JP4210156B2 - 紫外光導光用光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外光導光用光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外光は、可視光や近赤外光に比較して波長が短く、エネルギー密度が高いという特徴を有することから、半導体プロセスや電子部品の微細加工や医療分野における診断及び治療等に広く使用されている。そして、紫外光の光源としては、高圧水銀ランプや水銀−キセノンランプが一般に用いられているが、近年、波長が300nm以下の深紫外域(Deep Ultraviolet Radiation:DUV)の紫外光を発するエキシマレーザ光源も用いられるようになってきている。
【0003】
ところで、実際に紫外光を利用する場合、光源からの紫外光を対象物に直接照射する場合もあるが、一般に光源と対象物とは距離が離れているため、光を伝搬するための光学系が使用される。
【0004】
しかしながら、かかる光学系に使用される光学部品が紫外光によってダメージを受けて光学特性が劣化するという本質的な問題がある。特に、深紫外域の紫外光は非常に高いエネルギーをもつため、その光学特性の劣化が著しい。
【0005】
一方、かかる光学系として、従来はレンズ光学系が多く使用されていたが、近年、光学設計が簡便であってハンドリング性がよいことから光ファイバを使用することが望まれている。
【0006】
例えば、特許文献1には、少なくともコア部分及びクラッド部分から構成される170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーであって、コア部分が高純度シリカガラスまたはフッ素を微量添加したシリカガラスからなり、クラッド部分がフッ素またはホウ素のいずれか1種または2種を添加したシリカガラスからなり、更に、高純度シリカガラス及びシリカガラスが1×1016分子/cm3以上の濃度の水素分子を含有してなり、且つクラッド部分の外周面に水素拡散防止層を設けてなるものが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−309742号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、深紫外域の紫外光による光学特性の劣化が抑制される紫外光導光用光ファイバの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の紫外光導光用光ファイバの製造方法は、
石英製のコアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、該クラッドを被覆するように設けられた被覆層と、を備えた紫外光導光用光ファイバの製造方法であって、
石英製のコアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、を備えた光ファイバを形成するステップと、
上記光ファイバを700〜750℃の溶融アルミニウムに60〜80m/min通過速度で浸漬通過させて、その外周に溶融したアルミニウムを付着させることによりアルミニウム製の被覆層を形成すると共に上記コアに水素分子を含有せしめるステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
従来技術によれば、光ファイバに水素拡散防止層を設けた後、バッチ式に高温・高圧水素処理を行わなければならないため非常に生産効率が低く、また、高温・高圧水素処理には特殊な設備が必要であった。しかしながら、上記の製造方法によれば、光ファイバの外周に溶融したアルミニウムを付着させるので、連続的にアルミニウム製の被覆層を形成すると共にコアに水素分子を含有せしめることができる。ここで、コアへの水素分子の導入メカニズムは、溶融アルミニウム及び固体アルミニウムの水素分子の溶解量(固体の場合には固溶量)の差に起因するものであると考えられる。一般的に、溶融アルミニウムと固体アルミニウムとでは、前者の方が後者よりも多くの水素分子を含有する。そのため、光ファイバの外周に溶融したアルミニウムが付着して凝固する際には多量の水素分子が放出され、その水素分子の一部が光ファイバ内に拡散することとなる。そして、光ファイバ中に拡散した水素分子は凝固したアルミニウム、つまり被覆層によって外部に出られなくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る紫外光導光用光ファイバを示す。
【0013】
この紫外光導光用光ファイバ10は、ファイバ中心をなすコア11とそのコア11を被覆するように設けられたクラッド12とにより石英製の光ファイバが構成され、その光ファイバがアルミニウムからなる被覆層13で被覆されたものである。
【0014】
この紫外光導光用光ファイバ10は、図2に示すように、光ファイバ母材31を線引き加工して形成された光ファイバ32をダイス形状のアルミニウム槽33の中の溶融アルミニウム34に浸漬して通過させることにより、その外周にアルミニウム製の被覆層35を形成させ、それと同時にファイバ作製段階にコアに水素分子を注入して製造されたものである。このとき、溶融アルミニウムの温度を680〜800℃の間に保持し、光ファイバの通過速度を10〜100m/min(好ましくは40〜80m/min)とするのがよい。溶融アルミニウムの温度が680℃よりも低いと、アルミニウム槽の出口付近でアルミニウムが凝固して光ファイバを安定して製造することが困難となる。一方、溶融アルミニウムの温度が800℃よりも高いと、光ファイバとアルミニウムとの間に反応層が生成し、光ファイバが脆くなってしまう。また、光ファイバの通過速度が10m/minよりも遅いと、生産効率が低くなるばかりか、光ファイバとアルミニウムとの間に反応層が生成し易くなる傾向がある。一方、光ファイバの通過速度が100m/minよりも速いと、十分な厚さのアルミニウム層を形成することができなくなる傾向がある。被覆層を構成するアルミニウムとしては純度が99.99%以上のものを使用することが望ましく、それによって溶融粘度の安定した溶融アルミニウムを得ることができる。以上のようにして製造された紫外光導光用光ファイバ10は、光ファイバ、特に、コアに石英(SiO2)の珪素原子(Si)と酸素原子(O)との間の振動に対応したラマンスペクトルの800cm−1の強度に対する水素分子(H2)の水素原子(H)間の振動に対応した4135cm−1の強度の比が1.0×10−4以上となる量の水素分子が含まれている。ここで、コアへの水素分子の導入メカニズムは、溶融アルミニウム及び固体アルミニウムの水素分子の溶解量(固体の場合には固溶量)の差に起因するものであると考えられる。一般的に、溶融アルミニウムと固体アルミニウムとでは、前者の方が後者よりも多くの水素分子を含有する。そのため、光ファイバの外周に溶融したアルミニウムが付着して凝固する際には多量の水素分子が放出され、その水素分子の一部が光ファイバ内に拡散することとなる。そして、光ファイバ中に拡散した水素分子は凝固したアルミニウム、つまり被覆層によって外部に出られなくなる。
【0015】
図3及び4は、実施形態に係るバンドルライトガイド20を示す。
【0016】
このバンドルライトガイド20は、上記の紫外光導光用光ファイバ10を複数本束ねてなる光ファイバ束を、プラスチックやステンレスで形成された可撓管23に挿嵌すると共に、両端部をそれぞれ接着剤25で一体化させてスリーブ24を取り付けたものである。このとき、図3に示すように、光ファイバ束の両端部において各紫外光導光用光ファイバ10の被覆層13を除去しても、また、被覆層13をそのまま残してもどちらでもよい。
【0017】
上記の構成によれば、光ファイバを構成する石英(SiO2)の珪素原子(Si)と酸素原子(O)との間の振動に対応したラマンスペクトルの800cm−1の強度に対する水素分子(H2)の水素原子(H)間の振動に対応した4135cm−1の強度の比が1.0×10−4以上であり、コアを形成する石英の量に対して多くの水素分子が含まれることとなるので、その水素分子によって紫外光による石英の結合構造変化が有効に抑えられ、深紫外域の紫外光を伝送しても光学特性の劣化が抑制されることとなる。
【0018】
また、コアへの水素分子の注入はクラッドを通して行われるが、クラッドの厚さが厚すぎるとコアへの十分な水素分子の注入を行うことができないところ、クラッドの厚さが10〜50μmと適当であるので、クラッドとしての機能を満足しつつコアには十分な水素分子が注入されることとなる。
【0019】
さらに、従来技術によれば、光ファイバに水素拡散防止層を設けた後、バッチ式に高温・高圧水素処理を行わなければならないため非常に生産効率が低く、また、高温・高圧水素処理には特殊な設備が必要であったが、上記の製造方法によれば、光ファイバの外周に溶融したアルミニウムを付着させるので、連続的にアルミニウム製の被覆層を形成すると共にコアに水素分子を含有せしめることができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、光ファイバ束を横断面略円形に形成したものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、矩形等他の形状に形成したものであってもよい。
【0021】
また、上記実施形態では、被覆層をアルミニウムで形成したが、特にこれに限定されるものではなく、紫外線硬化型樹脂で形成してもよい。
【0022】
また、上記実施形態では、線引きの際に被覆層の形成を行うようにしたが、特にこれに限定されるものではなく、光ファイバを製造後に別工程で被覆層を形成するようにしてもよい。
【0023】
【実施例】
以下に紫外光導光用光ファイバについて行った試験評価について説明する。
【0024】
[試験評価1]
(試験評価用ファイバ)
以下の例1〜9の試験評価用の紫外光導光用光ファイバを作製した。各紫外光導光用光ファイバの構成は表1にも示す。
【0025】
−例1−
ファイバ素線径250μmの石英製の光ファイバ(コア径225μm、クラッド厚さ12.5μm)を線引きし(線引き速度60m/min)、それを紫外線硬化型樹脂を保持したダイス槽に通過させた後に紫外線を照射することによりクラッドの外側に紫外線硬化型樹脂の被覆層を形成させ、しかる後に水素分子を注入する加工が施されて作製された紫外光導光用光ファイバを例1とした。
【0026】
−例2−
ファイバ素線径250μmの石英製の光ファイバ(コア径225μm、クラッド厚さ12.5μm)を線引きし、それを60m/minの速度で溶融アルミニウム(純度99.99%、保持温度690℃)を保持したダイス槽を通過させてクラッドの外側にアルミニウムの被覆層を形成させて作製された紫外光導光用光ファイバを例2とした。
【0027】
−例3−
溶融アルミニウムの保持温度を710℃としたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例3とした。
【0028】
−例4−
溶融アルミニウムの保持温度を720℃としたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例4とした。
【0029】
−例5−
溶融アルミニウムの保持温度を730℃としたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例5とした。
【0030】
−例6−
溶融アルミニウムの保持温度を740℃としたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例6とした。
【0031】
−例7−
溶融アルミニウムの保持温度を750℃としたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例7とした。
【0032】
−例8−
溶融アルミニウムの保持温度を700℃としてダイス槽を通過させる速度を80m/minとしたことを除いて例2と同様に作製された紫外光導光用光ファイバを例8とした。
【0033】
−例9−
ファイバ素線径250μmの石英製の光ファイバ(コア径225μm、クラッド厚さ12.5μm)を線引きし、それを紫外線硬化型樹脂を保持したダイス槽に通過させた後に紫外線を照射することによりクラッドの外側に紫外線硬化型樹脂の被覆層を形成させて作製された紫外光導光用光ファイバを例9とした。
【0034】
【表1】
【0035】
(試験評価方法)
<ラマンスペクトルの強度比>
例1〜9の紫外光導光用光ファイバのそれぞれについて、長さ5mを切り出し、レーザーラマン分光装置を用いたレーザーラマンマイクロプローブ法によって、一方の端面からレーザー光を照射し、マイクロモードを用いて、他方の端面から出てくるラマン光をスリットを通して分光器に取り込んだ。そして、分光器の光をCCDカメラで光強度を電気信号に変換し、付属のソフトウェアでカウント数−波数のグラフを得た。次いで、縦軸がラマン強度(cps)で且つ横軸が波数(cm−1)であるラマンスペクトルを得て、波数800cm−1及び4135cm−1のそれぞれにおけるピーク強度を算出し、前者に対する後者の比を求めた。
【0036】
ここで、ラマンスペクトルからの波数800cm−1及び4135cm−1のそれぞれにおけるピーク強度の算出方法について図5及び6に基づいて説明する。図5は、波数800cm−1近辺のラマンスペクトルを示す。図6は、波数4135cm−1近辺のラマンスペクトルを示す。
【0037】
波数800cm−1及び4135cm−1のそれぞれにおけるラマンスペクトルのピークは、通常、2つの極小点間の極大点である。
【0038】
図5における波数800cm−1近辺(698〜946cm−1)を例にとると、まず、波数800cm−1と698cm−1との間での極小値を示す波数acm−1を決定する。次いで、波数800cm−1と946cm−1との間での極小値を示す波数bcm−1を決定する。次いで、波数acm−1でのラマン強度aaと波数bcm−1でのラマン強度bbとを結ぶ線分S1を引く。続いて、波数800cm−1における縦軸に平行な直線T1を引く。そして、極大点AAと直線T1とS1との交点X1との間の直線距離L1を求め、これを800cm−1におけるラマン強度とする。
【0039】
同様に、図6における波数4135cm−1近辺(4070〜4200cm−1)を例にとると、まず、波数4135cm−1と4070cm−1との間での極小値を示す波数cm−1を決定する。次いで、波数4135cm−1と4200cm−1との間での極小値を示す波数dcm−1を決定する。次いで、波数ccm−1でのラマン強度ccと波数dcm−1でのラマン強度ddとを結ぶ線分S2を引く。続いて、波数4135cm−1における縦軸に平行な直線T2を引く。そして、極大点BBと直線T2とS2との交点X2との間の直線距離L2を求め、これを4135cm−1におけるラマン強度とする。
【0040】
以上のようにして求められた波数800cm−1のラマン強度を4135cm−1のラマン強度を除し比を求める。
【0041】
<耐紫外線性>
例1〜9の紫外光導光用光ファイバのそれぞれについて、13時間連続して紫外線(215nm、光源:D2ランプ(浜松ホトニクス社製、商品名:L1314))を照射し、紫外線照射初期の80%以上の透過率を維持できているものを◎、70%以上80%未満のものを○、70%未満のものを×と評価した。
【0042】
<耐熱性>
例1〜9の紫外光導光用光ファイバのそれぞれについて、400℃の温度雰囲気下に24時間保持した後、紫外線照射初期の90%以上の透過率を維持できているものを○と評価し、90%未満のものを×と評価した。
【0043】
(試験評価結果)
試験評価結果を表1に示す。
【0044】
<ラマンスペクトルの強度比>
表1によれば、例1〜8は、ラマンスペクトルの強度比が1.0×10−4以上と大きいのに対し、例9だけはそれよりも低いのが分かる。この強度比が大きいということは、ラマンスペクトルの4135cm−1における強度が大きいことである。また、ラマンスペクトルの4135cm−1は、水素分子(H2)の水素原子(H)間の振動に対応している。従って、このラマンスペクトルの強度比が大きい例1〜8は、例9よりもファイバ内に多くの水素分子を含んでいることを意味する。
【0045】
例2〜7においては、溶融アルミニウムの保持温度が高いほどラマンスペクトルの強度比が大きい。しかしながら、ダイス槽を通過させる速度を80m/minとした例8では溶融アルミニウムの保持温度が700℃であるにもかかわらず、ラマンスペクトルの強度比が2.30×10−4と最も大きい。
【0046】
<耐紫外線性>
耐紫外線性は、ラマンスペクトルの強度比が大きいほど優れるという結果であった。
【0047】
<耐熱性>
被覆層をアルミニウム層とした例2〜8は耐熱性が優れ、紫外線硬化型樹脂層とした例1及び9は劣るという予想される結果であった。
【0048】
[試験評価2]
(試験評価用ファイバ)
以下の従来例及び発明例の試験評価用の紫外光導光用光ファイバを作製した。
【0049】
−発明例−
上記実施形態と同様の構成であって、水素分子を注入する加工が施された紫外光導光用光ファイバを複数本準備した。
【0050】
−従来例−
水素分子を注入する加工が施されていないことを除いて発明例と同一構成の紫外光導光用光ファイバも複数本準備した。
【0051】
(試験評価方法)
<ラマン分光分析試験>
発明例の2本の紫外光導光用光ファイバ(n=1、n=2)及び従来例の2本の紫外光導光用光ファイバ(n=1、n=2)のそれぞれについてラマン分光分析を行い、ラマンスペクトルを求めた。
【0052】
<伝送損失測定試験>
発明例及び従来例のそれぞれについて、200〜500nmでの各波長に対する伝送損失を測定した。
【0053】
<重水素ランプ照射試験>
発明例及び従来例のそれぞれについて、測定用試料を3m切り出し、200〜500nmでの各波長に対する初期透過光量を測定すると共に、波長エネルギー密度0.21mW/cm2で波長250nmの紫外光を13時間伝送させた後の200〜500nmでの各波長に対する透過光量を測定し、後者を前者で除した透過光量比を200〜500nmの各波長に対して求めた。なお、測定は、図7に示すように、測定用試料Sの一端に光源である重水素ランプ41を設けると共に他端に分光測定装置42設けて行った。
【0054】
また、発明例について、同様に、波長215nm、248nm及び300nmの各紫外光を1000時間伝送させたときの200〜500nmでの各波長に対する透過光量を経時的に測定し、それを先に求めた初期透過光量で除した透過光量比を200〜500nmの各波長に対して求めた。比較例について、同様に、波長215nm、248nm及び300nmの各紫外光を13時間伝送させたときの200〜500nmでの各波長に対する透過光量を経時的に測定し、それを先に求めた初期透過光量で除した透過光量比を200〜500nmの各波長に対して求めた。
【0055】
(試験評価結果)
<ラマン分光分析試験>
表2は、それぞれのラマンスペクトルから求めたI(4135cm−1)/I(800cm−1)を示す。図8(a)は発明例のn=1のものの低波数領域のラマンスペクトルを示し、図8(b)は発明例のn=1のものの高波長領域のラマンスペクトルを示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表2及び図8によれば、発明例では、ラマンスペクトルにおいて4135cm−1に小さな強度ピークがあるのに対し、従来例では、かかるピークがない。4135cm−1の強度ピークは、水素分子(H2)の水素原子(H)間の振動に対応したものであり、つまり、従来例よりも発明例の方が多くの水素分子を含んでいるということである。
【0058】
<伝送損失測定試験>
図9は、発明例及び従来例についての伝送する光の波長と伝送損失との関係を示す。
【0059】
図9によれば、発明例及び比較例のいずれも波長が長くなるのに伴って伝送損失が小さくなって行くのが分かる。また、いずれの波長においても従来例よりも発明例の方が若干ではあるが伝送損失が低いのが分かる。但し、その差は最大0.1dB/mであって両者の伝送損失特性は概ね同等であると考えることができる。
【0060】
<重水素ランプ照射試験>
図10は、発明例及び比較例についての伝送する光の波長と透過光量比との関係を示す。
【0061】
図10によれば、発明例では200〜260nmの波長域において透過光量比が低くなっている一方、比較例では200〜300nmの波長域において透過光量比が低くなっており、しかも、比較例の方がその低さが著しいのが分かる。具体的には、透過光量比が最も低くなる波長215nmにおいて、発明例では効果光量比が90%弱程度であるのに対し、比較例では10%程度である。これは、発明例では、石英の量に対して多くの水素分子が含まれているので、それによって紫外光による石英の結合構造変化が抑えられ、深紫外域の紫外光を伝送しても光学特性の劣化が抑制されるのに対し、従来例では、かかる紫外光による石英の結合構造変化が抑えられないためであると考えられる。
【0062】
図11は、発明例及び比較例についての光の伝送時間と透過光量比との関係を示す。
【0063】
図11によれば、発明例及び比較例のいずれも伝送する光の波長が短いほど透過光量比が低くなっているのが分かる。
【0064】
また、比較例の方が発明例よりも透過光量比が低い傾向があることは図7の結果と同様である。具体的には、伝送する光の波長が300nmの場合、発明例では伝送時間13時間で透過光量比が変化していないのに対し、比較例では約90%まで低下し、伝送する光の波長が248nmの場合、発明例では伝送時間13時間で透過光量比が90%強まで低下しているのに対し、比較例では約80%まで低下し、伝送する光の波長が215nmの場合、発明例では伝送時間13時間で透過光量比が約80%まで低下しているのに対し、比較例では20%強まで低下している。
【0065】
さらに、発明例では、伝送する光の波長が300nmの場合、伝送時間1000時間の間に透過光量比が変化していないのに対し、伝送する光の波長が248nm及び215nmの場合、透過光量比が経時的に低下するものの伝送時間が40〜50時間以降にはその変化がなくなり透過光量比が安定している。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光ファイバの外周に溶融したアルミニウムを付着させるので、連続的にアルミニウム製の被覆層を形成すると共にコアに水素分子を含有せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る紫外光導光用光ファイバの斜視図である。
【図2】 実施形態に係る紫外光導光用光ファイバの製造方法の説明図である。
【図3】 実施形態に係るバンドルライトガイドの部分縦断面図である。
【図4】 実施形態に係るバンドルライトガイドの端部の横断面図である。
【図5】 低波数領域のラマンスペクトルを示す図である。
【図6】 高波数領域のラマンスペクトルを示す図である。
【図7】 透過光量の測定方法を示す説明図である。
【図8】 発明例のラマンスペクトルを示す図である((a)低波数領域(b)高波数領域)。
【図9】 発明例及び比較例についての伝送する光の波長と伝送損失との関係を示すグラフである。
【図10】 発明例及び比較例についての伝送する光の波長と透過光量比との関係を示すグラフである。
【図11】 発明例及び比較例についての光の伝送時間と透過光量比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 紫外光導光用光ファイバ
11 コア
12 クラッド
13 被覆層
20 バンドルライトガイド
23 可撓管
24 スリーブ
25 接着剤
31 光ファイバ母材
32 光ファイバ
33 アルミニウム槽
34 溶融アルミニウム
35 被覆層
41 重水素ランプ
42 分光測定装置
S 測定用試料
Claims (1)
- 石英製のコアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、該クラッドを被覆するように設けられた被覆層と、を備えた紫外光導光用光ファイバの製造方法であって、
石英製のコアと、該コアを被覆するように設けられたクラッドと、を備えた光ファイバを形成するステップと、
上記光ファイバを700〜750℃の溶融アルミニウムに60〜80m/min通過速度で浸漬通過させて、その外周に溶融したアルミニウムを付着させることによりアルミニウム製の被覆層を形成すると共に上記コアに水素分子を含有せしめるステップと、
を備えたことを特徴とする紫外光導光用光ファイバの製造方法。
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