JP5712060B2 - 光ファイバ素線の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、ポリマクラッド光ファイバのクラッド用硬化性樹脂としては、通常の紫外線硬化樹脂にフッ素を添加することにより屈折率を下げたフッ素添加紫外線硬化樹脂を使用することが望まれる。さらに、クラッドコーティング層が光ファイバ裸線外周部内を伝搬する光の浸み出しを防ぐように機能するためには、フッ素添加紫外線硬化樹脂の如く低屈折率の硬化性樹脂によるクラッドコーティング層が所定の厚みより厚くコーティングされることが好ましい。
クラッド用のフッ素添加紫外線硬化樹脂は、屈折率だけでなく、硬化性やヤング率、ガラスとの密着性等の諸特性を鑑みた上で適宜選択される。
なお、前記保護被覆の材料の硬化性樹脂にはクラッド用硬化性樹脂とは異なる無添加の紫外線硬化樹脂が用いられる。
図6に示すように、線引炉24で光ファイバ母材23から線引された光ファイバ裸線25に、樹脂被覆装置26aで樹脂クラッドまたは保護被覆として1層目の硬化性樹脂がコーティングされる。続いて、光ファイバ30にコーティングされた1層目硬化性樹脂が樹脂硬化装置28aで硬化される。1層目硬化性樹脂層がコーティングされた光ファイバ32には、樹脂被覆装置26bで保護被覆として1層目硬化性樹脂とは異なる2層目用の硬化性樹脂がコーティングされる。光ファイバ34にコーティングされた2層目被覆樹脂は樹脂硬化装置28bで硬化される。1層目および2層目硬化性樹脂層がコーティングされた光ファイバ36は、巻き取り機29で巻き取られ、光ファイバ素線となる。
ポリマクラッド光ファイバのクラッドコーティング層が所定の厚みを満たさなければ、光ファイバ裸線の外周部内を伝搬する光がクラッドに浸み出し、ポリマクラッド光ファイバの伝搬特性を劣化させる虞がある。
2層コーティングによりクラッド層の厚みが大きくなる理由は、必ずしも明らかではないが、定性的には次のように考えられる。すなわち、光ファイバ裸線に対して1層だけで未硬化の硬化性樹脂をコーティングする場合は、光ファイバ裸線の外周にコーティングされた時点でのコーティング層の流動速度(光ファイバ裸線に対する相対的な流動速度)は、コーティング層の厚み方向に連続的に変化するが、前述のように2層に分けてコーティングする場合、光ファイバ裸線に1層目の樹脂をコーティングしてから、2層目の樹脂をコーティングする時点では、1層目の樹脂の表面部分は、光ファイバ裸線に対する相対的な流動速度が既に低下しているため、次の2層目の樹脂が光ファイバ素線との1層目の樹脂の表面に接する際に、その2層目の樹脂の相対的な流動速度と、1層目表面の流動速度との間に差が生じ、そのため2層目における1層目表面に接する領域に境界層が生じて、1層目の表面と2層目とでは厚み方向に流動速度が不連続となり、その結果、2層目もある程度の厚みで形成することができ、そのため1層目と2層目との合計で1層コーティングの場合よりも厚い厚みでコーティングし得るため、と考えられる。
一例として、クラッドポンプ構造の光増幅器の全体構成を図3に示す。励起光伝搬用ファイバ10a〜10dと増幅用ファイバ12にはダブルクラッドファイバが用いられている。
光増幅器20においては、種光源6から出射された種光が種光伝搬用ファイバ8のコア内を伝搬してコンバイナ9に入射され、複数の励起光源7a〜7dから出射された励起光は励起光伝搬用ファイバ10a〜10dのコア内を伝搬し、コンバイナ9に入射される。コンバイナ9に入射した種光はダブルクラッドファイバ11のコア内を伝搬し、増幅用ファイバ12に入射し、コア内を伝搬する。一方、コンバイナ9に入射された大部分の励起光はダブルクラッドファイバ11の第1クラッド内を伝搬し、増幅用ファイバ12に入射して、第1クラッド内を伝搬する。そして、励起光が増幅用ファイバ12のコアを通過するときにコア中の活性元素に吸収され、活性元素を励起する。励起された活性元素では誘導放出が発生し、種光が増幅されるとともに増幅された光が出力光として増幅用ファイバ12の出力端から出射される。
本発明の第1の態様の光ファイバ素線の製造方法は、光ファイバ母材から線引された光ファイバ裸線に、光ファイバ裸線の外周部より低い屈折率を有するクラッド用の未硬化の硬化性樹脂によりクラッド1層目のコーティングを行い、続いてそのクラッド1層目のコーティング層が未硬化の状態で、そのクラッド1層目コーティング層の表面に前記硬化性樹脂と同一の未硬化の樹脂によりクラッド2層目のコーティングを行い、その後、クラッド1層目コーティング層および2層目コーティング層の硬化性樹脂層を同時に硬化させることにより一層コーティングの場合よりも厚い厚みのクラッドコーティング層を形成し、前記硬化性樹脂の1層目のコーティングにおける樹脂圧よりも2層目のコーティングにおける樹脂圧を高くすることを特徴とするものである。
したがって、このようなポリマクラッド光ファイバや、ポリマクラッド光ファイバを使用した製品の歩留まりも向上させることができる。
この光ファイバ素線製造装置は光ファイバ母材の線引炉24と、クラッドコーティング用の低屈折率紫外線硬化樹脂の1層目と2層目をコーティングするための複層一括被覆用ダイス26cと、1層目クラッドコーティング層と2層目クラッドコーティング層とを同時に硬化させるための樹脂硬化装置28cと、保護被覆用硬化性樹脂を塗布するためのコーティング装置26bと、前記保護被覆用硬化性樹脂を硬化させるための樹脂硬化装置28bと、ファイバ素線の巻き取り機29とを有している。また、複層一括被覆用ダイス26cはニップル15と、1層目のクラッドを光ファイバ裸線にコーティングするための第1ダイス16と、1層目のクラッドコーティング層が未硬化の状態である光ファイバに2層目のクラッドをコーティングするための第2ダイス17を有している。
複層一括被覆ダイス26cはホルダー14内にニップル15と第1ダイス16と前記第2ダイス17が隣り合って配列され、かつニップル15の出口は第1ダイス16の入口部分に開口するとともに第1ダイス16の出口が第2ダイス17の入口部分に開口している。ニップル15は、ホルダー14および上部押さえプレート18によって固定され、第2ダイス17は下部支えプレート19によって固定されている。また、第1ダイス16と第2ダイス17との外周とホルダー14の内周との間には、弾性体20が配置されている。また、ホルダー14には図示しない調芯装置が取り付けられている。前記調芯装置により、第1ダイス16と第2ダイス17とを水平に動かすことができる。
図4の光ファイバ素線製造装置において、光ファイバ母材23の線引炉24への挿入により、線引炉24で線引された光ファイバ裸線25は、複層一括被覆用ダイス26cのニップル15を通り、第1ダイス16および第2ダイス17でそれぞれ1層目および2層目の低屈折率硬化性樹脂がコーティングされる。続いて、光ファイバ30にコーティングされた前記1層目と2層目の低屈折率硬化性樹脂は樹脂硬化装置28cで硬化される。低屈折率硬化性樹脂によるクラッドコーティング層をコーティングされた光ファイバ32は、樹脂被覆装置26bで保護被覆用硬化性樹脂がコーティングされ、光ファイバ34にコーティングされた保護被覆用硬化性樹脂は樹脂硬化装置28bで硬化される。クラッドコーティング層および保護被覆用硬化性樹脂層がコーティングされた光ファイバ36は、巻き取り機29で巻き取られ、ポリマクラッド光ファイバ素線となる。
第1ダイス16を固定しておき、ニップル15と第1ダイス16と第2ダイス17とを、前記調芯装置により操作し、また弾性体20の反発力を利用することにより、水平方向に調心移動させて偏肉を調整する。前述の調整が完了した状態で、第1ダイス16と第2ダイス17に低屈折率紫外線硬化樹脂を図示しない供給経路から加圧して供給する。
ニップル15に挿入された光ファイバ裸線はニップル15を通り、その出口から引き出されると同時に第1ダイス16の入口部分から第1ダイス16に入り、第1ダイス16内に充填されているクラッド1層目の低屈折率紫外線硬化樹脂に浸かり、光ファイバ裸線には低屈折率紫外線硬化樹脂がコーティングされる。このときのクラッド1層目のコーティング層の厚みは第1ダイスの穴径によって決まる。
1層目コーティング層が未硬化の状態で、クラッド1層目がコーティングされた光ファイバ裸線は第1ダイスの出口から引き出されるとともに第2ダイスの入口部分から第2ダイス17に入り、第2ダイス17内に充填されているクラッド1層目と同じ低屈折率紫外線硬化樹脂に浸かり、クラッド1層目の低屈折率紫外線硬化樹脂層の外周にクラッド2層目として同じ低屈折率紫外線硬化樹脂層がコーティングされる。クラッド1層目および2層目の低屈折率紫外線硬化樹脂層がコーティングされた光ファイバ裸線は第2ダイスの出口から引き出され、前述の光ファイバ素線の製造工程で説明したように樹脂硬化装置28cへと引かれる。
この原因の1つとして、線引速度の高速化により第1ダイス16と第2ダイス17と樹脂被覆装置26bとの内部の硬化性樹脂のせん断速度が、硬化性樹脂の臨界せん断速度を超えることが挙げられる。硬化性樹脂のせん断速度が臨界せん断速度を超えると、第1ダイス16と第2ダイス17と樹脂被覆装置26bの内部の硬化性樹脂の流動が不安定になり、硬化性樹脂のコーティング層の厚みが大きく変動する。
η=V/Rf/log(Rd/Rf)
+P/L/4μ{2Rf−(Rd2−Rf2)/Rf/log(Rd/Rf)}
で表される。ここで、
V:線引き速度
Rf:光ファイバ裸線およびコーティングされた光ファイバの外径
Rd:(第1ダイス16/第2ダイス17/樹脂被覆装置26b)の出口の半径
P:硬化性樹脂の樹脂圧
L:(第1ダイス16/第2ダイス17/樹脂被覆装置26b)の長さ
μ:硬化性樹脂の粘度
である。前記式の右辺第1項は光ファイバに引きずられる硬化性樹脂の流れによるせん断速度を、右辺第2項は圧力の流れによるせん断速度を表している。前記式を第1ダイス16/第2ダイス17/樹脂被覆装置26bにそれぞれ適用すると、第1ダイス16/第2ダイス17/樹脂被覆装置26bのそれぞれの内部でのせん断速度の最大値は、前記右辺第1項の最大値に略等しくなる。そして、前記硬化性樹脂の臨界せん断速度をγcとすると、
V/Rf/log(Rd/Rf)<γc
が成り立つ。したがって、前記式の条件が成り立つように第1ダイス16と第2ダイス17と樹脂被覆装置26bに関する各パラメータおよび線引速度を設定するとともに、光ファイバ裸線へのクラッドのコーティングは低屈折率紫外線硬化樹脂の2層コーティングを行うことにより、光ファイバ裸線の外周に低屈折率かつ厚い硬化性樹脂コーティング層が形成される。
そこで以下の実施例でも、ダブルクラッドファイバの第2クラッド層の形成に低屈折率紫外線硬化樹脂を用いて、2層コーティング方法を適用し、コーティング層の厚みが充分厚くなるかということについて確認した。
図6に示す従来の光ファイバ素線製造装置を用い、コアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引された光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本比較例では、前記光ファイバ裸線の線引速度を15m/min、ファイバ径を125μmとし、第2クラッドのコーティング材料としては低屈折率の紫外線硬化樹脂を用いた。低い屈折率(1.38〜1.47;波長589nm、温度25℃)と透明性を兼備したフッ素化アクリル樹脂である。また、第2クラッドコーティング用の複層一括被覆用ダイス26cの第1ダイス径16および第2ダイス17のダイス径は0.23mm、前記樹脂の温度は42℃、樹脂圧は0.03MPaとした。このとき、硬化性樹脂のせん断速度は6.51×103(1/s)となり、樹脂粘度は0.095(Pa・s)となった。なお、保護被覆材料の紫外線硬化樹脂はせん断速度によって樹脂粘度が変わらない樹脂を用いた。
図4に示す光ファイバ素線製造装置を用い、コアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引された光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本実施例においても比較例1と同様に、前記光ファイバ裸線の線引速度を15m/min、ファイバ径を125μmとし、第2クラッドのコーティング材料として前記樹脂を用いた。また、1層目および2層目の第2クラッドのコーティングには複層一括被覆用ダイスを使用し、2層分の樹脂を塗布し、複層一括被覆用ダイスの第1ダイスおよび第2ダイスのダイス径は、それぞれ0.23mm、0.25mmとした。樹脂温度および樹脂圧は1層目および2層目とも、それぞれ42℃、0.03MPaとした。その結果、第2クラッドコーティング用の低屈折率紫外線硬化型樹脂のせん断速度は、1層目が6.51×103(1/s)、2層目が6.48×103(1/s)となり、樹脂粘度は1層目が0.095(Pa・s)、2層目が0.098(Pa・s)となった。なお、保護被覆材料の紫外線硬化樹脂には、第2クラッドコーティング用の低屈折率紫外線硬化樹脂とは異なり、低屈折率ではない紫外線硬化樹脂を用い、保護被覆の樹脂被覆装置には従来技術の一層のみのコーティングを行うものを用いた。また前記屈折率ではない紫外線硬化樹脂はウレタンアクリレート樹脂を主体とするものである。
表2からわかるように、ファイバ径が125μmのファイバにおいて、1層目および2層目の第2クラッドのコーティングに複層一括被覆用ダイスを用いたコーティング方法により、従来技術の光ファイバ素線製造方法で行うよりも第2クラッド径が厚くなっており、製造された光ファイバ素線ではダブルクラッドファイバとして使用されるために十分な第2クラッドコーティング層の厚みが得られた。
図4に示す被覆装置を用い、樹脂の加圧条件を変化させてコアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引された光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本実施例においては実施例1と同じ前記光ファイバ裸線の線引速度、ファイバ径を設定し、第2クラッドのコーティング材料として実施例1と同じ低屈折率の紫外線硬化樹脂を用いた。また、1層目および2層目の第2クラッドには複層一括被覆用ダイスを使用し、2層分の低屈折率紫外線硬化樹脂を塗布した。複層一括被覆用ダイスの1層目の第1ダイスおよび第2ダイスのダイス径と樹脂温度は実施例1と同様とした。
樹脂圧は第2クラッド1層目および2層目で、それぞれ0.03MPa、0.06MPaとした。その結果、第2クラッドコーティング用の低屈折率紫外線硬化樹脂のせん断速度は、1層目が6.51×103(1/s)、2層目が6.43×103(1/s)となり、低屈折率紫外線硬化樹脂の粘度は1層目が0.095(Pa・s)、2層目が0.101(Pa・s)となった。なお、実施例1と同様に保護被覆のコーティング材料の紫外線硬化樹脂にはウレタンアクリレート樹脂を主体とするものを用い、2次被覆の樹脂被覆装置には従来技術の一層のみのコーティングを行うものを用いた。
表3からわかるように、ファイバ径が125μmのファイバにおいて、光ファイバ裸線に第2クラッド1層目および2層目のコーティングを行うために複層一括被覆用ダイスを用いたコーティング方法で、第2クラッド用低屈折率紫外線硬化樹脂の加圧条件を変化させることにより、前記加圧条件を変えずに第2クラッドをコーティングした実施例1の光ファイバ素線の第2クラッド径よりも、実施例2で製造された光ファイバ素線の第2クラッド径がさらに厚くなっており、製造された光ファイバ素線ではダブルクラッドファイバとして良好に機能するために十分な第2クラッドコーティング層の厚みが確保されていることがわかる。
次に、ファイバ径を400μmとして、図6に示す従来の被覆装置を用い、コアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引された光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本比較例では、前記光ファイバ裸線の線引速度、第2クラッド層および保護被覆のコーティング材料の硬化性樹脂、前記硬化性樹脂の温度および樹脂圧は比較例1と同様とした。また、第2クラッドコーティング用の複層一括被覆用ダイス26cの第1ダイス16および第2ダイス17のダイス径は0.53mmとした。このとき、第2クラッドコーティング用の低屈折率紫外線硬化性樹脂のせん断速度は4.40×103(1/s)となり、樹脂粘度は0.146Pa・sとなった。さらに、保護被覆用の樹脂被覆装置27aのダイス径は0.60mmとした。このときの保護被覆用紫外線硬化樹脂のせん断速度は4.09×103(1/s)となり、樹脂粘度は3.0Pa・sとなった。
図4に示す光ファイバ素線製造装置を用い、コアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引されたファイバ径400μmの光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本比較例においても光ファイバ裸線の線引速度、第2クラッドおよび保護被覆のコーティング材料の硬化性樹脂の種類、硬化性樹脂の温度および樹脂圧は実施例1と同様とした。また、前記複層一括被覆用ダイスの1層目の第1ダイスおよび第2ダイスのダイス径は、それぞれ0.53mm、0.58mmとした。このとき、低屈折率紫外線硬化性樹脂の1層目および2層目のコーティングにおけるせん断速度は、それぞれ4.40×103(1/s)、4.34×103(1/s)となり、低屈折率紫外線硬化性樹脂の第2クラッド1層目および2層目の樹脂粘度は、それぞれ0.146Pa・s、0.150Pa・sとなった。さらに、保護被覆用の樹脂被覆装置27aのダイス径は比較例2と同様に0.60mmとした。このときの保護被覆用硬化樹脂のせん断速度は4.67×103(1/s)となり、樹脂粘度は3.0Pa・sであった。
表5からわかるように、ファイバ径が400μmのファイバにおいて、1層目および2層目の第2クラッドのコーティングに複層一括被覆用ダイスを用いたコーティング方法により、従来技術の光ファイバ素線製造方法で硬化性樹脂のコーティングを行うよりも第2クラッド径が厚くなっており、製造された光ファイバ素線ではダブルクラッドファイバとして使用されるために十分な第2クラッド層の厚みが得られていることがわかる。
図4に示す被覆装置を用い、樹脂の加圧条件を変化させてコアと第1クラッドとを有する光ファイバ母材23から線引炉24により線引されたファイバ径400μmの光ファイバ裸線に第2クラッド層および保護被覆層をコーティングした。
本実施例においては実施例3と同じ光ファイバ裸線のファイバ径および線引速度とし、実施例3と同じ第2クラッドおよび保護被覆のコーティング材料の硬化性樹脂を用いた。また、第2クラッド1層目および2層目のコーティングには複層一括被覆用ダイスを使用し、2層分の低屈折率紫外線硬化性樹脂を前記光ファイバ裸線にコーティングし、複層一括被覆用ダイスの第1ダイスおよび第2ダイスのダイス径、および樹脂温度は、実施例1と同様とした。
低屈折率紫外線硬化性樹脂の樹脂圧は第2クラッド1層目および2層目で、それぞれ0.03MPa、0.06MPaとした。その結果、低屈折率紫外線硬化性樹脂のせん断速度は、第2クラッド1層目が4.40×103(1/s)、第2クラッド2層目が4.30×103(1/s)となり、樹脂粘度は第2クラッド1層目が0.146(Pa・s)、第2クラッド2層目が0.152(Pa・s)となった。
表6からわかるように、ファイバ径が400μmのファイバにおいて、1層目および2層目の第2クラッドのコーティングを行うために複層一括被覆用ダイスを用いたコーティング方法で、第2クラッド用低屈折率紫外線硬化樹脂のコーティング時の加圧条件を変化させることにより、加圧条件を変えずに第2クラッドを前記光ファイバ裸線にコーティングした実施例2の光ファイバ素線の第2クラッド径よりも、実施例4で製造された光ファイバ素線の第2クラッド径はさらに厚くなっており、ダブルクラッドファイバとして良好に機能するために十分な第2クラッドコーティング層の厚みが確保されていることがわかる。
Claims (7)
- 光ファイバ母材から線引された光ファイバ裸線に、前記光ファイバ裸線の外周部より低い屈折率を有するクラッド用の未硬化の硬化性樹脂によりクラッド1層目のコーティングを行い、続いてそのクラッド1層目コーティング層が未硬化の状態で、そのクラッド1層目コーティング層の表面に前記硬化性樹脂と同一の未硬化の樹脂によりクラッド2層目のコーティングを行い、その後、クラッド1層目コーティング層および2層目コーティング層の硬化性樹脂層を同時に硬化させることにより一層コーティングの場合よりも厚い厚みのクラッドコーティング層を形成し、
前記硬化性樹脂の1層目のコーティングにおける樹脂圧よりも2層目のコーティングに
おける樹脂圧を高くすることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
前記クラッド1層目のコーティングを行うための第1ダイスと、前記クラッドの2層目のコーティングを行うための第2ダイスとが隣り合って配列され、かつ第1ダイスの出口が第2ダイスの入口部分に開口している複層一括被覆用ダイスを用いて、クラッド各層のコーティングを行うことを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項1および請求項2に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
前記硬化性樹脂の1層目のコーティングと2層目のコーティングとが加圧下で行われることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
前記硬化性樹脂として紫外線硬化樹脂を用いることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
前記硬化性樹脂としてフッ素添加アクリル系樹脂を用いることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
中心部のコアと前記コアの外周にコアよりも屈折率の低い第1クラッドとを有する前記光ファイバ裸線に、前記第1クラッドより低い屈折率を有する硬化性樹脂により前記クラッド1層目コーティング層および2層目コーティング層を形成することを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。 - 請求項6の請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法において、
前記第1クラッド内において、コアよりも屈折率の低いクラッド層を複数有する前記光ファイバ裸線に、前記第1クラッドの最外層より低い屈折率を有する硬化性樹脂により前記クラッド1層目コーティング層および2層目コーティング層を形成することを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
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