JP4209815B2 - 医療用器具 - Google Patents

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Description

この発明は、基材と強固に密着し、高い耐磨耗性を有する硬質被膜を形成した医療用器具及び医療用器具への硬質被膜形成方法に関する。
従来から、硬質被膜であるダイヤモンドライクカーボン(iamond ike arbon、以下DLCと略記)膜を形成した医療用器具に関しての開示がなされている。例えば、血管あるいは他の切開管腔の部分を開いた状態に維持するための管形状の装置であるステントにおいて、ステント基材と、ステント基材の少なくとも表面の一部に注入された炭素イオン注入層と、該炭素イオン注入層の上に成膜されたDLC膜とを具備したことを特徴とする生体留置用ステントについての開示が下記特許文献1に記載されている。
また、フッ素を含有したDLC膜を被覆し、被膜表面から深さ0.1μm以内のフッ素濃度が10から20at(原子)%のフッ素付加領域を有することを特徴とする医療用被覆部材に関する開示が下記特許文献2に記載されている。
特開平11−313884号公報 特開2003−310744号公報
しかしながら、従来の膜構造では、基材とDLC膜の密着性が悪く、剥離しやすい問題は解決されていなかった。換言すると、基材が使用時に変形すると、形成したDLC膜が剥離しやすかった。よって、DLC膜そのものは耐磨耗性に優れているが、従来の膜構造ではその特性が存分に発揮されていなかった。
上記課題に鑑み、本発明は、基材である医療用器具と強固に密着する硬質被膜を形成した医療用器具提供する。
すなわち、この発明による医療用器具は、医療用器具の表面の少なくとも生体又は生体患部と接触する部分に、中間層を介して膜厚1〜5μmのDLC膜を形成しており、前記中間層が、チタンを主体とする膜厚0.5μmの下層と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、及び炭化チタンのうちのいずれかを主体とする膜厚0.5μmの上層との2層構造であることを特徴とする。
本発明によれば、医療用器具の少なくとも生体又は生体患部と接触する部分に、強い密着力で容易に剥離しないようにする中間層を介して硬質被膜であるDLC膜を形成することで、医療用器具とDLC膜の密着性を飛躍的に向上させることができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明を医療用器具である鉗子に適用した場合で、その要部を拡大したものが図1(b)である。鉗子111は、各基材112の少なくとも生体又は生体患部に接触する各表面112aを硬質被膜であるDLC膜30で被覆している。この際、後述の中間層(図示せず)を介してDLC膜30を形成している。
このDLC膜30は、ダイヤモンド状薄膜、硬質カーボン被膜、水素アモルファス・カーボン膜、i−カーボン膜などとも称され、ダイヤモンドによく似た構造及び性質を持つ非晶質の炭素薄膜であり、ビッカース硬度Hvが2000以上あり、硬度が高いため耐磨耗性が強く、且つ摩擦係数が小さく潤滑性があり、耐蝕性も高いという特性をもっている。
また、中間層は、このDLC膜30と表面112aとの密着性を高めるために設ける1層以上の薄膜層であり、一層構造の場合、後述のようにシリコン(Si)、タングステン(W)、炭化チタン(TiC)、炭化珪素(シリコンカーバイト、SiC)、炭化クロム(CrC)のうちのいずれかによって形成する。
このように、表面112aに中間層を介してDLC膜30を形成することにより、DLC膜30が表面112aに密着性よく強固に形成され、その表面を一層平滑にするためにポリシングやラッピングを行っても剥離することがなく、使用中の熱と圧力による内部応力等によって剥離するようなこともなくなる。
上記方法で作製した鉗子を使用した結果、DLC膜の剥離も起こらず、十分満足すべき成果が得られた。
図2は、本発明を医療用器具であるメスに適用した場合である。図2のメス121は、基材122の少なくとも生体又は生体患部に接触する表面122aを硬質被膜であるDLC膜30で被覆している。この際、後述の中間層(図示せず)を介してDLC膜30を形成している。
中間層は、このDLC膜30と表面122aとの密着性を高めるために設ける1層以上の薄膜層であり、一層構造の場合、実施例1と同様に、シリコン、タングステン、炭化チタン、炭化珪素、炭化クロムのうちのいずれかによって形成する。
このように、表面122aに中間層を介してDLC膜30を形成することにより、DLC膜30が表面122aに密着性よく強固に形成され、その表面を一層平滑にするためにポリシングやラッピングを行っても剥離することがなく、使用中の熱と圧力による内部応力等によって剥離するようなこともなくなる。
上記方法で作製したメスを使用した結果、実施例1と同様に、DLC膜の剥離も起こら
ず、十分満足すべき成果が得られた。
なお、上記実施例では鉗子やメスについて記述したが、それ以外の医療用器具、例えば持針器、カテーテル、ガイドワイヤー、ステント、プライヤー、注射針等であっても問題ない。
次に、中間層の種々な構成例を図3から図6によって説明する。図3から図6は、医療用器具2の極一部を大幅に拡大して、DLC膜30と中間層20の構成を示す模式図である。
図3は、医療用器具2の表面2a上に前述した一層構造の中間層20を介して硬質被膜であるDLC膜30を形成したものである。その中間層は、シリコン、タングステン、炭化チタン、炭化珪素、炭化クロムのうちのいずれかによって、厚さ1μm程度に形成する。DLC膜30は、1μmから5μm程度に形成する。
図4は、2層構造中間層を形成した例であり、医療用器具2の表面2a上に下層21と上層23からなる中間層20を形成し、その上層23上にDLC膜30を形成している。その下層21はクロム(Cr)又はチタン(Ti)を主体として厚さ0.5μm程度に形成し、上層23はシリコン又はゲルマニウム(Ge)を主体として厚さ0.5μm程度に形成する。
この場合、中間層20の下層21のクロム又はチタンは医療用器具2を構成する材料(例えばステンレス鋼や超硬セラミック等)と密着性よく形成することができる。さらに、上層23のシリコン又はゲルマニウムは、DLC膜30を構成する炭素とは周期律表で同じ第IVb族の元素であり、いずれもダイヤモンド構造を有する。そのため、上層23とDLC膜30とは共有結合して高い密着力で結合する。そのうえ、下層21のクロム又はチタンと、上層23のシリコン又はゲルマニウムとは、良好な密着性で被膜形成することができる。
そのため、表面2a上にこのような構成の中間層20を介してDLC膜30を形成することにより、一層強固な密着力でDLC膜30を形成することができ、医療用器具2の耐久性を飛躍的に高めることができる。
図5は、2層構造の中間層の他の例を示す。この例では、医療用器具2の表面2a上にチタンを主体とする下層21と、タングステン、炭化タングステン(WC)、炭化珪素、及び炭化チタンのうちのいずれかを主体とする上層23との2層構造の中間層20を形成し、その上層23上にDLC膜30を形成する。このようにしても、図4に示した例と同様なDLC膜30の密着力が得られる。中間層20の下層21と上層23はそれぞれ0.5μm程度の厚さに形成し、DLC膜は1μmから5μm程度の膜厚に形成する。
図6は、3層構造の中間層を形成した例を示す。この例では、医療用器具2の表面2a上に、中間層20として、まずチタンを主体とする下層21を形成し、その上に炭化チタン又は炭化珪素を主体とする中層22を形成し、さらにその上に炭素(C)を主体とする上層23を形成する。そしてその上層23上にDLC膜30を形成する。
この場合、下層21と中層22と上層23は、明確に異なる層とせず、下層21の表面2aに隣接する部分ではチタンの濃度が最も高く、上層23に向かってその濃度が次第に薄くなり、上層23のDLC膜30と隣接する部分では炭素の濃度が最も高く、下層21に向かってその濃度が次第に薄くなる傾斜構造にしてもよい。むしろ、そのような傾斜構
造にした方がDLC膜30の密着力を高めることができる。
これらの各例によって形成したDLC膜30は、その表面をポリシング及びラッピングして、その表面粗さRaが0.2から0.02μm程度の鏡面に仕上げるとよい。
−磨耗性試験による耐磨耗性の評価−
ここで、この発明による医療用器具及び従来の医療用器具と同様な被膜構成の試験片に対して磨耗試験を行って、その結果を比較して耐磨耗性を評価した。ここで使用した磨耗試験機は、スガ試験機株式会社の商品名NUS−ISO−2の磨耗試験機である。
この磨耗試験機による磨耗試験の方法を、図7を用いて説明する。図7に示すように、被膜形成した試験片92をその被膜形成面側を下向きにして、試験片押え板94と試験片押えネジ95とによって、試験片取付台93の開口部に固定する。さらに、磨耗輪91に研磨紙(図示せず)を貼り付ける。この磨耗輪91に、図示しない天秤機構によって研磨紙を試験片92に押しつけるような上向きの荷重を加える。
そして、試験片取付台93を、図示しないモータの回転運動を往復運動に変換する機構によって往復運動させ、さらに磨耗輪91を試験片取付台93の1往復ごとに角度0.9゜ずつ矢印方向に回転させる。それによって、試験片92は磨耗輪91に貼りつけられた研磨紙の磨耗していない新しい領域に常に接触することになる。試験片取付台93の往復回数は自動設定することができ、設定した回数で磨耗試験機は自動停止する。
ここで用いた試験片92は、その基材として医療用器具の作製に使用するステンレス鋼からなる板厚が1mmのものを使用し、その表面を、表面粗さRa=0.05μmから0.5μmに研磨仕上げしたものである。そして、この発明による医療用器具に相当する試験片として、その基材の表面にチタンによる下層の中間層とシリコンによる上層の中間層とを、いずれも膜厚は0.5μmに形成し、その上に膜厚1.0μmのDLC膜を設けたもの(試験片92Aという)を用いた。これと比較する従来の医療用器具に相当するものとして、上記試験片の基材上に直接DLC膜を膜厚1.0μmに形成したもの(試験片92Bという)を用いた。
さらに、磨耗輪91に貼りつける研磨紙としては、メッシュ600番のSiCを用い、この研磨紙と試験片92との接触荷重は830gとし、試験片取付台93の往復運動回数は200回の条件として、上記試験片92Aと試験片92Bの被膜の磨耗試験を行った。
その磨耗試験の結果は、この発明による被膜構造の試験片92Aでは、被膜の剥離はほとんど発生せず、試験後もDLC膜の表面状態は変化しなかった。これに対して、従来の被膜構造の試験片92Bでは、DLC膜の剥離が発生し、試験片の表面のステンレス鋼が肉眼で観察でき、DLC膜が剥離していることがわかった。
この試験片92Aと92Bの被膜構造の相違点は、基材の表面に2層の中間層を介してDLC膜を形成しているか、基材の表面に直接DLC膜を形成しているかの点である。この磨耗試験の結果から、2層の中間層を設けることによって、DLC膜の密着性が強固になり、被膜の耐磨耗性が著しく向上することが分かった。なお、中間層は前述の1層、3層や、やはり前述の他の2層構造でも同様な結果となった。
−引っかき試験による表面物性の評価−
次に、この発明による医療用器具及び従来の医療用器具に相当する各種試料に対して、引っかき試験を行うことによりその被膜の機械的性質(特に耐磨耗性)を評価した。この引っかき試験に使用した測定機は、HEIDON−14型の表面性測定機である。
この表面性測定機を使用した引っかき試験によれば、引っかき時に生じる抵抗力を測定することによって、被膜の表面物性を評価できる。そこで、以下に記載する(A)から(E)の5種類の試料を作成して、上記表面性測定機を使用して引っかき時に生じる抵抗力を測定した。これらの試料の基材はいずれも医療用器具に使用するステンレス鋼で、その表面は研磨加工されている。
各試料は(A)基材の表面に直接DLC膜を形成したもの、(B)基材の表面に炭化チタンによる中間層を介してDLC膜を形成したもの、(C)基材の表面に炭化珪素による中間層を介してDLC膜を形成したもの、(D)基材の表面にチタンによる下層の中間層とシリコンによる上層の中間層を介してDLC膜を形成したもの、(E)基材の表面にチタンによる下層の中間層と炭化珪素による上層の中間層を介してDLC膜を形成したもの、である。
そして、DLC膜の膜厚はいずれの試料とも1.0μmであり、炭化チタン、炭化珪素、チタン、及びシリコンによる各中間層の膜厚はいずれも0.5μmである。表面性測定機を使用した被膜の表面物性の測定は、先端角度が90゜で先端曲率半径が50μmのダイヤモンド圧子を使用し、引っかき速度は30mm/分とし、引っかき荷重は10grから500grまで10grおきに変化させた。
その測定結果である引っかき荷重と引っかき抵抗値との関係を、図8のグラフに示す。
なお、この図8のグラフは、引っかき荷重を10grから10grずつ増加して加え、そのときの引っかき抵抗値の抵抗力を測定してプロットし、その平均値を直線で近似してグラフ化している。図8のグラフは、縦軸に引っかき抵抗値である抵抗力を示し、横軸に引っかき荷重を示す。そして曲線A、B、C、D、Eがそれぞれ試料(A)から試料(E)の測定結果を示している。
この図8から明らかなように、引っかき荷重がある値以上になると抵抗力が急激に変化している。このように特性曲線に変曲点が発生する現象は、この変曲点以下の臨界荷重では、圧子は単なる摩擦流動を示し、荷重の増加とともに直線的に引っかき抵抗値が増加していくが、臨界荷重以上になると、基材上に形成した被膜に亀裂が発生しているためと考えられる。そして発生した亀裂のために、引っかき抵抗値は急激な増加を示し、摩擦係数が増大する。
このように、図8の特性曲線の変曲点である臨界荷重の値によって、基材に対する被膜の密着力を評価することができる。そして、図8に示されるように、基材上に直接DLC膜を形成した従来の試料(A)の場合の臨界荷重は80grである。
これに対して、発明の実施例に相当する1層の中間層を有する被膜構造の試料(B)の場合の臨界加重は180gr、試料(C)の場合の臨界加重は220grであり、2層の中間層を有する被膜構造の試料(D)の場合の臨界荷重は350gr、試料(E)の場合の臨界荷重は380grである。すなわち、この発明による医療用器具では、従来の医療用器具よりもDLC膜が2倍以上の密着力を有して形成されていることになる。
なお、本実施例で示した以外の前記中間層の構造でも同様な結果となった。
−硬質被膜形成方法−
次に、図9から図12によって、この発明による医療用器具2の表面2aの少なくとも生体又は生体患部と接触する部分への硬質被膜の形成方法について説明する。まず、医療用器具の表面に前述した中間層20を形成する中間層形成工程について、図9を用いて説明する。
図9は中間層を形成するのに使用するスパッタ装置の断面図である。この図に示すように、ガス導入口53と排気口54を備えた真空槽51内の一壁面の近傍に、ターゲットホルダ56が固設されており、そこに中間層の材料であるターゲット55をセット(配置)する。この真空槽51内に、洗浄した医療用器具2(簡略化して図示している)を、表面2aがターゲット55と対向するようにセット(配置)する。
この医療用器具2は直流電源58に接続し、ターゲット55はターゲット電源57に接続する。なお、図示を省略しているが、ターゲット55と医療用器具2との間には、ターゲット55を覆う位置と露出させる位置とに開閉可能なシャッタが設けられている。そのシャッタを最初はターゲット55を覆う位置にしておく。そして、図示しない排気手段により真空槽51内を真空度が3×10−5Torr以下になるように、排気口54から真空排気する。
その後、ガス導入口53からスパッタガスとしてアルゴン(Ar)ガスを導入して、真空槽51内の真空度が3×10−3Torrになるように調整する。さらにその後、医療用器具2には直流電源58からマイナス50Vの直流負電圧を印加する。またターゲット55にはターゲット電源57からマイナス500Vから600Vの直流電圧を印加する。すると、真空槽51の内部にプラズマが発生し、イオン化したアルゴンによって医療用器具2の表面2aをイオンボンバードして、その表面に形成されている酸化膜等を除去する。
次に、図示しないシャッタを開いてターゲット55を露出させ、プラズマ中のアルゴンイオンによってターゲット55の表面をスパッタする。そして、このターゲット55がシリコンであれば、その表面から叩き出されたシリコンの分子が医療用器具2の表面2aに付着して、シリコン膜からなる中間層を形成する。このスパッタリング処理によって中間層が所定の膜厚に形成されるように、この中間層形成工程を実施する。
図3に示した1層の中間層20を形成する場合には、ターゲット55として、シリコン、タングステン、炭化チタン、炭化珪素、及び炭化クロムのうちのいずれかをセットして上記スパッタリング処理を行う。それによって、医療用器具2の表面2aに、シリコン膜、タングステン膜、炭化チタン膜、炭化珪素膜、あるいは炭化クロム膜のいずれかによる中間層20を形成する。
炭化チタン膜あるいは炭化珪素膜あるいは炭化クロム膜による中間層を形成する場合には、次のような方法をとることもできる。すなわち、ターゲット55として、チタンあるいはシリコンあるいはクロムをセットして、アルゴンイオンによるスパッタを行うと同時に、ガス導入口53から炭素を含むガスとして例えばメタン(CH)ガスを導入して、スパッタされたチタンあるいはシリコンあるいはクロムの分子とガス中の炭素とによる反応スパッタリング処理によって、医療用器具2の表面2aに炭化チタン膜あるいは炭化珪素膜あるいは炭化クロム膜による中間層20を形成する。
また、図4に示した下層21と上層23からなる2層の中間層20を形成する場合には、真空槽51内に2個のターゲットホルダ56と、その各々に対するシャッタとを設け、その一方のターゲットホルダ56にターゲット55としてクロム又はチタンをセットし、他方のターゲットホルダ56にターゲット55としてシリコン又はゲルマニウムをセットする。
そして、まず第1の中間層形成工程においては、ターゲット55としてクロム又はチタンをセットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行って、医療用器具2の表面2aにクロム又はチタンを主体とする膜による下層21を、膜
厚0.5μm程度に形成する。
続いて、第2の中間層形成工程によって、ターゲット55としてシリコン又はゲルマニウムをセットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行って、上記下層21上にシリコン又はゲルマニウムを主体とする膜による上層23を、膜厚0.5μm程度に形成する。
図5に示した下層21と上層23からなる2層の中間層20を形成する場合も同様に、真空槽51内に2個のターゲットホルダ56と、その各々に対するシャッタとを設け、その一方のターゲットホルダ56にターゲット55としてチタンをセットし、他方のターゲットホルダ56にターゲット55としてタングステン、炭化タングステン、炭化珪素、炭化チタンのうちのいずれかをセットする。
そして、まず第1の中間層形成工程において、ターゲット55としてチタンをセットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行って、医療用器具2の表面2aにチタンを主体とする膜による下層21を、膜厚0.5μm程度に形成する。
続いて、第2の中間層形成工程によって、ターゲット55としてタングステン、炭化タングステン、炭化珪素、炭化チタンのうちのいずれかをセットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行い、上記下層21上にタングステン、炭化タングステン、炭化珪素、炭化チタンのいずれかを主体とする膜による上層23を、膜厚0.5μm程度に形成する。
あるいは、上記第1の中間層形成工程によって、医療用器具2の表面2aにチタンを主体とする中間層の下層21を形成した後、第2の中間層形成工程では、ターゲット55としてタングステン又はシリコンをセットしたターゲットホルダ56側のシャッタのみを開くとともに、真空槽51内に炭素を含むガス、例えばメタン(CH)ガスを導入して、スパッタされたタングステン又はシリコンの分子とガス中の炭素とによる反応スパッタリング処理によって、上記下層21上に炭化タングステン又は炭化珪素を主体とする中間層の上層23を形成することもできる。
なお、上層23を炭化チタンを主体とする膜にする場合には、真空槽51内のターゲツトホルダ56とシャッタは一組でよく、そこにチタンをセットして、上記第1、第2の中間層形成工程と同様に各工程を実行すればよい。
さらに、図6に示した下層21と中層22と上層23とからなる3層の中間層20を形成する場合も、中層22を炭化珪素を主体とする膜にする場合には、真空槽51内に2個のターゲットホルダ56と、その各々に対するシャッタとを設け、その一方のターゲットホルダ56にターゲット55としてチタンをセットし、他方のターゲットホルダ56にターゲット55としてシリコンをセットする。
そして、まず第1の中間層形成工程において、ターゲット55としてチタンをセットしたターゲットホルダ側のシャッタのみを開いてスパッタリング処理を行い、医療用器具2の表面2aにチタンを主体とする膜による下層21を形成する。続いて、第2の中間層形成工程で、ターゲット55としてシリコンをセットしたターゲットホルダ側のシャッタのみを開いて、真空槽51内に炭素を含むガス、例えばメタン(CH)ガスを導入し、スパッタされたシリコン分子とガス中の炭素とによる反応スパッタリング処理によって、上記下層21上に炭化珪素を主体とする膜による中層22を形成する。
その後、第3の中間層形成工程で、真空槽51内の図示しないシャッタを徐々に閉じてターゲット55としてのシリコンの露出量を減少させて、シリコンのスパッタ量を漸減させ、上記中層22上に炭素の比率が次第に多くなる炭素を主体とする上層23を形成する。
なお、中層22を炭化チタンを主体とする膜にする場合には、真空槽51内のターゲツトホルダ56とシャッタは一組でよく、そこにチタンをセットして、上記第1、第2、第3の中間層形成工程と同様に各工程を実行すればよい。しかし、第1の中間層形成工程と第2の中間層形成工程との間で2つのシャッタの開閉切換を行う必要はない。
次に、上記のような各種の中間層形成工程によって、少なくとも生体又は生体患部と接触する表面2a上に中間層20を形成した医療用器具2の、中間層20上にDLC膜30を形成する工程について、図10から図12を用いて説明する。このDLC膜の形成工程としては3種類のDLC膜形成方法がある。
はじめに、図10を用いて第1のDLC膜形成方法を説明する。図10はそのためのプラズマCVD装置の断面図である。この第1のDLC膜形成方法は、ガス導入口63と排気口65とを有し、内部上方にアノード79とフィラメント81とを備えた真空槽61を使用する。そして、この真空槽61内に、少なくとも生体又は生体患部と接触する表面2a(図示せず)に中間層20を形成した医療用器具2を配置する。その医療用器具2を支持する部材も図示を省略している。
そして、この真空槽61内を真空度が3×10−5Torr以下になるように、図示しない排気手段によって排気口65から真空排気する。その後、ガス導入口63から炭素を含むガスとしてベンゼン(C)を真空槽61内に導入して、真空槽61内の圧力を5×10−3Torrになるようにする。そして、医療用器具2には直流電源73から直流電圧を印加し、さらにアノード79にはアノード電源75から直流電圧を印加し、フィラメント81にはフィラメント電源77から交流電圧を印加する。
このとき、直流電源73から医療用器具2に印加する直流電圧はマイナス3kVとし、アノード電源75からアノード79に印加する直流電圧はプラス50V、フィラメント電源77からフィラメント81に印加する電圧は30Aの電流が流れるように10Vの交流電圧とする。それによって、真空槽61内の医療用器具2の周囲領域にプラズマが発生して、プラズマCVD処理によって、医療用器具2上の中間層20(多層の中間層の場合はその上層23)の表面にDLC膜を形成することができる。このDLC膜は、膜厚1μmから5μmに形成する。
なお、説明の便宜上、中間層形成工程で使用する真空槽51とDLC膜形成工程で使用する真空槽61を別にして説明したが、同じ真空槽を使用してこれらの各工程を連続して行なうことができる。その場合には、中間層形成工程が完了した後、真空槽内のアルゴンを排出して炭素を含むガスを導入する。
図11はDLC膜形成方法の他の例を説明するための、プラズマCVD装置の断面図である。この図11に示す装置を使用する場合には、ガス導入口63と排気口65とを有する真空槽61内に、中間層20を形成した医療用器具2を配置し、真空槽61の内部を図示しない排気手段によって、真空度が3×10−5Torr以下になるように、排気口65から真空排気する。
その後、ガス導入口63から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH)を真空槽61の内部に導入して、真空度を0.1Torrになるようにする。そして、医療用器具2に
は、発振周波数が13.56MHzの高周波電源69から高周波電力(Radio Frequency Power)を、マッチング回路67を介して印加する。それによって、医療用器具2の周囲にプラズマが発生し、プラズマCVD処理により、医療用器具20上に形成された中間層20(多層の中間層の場合はその上層23)の表面にDLC膜を形成することができる。
図12はDLC膜形成方法のさらに他の例を説明するための、プラズマCVD装置の断面図である。この図12に示す装置を使用する場合には、ガス導入口63と排気口65とを有する真空槽61内に、中間層20を形成した医療用器具2を配置し、図示しない排気手段によって、真空槽61内を真空度が3×10−5Torr以下になるように、排気口65から真空排気する。
その後、ガス導入口63から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH)を真空槽61内に導入し、真空度が0.1Torr になるようにする。そして、医療用器具2に直流電源83からマイナス600Vの直流電圧を印加して、その周囲にプラズマを発生させ、プラズマCVD処理により、医療用器具2上に形成された中間層20(多層の中間層の場合はその上層23)の表面にDLC膜を形成することができる。
これらのDLC膜形成方法の場合も、中間層形成工程と同じ真空槽を使用して、中間層形成工程と連続して行なうことができる。その場合には、中間層形成工程が完了した後、真空槽内のアルゴンを排出して炭素を含むガスを導入する。なお、図10から図12によって説明した方法によってDLC膜を形成する場合に、炭素を含むガスとしてメタンガスやベンゼンガスを用いる例で説明したが、メタン以外にエチレンなどの炭素を含むガスや、あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体の蒸発蒸気を使用することもできる。
つぎに、このようにして医療用器具2の表面2a上に中間層20を介して形成したDLC膜30の表面をより平滑にするために、DLC膜30の表面をポリシングとラッピングによって仕上げ研磨する工程を実施し、表面粗さRaが0.2から0.02μmになるようにするとよい。
その場合、布にダイヤモンドペースト又はアルミナペーストを付けてポリシングし、円盤状の板にダイヤモンドペースト又はアルミナペーストを付けてラッピングする。ダイヤモンドペースト又はアルミナペースト中の粒子径は0.1μmから4μm程度で、ポリシングには1μm以上のものを、ラッピングには1μm以下のものを使用するのがよい。このような研磨工程を行っても、DLC膜は医療用器具表面に中間層を介して強固に形成されているため、剥離するようなことはない。
本発明の一実施例における医療用器具である鉗子である。 図1の要部拡大図である。 本発明の他の実施例における医療用器具であるメスの要部拡大図である。 要部を大幅に拡大したDLC膜と中間層の構成例を示す模式図である。 要部を大幅に拡大したDLC膜と2層の中間層の構成例を示す模式図である。 要部を大幅に拡大したDLC膜と2層の中間層で、他の構成例を示す模式図である。 要部を大幅に拡大したDLC膜と3層の中間層の構成例を示す模式図である。 磨耗試験機により被膜の耐磨耗性を試験する方法を説明するための図である。 本発明による医療用器具と従来の医療用器具に相当する各種の試料に対して引っかき試験を行って測定した引っかき加重と引っかきの抵抗力との関係を示す線図である。 本発明による医療用器具への硬質被膜形成方法における中間層形成工程に使用するスパッタ装置の断面図である。 本発明による医療用器具への硬質被膜形成方法におけるDLC膜形成工程に使用するプラズマCVD装置の一例を示す断面図である。 本発明による医療用器具への硬質被膜形成方法におけるDLC膜形成工程に使用するプラズマCVD装置の他の例を示す断面図である。 本発明による医療用器具への硬質被膜形成方法におけるDLC膜形成工程に使用するプラズマCVD装置のさらに他の例を示す断面図である。
符号の説明
2 医療用器具
2a、112a、122a 表面
20 中間層
21 下層
22 中層
23 上層
30 DLC膜

Claims (1)

  1. 表面に硬質被膜を形成する医療用器具であって、前記医療用器具の表面の少なくとも生体又は生体患部と接触する部分に、中間層を介して膜厚1〜5μmのダイヤモンドライクカーボン膜を形成しており、前記中間層が、チタンを主体とする膜厚0.5μmの下層と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、及び炭化チタンのうちのいずれかを主体とする膜厚0.5μmの上層との2層構造であることを特徴とする医療用器具。
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