JP2009285571A - 洗浄装置 - Google Patents

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久恵 松井
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Abstract

【課題】 気泡を用いた洗浄装置において、洗浄水の洗浄能力を測定可能な洗浄装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 洗浄装置1は、洗浄水2が入れられた洗浄槽3と、この洗浄水2の中の気泡4の径および密度を測定する超音波センサ15と、この超音波センサ15に洗浄水2を送り込む計測管16と、計測管16に洗浄水2を吸い上げる吸引ポンプ17と、洗浄センサ15からの信号を受信解析するために設けられた制御装置18と、この制御装置18により、洗浄槽3に添加剤を供給する添加剤タンク19と、この添加剤タンク19から添加剤を必要量供給するための添加剤供給ポンプ20と、により構成されている。これにより、超音波センサによって気泡の径および密度を測定して洗浄水の洗浄能力を把握し、必要に応じて添加剤を補充供給し、高い洗浄能力を維持することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、部品等の被洗浄物を洗浄水に供給された気泡によって洗浄する洗浄装置に関するものである。
従来、工業的洗浄の分野において、フロン系の溶剤や有機溶剤、石油系溶剤などの特別な洗浄剤が用いられてきたが、オゾン層の破壊や地下水、河川、海洋汚染といった環境問題を引き起こす重大な要因となることが指摘されている。このため、これらの特別な洗浄剤を用いない洗浄方法および洗浄装置の開発が進められている。
例えば、水を主体とした洗浄水中に微細気泡を発生させ、そこに被洗浄物を浸漬することにより、微細気泡に汚れを取り込んで洗浄する洗浄方法および洗浄装置が提案されている。まず、洗浄水が満たされた洗浄槽に被洗浄物を浸漬させる。洗浄槽内に微細気泡を発生させ、微細気泡が被洗浄物表面の細部に到達し、表面の汚れを気泡が吸着する。次に、比較的大きな気泡を発生させて、この気泡が洗浄水を攪拌し、汚れを吸着した微細気泡を被洗浄物表面から引き離すと共に、微細気泡を取り込んで汚れを洗浄水表面に移動させ、洗浄水と共に樋にオーバフローさせ、除去する(例えば、特許文献1を参照。)。
また、水中に存在する気泡の径や密度(ここでは、単位体積当たりの気泡の個数を指す。)を測定する方法および装置については、既にいくつか提案されている。例えば、気泡を発生させた水槽中に採取管とその端部に気泡径制限器を取り付けることで、気体と液体の比と気泡径を測定するものである。具体的には、水槽に気体吹込み口と気泡を細分化し液を循環させる攪拌機を設け、水中に気泡を発生させ、ここに、気泡径制限器を浸漬させ、その一端に採取管を接続する。採取管の他端に気泡量測定装置、流量計、流量調節弁およびポンプが設けられており、採取管に入る流量を調節することにより気泡径制限器に入る気泡の径を変化させ、採取管に取り込まれた液は、気泡量測定装置によって気体と液体の比が測定される。採取管の流量を徐々に変化させたときの気体と液体の比から、気泡径を測定することができる(例えば、特許文献2を参照。)。
特開平6−179991号公報 特開平8−86723号公報
しかしながら、特許文献1の気泡を用いた洗浄装置においては、被洗浄物の洗浄度合いを計測する機能を備えておらず、また、特許文献2に記載の気泡の径と気/液比測定装置では、洗浄装置に取り付けて計測することについては何ら考慮されていない。これらのことから、従来の気泡を用いた洗浄装置では、洗浄水の洗浄能力を正確に計測することができないという問題があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、気泡を用いた洗浄装置において、洗浄水の洗浄能力を計測可能な洗浄装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の洗浄装置においては、被洗浄物を洗浄する洗浄水を入れる洗浄槽と、洗浄槽の洗浄水中に気泡を供給する気泡供給装置と、洗浄槽の洗浄水中の気泡の径および密度を測定する気泡測定装置と、洗浄槽に添加剤を供給する添加剤供給装置と、を備え、気泡測定装置により添加剤の供給量を調整することを特徴とするものである。
本発明によれば、洗浄水中の気泡の径および密度を測定する手段を備えたことにより、洗浄水の洗浄能力を把握することができ、洗浄水を常に最適に維持した状態で、被洗浄物を洗浄することができる洗浄装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態における洗浄装置の構成と動作について、説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における洗浄装置を示す概略構成図である。図2は、実施の形態1における洗浄装置に使用する気泡生成器の概略構成図である。図3は、実施の形態1における洗浄装置に使用する超音波センサの概略構成図である。
図1に示すように、洗浄装置1は、洗浄水2が入れられた洗浄槽3と、この洗浄槽3の底部側面に取り付けられ気泡4を供給する気泡供給装置である気泡生成器5と、この気泡生成器5に空気を供給するガスポンプ6と、供給される空気量を計測するガス流量計7と、さらに、洗浄槽3に隣接して設置され、洗浄槽3から溢れ出た被洗浄物8を洗浄した洗浄気泡9を回収するオーバフロー槽10と、このオーバフロー槽10と気泡生成器5の間とで洗浄水2を循環させるために設けられた洗浄水循環管11と、洗浄水循環管11に取り付けられ洗浄水2を循環させる水循環ポンプ12と、この洗浄水2の流量を計測するために取り付けられた水量計13および圧力計14と、洗浄水2の汚れ具合を計測するために洗浄槽3に設けられた気泡測定装置である超音波センサ15と、この超音波センサ15に洗浄水2を送り込む計測管16と、計測管16に洗浄水2を吸い上げる吸引ポンプ17と、超音波センサ15からの信号を受信解析するために設けられた制御装置18と、この制御装置18により、洗浄槽3に添加剤を供給する添加剤タンク19と、この添加剤タンク19から添加剤を必要量供給するための添加剤供給ポンプ20と、超音波センサ15からの信号に基づき制御装置18により警報を発する警報装置21とにより構成されている。
また、図2は、本発明の気泡供給装置で使用されるベンチュリタイプの気泡生成器(エジェクタ)5の概略構成と動作原理を示すものであり、管路20に狭窄部21と、流体22の流入口23と流出口24と、気体が注入されるガス吸引口25とを持ち、管路20の狭窄部21で流体の流速を高め、その部分で発生する減圧現象(通常ベルヌーイの定理と呼ばれる)を利用して、ガス吸引口25から外部の気体26を吸引し、流体22に気泡27を混合して、排出する機能を有するものである。このため基本的にはポンプ等を使用することなく流体22に気泡27を注入することが可能となる。図1に示すように必要に応じてガスポンプ6を利用してもよく、ガス流量計7によりモニタしながら気体の流量を制御することにより気泡の径および密度を調節することも可能である。
図3に示すように、実施の形態1に使用される気泡測定装置を構成する超音波を使った超音波センサ15は、センサ側壁30aに取り付けられ、計測管16により吸引された気泡4を含む洗浄水2中に超音波31を出射する超音波発生器32と、対向するセンサ側壁30bに取り付けられ、洗浄水2を透過した超音波33を検出する超音波検出器34とにより構成されている。
次に、気泡による洗浄方法の特徴について説明する。気泡を用いた洗浄では、被洗浄物の洗浄度は主に、気泡の径および密度により決定される。つまり、気泡が小さくなるほど、また、その密度が大きくなるほど被洗浄物の洗浄度は向上する。洗浄水中に存在する気泡は、その特性から被洗浄物表面に付着した汚れである油脂に選択的に吸着する。そして、気泡自身の表面に油脂を吸着させる。気泡は浮力を有するので、油脂が付着した気泡を水面まで浮上させ、気泡を除去することにより、洗浄水と油脂を完全分離することが可能となる。気泡によって洗浄する洗浄方法において、気泡の直径をdとすると、気泡の体積Vはπd/6、気泡の表面積Sはπdで表され、単位体積あたりの表面積はS/Vで表されるので、これを計算すると(S/V=)6/dとなる。このことから、単位体積当たりの表面積は、気泡径dに反比例することが分かる。すなわち、小さな気泡が大量に存在するときが、最も単位体積当たりの気泡の総表面積が大きい。したがって、気泡の総表面積が大きくなると、油脂を吸着させる面積も増大するため、結果として被洗浄物に対する洗浄度(洗浄水の洗浄能力)は大きく向上する。
気泡の径および密度が洗浄水の洗浄能力を大きく左右し、洗浄能力を向上させるためには、高密度で微細な気泡を洗浄水中に導入することが必要となる。洗浄水中に微細な気泡を高密度に生成させるためには、気泡を微細化する効果を有するアルコール系化合物や界面活性剤などの添加剤を添加することが有効である。例えば、添加剤の具体例としては、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち、分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち、分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、分子内にエステル基を持ち、分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、あるいは、分子内にスルホン酸基を持ち、分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質が挙げられる。これらの添加剤を、洗浄水中に微量添加(0.001mol/L以上1mol/L以下)することにより、気泡の微細化効果を発揮するが、濃度が必要最低量を下回ると、洗浄水中の気泡は合一して大きくなる。添加剤は、洗浄水の繰り返し使用に伴う被洗浄物による持ち出しなどにより、その濃度が次第に低下するため、添加剤濃度の低下に伴う気泡の径および密度の変化を定量的に計測し、必要に応じて添加剤を補充することが必要である。
実際に、洗浄水中の添加剤濃度を変化させて洗浄槽内に気泡を発生させ、レーザ光を用いた粒度分布測定装置により気泡径を測定するとともに、気泡径と洗浄水中の気/液比から気泡密度を算出した。また、油脂を付着させた電子機械部品を洗浄し、洗浄後の残留油分密度(単位面積当たりの残留油分量)を測定した。図4は、この実験結果から得られた気泡の径および密度と残留油分密度との関係を示す例である。条件(a)では、気泡の微細化効果を有する添加剤を、洗浄水中に0.01mol/L添加し、気泡生成器から水6L/minに、空気8L/minを混合して、洗浄水中に気泡を発生させると、洗浄水中には、平均気泡径200μmの気泡が1cmあたり20,000個生成される。また、条件(b)では、添加剤を、洗浄水中に0.0001mol/L添加し、気泡生成器から水6L/minに、空気8L/minを混合して、洗浄水中に気泡を発生させると、洗浄水中には、平均気泡径350μmの気泡が1cmあたり8,000個生成される。このとき、工業用油脂を塗った電子機械部品(初期油分密度200μg/cm)を洗浄水中に浸漬させて5分間洗浄すると、(a)では、洗浄後の残留油分密度は11μg/cmまで低下したのに対して、(b)では、洗浄後の残留油分密度は47μg/cm止まりであった。(a)は気泡径小で密度大、(b)は気泡径大で密度小の場合であり、(a)は、残留油分密度が20μg/cm以下と洗浄要求レベルとされる値を満足したのに対して、(b)は、その値を大幅に上回った。図5は、このときの気泡の径および密度の関係を模式的に表したものである。ここで、洗浄水中の気泡径は、レーザ光を用いた粒度分布測定装置を用いて測定し、気泡密度は、気泡径と洗浄水中の気/液比から算出した。この結果、洗浄水中に微細な気泡が高密度に存在する場合は、被洗浄物に付着した油脂は、洗浄によりその大部分が除去されるのに対して、気泡が大きく、かつ密度が低い場合は洗浄度が大きく低下することが実験の上からも確認できた。このことから、気泡の径および密度が被洗浄物の洗浄度に大きく関係していることが分かる。洗浄水の洗浄能力を高く維持するためには、微細な気泡を高密度に供給することが重要であり、そのため気泡の径および密度を的確に把握する必要があり、気泡測定装置は有効な手段である。
同様にして、水流量、空気流量、添加剤濃度を変化させた条件で気泡の径および密度を測定すると共に、油脂を塗った部品の洗浄を行い、洗浄後の残留油分密度が20μg/cm(今回、残留油分密度の要求レベルとして設定した)以下となる領域を調べた。その結果を図6に示す。気泡径と気泡密度の関係を示す図6において、斜線で示す領域が、残留油分密度が20μg/cm以下となる高い洗浄度を達成するための気泡径と密度の範囲であることが明らかになった。つまり、洗浄水中に気泡径200μm以下の気泡が1cmあたり15,000個以上存在する場合において、安定した高い洗浄能力が得られることが分かる。
次に、実施の形態1の洗浄装置の動作について、図1、図2および図3を参照して説明する。図1において、洗浄槽3の洗浄水2中に浸漬された被洗浄物8の表面に付着した油脂類は、気泡生成器5により生成された気泡4の表面に吸着され、被洗浄物8から取り除かれる。油脂が付着した洗浄気泡9は洗浄水2の表面に浮上し、洗浄気泡9からなる油膜層を形成する。洗浄槽3から溢れ出た洗浄気泡9は洗浄水2とともに隣接して設置されたオーバフロー槽10にて回収される。洗浄気泡9を分離除去した洗浄水2は、水量計13および圧力計14で流量や水圧力が計測され、洗浄水循環ポンプ12により制御されて、気泡生成器5にて気泡が混合されて再び洗浄槽3に循環、導入される。洗浄水2に供給される気泡4の径および密度は、制御装置18により洗浄水循環ポンプ12および/または、ガスポンプ6により気泡生成器5に送り込む水量やガス流量により調整される。吸引ポンプ17により計測管16にて洗浄槽3から一定量の洗浄水2が吸い上げられ、超音波センサ15により気泡4の径および密度が測定される。この超音波センサ15により、予め決められた洗浄条件を満たす図6に示す所定の気泡径および密度と異なると判断された場合には、添加剤タンク19から添加剤供給ポンプ20により、添加剤が洗浄槽3に補充供給される。また、添加剤が補充供給されても洗浄水2の洗浄能力が改善されない場合には、警報装置21により警報が発せられ、洗浄水2の交換等の対策を促す。
また、実施の形態1で使用される気泡測定装置として図3に示す超音波センサ15の動作について説明する。超音波センサ15は、超音波により洗浄水2の気泡4の径および密度を計測する形式のもので、センサ側壁30aに取り付けられた超音波発生器32から超音波31を気泡4が混合された洗浄水2中に出射すると、気泡4の一部は超音波31のエネルギを吸収して破泡35され、あるいは気泡4表面で超音波31を反射する。洗浄水2を透過した超音波エネルギを対向するセンサ側壁30bに設置された超音波検出器34にて測定し、超音波エネルギの減衰量を音圧値として計測する。
超音波発生器32では、20kHz以上500kHz以下、好ましくは40kHz以上100kHz以下の低周波で高出力の超音波(20〜1,500W)を発生できるものを用いる。これは低周波で、かつ高出力の超音波を用いることにより、洗浄水中の気泡が超音波エネルギにより、より多くの気泡を破泡することができる。このため、破泡により超音波エネルギの多くが消費され、その結果、超音波エネルギが大きく減衰され、それを音圧値の変化として測定することにより、気泡の径および密度の正確な情報を得ることができる。超音波発生器の最適な出力は、洗浄槽や計測管の形状、寸法、先浄水の状況に合わせて調整すればよい。
実施例として、500mLの水を入れたビーカに0〜0.01mol/Lの濃度で添加剤を加え、ガスポンプに接続した気泡生成器をビーカの中央に設置し、気泡を発生させた。また、超音波発生器の発振周波数として、28、45、100kHzの3つの周波数を事前に検討し、その中で最も安定的な測定が可能であった周波数45kHz、出力100Wを用いた。この超音波センサを取り付けたチューブを、ビーカ上方に先端を水中に浸漬させて設置し、吸引ポンプを用いてチューブ内に気泡が混合された水を導入した。超音波発生器から出射された超音波を検出部で音圧として測定し、この検出信号を別に設置された増幅器にて測定した。なお、添加剤濃度は平均気泡径が200〜500μm程度となる濃度を概算して設定した(非添加の場合の気泡径は1,000μm程度である)。図7は、気泡測定装置として超音波センサを用いた場合の気泡密度と超音波センサの計測値(音圧値)との関係を示す図である。この実験結果から、超音波センサの検出信号は気泡密度と直線的な相関関係があり、気泡密度の測定に用いることができることが明らかになった。ここで、超音波センサ15は超音波検出器34の出力を音圧値で表示しているため、気泡密度が縦軸、超音波センサの検出信号として音圧値が横軸となっている。実際には、洗浄水中の気泡の浮力は気泡の径により異なり、気泡が小さいほど浮力は小さくなる。このため、小さい気泡は大きい気泡より浮上速度が小さい。小さい気泡ほど洗浄水中に留まる時間が長くなり、結果として気泡密度は大きくなる。このように、洗浄水中の気泡の径と密度は同時に変化する(反比例する)ため、気泡径を縦軸にとっても同様の相関を示す。
洗浄水中には、繰り返し洗浄に伴い添加剤以外の不純物が蓄積される。その一つに、製造工程で部品に付着した水溶性油脂(疎水性油脂を界面活性剤により乳化させたエマルジョン状の油脂)がある。工業用油脂は、疎水性油脂と水溶性油脂の大きく2つに大別される。部品に付着している油脂が疎水性油脂の場合には、気泡を用いた洗浄により、部品から離脱した油脂は気泡と共に浮上し、洗浄水から完全に分離される。このため、洗浄水中に蓄積されることはない。これに対して、水溶性油脂の場合には、その特性から洗浄時に水とは分離されず、洗浄水中に白濁成分として次第に蓄積、残留する。そこで、水溶性油脂が付着した部品を洗うには、水溶性油脂による白濁がセンサの値に影響を及ぼさないことを確認しておくことが重要である。
水を入れたビーカにおいて、(a)は添加剤無しで、気泡有り、(b)は添加剤有りで、気泡有り、(c)は水溶性油脂有り、気泡無しの3つの状態を図8に示す。(a)と(b)では明らかに気泡の大きさと密度が異なるのが分かるが、(b)と(c)では両方とも洗浄水が白濁しており、目視では洗浄水中の状態を正確に比較することは難しい。これに対して、水溶性油脂が1%の割合で添加された水をビーカに入れ、気泡の無い状態で超音波を照射した結果、水溶性油脂有りと無しの両条件下においても音圧値に大差はなく、水溶性油脂の存在は超音波を用いた気泡測定装置にとっては阻害要因とはならないことが明らかになった。このため、超音波を用いた気泡測定装置においては、水溶性油脂が存在する場合であっても気泡の径および密度を計測することが可能である。このことは、洗浄水中の防錆剤についても同様である。気泡を用いた洗浄では、洗浄水中の溶存酸素濃度が高くなるため、被洗浄物に錆が発生しやすい。これを防ぐため、洗浄水中に防錆剤を添加することがあるが、超音波による音圧値は、防錆剤の有りと無しの両条件下においても大差はなく、これら洗浄水中の不純物に影響されることなく気泡をリアルタイムで計測することが可能である。
図9は、気泡の計測位置の概略図を示すものである。図9において、(a)は洗浄装置1の側面図を、(b)は洗浄装置1の平面図を示すものである。一般的に、気泡による洗浄においては、洗浄効率を向上させるため洗浄槽3内では気泡密度が極めて高く、洗浄水2が激しく流動し、多様なサイズの気泡4が存在している。図10は、洗浄槽3内の位置と平均気泡径の関係を示す図である。図10(a)は、気泡導入部5aと対向する洗浄槽3の壁面付近において、(ア)洗浄水の液面付近、(イ)液面高さの3分の2、(ウ)液面高さの2分の1、(エ)液面高さの3分の1の4段階の高さ位置における平均気泡径を測定したものである。(ア)液面付近では、多様なサイズの気泡が存在している。高さ位置が低くなるにつれ気泡径分布は均一化し、洗浄水の水面の高さの(ウ)2分の1および(エ)3分の1の高さ位置では大部分の気泡が190μm程度であった。また、図10(b)は、洗浄槽3の底面付近において、(オ)洗浄槽3内の気泡導入部5a側、(カ)中央付近、(キ)気泡導入部5aと対向する壁面側の3ヶ所の位置における平均気泡径を測定したところ、(オ)気泡導入部5a側では100μm程度の非常に小さい気泡のみが極低密度に存在し、(カ)中央付近では比較的高密度かつ多様な径の気泡が存在していることが分かった。これに対して、(キ)気泡導入部5aと対抗する壁面側では気泡密度が高く、かつ大部分の気泡が190μm程度であった。これらのことから、洗浄槽3の底面付近、特に気泡導入部5aと対抗する壁面側においては、流れが比較的安定かつ気泡密度が高く、気泡の大きさも均一化されていることが分かった。そこで、図9の(a)に示すように、超音波センサ15が取り付けられた計測管16の先端部16aの位置hが、洗浄水の水面の高さHの2分の1より低いところ(h≦L/2)、好ましくは3分の1より低いところ(h≦L/3)に来るように設置すればよい。また、(b)に示すように、気泡導入部5aと対抗する壁面付近に設置する。従って、計測管16の先端部16aが図9の斜線部領域AおよびBに来るように設置すればよい。これにより、洗浄水中の気泡の径および密度の測定、すなわち洗浄度(洗浄能力)を高い精度で、安定した状態で行うことができる。
図1において、吸引ポンプ17によって超音波センサ15へ導水し、洗浄水2中の気泡の径および密度を測定し、超音波センサ15の検出信号(音圧値)が制御装置18に送られ、制御装置18からの制御信号にもとづいて添加剤タンク19から添加剤供給ポンプ20により洗浄水2中に添加剤が供給される。一方、これを繰り返すうちに添加剤を補充供給しても所定の洗浄度(洗浄能力)に回復しない場合には、制御装置18の信号に基づいて警報装置21により警報を発し、洗浄水交換の必要性を知らせる。
このように、実施の形態1における洗浄装置によると、気泡測定装置として超音波センサを用いて洗浄水中の気泡の径および密度をリアルタイムで測定することによって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
なお、実施の形態1において、超音波センサ15の超音波発生器32として、20kHz以上100kHz以下、好ましくは40kHz以上60kHz以下の低周波で高出力の超音波が発生できるものを用いたが、1MHz以上10MHz以下、好ましくは1MHz以上3MHz以下の高周波を低出力(0.01〜20W)で発生できるものを用いてもよい。高周波かつ低出力の超音波を用いた場合、超音波は主に洗浄水中の気泡の表面で反射され、超音波のエネルギの一部は散乱される。洗浄水中を透過した超音波のエネルギを、超音波発信器の対面に設置された超音波受信器で測定することで、気泡の径および密度の情報を得ることができる。実施の形態1では、主に超音波による気泡の破泡に伴う超音波のエネルギの減衰を利用しているのに対して、この例では、主に超音波による気泡表面での反射に伴う超音波のエネルギの減衰を利用している点が異なる。
図11は、気泡測定装置として、高周波かつ低出力の超音波を用いた超音波センサを使用した場合の、気泡密度と超音波センサの計測値(音圧値)との関係を示す図である。超音波発生器として発振周波数が2MHz、出力が10Wのものを用いた。ここで、超音波センサは、超音波検出器の出力を音圧値で表示しているため、気泡密度が縦軸、超音波センサの検出信号として音圧値が横軸となっている。他の構成は、実施の形態1の洗浄装置の場合と同様である。図11より、超音波センサの検出信号は、気泡密度と直線的な強い相関があることが確認できた。このことから実施の形態1の高周波かつ低出力の超音波を用いた場合と同様、高周波かつ低出力の超音波を用いた場合においても同様の効果が期待される。
実施の形態2
図12は、実施の形態2における洗浄装置を示す概略構成図である。図12に示すように、実施の形態2における洗浄装置の気泡測定装置である浮力センサ40は、計測管41内の支柱42に通した浮体(フロート)43と、この計測管41を洗浄槽3の洗浄水2中に浸漬させ、洗浄水2中の気泡4の浮力44によって浮上する浮体43の位置を検出する位置検出装置45で構成されている。浮体43にはマグネット(図示せず)が取り付けられており、また、支柱42内部には磁歪線が埋め込まれている(図示せず)。洗浄装置1の他の構成要素は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
次に、気泡測定装置として浮力センサ40を用いた場合の動作原理について説明する。洗浄水2中の気泡4は浮力44を持っており、この浮力44に応じて浮体43が支柱42に沿って上下方向に動く。浮体43の周辺にある気泡4が浮体43に与える浮力44は気泡4の径と密度に依存するため、浮力44すなわち浮体43の位置から気泡4の径および密度を測定することができる。浮力センサ40では、浮体43が計測管41内に収められ、洗浄槽3の気泡導入部5aと対向する壁面側付近に浸漬させて設置される。浮体43が上下すると、浮体43とともにマグネットが移動し、マグネットが発する磁界と、支柱42に埋め込まれた磁歪線に電流パルスを印加して円周方向に発生させた磁界とのベクトルの違いにより磁歪線に歪みが生じ、磁歪信号として位置検出装置45で浮体43の位置が特定される。
実施例として、13Lの水を入れた洗浄槽3に0〜0.01mol/Lの濃度で添加剤を添加し、気泡生成器5により気泡を生成させた。浮力センサ40は、浮体43が、気泡4が存在しない条件では最下端となるよう、浮体43に700mgの重しを取り付けて重さを調節している。浮力センサ40を洗浄槽3内の気泡導入部5aと対抗する壁面側の端に設置した。図13は、この浮力センサを用いた場合の気泡密度と浮力センサの計測値(電流値)との関係を示す図である。この実験結果から、浮力センサ40の検出信号は、気泡密度と直線的な相関関係があり、気泡密度の測定に用いることができることが明らかになった。ここで、浮力センサ40は、浮力44を電流値として表示しているため、気泡密度が縦軸、浮力センサの検出信号として電流が横軸となっている。つまり、気泡密度が大きいとき(気泡径が小さいとき)、浮体43の周りには無数の微細気泡4が存在するため、浮体43は気泡4に持ち上げられて大きく上昇する。一方、気泡密度が小さいとき(気泡径が大きいとき)、浮体43の周りには気泡4がほとんど存在しない状況となるため、浮体43は持ち上げられずに、支柱42の最下点に留まる。
浮体43は、気泡4が吸着すると吸着した気泡4により浮上してしまうため、正確に計測することが困難になる。そこで、浮体43はステンレスなどの金属製とし、樹脂のような材質は避けることが望ましい。また、浮体表面の凹凸や粗さを最大限低減することが望ましい。浮体43の形状は、円柱のような底面の平坦な形状では底面に気泡が滞留して付着しやすくなってしまうため、底面が平坦ではない球形などの形状にすることが望ましい。また、材質や形状を変えても、ごく微量吸着する気泡については、計測直前に支柱42を振動させて取り除いておくことが望ましい。
また、浮体43を収める計測管41は必ずしも必要はないが、洗浄水2は激しく流動しているため、気泡4の浮力44だけではなく水流によっても浮体43位置が変化してしまうことがある。そこで、両端が開放された計測管41を洗浄水2中に浸漬させ、その中に浮体43を設置することにより、浮体43付近の水流を安定化させることができる。これにより、洗浄水2の流れの乱れの影響を最低限に抑制して気泡の径および密度を測定することができる。図12は、計測管41を洗浄水2中に浸漬させ、そこに浮体43を設置したときの概略図である。このようにして浮力センサを設置した場合、計測管には下端から穏やかに気泡が流入するため、気泡の浮力のみに依存して浮体位置を検出することが可能となる。
このように、実施の形態2における洗浄装置によると、気泡測定装置として浮力センサを用いて洗浄水中の気泡の径および密度をリアルタイムで測定することによって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
なお、実施の形態2では、浮力44を求める方法として、浮体43にマグネットを取り付け、磁歪信号により浮体43の位置を検出する方法を採っているが、支柱に目盛りを付け、浮体の位置を光学センサで確認するという方法であってもよい。例えば、洗浄槽壁面の一部を透明にし、透明な計測管をそこに設置する。ここに、支柱に通した浮体を設置することにより、洗浄槽外から浮体の位置を光学的に検出することができる。浮体と支柱を可能な限り洗浄槽壁面に接近させることで、洗浄水が白濁していても検出することが可能となる。
実施の形態3
図14は、実施の形態3における洗浄装置を示す概略構成図である。図14に示すように、実施の形態3における洗浄装置の気泡測定装置である光センサ50は、レーザ光を出射するレーザ光源51と気泡4から反射された光を検出する光検出器52を洗浄槽側壁に設置した光センサ50で構成されている。洗浄装置1の他の構成要素は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
次に、気泡測定装置として光センサ50を用いた場合の動作原理について説明する。レーザ光源51から出射されたレーザ光53は気泡4に到達すると、その一部が気泡表面で反射する。この反射光54の一部が、光検出器52に到達する。光検出器52で、反射光量を測定することにより、気泡の径および密度を測定することができる。
実施例として、水500mLを入れたビーカに0〜0.01mol/Lの濃度で添加剤を添加し、空気ポンプに接続したガスろ過管をビーカの中央に設置し、気泡を生成させた。さらに、光センサを取り付けたチューブを、ビーカ上方に先端を水中に浸漬させて設置し、送液ポンプを用いてチューブに気泡を送液した。光センサの光検出器の受光信号は、別に設置された受光回路により確認した。図15は、この光センサを用いた場合の気泡密度と光センサの計測値(電圧値)との関係を示す図である。この実験結果から、光センサの受光信号は、気泡密度と直線的な相関関係があり、気泡密度の測定に用いることができることが明らかになった。ここで、光センサは、受光光量を電圧値として表示しているため、気泡密度が縦軸、光センサの検出信号として電圧が横軸となっている。なお、実施の形態1に記述したとおり、実際には、洗浄水中の気泡の径と密度は同時に変化する(反比例する)ため、気泡径を横軸にとっても同様に相関関係がある。
ただし、レーザ光は気泡だけでなく、洗浄水中の水溶性油脂などの白濁成分によっても散乱することが分かっている。実際に、水を入れたビーカに水溶性油脂を1%添加し、気泡無しの条件で光センサの受光光量を観測したところ、水溶性油脂無しと有りの両条件で受光光量の値が僅かに異なること、水溶性油脂の添加濃度の上昇に伴い受光光量の値の変化が大きくなることを確認している。水溶性油脂が高濃度で存在する条件下では、気泡の情報を正確に得ることが難しくなることが予想される。しかしながら、洗浄部品による水溶性油脂の持ち込み量は僅かであり、蓄積量も多くとも洗浄水全体量の数%程度にしか過ぎないことが分かっている。このため、レーザ光と散乱光の受光位置を接近させて計測することにより、水溶性油脂の白濁によるレーザ光の散乱量を大幅に低減させることができ、その影響を低減できる。気泡径300μm程度の気泡が一列で通過できる程度の間隔にすることで、水溶性油脂存在下でも気泡の径および密度を精度よく測定することが可能となる。
このように、実施の形態3における洗浄装置によると、気泡測定装置として光センサを用いて洗浄水中の気泡の径および密度をリアルタイムで測定することによって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
実施の形態4
実施の形態4における洗浄装置の気泡測定装置は、気泡の供給を止めてから洗浄水が透明になるまでの時間を計測するものである。気泡はその大きさによって浮力が異なり、これに伴い浮上速度が異なる。このため、気泡径が大きくなると気泡の供給を止めてから比較的早い段階で洗浄水中の気泡が全て浮上し、洗浄水が透明になる。これに対して、気泡径が小さいと洗浄水中に気泡が留まっている時間が長くなる。従って、例えば洗浄水に光を照射し、透過する光量を測る光学センサを利用して、気泡の供給を止めてから洗浄水が透明になる(気泡が消滅する)までの時間を計測する計測装置を用いることにより、気泡の径および密度の情報を得ることが可能となる。洗浄装置の他の構成要素は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
洗浄水中に水溶性油脂が混入している場合には、液全体が乳白色のため気泡の供給を止めても洗浄水は白濁したままである。そこで、水溶性油脂存在下では、水溶性油脂に影響されない波長の光あるいは音で気泡の有無を検出することが望ましい。特に、実施の形態1で説明した通り、超音波は水溶性油脂の影響を受けないことが分かっているため、超音波を使って、気泡が消滅するまでの時間を計測する気泡測定装置を使用することは有効である。
洗浄から次の洗浄までの空き時間に気泡の供給を止め、気泡の供給を止めると同時に計測タイマを動作させ、特定波長の音あるいは光の出射部から検出部の間で気泡が消滅したことを検知すると同時に計測タイマを停止させることにより、洗浄の合間に洗浄水の洗浄能力を評価し、添加剤の補充、洗浄水の交換を行うことができる。その後、再び気泡の供給を開始し、洗浄を行う。
このように、実施の形態4における洗浄装置によると、気泡測定装置として洗浄水中の気泡の消滅時間を計測する計測装置によって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
実施の形態5
図16は、実施の形態5における洗浄装置の気泡測定装置である音センサを示す概略構成図である。図16に示すように、実施の形態5における洗浄装置の音センサ60は、洗浄水の水面の上に集音器61を設置し、この集音器61からの音信号を解析する音解析装置(スペクトルアナライザ)62を接続した音センサ60で構成されている。洗浄装置1の他の構成要素は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
次に、気泡測定装置として音センサ60を用いた場合の動作原理について説明する。洗浄水2の水面上方に設置された集音器61により、水面での気泡4の破泡音を計測し、集音器61からの音信号のスペクトルをスペクトルアナライザ62に送り解析する。気泡4が破泡する際に発生する破泡音のスペクトル波形は、その気泡径によって異なるという特徴を有している。そこで、洗浄水面での音をスペクトルアナライザ62で解析することにより洗浄水2中の気泡径分布や密度を測定することができる。気泡の径および密度から洗浄水の洗浄能力を評価することにより、添加剤の補充や洗浄水を交換する時期を的確に判断することができる。
一般的に、洗浄装置の置かれる工場環境では、周囲に雑音となる工場の機械音が存在しており、スペクトルアナライザにより予めスペクトルを解析して置くことにより、破泡音計測時のスペクトル波形からその雑音を除去することができ、破泡特有のスペクトル波形を得ることが可能となる。また、界面活性剤を含む水溶性油脂が洗浄水中に混入している場合には、破砲が多くなり破泡音も異なってくる。そこで、水溶性油脂の有無による気泡の破泡音の違いを、スペクトルアナライザにより予め解析しておくことも測定精度を高める上で有効である。破泡音のスペクトルを計測することにより、洗浄水の洗浄能力を測定する方法は、水溶性油脂による洗浄水の白濁の影響を受けずに計測できるという優れた特徴がある。
このように、実施の形態5における洗浄装置によると、気泡測定装置として音センサを用いて洗浄水面での気泡の破泡音により洗浄水中の気泡の径および密度をリアルタイムで測定することによって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
実施の形態6
図17は、実施の形態6における洗浄装置の気泡測定装置である色識別センサを示す概略構成図である。図17に示すように、実施の形態6における洗浄装置の色識別センサ70は、洗浄槽3内に色板71を設置し、洗浄槽3外からこの色板71の色を計測するカラー濃度計72を有する色識別センサ70で構成されている。洗浄装置1の他の構成要素は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
次に、気泡測定装置として色識別センサ70を用いた場合の動作原理について説明する。洗浄槽の側面の一部は透明窓73となっており、壁面から数cmの位置の洗浄槽3内に赤色の色板71が設置されており、洗浄槽3外に設置されたカラー濃度計72により、赤色板71の色を計測する。洗浄水3中に気泡4が存在している場合は洗浄水全体が白濁するため桃色になる。一方、気泡の密度が低下、あるいは気泡が存在しない場合には、本来の赤色板71の色に近くなり赤色が濃くなる。カラー濃度計72にて色を解析することにより、洗浄水中の気泡の径および密度を測定することができる。気泡の径および密度から洗浄水の洗浄能力を評価することにより、添加剤の補充や洗浄水を交換する時期を的確に判断することができる。
なお、色板71として赤色板の代わりに、青色板や緑色板の色板であってもよく、色の識別にカラー濃度計72の他、カラースキャナを用いても同様の効果を期待できる。
また、この色識別センサによる気泡測定装置としては、水溶性油脂による洗浄水の白濁が重大な阻害要因となる。そこで、水溶性油脂を用いない製造ラインでの適用が望ましい。
このように、実施の形態6における洗浄装置によると、気泡測定装置として色識別センサを用いて洗浄水の色を識別することにより、洗浄水中の気泡の径および密度をリアルタイムで測定することによって、被洗浄物の洗浄度(洗浄水の洗浄能力)を把握することができ、必要に応じて添加剤を補充し、さらに、添加剤の補充によっても洗浄能力が回復しない場合には、洗浄水の交換を促すという一連の作業が全て自動化でき、高い洗浄能力を維持することができる効果を奏する。
なお、洗浄水中には様々な物質が懸濁していること、装置稼動時や停止時で温度変化が大きいことや洗浄水が激しく流動していることなどから、上記実施の形態において浸漬式の気泡測定装置の場合には、急激な温度変化や洗浄水の水流の衝撃による気泡測定装置のセンサ部の劣化を防ぐために、気泡生成時以外は外に取り出しておくことが望ましい。このため、ロボットハンドにより気泡測定装置のセンサ部の浸漬と取出しが自動的に実施されることが望ましい。つまり、ロボットハンドの動きを気泡の供給や停止と連動させ、気泡生成直後、気泡測定装置のセンサ部を洗浄槽内に浸漬させ、気泡供給停止直後、センサ部を槽外に取り出すことが望ましい。これにより、浸漬式気泡測定装置のセンサ部の寿命を大幅に延ばすことが可能となる。
実施の形態1における洗浄装置を示す概略構成図である。 実施の形態1における洗浄装置に使用する気泡生成器を示す概略構成図である。 実施の形態1における洗浄装置に使用する超音波センサを示す概略構成図である。 実施の形態1における実験例による気泡の径および密度と残留油分密度との関係を示す図である。 実施の形態1における気泡径と気泡密度との関係を示す模式図である。 実施の形態1における気泡径と気泡密度の有効領域を示す図である。 実施の形態1の超音波センサにおける気泡密度と計測値(音圧値)との関係を示す図である。 実施の形態1における洗浄水の状態を示す図である。 実施の形態1における気泡の計測位置を示す概略図である。 実施の形態1における洗浄槽内の位置と気泡径との関係を示す図である。 実施の形態1の他の超音波センサにおける気泡密度と計測値(音圧値)との関係を示す図である。 実施の形態2における洗浄装置を示す概略構成図である。 実施の形態2の浮力センサにおける気泡密度と計測値(電流値)との関係を示す図である。 実施の形態3における洗浄装置を示す概略構成図である。 実施の形態3の光センサにおける気泡密度と計測値(電圧値)との関係を示す図である。 実施の形態5における洗浄装置を示す概略構成図である。 実施の形態6における洗浄装置を示す概略構成図である。
符号の説明
1 洗浄装置
2 洗浄水
3 洗浄槽
4 気泡
5 気泡生成器
8 被洗浄物
15 超音波センサ
16,44 計測管
18 制御装置
19 添加剤タンク
20 添加剤供給ポンプ
21 警報装置
32 超音波発生器
34 超音波検出器
40 浮力センサ
41 浮体(フロート)
42 支柱
43 位置検出装置
50 光センサ
51 レーザ光源
52 光検出器
60 音センサ
61 集音器
62 スペクトルアナライザ
70 光識別センサ
71 色板
72 カラー濃度計

Claims (9)

  1. 被洗浄物を洗浄する洗浄水を入れる洗浄槽と、
    前記洗浄槽の洗浄水中に気泡を供給する気泡供給装置と、
    前記洗浄槽の洗浄水中の気泡の径および密度を測定する気泡測定装置と、
    前記洗浄槽に添加剤を供給する添加剤供給装置と、
    を備え、前記気泡測定装置により前記添加剤の供給量を調整することを特徴とする洗浄装置。
  2. 気泡測定装置が、洗浄水中に超音波を出射する超音波発生器と、
    前記洗浄水中の気泡から反射された前記超音波を検出する超音波検出器と、
    により構成される超音波センサであり、前記超音波の減衰量から前記気泡の径および密度を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 気泡測定装置が、洗浄水中にレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記洗浄水中の気泡から反射された前記レーザ光を検出する光検出器と、
    により構成される光センサであり、前記レーザ光の出射光量と反射光量との比から前記気泡の径および密度を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  4. 気泡測定位置が、気泡供給装置が取り付けられた洗浄槽の壁面と対向する壁面側で、かつ洗浄水面の高さの2分の1以下の位置であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の洗浄装置。
  5. 気泡測定装置が、洗浄水中に浸漬され、支柱に通した浮体と、
    前記浮体の位置を計測する位置検出装置と、
    により構成される浮力センサであり、前記浮体の位置から前記気泡の径および密度を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  6. 気泡測定装置が、気泡供給装置による気泡供給を停止させた後、洗浄水から前記気泡が消滅するまでの時間を計側する計測装置で構成され、前記気泡消滅時間から前記気泡の径および密度を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  7. 気泡測定装置が、洗浄水の水面上方に設置された集音器と、
    前記集音器から集音された洗浄水の水面での気泡の破泡音のスペクトルを解析する音解析装置と、
    により構成される音センサであり、前記スペクトルから前記気泡の径および密度を測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  8. 気泡測定装置が、洗浄水の色を計測するカラー濃度計あるいはカラースキャナで構成される色識別センサであり、前記洗浄水の色から前記気泡の径と密度とを測定することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
  9. 添加剤を供給しても所定の気泡の径および密度と異なる場合に警報を発する警報装置を具備してなる請求項1から請求項8のいずれかに記載の洗浄装置。
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