JP2014529728A - 電離放射線のイントリンジックな直接検出器およびその検出器の製造方法 - Google Patents

電離放射線のイントリンジックな直接検出器およびその検出器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】、有機半導体を基礎とする、電離放射線のイントリンジックな直接検出器を提供する。【解決手段】電離放射線が、X線、ガンマ線、中性子、荷電粒子(特に、アルファ線、電子、陽電子)からなる群から選択される。信号処理回路が、複数の電極によって前記イントリンジックな直接検出器に接続される。電極のうちの少なくとも1つは有機電極である。この検出器は、また、有機半導体の溶液を基板上に載置する工程と、溶液を蒸発させる工程と、結果として生じる有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程とを備えた方法によって製造される。【選択図】図1

Description

本発明は、X線、ガンマ線、中性子、および荷電粒子(アルファ線、電子、陽電子など)などの電離放射線のイントリンジックな直接検出器として用いられる有機半導体に関し、電離放射線のそのようなイントリンジックな直接検出器を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、電離放射線のイントリンジックな直接検出器として用いられる、有機半導体が何らかの方法で組み込まれた検出器、または有機半導体を基礎とする検出器(有機半導体検出器)が設けられた、機器または複合装置に関する。特に、本発明による前記機器は、例えば歯科医学や医学用画像処理の医学分野、例えば空港や国境での民間分野、分析技術、研究開発、または産業活動において、X線検出器として有用である。
電離放射線の検出は、多くの技術的および社会的な活動において重要な役割を果たし、マイクロエレクトロニクスから衛生処理および滅菌消毒、工業品質管理から石油工業、鉱業から医学にわたって重要である(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。したがって、前記電離放射線の検出器の開発は、技術、経済、そして社会学において、価値のある分野である。
電離放射線検出器は、数種類存在する。
本明細書において電離放射線の「直接検出器」とは、入射電離放射線が電気信号に直接変換されるデバイスのことである。
本明細書において「イントリンジックな直接検出器」とは、入射電離放射線が電気信号に直接変換される直接検出器であって、ここでの変換が、電離放射線と相互作用する材料の近傍の材料または接触している材料においてではなく、電離放射線と相互作用しているその材料の中で行われる直接検出器のことである。
本明細書において「間接検出器」とは、入射電離放射線が2つのステップのプロセスで検出されるデバイスである。ここで、第1のステップは第1のデバイス(「シンチレータ」)によって実行され、放射線から光子への変換が行われる(すなわち、電気信号に直接変換されるわけではない)。第2のステップは第2のデバイス(「フォトダイオード」)によって実行され、前記光子を電気信号に変換する。これら2つのデバイスは、作動する完結した電離放射線間接検出器を得るために、結合されなければならない。
利用可能な現技術水準における電離放射線の間接検出器は、無機材料と有機材料のいずれかによって構成され、場合によっては無機材料を基礎とするデバイスに結合された有機材料を基礎とするデバイスによって構成される。間接検出器において用いられる、無機材料シンチレータの例としては、タリウム活性化ヨウ化セシウム(CsI(TI)、例えば特許文献1を参照)またはゲルマニウム酸ビスマス(BGO、例えば特許文献2を参照)に依存したものが挙げられる。しかし、無機材料シンチレータは、比較的高価である。したがって、無機シンチレータよりも高価ではない有機シンチレータが開発されている。
有機シンチレータは、通常、プラスチック材料の形態で得られ、ポリママトリックス(例えば特許文献3)に発光性の有機分子が埋め込まれている。また、有機単結晶が、X線およびガンマ線を光に変換するシンチレータとして、かつパルス形状分析手順による中性子−ガンマ線弁別のために利用されてきた(非特許文献5;Zaitsevaらの特許文献4)。さらに、有機多結晶フィルムがシンチレータとして使用されてきた(非特許文献6)。有機材料が半導体としての性質を有するならば、有機材料は、シンチレータとしてだけではなく、フォトダイオードとしても間接検出器において使用可能である。特に、有機半導体ポリマは、無機シンチレータに結合されるフォトダイオードとして使用されてきた(非特許文献7;非特許文献8)。事実、半導体ポリマ薄膜が、ほとんど劣化せずに大量のX線に耐え得ることが示された(非特許文献9)。しかし、前記ポリマは雰囲気中の酸素および水から保護されるために適切にカプセル化(encapsulated)されなければならない。そうでなければ、デバイスの顕著な性能低下が急速に発生する(非特許文献10)。半導体ポリマデバイスを有効にカプセル化することが、望ましくない生産コストの顕著な増加につながる点に留意しなければならない。
一般に、間接放射線検出器(すなわち、フォトダイオードに結合されるシンチレータによって構成される検出器)の構造は、電離放射線検出器のために最適であるとはいえない。第1に、放射線検出プロセス全体において、多少の情報の損失が生じる。特にこの欠点は低放射線量の場合に明白である。間接検出器のさらなる欠点としては、間接検出器が、実際には結合されているが2つの明確に異なるデバイスによって構成された、より複雑な構造のデバイスであるため、その製造が比較的高度となり、かつ高い維持費がかかる。したがって、より効率的なデバイスを開発することが望ましいと思われる。さらに、有機半導体が間接検出器のフォトダイオード部分において用いられると、これらの材料の電荷輸送パラメータの大きな幅に起因した問題が生じ、検出器全体の適切な動作が妨げさられる。
そのため、電離放射線の直接検出器を開発できれば都合がよい。
利用可能な現技術水準における直接検出器は、成分として例えばシリコン、テルル化カドミウム、ダイヤモンドなどの無機材料によって構成される。上述した定義に従えば、これら全ての検出器はイントリンジックな直接検出器であり、すなわち、これらの検出能力は、電離放射線と相互作用している同一材料内における電離放射線の電気信号への直接変換に基づく。イントリンジックな直接検出器は、単純な直接検出器(すなわち、簡潔には、直接検出器)に比べて利点がある。事実、イントリンジックな直接検出器は、電離放射線にさらされるデバイス箇所において、電離放射線の検出を遂行するのに複数の材料を必要としない。そのため、より廉価に製造できる。さらに、当業者ならば分かるように、複数の材料が存在し、かつ同一デバイスの中で1つの材料から他の材料に電気信号を転送する必要性があると、デバイスの全体の効率が低下する。
イントリンジックな直接検出器の例としては、多結晶無機半導体を検出器として開示する、McGregorの特許文献5およびエルサレムのヘブライ大学のYissum Research Development Companyの特許文献6、ならびにヒ化ガリウム系半導体を開示するInnovative American Technology社の特許文献7が挙げられる。しかし、無機系のイントリンジックな直接検出器は極めて高価である。さらに、それらを適切に作動させるためには既定の実験条件が必要であり、例えば作動温度を雰囲気温度よりも低くする必要がある。多くの場合、これら検出器の構造は極めて複雑であり、そのため、作動性、信頼性および保守に関する問題がもたらされ、これらデバイスの購入および作動にかかるコストは極めて高い。
電離放射線の高価でないイントリンジックな直接検出器を開発することは、重要かつ喫緊の事項である。この見地から、有機半導体は興味深い材料である。電子/光電子工学への応用において、有機半導体が室温作動性を有し、環境負荷が低いこと、および製造コストが低いことが既に示されている(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13)。さらに、光学的に透明で可撓性を有する電子デバイスおよび光電子デバイスの製作が可能である。そのため、先例がない集積デバイス構造が可能である。(非特許文献14;非特許文献15)。
しかし、現在まで有機半導体を基礎とする単純な直接検出器はほんの数例しか報告されておらず、それらは全て、有機半導体ポリマに基づく薄膜に関する(非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)。これらのレポートの著者は、それらレポートが単純な直接検出器を取扱っていると明確に述べてはいない。しかし、これらのデバイスにおいて、ポリマ半導体薄膜は常に金属電極または基板に結合され、これら金属電極または基板は有機層と共に電離放射線にさらされる点に注視すべきである。
金属電極および/または基板のデバイスの性能に対する重要性および役割は、例えば、非特許文献19; 非特許文献20;非特許文献21の著者の献身的な研究によってはっきり示されている。また、Dotyらの特許文献8においては、「固体有機半導体材料に埋め込まれた導線の配列」から構成される直接電離放射線検出器が請求項に記載されている。その中で、唯一の実施可能な例として、有機半導体はポリマ半導体であり、導線である金属電極の存在が発明の必須な要素であることが教示されている。その理由として、デバイスが適切に作動するためには、導線/電極に電離放射線が直接照射される必要があることが、図(図1)および請求項19〜23において強調されている。その箇所では、「放射線が導線(すなわち電極)に衝突すると生成される信号を検出すること」によってデバイスが作動することが明確に述べられている。Dotyらは、有機電極が存在する可能性を明白に示してはいるが、この特許の唯一の有効な実施例では、金属電極が設けられたデバイスが開示されている。放射線が電線に衝突して二次電子を生成し、この二次電子が検出器本体を構成する有機半導体ポリマにおいて検出されることで、前記デバイスは機能する。
単純な直接電離放射線検出器の他の例として、特許文献9が開示するのは、複数の金属/半金属ナノ粒子を懸濁状態で含む有機ポリママトリックスから構成されるデバイスであり、これら粒子は放射線と相互作用した際に少なくとも1つの電荷担体を生成できる。この文献の12ページの段落0056において、前記ナノ粒子(14)が、ホストマトリックス(12)を構成する材料よりも大きい原子番号を有する1つ以上の材料から作製されることが望まれる(例えば前記ホストマトリックス(12)よりも高いZ値を有する材料)と、明白に教示されている。したがって、当業者であれば、前記ナノ粒子(14)は金属または半金属でなければならないと理解される。
上述した開示は、電離放射線の直接検出器の実際的な動作のためには、金属/半金属の電極または素子が必要であることを強調する。その一方、この点について、多くの他の刊行物および特許は記載がない。それでもやはり、これら刊行物および特許は、曝露するデバイスの説明において必ず、電離放射線にさらされる金属電極の使用について記載する。(例えば、特許文献10においてラヴァルらは、交互噛合せ電極上に設けられた半導体ポリマ平層の薄膜を電離放射線の検出器の検知素子として使用することを記載する。このようなデバイスにおいて、電離放射線が交互噛合せ電極を回避して前記ポリマのみを通過することは不可能である)。したがって、有機半導体を含む電離放射線の検出器の実現には、電離放射線と相互作用した際に2次光電子を放出することが知られている金属/半金属の電極または基板がデバイス中に存在する必要があるとの共通意見が科学および技術の専門家の間にある、というのが電離放射線検出器の分野の当業者にとっては明白である。
さらに、デバイスからの適切な応答を得るためには、これら金属/半金属元素に電離放射線が照射されなければならない。特に、有機材料の役割は主に、金属/半金属の電極/基板と電離放射線との相互作用によって生成される二次電子を集め、検出可能な光電流を生成するのを助けることであると考えられている。有機材料の主成分である、炭素、水素、酸素、または硫黄のような軽元素の電離放射線の吸収係数に関する現在利用可能なノウハウによって、上述の技術的な先入観はどういう訳か正当化されている。これら軽元素の吸収係数は通常は低く、電離放射線との十分な相互作用を可能にするのに十分高いとみなされない。実際のところ、有機化合物の中に数個の水素原子が存在することが中性子の検出に有益であり得ると研究者が主張する数件において、有効なデバイスを得るためには、いずれにせよ検出器の構造に関しては何らかの金属電極が電離放射線にさらされる必要がある(前述の特許文献8を参照)。
さらに、有機材料は低い担体移動度で特徴付けられ、有機半導体と金属との間で効率的な電気接点を得ることが難しいことが知られている(例えば、非特許文献22参照)。つまり、電離放射線との相互作用で電荷が前記有機半導体に直接生成される場合、金属電極を経て材料からその電荷を抽出するのはかなり難しいことを意味する。これを、電離放射線と有機薄膜との相互作用が弱いために、この相互作用により発生する電荷の数が極めて少ないという観点で捉えると、イントリンジックな検出器として用いられる有機半導体検出器の製造はさらに複雑になると思われる。これらを考慮すると、上記文献は、金属電極が提供されているときのみ有効であると考えるべきである。その理由は、当業者ならば、有機電極が用いられるときにそのような検出器が作動するとは考えられないからである。
最後に、上述した開示の単純な直接検出器において用いられる有機半導体は、本発明者の知り得るかぎり、当該分野における現技術水準を代表するものである。これら有機半導体は、半導体ポリマから構成される極めて薄い膜(最大でも厚さ数百μm)を含む。有機材料の電離放射線吸収係数が限られていることを前提として、入射電離放射線に対するこれら薄膜の相互作用量が極めて限られているため、得られる吸収/変換効率がさらに低くなる。換言すれば、デバイス(例えば、電極または基板)になんらかの方法で含められる重元素(金属元素または半金属元素など)の貢献に頼ることなく、有機半導体自体を電離放射線のイントリンジックな直接検出器として活用することの大きな可能性を当業者が認識していないことは明白である。これは、当該分野の数人の研究者によって明確に認識されている(例えば、非特許文献23;非特許文献24参照)。
この考察の他に言及する価値があることとして、既に言及された半導体ポリマの劣化が、有効な、半導体ポリマに基づくイントリンジックな直接検出器の製造におけるさらなる課題であることが挙げられる。事実、上記の挙げられた検出器の多く(例えば特許文献10)の作動性は、ポリマ半導体の抵抗(伝導率)を測定することを基礎としている。この抵抗(伝導率)は、デバイスの電離放射線への曝露による材料劣化によって増加(減少)する。これは、上述のデバイスが、長時間にわたって作動可能でないこと、再現可能な性能を繰り返し発揮出来ないことを意味し、そのため、極めて短い作動寿命を有する検出器となる。最良の場合でも使い捨てのデバイスとしてしか使用できず、最悪の場合は機能しないデバイスとなる。
このような欠点は、特定の有機半導体を使用することで克服可能である。その例としては、ある学位論文(Fattori、ボローニャ大学、2009年12月)において開示されている。ここでは、金属基板に結合された有機半導体単結晶が、金属電気接点と共に単純な直接X線検出器の部品として使用された。しかし、このデバイスがイントリンジックな直接検出器であるとは認識されない。他の学位論文(Ciavatti、ボローニャ大学、2010年12月)において、上述のデバイスと同一のデバイス(すなわち、金属接点を有する、金属パッド上に作成された有機半導性単結晶)が、アルファ粒子に対する単純な直接検出器として使用された。これら論文は、室温半導体検出器(RTSD)に関する国際会議(ノックスビル、テネシー州アメリカ2010年11月)にて一部公表された。この会議でこれらデバイスは、前記有機半導体と共に金属電極または基板を使用する、電離放射線の単純な直接検出器の例として紹介された。
有機単結晶を活用する、電離放射線の直接検出器について他に報告されているものとして、非特許文献25のレポートがある。このレポートは、電荷移動による導電性の有機単結晶を基礎とする直接電離放射線検出器の製造を開示する。このレポートにおいて著者らは、(記載されているデバイスを単純な直接検出器と決定づける)有機結晶と共に金属電極を放射線にて照射し、その結果、検討した材料が空気中で安定ではなく、機械的な脆性に関連したいくつかの課題があり、実用的な応用に役立たない点が強調されている。なお、このレポートにおいて、筆者らは当該分野で一般的に教示されるその当時の技術水準の方法に沿って検出器を作動している。具体的には、検出器での応答を向上させるために二次電子の生成を確実にするように、金属電極に電離放射線を照射している。
デバイス中に金属元素が存在するという点に関して単純な直接検出器を考察すると、電離放射線の重要な部分を占めるアルファ線またはベータ放射線などの荷電粒子が、金属中において極めて限られた侵入深さを有することは技術的に重要である。すなわち、数μm程度の薄い金属層によって荷電粒子が停止されるため、これらの種の電離放射線の検出可能性が低下する。そのため、単純な直接検出器においてはブロックされてしまう電離放射線を検出することが可能な、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器が望ましく、その検出器においては金属または半金属は、存在しないか、存在しても電離放射線をほとんど吸収しない量で含まれる。
しかしながら、上記の記載が示すように、電離放射線の検出のための有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器の例がこれまでに開示されなかったことは明らかである。さらに、報告された現技術から、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器という概念そのものが、現在利用可能な技術的知識においては実現不可能であると認識されていることは明らかである。
したがって、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器を実現することは、電離放射線検出器の分野において大きな前進であり、そして、上述した未解決の課題および従来技術におけるいくつかの実際的な問題が解決される。
驚くべきことに、有機半導体が電離放射線のイントリンジックな直接検出器として使用可能であることが分かった。この発見は全く予想外である。その理由は、電離放射線の検出が、電離放射線と相互作用する金属/半金属の部品なしで起こり得るからである。
米国特許第7608836号明細書 米国特許第5171986号明細書 米国特許第4713198号明細書 米国特許出願公開第2010/0252741号明細書 米国特許出願公開第2004/0084626号明細書 米国特許出願公開第2009/0302226号明細書 米国特許出願公開第2010/0078570号明細書 米国特許第7186987号明細書 国際公開第2009/091646号 国際公開第2010/046904号
「Handbook on Radiation Probing, Gauging, Imaging and Analysis-Vol. II: Applications and Design(放射線のプロービング、測定、イメージング、および解析に関するハンドブック第II巻:応用および設計)」編著者:Esam M.A.、2003、Kluwer Dordrecht 「Industrial applications of X-ray diffraction(X線回折の産業的応用)」編著者:F. H. Chung、D. K. Smith、M. Dekker、ニューヨーク(米国)、2000 「Understanding X-Rays: A Synopsis of Radiology (X線を理解する:放射線医学概要)」編著者:F. van Gelderen,Springer-Verlag Berlin、2004 「Ionizing radiations detectors for medical imaging (医学用画像処理のための電離放射線検出器)」編著者:A. Del Guerra、World Scientific、シンガポール、2004 Hull, G.ら、IEEE Trans Nucl.Sci.56,899(2009) L. A. Andryushchenkoら、Instr Exp.Techniques, 2003, 46, 591 Keivanidis, P.ら、Appl.Phys.Lett.92 23304 (2008) Agostinelli, T.ら、Appl.Phys.Lett.93 203305 (2008) Newman, R.ら、Appl.Phys.Lett.91 142105 (2007) Atreya M.ら、Polym.Degrad.Stab. 65(1999)287 BerggrenらAdv.Mater. 19, 3201(2007) Capelli, R.ら、Nature Mater.9,496(2010) Roeling, E.らNature Mater.10 51-55(2011) Sekitani, T.らNature Mater. 9, 1015(2010) Jeon, K.M.,NSTI-Nanotech 2010 Technical Proceedings, 2010, 3, 712 Beckerle, P. ら、Nucl.Instr.Meth.Phys.Res.A 449 302(2000) Boroumand, F.ら、Appl.Phys.Lett.91 33509 (2007) Intaniwet, A. ら,J.Appl.Phys.106 64513(2008) Newman, R.ら(Appl.Phys.Lett.91 142105(2007) Keivanidis, P.ら、Appl.Phys.Lett.92, 23304(2008) Intaniwetら,Appl.Mater.Interf.,2010, 2, 1692 Y. Shenら、Chem.Phys.Chem.2004, 5, 16 Newman R.らAppl.Phys.Lett.91 142105, 2007 Keivanidis, P.ら、Appl.Phys.Lett.92, 23304(2008) Zuppiroliら(Int.J.Appl.Radiat.Isot.36 843, 1985)
本発明のために以下の定義を行う。
本明細書における全ての引例、具体的には特許および非特許文献のいずれも、その全体が本明細書中に援用される。
本発明において、「電離(イオン化)放射線」は、検出器に衝突の際にイオンを生成する放射線または荷電粒子を意味する。電離放射線の例としては、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線およびX線、電子、陽電子が挙げられる。本発明が対象とする周知の電離放射線の完全なリストは、「Handbook on Radiation Probing, Gauging, Imaging and Analysis-Vol.II: Applications and Design(放射線のプロービング、測定、イメージング、および解析に関するハンドブック第II巻:応用および設計)」、編著者:Esam M.A.、2003、Kluwer Dordrecht)で得ることができる。
「有機半導体」は、結晶(単結晶であっても多結晶であってもよい)、ポリマ、自己組織化された単分子膜もしくは多分子膜、または超分子の形態を有し、半導体としての特性を示す有機化合物である。本発明の目的上、用語「半導体」は、0.5eV〜6eVのバンドギャップを有する化合物を指す。
電離放射線に対する「単純な直接検出器」は、入射電離放射線が電気信号に直接変換されるデバイスである。
「イントリンジックな直接検出器」は、電離放射線と相互作用している材料と接触している材料またはその近傍の材料ではなく、電離放射線と相互作用しているその材料内で前記変換が起こる直接検出器である。
「間接検出器」は入射電離放射線が2つのステップのプロセスで検出されるデバイスである。第1のステップは、第1のデバイス(「シンチレータ」)によって実行され、ここで放射線は(直接電気信号に変換されるのではなく)光子に変換される。第2のステップは第2のデバイス(「フォトダイオード」)によって実行され、前記光子は電気信号に変換される。上述の2つのデバイスは、作動する完結した電離放射線間接検出器を得るために結合されなければならない。
本発明の目的は、有機半導体を基礎とする、電離放射線のイントリンジックな直接検出器を提供することであり、この検出器は、電極によって適切な信号処理回路に電気的に接続可能である。
本発明による検出器は電流を発生でき、この電流は、電離放射線と相互作用するその材料内において電離放射線を検出した結果生じるものである。この材料は有機半導体である。
本発明の別の目的は、電離放射線のイントリンジックな直接検出器を提供することであり、そのイントリンジックな直接検出器を適切な信号処理回路に接続する前記電極は、前述の説明において詳述されるように、有機体である。
本発明の別の目的は、電離放射線のイントリンジックな直接検出器を提供することであり、そのイントリンジックな直接検出器を適切な信号処理回路に接続する前記電極は、前述の説明におけるように、極薄(厚さ約1μm未満)の金属または半金属層である。
本発明の別の目的は、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、撓曲可能な、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である。
本発明の別の目的は、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、光学的に透明な、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である検出器を提供することであり、前記検出器は室温かつ大気雰囲気中で作動可能な、電離放射線の検出器である。
本発明の別の目的は、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である。前記イントリンジックな直接検出器は、高放射線量環境下においても、空気中の安定性、可逆性、線量に対する線形応答性、および(完全可逆的な)長期作動性を有し、さらに、数カ月作動しなかった後、または異なる種類の電離放射線および/もしくは高放射線の条件下での長期にわたる作動の後でも、再現可能な結果をもたらす。
本発明の別の目的は、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、数十から数千ボルトまでの広範囲にわたるバイアス電圧において、性能低下の徴候がほとんどなく作動可能である、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である。
本発明の別の目的は、何らカプセル化がなくとも作動可能な、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器であって、電離放射線の検出器を提供することである。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記直接検出器は有機単結晶である。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器に提供することであり、前記直接検出器は有機多結晶である。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、二次元(2D)または三次元(3D)構造を明確に示すことが可能であり、相互に作用する電離放射線に対する明確な2Dまたは3Dの異方性応答を可能にする。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、数十μmから数センチメートルまでの範囲においてサイズ調整可能である。
本発明の別の目的は、前述の説明で詳細に開示した前記検出器の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は基板上で直接成長可能である。
本発明の別の目的は、前述の説明で詳細に開示した、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、溶液成長によって成長可能である。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器である、電離放射線の検出器を提供することであり、前記検出器は、溶液成長によって成長された後に基板上に選択的に配置される。この基板には、電極が設けられても設けられなくてもよい。
本発明の別の目的は、有機半導体を基礎とする、電離放射線の上述のイントリンジックな直接検出器を1つ以上含む、機器または複合装置を提供することである。
本発明によって提供される電離放射線のイントリンジックな直接検出器は、従来技術の課題を解決して、複数の異なる利点をもたらす。この検出器の製造は、簡単であり、従来技術の無機のイントリンジックな直接検出器と比べてより経済的に行うことが可能である。さらに、この検出器の応答は、線形でかつ再現可能である。この検出器は、また、異方性応答をもたらすことが可能であり、そのため、入射光の方向を決定できる。この検出器の製造はより簡単であり、それは、極めて有利なことに、前記電気回路を備えたパターン基板上での溶液成長が可能なためである。検出器は、透明であってもよく、また、可撓性を有してもよい。検出器は、通常の条件、室温および気圧において作動する。検出器は、高放射線量環境下で安定であり、長期にわたって使用可能なデバイスである。他の効果は、前述の説明において明白であろう。
上記は全て本発明の特有の目的であり、図および実施例を参照して後述する。また、有機半導体材料による電離放射線の直接検出のイントリンジックな性質も、広範囲かつ徹底的に論証する。
以下の図を参照しつつ、本発明を説明する。
aは、有機半導体を基礎とする、電離放射線の単純な直接検出器の概略図であり、bは、有機半導体を基礎とする、電離放射線のイントリンジックな直接検出器の概略図である。 前記有機半導体による電離放射線(この場合、X線)に対するイントリンジックな検出応答を評価するために使用する、測定のセットアップであり、aは、X線を金属接点(B=金属配線、C=金属パッド)および検出デバイス(A)に照射するセットアップであり、bは、X線が検出デバイスAだけに照射され、金属接点(B=金属配線、C=金属パッド)は鉛(Pb)のシールド(D)によりX線から遮蔽されるセットアップである。 金属接点をX線照射から遮蔽したことによる、4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)単結晶に基づくX線検出器の応答に対する効果を示すもので、4HCB結晶を有する完結したデバイスにおけるX線照射に対する電気応答を示す図であって、前記結晶の平面軸に沿って非遮蔽の金属接点(図2のaに記載の測定のセットアップ)が配置された場合の図である。 金属接点をX線照射から遮蔽したことによる、4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)単結晶に基づくX線検出器の応答に対する効果を示すもので、4HCB結晶を有する完結したデバイスにおけるX線照射に対する電気応答を示す図であって、前記結晶の平面軸に沿って遮蔽された金属接点(図2のbに記載の測定のセットアップ)が配置された場合の図である。 金属接点をX線照射から遮蔽したことによる、4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)単結晶に基づくX線検出器の応答に対する効果を示すもので、4HCB結晶を有する完結したデバイスにおけるX線照射に対する電気応答を示す図であって、前記結晶の平面軸に沿って非遮蔽の有機導電性接点(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン:ポリ(スチレンスルホナート)、PEDOT:PSS、図2のaに記載の測定のセットアップ)が配置された場合の図である。 金属接点に対するX線照射の影響を示すもので、アクティブ4HCB有機結晶を有しない完結したデバイス(石英基板および電極)のX線照射下における電気応答ΔI(ION−IOFF)を示す図であって、X線に直接照射されるかまたはX線から遮蔽される、Cu導線およびW 3D チッププローブ(図中の挿入画を参照)に接続された電極についての応答が報告された図である。明らかなのは、金属接点を空気中でX線ビームに直接さらすことで、電気信号の出力が誘導されることである(Wチップでは、その3D構造によってより顕著に現れた)。 4HCBおよび1,8−ナフタレンジイミド(NTI)の結晶の外観および分子構造を示す図であって、a、b、c、dは、4HCB(a、b)およびNTI(c、d)の単結晶の光学顕微鏡写真(a、c)および分子構造(b、d)を示す図である。 デバイスのレイアウトを示す図であって、結晶の3つの方向a、bおよびcに沿った4HCB結晶上の電気オーム接点の概略的なレイアウトの図である。 X線応答を示す図であって、35keVのX線ビームを、前記3つの軸に沿ってオンとオフで切り替えた場合に調べた電流−電圧カーブのグラフである。遮蔽されたAg電極と接触した結晶からこのグラフは得られた。 デバイスのレイアウトを示す図であって、NTI結晶上の電気オーム接点の概略的なレイアウトの図である。 X線応答を示す図であって、35keVのX線ビームをオンとオフで切り替えた場合に結晶の主軸に沿って調べた電流−電圧カーブのグラフである。遮蔽されたAg電極と接触した結晶からこのグラフは得られた。 4HCB結晶の平面軸および垂直軸に沿って、X線によって誘導された正規化光電流(ION−IOFF)/IOFFの比較を示すグラフであり、X線検出において、低電圧でもその異方性応答および効率が良好であることを強調する図である。 種々の印加バイアス電圧において、4HCB結晶の平面方向(a軸)に沿ってX線ビーム照射を高速にオン/オフ繰り返した結果を示すグラフであって、高速かつヒステリシスのない応答と、ベース電流のドリフトが無視できる程度であることとを示す図である。NTIの結晶の切替え挙動は、4HCB結晶の切替え挙動と同様であるため示されていない。 種々のバイアスおよび低〜高線量率(線量速度)について4HCB結晶の応答の線形性および感度を示す図であって、4HCB結晶の平面軸に対して、種々のバイアス、およびnC/Gyで表される相対的な感度における、X線誘導による電流変動ΔΙ=(ION−IOFF)を報告する図である。ここで、X線誘導による正規化光電流には、前記結晶の異方性応答が表れる。報告されたデータは、石英基板に搭載された4HCB結晶上の遮蔽されたAg電極で得られた。 種々のバイアスおよび低〜高線量率(線量速度)について4HCB結晶の応答の線形性および感度を示す図であって、4HCB結晶の垂直軸に対して、種々のバイアス、およびnC/Gyで表される相対的な感度における、X線誘導による電流変動ΔΙ=(ION−IOFF)を報告する図である。ここで、X線誘導による正規化光電流には、前記結晶の異方性応答が表れる。報告されたデータは、石英基板に搭載された4HCB結晶上の遮蔽されたAg電極で得られた。 種々のバイアスおよび低〜高線量率(線量速度)について4HCB結晶の応答の線形性および感度を示す図であって、4HCB結晶の平面軸に対して、増加する線量率および種々のバイアスにおける、X線誘導による正規化光電流ΔΙ/IOFFを報告する図である。ここで、X線誘導による正規化光電流には、前記結晶の異方性応答が表れる。報告されたデータは、石英基板に搭載された4HCB結晶上の遮蔽されたAg電極で得られた。 種々のバイアスおよび低〜高線量率(線量速度)について4HCB結晶の応答の線形性および感度を示す図であって、4HCB結晶の垂直軸に対して、増加する線量率および種々のバイアスにおける、X線誘導による正規化光電流ΔΙ/IOFFを報告する図である。ここで、X線誘導による正規化光電流には、前記結晶の異方性応答が表れる。報告されたデータは、石英基板に搭載された4HCB結晶上の遮蔽されたAg電極で得られた。 有機電極を有する4HCB結晶の感度および応答線形性を示す図であって、4HCB結晶の垂直軸に対して、増加する線量率および種々のバイアスにおける、X線誘導による電流変化ΔΙ=ION−IOFFを報告する図である。報告されたデータは、PEDOT:PSS電極を有するデバイスであって、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上における全有機デバイスから得られた。 有機電極を有する4HCB結晶の感度および応答線形性を示す図であって、4HCB結晶の平面軸に対して、増加する線量率および種々のバイアスにおける、X線誘導による電流変化ΔΙ=ION−IOFFを報告する図である。報告されたデータは、PEDOT:PSS電極を有するデバイスであって、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上における全有機デバイスから得られた。 有機電極を有する4HCB結晶の感度および応答線形性を示す図であって、図8aと同一のデータを、応答の異方性を表すために、正規化して(ΔΙ/Ιとして)報告する図である。報告されたデータは、PEDOT:PSS電極を有するデバイスであって、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上における全有機デバイスから得られた。 有機電極を有する4HCB結晶の感度および応答線形性を示す図であって、図8bと同一のデータを、応答の異方性を表すために、正規化して(ΔΙ/Ιとして)報告する図である。報告されたデータは、PEDOT:PSS電極を有するデバイスであって、ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上における全有機デバイスから得られた。 4HCB結晶を高線量のX線にさらしたときのエージング挙動を示す図であって、遮蔽されたAg電極が設けられた4HCB結晶が垂直軸に沿ってX線ビーム照射をオン/オフで切り替えられて受けた際の切替応答を示すグラフである。グラフは、合計2.1kGyのX線量を照射する前(点線)と後(実線)の測定電流を示す。 4HCB結晶を高線量のX線にさらしたときのエージング挙動を示す図であって、遮蔽されたAg電極が設けられた4HCB結晶が平面軸に沿ってX線ビーム照射をオン/オフで切り替えられて受けた際の切替応答を示すグラフである。グラフは、合計2.1kGyのX線量を照射する前(点線)と後(実線)の測定電流を示す。 4HCB結晶を高線量のX線にさらしたときのエージング挙動を示す図であって、AgまたはPEDOT:PSS電極が接触する結晶に印加される、垂直軸に沿った種々のバイアス電圧に対する、X線誘導による電流変化ΔΙ=(ION−IOFF)を報告する図である。 4HCB結晶を高線量のX線にさらしたときのエージング挙動を示す図であって、AgまたはPEDOT:PSS電極が接触する結晶に印加される、平面軸に沿った種々のバイアス電圧に対する、X線誘導による電流変化ΔΙ=(ION−IOFF)を報告する図である。 4HCB結晶がアルファ粒子検出器として機能することを示す図であって、aは、総線量3.7mGyのアルファ粒子(白色の丸)、または総線量7.6mGyのアルファ粒子(黒色の三角)にさらさされる前と後の、遮蔽された金属電極を使用した場合の4HCB結晶の電流−電圧応答を示すグラフである。照射前の前記結晶の応答も報告されている(米印)。アルファ線照射によって誘導される測定電流が明らかな増加することを示す。bは、低〜高アルファ線量の関数として様々なバイアスでの前記検出器の線形性応答を示すグラフである。 4HCB結晶が高放射線量環境においても信頼性が高いX線検出器であることを示す図であって、総線量10mGyのアルファ粒子(実線)にさらし、そして、さらなる総線量2.1kGyのX線(点線)の照射の後、垂直軸に沿って、オン/オフされる35keVのX線ビームにさらされた4HCB結晶の切替応答を示す図である。図から分かるように、ΔΙ=(ION−IOFF)は、前記結晶が異なる電離放射線のそのような高線量にさらされたあとでさえも変化しない。前記デバイスは、Ag電極を有するCu上に構築された。 有効な4HCB有機結晶を有しない完結したデバイス構造体の電気応答と比較したときの、完結した全有機デバイス(4HCB+PEDOT:PSS+PDMS)のX線照射下における垂直および平面の構成の電気応答ΔΙ(ION−IOFF)を示す図である。
図1において、パネルa(印「a」)は、本発明の範囲に含まれない、有機半導体を基礎とする単純な直接検出器の作動を示し、パネルb(印「b」)は、本発明の範囲に含まれる、有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器の作動を示し、パネルaおよびbがいかに異なるかを示す。パネルaによれば、電離放射線が金属電極に衝突し、これらの間で相互作用が起きると、二次電子が発せられる。二次電子の一部は、前記有機半導体と相互作用する。電荷担体は前記有機半導体中で発生し、対電極に集められ、このようにして生成された電流は電気回路において測定される。パネルbによれば、前記電離放射線は前記有機半導体に衝突し、これらの間で相互作用が起きると、電荷担体が発生し、対電極に集められ、このようにして生成された電流は電気回路において測定される。
本発明による前記検出器が電離放射線のイントリンジックな直接検出器であることを証明するために、特定の実験を行った。
図2および3に示すように、前記半導体有機材料を使用する、本発明による第1の検出器を作製した。図2のaは、検出デバイス(A)を示す。前記検出デバイス(A)は、前記有機材料と、金属電極として作用する金属パッド(C)と、前記検出器を測定回路(図示せず)に接続する金属導線(B)とから構成される。図2のbは、aと同一のアセンブリを示す。ただし、前記金属パッド(C)は入射電離放射線(図では、例としてX線ビームを示す)から遮蔽される。
図3a〜3cを参照して、ここでは4HCB単結晶から作製されるイントリンジックな直接検出器の例示的実施形態が示される。これら図から、金属電極(パッド)がX線に直接さらされた場合は、有機結晶がなくとも電気信号を出力可能であることが認められる。ただし、これらの信号は、有機結晶によって得られる信号よりもいずれにしても小さい。前記金属接点(パッド)が遮蔽されると、この効果はほぼ完全になくなる。この知見は、電離放射線にさらされる金属電極(パッド)を有する、有機半導体を基礎とする最新技術の直接検出器が、「単純な直接検出器」であり、本発明において開示される「イントリンジックな直接検出器」ではないという発明者の知見を確証する。詳細は実施例7に示され、これは本発明の1つの例示的実施形態に対するものであるが、本実施例で提示された結果は、本願明細書において開示される本発明の全範囲にまで正当に適用される。
同様に、図4には、X線放射にさらされる、4HCB単結晶で構成された検出器の例示的実施形態が示されている。金属パッドが電離放射線に直接さらされた場合、電離放射線と前記金属パッドとの相互作用によって、前記検出器の応答がいくらか「ドープされている」ことを本発明は証明する。本発明による、有機半導体で構成されるイントリンジックな直接検出器の有機電極を使用して得られた応答は、保護された金属パッドを使用する検出器の応答と同等である。その理由は、電離放射線との相互作用の際に、有機電極が金属/半金属の電極よりも極めて少ない量の二次電子を発するからである。これは、本発明による前記検出器のイントリンジックな応答を示す。この考察は、実施例7にてよって詳細に説明される。
図6および実施例9の例示的実施形態に示すように、本発明による前記検出器は、有利な異方性特性を示す。本発明によって提供される前記検出器の他の有利な特性は、その応答線形性である。図7の例示的実施形態に示すように、前記線形性応答は、遮蔽された金属パッドを有しても示される。平面軸および垂直軸の間の応答の異方性も示される。さらなる詳細は、実施例8において示される。同一の線形性および異方性応答が図8に示され、実施例11により詳細に示されているように、有機パッドを有しても示される。図3、4および5、8および9を組み合わせることで、本発明において開示される前記検出器が電離放射線のイントリンジックな直接検出器であることを証明する。図9は、金属および有機パッドについて、時間が経過しても再現可能な応答を示すことを証拠する。オン/オフ動作の繰り返しサイクルが行われた後に、ヒステリシスが本発明の前記検出器の性能に影響を与えることはない。これは、本発明の前記検出器が、1ヵ月作動した後にさえ、また過酷な作動条件においても、信頼性が高いことを示す。詳細は、実施例12において示される。
本発明の前記検出器の信頼性は、アルファ粒子(図10、実施例13)を用いた別の例示的実施形態においても示される。図11および実施例14に示すように、前記検出器は、例えば、X線とアルファ粒子の両方にさらされた後のように高放射線条件においてさえも信頼性が高い。
さらなる利点は極めて低い暗電流であり、これは図12において証明される。
図に対する参照は全て、例示的実施形態および非限定の実施例に対するものであると理解されたい。当業者であれば、本願明細書に記載されている特性は、本発明の、有機半導体から作製される、電離放射線の前記イントリンジックな直接検出器の全てに対して包括化されることが容易に理解できる。
本発明によれば、前記有機半導体は、複数の異なる実現可能な化学基を含んでもよい。化学基の例としては、オルト−、メタ−、またはパラ−二置換ベンゼン(例えば4−ヒドロキシシアノベンゼンなど)からなる基、縮合芳香族炭化水素類(1,8−ナフタレンジイミド、2,4−ジニトロナフタレン−1−オル、9,10−アントラセンジカルボン酸、または3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(別名アリザリンレッドS)など)、アゾベンゼン類(アゾベンゼン、2−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(別名メチルレッド)など)、共役分子(例えばβ−カロチンなど)がある。前記化学基は、包括化すると、溶媒中または溶媒の組合せ中において溶解可能であり、溶媒/溶媒の混合物が蒸発するか、または自然な固結(結晶化もしくはフィルム形成など)により、一体化して固体状態を呈する任意の分子材料またはポリマ共役材料(単結晶もしくは多結晶、ポリマフィルム、自己組織化単分子膜など)である。使用可能な有機半導体の完全なリストは、「Organic Electronic Materials - Conjugated Polymers and Low Molecular Weight Organic Solids(有機電気材料―共役ポリマおよび低分子有機固体)」、Springer Series in Materials Science、Farchioni, R.、Grosso, G.(編著)第41巻、2001、Springer-Verlag Berlinにて参照可能である。
これらの基が選択されたのは、全く異なる分子構造および充填配置(packing arrangements)を有するためである。これによって、本明細書に記載されている特性が、多くの異なる、有機半導体の基にいかに共通であるかが、強調され評価される。
本発明の好ましい実施形態において、前記イントリンジックな直接検出器は、有機単結晶または有機多結晶から作製される。
本発明の好ましい実施形態において、前記検出器は、4−ヒドロキシシアノベンゼンまたは1,8−ナフタレンジイミドからなる、半導体単結晶または半導体多結晶から作製される。
本発明の実施形態において、前記検出器は、平層の形態または任意の手段で画定されるパターンの形態で、極薄の(厚さ約1μm未満の)金属または半金属から作製される少なくとも1つの電極を備えてもよい。また、前記電極の構成材料としては、複数の他の異なる無機材料(例えばドープされた無機半導体、セラミック系導体、導電酸化物など)が考えられるが、これら構成材料は、入射電離放射線との相互作用が確認できる程度に要する厚さよりも小さい厚さを有する(1μm以下の厚さを有する)ことが条件である。当業者であれば、層の正確な厚さは、電離放射線に対する材料の吸収係数に依存し、容易に算出可能であることが分かるであろう(例えばhttp//www.nist.gov/pml/data/xcom/index.cfmを参照)。
電気接点を電極の形態にするのに適した任意の金属または半金属が使用可能である。当業者であれば、前記特定の目的のための適切な金属を選ぶことができる。メンデレーエフの周期表によると、アルカリ金属は、Li、Na、K、Cs、Rb、Fr(IA族)である。アルカリ土類金属は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra(IIA族)である。中間(inner)の遷移金属(ランタニドおよびアクチニド)は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、Lr(IIIA族、ランタニドおよびアクチニド)である。遷移金属は、Ti、Zr、Hf(IVA族)、V、Nb、Ta(VA族)、Cr、Mo、W(VIA族)、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt(VIIIA族)、Cu、Ag、Au(IB族)、Cd、Hg(IIB族)である。金属は、Al、Ga、In、TI(IIIB族)、Sn、Pb(IVB族)である。半金属、メタロイドは、Si、Ge、As、Sb、Te、Poである。前記極薄の電極に対して好適な金属または半金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ドープされたシリコン(Si)からなる群から選択されてもよい。上記リストの元素を用いた、伝導性化合物、半伝導性化合物、および合金は、例えばインジウムすず酸化物、フッ素すず酸化物などのように、一旦それらが電極材料として適切であることが分かれば、本発明の趣旨に含まれる。
本発明のさらなる実施形態では、前記検出器は、少なくとも1つの有機電極を備える。前記有機電極は、平層の形態または任意の手段で画定されるパターン形態で、導電性ポリマ混合物、導電性ポリマ、ドープされた半導体ポリマおよび/もしくはドープされた半導体分子、カーボンナノチューブ、フラーレンおよび/もしくはその誘導体、グラファイト、グラフェンおよび/もしくはその誘導体(例えば酸化グラフェン)、有機導電電荷移動塩類を含んでもよい。
有機電極に好適な材料の例としては、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレン−ビニレン)のドープ誘導体、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のドープ誘導体、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラフェン酸化物が挙げられる。
本発明の別の実施形態において、前記検出器は、複数の異なる有機半導体を備えてもよく、これら複数の有機半導体は、互いに同一の材料からなるものでも、異なる材料からなるものであってもよく、単一の基板上に集積される。
本発明のさらに別の構成によれば、有機半導体を基礎とする、電離放射線のイントリンジックな直接検出器を製造する方法が提供される。
基板上での有機半導体の成長には、多くの異なる周知の方法が採用可能である。
本発明による第1の方法は、以下の工程を含む:
a.有機半導体の溶液を基板上に載置させる工程、
b.前記溶液を蒸発させる工程、および
c.得られた前記有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程。
本発明による第2の方法は、以下の工程を含む:
a.有機半導体の溶液をパターン基板上に載置させる工程、および
b.前記溶液を蒸発させる工程。
種々の実施形態を考慮して、工程a)における溶液の前記載置は、インクジェット印刷法、ドロップキャスティング法、スプレー塗布法、パッド印刷法、電子スプレー法、ドクターブレード法、およびディップコーティング法からなる群から選択される方法によって行われる。
本発明による第3の方法は、以下の工程を含む:
a.有機半導体をその溶液から成長させる工程、
b.前記溶液を蒸発させる工程、
c.前記有機半導体を基板上に載置させる工程、および
d.前記有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程。
本発明による第4の方法は、以下の工程を含む:
a.有機半導体をその溶液から成長させる工程、
b.前記溶液を蒸発させる工程、
c.前記有機半導体をパターン基板上に載置すする工程。
ここで、単結晶(mono/single crystal)または多結晶(以下、これらを単に「結晶」と称する)の成長のための方法を記載する。しかし、本発明は結晶の使用に限定されず、ポリマ、単層もしくは複層、または、好都合な場合には、ここでの半導体有機材料の定義に従って半導体性があるならば、有機材料を備えた種々の固体相の集まりを使用できる。
本発明の例示的実施形態として、溶液成長の有機単結晶および有機多結晶のための方法が提供される。しかし、本発明はこの実施形態に限定されるわけではない。なぜなら、ここでの教示は本発明の全範囲にまで容易に広げることができるからである。
一般に、本発明の前記方法は、結晶化される有機化合物を適切な量の、溶媒または混合溶媒に溶解する工程を含む。得られた溶液は、不要な粒子を除去するために随意に濾過された後、容器に注入される。前記溶媒の蒸発は、有機半導性結晶の形成を可能にするように、所望の蒸発速度でサーモスタットにより温度制御された環境において実行される。前記溶媒または混合溶媒の蒸発速度は、システムの温度および圧力を調整することによって、または蒸発気体の抜け穴の直径を調整することによって制御される。これらの調整は、前記結晶構造(すなわち結晶のパターン)の規則正しい形成を保証しやすい前記蒸発速度を維持するために行われ、これにより、欠陥のない結晶を得る。また、蒸発速度を抑制する閉容器や壁面を用いず、基板上に直接溶液を堆積することによって、蒸発速度が最大化されてもよい。この場合、前記有機半導体から作製される、単結晶、多結晶、フィルム、繊維またはその他の構造体が形成される。
別の実施形態では、前記有機半導体は、適切な基板上に溶液成長可能である。例えば、最終的なデバイスの動作を保証するのに適した電気導体パターンが設けられた基板が、容器の底面に供給される。このパターンは、極薄の金属層によって、または有機導体によって構成されてもよい。
前記方法は、導電性電極でパターンが形成されていてもよい基板に前記溶液を載置させる工程(または、換言すると、印刷する工程)を含んでもよい。これを行う手段は、送達溶液の位置および量が正確になるように基板上に溶液を送達することが可能な任意の技術である。その例として、インクジェット印刷法、スプレー塗布法、ドロップキャスティング法、パッド印刷法、ディップコーティング法、およびドクターブレード法などが挙げられる。これらの技術は、「Handbook of Print Media Technologies and Production Methods(印刷媒体技術および製造方法のハンドブック)」、Helmut Kipphan(編著)、Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2001に十分に記載されている。
前記溶媒は、エーテル類(例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、およびイソプロピルエチルエーテルなどの非環状エーテル、または、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなどの環状エーテル)、炭化水素類(石油エーテルおよびヘプタンなどの非環状脂肪族化合物、シクロヘキサンおよびシクロペンタンなどの環状脂肪族化合物、ならびに、トルエンおよびエチルベンゼンなどの芳香族化合物)、アルコール類(エタノールおよびイソプロパノールなどの非環状アルコール、シクロペンタノールおよびシクロブタノールなどの環状アルコール)、ケトン類(アセトンなどの非環状ケトン、またはシクロヘキサノンなどの環状ケトン)、カルボン酸類(酢酸およびギ酸など)、無水物(無水酢酸など)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、ハロゲン化溶媒(クロロホルムおよびトリクロロエチレンなど)、ならびに水からなる群から選択されてもよい。使用可能な溶媒の全リストは、「Handbook of organic solvent properties(有機溶媒特性のハンドブック)」Ian M. Smallwood(編著)、1996、Arnoldに含まれる。上記の列挙されたおよび/または考察された溶媒のうちの2つ以上のいかなる組合せも、使用可能である。前記溶媒/混合溶媒は、溶液載置のために使用する器材の部品や部分を損傷しないように選択される。
前記溶媒は、この分野の一般知識に従って、すなわち前記有機半導体の化学性質に従って、かつ所望の最終的な固体の形態(単結晶、多結晶、フィルム、繊維またはその他の構造)に従って選択される。前記溶媒の選択のさらなる基準としては、その溶媒が、結晶成長のための基板として使用可能であるガラス、プラスチック箔、またはその他の物質などの材料に損傷を与えないことである。
前記結晶を溶媒(または混合溶媒)中に生成するための前記有機材料の濃度は、好ましくは1〜30mg/lであり、より好ましくは3〜20mg/lである。
好ましくは、前記蒸発は、制御された圧力および温度において実行されてもよい。
本発明において開示される前記検出器の前記製造方法のさらなる実施形態によれば、前記有機半導体はパターン基板上で溶液成長される。これにより、適切な電気回路、または少なくとも前記電気回路との接続のための前記電気接点を、前記検出器に設ける。前記溶媒/混合溶媒の蒸発速度を低減させるために、前記基板を、例えばペルティエ素子、コールドフィンガなどの適切な手段によって冷却してもよい。前記冷却は、蒸発速度を制御する閉容器の使用と併用されてもされなくてもよい。前記基板を蓋で閉じられる容器内に配置してもよい。これにより、蒸発速度を制御できる。前記溶媒/混合溶媒の蒸発速度は、最長48時間での前記溶媒の完全な蒸発が保証されるように選択されてもよい。より好ましくは、前記蒸発速度は、最長24時間での溶媒の完全な蒸発を得るために選択されてもよい。好ましくは、前記制御圧力は環境圧力に等しい。代わりに、前記制御圧力は、環境圧力よりもわずかに小さいか、または、環境圧力よりもわずかに大きくてもよい。その他の実施形態において、前記制御された蒸発が起こる場所の圧力を制御する代わりに温度を制御してもよく、または温度の代わりに圧力を制御してもよい。前記基板が結晶によって被覆された後、前記容器から取り出される。
本発明のさらなる実施形態において、既に存在する電極に対応するように前記有機半導体が結晶化されることを可能とする、化学的または物理的な処理を前記基板に対して行ってもよく、この処理を当業者ならば理解するであろう。上述した処理としては、真空下または任意の所望のガスの存在下でのプラズマ処理、真空下または任意の所望のガスの存在下での紫外線処理、機械的な摩耗または研磨、酸または塩基による化学的エッチング、および自己組織化単分子層の堆積が挙げられる。
前記パターン化された基板上に直接的に結晶を成長させる代替方法は、上記溶液のうちの任意の1つの溶液の1滴を直接基板上に付着させる工程を含む。この基板は、パターン化されてもいなくてもよい。この場合、溶媒または混合溶媒の沸点は、好ましくは30℃よりも高く、より好ましくは40℃よりも高い。
全く予想外に、上述のように従来技術の予想に反して、本発明による前記検出器は有機接点を有しても作動できる。
有機電極を用いることで、製造方法がより容易でより安価となる、というさらなる効果が予見される。
さらに、有機電極の使用によって、可撓性を有し、かつ/または透明である検出器が可能となる。これにより、湾曲表面もしくは不規則な表面に対応可能な検出器、シースルー検出器、またはこれらの特性の両方を有する検出器を得ることができる。さらに、透明かつ/または可撓性を有する基板が用いられてもよい。したがって、本発明による前記検出器は、可撓性を有する形態で、かつ/または光学的に透明であり得る。
本発明による溶液成長された前記有機半導体は、その辺(10μmから数mmまで)およびその厚さ(約10μmから最大約4mm)に関して寸法調整可能である。
本発明の前記イントリンジックな直接検出器は、安定かつ再現可能な異方性の電子輸送特性を備える。
本発明の前記イントリンジックな直接検出器は信頼性が高く再現可能な検出器であり、室温および環境的な条件で(すなわち、大気圧および大気組成で、かつ自然光もしくは人工光の下で)作動可能である。ただし、これらはまた、環境的に制御された条件でも(例えば、制御された雰囲気において、または室温よりも高くもしくは低く制御された温度で)作動可能である。
本発明によれば、前記有機半導体は、異なる種類の電離放射線および粒子に対してイントリンジックな直接検出器として使用可能である。例えば、前記有機半導体は、X線およびアルファ粒子の検出のためと同時にガンマ放射線および中性子放射線のためにも使用可能である。そして、前記電離放射線のイントリンジックな直接検出を、高感度で実行できることが示された。
本発明の好ましい実施形態において、前記イントリンジックな直接検出器は、4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)もしくは1,8ナフタレンジイミド(NTI)の単結晶または4HCBの多結晶を成分として含み、X線から電流への高い直接変換効率を示した。
本発明の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器は、環境光下、室温で、空気中において作動する。そのため、それらは、特別な作動条件を必要とせず、作動経費が削減できる。
さらに、本発明の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器で得られた結果は、多くのサンプルを通じて再現性が良好である。そのため、極めて信頼性が高い検出器が得られる。
さらに、本発明の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器は、線形性応答を示す。そのため、入力信号と出力信号の相関に関する付加的な補正作業を必要とせずに、検出放射線量についての定量的情報を提供するように簡単に用いられる。
本発明の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器は、特別に安価な製作コストを維持しつつ、大量生産スケールで容易に作製可能である。
前記有機半導体を適切に選択することによって、特定の波長範囲の電離放射線の検出のために最適化された、異なるイントリンジックな直接検出器を得ることが可能である。電離放射線の検出器の分野の当業者であれば、上記に開示される有機半導体の範囲の中で、または独創的な創作能力を発揮せずとも別の有機半導体を選択して、この選択を容易に行うことができる。
例えば、ホウ素含有分子、リン含有分子、シリコン含有分子、およびゲルマニウム含有分子など有機金属系分子が用いられてもよい。前記有機半導体を成長させるのに用いられる有機金属分子のリストとして、より完全な(ただし全て網羅されているわけではない)リストが、「Organometallic Chemistry and Catalysis(有機金属化学および触媒反応)」Didier Astruc(編著)Springer Verlag Berlin Heidelberg 2007に含まれており、その全内容は、その全体を参照して本明細書に導入される。
複数の異なる有機半導体を単一の基板上に搭載するかまたは基板上で成長させてもよい。これにより、単一デバイス内で、電離放射線の種々のエネルギーまたは種々の電離放射線に対して感度を有する検出器が可能となる。
これにより、本発明の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器は、単一のデバイス上で同時に複数の種類の放射線の検出が可能である。複数の種類の放射線としては、例えばアルファ放射線およびX線放射線、ならびにアルファ放射線および中性子放射線などが挙げられる。
本発明の知見は、医学的な検査のため、空港におけるセキュリティ・チェックのため、放射能汚染もしくは放射能漏れの検出のために用いられる、X線検出器もしくは包括的には放射線装置(放射線検査機器もしくは放射線装置としても意図される)の製造、または製品品質を点検する産業設備において用いられる制御装置の製造において、有利に適用される。
本発明は、例えば、飲料のための殺菌装置および医療装置などの放射線装置の製造、またはX線断層撮影および結晶学などにおける科学的機器の製造においても、有利に適用される。
有機半導体から成長した単結晶において発見された、検出応答の異方性によって、放射線が入射方向を識別できるイントリンジックな直接検出器の製造が可能である。この点に関し、本発明の特定の好ましい実施形態は、検出器を提供し、前記検出器は、前記有機半導体が4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)単結晶であり、複数の電極が前記結晶上に配置され、前記結晶がさらされる電離放射線に対して、二次元または三次元の異方性応答の検出を可能にする、幾何学的レイアウトを有する。前記幾何学的レイアウトは、当業者によって決定可能である。
<好ましい実施形態の説明>
好ましい実施形態において、前記有機半導体は単結晶である。別の好ましい実施形態において、前記有機半導体は多結晶である。
好ましい第1の実施形態において、4−ヒドロキシシアノベンゼン(4HCB)が前記有機半導体として用いられる。この材料を用いた場合、好適な溶媒はエチルエーテルであり、別の好適な溶媒はトルエンであり、さらに好適な混合溶媒は9:1(v/v)のエチルエーテル:石油エーテル(60℃)であり、またさらに好適な混合溶媒の組成として例えば、9.5:0.5のエチルエーテル:トルエンが用いられてもよく、別の好適な組成は、0.5:0.45:0.05(v/v)のエチルエーテル:テトラヒドロフラン:トルエンである。なお、ここに定義される異なる溶媒間の比率は例示に過ぎず、当業者であれば認識するように、選択された成長条件(温度、圧力)および選択された有機半導体に応じて変更されてもよい。当業者であれば理解するように、得られる結晶の幾何学的な特徴(長さ、幅、厚さ)に応じて、その他の溶媒またはその他の混合溶媒が用いられても良い。
4HCBの例示的実施形態において、サーモスタットで温度制御された環境の温度は、好ましくは25℃未満であり、より好ましくは10℃未満である。当業者であれば、本発明のイントリンジックな直接検出器の製造に用いられるその他の有機半導体の条件を、前記有機半導体の物理化学的な周知の特性を考慮に入れることによって、決定可能である。これら周知の特性は、例えば、前記適切な溶媒中における可溶性または不溶性、および前記成長温度および成長圧力で用いられる前記溶媒または混合溶媒の蒸発速度などである。
以下の実施例が本発明をさらに例示する。
<電気的測定>
ここで報告される全ての電気的測定は、空気中、室温および環境光の下で、Keithley Source-Meters2400およびElectrometers6175Aを用いて行われた。4HCB上のオーム接点は、銀を成分とするエポキシ(Epo−Tek E415G)を用いて、またはPDMSスタンプ印刷法によるPEDOT:PSSで作成された。
<X線およびアルファ粒子の照射>
全ての測定は、室温で開放環境において行われた。我々は、24〜170mGy/sの間で安定したX線線量率を誘起するために、5mA〜35mAの間の電流で35kVにおいて作動される、Mo陽極を有するX線管を使用した。
X線に関しては、吸収横断面が分かっている4HCB単結晶の空気中での線量率がD=170(15)mGy/s(35mAにおいて)に変換される。したがって、600μmの厚さの典型的な結晶内で、衝突する光子の約5%が当該結晶に吸収されると推定できる。
アルファ粒子照射は、0.4μGy/sの平均線量を送達する、241Am源(5.4MeV)を用いて行なわれた。
<実施例1:パターン基板上において溶液成長した4HCB単結晶の調製>
調製において、約40mgの4HCBを、約10mlのエチルエーテルに溶解した。
得られた溶液を、濾過し、導電トレースを有するパターン基板が底に配置されたビーカに注入する。その後、前記ビーカを適切な蓋で閉じて、前記閉蓋されたビーカを、6℃にサーモスタットで調温した部屋に置く。48時間後に前記溶媒は完全に蒸発し、前記基板は4HCBの結晶によって被覆される。
前記ビーカをサーモスタットで調温した部屋から取り出し、前記4HCB結晶によって被覆された前記基板をビーカから取り出す。前記基板に予め画定された導電性パターンにより既に電気的に接続されている、得られた結晶を、有効なデバイスを形成するために用いる。
<実施例2:溶液成長した4HCB単結晶の調製>
さらなる調製において、約40mgの4HCBを、10mlのエチルエーテル/トルエンの9.5:0.5(v/v)混合溶媒に溶解する。得られた溶液を、実施例1において開示したように処理する。
<実施例3:溶液成長した4HCB単結晶の調製>
さらなる調製において、約40mgの4HCBを、10mlのエーテル:テトラヒドロフラン:トルエンの0.5:0.45:0.05(v/v)混合溶媒に溶解する。得られた溶液を、その後、実施例1において開示したように処理する。
<実施例4:溶液成長した4HCBの多結晶の調製>
さらなる調製において、室温および環境圧力下で、エーテル(10ml)中の4HCB(40mg)の溶液を、マイクロピペットによって、導電トレースのパターンが形成された基板上に載置した。前記基板に予め画定された導電性パターンに既に電気的に接続されている、得られた多結晶を、有効なデバイスを形成するために用いる。
<実施例5:溶液成長したNTI単結晶の調製>
NTIの結晶の作成のために、購入したままの状態の20mgのNTI粉末(Aldrich)を30mlのCHCIに溶解した。前記溶液を250mLのビーカに入れて、前記ビーカを適切な蓋で被覆し、48時間フードの下側に置いた。その間に前記溶媒は完全に蒸発した。その後、へらを用いて針状の前記結晶を前記ビーカの底から取り出した。
<実施例6:予め精製された結晶からの、溶液成長した4HCBの自立単結晶の調製>
典型的な調製により、予め精製された(A. Fraleoni-Morgeraら、J.Crystal Growth 2010, 312, 3466)4HCB結晶(30mg)を、250mlのビーカ中において10mlのエチルエーテル(高純度)に溶解した。前記ビーカはアルミニウム箔で被覆され、6℃の、通気孔が形成された冷蔵庫に入れられ、低速度での溶媒の蒸発を行い、前記蒸発は48時間以内に完了した。このように得られた単結晶は、へらを用いて慎重に前記ビーカの底から取り出され、回収された。
<実施例7:有機半導体のイントリンジック性および応答の線形性の評価>
図2に示される前記セットアップで搭載された4HCB単結晶を基礎とする検出器の応答を測定した。
前記デバイスが遮蔽されていない金属電極(図2のaのセットアップ)を備える場合、応答はより大きく(図3a)、約8.5nAに達した。さらに、遮蔽された金属電極(図2のbのセットアップ)を有するデバイスと、有機導電性電極を有するデバイスとの応答はほぼ同程度であり、最大で7nA(図3b(遮蔽された金属)、3c(有機導電性電極))に達した。これらの知見は、試験されたバイアスのそれぞれで確認された。そして、3つの測定された応答の間の比較は、遮蔽されていない金属電極を有するデバイスの電流が常に、遮蔽された金属電極または有機電極を有するデバイスの電流より少なくとも20%大きいことを明白に示す。したがって、デバイス応答に金属電極(または金属基板(なぜなら、金属基板に載置された4HCB結晶と、遮蔽されていない金属電極と接触し石英基板に載置された結晶とにおいて同程度の電流が観察されているため))が強く作用していることが指摘される。
図4は、前記有機半導体検出デバイスAを有しないが、図2のように構成したデバイスのX線照射の下での電気応答ΔI(ION−IOFF)を示す。前記応答は、X線ビームを直接受けるように配置された、またはX線ビームから遮蔽された、Cu導線および三次元(3D)Wチッププローブに接続された電極について報告された。金属接点を空気中でいかなる程度直接的にX線ビームにさらすことが電気信号の出力を誘導するかが、図2のaの検出デバイスAを石英で置換しても、明白である。石英は完全な電気絶縁体であることが公知な材料であるため、図(赤で塗りつぶされた正方形(■)のカーブおよび中抜きの赤い三角形(△)のカーブ)から明らかなように、石英はX線照射下のデバイスによって検出される電流の源ではあり得ない。そのため、電流は他の起源から発生する。これに対して、石英スライドを常に前記検出デバイスAとして使用するが、図2のb(すなわち、電極/3DチップをX線から遮蔽する)の前記セットアップを使用した場合、電流はほとんど記録されない。これは、前の実験において検出された電流が前記金属電極にX線を照射したために生じたことを明白に示す。そして、金属電極へのX線の照射は、金属に対してX線が有する光電効果から生じる二次光電子を経て、空気の電離を発生させる可能性がある。この効果は前記電極Bが3Dタングステン(W)チップによって構成されると顕著であり、前記金属導線が単純な2次元銅(Cu)電極によって構成されるとあまり顕著ではないが、それでも明らかである。この理由は、2D電極に対して、3Dチップの方がより大きい表面がX線にさらされるためである。興味深いことに、前記金属電極が遮蔽されないときの電流(約1〜2nA)は、遮蔽されない金属電極(図3a)を有する完結したデバイス(すなわち、有機半導体4HCB単結晶を用いるデバイス)で検出される電流と、遮蔽された金属電極または有機電極(それぞれ図3bおよび3c)を有する完結したデバイスで検出される電流との違いとほぼ等しい。
上記実験から、前記有機半導体4HCB結晶の応答がイントリンジックであることが明白である。また、前記有機半導体に適用される、電離放射線によって照射される金属電極が、最終的なデバイスの応答に強く寄与することが明白である。この寄与度は、電極の種類と幾何学配置(geometry)/形状(shape)に依存する。これは、金属接点を用いる、有機半導体を基礎とする直接検出器の検出応答に多大な不確実性を引き起こす。ただし、前記金属接点が電離放射線に直接さらされる事を回避するように、前記金属接点が正確に配置されるか、または入射放射線との相互作用が確認できないほど、前記金属接点が極薄である(ほぼ1μm未満)場合には該当しない。
<実施例8:石英基板上に4HCB結晶および金属電極が作成された、電離放射線の検出器の応答>
4HCB単結晶を石英基板に載置し、これらを、X線ビーム(図2のbにおけるように)からシールドされるように適切に遮蔽される金属電極と接触させ、35kVのX線線量を照射した。これらの条件において、2つの平面軸a、bに沿って測定したバルク電流(IOFF)はほぼ同じであった。そのため、以下の記載において我々は、軸a、bを区別することなく「垂直」軸および「平面」軸のみとして参照する。
図7において、X線誘導電流変動ΔΙ=(ION−IOFF)(図7a,7b)および正規化されたX線誘導光電流ΔΙ/IOFF(図7c、7d)が、4HCB結晶の平面軸および垂直軸に対して、それぞれ低〜高線量率および種々のバイアスにおいて報告される。正規化されたX線誘導光電流は、前記結晶の異方性応答を表わす。
図7および8は、金属電極または有機電極を有するデバイスについて、平面方向および垂直方向に沿って、種々の電圧に対して24mGy/sから170mGy/sの範囲の線量率での光電流ΔΙ=(ION−IOFF)を示す。両軸について表わされた2つの注目すべき特性は、i)測定したバイアスにおける、低〜高X線線量率に対する結晶の線形性応答、およびii)デバイスを50Vの低いバイアス電圧で駆動できることである。
S=(ION−IOFF)/(線量率)として定められ、図7aにおいて報告される、前記材料の感度は400Vで0.05nC/mGyであり、これはシリコン検出器の感度(約0.14nC/mGy)に比べて1/3に過ぎない。特に、結晶中の異方性輸送を、異なる接触構成を用いて測定した。具体的には、銀エポキシおよびPEDOT:PSSである。PEDOT:PSSをマイクロ接触プリント法によって載置した。金属電極で作成したデバイスと比較した場合、測定された低いバルク電流によって、前記デバイスの相対的な感度を3倍大きくすることが可能になった(図7および8を参照)。
<実施例9:Cu基板上に4HCB有機半導体を用いて作成された電離放射線検出器>
前記有機半導体4HCBに基づくX線のイントリンジックな直接検出器のレイアウトを、図6aにおいて示す。図6eは、平面軸および垂直軸に対する、正規化された光電流に関するX線照射の効果、すなわち(ION−IOFF)/IOFFを示す。
電圧の関数として測定されて記録される光電流は、X線ビームがオンのときに顕著かつ再現可能に増加する。図6fから明らかなように、X線ビームを反復してオン・オフした後でも、ヒステリシスの影響の徴候がない。図6fにおいて、異なるバイアス電圧における、平面軸に沿ったオン・オフ挙動が報告されている(同じ挙動が、垂直軸でも観察される)。100ms(機器の測定限界)よりも短い、極めて速い応答時間も注目に値する。図6cに4HCBの単結晶のX線照射に対する応答が示され、応答の顕著な異方性が発見された。
<実施例10:金属(Cu)基板上にNTI結晶が作成された電離放射線検出器>
前記有機半導体NTIを基礎とする、X線のイントリンジックな直接検出器のレイアウトを図6bに示す。図6cにおいて、NTI単結晶のX線照射に対する応答が示され、ヒステリシスを確認できないことが明らかである。
<実施例11:有機(PDMS)基板上に、4HCB結晶および有機電極が作成された(全有機デバイス)、電離放射線検出器>
図8において、X線誘導電流変動ΔΙ=(ION−IOFF)(図8a,8b)および、正規化されたX線誘導光電流ΔΙ/IOFF(図8c、8d)が、4HCB結晶の平面軸および垂直軸に対して、それぞれ低〜高線量率および異なるバイアスにおいて報告される。正規化されたX線誘導光電流は、前記結晶の異方性応答を表わす。報告されたデータを、PEDOT:PSS電極を有しPDMS基板上に作成された全有機デバイスについて得た。図8において、有機電極を有し有機基板上に作製された4HCB単結晶を基礎とする別のデバイスの応答が、種々の作動バイアスについて報告される。図8のデータと比較して分かるように、前記デバイスは良好に再現可能な異方性応答を有する。4HCB結晶がなく有機電極のみにX線照射されて得られた曲線(黒点)は、金属接点とは異なり、有機導電性接点が、いかなる関連信号も導かないことを示す。一般に、全有機デバイス構造が、電離放射線の検出器の設計の自由度を増す。
<実施例12:エージング耐性および異方性の放射線検出器>
X線を受ける4HCB結晶の耐放射性を評価するために、実施例1および2に従って調整され、同等の電気輸送特性を有する10個の結晶を、2.1kGyの累積的な線量にさらした。そして、オン/オフ切替えされるX線ビーム(線量率170mGy/s)におけるこれら結晶の電気応答を調べた。図9は、垂直軸(図9a)および平面軸(図9b)に沿って、1つの結晶を総累積線量2.1kGyにさらす前後で得られた結果を示す。ここで、垂直軸および平面軸に沿ったバルク電流IOFFはほぼ等しい。これは、接点の大きさおよび接点間の距離の違いに起因し、この違いは、垂直軸で約200μm(結晶の厚さ)であり、平面軸で約700μmである。
最も注目に値するのは、ΔΙが両方の軸に沿って低〜高バイアス電圧においてほぼ線形に変化することと、ΔIが大きなバイアス電圧においてのみ平面軸に沿ってわずかに線形から逸脱することとである。これに対して、電圧が増加するにつれてΔΙは2つの軸の間で差がより顕著になり、前記結晶の異方性の挙動が確認された。この観察は、結晶の異方性の挙動を強調するものである。異方性は、1つ以上の方向に独立に作動する、すなわち、入射放射ビームの方向を「検出する」デバイスを開発する際の大きな利点となり得る。
<実施例13:アルファ粒子の検出>
本実施例では、0.4μGy/sの平均線量を供給する241Am源(5.4MeV、3kBq)からのアルファ粒子に対する、前述のように成長した4HCB結晶の応答を示す。
図10のaは、垂直軸に沿って供給される全アルファ線量の増加に従って、電流−電圧カーブの傾斜が増加することにより、電流−電圧カーブがいかに変化するかを示す。この結果は、約4nA/mGyの感度で、前記結晶の電気応答がアルファ粒子を検出するのに用いられることができることを示す。この結果は、また、良好な線形性応答(図10のb)を有する実用的な累積的アルファ線線量計として4HCB結晶を使用できる可能性を十分に示す。
<実施例14:高放射線用のX線検出器>
高放射線量環境で使用されるX線検出器としてのデバイスの信頼性を評価するために、4HCB結晶を10mGyの累積的な線量までアルファ放射線にさらした後、オン/オフ切替えされるX線ビーム(35kVおよび35mA)の下で試験を行った。これらの応答(図11(実線))が、アルファ線照射はX線検出の再現性および信頼性にほとんど影響を与えないことを示す。さらに、同一の結晶(既に、アルファ粒子を照射した結晶)を、2.1kGyのX線の累積的な線量をさらにさらした場合、この結晶は検出器として依然として良好に機能する(点線)。依然として良好に機能する構成は従来技術と比較して極めて有利である。なぜなら、この構成はいかなる放射線検出器においても一般に利点だからである。この特性は、「耐放射性」として定義され、この検出器が強放射線環境下で長時間作動可能であることを示す。我々がX線(図4)のみ照射された結晶で観察したように、仮にバルク電流が減少する場合であっても、ΔΙ=ION−IOFFは一貫して同一である。この挙動は、オン/オフ動作の繰返しサイクルについて確認されており、4HCB結晶を膨大な累積量のアルファ粒子およびX線(つまり、高電離性環境)にさらした後でさえも、いかに確実にX線を検出できるかを評価する。
本発明に記載した電離放射線の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器は、このような検出器が必要である全ての状況において使用可能である。
主な応用のうちの1つは医学用画像処理であり、A. Del Guerra, 「Ionizing Radiation Detectors for Medical Imaging(医学用画像処理のための電離放射線検出器)」World Scientific Publishing社、2004を参照されたい。本発明の前記検出器の使用法の例としては、X線画像処理に関するシステムおよび技術、CTスキャナ、乳房X線撮影(シンクロトロン放射も含む)、オートラジオグラフィーシステム、核医学システム、陽電子放射断層撮影システム、核医学の機能的画像処理システム、位置検出型検出器、単一光子放射コンピュータ断層撮影、ガンマ線検出システム、および放射線療法のための検出器が挙げられる。
本発明の前記検出器の別の使用法としては、一般市民の安全を保つためのものが挙げられる。電離放射線アクティブイメージングは、国境通過ポイント、空港または軍港などで使用可能である(米国特許第2009/0302226号を参照)。本発明の前記検出器の別の使用法としては分析技術の分野が挙げられる。例えば米国特許第2005/205786号を参照。
本発明に記載した電離放射線の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器の別の有利な使用法としては、上述の用途または異なる用途のための、室温型検出器である。
本発明に記載した電離放射線の前記有機半導体を基礎とするイントリンジックな直接検出器の別の有利な使用法としては、上述の用途または異なる用途のための、室温型検出器である。
〔態様1〕
イントリンジックな直接検出器として有機半導体を備えた、電離放射線の検出器。
〔態様2〕
態様1に記載の検出器において、前記電離放射線が、X線、ガンマ線、中性子、荷電粒子(特に、アルファ線、電子、陽電子)からなる群から選択される、検出器。
〔態様3〕
態様1または2に記載の検出器において、信号処理回路が、複数の電極によって前記イントリンジックな直接検出器に接続される、検出器。
〔態様4〕
態様3に記載の検出器において、前記電極のうちの少なくとも1つが有機電極である、検出器。
〔態様5〕
態様4に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、導電性ポリマ混合物、導電性ポリマ、ドープされた半導体ポリマおよび/もしくはドープされた半導体分子、カーボンナノチューブ、フラーレンおよび/もしくはフラーレン誘導体、グラファイト、グラフェンおよび/もしくはグラフェン誘導体、ならびに有機導電電荷移動塩類からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
〔態様6〕
態様5に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレン−ビニレン)のドープ誘導体、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のドープ誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびグラフェン酸化物からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
〔態様7〕
態様4から6のいずれか一態様に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、平層の形態またはパターンの形態である、検出器。
〔態様8〕
態様3に記載の検出器において、前記少なくとも1つの電極が、金属および/または半金属および/または無機材料を含む極薄の層である、検出器。
〔態様9〕
態様8に記載の検出器において、前記少なくとも1つの極薄の電極が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ドープされたシリコン、インジウムすず酸化物、フッ素すず酸化物、アルミニウム−亜鉛酸化物およびチタン−インジウム酸化物からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
〔態様10〕
態様8または9に記載の検出器において、前記少なくとも1つの金属および/または半金属および/または無機の電極が、平層の形態またはパターンの形態である、検出器。
〔態様11〕
態様1から10のいずれか一態様に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が可撓性を有する、検出器。
〔態様12〕
態様1から11のいずれか一態様に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が光学的に透明である、検出器。
〔態様13〕
態様1から12のいずれか一態様に記載の検出器において、前記有機半導体が、オルト二置換ベンゼン、メタ二置換ベンゼン、パラ二置換ベンゼン、縮合芳香族炭化水素類、アゾベンゼン類、共役非環状分子、ホウ素含有分子、リン含有分子、シリコン含有分子およびゲルマニウム含有分子からなる群から選択される、検出器。
〔態様14〕
態様13に記載の検出において、前記有機半導体が、4−ヒドロキシシアノベンゼン、1,8−ナフタレンジイミド、2,4−ジニトロナフタレン−1−オル、9,10−アントラセンジカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩、アゾベンゼン、2−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸、β−カロチン、ベンゾ[b]チエニ−2イルボロン酸、および二カリウムトリス(1,2−ベンゼンジオラト−0,0’)ゲルマニウム塩からなる群から選択される、検出器。
〔態様15〕
態様1から14のいずれか一態様に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が有機単結晶である、検出器。
〔態様16〕
態様15に記載の検出器において、前記有機単結晶が4−ヒドロキシシアノベンゼンからなる、検出器。
〔態様17〕
態様15または16に記載の検出器において、前記結晶上に複数の電極が配置され、前記結晶は、さらされる電離放射線に対する二次元または三次元の異方性応答の検出を可能にする幾何学的なレイアウトを有する、検出器。
〔態様18〕
態様17に記載の検出器において、前記有機単結晶が1,8−ナフタレンジイミドからなる、検出器。
〔態様19〕
態様1から14のいずれか一態様に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が有機多結晶である、検出器。
〔態様20〕
態様19に記載の検出器において、前記有機多結晶が、4−ヒドロキシシアノベンゼンからなる、検出器。
〔態様21〕
態様19に記載の検出器において、前記有機多結晶が、1,8−ナフタレンジイミドからなる、検出器。
〔態様22〕
態様1から21のいずれか一態様に記載の検出器において、同一または異なる複数の有機半導体が、単一の基板上に集積化される、検出器。
〔態様23〕
態様1から22のいずれか一態様に記載の検出器の製造方法であって、
a.有機半導体の溶液を基板上に載置する工程と、
b.前記溶液を蒸発させる工程と、
c.結果として生じる有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程とを備えた、製造方法。
〔態様24〕
態様1から23のいずれか一態様に記載の検出器の製造方法であって、
a.有機半導体の溶液をパターン基板上に載置する工程と、
b.前記溶液を蒸発する工程とを備えた、製造方法。
〔態様25〕
態様23または24に記載の製造方法において、前記工程a)における前記溶液の載置は、インクジェット印刷法、ドロップキャスティング法、スプレー塗布法、パッド印刷法、エレクトロスプレー法、ドクターブレード法およびディップコーティング法からなる群から選択される方法で行われる、製造方法。
〔態様26〕
態様1から25のいずれか一態様に記載の検出器の製造方法であって、
a.有機半導体をその溶液から成長させる工程と、
b.前記溶液を蒸発させる工程と、
c.結果として生じる有機半導体を基板上に載置する工程と、
d.前記有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程とを備えた、製造方法。
〔態様27〕
態様1から26のいずれか一態様に記載の検出器の製造方法であって、
a.有機半導体をその溶液から成長させる工程と、
b.前記溶液を蒸発させる工程と、
c.前記有機半導体をパターン基板上に載置する工程とを備えた、製造方法。
〔態様28〕
態様23から27のいずれか一態様に記載の製造方法において、前記溶液に用いられる前記溶媒が、非環状エーテル類、環状エーテル類、非環状脂肪族炭化水素類、環状脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、非環状アルコール類、環状アルコール類、非環状ケトン類、環状ケトン類、カルボン酸、無水物、ニトリル類、ハロゲン化溶媒、および水からなる群から選択される、製造方法。
〔態様29〕
態様28に記載の製造方法において、前記溶媒が、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、石油エーテル、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、トルエン、エチルベンゼン、エタノール、イソプロパノール、シクロペンタノール、シクロブタノール、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸、ギ酸、無水酢酸、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレンおよび水からなる群から選択される、製造方法。
〔態様30〕
態様28または29に記載の製造方法において、2つ以上の溶媒の混合物が用いられる、製造方法。
〔態様31〕
態様30に記載の製造方法において、前記混合物が、エチルエーテル:石油エーテル、エチルエーテル:トルエン、およびエチルエーテル:テトラヒドロフラン:トルエンからなる群から選択される、製造方法。
〔態様32〕
態様23〜31のいずれか一態様に記載の製造方法において、前記溶液を蒸発させる前記工程において、温度および/または圧力が制御される、製造方法。
〔態様33〕
態様23または27に記載の製造方法において、前記有機半導体が既に存在する電極に対応して載置されるのを可能にする化学的または物理的な処理が、前記パターン基板に対して予め施される、製造方法。
〔態様34〕
態様33に記載の方法において、前記処理が、真空、ガス、真空下での紫外線処理、ガス存在下での紫外線処理、機械的摩耗、研磨、酸による化学的エッチング、塩基による化学的エッチング、および自己組織化単分子層の堆積からなる群から選択される、製造方法。
〔態様35〕
電離放射線のイントリンジックな直接検出器を製造するのに有機半導体を使用する方法。
〔態様36〕
態様1から22のいずれか一態様に記載の検出器が設けられた機器または装置。
〔態様37〕
態様36に記載の機器または装置であって、放射線装置である機器または装置。
〔態様38〕
態様36または37に記載の機器または装置であって、医学分野、(特に歯科医学および医学用画像処理;)民間分野、(特に空港および国境のセキュリティ・チェック;)分析技術、殺菌装置および工業品質管理において用いられる、機器または装置。

Claims (38)

  1. イントリンジックな直接検出器として有機半導体を備えた、電離放射線の検出器。
  2. 請求項1に記載の検出器において、前記電離放射線が、X線、ガンマ線、中性子、荷電粒子(特に、アルファ線、電子、陽電子)からなる群から選択される、検出器。
  3. 請求項1または2に記載の検出器において、信号処理回路が、複数の電極によって前記イントリンジックな直接検出器に接続される、検出器。
  4. 請求項3に記載の検出器において、前記電極のうちの少なくとも1つが有機電極である、検出器。
  5. 請求項4に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、導電性ポリマ混合物、導電性ポリマ、ドープされた半導体ポリマおよび/もしくはドープされた半導体分子、カーボンナノチューブ、フラーレンおよび/もしくはフラーレン誘導体、グラファイト、グラフェンおよび/もしくはグラフェン誘導体、ならびに有機導電電荷移動塩類からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
  6. 請求項5に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレン−ビニレン)のドープ誘導体、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のドープ誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、グラフェンおよびグラフェン酸化物からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
  7. 請求項4から6のいずれか一項に記載の検出器において、前記少なくとも1つの有機電極が、平層の形態またはパターンの形態である、検出器。
  8. 請求項3に記載の検出器において、前記少なくとも1つの電極が、金属および/または半金属および/または無機材料を含む極薄の層である、検出器。
  9. 請求項8に記載の検出器において、前記少なくとも1つの極薄の電極が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ドープされたシリコン、インジウムすず酸化物、フッ素すず酸化物、アルミニウム−亜鉛酸化物およびチタン−インジウム酸化物からなる群から選択される材料を備えた、検出器。
  10. 請求項8または9に記載の検出器において、前記少なくとも1つの金属および/または半金属および/または無機の電極が、平層の形態またはパターンの形態である、検出器。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が可撓性を有する、検出器。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が光学的に透明である、検出器。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の検出器において、前記有機半導体が、オルト二置換ベンゼン、メタ二置換ベンゼン、パラ二置換ベンゼン、縮合芳香族炭化水素類、アゾベンゼン類、共役非環状分子、ホウ素含有分子、リン含有分子、シリコン含有分子およびゲルマニウム含有分子からなる群から選択される、検出器。
  14. 請求項13に記載の検出において、前記有機半導体が、4−ヒドロキシシアノベンゼン、1,8−ナフタレンジイミド、2,4−ジニトロナフタレン−1−オル、9,10−アントラセンジカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩、アゾベンゼン、2−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸、β−カロチン、ベンゾ[b]チエニ−2イルボロン酸、および二カリウムトリス(1,2−ベンゼンジオラト−0,0’)ゲルマニウム塩からなる群から選択される、検出器。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が有機単結晶である、検出器。
  16. 請求項15に記載の検出器において、前記有機単結晶が4−ヒドロキシシアノベンゼンからなる、検出器。
  17. 請求項15または16に記載の検出器において、前記結晶上に複数の電極が配置され、前記結晶は、さらされる電離放射線に対する二次元または三次元の異方性応答の検出を可能にする幾何学的なレイアウトを有する、検出器。
  18. 請求項17に記載の検出器において、前記有機単結晶が1,8−ナフタレンジイミドからなる、検出器。
  19. 請求項1から14のいずれか一項に記載の検出器において、前記イントリンジックな直接検出器が有機多結晶である、検出器。
  20. 請求項19に記載の検出器において、前記有機多結晶が、4−ヒドロキシシアノベンゼンからなる、検出器。
  21. 請求項19に記載の検出器において、前記有機多結晶が、1,8−ナフタレンジイミドからなる、検出器。
  22. 請求項1から21のいずれか一項に記載の検出器において、同一または異なる複数の有機半導体が、単一の基板上に集積化される、検出器。
  23. 請求項1から22のいずれか一項に記載の検出器の製造方法であって、
    a.有機半導体の溶液を基板上に載置する工程と、
    b.前記溶液を蒸発させる工程と、
    c.結果として生じる有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程とを備えた、製造方法。
  24. 請求項1から23のいずれか一項に記載の検出器の製造方法であって、
    a.有機半導体の溶液をパターン基板上に載置する工程と、
    b.前記溶液を蒸発する工程とを備えた、製造方法。
  25. 請求項23または24に記載の製造方法において、前記工程a)における前記溶液の載置は、インクジェット印刷法、ドロップキャスティング法、スプレー塗布法、パッド印刷法、エレクトロスプレー法、ドクターブレード法およびディップコーティング法からなる群から選択される方法で行われる、製造方法。
  26. 請求項1から25のいずれか一項に記載の検出器の製造方法であって、
    a.有機半導体をその溶液から成長させる工程と、
    b.前記溶液を蒸発させる工程と、
    c.結果として生じる有機半導体を基板上に載置する工程と、
    d.前記有機半導体に電極および/または電気回路を設ける工程とを備えた、製造方法。
  27. 請求項1から26のいずれか一項に記載の検出器の製造方法であって、
    a.有機半導体をその溶液から成長させる工程と、
    b.前記溶液を蒸発させる工程と、
    c.前記有機半導体をパターン基板上に載置する工程とを備えた、製造方法。
  28. 請求項23から27のいずれか一項に記載の製造方法において、前記溶液に用いられる前記溶媒が、非環状エーテル類、環状エーテル類、非環状脂肪族炭化水素類、環状脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、非環状アルコール類、環状アルコール類、非環状ケトン類、環状ケトン類、カルボン酸、無水物、ニトリル類、ハロゲン化溶媒、および水からなる群から選択される、製造方法。
  29. 請求項28に記載の製造方法において、前記溶媒が、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、石油エーテル、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、トルエン、エチルベンゼン、エタノール、イソプロパノール、シクロペンタノール、シクロブタノール、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸、ギ酸、無水酢酸、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレンおよび水からなる群から選択される、製造方法。
  30. 請求項28または29に記載の製造方法において、2つ以上の溶媒の混合物が用いられる、製造方法。
  31. 請求項30に記載の製造方法において、前記混合物が、エチルエーテル:石油エーテル、エチルエーテル:トルエン、およびエチルエーテル:テトラヒドロフラン:トルエンからなる群から選択される、製造方法。
  32. 請求項23〜31のいずれか一項に記載の製造方法において、前記溶液を蒸発させる前記工程において、温度および/または圧力が制御される、製造方法。
  33. 請求項23または27に記載の製造方法において、前記有機半導体が既に存在する電極に対応して載置されるのを可能にする化学的または物理的な処理が、前記パターン基板に対して予め施される、製造方法。
  34. 請求項33に記載の方法において、前記処理が、真空、ガス、真空下での紫外線処理、ガス存在下での紫外線処理、機械的摩耗、研磨、酸による化学的エッチング、塩基による化学的エッチング、および自己組織化単分子層の堆積からなる群から選択される、製造方法。
  35. 電離放射線のイントリンジックな直接検出器を製造するのに有機半導体を使用する方法。
  36. 請求項1から22のいずれか一項に記載の検出器が設けられた機器または装置。
  37. 請求項36に記載の機器または装置であって、放射線装置である機器または装置。
  38. 請求項36または37に記載の機器または装置であって、医学分野、(特に歯科医学および医学用画像処理;)民間分野、(特に空港および国境のセキュリティ・チェック;)分析技術、殺菌装置および工業品質管理において用いられる、機器または装置。
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