JP4209312B2 - 周波数変調レーダ装置 - Google Patents
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Description
FMCWレーダを用いた周波数変調レーダ装置においては、送信波と反射波とで形成されるビート信号に基づいて、目標物体に関する距離情報(自車両から目標物体までの車間距離、自車両に対する目標物体の相対速度)を算出している。
R=fb・K/B
ここで、定数Kおよび変調周波数幅Bは、あらかじめ所定値に設計されているので、ビート周波数fbの検出と同時に距離測定値Rの算出が可能な反面、送信波を生成する電圧制御発振器の温度変化や経年変化などの理由により、周波数変調幅Bが所定値から変化することが知られている。
この場合、ビート信号から算出された距離測定値Rを距離変化検出手段に入力し、あらかじめ設定された一定時間における距離測定値Rの変化量ΔR1を算出するようになっている。
一方、ビート信号に基づいて算出された自車両と目標物体との相対速度測定値Sは、相対速度積分手段に入力され、上記一定時間と同一の時間における相対速度測定値Sの積分値ΔR2を算出する。ここで、相対速度測定値Sは、周波数変調幅Bに依存せずに算出することができる。
また、温度変化や経年変化などの理由により電圧制御発振器の変調特性の線形性が変化した場合には、変調特性の線形性が変化しても、必ずしも周波数変調幅Bが変化するとは限らないので、従来の周波数変調レーダ装置では、変調特性の線形性を補正することができず、特にビート信号の周波数を解析した場合には、目標物体の検出結果を表す周波数スペクトルが尖鋭でなくなることから、周波数スペクトルの尖頭レベルが低下するので、周波数の検知性能を悪化させるという課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係る周波数変調レーダ装置を示すブロック図である。
図1において、周波数変調レーダ装置は、変調電圧生成手段1と、電圧制御発振器2と、方向性結合器3と、送信アンテナ4と、受信アンテナ5と、ミキサ6と、距離情報算出手段7と、変調波形推定手段8と、変調電圧補正手段9とを備えている。
方向性結合器3は、電圧制御発振器2から生成された送信波信号を、送信アンテナ4およびミキサ6に電力分配する。
ミキサ6は、送信波W1および反射波W2を混合してビート信号Wbを形成する。
距離情報算出手段7は、ビート信号Wbに基づいて、目標物体に関する距離情報を算出する。
変調電圧補正手段9は、変調波形推定手段8により推定された変調波形に基づいて、変調電圧生成手段1から電圧制御発振器2に出力される制御電圧V0(t)を補正する。
また、変調波形推定手段8は、変調波形の時間微分値を多項式により近似するようになっている。
また、変調電圧補正手段9に対して変調電圧V0(t)の時間微分値dV0/dtを記憶させておくことのみで、変調電圧生成手段1においては、変調電圧V0(t)を記憶させずに、時間微分値dV0/dtの積分動作を行うことにより、変調電圧V0(t)を生成させてもよい。
図2は送信波W1の発振周波数f(t)の時間変化を示す説明図である。
図2に示すように、変調電圧V0(t)は、変調時間Tの間に、変調周波数幅がBとなるように、且つ、発振周波数f(t)が直線的に変化するように設定されている。すなわち、以下の式(1)で表されるような変調特性に設定されているものとする。
なお、発振周波数f(t)が時間tに応じて下降する変調期間(t0+T≦t≦t0+2T)に関しては、式(1)の右辺を「−B/T」に置換することにより、以下、全く同様に考えることができるので、詳細な説明は省略する。
ただし、前述のように、電圧制御発振器2の温度変化や経年変化などの理由により、式(1)で表される所望の変調波形とはならない可能性があることに注意する。
すなわち、各時刻tにおける実際の発振周波数(送信周波数)f1(t)は、設定した直線状の発振周波数f(t)とは、一般的にはわずかに異なるものと考える。また、実際に出力される周波数変調幅B1に関しても、所望の周波数変調幅Bとは一般的には異なるものと考える。
送信アンテナ4に入力された送信波W1は、目標物体に向けて放射され、目標物体で反射された後、反射波(受信波)W2として受信アンテナ5により受信され、さらにミキサ6に入力される。
なお、ミキサ6には、低域通過フィルタなどが設けられてもよく、これにより、送信波W1および反射波W2の混合作用で生成される不要な高周波成分を抑制してもよい。
ここで、fbuは、時間tの経過に応じて周波数fb(t)が上昇する変調期間(t0≦t≦t0+T)におけるビート周波数であり、fbdは、時間tの経過に応じて周波数fb(t)が下降する変調期間(t0+T≦t≦t0+2T)におけるビート周波数である。
すなわち、距離測定値Rは、以下の式(2)により算出される。
また、遅延時間tdは、変調時間T、周波数変調幅B、ビート周波数fbu、fbdを用いて、以下の式(3)のように表される。
また、ドップラ周波数fdは、ビート周波数fbu、fbdを用いて、以下の式(5)のように表される。
こうして算出された距離測定値Rおよび相対速度測定値Sは、それぞれ、目標物体に関する距離情報信号(距離信号および速度信号)として、距離情報算出手段7から外部機器(図示せず)に出力される。
また、遅延時間tdおよびドップラ周波数fdは、変調電圧V0(t)の補正処理(後述する)に寄与するために、変調波形推定手段8に入力される。
図3はビート信号Wbの変調電圧V0(t)を示す波形図であり、図4はビート周波数fb(t)の時間変化を示す説明図である。
図4においては、4分割されたビート信号の各ビート周波数fb1〜fb4が示されている。また、図4において、各ビート周波数fb1〜fb4を結ぶ直線(一点鎖線参照)は、ビート周波数fb(t)を多項式で近似した結果であり、ここでは、直線近似(1次多項式)を用いた場合を示している。
このとき、図4に示すように、変調時間(観測時間)T内におけるビート周波数fb(t)の時間変化が算出される。
ここで、図4内の一点鎖線のように導出されたビート周波数fb(t)の時間変化が、傾きα、切片βを用いて、以下の式(6)で表されているものと定義する。
このとき、実際の送信波W1の変調波形が直線性を失うことなく変調されていれば、ビート周波数Wbは、変調時間T内において傾きを持たず、傾きαが「0」、且つ、切片βが一定値、となることは言うまでもない。
また、式(7)で表される多項式の次数は、上記式(6)の「右辺の次数」+「1」、すなわち「2」とする。
このとき、送信波W1が直線性を失うことなく変調されていれば、定数a2が「0」であることは言うまでもない。
したがって、反射波W2の受信周波数f2(t)は、以下の式(8)のように表される。
こうして算出された定数a2、a1は、推定された変調波形情報として、変調電圧補正手段9に入力される。
変調電圧補正手段9は、変調波形推定手段8で推定された変調波形情報(a2,a1)に基づいて、変調波形の直線性および周波数変調幅Bを適正に保つように、変調電圧を補正する。
また、ビート信号Wbを等分割したが、ビート信号Wbの分割方法は、変調時間(観測時間)Tを等分割する方法に限定されるものではない。
また、変調波形の直線性が変化した場合にも、良好に変調電圧V0(t)を補正することが可能となり、高精度に且つ検出性能の悪化を招くことなく、目標物体に関する距離情報(目標物体までの距離Rおよび目標物体の相対速度S)を検出することができる。
Claims (4)
- 送信波信号を生成する電圧制御発振器と、
前記送信波信号に基づいて送信波を放射するとともに目標物体からの反射波を受信するためのアンテナと、
前記送信波および前記反射波を混合してビート信号を形成するためのミキサと、
前記電圧制御発振器に印加される制御電圧を指示する変調電圧生成手段と、
前記ビート信号に基づいて前記目標物体に関する距離情報を算出する距離情報算出手段と、
前記ビート信号および前記距離情報に基づいて前記送信波の変調波形を推定する変調波形推定手段と、
前記変調波形推定手段により推定された変調波形に基づいて、前記変調電圧生成手段から前記電圧制御発振器に出力される制御電圧を補正する変調電圧補正手段とを備え、
前記変調波形推定手段は、
前記ビート信号を所定数の区間に分割して、前記各区間について周波数解析を行い、前記周波数解析の結果に基づいて、前記ビート信号を時間関数として表し、
一方で、実際の変調波形を時間に対する多項式で表し、前記多項式および前記距離情報から時間関数として受信波形を推定し、
推定された前記受信波形と前記変調波形との差として推定ビート信号を算出し、
前記推定ビート信号と、前記時間関数として表された前記ビート信号との係数を比較することにより、前記実際の変調波形を推定することを特徴とする周波数変調レーダ装置。 - 前記変調波形推定手段は、前記変調波形の時間微分値を多項式により近似することを特徴とする請求項1に記載の周波数変調レーダ装置。
- 前記アンテナは、
前記送信波信号に基づいて送信波を放射する送信アンテナと、
前記目標物体からの反射波を受信するための受信アンテナと
により構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数変調レーダ装置。 - 前記アンテナは、一体構成の送受信アンテナにより構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数変調レーダ装置。
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