JP4207650B2 - 自動車用の電気接続箱取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電気接続箱取付構造に関し、詳しくは、ボンネット前端内面に近接配置されている電気接続箱が、衝突時に容易に落下できるようにして、ボンネットに歩行者等がぶつかった場合に電気接続箱による衝撃を与えないようにして保護を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のボンネット内部において、該ボンネットの内面近傍位置にリレーボックス等の電気接続箱を配置している場合がある。具体的には、図5に示すように、バッテリー1の固定台2から突出させた取付プレート3に電気接続箱4をロック固定している。
【0003】
上記取付プレート3と電気接続箱4とのロック固定機構は図6(A)(B)に示すように、電気接続箱4の下部ケース5の外周壁5aの上部は、上部ケース6の外周壁6aに内嵌すると共に該嵌合部の下部より車体固定用のロック・ハウジング部5bを突出させている。ロック・ハウジング部5bには可撓性を有するロック片5cをハウジング内部に突出させ、該ハウジング内部に上記取付プレート3を挿入し、該取付プレート3のロック穴3aにロック片5cに突設したロック爪5dを嵌合させてロック係止している。また、この状態で取付プレート3の上端面3bは下部ケース5より突出させた押さえ部5fと当接され、電気接続箱4が取付プレート3より外れて下方に落下しない構成とされている。
【0004】
なお、電気接続箱と車体側とのロック固定構造は、特開2000−151129号(特許文献1)等にも提案されているが、いずれも、図6と同様な、車両パネルに金属製のブラケットを固定し、該ブラケットのロック穴に電気接続箱のケースより突設した可撓性のロック片に設けてロック爪を係止固定する構成とされている。
【0005】
【特許文献】
特開2000−151129号公報
【0006】
【発明が解決しようする課題】
上記した電気接続箱の構造では、図5に示すように、自動車のボンネット7に歩行者Hが強い力でボンネット7にぶつかった場合、ボンネット7はへこんだり、めくれるように変形するが、電気接続箱4は取付プレート3を介して車体側に強固に取り付けられているため落下しない。即ち、電気接続箱側のロック爪を下部ケース5のロック穴に挿入係止してロック固定しているため離脱しにくく、かつ、電気接続箱に下向き荷重が負荷されても、下部ケース5の押さえ部5fに取付プレート3の上端が当接しているため、電気接続箱は下方に落下せず、歩行者Hは電気接続箱4に強い衝撃力で当たりやすい問題がある。
【0007】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、歩行者等がボンネットにぶつかって電気接続箱に下向きの衝撃荷重が負荷された際に、電気接続箱は車体側との固定を解除して落下されるようにし、歩行者の保護を図ることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、自動車のボンネットの内面近傍に配置され、衝撃荷重が負荷された時に落下できる構造としている電気接続箱取付構造であって、
上記電気接続箱の下部ケースの外周壁には、上部ケースとの嵌合部の下方より車体固定用のロック・ハウジング部を突出させ、
上記ロック・ハウジング部は、上記下部ケースの外周面より突設した下面開口のボックス形状で、左右両側枠部に挟まれたケース対向枠部の下端よりL形状の可撓性を有するロック片をハウジング内部に突出させ、該ロック片の内面にロック爪を突出させていると共に、上記左右両側枠部の上端より押さえ片を突出させ、該押さえ片の上部にロック片の上部へと近接させる方向に傾斜させた撓み部を設けている一方、
上記ロック・ハウジング部内に下方より挿入される車体固定側の取付プレートに、上記ロック爪が挿入係止されるロック穴を設けていると共に上端面の左右両側に上記撓み部に押さえられる傾斜切欠部を設け、
上記電気接続箱に下方への衝撃荷重が負荷された際に上記撓み部が上記取付プレートの傾斜切欠部によって押し上げられて開くと共に上記取付プレートの先端が上記撓み片よりも上方に突出することでロック穴とロック爪の係止が解かれて電気接続箱が上記取付プレートから離脱して落下できる構成とされている自動車用の電気接続箱取付構造を提供している。
【0009】
上記構成の電気接続箱の取付構造によると、通常時においては、上記ロック穴へのロック爪の挿入係止で電気接続箱は取付プレートにロック結合されていると共に、下部ケースに一体的に設けたロック・ハウジング部の撓み部が取付プレート上端の傾斜切欠部に上方から当接しているため、電気接続箱が下方に落下するのが二重に防止され、所要の取付強度に車体側に固定されている。
一方、歩行者等がボンネットに衝突して電気接続箱に下向きの衝撃荷重が負荷された時、電気接続箱は下方に押し下げられる一方、下方から突出する固定された取付プレートは下降せず、相対的に取付プレートは上昇方向となるため、傾斜切欠部が撓み部を押し上げて、撓み部は外開き方向に変形する。そのため、電気接続箱は下降し、ロック爪がロック穴より下方に離脱してロック結合も解除され、電気接続箱は落下する。よって、歩行者は電気接続箱にぶつからず、歩行者の保護を図ることができる。かつ、取付プレートおよび電気接続箱のロック部分にも損傷が発生しないため再利用可能となる。
【0010】
なお、自動車のボンネットの内面近傍に配置され、衝撃荷重が負荷された時に落下できる構造としている電気接続箱取付構造として、
上記電気接続箱の下部ケースの外周壁には、上部ケースとの嵌合部の下方より車体固定用のロック・ハウジング部を突出させ、
上記ロック・ハウジング部は、上記下部ケースの外周面より突設した下面開口のボックス形状で、左右両側枠部に挟まれたケース対向枠部の下端よりL形状の可撓性を有するロック片をハウジング内部に突出させ、該ロック片の内面にロック爪を突出させていると共に、上記左右両側枠部に上壁部を設け、該上壁部に破断用貫通孔を設け、
上記ロック・ハウジング部内に下方より挿入される車体固定側の取付プレートに、上記ロック爪が挿入係止されるロック穴を設けていると共に、該取付プレートの上端面は上記左右両側枠部の上壁部に当接させる設定とし、
上記電気接続箱に下方への衝撃荷重が負荷された際に、該衝撃で上記上壁部が破断され、上記ロック穴とロック爪の係止が解かれて電気接続箱が上記取付プレートから離脱して落下できる構成としてもよい
【0011】
上記電気接続箱の取付構造においても、通常時は取付プレートへのロック穴へのロック爪の挿入係止でロック固定されていると共に、取付プレートの上端がロックハウジング部の左右両側枠部の上壁部に当接しているため、電気接続箱が下方に落下するのが二重に防止され、所要の取付強度で車体側に固定されている。
一方、歩行者等がボンネットに衝突して電気接続箱に下向きの衝撃荷重が負荷された時、電気接続箱は下方に押し下げられるため、衝撃が加わり、破断用貫通孔を起点として上壁部に亀裂を生じさせ、上壁部を破断する。これにより、ロック爪とロック穴とのロック結合部も解除され、電気接続箱は落下する。よって、歩行者は電気接続箱にぶつからず、歩行者の保護を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は実施形態の電気接続箱の取付構造を示す。
該電気接続箱10は前記従来例の図5と同様に自動車のボンネットの前端側内面に近接する位置に搭載されるものである。
【0013】
図1に示すように、電気接続箱10の下部ケース11の外周壁11aには、上部ケース12との嵌合部の下方より車体固定用のロック・ハウジング部13を突出している。該ロック・ハウジング部13は、下部ケース11の外周面より突設した下面開口のボックス形状で、左右両側枠部13cに挟まれたケース対向枠部13dの下端よりL形状の可撓性を有するロック片13eをハウジング内部に突出させ、該ロック片13eの内面、即ち、ケース側寄りにロック爪13fを突出させている。また、左右両側枠部13cの上端より押さえ片13bを夫々突出させ、該押さえ片13bの上部へと近接させる方向に傾斜させた撓み部13aを設けている。
【0014】
ロック・ハウジング部13内に下方より挿入される車体固定側の取付プレート20には、ロック爪13fが挿入係止されるロック穴21を設けていると共に上端面の左右両側に撓み部13aに押さえられる傾斜切欠部22を設けている。また、取付プレート20の他端側はバッテリー1の固定台2にボルト締め固定している。
【0015】
電気接続箱10は、通常時においては、取付プレート20が電気接続箱10の下部ケース11に一体的に設けたロック・ハウジング部13に挿入され、取付プレート20のロック穴21にロック・ハウジング部13のロック爪13fが挿入係止されると共に、ロック・ハウジング部13の撓み部13aが取付プレート20上端の傾斜切欠部22に上方から当接して、電気接続箱10が取付プレート20にロック結合されている。
【0016】
一方、歩行者等がボンネットに衝突して電気接続箱10に下向きの衝撃荷重が負荷された時、図3に示すように、電気接続箱10は下方に押し下げられる一方、下方から突出する固定された取付プレート20は下降せず、相対的に取付プレート20は上昇方向となるため、傾斜切欠部22が撓み部13aを押し上げて、撓み部13aが外開き方向に変形する。そのため、電気接続箱10は下降し、ロック爪13fがロック穴21より下方に離脱してロック結合も解除され、電気接続箱10は落下する。よって、歩行者は電気接続箱10にぶつからず、歩行者の保護を図ることができる。かつ、取付プレート20および電気接続箱10のロック部分にも損傷が発生しないため再利用可能となる。
【0017】
図4は本発明の参考実施形態の電気接続箱の取付構造を示す。
該電気接続箱30も前記従来例の図5と同様に自動車のボンネットの前端側内面に近接する位置に搭載されるものである。
【0018】
図4に示すように、電気接続箱30の下部ケース31の外周壁31aには、上部ケース32との嵌合部の下方より車体固定用のロック・ハウジング部33を突出している。該ロック・ハウジング部33は、下部ケース31の外周面より突設した下面開口のボックス形状で、左右両側枠部33cに挟まれたケース対向枠部33dの下端よりL形状の可撓性を有するロック片33eをハウジング内部に突出させ、該ロック片33eの内面、即ち、ケース側寄りにロック爪33fを突出させている。また、左右両側枠部33cを連結するように上壁部33bを設け、該上壁部33bに上下方向に貫通した断面四角形状の破断用貫通孔33aを設けている。
なお、破断用貫通孔33aの数や形状は本実施形態に限定されるものではなく、取付強度を保てる範囲であれば変更が可能である。
【0019】
ロック・ハウジング部33内に下方より挿入される車体固定側の取付プレート40には、ロック爪33fが挿入係止されるロック穴41を設けていると共に、該取付プレート40の上端面は左右両側枠部33cから連結された上壁部33bの下端面に当接させる設定としている。また、第1実施形態と同様、取付プレートの他端側はバッテリーの固定台にボルト締め固定している。
【0020】
電気接続箱30も、通常時においては、取付プレート40のロック穴41へのロック爪33fの挿入係止でロック固定されていると共に、取付プレート40の上端がロック・ハウジング部33の左右両側枠部33cから連結された上壁部33bの下端面に当接しているため、電気接続箱30が下方に落下するのが二重に防止され、所要の取付強度で車体側に固定されている。
【0021】
一方、歩行者等がボンネットに衝突して電気接続箱30に下向きの衝撃荷重が負荷された時、電気接続箱30は下方に押し下げられるため衝撃が加わり、破断用貫通孔33aを起点として上壁部33bに亀裂50を生じさせ、上壁部33bを破断する。これにより、ロック爪33fとロック穴41とのロック結合部も解除され、電気接続箱30は落下する。よって、歩行者は電気接続箱30にぶつからず、歩行者の保護を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、通常時においては、上記ロック穴へのロック爪の挿入係止で電気接続箱は取付プレートにロック結合されていると共に、下部ケースに一体的に設けたロック・ハウジング部の撓み部が取付プレート上端の傾斜切欠部に上方から当接しているため、電気接続箱が下方に落下するのが二重に防止され、所要の取付強度で車体側に固定されている。
一方、歩行者等がボンネットに衝突して電気接続箱に下向きの衝撃荷重が負荷された時、電気接続箱は下方に押し下げられる一方、下方から突出する固定された取付プレートは下降せず、相対的に取付プレートは上昇方向となるため、傾斜切欠部が撓み部を押し上げて、撓み部に外開き方向に変形する。そのため、電気接続箱は下降し、ロック爪がロック穴より下方に離脱してロック結合も解除され、電気接続箱は落下する。よって、歩行者は電気接続箱にぶつからず、歩行者の保護を図ることができる。かつ、取付プレートおよび電気接続箱のロック部分にも損傷が発生しないため再利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の電気接続箱を示し、(A)は正面図、(B)は要部拡大斜視図、(C)はI1−I1線断面図である。
【図2】 電気接続箱を取付プレートに取り付けた状態を示し、(A)は正面図、(B)は要部拡大斜視図、(C)はI2−I2線断面図である。
【図3】 電気接続箱と取付プレートのロック結合が解除された状態を示し、(A)は正面図、(B)はI3−I3線断面図である。
【図4】 本発明の参考実施形態の電気接続箱を示し、(A)は要部拡大斜視図、(B)は要部拡大平面図、(C)はI4−I4線断面図、(D)はI5−I5線断面図である。
【図5】 電気接続箱の配置位置及び従来の問題点を示す図面である。
【図6】 従来の電気接続箱の取付構造を示し、(A)は正面図、(B)はI6−I6線断面図である。
【符号の説明】
10、30 電気接続箱
11、31 下部ケース
12、32 上部ケース
13、33 ロック・ハウジング部
13a 撓み部
13f、33f ロック爪
20、40 取付プレート
33a 破断用貫通孔

Claims (1)

  1. 自動車のボンネットの内面近傍に配置され、衝撃荷重が負荷された時に落下できる構造としている電気接続箱取付構造であって、
    上記電気接続箱の下部ケースの外周壁には、上部ケースとの嵌合部の下方より車体固定用のロック・ハウジング部を突出させ、
    上記ロック・ハウジング部は、上記下部ケースの外周面より突設した下面開口のボックス形状で、左右両側枠部に挟まれたケース対向枠部の下端よりL形状の可撓性を有するロック片をハウジング内部に突出させ、該ロック片の内面にロック爪を突出させていると共に、上記左右両側枠部の上端より押さえ片を突出させ、該押さえ片の上部にロック片の上部へと近接させる方向に傾斜させた撓み部を設けている一方、
    上記ロック・ハウジング部内に下方より挿入される車体固定側の取付プレートに、上記ロック爪が挿入係止されるロック穴を設けていると共に上端面の左右両側に上記撓み部に押さえられる傾斜切欠部を設け、
    上記電気接続箱に下方への衝撃荷重が負荷された際に上記撓み部が上記取付プレートの傾斜切欠部によって押し上げられて開くと共に上記取付プレートの先端が上記撓み片よりも上方に突出することでロック穴とロック爪の係止が解かれて電気接続箱が上記取付プレートから離脱して落下できる構成とされている自動車用の電気接続箱取付構造。
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