ここで、好適には、前記車両は、例えば前記駆動力源の動力を前記自動変速機などの動力伝達装置を介して前記駆動輪へ伝達するものである。また、前記自動変速機は、所定の係合装置の係合と解放との切替えによって各々異なる変速比(ギヤ比)を有する複数の変速段(ギヤ段)が択一的に形成される有段式自動変速機である。例えば、この有段式自動変速機は、公知の遊星歯車式自動変速機により構成される。この遊星歯車式自動変速機における係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはバンドブレーキ等の係合装置が広く用いられる。また、前記車両は、例えば複数の係合装置の油圧アクチュエータにそれぞれ油圧を供給する油圧制御回路を備えている。この油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブやON−OFFソレノイドバルブ等を備え、それらソレノイドバルブの出力油圧を直接的或いはシフトコントロールバルブ等を介して間接的に係合装置の油圧アクチュエータにそれぞれ供給する。尚、上記「油圧を供給する」とは、「油圧を作用させる」或いは「ある油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
また、好適には、前記駆動力源としては、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンが用いられる。或いは、前記駆動力源としては、例えば電動機等の原動機が単独で或いは上記エンジンと組み合わせて用いられる。
また、好適には、パワーオンアップシフトとは、アクセルペダルを踏み込むことで実行されるアップシフトであり、パワーオフアップシフトとは、アクセルペダルの踏み込みを解除した状態で実行されるアップシフトである。また、パワーオフダウンシフトは、アクセルペダルの踏み込みを解除した状態で実行されるダウンシフトであり、パワーオンダウンシフトは、アクセルペダルを踏み込むことで実行されるダウンシフトである。
また、好適には、前記自動変速機の前記入力軸の回転速度が変速方向に進行する側とは、例えばアップシフトでは、変速が進行するに従って入力軸の回転速度が低下することに関連して低回転速度側となり、ダウンシフトでは、変速が進行するに従って入力軸の回転速度が上昇することに関連して高回転速度側となる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両10に備えられたエンジン12から駆動輪26までの動力伝達経路の概略構成を説明する図であると共に、車両10に設けられた制御系統の要部を説明する図である。図1において、駆動力源としてのエンジン12により発生させられた動力は、トルクコンバータ14を経て入力軸16から自動変速機18に入力され、自動変速機18の出力軸20から差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)22や一対の車軸(ドライブシャフト)24等を順次介して左右の駆動輪26へ伝達される。
自動変速機18は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース内において1組乃至複数組の遊星歯車装置と複数の係合装置(係合要素)とを有し、その係合装置によって複数のギヤ段が択一的に成立させられる公知の遊星歯車式自動変速機である。例えば、自動変速機18は、複数の係合装置の何れかの掴み替えにより(すなわち係合装置の係合と解放との切替えにより)変速が実行される、所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機である。複数の係合装置はそれぞれ、エンジン12からの動力を受ける入力軸16と駆動輪26に動力を伝達する出力軸20との間で回転とトルクとを伝達する油圧式の摩擦係合装置である。この入力軸16は、自動変速機18の入力軸であるが、トルクコンバータ14のタービン翼車によって回転駆動されるタービン軸でもある。
前記油圧式の摩擦係合装置は、油圧制御回路28によってそれぞれ係合と解放とが制御され、その油圧制御回路28内のソレノイドバルブ等の調圧によりそれぞれのトルク容量すなわち係合力が変化させられて、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するクラッチやブレーキである。ここで、係合装置のトルク容量(以下、クラッチトルクという)は、例えば係合装置の摩擦材の摩擦係数や摩擦板を押圧する係合油圧によって決まるものである。係合装置を滑らすことなく(すなわち係合装置に差回転速度を生じさせることなく)入力軸16と出力軸20との間でトルク(例えば入力軸16に入力される変速機入力トルクTiすなわちタービントルクTt)を伝達する為には、そのトルクに対して各係合装置にて受け持つ必要がある伝達トルク分(すなわち係合装置の分担トルク)が得られるトルク容量が必要になる。但し、伝達トルク分が得られるトルク容量においては、トルク容量を増加させても伝達トルクは増加しない。尚、本実施例では、便宜上、クラッチトルクと係合油圧とを同義に取り扱うこともある。
自動変速機18におけるギヤ段の一例としては、例えばクラッチC1とブレーキB1との係合により低車速側ギヤ段(ローギヤ段例えば第1速ギヤ段)が成立させられ、クラッチC1とブレーキB2との係合により高車速側ギヤ段(ハイギヤ段例えば第2速ギヤ段)が成立させられる。従って、上記ローギヤ段とハイギヤ段との間の変速時には、ブレーキB1とブレーキB2とで掴み替えが行われる。本実施例では、変速時に掴み替えが行われる係合装置のうちで、ローギヤ段側の成立に関与する係合装置(例えばブレーキB1)をローギヤ段係合装置と称し、ハイギヤ段側の成立に関与する係合装置(例えばブレーキB2)をハイギヤ段係合装置と称する。ローギヤ段係合装置は、ローギヤ段からハイギヤ段へのアップシフト時には解放側の係合装置となり、ハイギヤ段からローギヤ段へのダウンシフト時には係合側の係合装置となる。一方で、ハイギヤ段係合装置は、上記アップシフト時には係合側の係合装置となり、上記ダウンシフト時には解放側の係合装置となる。
図1に戻り、車両10には、例えば自動変速機18の変速制御などに関連する変速制御装置を含む電子制御装置70が備えられている。電子制御装置70は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置70は、エンジン12の出力制御、自動変速機18の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や油圧制御用(変速制御用)等に分けて構成される。また、電子制御装置70には、各種センサ(例えば各回転速度センサ50,52,54、アクセル開度センサ56、スロットル弁開度センサ58、シフトセンサ60など)により検出された各種信号(例えばエンジン12の回転速度を表すエンジン回転速度ωe,入力軸16の回転速度を表すタービン回転速度ωtすなわち変速機入力回転速度ωi,車速Vに対応する出力軸20の回転速度を表す変速機出力回転速度ωo、運転者の駆動力要求に対応するアクセルペダル57の操作量を表すアクセル開度Acc、スロットル弁開度θth、シフトレバー或いはパドルスイッチによるシフト操作SHなど)が、それぞれ供給される。また、電子制御装置70からは、例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、自動変速機18の油圧アクチュエータを制御する油圧制御回路28を作動させる為の油圧指令信号Spなどが、それぞれ出力される。
図2は、電子制御装置70による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図2において、エンジン出力制御手段すなわちエンジン出力制御部72は、例えば要求されたエンジントルクTe(以下、要求エンジントルクTedem)が得られるように、スロットル制御の為にスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射量制御の為に燃料噴射装置による燃料噴射量を制御し、点火時期制御の為にイグナイタ等の点火装置を制御するエンジン出力制御指令信号Seを出力する。エンジン出力制御部72は、例えばアクセル開度Accをパラメータとして車速Vと要求駆動力Fdemとの予め記憶された不図示の関係(駆動力マップ)から実際のアクセル開度Acc及び車速Vに基づいて要求駆動力Fdemを算出する。そして、エンジン出力制御部72は、例えば駆動輪26のタイヤ有効半径、現在の自動変速機18のギヤ段におけるギヤ比、出力軸20よりも駆動輪26側の動力伝達経路における終減速比、及びトルクコンバータ14のトルク比tに基づいて、要求駆動力Fdemが得られる要求エンジントルクTedemを算出する。尚、トルクコンバータ14のトルク比tは、例えば速度比(=タービン回転速度ωt/ポンプ回転速度ωp(エンジン回転速度ωe))とトルク比t、効率、及び容量係数とのそれぞれの予め記憶された公知の関係(トルクコンバータ14の作動特性図)から実際の速度比eに基づいて算出される。
変速制御手段すなわち変速制御部74は、自動変速機18の変速制御を実行する。具体的には、変速制御部74は、車速V及びアクセル開度Accを変数として予め記憶された公知の関係(変速マップ、変速線図)から実際の車速V及びアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて変速判断を行う。そして、変速制御部74は、自動変速機18の変速を実行すべきと判断した場合には、変速すべきギヤ段が得られるように自動変速機18の自動変速制御を実行する。例えば、変速制御部74は、判断したギヤ段が達成されるように、自動変速機18の変速に関与する係合装置を係合及び/又は解放させる油圧指令信号Spを油圧制御回路28へ出力する。この油圧指令信号Spとしては、例えばローギヤ段係合装置のトルク容量(以下、ローギヤ段側クラッチトルクという)を得る為の油圧指令値、及びハイギヤ段係合装置のトルク容量(以下、ハイギヤ段側クラッチトルクという)を得る為の油圧指令値である。
ここで、変速制御としては、例えば変速ショックや変速時間等が適切であるかを実車にて評価しつつ適合により予め定められた制御マップから、変速時のトルク容量(或いは油圧指令値)を決定して自動変速機18の変速を実行する手法がある。このような制御マップを用いる手法では、パワーオンアップシフト、パワーオフアップシフト、パワーオンダウンシフト、及びパワーオフダウンシフトのうちのどの変速パターンであるか、及びどの変速段間での変速であるかによって、各々異なる制御マップを作成する必要がある。その為、自動変速機18のギヤ段が多段化される程、上記適合作業に多くの労力等が必要となってくる。
そこで、本実施例では、変速制御として、上記制御マップを用いる手法に替えて、変速目標値を実現させる制御操作量を決定する予め定められた変速モデルを用いて自動変速機18の変速を実行する手法を採用する。上記変速目標値は、変速時に実現したい変化態様を定める要素(例えば変速時間、駆動力等)の目標値である。上記制御操作量は、制御対象に対して操作する要素(エンジントルク、クラッチトルク等)の要求値である。
以下において、変速モデルを用いた自動変速機18の変速制御について詳しく説明する。自動変速機18の変速中における運動方程式は、次式(1)及び次式(2)で表される。この式(1)及び式(2)は、自動変速機18を構成する相互に連結された各回転要素毎の運動方程式、及び自動変速機18を構成する遊星歯車装置における関係式から導き出されたものである。上記各回転要素毎の運動方程式は、各回転要素におけるイナーシャと回転速度時間変化率との積で表されるトルクを、遊星歯車装置の3つの部材(サンギヤ、キャリヤ、リングギヤ)、及び係合装置の両側の部材のうちで各回転要素に関与する部材に作用するトルクにて規定した運動方程式である。また、遊星歯車装置における関係式は、遊星歯車装置の歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)を用いて、その遊星歯車装置の3つの部材におけるトルクの関係と回転速度時間変化率の関係とを各々規定した関係式である。この式(1)及び式(2)において、dωt/dtは、タービン回転速度ωt(すなわち変速機入力回転速度ωi)の時間微分すなわち時間変化率であり、入力軸16側の回転変化量としての入力軸16の角加速度(以下、入力軸角加速度)を表している(図面乃至数式においては時間変化率をドットで示している、以下の説明において同じ)。dωo/dtは、変速機出力回転速度ωoの時間変化率であり出力軸角加速度を表している。Ttは、入力軸16側の回転部材上のトルクとしての入力軸16上のトルクであるタービントルクすなわち変速機入力トルクTiを表している。このタービントルクTtは、トルクコンバータ14のトルク比tを考慮すればエンジントルクTe(=Tt/t)と同意である。Toは、出力軸20側の回転部材上のトルクとしての出力軸20上のトルクである変速機出力トルクを表している。Tclowは、ローギヤ段側クラッチトルクであり、アップシフト時には解放側のクラッチトルクとなり、ダウンシフト時には係合側のクラッチトルクとなる。Tchiは、ハイギヤ段側クラッチトルクであり、アップシフト時には係合側のクラッチトルクとなり、ダウンシフト時には解放側のクラッチトルクとなる。a1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2はそれぞれ、この式(1)及び式(2)を導き出した際に定数としたものであり、上記各回転要素におけるイナーシャ及び上記遊星歯車装置の歯車比から設計的に定められる係数である(具体的な数値としては、変速パターン毎に異なる)。
前記式(1)及び式(2)は、変速目標値と制御操作量との関係を定式化した自動変速機18のギヤトレーン運動方程式である。ここでの変速目標値は、変速時間及び駆動力の各目標値を表現でき、ギヤトレーン運動方程式上で取り扱えるものである。本実施例では、変速時間を表現できる要素の一例として、入力軸角加速度dωt/dtを用いている。また、駆動力を表現できる要素の一例として、変速機出力トルクToを用いている。つまり、本実施例では、変速目標値を、入力軸角加速度dωt/dtと、変速機出力トルクToとの2つの値で設定している。一方で、本実施例では、それら変速目標値を成立させる制御操作量を、タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)と、ローギヤ段側クラッチトルクTclowと、ハイギヤ段側クラッチトルクTchiとの3つの値で設定している。そうすると、運動方程式が前記式(1)及び式(2)の2式で構成されることに対して制御操作量が3つある為に、2つの変速目標値を成立させる制御操作量を一意に解くことはできない。その為、変速モデルを用いて、2つの変速目標値を実現するような自動変速機18の所望の変速を実行することができない。尚、出力軸角加速度dωo/dtは、回転速度センサ54の検出値である変速機出力回転速度ωoから算出される。
ところで、前記式(1)及び式(2)の運動方程式に、ある拘束条件を追加することで制御操作量を一意に解くことができると考えられる。ここで、自動変速機18の変速制御において難しいとされることは、解放側の係合装置と係合側の係合装置とのトルクの受け渡し(すなわち変速進行度)を制御することである。一方で、3つの制御操作量を決定する為に何れかの制御操作量を所定の値とする場合には、各変速パターン毎に合わせた所定の値とするなど無数の定め方がある。この所定の値に関し、例えば解放側のクラッチトルク及び係合側のクラッチトルクのうちで一方のみを拘束条件とすると、変速中にタイアップや吹き上がりが発生し易くなったり、また、敢えて変速中にタイアップや吹き上がりを発生させる制御の制御性が低下したりする可能性がある。或いは、例えばエンジントルクの変化態様を拘束条件とすると、イナーシャ相中にエンジントルクを一時的に変化させるようなエンジントルクダウン制御を実行できなくなる可能性がある。そこで、本実施例では、変速中のトルクの受け渡しを表現したり制御するのに適しており、また、何れの変速パターンにも対応することができる、解放側の係合装置と係合側の係合装置とにて分担する伝達トルクのトルク分担率を、上記拘束条件として設定することを見出した。つまり、変速中のトルクの受け渡しを運動方程式に組み込むことができ、且つ制御操作量を一意に解くことができる、伝達トルクのトルク分担率を上記拘束条件として設定することを見出した。上記トルク分担率は、自動変速機18の変速時に解放側の係合装置と係合側の係合装置とで受け持つ必要がある合計の伝達トルク(合計伝達トルク)を例えば入力軸16上のトルク(入力軸上合計伝達トルク)に置き換えたときに、その入力軸上合計伝達トルクに対して両係合装置が各々分担する伝達トルクの割合である。本実施例では、ローギヤ段係合装置のトルク分担率を「xlow」とし、ハイギヤ段係合装置のトルク分担率を「xhi」として、それぞれのトルク分担率を、変速中のトルクの受け渡しを反映するように時系列で変化するトルク分担率x(例えば0≦x≦1)を用いて次式(3)及び次式(4)のように定義する。
xlow = x ・・・(3)
xhi = 1−x ・・・(4)
ローギヤ段側クラッチトルクTclowとハイギヤ段側クラッチトルクTchiとの関係式は、入力軸16上のトルクに置き換えた「Tclow」及び「Tchi」と、前記式(3)及び式(4)とに基づいて、「x」(=xlow)と「1−x」(=xhi)とを用いて定義することができる。そして、前記式(1)、前記式(2)、及び「Tclow」と「Tchi」との関係式から、制御操作量である、タービントルクTt、ローギヤ段側クラッチトルクTclow、及びハイギヤ段側クラッチトルクTchiを算出する関係式が導き出される。タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)は、「x」(=xlow)、「1−x」(=xhi)、入力軸角加速度dωt/dt、及び変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、ローギヤ段側クラッチトルクTclowは、「x」(=xlow)、入力軸角加速度dωt/dt、及び変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。同様に、ハイギヤ段側クラッチトルクTchiは、「1−x」(=xhi)、入力軸角加速度dωt/dt、及び変速機出力トルクToなどを用いた関係式にて表される。つまり、本実施例の変速モデルは、前記変速目標値と前記制御操作量とを含む自動変速機18の運動方程式(前記式(1),(2))と、前記トルク分担率を表す関係(前記式(3),(4))とを用いて、前記変速目標値に基づいて前記制御操作量を算出するものである。このように、本実施例では、前記式(1),(2)に、トルク分担率xにて設定した拘束条件を追加することで、変速モデルを用いて自動変速機18の変速を実行する。よって、2つの変速目標値に対して3つの制御操作量があったとしても、上記変速モデルを用いて3つの制御操作量を適切に決定することができる。
より具体的には、図2において、変速制御部74は、自動変速機18が変速中であるか否かを、例えば実行すべきと判断した変速が未だ終了していないか否かに基づいて判定する。
制御操作量算出手段すなわち制御操作量算出部76は、変速制御部74により自動変速機18の変速中であると判定された場合には、上記変速モデルを用いて、前記変速目標値に基づいて前記制御操作量を算出する。具体的には、制御操作量算出部76は、トルク分担率算出手段すなわちトルク分担率算出部78と、変速目標値算出手段すなわち変速目標値算出部80と、変速パターン判定手段すなわち変速パターン判定部82とを備えている。
トルク分担率算出部78は、例えばトルク分担率xを変化させる態様が予め定められた関係(変速進行度マップ)から、変速制御開始時(或いは前回算出時)からの経過時間に基づいてトルク分担率xを算出する。そして、トルク分担率算出部78は、前記式(3)及び式(4)から、その算出したトルク分担率xに基づいてローギヤ段係合装置のトルク分担率xlowとハイギヤ段係合装置のトルク分担率xhiとを算出する。尚、上記変速進行度マップは、例えば変速パターン毎や変速段間毎に予め定められている。また、トルク分担率xの初期値は、アップシフトでは1とされ、ダウンシフトでは0とされている。
変速目標値算出部80は、例えばイナーシャ相中のタービン回転速度ωt(=変速機入力回転速度ωi)の変化が変速ショックの抑制と変速時間とを両立させる所定変化となるように入力軸角加速度dωt/dtを変化させる態様が予め定められた関係(入力軸角加速度変化マップ)から、イナーシャ相開始時(或いは前回算出時)からの経過時間に基づいてイナーシャ相中の入力軸角加速度dωt/dtの目標値を算出する。また、変速目標値算出部80は、例えばイナーシャ相中以外では、出力軸20の回転速度である変速機出力回転速度ωoの時間変化(すなわち出力軸角加速度dωo/dt)に基づいて入力軸角加速度dωt/dtの目標値を算出する。加えて、変速目標値算出部80は、例えば変速機出力トルクToを変化させる態様が予め定められた関係(変速機出力トルク変化マップ)から、エンジン出力制御部72により算出された要求駆動力Fdem及び変速制御開始時(或いは前回算出時)からの経過時間に基づいて変速機出力トルクToの目標値を算出する。尚、上記入力軸角加速度変化マップ及び変速機出力トルク変化マップは、例えば変速パターン毎や変速段間毎に予め定められている。
制御操作量算出部76は、前記制御操作量を算出する関係式から、トルク分担率算出部78により算出された係合装置のトルク分担率(x,xlow,xhi)、及び変速目標値算出部80により算出された各変速目標値(dωt/dt、Toの各目標値)に基づいて、制御操作量としての、タービントルクTt(エンジントルクTeも同意)、ローギヤ段側クラッチトルクTclow、及びハイギヤ段側クラッチトルクTchiの各要求値を算出する。
エンジン出力制御部72は、変速制御部74により自動変速機18の変速中であると判定された場合には、制御操作量算出部76により算出されたタービントルクTt(エンジントルクTeも同意)の要求値が得られるように、エンジン出力制御指令信号Seを出力する。変速制御部74は、自動変速機18の変速を実行すべきと判断した場合には、判断したギヤ段が達成されるように、制御操作量算出部76により算出されたローギヤ段側クラッチトルクTclow及びハイギヤ段側クラッチトルクTchiの各要求値を得る為の油圧指令信号Spを油圧制御回路28へ出力する。
前記変速目標値算出部80は、上述したように、イナーシャ相中以外では、出力軸20の回転速度である変速機出力回転速度ωoの時間変化(すなわち出力軸角加速度dωo/dt)に基づいて入力軸角加速度dωt/dtの目標値χを算出する。従来では、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積(dωo/dt×γa)で算出される値が目標値として設定されていた。しかしながら、イナーシャ相終了時(イナーシャ相終了間際)からの入力軸角加速度dωt/dtの目標値が、上記値(dωo/dt×γa)に設定される場合、制御操作量(タービントルクTt、ローギヤ段側クラッチトルクTclow、ハイギヤ段側クラッチトルクTchi)に制御誤差が生じると、入力軸角加速度dωt/dtの目標値と実際の入力軸角加速度dωt/dtとの間に乖離が生じてしまい、タービン回転速度ωt(すなわち変速機入力回転速度ωi)が変速後の同期回転速度付近、すなわち変速機出力回転速度ωoと変速後のギヤ比γaとの積(=ωo×γa)で算出される値付近で停滞して回転同期されない可能性があった。これに対して、例えば前記変速機入力回転速度ωiと変速後の同期回転速度(変速機出力回転速度ωo×変速後のギヤ比)との偏差に基づくフィードバック制御を実行することで前記乖離を収束することもできるが、その場合であっても変速時間が長くなってしまう。尚、イナーシャ相終了間際の判断は、例えばイナーシャ相開始時点或いは変速開始時点を基準とした経過時間に基づいて判断される。また、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、本発明の自動変速機の入力軸の回転変化量の目標値に対応している。
そこで、変速目標値算出部80は、イナーシャ相終了時の入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積(dωo/dt×γa)で算出される基準目標値αよりも、変速機入力回転速度ωi(入力軸の回転速度)が変速方向にさらに進行する側(変速側)に設定する。例えばアップシフトにあっては、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αよりも、変速機入力回転速度ωiがさらに低回転速度側に変化する値に設定されている。言い換えれば、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αよりも所定の乖離量δだけ小さい値に設定される。また、ダウンシフトにあっては、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αよりも、変速機入力回転速度ωiがさらに高回転速度側に変化する値に設定される。言い換えれば、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αよりも所定の乖離量δだけ大きい値に設定される。このように目標値χが設定されると、制御操作量(タービントルクTt、ローギヤ段側クラッチトルクTclow、ハイギヤ段側クラッチトルクTchi)に制御誤差が生じた場合であっても、変速機入力回転速度ωiが変速の進行方向にさらに変化するように目標値χが予め設定されているので、その変化過程で変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度(=変速機出力回転速度ωo×変速後のギヤ比γa)に同期し、変速機入力回転速度ωiが同期回転速度付近で停滞することが防止される。尚、基準目標値αからの前記乖離量δが大きくなるに従って、変速機入力回転速度ωiが同期回転速度に同期し易くなる。また、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積(dωo/dt×γa)で算出される基準目標値αが、本発明の車速と変速後のギヤ比とから求められる基準目標値αに対応している。車速Vは変速機出力回転速度ωoと一義的に対応しており、この変速機出力回転速度ωoの時間変化率を逐次算出することで出力軸角加速度dωo/dtが求められる。従って、車速Vと変速後のギヤ比γaとから基準目標値αを算出することができる。
また、自動変速機18のパワーオンアップシフト時に設定される目標値χは、パワーオフアップシフト時に設定される目標値χに比べて、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αからの乖離量δが大きく設定される。パワーオンアップシフトにあっては、自動変速機18の変速が進行するに従って変速機入力回転速度ωiが低下するのに対して、エンジン12は、変速機入力回転速度ωiを増加させる方向のトルクを出力している。従って、パワーオンアップシフトは、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度に同期し難い変速となる。そこで、パワーオンアップシフトでは、前記目標値χについて前記基準目標値αからの乖離量δを大きく設定することで、制御誤差が生じても変速機入力回転速度ωiを変速が進行する方向にさらに変化させて同期を完了させることができる。
一方、パワーオフアップシフトにあっては、自動変速機18の変速が進行するに従って変速機入力回転速度ωiが低下すると共に、エンジン12はトルクを出力しないので変速機入力回転速度ωiが成り行きで低下する。従って、パワーオフアップシフトでは、変速機入力回転速度ωiが成り行きで低下し、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度に成り行きで同期するので、前記基準目標値αからの乖離量δが小さくても構わない。尚、パワーオフアップシフトでは、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度に成り行きで同期することから、前記乖離量δが零であっても構わない。すなわち、パワーオフアップシフトでは、目標値χを出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αに設定しても構わない。
また、自動変速機18のパワーオフダウンシフト時に設定される目標値χは、パワーオンダウン時に設定される目標値χに比べて、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αからの乖離量δが大きく設定される。パワーオフダウンシフトにあっては、自動変速機18の変速が進行するに従って変速機入力回転速度ωiが上昇するのに対して、エンジン12はトルクを出力しないので変速機入力回転速度ωiを低下させる。従って、パワーオフダウンシフトは、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度に同期し難い変速となる。そこで、パワーオフダウンシフトでは、前記目標値χについて前記基準目標値αからの乖離量δを大きく設定することで、制御誤差が生じても変速機入力回転速度ωiを変速進行方向にさらに変化させて同期を完了させることができる。
一方、パワーオンダウンシフトにあっては、自動変速機18の変速が進行するに従って変速機入力回転速度ωiが上昇すると共に、エンジン12は変速機入力回転速度ωiを増加させる方向のトルクを出力している。従って、パワーオンダウンシフトでは、変速機入力回転速度ωiがエンジン12によって引き上げられて、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度まで到達(同期)するので、前記基準目標値αからの乖離量δが小さくても構わない。尚、パワーオンダウンシフトでは、変速機入力回転速度ωiがエンジン12によって引き上げられて変速後の同期回転速度に同期するので、前記乖離量δが零であっても構わない。すなわち、パワーオンダウンシフトでは、目標値χを出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値αに設定しても構わない。
図2において、変速パターン判定手段すなわち変速パターン判定部82は、自動変速機18の変速パターン(パワーオンアップシフト、パワーオフアップシフト、パワーオンダウンシフト、パワーオフダウンシフト)を判定する。変速目標値算出部80は、判定された変速パターンに応じて出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとの積で算出される基準目標値α(dωo/dt×γa)からの前記乖離量δを設定する。具体的には、パワーオンアップシフト時の乖離量δがパワーオフアップシフト時の乖離量δに比べて大きく設定され、パワーオフダウンシフト時の乖離量δがパワーオンダウンシフト時の乖離量δよりも大きく設定される。なお、前記乖離量δは、予め実験や解析によって求められて変速パターンに応じた最適な値、すなわち制御誤差が生じても変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度に確実に同期させられる値に設定されている。また、変速パターンに加えて、自動変速機18のギヤ段に応じて前記乖離量δを設定されるのが望ましい。
図3は、電子制御装置70の制御作動の要部すなわち自動変速機18の変速中のショックを抑制しつつ、変速を停滞することなく速やかに完了できる制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。図4は、図3のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートであって、パワーオンアップシフト時の一例である。
図3において、先ず、変速制御部74に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えば自動変速機18の変速中であるか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合(図4のt1時点乃至t3時点)はトルク分担率算出部78に対応するS20において、例えば係合装置のトルク分担率(x,xlow,xhi)が算出される。次いで、変速目標値算出部80および変速パターン判定部82に対応するS30において、各変速目標値(入力軸角加速度dωt/dt、変速機出力トルクToの各目標値)が算出される。次いで、制御操作量算出部76に対応するS40において、前記制御操作量を算出する関係式から、上記S20にて算出された係合装置のトルク分担率、及び上記S30にて算出された各変速目標値に基づいて、制御操作量(エンジントルクTe、ローギヤ段側クラッチトルクTclow、ハイギヤ段側クラッチトルクTchiの各要求値)が算出される。次いで、エンジン出力制御部72及び変速制御部74に対応するS50において、上記S40にて算出された各制御操作量が得られるように、エンジン出力制御指令信号Se及び油圧指令信号Spが出力されて、エンジン12、解放側の係合装置、及び係合側の係合装置が制御される。
ここで、S30において、イナーシャ相終了間際になると、変速パターン判定部82によって変速パターンが判定され、その変速パターンに応じて変速目標値算出手段80によって乖離量δが設定され、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる基準目標値α(dωo/dt×γa)よりも、所定の乖離量δ分だけ変速機入力回転速度ωiが変速方向にさらに進行する側に設定される。図4に示すように、イナーシャ相終了間際であるt3時点において、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χが破線で示すように増加し、t3時点以降では一定の値に設定されている。また、実線で示す実出力(実際の値)は、t3時点以降では目標値χに比べてさらに大きな値となり、入力軸角加速度dωt/dtの目標値χと実出力との間で乖離が生じている。このような乖離が生じると、変速機入力回転速度ωiが変速後同期回転数付近で停滞することがあるが、目標値χが破線で示すように予め変速が進行する側すなわち同期する側に設定されているので、入力回転速度ωiがt3時点以降で同期している。一方、目標値が、車速Vと変速後のギヤ比とから求められる値、すなわち出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比との積(出力軸角加速度dωo/dt×変速後のギヤ比γa)である基準目標値αに設定される場合、入力軸角加速度dωt/dt(実出力)が制御誤差によって一点鎖線で示すように目標値から乖離すると、変速機入力回転速度ωiが一点鎖線で示すように変速後同期回転速度付近で停滞することとなる。
上述のように、本実施例によれば、変速終了時における入力軸角加速度dωt/dtの目標値χを、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる基準目標値α(dωt/dt×γa)に設定すると、制御操作量に制御誤差が生じたときに前記目標値χと実際の値に乖離が出て変速が完了しない可能性がある。これを考慮して、前記目標値χを、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる基準目標値αよりも、変速機入力回転速度ωiが変速方向に進行する側に設定することで、変速機入力回転速度ωiの変化を促進し、変速後の同期回転速度(ωo×γa)に到達(同期)させて変速を終了させることができる。従って、従来のように目標値と実際の値との偏差に基づくフィードバック制御を行うことなく、変速を速やかに終了させることができる。
また、本実施例によれば、パワーオンアップシフト時に設定される目標値χは、パワーオフアップシフト時に設定される目標値χに比べて、出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる値(dωt/dt×γa)から求められる基準目標値αからの乖離量δが大きく設定され、パワーオフダウンシフト時に設定される目標値χは、パワーオンダウンシフト時に設定される目標値χに比べて、前記出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる基準目標値αからの乖離量δが大きく設定される。このようにすれば、パワーオンアップシフト時およびパワーオフダウンシフト時では、制御操作量について制御誤差が生じた際に、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度(ωo×γa)に同期し難くなるが、乖離量δを大きくすることで変速機入力回転速度ωiの変化を促進させて変速後の同期回転速度まで到達させることができる。
また、本実施例によれば、パワーオフアップシフト時およびパワーオンダウンシフト時は、目標値χが出力軸角加速度dωo/dtと変速後のギヤ比γaとから求められる基準目標値α(dωt/dt×γa)に設定される。パワーオフアップシフト時およびパワーオンダウンシフト時は、変速機入力回転速度ωiが変速後の同期回転速度(ωo×γa)に成り行きで同期する、すなわち自発的に変速が進行するので、前記目標値χが前記値(dωt/dt×γa)に設定されても変速が速やかに終了する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、変速目標値を、前記出力軸側の回転部材上のトルクと、前記入力軸側の回転部材の速度変化量との2つの値で設定し、前記制御操作量を、前記入力軸側の回転部材上のトルクと、前記変速時における係合側の係合装置のトルク容量と、前記変速時における解放側の係合装置のトルク容量との3つの値で設定し、前記変速時に前記係合側の係合装置と前記解放側の係合装置とで受け持つ伝達トルクを前記入力軸側の回転部材上のトルクに置き換えたときの両係合装置にて分担する該伝達トルクのトルク分担率を設定することで、前記自動変速機の変速を実行するものであったが、例えば変速目標値を、出力軸側の回転部材上のトルクおよび前記入力軸側の回転部材の速度変化量の2つの値で設定し、制御操作量を、変速時における係合側の係合装置のトルク容量および前記変速時における解放側の係合装置のトルク容量の2つの値で設定しても構わない。すなわち、変速目標値の数および制御操作量の数を等しくするなど、適宜変更しても構わない。また、変速目標値および制御操作量を適宜変更しても構わない。すなわち、本願発明は、本実施例の変速モデルに限定されるものではなく、他の変速モデルで変速を実行する態様であっても適宜適用することができる。
また、前述の実施例では、前記乖離量δが自動変速機18の変速パターンに応じて設定されているとしたが、さらに、自動変速機18の作動油温、およびアクセル開度Acc等に応じて変化するように設定しても構わない。
また、前述の実施例では、入力軸の回転変化量の目標値χとして入力軸角加速度dωt/dtが適用されているが、変速機入力回転速度ωiを入力軸の回転変化量の目標値に適用して実施することもできる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。