JP2008051186A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラッチツウクラッチ変速が行われる自動変速機において、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のトルク容量を制御するためのトルク指令値の適合作業を一層軽減することができる変速制御装置を提供する。
【解決手段】トルク容量算出手段114により、目標出力トルクTOUT およびトルク分担率に基づいてイナーシャ相中のアプライ側クラッチトルクが算出されると共に、トルク相中におけるドレン側クラッチトルクが目標出力トルクTOUT およびトルク相中におけるアプライ側クラッチトルクに基づいて算出され、変速制御手段104によりドレン側およびアプライ側のクラッチトルクがそれぞれトルク指令値に変換されて解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の作動が制御されるので、自動変速機10の出力トルクTOUTの目標変化パターンを決定できるように適合作業を行えば良く、トルク指令値の適合作業を一層軽減することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置との掴み替えによるクラッチツウクラッチ変速が実行される自動変速機の変速制御装置に係り、特に、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のトルク容量制御に関するものである。
複数の摩擦係合装置を選択的に係合させることにより変速比の異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置とを掴み替えて変速段を切り替えるクラッチツウクラッチ変速を行うに際して、変速応答性を損なうことなく変速ショックの発生を抑制する目標の変速特性が得られるように、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のトルク容量を適切に制御することが良く知られている。例えば、クラッチツークラッチ変速に際して、目標の変速特性が得られるように解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のトルク容量の大きさ、変化率、変化タイミング等を制御するためのトルク指令値が適切に設定される。
ところで、上記トルク指令値が適切に設定されないと駆動力源の吹き上がりやタイアップなどによる変速ショックが発生する恐れがあることから、目標の変速特性を得るために全ての変速パターン(変速の種類毎)について係合側および解放側のトルク指令値をそれぞれ適合する必要があり、トルク指令値の適合作業に多大な時間が掛かるという問題があった。
このような問題に対して、特許文献1には、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置が用いられている車両用自動変速機において、クラッチツウクラッチ変速を行う際に、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の何れか一方の係合装置のトルク容量を予め適合作業により定められた油圧指令値(トルク指令値)に従って制御する一方で、解放側摩擦係合装置のトルク容量、係合側摩擦係合装置のトルク容量、および自動変速機の入力トルクの釣り合い関係を表す運動方程式から、予め適合作業により定められた油圧指令値に基づいて算出された一方の係合装置のトルク容量および自動変速機の入力トルクに基づいて他方の係合装置のトルク容量を算出し、その他方の係合装置のトルク容量から換算された油圧指令値に従って制御することによって、油圧指令値の適合作業を軽減する自動変速機の変速制御方法が提案されている。
特開2004−340287号公報
しかしながら、上記特許文献1のように一方の係合装置のトルク容量に基づいて他方の係合装置のトルク容量を制御するためのトルク指令値が変速の都度算出されればそのトルク指令値の適合作業が軽減されるものの、依然として一方の係合装置のトルク容量を制御するためのトルク指令値は適合作業により定められるため、トルク指令値の適合作業を軽減するうえで更なる改善の余地があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、クラッチツウクラッチ変速が行われる自動変速機において、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のトルク容量をそれぞれ制御するためのトルク指令値の適合作業を一層軽減することができる自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a) 複数の摩擦係合装置を選択的に係合させることにより変速比の異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置とを掴み替えて前記変速段を切り替えるクラッチツウクラッチ変速を行う自動変速機の変速制御装置であって、(b) 前記クラッチツウクラッチ変速中における前記自動変速機の出力トルクの目標変化パターンを変速出力時の入力トルクおよび目標変速時間に基づいて決定する目標出力トルク決定手段と、(c) 前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置のうちのいずれか一方の摩擦係合装置のトルク容量を前記目標変化パターンに基づく目標出力トルクおよびトルク分担率に基づいて算出すると共に、他方の摩擦係合装置のトルク容量を前記一方の摩擦係合装置のトルク容量および前記目標出力トルクに基づいて算出するトルク容量算出手段と、(d) 前記一方の摩擦係合装置のトルク容量および他方の摩擦係合装置のトルク容量がそれぞれ得られるように、それらトルク容量をそれぞれトルク指令値に変換して前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置の作動を制御する変速制御手段とを、含むことにある。
このようにすれば、トルク容量算出手段により、目標出力トルク決定手段により変速出力時の入力トルクおよび目標変速時間に基づいて決定されたクラッチツウクラッチ変速中における自動変速機の出力トルクの目標変化パターンに基づく目標出力トルクおよびトルク分担率に基づいて、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のうちのいずれか一方の摩擦係合装置のトルク容量が算出されると共に、一方の摩擦係合装置のトルク容量および目標出力トルクに基づいて他方の摩擦係合装置のトルク容量が算出され、一方の摩擦係合装置のトルク容量および他方の摩擦係合装置のトルク容量がそれぞれ得られるように、変速制御手段によりそれらトルク容量がそれぞれトルク指令値に変換されて解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の作動が制御されるので、自動変速機の出力トルクの目標変化パターンを決定できるように適合作業を行えば良く、トルク指令値の適合作業を一層軽減することができる。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置において、前記クラッチツウクラッチ変速中において、前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置のうちの少なくとも一方の摩擦係合装置の熱吸収量を推定する熱吸収量推定手段と、前記熱吸収量が所定の許容値を超えるときには前記目標変速時間を短くするように変更する目標値変更手段とを、更に備えるものである。このようにすれば、当初の目標変速時間がクラッチツウクラッチ変速に関与する摩擦係合装置の耐久性を確保するうえで適切なものでなかったとしても、摩擦係合装置の耐久性の低下が抑制されるように修正されるので、目標変化パターンを決定するための適合作業を軽減するうえで有利なものとなる。
また、請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の自動変速機の変速制御装置において、前記クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、前記自動変速機の出力トルクが前記目標出力トルクとなるように動力源のトルクダウン量を求めると共に、そのトルクダウン量に基づいてその動力源の出力トルクを低減する動力源トルク低減手段を更に備え、前記目標値変更手段は、前記トルクダウン量が所定の限界値を超えるときには前記目標変速時間を長くするように変更するものである。このようにすれば、目標出力トルクとなるようにクラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中に発生するイナーシャトルクを動力源トルク低減手段による動力源のトルクダウンにより相殺できなくとも、イナーシャトルクの発生に伴う変速ショックを低減するうえで有利なものとなる。
また、請求項4にかかる発明は、請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置において、前記クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、前記自動変速機の出力トルクが前記目標出力トルクとなるように動力源のトルクダウン量を求めると共に、そのトルクダウン量に基づいてその動力源の出力トルクを低減する動力源トルク低減手段と、前記トルクダウン量が所定の限界値を超えるときには前記目標変速時間を長くするように変更する目標値変更手段とを、更に備えるものである。このようにすれば、目標出力トルクとなるようにクラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中に発生するイナーシャトルクを動力源トルク低減手段による動力源のトルクダウンにより相殺できなくとも、イナーシャトルクの発生に伴う変速ショックを低減するうえで有利なものとなる。
ここで好適には、本発明は、車両用の自動変速機の変速制御に適用されるが、車両用以外の自動変速機にも適用され得る。この自動変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が摩擦係合装置によって選択的に連結されることにより複数の変速段が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する遊星歯車式多段変速機により構成されるが、トルク容量を制御可能な他の摩擦係合装置を選択的に係合、解放して変速を行う種々の型式の自動変速機によっても構成され得る。
また、好適には、前記摩擦係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキ等の油圧式摩擦係合装置が広く用いられる。また、この摩擦係合装置としては、油圧式摩擦係合装置以外に電磁式係合装置例えば電磁クラッチや磁粉式クラッチ等であってもよい。
また、好適には、上記摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
また、好適には、上記複数のリニアソレノイドバルブは、例えば複数の摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
また、好適には、前記クラッチツウクラッチ変速は、必ずしもクラッチとクラッチとの掴み替えである必要はなく、クラッチとブレーキとの掴み替えであっても良い。また、一般には係合側および解放側の摩擦係合装置はそれぞれ1個であることが望ましいが、複数の摩擦係合装置を同時に解放したり、複数の摩擦係合装置を同時に係合したりして変速を行う場合にも適用され得る。
また、好適には、前記動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。さらに、補助的な動力源として、電動機等が上記エンジンに加えて用いられても良い。或いは、動力源として電動機のみが用いられてもよい。
また、好適には、前記自動変速機の入力トルクについては、例えば動力源からトルクコンバータ等を介して入力される場合は、動力源の出力トルクにトルクコンバータのトルク比を掛けて算出することができる。この動力源の出力トルクについては、例えば動力源がエンジン等の内燃機関である場合には、スロットル弁開度や吸入空気量などをパラメータとしてエンジン回転速度などに基づいて従来から広く知られている算出方法に従って推定値を算出することができる。また、動力源が電動機である場合には、その電動機のトルク指令値(駆動指令値)を用いることができる。尚、トルクコンバータを含めて自動変速機とする場合には、トルクコンバータへの入力トルクすなわち動力源の出力トルクが自動変速機の入力トルクとされる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、車両用自動変速機(以下、自動変速機という)10の骨子図である。図2は複数の変速段(ギヤ段)を成立させる際の摩擦係合要素すなわち摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表である。この自動変速機10は、車両の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるものであって、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース26内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部20とを共通の軸心C上に有し、入力軸22の回転を変速して出力歯車24から出力する。
入力軸22は、走行用の動力源であるエンジン30によって回転駆動される流体式伝動装置としてのトルクコンバータ32のタービン軸である。また、出力歯車24は、図3に示す差動歯車装置34に動力を伝達するために、デフリングギヤ36と噛み合ってファイナルギヤ対を構成するデフドライブピニオンと同軸上に配置されたカウンタドリブンギヤと噛み合ってカウンタギヤ対を構成するカウンタドライブギヤである。
このように構成された自動変速機10等において、エンジン30の出力は、トルクコンバータ32、自動変速機10、差動歯車装置34、および一対の車軸38等を介して一対の駆動輪40へ伝達される(図3参照)。なお、この自動変速機10やトルクコンバータ32は中心線(軸心)Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその中心線Cの下半分が省略されている。
自動変速機10は、第1変速部14および第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)のうちのいずれかの連結状態の組み合わせに応じて第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の6つの前進ギヤ段が成立させられるとともに、後進ギヤ段「R」が成立させられる。図2に示すように、例えば前進ギヤ段では、クラッチC1とブレーキB2との係合により第1速ギヤ段が、クラッチC1とブレーキB1との係合により第2速ギヤ段が、クラッチC1とブレーキB3との係合により第3速ギヤ段が、クラッチC1とクラッチC2との係合により第4速ギヤ段が、クラッチC2とブレーキB3との係合により第5速ギヤ段が、クラッチC2とブレーキB1との係合により第6速ギヤ段が、それぞれ成立させられるようになっている。また、ブレーキB2とブレーキB3との係合により後進ギヤ段が成立させられ、クラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3のいずれも解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。
図2の作動表は、上記各ギヤ段とクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合を表している。特に、第1速ギヤ段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)にはクラッチC1のみを係合させ、エンジンブレーキを作用させるときにはクラッチC1とブレーキB2とを係合させる。また、各ギヤ段のギヤ比(変速比)γ(=入力軸22の回転速度/出力歯車24の回転速度)は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
このように本実施例の自動変速機10は、複数の摩擦係合装置すなわちクラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3を選択的に係合させることによりギヤ比の異なる複数のギヤ段を成立させるものであり、図2の作動表から明らかなように、クラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3の何れか2つを掴み替える所謂クラッチツウクラッチ変速により各ギヤ段の切り替えを行うことができる。
また、上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路50(図3参照)のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられるとともに係合、解放時の過渡油圧などが制御される。
図3は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部およびエンジン30から駆動輪40までの動力伝達系の概略構成を説明するブロック線図である。
図3において、電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン30の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や油圧制御回路50のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を制御する変速制御用等に分けて構成される。
例えば、電子制御装置100には、アクセル開度センサ54により検出されたアクセルペダル52の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度信号、エンジン回転速度センサ56により検出されたエンジン30の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、冷却水温センサ58により検出されたエンジン30の冷却水温Tを表す信号、吸入空気量センサ60により検出されたエンジン30の吸入空気量Qを表す信号、スロットル弁開度センサ64により検出された電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTHを表すスロットル弁開度信号、出力回転速度センサ66により検出された車軸38の回転速度である出力回転速度NOUTすなわち車速Vを表す信号、ブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキであるフットブレーキ(ホイールブレーキ)の作動中(踏込操作中)を示すフットブレーキペダル68の操作(オン)BONを表す信号、レバーポジションセンサ74により検出されたシフトレバー72のレバーポジション(操作位置、シフトポジション)PSHを表す信号、タービン回転速度センサ76により検出されたトルクコンバータ32のタービン軸の回転速度であるタービン回転速度Nすなわち入力軸22の回転速度を表す信号、AT油温センサ78により検出された油圧制御回路50内の作動油の温度であるAT油温TOIL表す信号などがそれぞれ供給される。
また、電子制御装置100からは、電子スロットル弁62を開閉駆動するスロットルアクチュエータ80への駆動信号、エンジン30の点火時期を指令する点火信号、エンジン30の吸気管または筒内に燃料を供給し或いは停止する燃料噴射装置82によるエンジン30への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、シフトインジケータを作動させるためのレバーポジションPSH表示信号、自動変速機10のギヤ段を切り換えるために油圧制御回路50内のシフト弁を駆動するシフトソレノイドを制御する信号、およびライン圧を制御するリニヤソレノイド弁を駆動するための指令信号などがそれぞれ出力される。
また、シフトレバー72は例えば運転席の近傍に配設され、図3に示すように、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動操作されるようになっている。
「P」ポジション(レンジ)は自動変速機10内の動力伝達経路を解放しすなわち自動変速機10内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力歯車24の回転を阻止(ロック)するための駐車ポジション(位置)であり、「R」ポジションは自動変速機10の出力歯車24の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは自動変速機10内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジション(位置)であり、「D」ポジションは自動変速機10の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で第1ギヤ段「1st」〜第6ギヤ段「6th」の総ての前進ギヤ段を用いて自動変速制御を実行させる前進走行ポジション(位置)であり、「S」ポジションはギヤ段の変化範囲を制限する複数種類の変速レンジすなわち高車速側のギヤ段が異なる複数種類の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行ポジション(位置)である。この「S」ポジションにおいては、シフトレバー72の操作毎に変速範囲をアップ側にシフトさせるためのレバーポジションPSHとしての「+」ポジション、シフトレバー72の操作毎に変速範囲をダウン側にシフトさせるためのレバーポジションPSHとしての「−」ポジションが備えられている。
図4は、油圧制御回路50のうちクラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)AC1、AC2、AB1、AB2、AB3の作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL5に関する回路図である。
図4において、各油圧アクチュエータAC1、AC2、AB1、AB2、AB3には、ライン油圧PLがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1〜SL5により電子制御装置100からの指令信号に応じたクラッチ油圧(係合油圧)PC1、PC2、PB1、PB2、PB3に調圧されてそれぞれ直接的に供給されるようになっている。このライン油圧PLは、例えばエンジン30の出力トルク(エンジントルク)Tを伝達するための摩擦係合装置のクラッチトルク(係合トルク、トルク容量)が確保される係合油圧が得られるように、エンジン30により回転駆動される機械式のオイルポンプ28(図1参照)から発生する油圧を元圧として図示しない例えばリリーフ型調圧弁(レギュレータバルブ)によって、スロットル弁開度θTH或いは吸入空気量Q等で表されるエンジントルクTに応じた値に調圧されるようになっている。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は、基本的には何れも同じ構成で、電子制御装置100により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータAC1、AC2、AB1、AB2、AB3の油圧が独立に調圧制御されてクラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB2、PB3が制御される。そして、自動変速機10は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた摩擦係合装置が係合されることによって各ギヤ段が成立させられる。また、自動変速機10の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置との掴み替えによるクラッチツウクラッチ変速が実行される。このクラッチツウクラッチ変速の際には、変速ショックを抑制しつつ可及的に速やかに変速が実行されるように解放側摩擦係合装置の解放過渡油圧と係合側摩擦係合装置の係合過渡油圧とが適切に制御される。
前記解放側摩擦係合装置とは、各クラッチツウクラッチ変速に関して解放される(新たに解放される)側の油圧式摩擦係合装置であり、例えば図2の係合作動表に示すように2速→3速アップシフトではブレーキB1が、3速→4速アップシフトではブレーキB3が、4速→5速アップシフトではクラッチC1が、5速→6速アップシフトではブレーキB3がそれぞれ相当する。また、前記係合側摩擦係合装置とは、各クラッチツウクラッチ変速に関して係合される(新たに係合される)側の油圧式摩擦係合装置であり、例えば1速→2速アップシフトではブレーキB1が、2速→3速アップシフトではブレーキB3が、3速→4速アップシフトではクラッチC2が、4速→5速アップシフトではブレーキB3が、5速→6速アップシフトではブレーキB1がそれぞれ相当する。
図5は、電子制御装置100による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5において、エンジン出力制御手段102は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ80により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置82による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置による点火時期を制御するなどしてエンジン30の出力制御を実行する。例えば、エンジン出力制御手段102は、予め記憶された関係からアクセル開度信号Accに基づいてスロットルアクチュエータ80を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるようにスロットル制御を実行する。
変速制御手段104は、例えば図6に示すような車速Vおよびアクセル開度Accを変数として予め記憶された関係(マップ、変速線図)から実際の車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて変速判断を行い、自動変速機10の変速を実行すべきか否かを判断し、例えば自動変速機10の変速すべきギヤ段を判断し、その判断したギヤ段が得られるように自動変速機10の自動変速制御を実行する。このとき、変速制御手段104は、例えば図2に示す係合表に従ってギヤ段が達成されるように、自動変速機10の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力、油圧指令)を油圧制御回路50へ出力する。図6の変速線図において、実線はアップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、破線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。
例えば、変速制御手段104は、自動変速機10が第2速ギヤ段とされている車両走行中に、アクセルペダル52が踏込み操作される加速操作により車速Vが上昇して車両状態が2速→3速アップシフトを実行すべき2速→3速アップシフト線を横切ったと判断した場合には、解放側摩擦係合装置としてのブレーキB1の係合油圧を低下させてブレーキB1の解放を開始させると共に、ブレーキB1のトルク容量の低下とブレーキB3のトルク容量の増加が重なるように係合側摩擦係合装置としてのブレーキB3の係合油圧を上昇させてブレーキB3の係合を開始させ、ブレーキB3の解放とクラッチC2の係合とを完了させて第2速ギヤ段のギヤ比γ2から第3速ギヤ段のギヤ比γ3へ移行させる2→3パワーオンアップシフト指令を油圧制御回路50に出力する。
前記変速出力は、摩擦係合装置のトルク容量を制御するためのトルク指令値、すなわち必要なトルク容量が得られる係合油圧を発生するための油圧指令値であって、例えば解放側摩擦係合装置のトルク指令値として解放側摩擦係合装置を解放する為の必要なトルク容量が得られるように作動油が排出される油圧指令値が出力されると共に、係合側摩擦係合装置のトルク指令値として係合側摩擦係合装置を係合する為の必要なトルク容量が得られるように作動油が供給される油圧指令値が出力される。
油圧制御回路50は、前記変速制御手段104による変速出力に従って、自動変速機10の変速が実行されるように油圧制御回路50内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を作動させて、その変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータAC1、AC2、AB1、AB2、AB3を作動させる。
ここで、本実施例では、油圧指令値は予め適合作業によって各変速毎に設定されたものを用いるのでなく、クラッチツウクラッチ変速の際に、解放側摩擦係合装置を解放する為の必要なトルク容量(以下、ドレン側クラッチトルク)および係合側摩擦係合装置を係合する為の必要なトルク容量(以下、アプライ側クラッチトルク)を求め、それらドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクから換算したそれぞれの油圧指令値を用いる。
以下に、ドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクの算出等についてパワーオンアップシフトの場合を例にして詳細に説明する。
変速出力判定手段106は、前記変速制御手段104により例えば図6に示すような変速線図から実際の車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて自動変速機10の変速を実行すべきであると判断されたか否かを判定する。この変速出力判定手段106により変速制御手段104による自動変速機10の変速を実行する変速判断が行われたと判定されると、ドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクが算出され、変速制御手段104により油圧制御回路50へ出力される解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置を作動させるための油圧指令値が求められる。
具体的には、推定入力トルク算出手段108は、前記変速制御手段104による変速出力時の、すなわち前記変速出力判定手段106により変速制御手段104による自動変速機10の変速を実行する変速判断が行われたと判定された時の自動変速機10への入力トルクTINの推定値(以下、推定入力トルクという)TIN’を算出する。本実施例では、トルクコンバータ32を自動変速機10に含めて考えることから、トルクコンバータ32へ入力されるトルクすなわちエンジントルクTが入力トルクTINに相当する。例えば、推定入力トルク算出手段108は、図7に示すようなスロットル弁開度θTH(或いは吸入空気量Q)をパラメータとしてエンジン回転速度Nとエンジントルク推定値TE0との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)から実際のエンジン回転速度Nおよびスロットル弁開度θTH(或いは吸入空気量Q)に基づいて推定入力トルクTIN’としてのエンジントルク推定値TE0を求める。
尚、トルクコンバータ32を自動変速機10に含めない場合には、エンジントルクTにトルクコンバータ32のトルク比tを乗じたトルクであるトルクコンバータ32の出力トルク(以下、タービントルクという)T(=エンジントルクT×トルク比t)が入力トルクTINに相当する。このトルク比tは、トルクコンバータ32の速度比e(=タービン回転速度N/エンジン回転速度N)の関数であり、例えば速度比eとトルク比tとの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ)から実際の速度比eに基づいて算出される。
出力トルク算出手段110は、前記推定入力トルク算出手段108により算出された推定入力トルクTIN’に基づいて前記変速制御手段104による変速出力時および変速完了時の自動変速機10の出力トルクTOUTを算出する。本実施例では、カウンタドリブンギヤや差動歯車装置34等を自動変速機10に含めて考えることから、差動歯車装置34から出力されるトルクすなわち車軸38上のトルクが出力トルクTOUTに相当する。例えば、出力トルク算出手段110は、次式(1)から前記推定入力トルク算出手段108により算出された推定入力トルクTIN’、トルク比t、変速出力時および変速完了時の自動変速機10のギヤ段におけるギヤ比γ、ファイナルギヤ対やカウンタギヤ対を含む差動歯車装置34等の減速比i、および自動変速機10の動力伝達効率ηに基づいて変速出力時および変速完了時の出力トルクTOUTを算出する。
OUT=TIN’×t×γ×i×η ・・・(1)
目標出力トルク決定手段112は、前記推定入力トルク算出手段108により算出された推定入力トルクTIN’および目標変速時間に基づいて、すなわち前記出力トルク算出手段110により推定入力トルクTIN’に基づいて算出された変速出力時および変速完了時の出力トルクTOUTと目標変速時間とに基づいて、前記変速制御手段104によるクラッチツウクラッチ変速中における制御目標値となる自動変速機10の出力トルクTOUTの目標変化パターン(波形)すなわち目標出力トルクTOUT の時間函数を決定する。
図8は、クラッチツウクラッチ変速中の出力トルクTOUTの目標変化パターンとタービン回転速度Nとの一例を示す図である。図8において、t時点は変速出力時であり、t時点はイナーシャ相開始時点であり、t時点は変速完了時である。また、t時点乃至t時点はトルク相時間tであり、t時点乃至t時点はイナーシャ相時間tであって、それぞれ目標変速時間として定められる。t時点の出力トルクTOUTは変速出力時の出力トルクTOUTであり、t時点の出力トルクTOUTは変速完了時の出力トルクTOUTであり、t時点の出力トルクTOUTは変速出力時および変速完了時の出力トルクTOUTから予め定められた関係に従って求められるイナーシャ相開始時の出力トルクTOUTである。
トルク相時間tは、例えば図9に示すような入力トルクTINをパラメータとしてギヤ比ステップ(=変速出力時および変速完了時のギヤ比γのうち低車速側(ローギヤ側)のギヤ比/変速出力時および変速完了時のギヤ比γのうち高車速側(ハイギヤ側)のギヤ比)とトルク相時間tとの予め実験的に求められて記憶された関係(トルク相時間マップ)から推定入力トルクTIN’およびギヤ比ステップに基づいて算出される。このトルク相時間マップは、ギヤ比ステップが大きい程、推定入力トルクTIN’が大きい程トルク相時間tが長くなるように定められている。
また、イナーシャ相時間tは、例えば図10に示すような入力トルクTINをパラメータとしてギヤ比ステップとイナーシャ相時間tとの予め実験的に求められて記憶された関係(イナーシャ相時間マップ)から推定入力トルクTIN’およびギヤ比ステップに基づいて算出される。このイナーシャ相時間マップは、ギヤ比ステップが大きい程、推定入力トルクTIN’が大きい程イナーシャ相時間tが長くなるように定められている。
また、トルク相中の目標出力トルクTOUT は、変速出力時の出力トルクTOUTからイナーシャ相開始時の出力トルクTOUTへ向かって漸次変化させられる。一方で、イナーシャ相中の目標出力トルクTOUT は、イナーシャ相開始時の出力トルクTOUTから変速完了時の出力トルクTOUTへ向かって漸次変化させられることに加え、パワーオンアップシフト時にはタービン回転速度N(換言すればエンジン回転速度N)の回転速度低下に伴ってイナーシャ相中で発生するトルク(以下、イナーシャトルクという)Tを上乗せする必要がある。
イナーシャトルクTは、例えば図11に示すようなタービン回転速度Nの回転速度差ΔN(或いはエンジン回転速度Nの回転速度差ΔN)とイナーシャトルクTとの予め実験的に求められて記憶された関係(イナーシャトルクマップ)から回転速度差ΔNの推定値(以下、推定タービン回転速度差という)ΔN’に基づいて算出される。このイナーシャトルクマップは、回転速度差ΔNが大きい程、イナーシャトルクTが大きくなるように定められている。また、推定タービン回転速度差ΔN’は、例えば実際のタービン回転速度Nと変速完了時のタービン回転速度の推定値N’(=出力回転速度NOUT×減速比i×変速完了時のギヤ比γ)との差(=N’−N)として算出される。
前記トルク相時間マップ、イナーシャ相時間マップ、イナーシャトルクマップは、例えば出力トルクTOUTの目標変化パターンに従ってドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクが制御されるクラッチツウクラッチ変速において、変速応答性の向上と変速ショックの抑制とが両立するようにそれぞれ予め実験的に求められている。また、摩擦係合装置の耐久性をも考慮して求められても良い。
トルク容量算出手段114は、前記目標出力トルク決定手段112により決定された出力トルクTOUTの目標変化パターンに基づく目標出力トルクTOUT およびトルク分担率に基づいて、ドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクのうちの一方のクラッチトルクを算出すると共に、その一方のクラッチトルクおよび目標出力トルクTOUT に基づいて他方のクラッチトルクを算出する。
例えば、前記トルク容量算出手段114は、次式(2)、(3)に示す運動方程式から目標出力トルクTOUT 、完全係合中の摩擦係合装置のクラッチトルクTCK、作動制御中の摩擦係合装置のクラッチトルクTCC、ギヤ分のイナーシャトルクTIG、作動制御中の摩擦係合装置のトルク分担率t(=TCC/(TCK+TCC))、減速比i、および自動変速機10の動力伝達効率ηに基づいて作動制御中の摩擦係合装置のクラッチトルクTCCの変化パターン(波形)すなわち必要なクラッチトルクTCCの時間函数を算出する。但し、トルク相においては次式(2)、(3)は適用されない。また、ギヤ分のイナーシャトルクTIGは、計算精度を向上させるために用いるものであり、必ずしも必要ではない。
OUT =TCK+TCC ・・・(2)
CC=(TOUT /η/i−TIG)×t+TIG ・・・(3)
ここで、2→3アップシフトを例にすれば、完全係合中の摩擦係合装置は2→3アップシフトに際して係合されたままのクラッチC1であり、作動制御中の摩擦係合装置は2→3アップシフトに際して解放されるブレーキB1および2→3アップシフトに際して係合されるブレーキB3である。従って、2→3アップシフトに際してブレーキB1のクラッチトルクがドレン側クラッチトルクであり、ブレーキB3のクラッチトルクがアプライ側クラッチトルクである。
トルク分担率tは、各ギヤ段および自動変速機10内の各ギヤの連結状態に基づいて予め定められている。より具体的には、第2速ギヤ段においては、例えば第2速ギヤ段のギヤ比γ2が1.9であるならば、クラッチC1のクラッチトルクTCK分が1に対してブレーキB1のクラッチトルクTCC分は0.9とされ、ブレーキB1のトルク分担率td2は(0.9/1.9)とされる。また、第3速ギヤ段においては、例えば第3速ギヤ段のギヤ比γ3が1.4であるならば、クラッチC1のクラッチトルクTCK分が1に対してブレーキB3のクラッチトルクTCC分は0.4とされ、ブレーキB3のトルク分担率td3は(0.4/1.4)とされる。また、このトルク分担率tは、2→3アップシフトに際して、変速出力時(図8のt時点参照)では第2速ギヤ段のトルク分担率td2とされ、イナーシャ相開始時点(図8のt時点参照)では第3速ギヤ段のトルク分担率td3とされる。
ギヤ分のイナーシャトルクTIGは、イナーシャ相時間tおよびタービン回転速度NやクラッチCの回転速度N等に基づいて自動変速機10内の回転部材であるギヤ等のそれぞれの角加速度が算出され、それら角加速度にギヤ等のそれぞれの慣性質量が掛けられて算出される。
前記式(3)の(TOUT /η/i−TIG)が タービントルクT×ギヤ比γ に相当することから、トルク分担率tの分母がギヤ比γに相当すると考えると、作動制御中の摩擦係合装置のトルク分担率tは、入力されるトルク(例えばタービントルクT)をトルク増幅する分に対する完全係合中の摩擦係合装置との割合であるとも言える。
図12は、目標出力トルクTOUT (目標変化パターン)に基づいて算出されたイナーシャ相中におけるアプライ側クラッチトルクの変化パターンと、トルク相において与えられたアプライ側クラッチトルクに基づいて算出されたドレン側クラッチトルクとの一例を示す図である。この図12の目標出力トルクTOUT は、図8に示したクラッチツウクラッチ変速中の出力トルクTOUTの目標変化パターンに相当する。
より具体的には、図12において、イナーシャ相中におけるアプライ側クラッチトルクの変化パターンが前記式(3)に従って決定される。トルク相中におけるアプライ側クラッチトルクの変化パターンが、t時点の零から式(3)に従って算出されるt時点のアプライ側クラッチトルクへ向かって漸増するようにトルク相時間tに基づいて決定される。そして、トルク相中におけるドレン側クラッチトルクの変化パターンが、 ドレン側クラッチトルク=(TOUT −TCK)−トルク相中におけるアプライ側クラッチトルク に従って算出される。尚、トルク相中においては、ドレン側クラッチトルクの変化パターンが、式(3)に従って算出されるt時点のドレン側クラッチトルクからt時点の零へ向かって漸減するようにトルク相時間tに基づいて決定され、そのドレン側クラッチトルクに基づいてアプライ側クラッチトルクの変化パターンが算出されても良い。
前記エンジン出力制御手段102は、前記変速制御手段104によるクラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、自動変速機10の出力トルクTOUTが目標出力トルクTOUT となるようにエンジン30のトルクダウン量を求めると共に、そのトルクダウン量に基づいてエンジントルクTを低減する動力源トルク低減手段116を備えている。動力源トルク低減手段116によるエンジントルクTの低減は、求めたトルクダウン量が得られるように図13の如く点火時期が遅角させられることにより実現される。エンジントルクTの低減は応答性を考慮すれば点火時期の遅角が有利であるが、電子スロットル弁62の閉じ制御や燃料噴射量の低減を単独で、或いは点火時期の遅角も含め様々に組み合わせて行うことによりエンジントルクTを低減することも可能である。図13は、クラッチツウクラッチ変速中の出力トルクTOUT、エンジントルクT、アプライ側クラッチトルク、およびイナーシャトルクの各変化パターン(波形)と、点火時期の遅角時期および遅角量との一例を示す図である。この図13の目標出力トルクTOUT は、図8に示したクラッチツウクラッチ変速中の出力トルクTOUTの目標変化パターンに相当する。
図14は、クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中における係合側摩擦係合装置の仕事の割合を概念(イメージ)的に示した図である。図14において、実線aは出力トルクTOUTの目標変化パターンに基づいて概ね決定されるアプライ側クラッチトルクの変化パターンであり、実線bは遅角を行った後のエンジントルクTの伝達分すなわちエンジン30から出力される伝達すべきトルクであり、実線aと実線cとの差分トルクがギヤ分のイナーシャトルクTIGであり、実線cと実線bとの差分トルクがトルクコンバータ32のタービン分のイナーシャトルクTITおよびエンジン30分のイナーシャトルクTIEである。この実線aに示すアプライ側クラッチトルクのみでは目標のイナーシャ相時間tすなわちイナーシャトルクの大きさを実現できない場合に、トルクダウン制御を行って実線bに示すようにエンジントルクTの伝達分を低減することにより、目標のイナーシャ相時間tを実現するのである。
前記動力源トルク低減手段116によるトルクダウン量の算出方法を以下に例示する。
前記式(3)を参照すれば、次式(4)に従って、タービントルクTが算出される。このタービントルクTが目標のタービントルクT となる。
=(TOUT /η/i−TIG)/γ ・・・(4)
一方で、実際のタービントルクTは、エンジントルクT、エンジン30分のイナーシャトルクTIE、トルクコンバータ32のトルク比t、およびトルクコンバータ32のタービン分のイナーシャトルクTITからなる次式(5)で表される。また、この式(5)を変形するとエンジントルクTは次式(6)で表される。
=(T+TIE)×t+TIT ・・・(5)
=(T−TIT)/t−TIE ・・・(6)
そして、前記式(5)におけるタービントルクTが前記式(4)に従って算出された目標のタービントルクT となるように、トルクダウン制御後のエンジントルクTが前記式(6)の通り決定される。
従って、トルクダウン制御前のエンジントルクTすなわちトルクダウン制御が実行されていない時点のエンジントルク推定値TE0と、前記式(6)においてタービントルクTが目標のタービントルクT とされたトルクダウン制御後のエンジントルクTとの差分トルクがトルクダウン量として次式(7)の通り決定される。
トルクダウン量=TE0−((T−TIT)/t−TIE) ・・・(7)
トルクコンバータ32のタービン分のイナーシャトルクTITは、ピストン、ロックアップクラッチ、トルクコンバータ32内の作動油の半分等のタービン分の慣性質量および入力軸22等のタービンと一体回転する回転部材の慣性質量に、イナーシャ相時間tおよびタービン回転速度Nに基づいて算出された角加速度が掛けられて算出される。
エンジン30分のイナーシャトルクTIEは、エンジン30のクランクシャフトの慣性質量、ドライブプレートの慣性質量、およびフロントカバー、ポンプ、トルクコンバータ32内の作動油の半分等のトルクコンバータ32のポンプ分の慣性質量に、イナーシャ相時間tおよびエンジン回転速度Nに基づいて算出された角加速度が掛けられて算出される。
ところで、前記動力源トルク低減手段116は、算出したトルクダウン量が大きすぎてその全てのトルクダウン量を実現できないことが考えられる。このような場合には、次回のクラッチツウクラッチ変速においてトルクダウン量が小さくされるように、すなわち単位時間当たりのイナーシャトルクTが小さくされるように、次回の変速におけるイナーシャ相時間tを長くする。
より具体的には、トルクダウン量判定手段118は、前記動力源トルク低減手段116により算出されたトルクダウン量が所定の限界値以内であるか否かを判定する。この所定の限界値は、予め実験的に求められた動力源トルク低減手段116により実現可能な最大のトルクダウン量であって、例えば遅角により実現可能な最大のトルクダウン量としてのエンジン30が失火しない遅角ガード値である。
前記動力源トルク低減手段116は、前記トルクダウン量判定手段118によりトルクダウン量が所定の限界値以内であると判定された場合には、そのトルクダウン量が得られるようにエンジントルクTを低減する。一方で、動力源トルク低減手段116は、トルクダウン量判定手段118によりトルクダウン量が所定の限界値を超えると判定された場合には、所定の限界値内で可能な限りエンジントルクTを低減する。
目標値変更手段120は、前記トルクダウン量判定手段118によりトルクダウン量が所定の限界値を超えると判定された場合には、次回の変速におけるイナーシャ相時間tを長くするように変更する。また、目標値変更手段120は、トルクダウン量判定手段118によりトルクダウン量が所定の限界値を超えると判定された場合には、前記動力源トルク低減手段116により算出されるトルクダウン量が小さくされるように、次回の変速における目標出力トルクTOUT を大きくするように変更しても良い。
以上のようにしてドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクが算出されると、前記変速制御手段104は、それらドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクがそれぞれ得られるように、ドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクをそれぞれトルク指令値に変換して解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の作動を制御し、クラッチツウクラッチ変速を実行する。
例えば、前記変速制御手段104は、油圧アクチュエータAの受圧面積や摩擦材の枚数、径寸法などに応じて予め定められたクラッチトルクが得られる摩擦係合装置のクラッチ油圧(係合油圧)を求めるための関係(演算式)に従って、ドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクをそれぞれ解放側摩擦係合装置のクラッチ油圧および係合側摩擦係合装置のクラッチ油圧に換算する。そして、変速制御手段104は、解放側摩擦係合装置のクラッチ油圧および係合側摩擦係合装置のクラッチ油圧をそれらクラッチ油圧となるように油圧を制御するための油圧指令値(トルク指令値)にそれぞれ換算し、解放側摩擦係合装置のトルク指令値および係合側摩擦係合装置のトルク指令値を油圧制御回路50に出力してクラッチツウクラッチ変速を実行する。
このクラッチツウクラッチ変速中には、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置はスリップ係合させられるので、摩擦材の滑りによるそれ相応のエネルギ(熱)吸収が生じる。このとき摩擦材のエネルギ吸収量が増大する程、その摩擦材の耐久性が損なわれてしまう。特に、係合側摩擦係合装置はこの傾向が顕著に現れる。
そこで、摩擦材の熱吸収量が増大し過ぎた場合には、次回のクラッチツウクラッチ変速においてスリップ係合される時間が短くされて摩擦材の総エネルギ吸収量が少なくされるように、次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くする。
より具体的には、熱吸収量推定手段122は、前記変速制御手段104によるクラッチツウクラッチ変速中において、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置のうちの少なくとも一方の摩擦係合装置の摩擦材の熱吸収量(すなわちエネルギ吸収量)を推定する。
前記熱吸収量推定手段122による摩擦材のエネルギ吸収量算出の概算方法を以下に例示する。
摩擦材の総エネルギ吸収量Eは、作動制御中の摩擦係合装置のクラッチトルクT(t)、作動制御中の摩擦係合装置における摩擦材の相対回転速度ω(t)からなる次式(8)で表される。このとき、摩擦材の摩擦係数μを一定であると仮定すると、クラッチトルクT(t)は、クラッチ油圧P(t)、摩擦係数μを含む係数αからなる次式(9)で表される。
E=∫T(t)・ω(t)dt ・・・(8)
T(t)=αP(t) ・・・(9)
ここで、総エネルギ吸収量Eの概算値を求めるために上記式(8)、(9)における相対回転速度ω(t)とクラッチ油圧P(t)とを例えば図15のように直線近似する。この図15は、係合側摩擦係合装置の摩擦材のエネルギ吸収量を求める際の相対回転速度ω(t)とクラッチ油圧P(t)との簡略図である。
図15に示すように相対回転速度ω(t)とクラッチ油圧P(t)とを簡略化すると、トルク相における摩擦材のエネルギ吸収量Eは次式(10)に従って算出され、イナーシャ相における摩擦材のエネルギ吸収量Eは次式(11)に従って算出され、摩擦材の総エネルギ吸収量Eの概算値は次式(12)に従って算出される。
Figure 2008051186
熱吸収量判定手段124は、前記熱吸収量推定手段122により算出された摩擦材の総エネルギ吸収量Eが所定の許容値以内であるか否かを判定する。この所定の許容値は、摩擦材の耐久性低下が抑制されるように次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くする必要がある程の摩擦材の総エネルギ吸収量Eであることを判定するための予め実験的に求められた規定値である。
前記目標値変更手段120は、前記熱吸収量判定手段124により摩擦材の総エネルギ吸収量Eが所定の許容値を超えると判定された場合には、次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くするように変更する。
図16は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちクラッチツウクラッチ変速が実行されるときにドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクをそれぞれ制御するためのトルク指令値の適合作業を一層軽減する制御作動を説明するフローチャートであり、所定の周期で例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
図16において、前記変速出力判定手段106に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、例えば図6に示すような変速線図から実際の車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて自動変速機10の変速を実行すべきであると判断されたか否かが判定される。
前記S1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合は前記推定入力トルク算出手段108に対応するS2において、変速出力時のすなわち自動変速機10の変速を実行する変速判断が行われたと判定された時の推定入力トルクTIN’が算出される。例えば図7に示すようなエンジントルクマップから実際のエンジン回転速度Nおよびスロットル弁開度θTH(或いは吸入空気量Q)に基づいて推定入力トルクTIN’としてのエンジントルク推定値TE0が求められる。
次いで、前記出力トルク算出手段110に対応するS3において、前記式(1)から前記S2にて算出された推定入力トルクTIN’に基づいて変速出力時および変速完了時の自動変速機10の出力トルクTOUTが算出される。
次いで、前記目標出力トルク決定手段112に対応するS4において、前記S2にて算出された推定入力トルクTIN’および目標変速時間(トルク相時間tおよびイナーシャ相時間t)に基づいて、すなわち前記S3にて算出された変速出力時および変速完了時の出力トルクTOUTと目標変速時間とに基づいて、図8に示すようにクラッチツウクラッチ変速中における制御目標値となる自動変速機10の出力トルクTOUTの目標変化パターン(波形)すなわち目標出力トルクTOUT の時間函数が決定される。
次いで、前記トルク容量算出手段114に対応するS5において、前記式(3)から前記S4にて決定された出力トルクTOUTの目標変化パターンに基づく目標出力トルクTOUT およびトルク分担率に基づいて、イナーシャ相中のアプライ側クラッチトルクが算出される。更に、トルク相中におけるアプライ側クラッチトルクが、変速出力時点の零から式(3)に従って算出されるイナーシャ相開始時点のアプライ側クラッチトルクへ向かって漸増するようにトルク相時間tに基づいて決定される。そして、トルク相中におけるドレン側クラッチトルクが、 ドレン側クラッチトルク=(TOUT −TCK)−トルク相中におけるアプライ側クラッチトルク に従って算出される。
次いで、前記動力源トルク低減手段116に対応するS6において、クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中における自動変速機10の出力トルクTOUTが目標出力トルクTOUT となるようにトルクダウン制御後のエンジントルクTが前記式(6)の通り決定される。つまり、エンジン30のトルクダウン量が前記式(7)の通り決定される。
次いで、前記トルクダウン量判定手段118に対応するS7において、前記S6にて算出されたトルクダウン量が所定の限界値以内であるか否かを判定する。
前記S7の判断が肯定される場合は前記動力源トルク低減手段116に対応するS8において、前記S6にて算出されたトルクダウン量が得られるように例えば遅角によりエンジントルクTが低減される。
前記S7の判断が否定される場合は前記動力源トルク低減手段116に対応するS9において、所定の限界値内で可能な限りトルクダウン量が得られるように例えば遅角によりエンジントルクTが低減される。
次いで、前記目標値変更手段120に対応するS10において、次回の変速におけるイナーシャ相時間tを長くするように変更される。また、前記S6にて算出されるトルクダウン量が小さくされるように、次回の変速における目標出力トルクTOUT を大きくするように変更されても良い。
前記S8或いは前記S10に続いて前記変速制御手段104に対応するS11において、クラッチトルクが得られる摩擦係合装置のクラッチ油圧を求めるための予め定められた関係(演算式)に従って、前記S5にて算出されたドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクがそれぞれ解放側摩擦係合装置のクラッチ油圧および係合側摩擦係合装置のクラッチ油圧に換算される。そして、解放側摩擦係合装置のクラッチ油圧および係合側摩擦係合装置のクラッチ油圧がそれらクラッチ油圧となるように油圧を制御するための油圧指令値(トルク指令値)にそれぞれ換算され、解放側摩擦係合装置のトルク指令値および係合側摩擦係合装置のトルク指令値が油圧制御回路50に出力されてクラッチツウクラッチ変速が実行される。
次いで、前記熱吸収量推定手段122および前記熱吸収量判定手段124に対応するS12において、簡略された相対回転速度ω(t)とクラッチ油圧P(t)に基づいて、トルク相における摩擦材のエネルギ吸収量Eが前記式(10)に従って算出され、イナーシャ相における摩擦材のエネルギ吸収量Eが前記式(11)に従って算出され、摩擦材の総エネルギ吸収量Eの概算値が前記式(12)に従って算出される。更に、この算出された摩擦材の総エネルギ吸収量Eが所定の許容値以内であるか否かが判定される。
前記S12の判断が否定される場合は前記目標値変更手段120に対応するS13において、次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くするように変更される。
前記S12の判断が肯定されるか、或いは前記S13に続いて本ルーチンが終了させられる。
上述のように、本実施例によれば、トルク容量算出手段114により、目標出力トルク決定手段112により決定された出力トルクTOUTの目標変化パターンに基づく目標出力トルクTOUT およびトルク分担率に基づいてイナーシャ相中のアプライ側クラッチトルクが算出されると共に、トルク相中におけるアプライ側クラッチトルクがトルク相時間tに基づいて決定されてトルク相中におけるドレン側クラッチトルクが目標出力トルクTOUT およびトルク相中におけるアプライ側クラッチトルクに基づいて算出され、それらドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクがそれぞれ得られるように、変速制御手段104によりドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクがそれぞれトルク指令値に変換されて解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の作動が制御されるので、自動変速機10の出力トルクTOUTの目標変化パターンを決定できるように適合作業を行えば良く、トルク指令値の適合作業を一層軽減することができる。
また、本実施例によれば、クラッチツウクラッチ変速中において、熱吸収量推定手段122により算出された摩擦材の総エネルギ吸収量Eが所定の許容値を超えると熱吸収量判定手段124により判定された場合には、目標値変更手段120により次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くするように変更されるので、当初の目標変速時間(トルク相時間tおよびイナーシャ相時間t)がクラッチツウクラッチ変速に関与する摩擦係合装置の耐久性を確保するうえで適切なものでなかったとしても、摩擦係合装置の耐久性の低下が抑制されるように修正されるので、出力トルクTOUTの目標変化パターンを決定するための適合作業を軽減するうえで有利なものとなる。
また、本実施例によれば、クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、動力源トルク低減手段116により算出されたトルクダウン量が所定の限界値を超えるとトルクダウン量判定手段118により判定された場合には、目標値変更手段120により次回の変速におけるイナーシャ相時間tを長くするように変更されるので、目標出力トルクTOUT となるようにクラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中に発生するイナーシャトルクを動力源トルク低減手段116によるエンジン30のトルクダウン制御により相殺できなくとも、イナーシャトルクの発生に伴う変速ショックを低減するうえで有利なものとなる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、熱吸収量推定手段122により算出された摩擦材の総エネルギ吸収量Eが所定の許容値を超えると判定された場合には、摩擦材の保護のために目標値変更手段120により次回の変速におけるトルク相時間tおよび/またはイナーシャ相時間tを短くするように変更されたが、同じく摩擦材の保護のために総エネルギ吸収量Eが所定の許容値を超えないように動力源トルク低減手段116によりエンジン30のトルクダウン量が決定され、そのトルクダウン量に基づいてエンジントルクTが低減されるようにしても良い。
また、前述の実施例では、図8に示すようにイナーシャ相中の目標出力トルクTOUT は、図8に示すようにイナーシャトルクTを上乗せしたが、t時点のイナーシャ相開始時点を零の基準としてそのイナーシャ相開始時点からの上乗せ分をイナーシャトルクTとして取り扱っても良いなど、イナーシャ相中で発生するトルクをイナーシャトルクTとすればよい。
前述の実施例では、パワーオンアップシフトの場合におけるトルク指令値の適合作業を一層軽減する制御作動であったが、ダウンシフトなど他の変速態様であっても本発明は適用され得る。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用自動変速機の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用自動変速機の複数のギヤ段を成立させる際の摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表である。 図1の自動変速機などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部およびエンジンから駆動輪までの動力伝達系の概略構成を説明するブロック線図である。 図3の油圧制御回路のうちクラッチC1、C2、およびブレーキB1〜B3の各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブに関する回路図である。 図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 自動変速機の変速制御において用いられる変速線図の一例を示す図である。 スロットル弁開度(或いは吸入空気量)をパラメータとしてエンジン回転速度とエンジントルク推定値との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)の一例を示す図である。 クラッチツウクラッチ変速中の出力トルクの目標変化パターンとタービン回転速度との一例を示す図である。 入力トルクをパラメータとしてギヤ比ステップとトルク相時間との予め実験的に求められて記憶された関係(トルク相時間マップ)の一例を示す図である。 入力トルクをパラメータとしてギヤ比ステップとイナーシャ相時間との予め実験的に求められて記憶された関係(イナーシャ相時間マップ)の一例を示す図である。 タービン回転速度の回転速度差とイナーシャトルクとの予め実験的に求められて記憶された関係(イナーシャトルクマップ)の一例を示す図である。 目標出力トルクに基づいて算出されたイナーシャ相中におけるアプライ側クラッチトルクの変化パターンと、トルク相において与えられたアプライ側クラッチトルクに基づいて算出されたドレン側クラッチトルクとの一例を示す図である。 クラッチツウクラッチ変速中の出力トルク、エンジントルク、アプライ側クラッチトルク、およびイナーシャトルクの各変化パターン(波形)と、点火時期の遅角時期および遅角量との一例を示す図である。 クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中における係合側摩擦係合装置の仕事の割合を概念(イメージ)的に示した図である。 係合側摩擦係合装置の摩擦材のエネルギ吸収量の概算値を求める際の相対回転速度ω(t)とクラッチ油圧P(t)とを直線近似した簡略図である。 図3の電子制御装置の制御作動の要部すなわちクラッチツウクラッチ変速が実行されるときにドレン側クラッチトルクおよびアプライ側クラッチトルクをそれぞれ制御するためのトルク指令値の適合作業を一層軽減する制御作動を説明するフローチャートである。
符号の説明
10:自動変速機
100:電子制御装置(変速制御装置)
106:変速出力判定手段
112:目標出力トルク決定手段
114:トルク容量算出手段
116:動力源トルク低減手段
120:目標値変更手段
122:熱吸収量推定手段
C1、C2:クラッチ(摩擦係合装置)
B1、B2、B3:ブレーキ(摩擦係合装置)

Claims (4)

  1. 複数の摩擦係合装置を選択的に係合させることにより変速比の異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置とを掴み替えて前記変速段を切り替えるクラッチツウクラッチ変速を行う自動変速機の変速制御装置であって、
    前記クラッチツウクラッチ変速中における前記自動変速機の出力トルクの目標変化パターンを変速出力時の入力トルクおよび目標変速時間に基づいて決定する目標出力トルク決定手段と、
    前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置のうちのいずれか一方の摩擦係合装置のトルク容量を前記目標変化パターンに基づく目標出力トルクおよびトルク分担率に基づいて算出すると共に、他方の摩擦係合装置のトルク容量を前記一方の摩擦係合装置のトルク容量および前記目標出力トルクに基づいて算出するトルク容量算出手段と、
    前記一方の摩擦係合装置のトルク容量および他方の摩擦係合装置のトルク容量がそれぞれ得られるように、それらトルク容量をそれぞれトルク指令値に変換して前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置の作動を制御する変速制御手段と
    を、含むことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記クラッチツウクラッチ変速中において、前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置のうちの少なくとも一方の摩擦係合装置の熱吸収量を推定する熱吸収量推定手段と、
    前記熱吸収量が所定の許容値を超えるときには前記目標変速時間を短くするように変更する目標値変更手段と
    を、更に備えるものである請求項1の自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、前記自動変速機の出力トルクが前記目標出力トルクとなるように動力源のトルクダウン量を求めると共に、該トルクダウン量に基づいて該動力源の出力トルクを低減する動力源トルク低減手段を更に備え、
    前記目標値変更手段は、前記トルクダウン量が所定の限界値を超えるときには前記目標変速時間を長くするように変更するものである請求項2の自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記クラッチツウクラッチ変速のイナーシャ相中において、前記自動変速機の出力トルクが前記目標出力トルクとなるように動力源のトルクダウン量を求めると共に、該トルクダウン量に基づいて該動力源の出力トルクを低減する動力源トルク低減手段と、
    前記トルクダウン量が所定の限界値を超えるときには前記目標変速時間を長くするように変更する目標値変更手段と
    を、更に備えるものである請求項1の自動変速機の変速制御装置。
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