JP4207837B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4207837B2
JP4207837B2 JP2004134516A JP2004134516A JP4207837B2 JP 4207837 B2 JP4207837 B2 JP 4207837B2 JP 2004134516 A JP2004134516 A JP 2004134516A JP 2004134516 A JP2004134516 A JP 2004134516A JP 4207837 B2 JP4207837 B2 JP 4207837B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
downshift
output increase
control
engine output
increase control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004134516A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005315180A (ja
Inventor
哲司 小崎
山田  純
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2004134516A priority Critical patent/JP4207837B2/ja
Priority to US11/108,891 priority patent/US7563196B2/en
Publication of JP2005315180A publication Critical patent/JP2005315180A/ja
Priority to US11/730,448 priority patent/US7393305B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4207837B2 publication Critical patent/JP4207837B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

本発明は、運転者の減速意思に基づいて実行されるダウンシフトの制御技術を改良した自動変速機の制御装置に関する発明である。
近年の自動車の自動変速機は、油圧制御回路が切り換えられて油圧クラッチやブレーキ等の複数の摩擦系係合要素の係合状態が変更されることにより複数の変速段が達成される構成のものが多いが、このような自動変速機では、下り坂などでアクセルをOFF状態としても十分なエンジンブレーキ力が得られない場合、運転者がオーバードライブスイッチをOFFしたり、シフトレバーをDレンジからSレンジ、Lレンジへ切り換えたりなどして、ダウンシフトを行わせることにより、エンジンブレーキ力を増大させるようにしている。
ところで、このようなアクセルOFF状態で、運転者の減速意思(減速操作等)に基づいてエンジンブレーキ力を増大させるためのダウンシフトが行われる場合、ダウンシフトによって自動変速機の変速比が大きくなるため、それだけエンジンの回転数を上昇させる必要がある。しかし、このようなエンジンブレーキを必要とする運転モードにおいては、スロットル弁が通常閉じられているため、ダウンシフト後の変速段を達成するための摩擦係合要素によるトルク伝達によって、アウトプット側のトルクがエンジン側へ伝達されることにより、エンジン回転数が上昇させられることになる。このため、変速時間が長くなって必要なタイミングでエンジンブレーキの効果が得られなかったり、エンジン回転数の上昇に伴うイナーシャトルクが車両の制動トルクとなって現れ、一時的にエンジンブレーキ力が増大して変速ショックを生じると言う問題があった。また、自動変速機の油圧制御などにより摩擦係合要素の伝達トルクを急増させると、エンジン回転数が速やかに上昇して変速時間が短くなるものの、制動トルクが急増して変速ショックが一層大きくなってしまう。
このような問題を解決することを目的として、アクセルが略OFF状態で自動変速機がエンジンブレーキの作用する低速段へマニュアル操作によりダウンシフトされる際に、吸入空気量の増大と燃料カットの復帰(燃料噴射)を行って、エンジン出力を増大させる技術が特許文献1(特開平7−247874号公報)で提案されている。この特許文献1によれば、前記ダウンシフトにおいて変速が開始される以前にアイドル制御用のISCバルブを開き制御して吸入空気量を増大させ、回転部材の回転変化により変速の開始が検出されたときに燃料カット復帰制御により燃料供給を再開してエンジントルクを増大させることで、変速時間の短縮と変速ショックを防止するようにしている。
また、特許文献2(特開平10−18877号公報)には、ダウンシフト時のエンジン出力増大制御による変速ショック低減効果に着目し、マニュアルシフト操作によるダウンシフト時よりも、予め設定されたシフトスケジュールに応じた自動的なダウンシフト時において、前記エンジン出力増大制御によるトルク増大量を大きくする技術が提案されている。この技術は、前記マニュアルシフト操作によるダウンシフト時には、減速感が得られる適度な変速ショックを発生させるためにトルク増大量を比較的小さくし、一方、運転者の操作とは無関係に変速行われる自動的なダウンシフト時には、運転者に変速ショックを感じさせないようにトルク増大量を比較的大きくするというものである。
特開平7−247874号公報(第1頁〜第3頁等) 特開平10−18877号公報(第1頁〜第3頁等)
しかしながら、前記ダウンシフトにおいて増大させるエンジン出力量は、状況に応じた適正量に制御する必要がある。すなわち、出力増大量が過剰な場合には、エンジン回転数に過剰な吹き上がりが発生すると共に、変速終了までに余分な時間がかかるばかりか、吹き上がったエンジンの回転を係合側摩擦係合要素の係合力で低下させるために、摩擦係合要素において熱負荷が増大し、且つ、イナ−シャエネルギーによる変速ショックも発生する。一方、出力増大量が不足する場合には、係合側摩擦係合要素によってエンジン回転数を引き上げる従来の変速制御と同様な状況になるため、エンジン回転数を引き上がるために消費されるイナーシャトルクが車両の制動トルクになるための変速ショックを十分に緩和できない。従って、前記ダウンシフトにおけるエンジン出力増大制御の出力増大量は、当該ダウンシフトにおいて所望のエンジン回転数変化量が得られるように設定・制御する必要がある。
また、前記エンジン出力増大制御は、運転者の操作に依らず吸入空気量の増加とそれに伴う燃料の供給によって行われるため、市街地走行時や渋滞走行時などの緩減速にともなう予め定められたシフトスケジュールによるダウンシフト時にも作用させることは、特許文献2に示される変速ショックの低減の効果は得られるものの、エンジン回転数の急増による騒音の発生や当該制御に伴う消費燃料の増加による燃費の悪化を招くことから、得策でなはい。
本発明はこの様な事情を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、運転者の減速意思に基づいてダウンシフトを行う際に、車両の運転状況に応じて適正量のエンジン出力増大制御を実行できる自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、運転者の減速意思に基づいて変速機構がダウンシフトされる際に、運転者のアクセル操作によらずエンジン出力を増大させるエンジン出力増大制御を実行するエンジン出力増大制御手段を備えた自動変速機の制御装置において、前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に所望のエンジン回転数変化速度に対応するエンジントルクが発生するようにエンジン出力を増大させるエンジン制御量(以下「出力増大制御量」という)を設定するようにしたものである。本発明では、エンジン出力増大制御中に所望のエンジン回転数変化速度に対応するエンジントルクが発生するように出力増大制御量を設定するため、ダウンシフトにおいて変速により回転上昇が必要な部材(エンジン、トルクコンバータ等)のイナーシャトルクに対応する分だけエンジントルクを増大させることができ、常に過不足ない出力増大制御量を設定できて、前述した従来技術の様々な問題を解消することができる。
この場合、ダウンシフト中の必要なエンジン回転数変化速度は、変速によるギヤ比変化分と変速時間とに応じて変化する特性があるため、請求項2のように、エンジン出力増大制御中に変速によるギヤ比変化分と変速時間とに基づいて出力増大制御量を設定するようにしても良い。このようにすれば、必要なエンジン回転上昇に対応したイナーシャトルクに相当する分だけの出力増大制御量を精度良く設定できる。
また、請求項3のように、エンジン出力増大制御中に、車体減速度に基づいてエンジン制御量を減速時には出力減少側、加速時には出力増加側に補正するようにしても良い。このようにすれば、車速変化により変速後のエンジン回転数の予測値が機械的ギヤ比から算出されるものからずれることに対する出力増大制御量の過不足を補正することができる。
この場合、請求項4のように、走行する路面の勾配を判定する路面勾配判定手段を設け、エンジン出力増大制御中に前記路面勾配判定手段で判定した路面の勾配に基づいて出力増大制御量を上り勾配では出力減少側、下り勾配では出力増加側に補正するようにしても良い。このようにすれば、路面の勾配により車速が変化する場合でも、その車速変化により変速後のエンジン回転数の予測値が機械的ギヤ比から算出されるものからずれることに対する出力増大制御量の過不足を補正することができる。
また、請求項5のように、出力増大制御量の指令値を発してから実際にエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して出力増大制御量を設定するようにしても良い。このようにすれば、過渡的な出力増大制御量の過不足に対する補正を行うことができる。
また、請求項6のように、エンジン出力増大制御中に、前記所望のエンジン回転数又はエンジン回転数変化速度となるように目標エンジン回転数を設定し、出力増大制御量をフィードバック制御するようにしても良い。このようにすれば、エンジン出力増大制御を精度良く実行することができる。
また、請求項7のように、エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を設け、エンジン出力増大制御中に吸入空気量を増大させると共に、前記吸入空気量検出手段による吸入空気量の検出値に基づいて吸入空気量の増大量を補正するようにしても良い。このようにすれば、出力増大量に直接対応する吸入空気量の検出値に基づいてエンジン出力増大制御を精度良く実行することができる。
また、請求項8のように、エンジン出力増大制御が実行されるダウンシフトにおいては、実行されない場合に比べて、解放側の摩擦係合要素の作動油圧の低下と係合側の摩擦係合要素の作動油圧の上昇を共に促進させるか、解放側の摩擦係合要素の作動油圧の低下又は係合側の摩擦係合要素の作動油圧の上昇のどちらか一方を促進させる変速過渡油圧制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、エンジン出力増大制御が実行されるダウンシフトにおいて、変速の進行を促進させることができ、変速時間を短くすることができる。
また、請求項9のように、運転者のブレーキ操作によって発生するダウンシフトによってエンジンブレーキが作用する変速段へ強制変速されるときに、前記エンジン出力増大制御を実行するようにすると良い。このようにすれば、運転者のブレーキ操作によって発生するダウンシフトにおいて、エンジン出力増大制御により変速時間を短くして早期にエンジンブレーキを利かせることができると共に、変速ショックを低減することができる。
また、請求項10のように、運転者の減速意思に基づくダウンシフトであって、車体の減速度が所定値以上であるときに、前記エンジン出力増大制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、運転者の減速意思に基づくダウンシフトであっても、車体の減速度が小さい場合は、エンジン出力増大制御が不要と判断して、エンジン出力増大制御を実行しないようにすることができる。
また、請求項11のように、走行する道路形状(道路のカーブや路面の勾配等)を判定する道路形状判定手段と、前記道路形状判定手段の判定結果に基づいてダウンシフトを実行する道路形状ダウンシフト実行手段とを備えたシステムにおいては、前記道路形状ダウンシフト実行手段によるダウンシフトが実行されるときに、前記エンジン出力増大制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、道路形状に応じて自動的にダウンシフトが実行される場合でも、変速時間を短くできると共に、変速ショックを低減することができる。
また、請求項12のように、運転者によるシフトレバーやスイッチ等の操作によって発生するダウンシフト(以下「マニュアルダウンシフト」という)である場合と、車体の減速度やブレーキ操作によって発生するダウンシフト(以下「オートダウンシフト」という)である場合と、変速線で予め設定されるシフトスケジュールによって発生するダウンシフト(以下「コーストダウンシフト」という)である場合に、前記エンジン出力増大制御を実行すると共に、前記マニュアルダウンシフトと前記オートダウンシフトと前記コーストダウンシフトとの間でエンジン出力増大量又はその目標値を変更するようにしても良い。このようにすれば、ダウンシフトの種類に応じてエンジン出力増大量又はその目標値を変更することができるので、ダウンシフトの種類に応じて変速ショックと変速時間に関してより良いフィーリングが得られるように設定することができる。
この場合、請求項13のように、前記コーストダウンシフトよりも前記マニュアルダウンシフト又は前記オートダウンシフトの方がエンジン出力増大量又はその目標値が大きくなるように制御するようにすると良い。このようにすれば、運転者の変速意思を明確に反映して発生するマニュアルダウンシフトや、運転者の運転操作に起因して自動変速されるオートダウンに対しては変速時間の短縮と変速ショックの低減効果が得られる一方、惰行減速や緩減速時に発生するコーストダウンシフト時には、エンジン回転数の急増による騒音の発生や当該制御に伴う消費燃料の増加による燃費の悪化を招くことなくダウンシフトを実行できる利点がある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図21に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて内燃機関であるエンジン11の制御システム全体の概略構成を説明する。エンジン11の吸気管12の上流側にはエアクリーナ13が装着され、その下流側には吸入空気量Ga を測定するエアフローメータ14(吸入空気量検出手段)が設置され、更に、その下流側にスロットルバルブ15が設けられている。このスロットルバルブ15の回動軸15aにはDCモータ等のモータ17が連結され、このモータ17の駆動力によってスロットルバルブ15の開度(スロットル開度)が制御され、このスロットル開度がスロットル開度センサ18によって検出される。
スロットルバルブ15を通過した吸入空気をエンジン11の各気筒に導入する吸気マニホールド19には、インジェクタ20が取り付けられ、また、エンジン11の各気筒のシリンダヘッドには点火プラグ21が取り付けられている。エンジン11のクランク軸22に嵌着されたシグナルロータ23の外周に対向してクランク角センサ24が設置され、このクランク角センサ24から出力されるエンジン回転数信号NeのパルスがエンジンECU25に取り込まれ、このエンジン回転数信号Neの発生周波数によってエンジン回転数が検出される。
一方、アクセルペダル26の踏込量(アクセル操作量)がアクセルセンサ27によって検出され、このアクセル操作量に応じた電圧信号Apが電子制御ユニット25にA/D変換器28を介して取り込まれる。また、エアフローメータ14で検出した吸入空気量Ga やスロットル開度センサ18で検出したスロットル開度TAの各電圧信号も、エンジンECU25にA/D変換器28を介して取り込まれる。
このエンジンECU25は、CPU29、ROM30、RAM31等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成され、ROM30に記憶されているエンジン制御用の各種ルーチンをCPU29で実行することで、点火プラグ21の点火時期を制御すると共に、インジェクタ駆動回路45を介してインジェクタ20に与える噴射信号のパルス幅を制御し、燃料噴射量を制御する。
また、エンジンECU25は、ROM30に記憶されているスロットル制御用の各種ルーチンをCPU29で実行することで、スロットル開度センサ18で検出したスロットル開度を目標スロットル開度に一致させるように、モータ駆動回路32を介してスロットルバルブ15のモータ17をPID制御等によりフィードバック制御する。尚、電子スロットルシステムの異常時には、モータ駆動回路32からモータ17への通電路中に設けられた安全回路46が作動して、モータ17への通電がOFFされた状態に保たれる。この状態では、退避走行を可能にするために、スロットル開度が所定開度に保持される。
次に、図2及び図3に基づいて自動変速機51の概略構成を説明する。図3に示すように、エンジン11の出力軸には、トルクコンバータ52の入力軸53が連結され、このトルクコンバータ52の出力軸54に、油圧駆動式の変速歯車機構55(変速機構)が連結されている。トルクコンバータ52の内部には、流体継手を構成するポンプインペラ71とタービンランナ72が対向して設けられ、ポンプインペラ31とタービンランナ72との間には、オイルの流れを整流するステータ73が設けられている。ポンプインペラ71は、トルクコンバータ52の入力軸53に連結され、タービンランナ32は、トルクコンバータ52の出力軸54に連結されている。
また、トルクコンバータ52には、入力軸53側と出力軸54側との間を係合又は切り離しするためのロックアップクラッチ56が設けられている。エンジンの出力トルクは、トルクコンバータ52を介して変速歯車機構55に伝達され、変速歯車機構55の複数のギヤ(遊星歯車等)で変速されて、車両の駆動輪(前輪又は後輪)に伝達される。
変速歯車機構55には、複数の変速段を切り換えるための摩擦係合要素である複数のクラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1が設けられ、図4に示すように、これら各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1の係合/解放を油圧で切り換えて、動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることによって変速比を切り換えるようになっている。
尚、図4は4速自動変速機のクラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1の係合の組合せを示すもので、○印はその変速段で係合状態(トルク伝達状態)に保持されるクラッチとブレーキを示し、無印は解放状態を示している。例えば、Dレンジのスロットル踏み込み状態では、車速が上がるにつれて、1速、2速、3速、4速へとアップシフトしていく。1速から2速への変速では、C0及びB0の係合からB0を解放し、新たにB1を係合する。2速から3速への変速では、C0及びB1の係合からB1を解放し、新たにC2を係合する。3速から4速への変速では、C0及びC2の係合からC0を解放し、新たにB1を係合する。
ここで、例えば、2速から3速への変速時に、B1が何らかの原因で油圧が低圧状態にならず係合状態で固定された場合は、C2を係合することにより、インターロックが発生して駆動輪が停止してしまうことを回避するフェールセーフ機構を設けている。具体的には、変速歯車機構55内の各クラッチに作用する油圧を検出できる位置に各クラッチ毎に油圧スイッチ(図示せず)をフェール検出手段として設置している。この油圧スイッチは、実油圧が閾値以上のときにON(Hi出力)し、実油圧が閾値未満のときにOFF(Lo出力)するように構成され、この油圧スイッチの出力(実油圧)と油圧指令値との関係が合致するか否かを判定することで、異常のあるクラッチを検出するようにしている。この検出結果に基づき、上記のようなインターロックが発生する変速段に変速しないように制御している。
図2に示すように、変速歯車機構55には、エンジン動力で駆動される油圧ポンプ58が設けられ、作動油(オイル)を貯溜するオイルパン(図示せず)内には、油圧制御回路57が設けられている。この油圧制御回路57は、ライン圧制御回路59、自動変速制御回路60、ロックアップ制御回路61、手動切換弁66等から構成され、オイルパンから油圧ポンプ58で汲み上げられた作動油がライン圧制御回路59を介して自動変速制御回路60とロックアップ制御回路61に供給される。ライン圧制御回路59には、油圧ポンプ58からの油圧を所定のライン圧に制御するライン圧制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられ、自動変速制御回路60には、変速歯車機構55の各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1に供給する油圧を制御する複数の変速用の油圧制御弁(油圧制御手段)が設けられている。また、ロックアップ制御回路61には、ロックアップクラッチ56に供給する油圧を制御するロックアップ制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられている。
各油圧制御弁は、例えばリニアソレノイドバルブにより構成され、所定のデューティにて電圧を印加して流れる電流により発生する吸引力にて油圧を制御している。このため、油圧制御弁の電流と油圧は、密接な関係となり、電流値を制御することにより油圧を制御している。また、デューティに対する電流値のばらつきを吸収するため、電流値を自動変速機電子制御回路(以下「AT−ECU」と表記する)70の図示しない電流検出手段によりモニタし、電流値をフィードバック制御するようにしている。
また、ライン圧制御回路59と自動変速制御回路60との間には、シフトレバー65の操作に連動して切り換えられる手動切換弁66が設けられている。シフトレバー65がニュートラルレンジ(Nレンジ)又はパーキングレンジ(Pレンジ)に操作されているときには、自動変速制御回路60の油圧制御弁への通電が停止(OFF)された状態になっていても、手動切換弁66によって変速歯車機構55に供給する油圧が変速歯車機構55をニュートラル状態とするように切り換えられる。
一方、変速歯車機構55には、変速歯車機構55の入力軸回転速度Nt(トルクコンバータ52の出力軸回転速度)を検出する入力軸回転速度センサ68と、変速歯車機構55の出力軸回転速度Noを検出する出力軸回転速度センサ69が設けられている。
これら各種センサの出力信号は、AT−ECU70に入力される。このAT−ECU70は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各ルーチンを実行することで、予め設定した図5の変速パターンに従って変速歯車機構55の変速が行われるように、シフトレバー65の操作位置や運転条件(スロットル開度、車速等)に応じて自動変速制御回路60の各油圧制御弁への通電を制御して、変速歯車機構55の各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1に作用させる油圧を制御することによって、図4に示すように、各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1の係合/解放を切り換えて、動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることで、変速歯車機構55の変速比を切り換える。
この際、AT−ECU70は、ダウンシフトを行う場合は、図6、図7に示すように制御する。以下の説明では、クラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1を総称して単に「クラッチ」と簡略化して表記する。また、ダウンシフト制御時に係合状態から解放状態に切り換えるクラッチを「解放側クラッチ」と表記し、解放状態から係合状態に切り換えるクラッチを「係合側クラッチ」と表記する。
図6は、運転者がアクセルペダル26を踏み込んでダウンシフトする“パワーオンダウンシフト”の制御例を示すタイムチャートであり、図7は、運転者の意思によらないダウンシフト中にエンジン出力増大制御を実行する“ETC協調ダウンシフト”の制御例を示すタイムチャートである。
まず、図6を用いてパワーオンダウンシフトの制御例を説明する。
運転者がアクセルペダル26を大きく踏み込んでスロットル開度が急激に開放されると、パワーオンダウンシフトと判定されて、ダウンシフトの変速指令が出力される。この時点t0 で、解放側クラッチの油圧指令値を初期油圧まで低下させた後、解放側クラッチの油圧指令値を一定勾配で低下させる。これにより、解放側クラッチの係合力が低下して入力トルクを伝達しきれなくなるため、変速歯車機構55の入力軸回転速度Nt(トルクコンバータ52の出力軸回転速度)が上昇し始める。
また、ダウンシフトの変速指令が出力された時点t0 で、係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になるように、係合側クラッチの油圧指令値を所定の充填油圧Po に設定して、係合側クラッチに作動油を充填する充填制御を実行する。この充填制御を所定時間tF だけ実行して係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になった時点t1 で、係合側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtApまで低下させて充填制御を終了する。この後は、この待機油圧PtApによって係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態に保持される。この待機油圧PtApは、係合側クラッチのリターンスプリングのセット荷重相当油圧PsAp付近に設定されている。
その後、入力軸回転速度Ntの吹き上り(Ntの変化率≧判定値)を検出した時点t2 で、入力軸回転速度Ntの吹き上り勾配が所定値になるように解放側クラッチの油圧をフィードバック制御する。このフィードバック制御中は、解放側クラッチの油圧指令値がリターンスプリングのセット荷重相当油圧PsDrよりも少し高くなっている。そして、変速進行割合SftR[=100×(入力軸回転速度Nt−出力軸回転速度No ×変速前ギヤ比)/(出力軸回転速度No ×変速後ギヤ比−出力軸回転速度No ×変速前ギヤ比)]が所定値Bに達した時点t3 で、係合側クラッチの油圧指令値を一定勾配で増加させる制御を開始する。その後、変速進行割合SftRが所定値Aに達した時点t4 で、解放側クラッチの油圧指令値を一定勾配で低下させる。
そして、変速進行割合SftRが所定値Cに達した時点t5 で、係合側クラッチの油圧指令値を最高圧に設定して、係合側クラッチの油圧を最高圧まで増加させる。このように制御することで、入力軸回転速度Ntがダウンシフト先の低速段相当の回転速度に上昇するタイミングに合わせて係合側クラッチの係合力を増加させてダウンシフトを完了する。
次に、図7を用いてETC協調ダウンシフトの制御例を説明する。ETC協調ダウンシフト実行条件が成立してダウンシフトの変速指令が出力された時点t0 で、解放側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtDr(解放側クラッチのリターンスプリングのセット荷重相当油圧PsDrよりも少し低い油圧)まで速やかに低下させる。この後は、この待機油圧PtDrによって解放側クラッチが係合力を発生する直前の状態に保持される。このようにする理由は、エンジン出力増大制御による入力軸回転速度Ntの吹き上がりを促進すると共に、該エンジン出力増大制御に伴う車両の飛び出し感を抑制するためである。
このETC協調ダウンシフトにおいても、係合側クラッチの油圧制御は、パワーオンダウンシフトとほぼ同じであり、ダウンシフトの変速指令が出力された時点t0 で、係合側クラッチの油圧指令値を所定の充填油圧Po に設定して、係合側クラッチに作動油を充填する充填制御を実行する。この充填制御を所定時間tF だけ実行して係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になった時点で、係合側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtAp(係合側クラッチのリターンスプリングのセット荷重相当油圧PsAp付近)まで低下させて充填制御を終了する。この後は、係合クラッチによる待機油圧PtApによって係合側クラッチが係合力を所望のエンブレ感が発生する状態に保持される。その後の増圧制御については、前述のパワーオンダウンシフトと同様の処理が実施される。
このETC協調ダウンシフトの特徴は、次のようにしてエンジン出力増大制御を実行することである。解放側クラッチの実油圧が待機油圧PtDrまで低下する過程で、解放側クラッチの伝達トルク容量が小さく又は無くなって、エンジン出力が増大しても加速感を生じない“開始油圧”まで低下した時点t6 で、エンジン出力増大制御を開始する。
この際、解放側クラッチの実油圧が開始油圧以下に低下する時点t6 を推定するために、解放側クラッチの油圧指令値に対する実油圧の応答を“1次遅れ+むだ時間”の伝達特性にて近似し、この伝達特性にて演算した実油圧の推定値を前記開始油圧と比較し、実油圧の推定値が前記開始油圧まで低下した時点t6 で、エンジン出力増大制御の開始タイミングに到達したと判定する。
このエンジン出力増大制御の開始タイミングと判定された時点t6 で、目標スロットル開度を後述する方法で演算してスロットル開き制御を開始して、それからやや遅れた時点t7 で、燃料カットフラグ(以下「F/Cフラグ」と表記する)をOFFして、燃料噴射復帰制御を開始し、燃料噴射を再開する。
このエンジン出力増大制御(スロットル開き制御と燃料噴射復帰制御)の開始から所定の遅れを持ってエンジン出力が増大する。このエンジン出力増大が遅れる要因として、スロットル開き制御に関しては、スロットルバルブ15の開弁動作の応答遅れ(Ta)と、スロットルバルブ15が実際に開いた時期からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tb)があり、燃料噴射復帰制御に関しては、燃料噴射を再開してからエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tc)がある。
ここで、スロットルバルブ15の開弁動作の応答遅れ(Ta)については、電子スロットルシステムのモータ17の駆動応答性に関連したパラメータ(冷却水温、バッテリ電圧等)のマップにより演算される。また、スロットルバルブ15の開放からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tb)については、スロットルバルブ15の開放により増加した吸入空気がシリンダ内に吸入されてから燃焼に至るまでの遅れと、吸気流速に関連したパラメータ(エンジン回転数、スロットル開度等)のマップにより演算される。また、燃料噴射再開からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tc)については、燃料噴射から燃焼に至るまでの時間(クランク軸が720℃A回転するのに要する時間T720℃A)により設定される。
前述したスロットル開き制御(エンジン出力増大制御)の開始タイミング判定により制御開始と判定されると、所望の変速時間及び変速フィーリングを実現する入力軸回転速度Nt挙動となるように設定された目標スロットル開度を出力して保持する。この目標スロットル開度は、エンジン11のフリクションロス、変速前後の入力軸回転速度Ntの変化量に影響を与えるパラメータ(変速パターン[ギヤ比変化]、冷却水温、入力軸回転速度Nt等)の検出結果及び所望の変速時間に基づき設定される。更に、路面勾配の大きさや車体の減速度の大きさによって目標スロットル開度を変更すれば、よりフィーリングを詳細に所望の状態に合わせることができる。この場合、減速時は、目標スロットル開度を少なく、加速時は多く設定される。また、目標スロットル開度は、エアフロメータ14の出力にて補正されるようになっている。これにより、解放側クラッチの油圧が待機油圧PtDr付近に到達した時点で変速歯車機構55の入力軸回転速度Nt(トルクコンバータ52の出力軸回転速度)が上昇し始める。
このエンジン出力増大制御の実行中は、最終的にダウンシフトが終了する時点(変速進行割合SftRが100%となる時点)に合わせてエンジン出力増大制御による実際のエンジン出力増大を終了させるための終了判定をしつつ所定量のエンジン出力増大量を保持している。この終了判定は、前記変速進行割合SftR及び該変速進行割合の単位時間ΔT当たりの変化量ΔSftRにより終了指令から実際にエンジン出力増大がなくなるまでの応答遅れ分を考慮し、この応答遅れ分を相殺可能な制御終了時期は、変速進行割合SftRがいくつになった時点かを演算し、変速進行割合SftRがその演算値を上回ったか否かにて、ダウンシフトが実質的に終了する所定の状態になったか否かを判定して、エンジン出力増大制御であるスロットル開き制御及び燃料噴射復帰制御の終了時期(t8 )を判定する。その結果、終了時期(t8 )と判定されると、スロットル開き制御においては、目標スロットル開度を“0”に減衰させるべく、終了制御を実施する。この終了制御では、電子スロットルの過渡再現性が確保するために所定の勾配をもってスロットル開き制御指令値を“0”まで減衰させている。また、燃料噴射復帰制御については、終了判定に従いF/CフラグをONに復帰させて燃料カットを再開する。但し、エンジン回転数の急激な低下その他の原因でエンジン11側からの燃料カット要求が消滅した場合は、この限りでない。
エンジン出力増大終了応答遅れの要因として、スロットル開き制御に関しては、スロットルバルブ15の全閉動作の応答遅れ(Td)と、スロットルバルブ15が実際に全閉してから実際にエンジン出力増大がなくなるまでの応答遅れ(Te)と、更に終了判定から目標スロットル開度を“0”に減衰させるまでの時間(Tsd)がある。また、燃料噴射復帰制御に関しては、燃料カットを再開してからエンジン出力がなくなるまでの応答遅れ(Tf)がある。
ここで、スロットルバルブ15の閉弁動作の応答遅れ(Td)については、電子スロットルシステムのモータ17の駆動応答性に関連したパラメータ(冷却水温、バッテリ電圧等)のマップにより演算される。また、スロットルバルブ15の全閉からエンジン出力増大がなくなるまでの応答遅れ(Te)については、スロットルバルブ15の全閉により減少した吸入空気がシリンダ内に吸入されてから燃焼に至るまでの遅れと、吸気流速に関連したパラメータ(エンジン回転数、スロットル開度等)のマップにより演算される。また、終了判定から目標スロットル開度を“0”に減衰させるまでの時間(Tsd)については、目標スロットル開度/減衰勾配により算出される。また、燃料カットを再開してからエンジン出力がなくなるまでの応答遅れ(Tf)については、燃料カット再開から燃料カットを実施した気筒が燃焼行程に至るまでの時間(クランク軸が720℃A回転するのに要する時間T720℃A)により設定される。
前述したように、本実施例1では、エンジン出力増大制御(スロットル開き制御及び燃料噴射復帰制御)の実行中に、変速進行割合SftRが所定値Eに達した時点t8 で、エンジン出力増大制御の終了制御を開始し、目標スロットル開度を所定の勾配で“0”に減衰させると共に、上記各応答遅れTsd、Td、Te、Tfを演算して、終了制御によりエンジン出力がなくなる時点t10を予測し、この時点t10を基準にして、燃料カットを再開してからエンジン出力がなくなるまでの応答遅れ(Tf)を考慮して、燃料カットを再開する時点t9 を予測する。そして、この時点t9 に到達したときに、F/CフラグをONに復帰させて燃料カットを再開する。
一方、解放側クラッチの油圧指令値に関しては、変速進行割合SftRが100%に到達した時点で一定勾配で減衰させる。このように制御することで、ETC協調ダウンシフトを完了する。
次に、エンジン出力増大制御による出力増大制御量(目標スロットル開度)の設定方法を説明する。本実施例1では、エンジン出力増大制御中に所望のエンジン回転数変化速度dNe/dtに対応するエンジントルク(要求トルクTe)が発生するように目標スロットル開度tangleatを設定する。具体的には、次のようにして演算する。図21に示すように、まず、エンジン回転数変化速度dNe/dtを演算して、このエンジン回転数変化速度dNe/dtにエンジン側イナーシャIeを乗算して、要求トルクTeを求める。
Te=Ie×dNe/dt
尚、上式の代わりに、下記の式により要求トルクTeを算出するようにしても良い。
Te=Ie×{Ne0×(gr2/gr1)/Tt}
gr1:変速前ギヤ比
gr2:変速後ギヤ比
Tt:目標変速時間
Ie:エンジン側イナーシャ
Ne0:時刻t0におけるエンジン回転数
この後、エンジン回転数neと要求トルクTeをパラメータとするスロットル開度変化量dTAOの算出マップを検索して、瞬時瞬時の目標エンジン回転数Neと要求トルクTeに応じた要求スロットル開度変化量dTAOを算出する。
そして、目標スロットル開度tangleatを電子スロットルシステムに出力してから実際に吸入空気量が増減してエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して、要求スロットル開度変化量dTAOを応答遅れ補償処理して、応答遅れを補償した要求スロットル開度変化量dTAO’を求める。この後、前回の目標スロットル開度tangleatに上記応答遅れ補償後の要求スロットル開度変化量dTAO’を加算して、今回の目標スロットル開度tangleatを求める。
この場合、エンジン出力増大制御が実行されるダウンシフトにおいては、実行されない場合に比べて、解放側クラッチの作動油圧の低下を促進させ、かつ/または係合側クラッチの作動油圧の上昇を促進させるようにすると良い。このようにすれば、エンジン出力増大制御が実行されるダウンシフトにおいて、変速の進行を促進させることができ、変速時間を短くすることができる利点がある。
以上説明した本実施例1の変速制御は、AT−ECU70とエンジンECU25とが強調して以下の各ルーチンに従って実行される。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[変速制御]
図8の変速制御ルーチンは、エンジン運転中に所定時間毎(例えば8〜32msec毎)に実行される変速制御のメインルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ100で、変速が必要か否か(変速指令が出力されたか否か)を判定し、変速が必要でなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、変速が必要であれば、ステップ101に進み、後述する図9の変速種類判定ルーチンを実行して、現在の変速指令に対応する変速種類を判定する。この後、ステップ102に進み、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcがETC協調ダウンシフト実行中を意味するONにセットされているか否かを判定し、OFFにセットされていれば、ステップ105に進み、変速種類に応じた変速油圧制御ルーチン(図示せず)を実行して、現在の変速指令に応じた変速段に変速して本ルーチンを終了する。
これに対して、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcがONにセットされていれば、ステップ102からステップ103に進み、後述する図13のスロットル開き制御ルーチンを起動して、スロットル開き制御を実行し、次のステップ104で、後述する図18の燃料噴射復帰制御ルーチンを起動して、燃料噴射復帰制御を実行する。この後、ステップ105に進み、後述する図10の変速油圧制御ルーチンを実行して、現在の変速指令に応じた変速段に変速して本ルーチンを終了する。
[変速種類判定]
次に、図8の変速制御ルーチンのステップ101で実行される図9の変速種類判定ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まずステップ111で、現在の変速指令がアップシフトかダウンシフトかを判定し、アップシフトと判定されれば、ステップ112に進み、自動変速機51に加わる負荷状態がパワーオン(エンジン11側から自動変速機51が駆動される状態)かパワーオフ(駆動輪側から自動変速機51が駆動される状態)かを判定する。そして、この判定結果に応じて、現在の変速指令に応じた変速種類がパワーオンアップシフト(ステップ118)、パワーオフアップシフト(ステップ119)のいずれに該当するかを判定する。
これに対して、ステップ111で、ダウンシフトと判定されれば、ステップ113に進み、自動変速機51に加わる負荷状態がパワーオンかパワーオフかを判定し、パワーオフと判定されれば、運転者の減速意思によるダウンシフトであるか否かを判定する。ここでは、シフトレバー16の操作によるセレクトシフト、マニュアルモードにおけるステアリング部分に搭載されたスイッチ又はシフトレバー16での操作によるスポーツシフトのいずれかの場合、運転者の減速意思によるダウンシフトと判定する。運転者の減速意思によるダウンシフトと判定された場合、ステップ116に進み、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立しているか否かを、例えば制御性確保のために、作動油の油温が、油圧指令値に対する油圧応答の再現性の良い温度領域であるか否かを判定する。その結果、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立していると判定された場合は、ステップ117に進み、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcをONにセットした後、ステップ121に進み、現在の変速の種類をETC協調ダウンシフトと判定する。
また、前記ステップ115で運転者の減速意思によるダウンシフトでないと判定された場合、又は、ステップ116でETC協調ダウンシフト実行条件が不成立と判定された場合は、ステップ122に進み、現在の変速の種類をパワーオフダウンシフトと判定する。
一方、前記ステップ113で、パワーオンと判定された場合は、ETC協調ダウンシフト制御(エンジン出力増大制御)によるパワーオンと、アクセルペダル26の踏み込みによるパワーオンとを区別するため、ステップ114に進み、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcがONにセットされているか否かを判定し、ONにセットされていれば、ステップ121に進み、現在の変速の種類がETC協調ダウンシフトと判定し、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcがOFFにセットされていれば、ステップ120に進み、現在の変速の種類がパワーオンダウンシフトと判定する。
[変速油圧制御]
図10の変速油圧制御ルーチンは、変速種類がETC協調ダウンシフトの場合に実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ131で、後述する図11に示す解放側クラッチ油圧制御ルーチンを実行して、解放側クラッチの油圧を制御すると共に、次のステップ132で、後述する図12に示す係合側クラッチ油圧制御ルーチンを実行して、係合側クラッチの油圧を制御する。
この後、ステップ133に進み、ダウンシフトが完了したか否かを、後述する制御段階フラグFlag1=4、且つ、Flag2=5であるか否かで判定する。そして、ダウンシフトが完了した時点で、ステップ134に進み、制御段階フラグFlag1とFlag2を共に初期値「0」にリセットすると共に、その他のフラグxEtc、xEtcTSt、xEtcFSt、xEtcTEd、xEtcFEdを全て「OFF」にリセットして、本ルーチンを終了する。
[解放側クラッチ油圧制御]
次に、図10の変速油圧制御ルーチンのステップ131で実行される図11の解放側クラッチ油圧制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まずステップ141で、制御段階フラグFlag1の値が0〜3のいずれであるか否かで、現在の解放側クラッチ油圧制御の段階を判定する。この制御段階フラグFlag1は、解放側クラッチ油圧制御の各段階に進む毎に1ずつ増加するフラグであり、初期値は0で最大値は4である。従って、解放側クラッチ油圧制御は、4段階のシーケンス制御となる。
解放側クラッチ油圧制御を開始する時点t0 では、制御段階フラグFlag1は初期値(0)に設定されているため、ステップ142に進み、制御段階フラグFlag1を「1」にセットして、次のステップ143に進み、今回のETC協調ダウンシフトで解放制御する解放側クラッチ(y)の実油圧推定値Prealの初期値を当該解放側クラッチ(y)の油圧指令値PyDrで更新した後、ステップ144に進み、当該解放側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtDrに設定して、解放側クラッチに供給する油圧を待機油圧PtDrまで低下させる(第1段階の制御)。
次回の本ルーチンの起動時には、既にFlag1=1になっているため、ステップ145に進み、解放側クラッチの油圧を待機油圧PtDrに保持し、次のステップ146で、変速進行割合SftRが100%に近い所定値Fに達したか否かを判定し、所定値Fに達していなければ、そのまま本ルーチンを終了する。その後、変速進行割合SftRが所定値Fに達した時点で、ステップ147に進み、制御段階フラグFlag1を「2」にセットして、この第2段階の制御を終了し、第3段階の制御に移行する。
この第3段階の制御では、まずステップ148で、解放側クラッチの油圧指令値を一定勾配で低下させる。そして、次のステップ149で、解放側クラッチの油圧指令値が0以下に低下したか否かを判定し、解放側クラッチの油圧指令値が0以下に低下するまで、この第3段階の制御(油圧減圧制御)を継続する。その後、解放側クラッチの油圧指令値が最小値(0以下)まで低下した時点で、ステップ150に進み、制御段階フラグFlag1を「3」にセットして、この第3段階の制御を終了し、第4段階の制御に移行する。
この第4段階の制御では、まずステップ151で、解放側クラッチの油圧指令値を0に設定して、解放側クラッチを完全に解放させた状態に維持する。そして、次のステップ152で、制御段階フラグFlag1を「4」にセットして解放側クラッチ油圧制御を終了する。
[係合側クラッチ油圧制御]
次に、図10の変速油圧制御ルーチンのステップ132で実行される図12の係合側クラッチ油圧制御ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まずステップ161で、制御段階フラグFlag2の値が0〜4のいずれであるか否かで、現在の係合側クラッチ油圧制御の段階を判定する。この制御段階フラグFlag2は、係合側クラッチ油圧制御の各段階に進む毎に1ずつ増加するフラグであり、初期値は0で最大値は5である。従って、係合側クラッチ油圧制御は、5段階のシーケンス制御となる。
係合側クラッチ油圧制御を開始する時点t0 では、制御段階フラグFlag2は初期値(0)に設定されているため、ステップ162に進み、係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になるように、係合側クラッチの油圧指令値を所定の充填油圧Po に設定して、係合側クラッチに作動油を充填する充填制御を実行する。そして、次のステップ163で、制御段階フラグFlag2を「1」にセットした後、ステップ164に進み、充填制御時間をカウントするタイマtを0にリセットして、本ルーチンを終了する。
次回の本ルーチンの起動時には、既にFlag2=1になっているため、ステップ165に進み、充填制御時間タイマtをカウントアップして、現在までの充填制御時間をカウントし、次のステップ166で、充填制御時間タイマtの値が所定時間tF 以上になったか否かを判定し、充填制御時間が所定時間tF になるまでは、係合側クラッチの油圧指令値を充填油圧Po に保持して、充填制御を継続する(ステップ169)。
ここで、所定時間tF は、充填制御により係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になるのに必要な時間であり、予め実験又はシミュレーション等により設定されている。
その後、充填制御時間が所定時間tF になった時点(充填制御により係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態になった時点)で、ステップ167に進み、制御段階フラグFlag2を「2」にセットし、次のステップ168で、係合側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtApまで低下させて充填制御を終了する。この後は、待機油圧PtApによって係合側クラッチが係合力を発生する直前の状態に保持される。
係合側クラッチの油圧を待機油圧PtApに制御しているときには、制御段階フラグFlag2が「2」になっているため、ステップ170に進み、変速進行割合SftRが所定値D(図7参照)に達したか否かを判定し、変速進行割合SftRが所定値Dに達するまでは、係合側クラッチの油圧指令値を待機油圧PtApに保持する(ステップ173)。
その後、変速進行割合SftRが所定値Dに達した時点で、ステップ171に進み、制御段階フラグFlag2を「3」にセットし、次のステップ172で、係合側クラッチの油圧指令値を一定勾配で増加させる制御に移行する。
この後、本ルーチンが起動された時は、制御段階フラグFlag2が「3」になっているため、ステップ174に進み、変速進行割合SftRが100%に近い所定値Gに達したか否かを判定し、変速進行割合SftRが所定値Gに達するまでは、係合側クラッチの油圧指令値を一定勾配で増加させる制御を継続する(ステップ177)。
その後、変速進行割合SftRが所定値Gに達した時点で、ステップ175に進み、制御段階フラグFlag2を「4」にセットし、次のステップ176で、係合側クラッチの油圧指令値を最高圧に設定して、係合側クラッチの油圧を最高圧まで増加させる。このように制御することで、入力軸回転速度Ntがダウンシフト先の低速段相当の回転速度に上昇するタイミングに合わせて、係合側クラッチの係合力を増加させてダウンシフトを完了する。
この後、本ルーチンが起動された時は、制御段階フラグFlag2が「4」になっているため、ステップ178に進み、制御段階フラグFlag2が「4」にセットされてから所定時間が経過したか否か(つまり変速進行割合SftRが所定値Gに達してから所定時間が経過したか否か)を判定し、所定時間が経過した時点で、ステップ179に進み、制御段階フラグFlag2を「5」にセットして、係合側クラッチ油圧制御を終了する。
[スロットル開き制御]
図13のスロットル開き制御ルーチンは、図8の変速制御ルーチンのステップ103で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいうエンジン出力増大制御手段としての役割を果たす。
本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、スロットル開き制御開始フラグxEtcTStがスロットル開き制御の開始前を意味するOFFであるか否かを判定し、OFFであれば、ステップ203に進み、後述する図14のスロットル開き制御開始判定ルーチンを実行して、スロットル開き制御の開始タイミングであるか否かを判定し、その判定結果に応じてスロットル開き制御開始フラグxEtcTStをセット/リセットする。
この後、ステップ205に進み、スロットル開き制御開始フラグxEtcTStが引き続きOFFのままであるか否かを判定し、OFFのままであれば、ステップ207に進み、スロットル開き制御開始前の吸入空気量の記憶値GaBを現在のエアフローメータ14の検出値Gaで更新して本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ205で、スロットル開き制御開始フラグxEtcTStがONにセットされたと判定された場合は、ステップ209に進み、後述する図16の目標スロットル開度演算ルーチンを実行して目標スロットル開度tangleatを設定する。この後、ステップ210に進み、後述する図17の目標スロットル開度補正制御ルーチンを実行して、本ルーチンを終了する。
また、前記ステップ201で、スロットル開き制御開始フラグxEtcTStがスロットル開き制御の実行中を意味するONであると判定された場合には、ステップ202に進み、スロットル開き制御終了フラグxEtcTEdがスロットル開き制御の終了前を意味するOFFであるか否かを判定し、OFFであれば、ステップ204に進み、後述する図15のスロットル開き制御終了判定ルーチンを実行して、スロットル開き制御の終了タイミングであるか否かを判定し、その判定結果に応じてスロットル開き制御終了フラグxEtcTStをセット/リセットする。
この後、ステップ206に進み、スロットル開き制御終了フラグxEtcTEdが引き続きOFFのままであるか否かを判定し、OFFのままであれば、ステップ209、210の処理を実行して、スロットル開き制御を継続する。
これに対して、上記ステップ206で、スロットル開き制御終了フラグxEtcTEdがONにセットされたと判定された場合は、ステップ208に進み、目標スロットル開度tangleatを所定量dtangleatずつ減量補正して、目標スロットル開度tangleatを所定の勾配で“0”に減衰させる終了制御を実行する。
[スロットル開き制御開始判定]
図14のスロットル開き制御開始判定ルーチンは、図13のスロットル開き制御ルーチンのステップ203で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ221で、今回のETC協調ダウンシフトで解放制御する解放側クラッチ(y)の実油圧推定値Prealを当該解放側クラッチ(y)の油圧指令値PyDrの1次遅れ系で近似し、今回の解放側クラッチ(y)の実油圧推定値Prealを次のなまし処理式により算出する。
Preal=m・PyDr+(1−m)・PrealO
ここで、PrealOは前回の実油圧推定値、mはなまし係数(0<m<1)である。尚、実油圧推定値Prealの初期値は、図11の解放側クラッチ油圧制御ルーチンのステップ143で、待機油圧設定直前の解放側クラッチの油圧指令値PyDrに設定される。
上式において、なまし係数mは、演算処理の簡略化のために予め設定した一定値としても良いが、油圧指令値PyDrに対する実油圧の応答性が油温(作動油の粘度)やクラッチの種類等によって変化することを考慮して、油温やクラッチの種類等に応じてマップ又は数式によりなまし係数mを算出するようにしても良い。
実油圧推定値Prealの算出後、ステップ222に進み、今回算出した実油圧推定値Prealを後述する応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの初期値として記憶した後、ステップ223に進み、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの演算回数をカウントするカウンタcountを0にリセットする。この後、ステップ224に進み、スロットルバルブ15の開弁動作の応答遅れ(Ta)と、スロットルバルブ15が実際に開いた時期からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tb)を演算する。この際、スロットルバルブ15の開弁動作の応答遅れ(Ta)については、電子スロットルシステムのモータ17の駆動応答性に関連したパラメータ(冷却水温、バッテリ電圧等)のマップにより演算される。また、スロットルバルブ15の開放からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tb)については、スロットルバルブ15の開放により増加した吸入空気がシリンダ内に吸入されてから燃焼に至るまでの遅れと、吸気流速に関連したパラメータ(エンジン回転速度、スロットル開度等)のマップにより演算される。
この後、ステップ225に進み、上記2つの応答遅れの合計時間(Ta+Tb)内における実油圧推定値PrealFの演算回数Nを計算する。
N=(Ta+Tb)/tcal
ここで、tcalは実油圧推定値PrealFの演算周期である。尚、演算回数Nは、小数点以下を切り捨て又は四捨五入して整数値とする。
この後、ステップ226に進み、カウンタcountの値が上記Nに達したか否かを判定し、「No」と判定されれば、ステップ227に進み、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFを油圧指令値PyDrの1次遅れ系で近似し、この実油圧推定値PrealFを次のなまし処理式により算出する。
PrealF=m・PyDr+(1−m)・PrealFO
ここで、PrealFOは前回の実油圧推定値PrealF、mはなまし係数(0<m<1)である。この後、ステップ228で、カウンタcountをカウントアップして前記ステップ226に戻る。このような処理を繰り返すことで、カウンタcountの値が上記Nに達するまで、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの演算を繰り返す。
そして、カウンタcountの値が上記Nに達した時点で、ステップ226からステップ229に進み、実油圧推定値PrealFが開始油圧(所定の伝達トルク容量相当油圧)以下に低下したか否かを判定する。ここで、開始油圧(所定の伝達トルク容量相当油圧)は、解放側クラッチの伝達トルク容量が小さく又は無くなって、エンジン出力が増大しても加速感を生じない油圧に設定されている。この開始油圧は、演算処理の簡略化のために予め設定した一定値としても良いが、エンジン出力が増大しても加速感を生じない油圧は、クラッチの種類や入力トルクTin等によって変化することを考慮して、クラッチの種類や入力トルクTin等に応じてマップ又は数式により開始油圧を算出するようにしても良い。
尚、入力トルクTinは、エンジン運転条件やトルクコンバータ52の特性に基づいて例えば次式により推定すれば良い。
Tin=C(e)×tr(e)×Ne2
C(e):トルクコンバータ容量係数
tr(e):トルク比
Ne:エンジン回転速度
ここで、トルクコンバータ容量係数C(e)とトルク比tr(e)は、それぞれ速度比e(=Nt/Ne)に応じてマップ又は数式等により算出される。
この他、エンジン11の出力トルクを、吸入空気量やスロットル開度を基にして算出して、これに上記トルク比tr(e)を乗算して入力軸トルクTinとする方法を用いても良い。
前述したステップ229で、実油圧推定値PrealFが開始油圧以下に低下していないと判定された場合は、そのまま本ルーチンを終了する。そして、実油圧推定値PrealFが開始油圧以下に低下した時点で、ステップ230に進み、油圧応答の無駄時間Tm分のディレイ処理を行った上で、ステップ231に進み、スロットル開き制御開始フラグxEtcTStをONにセットして本ルーチンを終了する。
[スロットル開き制御終了判定]
図15のスロットル開き制御終了判定ルーチンは、図13のスロットル開き制御ルーチンのステップ204で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ241で、スロットルバルブ15の全閉動作の応答遅れ(Td)と、スロットルバルブ15が実際に全閉してから実際にエンジン出力増大がなくなるまでの応答遅れ(Te)と、更に終了判定から目標スロットル開度を“0”に減衰させるまでの時間(Tsd)を演算する。ここで、スロットルバルブ15の閉弁動作の応答遅れ(Td)については、電子スロットルシステムのモータ17の駆動応答性に関連したパラメータ(冷却水温、バッテリ電圧等)のマップにより演算される。また、スロットルバルブ15の全閉からエンジン出力増大がなくなるまでの応答遅れ(Te)については、スロットルバルブ15の全閉により減少した吸入空気がシリンダ内に吸入されてから燃焼に至るまでの遅れと、吸気流速に関連したパラメータ(エンジン回転速度、スロットル開度等)のマップにより演算される。また、終了判定から目標スロットル開度を“0”に減衰させるまでの時間(Tsd)については、目標スロットル開度/減衰勾配により算出される。
この後、ステップ242に進み、スロットル開き制御終了時(終了制御開始時)の変速進行割合SftRedを次式により算出する。
SftRed=100−DSftR×(Td+Te+Tsd)/tsmp
ここで、DSftRは、変速進行割合SftRの演算周期当たりの変化量(SftRの今回値−前回値)であり、tsmpは、DSftRの演算周期である。
この後、ステップ243に進み、現在の変速進行割合SftRが上記SftRed以上になったか否かを判定し、変速進行割合SftRがまだ上記SftRedに達していなければ、そのまま本ルーチンを終了する。そして、変速進行割合SftRが上記SftRedに達した時点で、ステップ244に進み、スロットル開き制御終了フラグxEtcTEdをONにセットする。
[目標スロットル開度演算]
図16の目標スロットル開度演算ルーチンは、図13のスロットル開き制御ルーチンのステップ209で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ260で、クランク角センサ24の出力パルスのパルス間隔に基づいて検出された時刻t0におけるエンジン回転数Ne0を読み込み、次のステップ261で、変速応答時間の要求値から定められる変速期間におけるエンジン回転数の目標変化波形Neを算出する。続くステップ262で、標変化波形Neの時間微分値であるエンジン回転数変化速度dNe/dtを算出した後、ステップ263に進み、このエンジン回転数変化速度dNe/dtにエンジン側イナーシャIeを乗算して要求トルクTeを求める。
Te=Ie×dNe/dt
この後、ステップ264に進み、エンジン回転数Neと要求トルクTeをパラメータとする要求スロットル開度変化量dTAOの算出マップを検索して、現在のエンジン回転数Neと要求トルクTeに応じた要求スロットル開度変化量dTAOを算出する。
この後、ステップ265に進み、目標スロットル開度tangleatを電子スロットルシステムに出力してから実際に吸入空気量が増減してエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して、要求スロットル開度変化量dTAOを応答遅れ補償処理して、応答遅れを補償した要求スロットル開度変化量dTAO’を求める。この後、ステップ266に進み、前回の目標スロットル開度tangleatに上記応答遅れ補償後の要求スロットル開度変化量dTAO’を加算して、今回の目標スロットル開度tangleatを求める。
[目標スロットル開度補正制御]
図17の目標スロットル開度補正制御ルーチンは、図13のスロットル開き制御ルーチンのステップ210で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ251で、スロットル開き量補正制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。この実行条件は、例えば、スロットル開き指令からの経過時間が応答遅れ相当時間以上であるか否かで判定し、スロットル開き指令からの経過時間が応答遅れ相当時間未満である場合は、スロットル開き量補正制御の実行条件が不成立となり、そのまま本ルーチンを終了する。その後、スロットル開き指令からの経過時間が応答遅れ相当時間以上になった時点で、スロットル開き量補正制御の実行条件が成立し、ステップ252に進み、目標スロットル開度tangleatを次式により補正する。
tangleat=tangleat×DGaT/(Ga−GaB)
ここで、DGaTは、吸入空気量Gaの目標値で、目標スロットル開度tangleatに応じてテーブル等により設定される。GaBは、図13のスロットル開き制御ルーチンのステップ207で記憶されたスロットル開き制御開始直前の吸入空気量である。上式により目標スロットル開度tangleatを補正することで、システムの製造ばらつき、経時変化によるばらつき、大気圧や吸気温等の運転条件によるばらつきを補正する。
[燃料噴射復帰制御]
図18の燃料噴射復帰制御ルーチンは、図8の変速制御ルーチンのステップ104で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいうエンジン出力増大制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ300で、エンジン側で燃料カット要求が発生しているか否かを判定し、燃料カット要求が発生していない場合は、ステップ307に進み、燃料噴射を継続する。
これに対して、ステップ300で、燃料カット要求が発生している(燃料カット中)と判定された場合は、ステップ301に進み、燃料噴射復帰制御開始フラグxEtcFStが燃料噴射復帰制御の開始前を意味するOFFであるか否かを判定し、OFFであれば、ステップ303に進み、後述する図19の燃料噴射開始判定ルーチンを実行して、燃料噴射復帰制御の開始タイミングであるか否かを判定し、その判定結果に応じて燃料噴射復帰制御開始フラグxEtcFStをセット/リセットする。
この後、ステップ305に進み、燃料噴射復帰制御開始フラグxEtcFStが引き続きOFFのままであるか否かを判定し、OFFのままであれば、そのまま本ルーチンを終了するが、ONにセットされたと判定された場合は、ステップ308に進み、燃料噴射を実施する。
また、前記ステップ301で、燃料噴射復帰制御開始フラグxEtcFStが燃料噴射復帰制御の実行中を意味するONであると判定された場合には、ステップ302に進み、燃料噴射復帰制御終了フラグxEtcFEdが燃料噴射復帰制御の終了前を意味するOFFであるか否かを判定し、OFFであれば、ステップ304に進み、後述する図20の燃料噴射復帰制御終了判定ルーチンを実行して、燃料噴射復帰制御の終了タイミングであるか否かを判定し、その判定結果に応じて燃料噴射復帰制御終了フラグxEtcFStをセット/リセットする。
この後、ステップ306に進み、燃料噴射復帰制御終了フラグxEtcFEdが引き続きOFFのままであるか否かを判定し、OFFのままであれば、ステップ308に進み、燃料噴射を実施する。
[燃料噴射開始判定]
図19の燃料噴射開始判定ルーチンは、図19の燃料噴射復帰制御ルーチンのステップ303で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう出力増大開始タイミング制御手段としての役割を果たす。
本ルーチンが起動されると、まずステップ321で、前記図14のステップ221と同様の方法で、解放側クラッチの油圧指令値PyDr、前回の実油圧推定値PrealO、なまし係数mを用いて、今回の解放側クラッチの実油圧推定値Prealをなまし処理により算出する。
Preal=m・PyDr+(1−m)・PrealO
この後、ステップ322に進み、今回算出した実油圧推定値Prealを後述する応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの初期値として記憶した後、ステップ323に進み、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの演算回数をカウントするカウンタcountを0にリセットする。この後、ステップ324に進み、燃料噴射再開からエンジン出力が増大するまでの応答遅れ(Tc)を算出する。この際、クランク軸が720℃A回転するのに要する時間T720℃Aを応答遅れ(Tc)として算出する。
この後、ステップ325に進み、上記応答遅れ(Tc)内における実油圧推定値PrealFの演算回数Mを計算する。
M=Tc/tcal
ここで、tcalは実油圧推定値PrealFの演算周期である。尚、演算回数Mは、小数点以下を切り捨て又は四捨五入して整数値とする。
この後、ステップ326に進み、カウンタcountの値が上記Mに達したか否かを判定し、「No」と判定されれば、ステップ327に進み、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFを油圧指令値PyDrのなまし処理により算出する。
PrealF=m・PyDr+(1−m)・PrealFO
この後、ステップ328で、カウンタcountをカウントアップして前記ステップ326に戻る。このような処理を繰り返すことで、カウンタcountの値が上記Mに達するまで、応答遅れ期間の実油圧推定値PrealFの演算を繰り返す。
そして、カウンタcountの値が上記Mに達した時点で、ステップ326からステップ329に進み、前記図14のステップ229と同様に、実油圧推定値PrealFが開始油圧(所定の伝達トルク容量相当油圧)以下に低下したか否かを判定する。ここで、開始油圧(所定の伝達トルク容量相当油圧)は、解放側クラッチの伝達トルク容量が小さく又は無くなって、エンジン出力が増大しても加速感を生じない油圧に設定されている。このステップ329で、実油圧推定値PrealFがまだ開始油圧以下に低下していないと判定された場合は、そのまま本ルーチンを終了する。そして、実油圧推定値PrealFが開始油圧以下に低下した時点で、ステップ330に進み、油圧応答の無駄時間Tm分のディレイ処理を行った上で、ステップ331に進み、燃料噴射復帰制御開始フラグxEtcFStをONにセットして本ルーチンを終了する。
[燃料噴射終了判定]
図20の燃料噴射終了判定ルーチンは、図18の燃料噴射復帰制御ルーチンのステップ304で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ341で、燃料カットを再開してからエンジン出力がなくなるまでの応答遅れ(Tf)を算出する。この際、クランク軸が720℃A回転するのに要する時間T720℃Aを応答遅れ(Tf)として算出する。
この後、ステップ342に進み、燃料噴射復帰制御終了時(終了制御開始時)の変速進行割合SftRedを次式により算出する。
SftRed=100−DSftR×Tf/tsmp
ここで、DSftRは、変速進行割合SftRの演算周期当たりの変化量(SftRの今回値−前回値)であり、tsmpは、DSftRの演算周期である。
この後、ステップ343に進み、現在の変速進行割合SftRが上記SftRed以上になったか否かを判定し、変速進行割合SftRがまだ上記SftRedに達していなければ、そのまま本ルーチンを終了する。そして、変速進行割合SftRが上記SftRedに達した時点で、ステップ344に進み、燃料噴射復帰制御終了フラグxEtcFEdをONにセットする。
以上説明した本実施例1によれば、運転者の減速意思に基づいてETC協調ダウンシフトを実行する際に、運転者のアクセル操作によらずエンジン出力を増大させるエンジン出力増大制御を実行するシステムにおいて、エンジン出力増大制御中に所望のエンジン回転数変化速度に対応するエンジントルクが発生するように出力増大制御量(目標スロットル開度)を設定するため、ダウンシフトにおいて変速により回転上昇が必要な部材(エンジン、トルクコンバータ等)のイナーシャトルクに対応する分だけエンジントルクを増大させることができ、常に過不足ない出力増大制御量(目標スロットル開度)を設定できて、前述した従来技術の様々な問題を解消することができる。
しかも、本実施例1では、目標スロットル開度tangleatを電子スロットルシステムに出力してから実際に吸入空気量が増減してエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して、要求スロットル開度変化量dTAOの応答遅れを補償して、目標スロットル開度tangleatを設定するようにしたので、過渡的なスロットル開き量の過不足に対する補正を行うことができ、エンジン出力増大制御の精度を高めることができる。
上記実施例1では、エンジン回転数変化速度dNe/dtにエンジン側イナーシャIeを乗算して要求トルクTeを求めるようにしたが、図22及び図23に示す本発明の実施例2では、車体減速度(車体加速度)と走行路面の勾配とを考慮して要求トルクTeを算出するようにしている。
本実施例2では、図22の目標スロットル開度演算ルーチンを実行する。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、車速センサ(図示せず)で検出した車速Vspとスロットル開度センサ18で検出したスロットル開度TAを読み込み、次のステップ402で、車体加速度a(n) を次式により算出する。
a(n) ={Vsp(n) −Vsp(n-1) }/Δt
ここで、Vsp(n) は今回の車速、Vsp(n-1) は前回の車速、Δtは車速Vspのサンプリング周期である。
この後、ステップ403に進み、図23の路面勾配マップを用いて、車体加速度a(n) とスロットル開度TAとに応じた走行路面の勾配δi(但しi=1,2,3,…)を求める。図23の路面勾配マップは、車体加速度a(n) が大きくなるほど、路面勾配δiが小さくなるように設定されている(δ1<δ2<δ3<……)。また、下り勾配では、δiが負値となる。このステップ403の処理が特許請求の範囲でいう路面勾配判定手段としての役割を果たす。
そして、次のステップ404で、路面勾配δiを用いて要求トルクTeを次式により算出する。
Te=Ie×[Ne0×{(gr2+k・δi)/gr1}/Tt]
gr1:変速前ギヤ比
gr2:変速後ギヤ比
Tt:目標変速時間
Ie:エンジン側イナーシャ
Ne0:時刻t0におけるエンジン回転数
k:定数
上式により、路面勾配δiに応じて要求トルクTeが補正される。具体的には、要求トルクTeが上り勾配では減少側、下り勾配では増加側に補正される。
尚、路面勾配δiを検出しない場合は、車体加速度aを用いて要求トルクTeを次式により算出すれば良い。
Te=Ie×[Ne0×{(gr2+k・a)/gr1}/Tt]
上式により、車体加速度aに応じて補正された要求トルクTeが算出される。
この後、ステップ405に進み、前記実施例1(図16)と同様の方法で、エンジン回転数Neと要求トルクTeをパラメータとする要求スロットル開度変化量dTAOの算出マップを検索して、現在のエンジン回転数Neと要求トルクTeに応じた要求スロットル開度変化量dTAOを算出する。
この後、ステップ406に進み、目標スロットル開度tangleatを電子スロットルシステムに出力してから実際に吸入空気量が増減してエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して、要求スロットル開度変化量dTAOを応答遅れ補償処理して、応答遅れを補償した要求スロットル開度変化量dTAO’を求める。この後、ステップ407に進み、前回の目標スロットル開度tangleatに上記応答遅れ補償後の要求スロットル開度変化量dTAO’を加算して、今回の目標スロットル開度tangleatを求める。その他のルーチンは、前記実施例1と同じある。
以上説明した本実施例2によれば、エンジン出力増大制御中に、路面勾配δiを判定し、要求トルクTeを上り勾配では減少側、下り勾配では増加側に補正するようにしたので、路面の勾配により車速が変化する場合でも、その車速変化により変速後のエンジン回転数の予測値が機械的ギヤ比から算出されるものからずれることに対する出力増大制御量の過不足を補正することができる。
図24乃至図29に示す本発明の実施例3では、運転者によるシフトレバーやスイッチ等の操作によって発生するダウンシフト(以下「マニュアルダウンシフト」という)である場合と、車体の減速度やブレーキ操作によって発生するダウンシフト(以下「オートダウンシフト」という)である場合と、変速線で予め設定されるシフトスケジュールによって発生するダウンシフト(以下「コーストダウンシフト」という)である場合に、エンジン出力増大制御を実行すると共に、マニュアルダウンシフトとオートダウンシフトとコーストダウンシフトとの間でエンジン出力増大制御時の目標スロットル開度を変更するようにしている。この場合、本実施例3では、エンジン出力増大制御時の目標スロットル開度を、マニュアルダウンシフト用の目標スロットル開度>オートダウンシフト用の目標スロットル開度>コーストダウンシフト用の目標スロットル開度となるように設定されている。
本実施例3では、パワーオフダウンシフトの種類によってETC協調ダウンシフト制御を変更するため、図9、図10に代えて、図28の変速種類判定ルーチンと図29の変速油圧制御ルーチンを実行すると共に、図24の目標スロットル開度演算ルーチンを実行する。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[変速種類判定]
次に、図28の変速種類判定ルーチンが起動されると、まずステップ111で、現在の変速指令がアップシフトかダウンシフトかを判定し、アップシフトと判定されれば、ステップ112に進み、自動変速機51に加わる負荷状態がパワーオン(エンジン11側から自動変速機51が駆動される状態)かパワーオフ(駆動輪側から自動変速機51が駆動される状態)かを判定する。そして、この判定結果に応じて、現在の変速指令に応じた変速種類がパワーオンアップシフト(ステップ118)、パワーオフアップシフト(ステップ119)のいずれに該当するかを判定する。
これに対して、ステップ111で、ダウンシフトと判定されれば、ステップ113に進み、自動変速機51に加わる負荷状態がパワーオンかパワーオフかを判定し、パワーオフと判定されれば、運転者のシフトレバー16の操作によるマニュアルダウンシフトであるか否かを判定する。その結果、マニュアルダウンシフトと判定されれば、ステップ116に進み、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立しているか否かを、例えば制御性確保のために、作動油の油温が、油圧指令値に対する油圧応答の再現性の良い温度領域であるか否かを判定する。その結果、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立していると判定された場合は、ステップ117に進み、第1のETC協調ダウンシフト実行フラグxEtc1をONにセットした後、ステップ121に進み、現在の変速の種類をETC協調ダウンシフトと判定する。
また、前記ステップ115でマニュアルダウンシフトでないと判定された場合は、ステップ123に進み、オートダウンシフトであるか否かを判定し、オートダウンシフトと判定されれば、ステップ124に進み、前記ステップ116と同様の方法で、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立しているか否かを判定する。その結果、ETC協調ダウンシフト実行条件が成立していると判定された場合は、ステップ125に進み、第2のETC協調ダウンシフト実行フラグxEtc2をONにセットした後、ステップ121に進み、現在の変速の種類をETC協調ダウンシフトと判定する。
一方、ステップ123で、オートダウンシフトでないと判定された場合、又は、ステップ116とステップ124のいずれかでETC協調ダウンシフト実行条件が不成立と判定された場合は、ステップ122に進み、現在の変速の種類をパワーオフダウンシフトと判定する。
また、前記ステップ113で、パワーオンと判定された場合は、ETC協調ダウンシフト制御(エンジン出力増大制御)によるパワーオンと、アクセルペダル26の踏み込みによるパワーオンとを区別するため、ステップ114に進み、2つのETC協調ダウンシフト実行フラグxEtc1又はxEtc2がONにセットされているか否かを判定し、ONにセットされていれば、ステップ121に進み、現在の変速の種類がETC協調ダウンシフトと判定し、ETC協調ダウンシフト実行フラグxEtcがOFFにセットされていれば、ステップ120に進み、現在の変速の種類がパワーオンダウンシフトと判定する。
[変速油圧制御]
図29の変速油圧制御ルーチンは、変速種類がETC協調ダウンシフトの場合に実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ131で、図11に示す解放側クラッチ油圧制御ルーチンを実行して、解放側クラッチの油圧を制御すると共に、次のステップ132で、図12に示す係合側クラッチ油圧制御ルーチンを実行して、係合側クラッチの油圧を制御する。
この後、ステップ133に進み、ダウンシフトが完了したか否かを、制御段階フラグFlag1=4、且つ、Flag2=5であるか否かで判定する。そして、ダウンシフトが完了した時点で、ステップ134に進み、制御段階フラグFlag1とFlag2を共に初期値「0」にリセットすると共に、その他のフラグxEtc1、xEtc2、xEtcTSt、xEtcFSt、xEtcTEd、xEtcFEdを全て「OFF」にリセットして、本ルーチンを終了する。
[目標スロットル開度演算]
図24の目標スロットル開度演算ルーチンが起動されると、まずステップ501で、第1のダウンシフト判定フラグxEtc1が1であるか否かで、マニュアルダウンシフトであるか否かを判定し、「Yes」と判定されれば、ステップ503に進み、図25のマニュアルダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを検索して、現在の入力軸回転速度Ntと冷却水温に応じてマニュアルダウンシフト時の目標スロットル開度を設定する。
一方、上記ステップ501で「No」と判定されれば、ステップ502に進み、第2のダウンシフト判定フラグxEtc1が1であるか否かで、オートダウンシフトであるか否かを判定し、「Yes」と判定されれば、ステップ504に進み、図26のオートダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを検索して、現在の入力軸回転速度Ntと冷却水温に応じてオートダウンシフト時の目標スロットル開度を設定する。
また、上記ステップ501、502で共に「No」と判定された場合は、ステップ505に進み、図26のコーストダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを検索して、現在の入力軸回転速度Ntと冷却水温に応じてコーストダウンシフト時の目標スロットル開度を設定する。
以上説明した本実施例3では、ダウンシフトの種類に応じて目標スロットル開度を変更することができるので、ダウンシフトの種類に応じて変速ショックと変速時間に関してより良いフィーリングが得られるように設定することができる利点がある。しかも、各ダウンシフトの目標スロットル開度の大小関係を、マニュアルダウンシフト>オートダウンシフト>コーストダウンシフトの関係に設定したので、運転者の変速意思を明確に反映して発生するマニュアルダウンシフトや、運転者の運転操作に起因して自動変速されるオートダウンに対しては変速時間の短縮と変速ショックの低減効果が得られる一方、惰行減速や緩減速時に発生するコーストダウンシフト時には、エンジン回転数の急増による騒音の発生や当該制御に伴う消費燃料の増加による燃費の悪化を招くことなくダウンシフトを実行できる利点がある。
尚、本実施例3では、図27のコーストダウンシフト用目標スロットル開度設定マップには全て0が設定されているため、コーストダウンシフト時にエンジン出力増大制御が実行されないようになっているが、コーストダウンシフト用目標スロットル開度設定マップに小さな値を設定して、コーストダウンシフト時に少量のエンジン出力増大制御を実施するようにしても良い。
図30に示す本発明の実施例4では、エンジン出力増大制御中に、所望のエンジン回転数又はエンジン回転数変化速度となるように目標エンジン回転数Nerを設定し、スロットル開度をフィードバック制御するようにしている。
具体的には、エンジン出力増大制御中に、目標エンジン回転数Nerと実エンジン回転数Neとの偏差δNe(=Ner−Ne)を小さくするように、PID制御により目標スロットル開度を演算する。
目標スロットル開度=kp×δNe+kd×{δNe(n) −δNe(n-1) }
+ki×ΣδNe(n)
ここで、kpは比例ゲイン、kdは微分ゲイン、kiは積分ゲインである。
この目標スロットル開度の信号を電子スロットル装置のモータ駆動回路に出力して、スロットルバルブ15を駆動して吸入空気量を制御することで、目標エンジン回転数Nerと実エンジン回転数Neとの偏差δNeを小さくするように、スロットル開度をフィードバック制御する。
以上説明した本実施例4でも、運転者の減速意思に基づいてダウンシフトを行う際に、車両の運転状況に応じて適正量のエンジン出力増大制御を実行できる。
尚、本発明は、上記各実施例に限定されず、例えば次のように構成しても良い。
(1)走行する道路形状(道路のカーブや路面の勾配等)を例えばナビゲーションシステムの情報等に基づいて判定する道路形状判定手段と、前記道路形状判定手段の判定結果に基づいてダウンシフトを実行する道路形状ダウンシフト実行手段とを備えたシステムにおいては、前記道路形状ダウンシフト実行手段によるダウンシフトが実行されるときに、本発明のエンジン出力増大制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、道路形状に応じて自動的にダウンシフトが実行される場合でも、変速時間を短くできると共に、変速ショックを低減することができる。
(2)運転者の減速意思に基づくダウンシフトであって、車体の減速度が所定値以上であるときのみ、エンジン出力増大制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、運転者の減速意思に基づくダウンシフトであっても、車体の減速度が小さい場合は、エンジン出力増大制御が不要と判断して、エンジン出力増大制御を実行しないようにすることができる。
本発明の各実施例のエンジン制御システム全体の概略構成図である。 自動変速機全体の概略構成を示す図である。 自動変速機の機械的構成を模式的に示す図である。 各変速段毎のクラッチC0〜C2とブレーキB0,B1の係合/解放の組み合わせを示す図である。 変速パターンの一例を示す図である。 パワーオンダウンシフト制御の一例を示すタイムチャートである。 実施例1のETC協調ダウンシフト制御の一例を示すタイムチャートである。 実施例1の変速制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の変速種類判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の変速油圧制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の解放側クラッチ油圧制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の係合側クラッチ油圧制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のスロットル開き制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のスロットル開き制御開始判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のスロットル開き制御終了判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の目標スロットル開度演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のスロットル開き量補正ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の燃料噴射復帰制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の燃料噴射開始判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の燃料噴射終了判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のエンジン出力増大制御機能を説明するブロック図である。 実施例2の目標スロットル開度演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の路面勾配マップを概念的に示す図である。 実施例3の目標スロットル開度演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のマニュアルダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを概念的に示す図である。 実施例3のオートダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを概念的に示す図である。 実施例3のコーストダウンシフト用目標スロットル開度設定マップを概念的に示す図である。 実施例3の変速種類判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の変速油圧制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例4のエンジン出力増大制御機能を説明するブロック図である。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…エアフローメータ(吸入空気量検出手段)、15…スロットルバルブ、17…モータ、18…スロットル開度センサ、25…エンジンECU(エンジン出力増大制御手段)、26…アクセルペダル、27…アクセルセンサ、34…アクセルレバー、51…自動変速機、52…トルクコンバータ、53…変速歯車機構(変速機構)、56…ロックアップクラッチ、57…油圧制御回路、58…油圧ポンプ、59…ライン圧制御回路、60…自動変速制御回路、61…ロックアップ制御回路、66…手動切換弁、70…AT−ECU(エンジン出力増大制御手段,路面勾配判定手段,応答遅れ演算手段)、C0〜C2…クラッチ(摩擦係合要素)、B0,B1…ブレーキ(摩擦係合要素)

Claims (13)

  1. 複数の摩擦係合要素に作用させる油圧を油圧制御手段で個別に制御することで、各摩擦係合要素の係合と解放を選択的に切り換えて、変速機構の変速段を切り換える自動変速機の制御装置において、
    運転者の減速意思に基づいて前記変速機構がダウンシフトされる際に運転者のアクセル操作によらずエンジン出力を増大させるエンジン出力増大制御を実行するエンジン出力増大制御手段を備え、
    前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に所望のエンジン回転数変化速度に対応するエンジントルクが発生するようにエンジン出力を増大させるエンジン制御量(以下「出力増大制御量」という)を設定することを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に変速によるギヤ比変化分と変速時間とに基づいて出力増大制御量を設定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に車体減速度に基づいて出力増大制御量を減速時には出力減少側、加速時には出力増加側に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 走行する路面の勾配を判定する路面勾配判定手段を備え、
    前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に前記路面勾配判定手段で判定した路面の勾配に基づいて出力増大制御量を上り勾配では出力減少側、下り勾配では出力増加側に補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記エンジン出力増大制御手段は、出力増大制御量の指令値を発してから実際にエンジン出力が増減するまでの応答遅れを考慮して出力増大制御量を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に前記所望のエンジン回転数又はエンジン回転数変化速度となるように目標エンジン回転数を設定し、出力増大制御量をフィードバック制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  7. エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、
    前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御中に吸入空気量を増大させると共に、前記吸入空気量検出手段による吸入空気量の検出結果に基づいて吸入空気量の増大量を補正することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  8. 前記エンジン出力増大制御手段は、前記エンジン出力増大制御が実行されるダウンシフトにおいては、実行されない場合に比べて、解放制御する摩擦係合要素の作動油圧の低下を促進させ、かつ/または係合制御する摩擦係合要素の作動油圧の上昇を促進させることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  9. 前記エンジン出力増大制御手段は、運転者のブレーキ操作によって発生するダウンシフトによってエンジンブレーキが作用する変速段へ強制変速されるときに、前記エンジン出力増大制御を実行することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  10. 前記エンジン出力増大制御手段は、運転者の減速意思に基づくダウンシフトであって、車体の減速度が所定値以上であるときに、前記エンジン出力増大制御を実行することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  11. 走行する道路形状を判定する道路形状判定手段と、
    前記道路形状判定手段の判定結果に基づいてダウンシフトを実行する道路形状ダウンシフト実行手段とを備え、
    前記エンジン出力増大制御手段は、前記道路形状ダウンシフト実行手段によるダウンシフトが実行されるときに、前記エンジン出力増大制御を実行することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  12. 前記エンジン出力増大制御手段は、運転者によるシフトレバーやスイッチ等の操作によって発生するダウンシフト(以下「マニュアルダウンシフト」という)である場合と、車体の減速度やブレーキ操作によって発生するダウンシフト(以下「オートダウンシフト」という)である場合と、変速線で予め設定されるシフトスケジュールによって発生するダウンシフト(以下「コーストダウンシフト」という)である場合に、前記エンジン出力増大制御を実行すると共に、前記マニュアルダウンシフトと前記オートダウンシフトと前記コーストダウンシフトとの間でエンジン出力増大量又はその目標値を変更することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  13. 前記エンジン出力増大制御手段は、前記コーストダウンシフトよりも前記マニュアルダウンシフト又は前記オートダウンシフトの方がエンジン出力増大量又はその目標値が大きくなるように制御することを特徴とする請求項12に記載の自動変速機の制御装置。
JP2004134516A 2004-04-27 2004-04-28 自動変速機の制御装置 Expired - Fee Related JP4207837B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004134516A JP4207837B2 (ja) 2004-04-28 2004-04-28 自動変速機の制御装置
US11/108,891 US7563196B2 (en) 2004-04-27 2005-04-19 Controller for automatic transmission
US11/730,448 US7393305B2 (en) 2004-04-27 2007-04-02 Controller for automatic transmission

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004134516A JP4207837B2 (ja) 2004-04-28 2004-04-28 自動変速機の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005315180A JP2005315180A (ja) 2005-11-10
JP4207837B2 true JP4207837B2 (ja) 2009-01-14

Family

ID=35442865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004134516A Expired - Fee Related JP4207837B2 (ja) 2004-04-27 2004-04-28 自動変速機の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4207837B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101822285B1 (ko) * 2016-06-13 2018-01-26 현대자동차주식회사 하이브리드 차량용 변속 제어방법

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5011744B2 (ja) * 2006-02-16 2012-08-29 トヨタ自動車株式会社 車両用駆動力制御装置
JP4872789B2 (ja) * 2007-05-10 2012-02-08 トヨタ自動車株式会社 車両駆動ユニットの制御装置
JP5625533B2 (ja) * 2010-06-22 2014-11-19 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP5779325B2 (ja) * 2010-07-21 2015-09-16 川崎重工業株式会社 車両用減速制御装置
JP5375819B2 (ja) * 2010-12-28 2013-12-25 三菱自動車工業株式会社 エンジントルク制御装置
JP5747832B2 (ja) * 2012-02-08 2015-07-15 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置および制御方法
JP5900232B2 (ja) * 2012-08-07 2016-04-06 トヨタ自動車株式会社 車両の変速制御装置
JP2014043910A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Toyota Motor Corp 車両の変速制御装置
JP2014080943A (ja) * 2012-10-18 2014-05-08 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
JP6247468B2 (ja) * 2013-07-16 2017-12-13 株式会社ケーヒン エンジン制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101822285B1 (ko) * 2016-06-13 2018-01-26 현대자동차주식회사 하이브리드 차량용 변속 제어방법
US10113640B2 (en) 2016-06-13 2018-10-30 Hyundai Motor Company Shifting control method for hybrid vehicles

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005315180A (ja) 2005-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7563196B2 (en) Controller for automatic transmission
JP4214405B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP4318081B2 (ja) 自動変速機の制御装置
US7676313B2 (en) Target speed control strategy for power-off shifts in a hybrid electric vehicle
US8160789B2 (en) Control device for vehicle and control method thereof
JP4534255B2 (ja) 自動変速機の制御装置
KR101577916B1 (ko) 자동 변속기의 코스트 다운 시프트 제어 장치
JP4769617B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JPS60131326A (ja) 自動変速機の変速シヨツク軽減装置
US7089102B2 (en) Coasting downshift control for automatic transmissions
JP5740041B2 (ja) トルクコンバータのロックアップ容量制御装置
JP4207837B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP2010180787A (ja) 車両用駆動装置の制御装置
JP4508850B2 (ja) 自動変速機の制御装置
US8190340B2 (en) Shift control device for automatic transmission and control method thereof
JP4893405B2 (ja) 車両の制御装置、制御方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体
JP4244856B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP2005315084A (ja) 自動変速機の制御装置
JP5534212B2 (ja) 車両の制御装置
JP2010007767A (ja) 自動変速機の制御装置
JP6595411B2 (ja) 車両の制御装置
JP5407985B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP5120315B2 (ja) 車両の制御装置
JP2011047386A (ja) 自動変速機の制御装置
JP2002039360A (ja) 車両用自動変速機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080717

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4207837

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees