[実施の形態1]
本実施の形態に係る二次元画像検出器は、図1に示すように、電荷蓄積容量(Cs)4とスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)5とが形成されたアクティブマトリクス基板1と、接続電極6が形成された対向基板2とが、導電性および接着性を有する感光性樹脂3(接続材)により貼り合わされた構成である。なお、本実施の形態において述べる接着性とは、粘着性の意味も含むものとする。
ここで、上記二次元画像検出器の1画素当りの詳細な構成を図2を用いて説明する。
アクティブマトリクス基板1は、ガラス基板7上にゲート電極8およびソース電極9からなるXYマトリクス状の電極配線、電荷蓄積容量4およびTFT5等が形成された構成である。すなわち、上記電極配線、電荷蓄積容量4およびTFT5により、特許請求の範囲に記載の画素配列層が構成される。
上記ガラス基板7には、無アルカリガラス基板(例えばコーニング社製#7059や#1737)を用い、その上にTa等の金属膜からなるゲート電極8を形成する。ゲート電極8は、Ta等をスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングして得られる。この時、同時に電荷蓄積容量4のCs電極10が形成される。次に、SiNx やSiOx からなる絶縁膜11を、CVD法で約3500Å成膜して形成する。上記絶縁膜11は、上記TFT5のゲート絶縁膜、および電荷蓄積容量4の電極間の誘電層として作用する。尚、絶縁膜11としてSiNx やSiOx だけでなく、ゲート電極8とCs電極10とを陽極酸化した陽極酸化膜を併用してもよい。
次に、TFT5のチャネル部となるa−Si膜(i層)12と、ソース・ドレイン電極とのコンタクトを図るa−Si膜(n+ 層)13とを、CVD法で各々約1000Å、約400Å成膜した後、所望の形状にパターニングする。次に、TaやAl等の金属膜からなるソース電極9とドレイン電極(画素電極14にも兼用)とを形成する。上記ソース電極9およびドレイン電極は、上記金属膜をスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングすることで得られる。尚、上記画素電極14とドレイン電極とは別々に形成してもよく、また、画素電極14にITO等の透明電極を用いることも可能である。
その後、画素電極14の開口部以外の領域を絶縁保護する目的で、絶縁保護膜15を形成する。上記絶縁保護膜15は、SiNx やSiOx の絶縁膜をCVD法で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングすることで得られる。上記絶縁保護膜15には、無機の絶縁膜の他に、アクリルやポリイミド等の有機膜を使用することも可能である。このようにして、アクティブマトリクス基板1が形成される。
尚、ここでは、上記アクティブマトリクス基板1のTFT素子として、a−Siを用いた逆スタガ構造のTFT5を用いたが、これに限定されるものではなく、p−Siを用いても良いし、スタガ構造にしても良い。また、上記アクティブマトリクス基板1は、液晶表示装置を製造する過程で形成されるアクティブマトリクス基板と同じプロセスで形成することが可能である。
一方、対向基板2は、X線等の放射線に対して光導電性を有する半導体基板(半導体層)16を支持基板としている。ここでは、CdTeもしくはCdZnTeといった化合物半導体を用いる。上記半導体基板16の厚みは約0.5mmである。この半導体基板16は、ブリッジマン法やグラディエンドフリーズ法、トラベルヒーティング法等によって、容易に結晶基板を形成することができる。上記半導体基板16の一方の面のほぼ全面に、Al等のX線を透過しやすい金属によって上部電極(電極部)17が形成される。また、他方の面には、約100〜300Å厚のAlOx からなる絶縁層である電子阻止層18をほぼ全面に形成した後、TaやAlなど金属膜をスパッタ蒸着で約2000Å成膜し、所望の形状にパターニングすることで接続電極6を形成する。上記接続電極6は、アクティブマトリクス基板に形成された画素電極14と対応する位置に形成される。
次に、上述のプロセスによって形成された両基板(アクティブマトリクス基板1および対向基板2)のうち、アクティブマトリクス基板1側に導電性および接着性を有する感光性樹脂3を塗布もしくは転写し、フォトリソグラフ技術を用いて上記画素電極14に合わせた形状にパターニングする。このようにパターニングされた感光性樹脂3が具備されたアクティブマトリクス基板1に、上記対向基板2を、画素電極14と接続電極6とが各々対応するように貼り合わせて圧着することにより、上記両基板が電気的および物理的に接続され、本実施の形態に係る二次元画像検出器が形成される。
上記二次元画像検出器の1画素当たりの等価回路図を図3に示す。図2および図3を参照して、上記二次元画像検出器の動作原理を説明する。CdTeやCdZnTeからなる半導体基板16にX線が入射すると、光導電効果により該半導体基板16に電荷(電子−正孔)が発生する。この時、電荷蓄積容量4と半導体基板16とは、画素電極14/感光性樹脂3/接続電極6を介して直列に接続された構造になっているので、上部電極17とCs電極10との間に電圧を印加しておくと、半導体基板16内で発生した電荷がそれぞれ+電極側と−電極側に移動し、その結果、電荷蓄積容量4に電荷が蓄積される。
尚、半導体基板16と接続電極6との間には、薄い絶縁層からなる電子阻止層18が形成されており、これが一方側からの電荷の注入を阻止するMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造の阻止型フォトダイオードの役割を果たす。これにより、X線が入射しない時の暗電流の低減に寄与している。すなわち、上部電極17側に正電圧を印加した場合、電子阻止層18は接続電極6から半導体基板16への電子の注入を阻止する働きをする。また、半導体基板16と上部電極17との間にも絶縁層を設け、上部電極17から半導体基板16への正孔の注入も阻止し、更なる暗電流低減を図る場合もある。
上記阻止型フォトダイオードの構造としては、上記MIS構造の他にも、CdTe/CdS等の積層膜を用いたヘテロ接合構造、PIN接合構造、ショットキー接合構造を用いることも、もちろん可能である。
上記の作用により、電荷蓄積容量4に蓄積された電荷は、ゲート電極8の入力信号によってTFT5をオープン状態にすることでソース電極9より外部に取り出すことが可能である。ここで、電極配線(ゲート電極8およびソース電極9)、TFT5、電荷蓄積容量4等は、従来例の図12にも示すように、すべてXYマトリクス状に設けられているため、ゲート電極G1、G2、G3、…、Gnに入力する信号を線順次に走査することで、二次元的にX線の画像情報を得ることができる。このように、基本的な動作原理は、従来例に示した画像検出器と同様である。
上記のごとく、本実施の形態に係る二次元画像検出器は、格子状の電極配線と各格子点毎に設けられた複数のTFT5と複数の画素電極14とが具備されたアクティブマトリクス基板1と、光導電性を有する半導体基板16がほぼ全面に具備された対向基板とが、導電性および接着性を有する感光性樹脂3により電気的および物理的に接続されている構成である。
したがって、従来の画像検出器のように、光導電半導体をアクティブマトリクス基板上に直接成膜する場合に問題となっていた、アクティブマトリクス基板の耐熱性に起因する光導電体の成膜温度の制限が、本実施の形態の構成では緩和される。この結果、従来ではアクティブマトリクス基板上に直接成膜できなかった半導体材料(例えば、CdTeやCdZnTe)を、画像検出器に使用することが可能になる。
この場合、アクティブマトリクス基板の耐熱性から感光性樹脂3の接着プロセスに要する温度が制限されることになるが、通常アクティブマトリクス基板は250℃程度の耐熱性を有していることから、この温度以下で接着性が促進する感光性樹脂3を選べさえすれば良く、上記半導体材料にCdTeやCdZnTeを使用するうえでは全く障害にはならない。
上記理由により、半導体基板16としてCdTeやCdZnTeを用いる事ができるため、従来のa−Seを用いた二次元画像検出器に比べてX線に対する感度が向上すると共に、半導体基板16と上部電極17間に誘電体層を設ける必要がなくなり、動画に対応する画像データ、すなわち33msec/frameのレートで画像データを得ることが可能になった。
また、上記二次元画像検出器は、半導体基板16の貼り合わせ面に、該アクティブマトリクス基板1上に形成されている複数の画素電極14に対応して各画素毎に独立された接続電極6が形成されている。これにより、対向基板2の半導体基板16上の画素間が電気的に分離される。したがって、放射線や光線の入射により半導体基板16内で発生した電荷が、入射位置に対応した接続電極6にのみ収集され、周囲の画素に回り込むことなく電気的クロストークが抑制される。
さらに、図1に示すように、アクティブマトリクス基板1の画素電極14と対向基板2の接続電極とを接続する感光性樹脂3の接続面積は、該接続電極6の面積よりも小さい。これにより、アクティブマトリクス基板1と対向基板2との貼り合わせ時に位置ずれが生じたとしても、隣接画素との電気的クロストークを抑制することができる。本実施の形態では、感光性樹脂3の接続面積を一辺が約80μmのほぼ正方形とし、接続電極6の形状を一辺が約120μmのほぼ正方形とすることで、アクティブマトリクス基板1および対向基板2の貼り合わせずれに対し、±20μmのマージンを確保することができた。
尚、本実施の形態では、最初に感光性樹脂3をアクティブマトリクス基板1に塗布もしくは転写した後、対向基板2を貼り合わせた例を示したが、最初に対向基板2に感光性樹脂3を塗布もしくは転写した後、アクティブマトリクス基板1を貼り合わせてもよい。この場合は、感光性樹脂3の接続面積は、画素電極14よりも小さくしておくとよい。
次に、本実施の形態で用いる感光性樹脂3について、更に詳細に説明する。上記感光性樹脂3に導電性を持たせるためには、樹脂中に導電粒子や粉末を分散させる方法が一般的である。ここで使用できる導電粒子としては、Au、Ag等の金属粒子、Niメッキを施した金属粒子、ITO等の透明導電粒子、カーボンの粉末、あるいは金属の粉末などがある。また、樹脂中に導電粒子を分散させる方法以外に、有機導電材料に感光性を付加させる方法もある。本実施の形態では、樹脂中にカーボンの粉末を分散させた感光性樹脂3を使用している。
上記感光性樹脂3を電極上で所定の形状にパターニングすることにより、画素電極14と接続電極6との間に限定された電気的および物理的接続が可能である。これにより、各画素毎に電気絶縁性が確保され、隣接画素同士のクロストークの発生を確実に抑えることができる。
また、上記感光性樹脂3には、液状とフィルム状との2種類のタイプがある。液状の感光性樹脂3は、大面積基板に対してスピン法等で比較的容易に塗布することができる。一方、フィルム状の感光性樹脂3は、大面積基板に対してラミネート法等で比較的容易に転写することができ、またフィルム自身の厚みの均一性に優れているため、大面積基板を貼り合わせる際にも、均一な樹脂の厚みを容易に実現できる。
以下に、上記感光性樹脂3を用いて、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを貼り合わせる際の具体的な方法について説明する。
図4(a)〜(d)は、両者の基板の貼り合わせプロセスを示す図である。先ず、図4(a)に示すように、アクティブマトリクス基板1の貼り合わせ面のほぼ全面に感光性樹脂3を塗布する。上記感光性樹脂3が液状タイプの樹脂の場合は、例えば、スピン法(800rpm×25secで膜厚を約10μmに形成する)、スプレー法、あるいは印刷法などが使用可能である。また、フィルムタイプの感光性樹脂3を用いる場合は、例えば、ラミネート法等で転写するとよい。
次に、図4(b)に示すように、フォトマスク上からUV(Ultra-Violet)光を照射し、感光性樹脂3を画素電極14のパターンに露光(約10mW/cm2 ×20sec)した後、有機アルカリ溶液等で現像する(現像時間約60sec)。
次に、図4(c)に示すように、両基板を僅かな隙間を設けた状態で対向配置させ、上記の位置合わせ(アライメント)を行う。
続いて、図4(d)に示すように、両基板を、減圧(真空)プレス装置を用いて加熱プレス処理を行う。減圧プレス法とは、プレスすべき基板間の隙間を減圧することで、外部からの大気圧を利用してプレスを行う方法であり、大面積基板同士を貼り合わせる際でも均一にプレスすることが可能となる。
上記減圧プレス法を具体的に説明すると、まず定盤として使用する土台(ステージ)19に、プレス対象となる両基板を載せ、さらにその上にフィルムシート20を覆いかぶせる。次に、土台19に設けられた排気口21から排気を行うことで、土台19とフィルムシート20との間を減圧する。本実施の形態の場合、上記両基板の間には、ほぼ感光性樹脂3の厚みに相当する隙間が形成されているが、その隙間も減圧されることになる。この結果、両基板は、フィルムシート20を介して大気圧でプレスされることになる。このようにして減圧(真空)プレス装置を用いて両基板をプレスした状態で、装置自身をオーブン等を利用して160℃以上に加熱すると、接着性を有する感光性樹脂3により両基板の接着が完了する。尚、上記土台19の内部にヒータを内蔵しておき、そのヒータで加熱する方法を利用してもよい。
減圧プレス装置を用いると、大気圧を利用してプレスを行うことができ、大面積基板同士を貼り合わせる際でも、均一にプレスすることが可能となる。ちなみに、一般的な剛体を用いた加圧プレスの場合、プレスされる基板の平坦性と、プレスする剛体の平坦性とが合致しない場合、面内でのプレス圧にばらつきが生じる場合があり、このようなばらつきは、特に基板サイズが大きくなるほど顕著に現れる傾向がある。
ただし、減圧(真空)プレス方式は、大気圧を利用するプレス方法であるため、大気圧(1kgf/cm2 )以上のプレス圧を得ることができない。したがって、用いる感光性樹脂3が、それ以上のプレス圧を必要とする場合は、油圧プレス等を用いた加圧プレス装置を使用するか、あるいはオートクレーブ装置を使用する必要がある。加圧プレス装置やオートクレーブ装置であれば、1kgf/cm2 以上のプレス圧を容易に得ることができる。特に、高圧の気体(流体)を利用してプレスを行うオートクレーブ装置では、大きなプレス力を得ることができると同時に、大面積基板の貼り合わせ時においても均一なプレス圧が得られる。
また、加熱ローラを用いて両基板を貼り合わせる方法もある。この場合には、対向配置された両基板を、一方の端から感光性樹脂3の硬化温度に加熱されたゴム製の加熱ローラ間を通して、加熱圧着させる。この時、基板を急激に加熱することで熱割れを生じさせる虞がある場合には、ローラ加熱する前に両基板に対して余熱を与えておくか、低温用および高温用の2種類以上の加熱ローラを用いて段階的に加熱を行うとよい。
上述のように、上記貼り合わせプロセスで加熱ローラを用いた加熱処理を行うと、大面積のアクティブマトリクス基板1と対向基板2との貼り合わせの際でも、大規模な油圧プレス装置等を必要とせず、接着工程および装置を簡単にすることができる。
例えば、用いる感光性樹脂3が10kgf/cm2 のプレス圧を必要とする場合、40cm×50cm程度のサイズの基板同士に対し、油圧プレス装置で全面プレスを施そうとすれば、20000kgfものプレス力が必要となる。上記のプレス力を得るためには、大規模なプレス装置が必要となるが、同サイズの基板を、上記のごとく加熱ローラによって順次加圧を施す方法であれば、200〜500kgf程度のプレス力で基板を貼り合わせることができ、装置も簡略化できる。
[実施の形態2]
上記実施の形態1で示した二次元画像検出器の他の製造方法について以下に説明する。図5(a)ないし(c)は、アクティブマトリクス基板1上の所定の場所に、感光性樹脂3を所定の形状にパターニングする手順を模式的に示した図である。尚、上記図5(a)ないし(c)のアクティブマトリクス基板1においては、配線等の図示を省略している。
先ず、図5(a)に示すように、上記アクティブマトリクス基板1の貼り合わせ面のほぼ全面に感光性樹脂3を塗布または転写する。ここでは、上記感光性樹脂3として、導電性を有するネガ型の感光性樹脂3が用いられる。尚、ネガ型の感光性樹脂とは、紫外線(UV光)等で露光された部分が重合し、該露光部分は現像処理において残り、露光されていない部分が現像時に溶出するタイプの感光性樹脂である。
次に、図5(b)に示すように、アクティブマトリクス基板1の貼り合わせ面と反対側の面(アクティブマトリクス基板1の裏面)よりUV光を照射する(露光処理)。
図6は、アクティブマトリクス基板1に形成されている各種電極の配線パターンの一例を示す図である。この中で、ゲート電極8、ソース電極9、およびCs電極10は、前述の如く金属膜によって形成されている。これに対し、画素電極14はITO等の透明電極で形成されており、該アクティブマトリクス基板1は、格子状に配列される上記金属電極配線以外の部分は全て光が透過することになる。すなわち、アクティブマトリクス基板1上に形成されている格子状の電極配線(ゲート電極8、ソース電極9、およびCs電極10)がフォトマスクの役割を果たし、セルフアライメント露光が可能になる。
続いて、図5(c)に示すように、露光された感光性樹脂3を現像することで、感光性樹脂3が所定の形状にパターニングされる。例えば、図6に示した配線パターンのアクティブマトリクス基板1を用いた場合、図7に示すような感光性樹脂3のパターン(図7中の斜線部)が形成される。すなわち、現像後の感光性樹脂3は、格子状の電極配線の無い部分にのみ存在することになる。したがって、上記図7に示すように、パターニングされた感光性樹脂3は、隣接画素と完全に独立しており、これに実施の形態1に示したような対向基板2を接続することで、画素電極14と接続電極6とが導通し、隣接画素間は絶縁される。
上述した感光性樹脂3のパターニング方法は、セルフアライメント露光のため、フォトマスクを準備する必要がなく、その上、感光性樹脂3のパターンの位置ズレが生じることもない。なお、単位画像当たりのCs電極10の占有面積が大きい場合は、Cs電極10を透明電極材料で形成することが望ましい。
[実施の形態3]
本発明に係る二次元画像検出器に用いられる対向基板は、図1に示した構造に限定されるものではなく、他の構成の対向基板を用いることも可能である。図8に、対向基板の他の構成例として、対向基板22を用いた場合の二次元画像検出器の構成を示す。尚、上記対向基板22の構成は、図1に示した対向基板2と類似しているため、図1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
上記対向基板22では、アクティブマトリクス基板1上の1つの画素電極14に対して、複数の接続電極23…が対応するように形成されている。また、感光性樹脂3の接続面積は、画素電極14の面積にほぼ等しい。その他、製造方法および基本的な動作原理は、実施の形態1と同様である。
上記構造の対向基板22を用いると、両基板を貼り合わせる際に、各画素電極14に対応する複数の接続電極23…は、貼り合わせの位置に応じて任意に決定される。したがって、両基板貼り合わせ時の位置ずれが生じたとしても支障は無く、微細な位置合わせが不要である。
この時、隣接画素電極間でのリークを防ぐため、接続電極23の幅aは、画素電極14間の距離bよりも小さいほうがよい。また、X線の入射により半導体基板16内で発生した電荷を効率よく吸収し、対応する画素電極14に正確に接続するためには、接続電極23の有効面積は可能な限り大きいことが望ましい。本実施の形態では、画素電極14および感光性樹脂3の接続面積を一辺が約120μmの正方形(150μmピッチ)とし、接続電極23を一辺が約10μmの正方形(15μmピッチ)とした。これにより、微細な位置合わせを行うこと無く両基板を貼り合わせることができ、また、隣接画素間同士のクロストークも見られないことを確認した。
[実施の形態4]
本発明に係る二次元画像検出器の製造方法は、図4に示した方法に限定されるものではなく、他の製造方法を用いることも可能である。図9(a)ないし(e)に、他の方法を用いて、アクティブマトリクス基板1および対向基板2を貼り合わせる場合のプロセスを示す。
先ず、図9(a)に示すように、例えば、厚さ約75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム等からなる仮支持体24上に、乾燥時の膜厚が約10μmになるように、導電性を有する感光性樹脂3を塗布する。
次に、図9(b)に示すように、上記のように形成された感光性シート(すなわち、感光性樹脂3が塗布された仮支持体24)を、感光性樹脂3側からフォトマスクを介して画素電極14のパターンに露光したあと、アルカリ水溶液で現像する。
次に、図9(c)に示すように、上記感光性シートを、露光パターンがアクティブマトリクス基板1の画素電極14に対応するようにして、アクティブマトリクス基板1上にラミネータを用いて貼り合わせる(加熱温度110℃、ローラ圧力2kgf/cm2 、搬送速度0.2/min)。
次に、図9(d)に示すように、仮支持体24を剥離し、感光性樹脂3のみを画素電極14上に転写する。
最後に、図9(e)に示すように、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを約160℃で圧着する。具体的な貼り合わせ方法に関しては、特に限定されないが、例えば実施の形態1で説明した方法が使用できる。
尚、本実施の形態4では、感光性樹脂3をアクティブマトリクス基板1に転写した後、対向基板2を貼り合わせる例を示したが、最初に対向基板2に転写した後で両基板を貼り合わせても構わない。また、感光性樹脂3の感度低下を防止するため、感光性樹脂3上にポリビニルアルコール水溶液を塗布して酸素遮断層を形成してもよい。さらに、シートの保護、および酸素遮断の目的でポリビニルアルコール層上にカバーフィルムを設けてもよい。
上記の製造方法では、仮支持体24上で感光性樹脂3をパターニングすることにより、基板への転写以前に不良品の判別が可能である。また、フォトリソグラフ処理による基板への影響もない。したがって、感光性樹脂3を基板に塗布あるいは転写した後パターニングする方法に比べて不良による基板のロスが低減でき、歩留りが向上する。
[実施の形態5]
本発明に係る二次元画像検出器に用いられるアクティブマトリクス基板は、図2に示した構造に限定されるものではなく、他の構成のアクティブマトリクス基板を用いることも可能である。図10に、アクティブマトリクス基板の他の構成例として、アクティブマトリクス基板25を用いた場合の二次元画像検出器の構成を示す。尚、上記アクティブマトリクス基板25の構成は、図2に示したアクティブマトリクス基板1と類似しているため、図2で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
上記アクティブマトリクス基板25は、実施の形態1に係るアクティブマトリクス基板1と同様に、ガラス基板7上にゲート電極8およびソース電極9からなるXYマトリクス状の電極配線、電荷蓄積容量4およびTFT5等が形成されている。
上記ガラス基板7には、無アルカリガラス基板(例えばコーニング社製#7059や#1737)を用い、その上にTa等の金属膜からなるゲート電極8を形成する。ゲート電極8は、Ta等をスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングして得られる。この時、同時に電荷蓄積容量4のCs電極10が形成される。次に、SiNx やSiOx からなる絶縁膜11を、CVD法で約3500Å成膜して形成する。上記絶縁膜11は、上記TFT5のゲート絶縁膜、および電荷蓄積容量4の電極間の誘電層として作用する。尚、絶縁膜11としてSiNx やSiOx だけでなく、ゲート電極8とCs電極10とを陽極酸化した陽極酸化膜を併用してもよい。
次に、TFT5のチャネル部となるa−Si膜(i層)12と、ソース・ドレイン電極とのコンタクトを図るa−Si膜(n+ 層)13とを、CVD法で各々約1000Å、約400Å成膜した後、所望の形状にパターニングする。次に、TaやAl等の金属膜からなるソース電極9とドレイン電極26とを形成する。上記ソース電極9およびドレイン電極26は、上記金属膜をスパッタ蒸着で約3000Å成膜した後、所望の形状にパターニングすることで得られる。
その後、アクティブマトリクス基板25のほぼ全面を覆う形で、絶縁保護膜27を約3μmの厚みでコートする。上記絶縁保護膜27には、感光性を有する有機絶縁膜、例えばアクリル樹脂等を用いる。その後、絶縁保護膜27をフォトリソグラフィ技術でパターニングし、所定の場所にスルーホール28を形成する。次に、絶縁保護膜27上に、Al、Ti、ITO等の導電膜からなる画素電極29をスパッタ蒸着法で約2000Å成膜し、所望の形状にパターニングする。この時、絶縁保護膜27に設けたスルーホール28を介して、上記画素電極29とTFT5のドレイン電極26とを電気的に接続する。
上記構造のアクティブマトリクス基板25を、実施の形態1と同様に、X線に対して光導電性を有する半導体基板16を支持基板とする対向基板2と感光性樹脂3で貼り合わせることで二次元画像検出器が完成する。実施の形態1に記載の二次元画像検出器と比較すると、アクティブマトリクス基板の構造が若干異なるだけで、その基本的な動作原理は同じである。もちろん、上記アクティブマトリクス基板25を実施の形態3の対向基板22と貼り合わせて用いることも可能である。
以上のように、本実施の形態に係る二次元画像検出器は、アクティブマトリクス基板25の略全表面を有機絶縁膜からなる絶縁保護膜27で覆った構成となっているため、該絶縁保護膜27が下地基板(ガラス基板7上にXYマトリクス状の電極配線やTFT5が形成されている状態のもの)の平坦化効果をもたらす。すなわち、図2に示した実施の形態1の構成では、TFT5やXYマトリクス状の電極配線によりアクティブマトリクス基板1の表面に1μm程度の凹凸が生じるが、本実施の形態5では、図10に示すように、絶縁保護膜27によって下地基板の表面が平坦化されるため、アクティブマトリクス基板25表面の凹凸は約0.2μmに抑えられる。
また、本実施の形態5の構成では、画素電極29をTFT5や電極配線の上にオーバーラップさせた状態で形成させることができるため、画素電極29の設計マージンを大きくとることができる。
[実施の形態6]
本発明に係る二次元画像検出器に用いられる対向基板は、図2に示した構造に限定されるものではなく、他の構成の対向基板を用いることも可能である。図11に、対向基板の他の構成例として、対向基板30を用いた場合の二次元画像検出器の構成を示す。尚、上記対向基板30の構成は、図2に示した対向基板2と類似しているため、図2で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図11に示すように、上記対向基板30は、支持基板31と、該支持基板31上に成膜される半導体膜(半導体層)32とによって主に構成される。上記支持基板31としては、X線に対して透過性を有する基板を用いる必要があり、ガラス、セラミック、シリコン基板等を用いることができる。尚、ここでは、X線と可視光の両者に対して透過性の優れた、厚みが0.7〜1.1mmのガラス基板を用いている。
先ず、該支持基板31の一方の面のほぼ全面に、Ti、Ag等の金属によって上部電極17を形成する。但し、本二次元画像検出器を可視光による像の検出に用いる場合には、上記上部電極17として可視光に対して透明なITO電極を用いる。
次に、この上部電極17上に半導体膜32として、MOCVD法を用いてCdTeやCdZnTeの多結晶膜を約0.5mmの厚みで形成する。MOCVD法は、大面積基板への成膜に適しており、原料である有機カドミウム(ジメチルカドミウム[DMCd]等)、有機テルル(ジエチルテルル[DETe]、ジイソプロピルテルル[DiPTe]等)、有機亜鉛(ジエチル亜鉛[DEZn]、ジイソプロピル亜鉛[DiPZn]、ジメチル亜鉛[DMZn]等)を用いて、400〜500℃の成膜温度で成膜が可能である。なお、CdTeやCdZnTeの成膜方法としては、上記MOCVD法以外にも、スクリーン印刷・焼成法、近接昇華法、電析法、スプレー法といった他の成膜方法を用いることも可能である。
更にその上に、AlOx の薄い絶縁層からなる電子阻止層18を、ほぼ全面に形成した後、TaやAlなど金属膜を約2000Å成膜し所望の形状にパターニングすることで接続電極6を形成する。上記接続電極6は、アクティブマトリクス基板1に形成された画素電極14と対応する位置に形成すると良い。
上記構造の対向基板30を、実施の形態1と同様に、アクティブマトリクス基板1と感光性樹脂3で貼り合わせることで、二次元画像検出器が完成する。これを、実施の形態1に記載の二次元画像検出器と比較すると、対向基板の構造が若干異なるだけで、その基本的な動作原理は同じである。もちろん、上記対向基板30を実施の形態5のアクティブマトリクス基板25と貼り合わせて用いることも可能である。
上記構造の対向基板30を用いると、支持基板31上に光導電性を有する半導体膜32を形成しているので、実施の形態1に記載の対向基板2に比べて、力学的強度を増すことが可能になる。したがって、対向基板30とアクティブマトリクス基板1を貼り合わせる際に、該対向基板30が割れにくくなり、プロセスマージンが増大する。
また、本二次元画像検出器の使用目的をX線による像の検出に限定すれば、X線を透過しやすい金属基板を用いて、支持基板31と上部電極17とを兼用させることも可能である。
[実施の形態7]
上述した実施の形態1〜6に係る二次元画像検出器では、アクティブマトリクス基板1(または、アクティブマトリクス基板25)と対向基板2(または、対向基板22、30)とを貼り合せる接続材として、導電性および接着性(粘着性の意味も含む)を有する感光性樹脂3を用いた例を示した。感光性樹脂3は、フォトリソグラフィ技術によるパターニングが可能なため、高精度にパターニングを行えるメリットを有するため、本発明における基板の接続材として適している。しかしながら、本発明においては、上記接続材は感光性樹脂3に限定されるものではなく、他の接続材を用いることも可能である。
一般に、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニングは、露光装置、現像装置、洗浄装置等が必要であり、基板が大型化した場合には、これらの設備に要するコストが増大する傾向がある。しかしながら、例えば、接続材に導電性接着剤を用い、これをスクリーン印刷法によって基板上にパターニング形成する方法を用いれば、フォトリソグラフィ技術に比べてパターン精度は若干劣るものの、パターニングのプロセスを簡便にすることができる。
スクリーン印刷に用いることができる導電性接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、または変性ウレタン樹脂などの接着樹脂に、カーボン、Ag、Niなどの導電性物質を分散させたものを使用することができる。また、スクリーン印刷装置は、プラズマディスプレイの製造等に使用される大型スクリーン印刷機を一部改良して使用することが可能である。
図14に、スクリーン印刷機の概要を示す。スクリーン印刷法では、アクティブマトリクス基板1もしくは対向基板2の接続面上に、画素電極に対応した位置に穴が設けられたスクリーン33を通してスキージで導電性接着剤34のペーストを押し込むことにより、基板の接続面上に上記導電性接着剤34がパターニングされて印刷される仕組みになっている。
ところで、本実施の形態に係る二次元画像検出器で用いられる接続材(導電性接着剤34)は、例えば150μm程度のピッチでマトリクス状に形成される画素電極と対応する位置に形成されるため、これと同じピッチで、かつ大面積にマトリクス状にパターニングされる必要がある。しかしながら、一般に、スクリーン印刷のパターン精度は、フォトリソグラフィ技術のパターン精度に比べて大幅に劣る。これは、印刷の繰り返しによってスクリーン33が伸縮するためである。また、上記スクリーン33に繊維のメッシュ版を利用したメッシュスクリーンを用いると、メッシュが邪魔になり50μm程度の小さなドットパターンを印刷することが困難となる。
したがって、本実施の形態では、150μm程度の画素ピッチで50μm程度のドットパターンを印刷するために、スクリーン33としてNi、ステンレスなどの薄い金属シートに印刷パターンに応じた穴が設けられたメタルマスクを用いることが望ましい。このようなメタルマスクは、印刷の繰り返しによる伸縮の影響が小さく、パターン精度の向上を図ることができる。また、上記メタルマスクには印刷穴にメッシュが存在しないため、50μm程度のドットパターンでも容易に印刷することが可能である。なお、上記メタルマスクにおけるドットパターン形状としては、四角より円形パターンの方が印刷パターンの乱れが少なく、良好である。
実際に上記方法を用いて、40cm×50cmのアクティブマトリクス基板1の略全面に、150μmピッチ、φ50μmのドットパターンで導電性接着剤34をスクリーン印刷したところ、印刷のパターンずれが50μm以下に収まることが確認できた。図15は、アクティブマトリクス基板1と、スクリーン印刷で形成された導電性接着剤34(図中、ハッチングで示す)の位置関係を示す図であり、各画素電極14の略中央に、円形の導電性接着剤34が印刷されている様子が示されている。
導電性接着剤34が印刷された該アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを貼り合わせることで、実施例1ないし6で示したものと同様の二次元画像検出器を作製することができた。
また、本実施の形態では、印刷方法としてメタルマスクを用いたスクリーン印刷技術を用いて導電性接着剤34を印刷する例を示したが、印刷方法としては、印刷の位置精度が許容範囲であれば、他の方法を用いても良く、例えばインクジェット印刷法やオフセット印刷法等も使用可能である。
さらに、本発明で用いられる接続材のパターニング方法としては、上述してきた方法、すなわち、(1) 感光性樹脂3をフォトリソグラフィ技術でパターニングする方法、(2) 導電性接着剤34を印刷技術でパターニングする方法、に限定されるものではない。これら以外にも、例えば、非感光性導電材料とフォトレジストとを組み合わせることで、非感光性導電材料をエッチング技術によりパターニングする方法等も使用可能である。
[実施の形態8]
上述した実施の形態1〜7に係る二次元画像検出器では、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを、導電性を有する感光性樹脂3や導電性接着剤34等の接続材によって貼り合せる例を示した。しかしながら、このように、接続材を用いて一対の基板を貼り合わせる際には、貼り合わされる基板が大面積になるほど、基板間の間隙(ギャップ)を一定に保つことが難しくなる。
そこで、本実施の形態では、貼り合わされる基板(例えば、アクティブマトリクス基板1と対向基板2)のサイズが大きくなった場合でも、両者の間隙を一定に保つことができる二次元画像検出器の構造について説明する。
本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造方法の一例を、図16に基づいて以下に説明する。
先ず、図16(a)に示すように、アクティブマトリクス基板1もしくは対向基板2の少なくとも一方の基板上に、感光性樹脂3や導電性接着剤34などからなる接続材を画素電極のパターンに応じて、実施の形態1ないし7で説明した何れかの方法によってパターニング形成する。この時点では、接続材はh1の厚みとw1の幅を有するように形成されているものとする。
次いで、図16(b)に示すように、接続材がパターニング形成された基板上に、ギャップ保持材35を散布配置する。この時点では、ギャップ保持材35は、パターニング形成された接続材上や、接続材が無い部分にランダムに配置されている。尚、上記ギャップ保持材35としては、絶縁性に優れたガラス、石英、プラスチックなどからなるボールや繊維(ファイバー)等が使用できる。
そして、図16(c)に示すように、接続材がパターニング形成された側の基板に他方の基板を対向させ、図16(d)に示すように、上記一対の基板を貼り合わせる。この時、両基板は所定のプレス力によってプレスされ、接続材上に載っていたギャップ保持材35は接続材中にめり込み、接続材の高さ、すなわち基板間隙はh2まで狭められる。また、その影響で接続材の幅はw2まで広がる。
上記の製造方法の構成によれば、上記両基板の間隙にギャップ保持材35が存在するため、基板の貼り合わせ時に基板間隙が所定の値であるh2より小さくなることや、接続材の幅が所定の値であるw2より大きくなることを防ぐことが可能である。したがって、大面積の基板を貼り合わせる場合においても、基板間隙をギャップ保持材35によって制御できるため、貼り合わせ後の接続材の形状、すなわち接続材の高さh2と幅w2を面内で均一に形成することが可能になる。具体的には、パターニング形成直後の接続材の高さh1を約10μm、幅w1を約80μmに設定し、ギャップ保持材35として直径9μmのものを使用すると、貼り合わせ後の接続材の高さh2を約9μm、幅w2を約90〜100μmに仕上げることができる。この結果、各接続材の接続抵抗値を面内で均一にすることが可能になる。さらに、基板の平坦性が悪い場合や貼り合わせ時のプレス圧力分布が悪い場合でもギャップ保持材35が支えになり、接続材の形状を保つことができるので、隣接する接続材同士が接触することを防ぐことが可能になる。
さらに、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造方法の他の例を、図17に基づいて以下に説明する。
先ず、図17(a)に示すように、アクティブマトリクス基板1もしくは対向基板2の少なくとも一方の基板上に、予めギャップ保持材35が分散した状態で含有された接続材(感光性樹脂3または導電性接着材34)を画素電極のパターンに応じて、実施の形態1ないし7で説明した何れかの方法によってパターニング形成する。この時点では、上記接続材はh1の厚みとw1の幅を有するように形成されているものとする。また、ギャップ保持材35は、パターニング形成された接続材中にのみ存在する。ギャップ保持材35としては、絶縁性に優れたガラス、石英、プラスチックなどからなるボールや繊維(ファイバー)等が使用できる。
そして、図17(b)に示すように、接続材がパターニング形成された側の基板に他方の基板を対向させ、図17(c)に示すように、上記一対の基板を貼り合わせる。この時、両基板は所定のプレス力によってプレスされ、接続材の高さ、すなわち基板間隙はh2まで狭められる。また、その影響で接続材の幅はw2まで広がる。
上記方法によれば、図16で示した製造方法に比べて、接続材として用いる感光性樹脂3や導電性接着剤34中に、予めギャップ保持材を分散させておくだけで、新たな工程を追加すること無くギャップ保持材35を具備させることが可能となる。
[実施の形態9]
上述した実施の形態1〜8に係る二次元画像検出器においては、アクティブマトリクス1と対向基板2とを貼り合せる接続材(導電性の感光性樹脂3、あるいは導電性接着剤34)の配置を工夫することで、より信頼性を向上させることが可能である。
図18は、アクティブマトリクス基板1を上から見た平面模式図であり、アクティブマトリクス基板1の外形と、対向基板2の配置領域36と、受像領域37との位置関係とを示している。ここで、受像領域37とは、画像検出に必要な画素電極14がマトリクス状に配置されている領域のことである。なお、図18および後述する図19では、便宜上、画素数を減らして(画素サイズを大きく)描いてあるが、実際は、更に高密度の画素配列パターンを有するものである。例えば、医用X線撮影に用いられる二次元画像検出器の場合、40cm×50cm程度のサイズに対し、100〜300μmピッチの画素密度が必要とされる。
実施の形態1〜7では、それぞれの画素電極14に対応して、その上に接着性と導電性とを有する感光性樹脂3や導電性接着剤34等の接続材を、それぞれフォトリソグラフィ技術や印刷技術を用いてパターニング形成した後、アクティブマトリクス基板1の画素電極14と対向基板2の接続電極6とが対向配置するように両基板を貼り合せる構成例を示した。このとき接続材は、受像領域37内の画素電極14上にのみパターニング形成されていれば、本発明の二次元画像検出器は動作可能となる。
しかしながら、本実施の形態に係る二次元画像検出器では、受像領域37だけでなく、その周辺領域38(対向基板2の配置領域36と受像領域37との間における領域)にも接続材をパターニング形成することによって信頼性を向上させることを特徴する。
図19は、図18で示したアクティブマトリクス基板1と、画素電極上に形成パターニング形成される接続材(図中、ハッチングで示す)の位置関係とを示す図である。図19に示すように、本実施の形態においては、受像領域37、すなわち画像検出に必要な画素電極14が格子状に配置されている領域のみならず、その周辺領域38にも接続材が配置された構成になっている。
この周辺領域38における接続材は、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とを電気的に接続する役割は必要なく、単に両基板を物理的に接続するために配置されたものである。すなわち、補強を目的とするダミー接続材である。
通常、アクティブマトリクス基板1と対向基板2とが、画素電極14上にパターニング形成された接続材によって物理的に接着されている場合、画素電極14が配置されている受像領域37の中で、一番外側に配置されている画素電極14上に形成された接続材は、ストレスや外部環境の影響を受けやすく、剥がれやすい傾向にある。ところが、上記構成によれば、受像領域37以外に、その周辺領域38にもダミー接続材がパターニング形成されているため、受像領域37内の接続材はストレスや外部環境の影響を受け難くなり、信頼性を向上させることが可能になる。なお、周辺領域38に形成されるダミー接続材にストレスや外部環境の影響を受けて一部が剥がれたとしても、受像領域37に形成されている接続材に剥がれが発生しない限り、受像性能へ影響を与えることはない。
また、周辺領域38に配置されるダミー接続材のパターン形状は図19に示す限りでは無く、周辺領域38で、かつアクティブマトリクス基板1と対向基板2との両者に接着する領域であれば、ダミー接続材はどのようなパターン形状でも良い。
尚、以上の実施の形態7ないし9において、アクティブマトリクス基板1に代えてアクティブマトリクス基板25を用いてもよく、対向基板2に代えて対向基板22または30を用いてもよい。
以上のように、本発明に係る二次元画像検出器は、アクティブマトリクス基板1と、光導電性を有する半導体層が形成された対向基板2とを別々に形成した後、両基板を貼り合せる構造になっているため、上述してきた効果以外に、アクティブマトリクス基板1の上に上記半導体層(光導電膜)を直接形成する場合よりも総合的に歩留まりが向上するといった効果もある。すなわち、従来のようにアクティブマトリクス基板上に、光導電膜を直接積層していく構造では、光導電膜に不良が生じた際に、下のアクティブマトリクス基板までもが無駄になってしまう。これに対し、本発明の場合、互いに良品同士のアクティブマトリクス基板と対向基板とを選んで組み合わせることができるため、歩留りを向上させることができる。
また、本発明は、上述してきた半導体材料やセンサー構造に限定されるものでは無く、他の半導体材料やセンサー構造を用いた二次元画像検出器にも適用することが可能である、例えば、以上の説明では、半導体層(光導電膜)としてX線の感度に優れているCdTeやCdZnTeの多結晶を用いた構造の例を示したが、それ以外にa−Seやa−Si等、他の半導体材料を光導電膜として使用することも可能である。また、対向基板2の構造は、X線を可視光に変化する変換層(例えばCsI )と可視光センサーを組み合わせた構造であっても良い。
また、上記実施の形態1〜9では、主にX線(放射線)に対する二次元画像検出器の場合について説明してきたが、使用する半導体(半導体基板16もしくは半導体膜32)がX線等の放射線に対する光導電性だけでなく、可視光や赤外光に対しても光導電性を示す場合は、可視光や赤外光の二次元画像検出器として使用することも可能である。ただし、この場合、半導体からみて光入射側に配置される上部電極17として、ITO等の可視光や赤外光を透過する透明電極を用いる。また、半導体の厚みも、可視光、赤外光の吸収効率に応じて最適化することが望ましい。
また、上記実施の形態1〜9では、アクティブマトリクス基板1(または、アクティブマトリクス基板25)で用いられるスイッチング素子として、TFT5を使用しているが、これ以外にも、MIM(Metal-Insulator-Metal)、バリスタ等の二端子素子や、ダイオードリング、バックツーバックダイオード等のダイオードを組み合わせたスイッチング素子等を使用することができる。