添加が、検出速度および検出感度を高めつつ酢酸自体はセンサによって検出されない、きわめて有効な方法であることが証明できた。
【0123】
酢酸の濃度はもっと薄くても濃くても有効であったが、応答量は酢酸濃度が濃いほど大きくなった。酢酸の濃度は0.1mol/L程度が好ましく、これよりも濃くするとセンサ応答が若干見られるようになるとともに、気泡生成槽にあぶくが残った。
【0124】
実施例8
気体としてオゾンを用い、有機物を100ppm含む水を浄化する実験を行なった。
【0125】
実施の形態1で示した装置において、有機物を100ppm含む水を液体として用い、オゾンを100g/Nm3含む空気を気体として用いた。連続で水および気体を流し、排水中の有機物濃度を測定した。酢酸を試料水に最終0.1%になるように加えた場合と加えない場合について比較した。加えない場合には有機物がおおむね50ppm残ったのに比べ、酢酸を加えた場合には、20ppm程度しか残らなかった。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、液体にカルボン酸などの添加物を一定の条件で添加することにより、より微小な気泡を得ることができ、液面に浮上した気泡がすぐに消える気泡発生装置および気泡発生方法を得ることができる。また、オゾン気泡を発生させる場合において、添加物としてカルボン酸を用いることにより、微小な気泡を得ることができ、液面に浮上した気泡がすぐに消え、かつオゾンとの反応が生じにくい気泡発生装置および気泡発生方法とすることができる。
【0127】
また、本発明の気泡発生装置および気泡発生方法により、より効率的な洗浄装置、油臭センサあるいはガス溶解装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における気泡発生装置を示す図である。
【図2】 添加物質のM値、A値、N値と気泡径との関係、および添加物質のM値、A値、N値と気泡消滅までの時間との関係を示した図である。
【図3】 オクタノール/水の分配係数と気泡の質との関係を表わした図である。
【図4】 本発明の別の実施の形態における気泡発生装置を示す図である。
【図5】 本発明のまた別の実施の形態における気泡発生装置を示す図である。
【図6】 本発明のさらに別の実施の形態における気泡発生装置を示す図である。
【図7】 酢酸を添加しなかった場合および添加した場合について、汚染ステンレス板の洗浄前後の状態を示した図である。
【図8】 気泡によって水中の灯油を追い出してセンサで検知した場合について、センサの周波数の変化を示した図である。
【符号の説明】
10 液体タンク、12 送液ポンプ、14 ポンプ、16 ポンプ、
20 エジェクタ、22 気体導入口、30 気泡生成槽、32 フィルタ、
34 プロペラ、36 排気口、38 排水バルブ、40 制御装置、
42 pHセンサ、44 濁度計、50 回収装置、52 排気口、
60 汚れ。
Claims (11)
- 気泡発生槽と、該槽内に入れられた水と、該水中に気泡を発生させるための気泡発生手段とからなる気泡発生装置であって、
前記水が、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、エステル基を持ち分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、またはスルホン酸基を持ち分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質を、0.001mol/L以上1mol/L以下含む気泡発生装置。 - 前記気泡発生手段が、気体と液体との界面において気体と液体とを撹拌する手段および/または微小な空洞から気体を液体に注入する手段からなる請求項1記載の気泡発生装置。
- 請求項1または2記載の気泡発生装置からなり、発生させた気泡を被洗浄物に接触させる洗浄装置であって、
気泡の気液界面に汚染物を付着させることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1または2記載の気泡発生装置からなり、発生させた気泡を被洗浄物に接触させる洗浄装置であって、
添加剤が、アミノ酸、ジオール、またはエステルであることを特徴とする洗浄装置。 - 請求項3記載の洗浄装置であって、
加温することにより液体になる油脂類からなる汚染物を洗浄することを特徴とする洗浄装置。 - 請求項1または2記載の気泡発生装置および揮発性物質を検知するセンサからなり、発生させた気泡によって水中に含まれる揮発性物質を追い出し、追い出した揮発性物質を前記センサで検知する検知装置。
- (a)カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、(b)分子内に水酸基を複数持ち分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、(c)エステル基を持ち分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水、または(d)スルホン酸基を持ち分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下である物質を0.001mol/L以上1mol/L以下含んだ水の中で気泡を発生させる気泡発生方法。
- 請求項7記載の気泡発生方法によって気泡を発生させ、発生させた気泡を被洗浄物に接触させる洗浄方法であって、
気泡の気液界面に汚染物を付着させることを特徴とする洗浄方法。 - 請求項7記載の気泡発生方法によって気泡を発生させ、発生させた気泡を被洗浄物に接触させる洗浄方法であって、
添加剤が、アミノ酸、ジオール、またはエステルであることを特徴とする洗浄方法。 - 請求項8記載の洗浄方法であって、
加温することにより液体になる油脂類からなる汚染物を洗浄することを特徴とする洗浄方法。 - 請求項7記載の気泡発生方法によって気泡を発生させ、発生させた気泡によって前記水中に含まれる揮発性物質を追い出し、追い出した揮発性物質をセンサで検知する検知方法。
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