JP4202181B2 - リソグラフィ装置、デバイス製造方法、性能測定方法、較正方法、およびコンピュータ・プログラム - Google Patents

リソグラフィ装置、デバイス製造方法、性能測定方法、較正方法、およびコンピュータ・プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、
パルス放射源を含む、放射の投影ビームを提供するための放射システムと、
所望のパターンに従って投影ビームをパターン形成するように使用されるパターン形成手段を支持するための支持構造と、
基板を保持するための基板テーブルと、
パターン形成されたビームを基板の目標部分に投影するための投影システムと、
前記投影ビームのパルスのエネルギーを制御するための制御システムと
を備えるリソグラフィ投影装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、そのようなリソグラフィ装置において、放射源および較正制御システムの性能を測定する方法と、そのような装置を使用するデバイス製造方法と、本発明の方法を実施するようにコンピュータ・システムに命令するためのコンピュータ・プログラムとに関する。
【0003】
【従来の技術】
本明細書で使用される用語「パターニング手段」は、基板のターゲット部分に形成するパターンに対応してパターンを付けた断面を入射放射線ビームに与えるために使用することができる手段を表すものと広く解釈すべきである。用語「光バルブ」をこの文脈で使用することもできる。一般に、前記パターンは、集積回路やその他のデバイス(以下参照)などターゲット部分に作成されるデバイス内の特定の機能層に対応する。このようなパターニング手段の例としては、次のようなものが挙げられる。
−マスク。マスクの概念はリソグラフィでよく知られており、二相、交流移相、減衰移相などのマスク・タイプ、ならびに様々なハイブリッド・マスク・タイプを含む。放射線ビーム中にそのようなマスクを配置することにより、マスク上のパターンに従って、マスクに衝突する放射線の選択透過(透過性マスクの場合)または反射(反射性マスクの場合)が生じる。マスクの場合、支持構造は通常マスク・テーブルであり、マスク・テーブルは、入射放射線ビームにおける所望の位置にマスクを保持することができることを保証し、かつ望みであればマスクをビームに対して移動することができることも保証する。
−プログラム可能ミラー・アレイ。そのようなデバイスの一例は、粘弾性制御層および反射表面を有するマトリックス・アドレス可能な表面である。そのような装置の背後にある基本原理は、(例えば)反射表面のアドレスされた領域が入射光を回折光として反射し、アドレスされていない領域が入射光を非回折光として反射することである。適切なフィルタを使用して、前記非回折光を反射ビームからフィルタ除去し、後ろに回折光のみを残すことができる。このようにすると、マトリックス・アドレス可能表面のアドレス指定パターンに従ってビームにパターンを付けられるようになる。プログラム可能ミラー・アレイの代替実施形態は、小さなミラーのマトリックス構成を使用し、ミラーはそれぞれ、適切な局所電場を印加することによって、または圧電作動手段を使用することによって、軸に関して個別に傾けることができる。ここでもやはり、ミラーはマトリックス・アドレス可能であり、そのため、アドレスされたミラーは、アドレスされていないミラーと異なる方向に入射放射ビームを反射する。このようにすると、反射されたビームは、マトリックス・アドレス可能ミラーのアドレス・パターンに従ってパターンを付けられる。必要なマトリックス・アドレス指定は、適切な電子手段を使用して実施することができる。本明細書で上述したどちらの状況でも、パターニング手段は、1つまたは複数のプログラム可能ミラー・アレイを備えることができる。本明細書で言及するミラー・アレイに関するより多くの情報は、例えば参照により本明細書に組み込む米国特許第5296891号および米国特許第5523193号、ならびにPCT特許出願WO98/38597号およびWO98/33096号から得ることができる。プログラム可能ミラー・アレイの場合、前記支持構造を、例えばフレームまたはテーブルとして実施することができ、必要に応じて固定することも、可動にすることもできる。
−プログラム可能LCDアレイ。そのような構成の一例は、参照により本明細書に組み込む米国特許第5229872号に与えられている。上と同様に、この場合の支持構造も、例えばフレームまたはテーブルとして実施することができ、必要に応じて固定することも、可動にすることもできる。
話を簡単にするために、この本文ではここから先、いくつかの箇所でマスクおよびマスク・テーブルに関わる例に特に注目することがある。しかし、そのような例で論じられる一般的な原理は、本明細書で上述したパターニング手段のより広い文脈で見るべきである。
【0004】
リソグラフィ投影装置は、例えば集積回路(IC)の製造で使用することができる。そのような場合、パターニング手段は、ICの個々の層に対応する回路パターンを生成することができ、このパターンを、感光性材料(レジスト)の層で被覆されている基板(シリコン・ウェハ)上のターゲット部分(例えば1つまたは複数のダイを備える)に結像することができる。一般に、単一のウェハが、1度に1つずつ投影システムによって連続的に照射される隣接ターゲット部分の回路網全体を含む。マスク・テーブル上のマスクによるパターニングを採用する現行装置では、2つの異なるタイプの機械に区分することができる。1つのタイプのリソグラフィ投影装置では、各ターゲット部分が、マスク・パターン全体を一括してターゲット部分に露光することによって照射される。そのような装置は、一般にウェハ・ステッパと呼ばれる。代替装置(一般にステップアンドスキャン装置と呼ばれる)では、各ターゲット部分が、所与の基準方向(「スキャン」方向)に投影ビーム下でマスク・パターンを漸次スキャンし、それと同時にこの方向に平行に、または反平行に基板テーブルを同期してスキャンすることによって照射される。一般に、投影システムが倍率M(通常<1)を有するので、基板テーブルがスキャンされる速度Vは、マスク・テーブルがスキャンされる速度のM倍となる。ここに記述したリソグラフィ・デバイスに関するより多くの情報は、例えば参照により本明細書に組み込む米国特許第6046792号から得ることができる。
【0005】
リソグラフィ投影装置を使用する製造プロセスでは、(例えばマスクでの)パターンが、感光性材料(レジスト)の層によって少なくとも部分的に覆われた基板に結像される。このイメージング・ステップの前に、基板にプライミング、レジスト・コーティング、ソフト・ベークなど様々な処置を施すことができる。露光後に、露光後ベーク(PEB)、現像、ハード・ベーク、および結像されたフィーチャの測定/検査など他の処置を基板に施すこともできる。この一連の処置は、デバイス、例えばICの個々の層にパターンを付けるための基礎として使用される。次いで、そのようなパターン付き層に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学的機械的研磨など様々なプロセスを施すことができる。これらは全て、個々の層を完成させるためのものである。複数の層が必要な場合、手順全体、またはその変形が、各新たな層ごとに繰り返されなければならない。最終的に、デバイスのアレイが基板(ウェハ)上に存在することになる。次いで、これらのデバイスを、ダイシングやソーイングなどの技法によって互いに分離し、個々のデバイスを、例えばキャリアに取り付ける、またはピンなどに接続することができる。そのようなプロセスに関するさらなる情報は、例えば参照により本明細書に組み込むPeter van Zantの著書「Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing」,Third Edition,McGraw Hill Publishing Co.,1997,ISBN0−07−067250−4から得ることができる。
【0006】
話を簡単にするために、投影システムを本明細書では以後「レンズ」と呼ぶ場合がある。しかし、この用語は、例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系を含めた様々なタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈すべきである。また、放射システムは、放射線の投影ビームを指向する、成形する、または制御するためのこれら設計タイプのいずれかに従って動作する構成要素を含むことができ、そのような構成要素も以下で総称して、または個別に「レンズ」と呼ぶ場合がある。さらに、リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスク・テーブル)を有するタイプのものであってよい。そのような「多段」デバイスでは、追加のテーブルを並列に使用することができ、あるいは1つまたは複数のテーブルに関して予備ステップを行い、その一方で1つまたは複数の他のテーブルを露光することができる。二段リソグラフィ装置は、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許第5969441号およびWO98/40791号に記載されている。
【0007】
いくつかの現行リソグラフィ装置は、露光放射のための放射源としてエキシマ・レーザを使用する。これらのレーザはパルス化され、多数のパルス(ショットまたはバーストと呼ばれる)を使用して、1回の露光を構成する。1回の露光中に基板に送達される照射線量は、各パルスで送達されるエネルギーの和であり、したがって、各パルスのエネルギーを監視し、後続のパルスのエネルギーを変えて公称パルス・エネルギーからの逸脱を補償することによって、照射線量を制御することができる。そのような制御は、本明細書で励起電圧または高電圧HVとも呼ぶ、レーザ・キャビティ内のレーザ媒質を励起するために印加される電圧を変えることによって行うことができる。そのような制御に関する別の手段は、リソグラフィ装置の放射システムでビーム経路内に配置された可変減衰器である。この手法は、従来提供されている適当な性能を有するが、リソグラフィ装置の性能改善の要求を満たすためには、露光当たりのパルスの数が減少されて、照射線量誤差を補正する機会が少ないときでさえ、より厳しい仕様に照射線量を制御する必要がある。
【0008】
現在使用されているエキシマ・レーザは、複雑なデバイスであり、制御下で複雑な挙動を示す。特に、例えば、1回の露出または一連の露出の開始時にレーザがオンに切り換えられるとき、またはパルス繰返し率もしくは励起電圧の変更があるときなど、動作パラメータのステップ変化がパルス・エネルギーの大きな過渡振動をもたらす。基板レベルに送達される照射線量の変動を避けるために、レーザ用の制御システムは、レーザのそのような過渡事象または他の複雑な挙動を考慮しなければならず、これは必然的に複雑な制御システムをもたらす。制御システムの要点は、レーザ・キャビティに印加される高い電圧と、出力パルス・エネルギーEpとの間の伝達関数をモデル化するゲインである。
【0009】
レーザ制御システムのパラメータの微調整は困難であり、レーザ・キャビティのガス・エージングなど経時変化する作用を考慮するのは特に困難である。制御パラメータを微調整する1つの方法は、パルス当たりのエネルギーに関して、特定の基準プロフィルを使用してテスト・ランを行うことである。しかし、そのような測定は露光中に行うことができず、したがって測定にかかる時間が、機械スループットを低減させる。パルス・エネルギー目標値に小さな外乱を加え、一時的に制御を中断することによって、露光中に制御パラメータを調整し、測定出力の効果を観察することがWO99/08156で提案されている。しかし、照射線量一様性要件を満たすためには、外乱を非常に小さく保たなければならない。したがって、パルス・エネルギー/高電圧ゲインを較正するために必要な情報を集めるのに、長時間かかり、多数回の露光が必要である。この較正を、本明細書で以後、HV−Ep較正と呼ぶ。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より正確な照射線量制御が可能なリソグラフィ装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、露光中でさえ、リソグラフィ装置内のパルス放射源の性能を測定する方法、および前記放射源の制御システムを較正する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
最初の目的およびその他の目的は、本発明によれば、冒頭の段落に明記したようなリソグラフィ投影装置であって、前記制御システムが最低次の閉ループ制御装置を備えることを特徴とするリソグラフィ投影装置で達成される。
【0012】
最低次の閉ループ制御装置を使用することによって、本発明は、デッド・ビート制御離散時間システム(すなわち、状態が変化する際にオーバーランまたは振動がない臨界減衰システム)を提供する。本発明者は、パルス放射源およびその挙動の明白な複雑さにもかかわらず、放射源の構造ダイナミックスを、1次モデルによって、好ましくは1次時間遅延によってモデル化することができ、この1次時間遅延が、zを複素変数として、z領域でのz-1に等しいことを突き止めた。放射源の構造ダイナミックスは、寄生および過渡効果を含まない。したがって、制御システムは、例えば後退オイラー離散時間近似Tz/(z−1)(ここで、Tは各離散時間間隔の期間を示す)や、デッド・ビート制御またはそれに近い近似を行うように調節された適切な制御パラメータなど、単純な積分器として実装することができる。さらに、本発明者は、前記1次モデルの妥当性が、本明細書では単に繰返し率とも呼ぶ、放射源が操作されるパルス繰返し率とは無関係であることを突き止めた。これは、繰返し率とは無関係の制御設計を可能にし、寄生または過渡効果は無視される。したがって、後退オイラー近似で、離散時間ステップの期間Tが省かれる場合もあり、積分器ではなく加算器z/(z−1)である制御システムをもたらす。これは、正確なHV−Ep較正が行われていると仮定すると、繰返し率とは無関係に、一定の制御ゲインを使用してデッド・ビート制御を行うことができるという利点をもつ。レーザの共振周波数などの寄生効果は特に含まれていないが、説明した制御装置は、これらの寄生効果に対して、かつ不正確なHV−Ep較正に対してより堅固であるという、現行の制御装置に勝る利点を有する。
【0013】
過渡効果を予測可能となるように補正するために、フィード・フォワード・ループを提供することができる。補正すべき過渡効果を学習する、繰返し率とは無関係の制御装置の設計は、最低次モデルに基づかせることができる。例えば、フィード・フォワード補正に関する学習機構は構造上、デッド・ビート挙動が行われるように、加算器制御と組み合わせて前記1次時間遅延モデルを採用する。制御システムは、いわゆる寄生効果(寄生ダイナミックス)によって完全なデッド・ビート制御から逸脱する場合があり、あるいは堅固さを提供する、すなわち、いくつかのシステム性質が変化する、または知られていないときでさえ、信頼可能なシステムを提供する制御設計である。
【0014】
本発明の第2の目的は、パルス放射源および/またはリソグラフィ投影装置の性能を測定する方法であって、リソグラフィ投影装置が、
パルス放射源を含めた放射の投影ビームを提供するための放射システムと、
所望のパターンに従って投影ビームをパターン形成するように使用されるパターン形成手段を支持するための支持構造と、
基板を保持するための基板テーブルと、
パターン形成されたビームを基板の目標部分に投影するための投影システムと
を備え、
方法が、
複数の連続する放射のパルスに関して、パルス・エネルギーと、放射源に印加される制御入力との少なくとも一方の値を測定するステップと、
測定値から、測定値と目標値の移動平均(MA)誤差と、測定値と目標値の誤差の移動標準偏差(MSD)との少なくとも一方の複数の値を計算するステップと
を含み、
前記計算値が、放射源および/または前記リソグラフィ投影装置の性能を示す
方法によって満たされる。
【0015】
この方法は、基板レベルに送達される総照射線量に基づく従来の性能テストを通るが、安定性の境に近い装置と、より安定な装置とを見分けることができる。移動平均値の大きな変動、および移動標準偏差値の大きな変動が、比較的不安定な制御システムを示す。テスト・ランからの十分なデータと共に、指標のピーク値を性能尺度として使用することができる。この方法は、オンラインでもオフラインでも使用することができ、制御目標値が変わる場合でさえも使用することができる。
【0016】
好ましくは、特に比較のために、性能指標が正規化される。
【0017】
本発明の第3の態様は、上述した性能指標を使用して、冒頭の段落に明記したようなリソグラフィ装置内のパルス放射源の制御システムを較正する方法であって、
上述した方法に従って、前記放射源および前記制御システムの性能を測定するステップと、
前記制御システムの少なくとも1つのパラメータを調節するステップと、
前記計算された移動平均および移動標準偏差値の少なくとも一方を減少させるために前記測定ステップおよび調節ステップを繰り返すステップと
を含む方法を提供する。
【0018】
この方法は、有利には、実際の露光プロセス中に測定される性能指標を使用して適用され、それにより、放射源エージングおよび他の現象を考慮することができる制御システムのオンザフライ較正を提供し、これは、オフライン較正の実施よりも短い時間尺度で行うことができる。
【0019】
あるいは、本発明のさらなる態様によれば、1次の閉ループ制御装置を有する制御システムを備えるリソグラフ装置内のパルス放射源の制御システムを較正する方法であって、放射源に関連する制御システムの少なくとも1つのパラメータが調節される方法が提供される。一般に、前記放射源に関連する複数のパラメータを調節することができ、しかし本発明は、レーザ・キャビティに印加される高い電圧とパルス・エネルギーとの間の特定の伝達関数を較正する単純な方法を開示する。この伝達関数は、HV−Ep較正で測定されるパルス・エネルギー/高電圧ゲインおよび関連するオフセットを用いて線形化される。前記HV−Ep較正方法は、最低次の制御設計と共に、放射源の1次時間遅延モデルに依拠している。
【0020】
この本文では、本発明による装置のIC製造での使用に特に言及する場合があるが、そのような装置が多くの他の可能な適用例も有することをはっきりと理解されたい。例えば、集積光学系、磁区メモリ用の誘導および検出パターン、液晶表示パネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造に使用することができる。そのような代替適用例の文脈では、この本文における用語「焦点板」、「ウェハ」、または「ダイ」の使用を、より一般的な用語「マスク」、「基板」、および「ターゲット部分」でそれぞれ置き代えられるものとみなすべきであることを当業者は理解されよう。
【0021】
本文献において、用語「放射」および「ビーム」は、紫外線放射(波長が、248、193、157または126nmである)およびEUV(極端紫外線放射、例えば、波長が5〜20nmの範囲にある)を含んだ、全ての種類の電磁放射を包含するように使用される。
【0022】
次に、本発明の実施形態を、単に例として、添付概略図面を参照して説明する。
【0023】
図で、対応する参照符号が対応する部分を示す。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施形態1
図1は、本発明の特定の実施形態に従ったリソグラフィ投影装置1を模式的に示す。本装置は、
放射(例えば、DUV放射)の投影ビームPBを供給するための、この特定の場合には放射源LAも備える、放射システムEx、ILと、
マスクR(例えば、レチクル)を保持するためのマスク・ホルダを備え、かつ要素PLに対してマスクを正確に位置決めするための第1の位置決め手段に接続された第1の物体テーブル(マスク・テーブル)MTと、
基板W(例えば、レジスト被覆シリコン・ウェハ)を保持するための基板ホルダを備え、かつ要素PLに対して基板を正確に位置決めするための第2の位置決め手段に接続された第2の物体テーブル(基板テーブル)WTと、
マスクRの照射部分の像を、基板Wの目標部分C(例えば、1つまたは複数のチップで構成される)に形成するための投影システム(「レンズ」)PL(例えば、屈折レンズ・システム)とを備える。
【0025】
ここに示すように、本装置は、透過型(例えば、透過マスクを有する)である。しかし、一般に、本装置は、例えば、反射型(例えば、反射マスクを有する)であることもある。もしくは、本装置は、上で言及したような種類のプログラム可能ミラー・アレイのような、他の種類のパターン形成手段を使用することができる。
【0026】
放射源LA(例えば、エキシマ・レーザ)は、放射のビームを生成する。このビームは、直接か、または、例えばビーム拡大器Exなどのコンディショニング手段を通り抜けた後かいずれかで、照明システム(照明装置)ILに送られる。照明装置ILは、ビーム内の強度分布の外側半径範囲および/または内側半径範囲(通常、それぞれ、σ−outer、σ−innerと呼ばれる)を設定するための調整手段AMを備えることができる。さらに、照明装置は、一般に、積分器IN、集光器COなどの様々な他の部品を備える。このようにして、マスクRに当っているビームPBは、その断面内に所望の一様強度分布をもつ。
【0027】
図1に関して留意すべきことであるが、放射源LAは、リソグラフィ投影装置のハウジング内にあることがあるが(例えば、放射源LAが水銀ランプの場合、そうであることが多い)、また、放射源LAがリソグラフィ投影装置から離れており、それの生成する放射ビームが装置の中に導かれることがある(例えば、適当な方向付けミラーを使用して)。この後者のシナリオは、放射源LAがエキシマ・レーザである場合に多い。本発明および特許請求の範囲は、これらのシナリオの両方を含む。
【0028】
ビームPBは、その後、マスク・テーブルMTに保持されているマスクRと交差する。マスクRを通り抜けたビームPBは、レンズPLを通り抜ける。このレンズPLは、基板Wの目標部分CにビームPBを収束させる。第2の位置決め手段(および干渉測定手段IF)を使って、基板テーブルWTは、例えば、ビームPBの経路内に異なった目標部分Cを位置決めするように、正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め手段を使用して、例えば、マスク・ライブラリからマスクRを機械的に取り出した後で、または走査中に、ビームPBの経路に対してマスクRを正確に位置決めすることができる。一般に、物体テーブルMT、WTの移動は、長行程モジュール(粗い位置決め)と短行程モジュール(精密位置決め)を使って行われる。これらのモジュールは、図1に明示的に示さない。しかし、ウェハ・ステッパ(走査ステップ式装置に対して)の場合は、マスク・テーブルMTは、短行程用アクチュエータに接続されるだけでよく、または、固定されることもある。マスクRおよび基板Wは、マスク位置合わせマークM1、M2および基板位置合わせマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0029】
図示した装置は、2つの異なるモードで使用することができる。
1.ステップ・モードでは、マスク・テーブルMTが本質的に静止して保たれ、マスク・イメージ全体が、ターゲット部分Cに1度に(すなわちただ1回の「フラッシュ」で)投影される。次いで、基板テーブルWTがxおよび/またはy方向にシフトされ、それにより別のターゲット部分CをビームPBによって照射することができる。
2.スキャン・モードでは、所与のターゲット部分Cがただ1回の「フラッシュ」で露光されない点を除き、本質的に同じシナリオが適用される。1回のフラッシュで露光するのではなく、マスク・テーブルMTが速度vで所与の方向(いわゆる「スキャン方向」、例えばY方向)に移動可能であり、それにより投影ビームPBがマスク・イメージ全体にわたってスキャンするようになっている。それと並行して、基板テーブルWTが、速度V=Mvで同方向または逆方向に同時に移動される。ここでMはレンズPLの倍率である(一般にM=1/4または1/5)。このようにすると、分解能を損なわずに、比較的大きなターゲット部分Cを露光することができる。
【0030】
図2は、露光中に基板に送達される照射線量の制御を説明するのに有用な放射源LAおよびリソグラフィ装置1のいくつかの構成要素を例示する。放射源LAは、高電圧電源HVPSによって提供される高電圧HVによって励起されるレーザ媒質、例えばKrfを含むレーザ・キャビティLCを備える。トリガTRの適用後、レーザ・キャビティが、コヒーレント放射のパルスを放出する。このエネルギーは、フォトセルPCによって測定される。様々な理由により、放射源LAを、リソグラフィ装置1が維持されているクリーンルームの外に配置する場合があり、それにより投影ビームPBは、ビーム送達パイプBDによってリソグラフィ装置に伝えられ、このビーム送達パイプBDは、ガスパージ・パイプおよびミラーを備えて、任意のコーナの周りで投影ビームPBを方向付けることができる。
【0031】
リソグラフィ装置1で、放射ビームPBは、可変減衰器VATを通り抜け、調整手段AM、積分器IN、集光器COなど照明システムIL−Oの他の光学構成要素を通り抜けて、マスクRを照明する。次いで、マスク・パターンの像が、投影システムPLによって基板Wの目標部分に投影される。エネルギー・センサESは、照明システムIL内の投影ビームの伝搬方向に沿ってできるだけ下流に配置された、部分的に銀めっきされたミラーの後方に配置され、投影ビームの所定の割合、例えば1%のエネルギーを測定する。また、スポット・センサSSを、ウェハ・テーブル上に提供し、デバイスのオフライン較正に関して使用することができるが、露光中にパルス・エネルギーの測定を提供することはできない。
【0032】
既知のリソグラフィ装置では、放射源は、一定のエネルギーのパルスを提供するように設定され、フォトセルPCによって測定されるパルス・エネルギーに基づいたフィードバック制御を使用して、レーザ・キャビティLCに印加される高電圧HVを調整する。基板に送達される照射線量の制御は、エネルギー・センサESによって測定されるビーム強度に基づいており、可変減衰器VATを使用して行われる。各露光は、多数のパルス、例えば50以上のパルスから構成され、1回の露光に関する所望の総照射線量をパルスの数で割って、各パルスごとの目標エネルギーを与える。大きな強度変動をもたらすために、所定の設定で可変減衰器が使用される。スキャン露光では、総照射線量を、スキャン方向で照明スリットの幅にわたって補正しなければならず、そのため、照射線量をいくつかのパルス中で補正しなければならず、これは、とりわけパルス繰返し率、スキャン速度、および照明スリットの幅に依存することを理解されたい。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施形態の集積制御システムを示す。このシステムでは、可変減衰器は、固定された減衰の度合に設定されており、簡単にするために図面から省いてある。制御システム10は、入力として、パルス・エネルギー目標値としての役割をする所望のパルス・エネルギーEprefを有する。このエネルギーから、減算器14が、エネルギー・センサESによって測定された前のパルスのパルス・エネルギーEpmを引いて、パルス・エネルギー誤差Eperrを与え、その出力をただ1つの加算器12に提供する。増幅器11が、加算されたパルス・エネルギー誤差にゲインおよびオフセットを適用し、HV−Ep伝達関数を表す。増幅器11の出力は、レーザLAに印加される高電圧、したがって出力パルス・エネルギーを決定する。加算器12は、(放射源モデルの繰返し率独立性により)正規化ゲインを1/Tとして、積分器の後退オイラー離散時間近似Tz/(z−1)として実装することができる。上述した構成要素が、制御システムの主要部を形成する基本フィードバック・ループを形成する。増幅器11は、以下に述べるように入力11a、11bによって更新されるゲインおよびオフセット値をパラメータとして有する。
【0034】
本発明者は、寄生および過渡効果を除くレーザの構造ダイナミックスが単純な1次離散時間システムとして働く、すなわちパルス・エネルギーが、レーザにあらかじめ命令されている最終高電圧値のみに依存し、その伝達関数がz-1のみによって与えられることを突き止めた。したがって、制御システム10のフィードバック・ループは、最低次のものであり、増幅器11のゲイン値の適切な調節によってデッド・ビート制御を確立することができる。デッド・ビート制御を達成するためのゲイン値は、移動平均および移動標準偏差性能尺度を使用して、または以下に述べるオフラインまたはオンラインHV−Ep較正スキームを使用して求めることができる。
【0035】
上述したフィードバック・ループに加えて、制御システム10は、予測器13によって決定されるフィード・フォワード補正Epcorrを有する。図3に示されるように、フィード・フォワード補正は、パルス・エネルギーに関して表され、増幅器11の前に加えられる。あるいは、フィード・フォワード補正を、高電圧補正に関して計算し、増幅器11の後に加えることができる。単純な実装では、フィード・フォワード補正は、レーザ・キャビティに印加される初期高電圧の1次概算を表すことができる。フィード・フォワード補正のそのような単純な実装を使用することによって生じ得る悪影響を減らすためのオプションは、照明システムILでの閉じたシャッタまたはマスク・ブレードに最初のパルスを「ダンプ」することである。上で導入したフィード・フォワード補正はまた、以下に述べるように過渡効果を補正することができる。
【0036】
現行の放射源の過渡挙動は、例えば時間の経過と共に、かつ/または放射源の動作パラメータの変化と共に変化することが知られている。図4に示される本発明の別の実施形態は、予測可能となるように補正すべき過渡挙動を自動的に学習するフィード・フォワード制御装置である。サーボ制御理論では、繰返し、適合、反復、および学習などいくつかの制御方法が存在し、組合せをなす場合もある。この制御装置では、繰返し率とは無関係の最低次モデルおよび制御設計を明確に使用して、反復学習制御の理論をレーザに適用可能にする。この理論を使用する利点は、制御装置設計があまり実験的でなくなり、すでに使用されている既知の制御方法に基づいていることである。
【0037】
学習アルゴリズムは、パルス・エネルギー誤差ベクトル[Eperrb]と共に供給され、このベクトルは、完全なバーストの少なくとも一部のEperr=(Epref−Epm)の時系列を含み、ここでbはバースト数を示し、[x]はベクトルxに関する表記である。この誤差ベクトルに基づいて、補正項[fb+1]が、以下の更新規則に従って学習され、メモリMEMに格納される。
[fb+1]=Q(z)*(λ[fb]+μ[Eperrb]) (1)
ここで、Q(z)は離散時間フィルタであり、μは学習係数であり、λは忘却係数であり、Q(z)*[x]は、ベクトル[x]が離散時間フィルタQ(z)を用いてフィルタリングされることを示す。次のバーストで、この記憶された補正項が、フィード・フォワード補正項として使用され、予測フィルタB(z)によって制御ループ内に注入される。初期過渡補償での知識が第1のバースト(すなわちb=1)で利用可能でない場合、メモリをゼロ(すなわち[fb=1]がゼロのベクトルである)と定義することができ、これは事実上、この第1のバースト中に過渡補償がないことを意味する。[Eperrb]の長さをバースト中のパルスの数と等しくすることができることに留意されたい。学習アルゴリズムが実装されるコンピュータ・システムのメモリおよび計算力に関するリソース要求を低減するために、好ましくは、ベクトル[Eperrb]の長さに最大値が課せられる。バーストがこの最大値よりも多くのパルスを含むとき、補正項[fb]の最後のr個のサンプルが線形にゼロにされる。この機構は、リソグラフィ装置の(照射線量)性能に悪影響を及ぼす、ベクトル[fb]の端での制御システムにおける段階式外乱の注入を防止する。特定の実施形態では、ベクトル[Eperrb]の最大の長さが、50〜1000パルスで変化し、rが10〜100で変化する。学習アルゴリズムの性能は、(ベクトル[Eperrb]の最大の長さ)−rが放射源の過渡挙動を含む限り、これらのパラメータに関してそれほど敏感ではない。現行レーザ・システムに関して、rを50として最大の長さ300が、安全な選択肢と考えられる。
【0038】
学習係数および忘却係数(それぞれμおよびλ)は、都合に合わせて調整することができる。忘却係数λは、放射源過渡の性質の変化を説明するように1よりも小さく選択することができる。これは、例えば、無関係になっている(予測可能となるように補正すべき)過渡挙動の一部分を積極的に忘却するためである。学習係数μは、[fb]の既存の情報と比べた、[Eperrb]に含まれる新たな情報の重み係数である。μを1よりも小さく選択することによって、学習アルゴリズムは、誤差信号[Eperrb]に存在する広帯域ノイズに大きく反応せず、しかしその一方で、学習速度はより低い。標準のILC適用例では、反復外乱の十分な補正が学習されたときに、学習アルゴリズム(または更新規則)がオフに切り換えられることに留意されたい。これは、例えば時間の経過と共に、かつ/または動作パラメータの変化と共に過渡挙動が変化するので、放射源過渡補償に適していない。この後者の側面が、学習係数および忘却係数のような調整パラメータの導入を動機付けている。フィード・フォワード制御装置の特定の実施形態では、パラメータ値λ=0.85およびμ=0.5が使用される。
【0039】
堅固フィルタQ(z)は、放射源に存在する場合がある寄生ダイナミックスにかかわらずに学習アルゴリズムの収束を保証する。ナイキスト周波数に正規化されたフィルタQ(z)の設計が、学習フィード・フォワード補正方法を繰返し率とは無関係にする。堅固フィルタQ(z)の位相挙動に特に注意を払う。そのようなフィルタ作用によって導入される位相は補正項のタイミング・アスペクトを損なわせる場合があるので、ゼロ位相フィルタリング、または線形位相挙動を有するフィルタが適用される。次の補正項[fb+1]がバースト休止中に計算されるので、そのような技法の適用が可能である。特定の実施形態では、堅固フィルタQ(z)は、繰返し率の0.25倍のカットオフ周波数をもつ2次低域フィルタである。そのようなフィルタを用いて、フォワードおよびリバース・デジタル・フィルタリングが行われ、その結果、正確にゼロの位相歪、およびフィルタの振幅応答の平方によって修正された(すなわち効果的に4次のフィルタリング)振幅が得られる。また、フィルタ過渡効果が補正ベクトル[fb+1]の開始時に情報内容に悪影響を及ぼさないように、フィルタの初期状態に特に注意を払う。堅固フィルタQ(z)、学習係数μ、および忘却係数λの間に何らかの依存性があることに留意されたい。
【0040】
予測フィルタB(z)の実現は、(デッド・ビート制御が行われるように)放射源の構造ダイナミックス、および最低次制御設計に直接依存している。標準のILC設計によれば、フィルタB(z)は、理想的には、プロセス感度の逆数として設計され、これは放射源に関してz(z/(z−1))である。このフィルタの一部は加算器と同一であるので、さらに、B(z)=zと単純化することができ、それと共に、(加算器z/(z−1)である)制御装置12の前に補正項を注入する。予測フィルタB(z)のわずかな変化の場合は、図4の制御装置12の後に補正を注入することもでき、これはすなわち、図3のフィード・フォワード項Epcorrの注入点に従うことに留意されたい。一般に、例えば最小ではない位相挙動により、理想的な予測フィルタの近似を設計しなければならない。しかし、放射源に関して見出された最低次モデルおよび関連する制御設計により、(理想的な)予測フィルタは、1ステップ先の予測に単純化する。補正項のこの1ステップ先の予測は、補正項[fb+1]がバースト休止中に計算され、次のバーストの開始時に完全に利用可能なので、簡単に行われる。
【0041】
上で提案された学習フィード・フォワード補正アルゴリズムは、リアルタイム方法とみなすことができ、過渡および/または寄生効果が存在しないと仮定すると、(デッド・ビート)制御レーザ・システムの性能に測定可能な悪影響を導入しない。
【0042】
実施形態2
本発明の第2の実施形態は、以下で説明する制御システムの構成以外は第1の実施形態と同じである。
【0043】
第2の実施形態は、図5に示される集積制御システムを有する。この制御システムは、制御装置20を使用して、エネルギー・センサESによって測定されるパルス・エネルギーに基づいた閉ループ・フィードバック制御を提供する。制御装置20は、パルス当たりの目標エネルギーを計算して基板レベルに所望の照射線量を送達するため、および後続のパルスで前のパルス・エネルギーの誤差を補償するためのアルゴリズムと、レーザ・キャビティLCに印加しなければならない励起電圧HVを計算して、必要なエネルギーのパルスを送達するためのアルゴリズムとを組み込む制御戦略を操作する。また、制御アルゴリズムは、フィード・フォワード・アルゴリズムを組み込むことができ、エネルギー・センサESの下流で生じる例えばレンズ加熱によるレーザでの外乱の影響、および予測される他の影響を補償する。制御装置20は、可変減衰器VATを制御することもできる。可変減衰器は、Epの必要な振幅変動が、ある持続時間にわたってレーザをその操作Ep範囲外で動作させるほど十分大きいときに使用することができる。また、可変減衰器を使用して、比較的低い周波数変動をもたらすことができ、その一方で、高電圧を使用して比較的高い周波数変動をもたらすことができる。
【0044】
実施形態3
本発明の第3の実施形態は、以下で説明し、図6に図示する制御システムの構成以外は第1の実施形態と同じである。このシステムでは、2つの制御装置21、22を採用して、内側および外側制御ループを形成する。内部制御ループは、レーザ・キャビティLC、フォトセルPC、および内部制御装置21を備える。これは、フィードバック制御を行って、フォトセルPCによって測定されるエネルギーであって、可変減衰器VAT、照明光学系IL−O、エネルギー・センサES、および外側制御装置22からなる外側制御ループによって供給される目標点PCrefに等しいエネルギーを有するパルスを出力する。第2の実施形態と同様に、この制御アルゴリズムもフィード・フォワード・アルゴリズムを組み込むことができ、エネルギー・センサESの下流で生じる例えばレンズ加熱によるレーザでの外乱の影響、および予想される他の影響を補償する。また、外側制御ループは、基板レベルに所望の照射線量を送達するのに必要なパルス当たりの平均エネルギーを表す外部提供目標点ESrefに従うフィードバック・ループである。この構成の利点は、内側制御ループと外側制御ループを個別に設計し、テストし、較正することができ、外側制御ループを、様々な光源に関して使用することができることである。
【0045】
性能尺度
本発明の制御ループ、および/または一般に(エネルギー)制御放射システムの性能を測定するために、移動平均および移動標準偏差性能尺度が、以下に記載するように、以下のいくつかのパラメータを使用して定義される。
scan=スキャン速度[mm/s]
slit-e=実効照明領域幅[mm]
slit-t=総照明領域幅[mm]
die=目標部分の長さ[mm]
die=目標部分の幅[mm]
RR=レーザ繰返し率[Hz]
スリットでの所望の強度は、近似的に台形の断面を有する。Wslit-eは、プラトー強度の半分での幅であり、Wslit-tは、台形の底辺での幅である。このとき、実効スリットでのパルスの数Nslit-eは、(パルス量子化の効果を無視すると)
【数1】
Figure 0004202181
である。同様に、総スリットでのパルスの数Nslit-tは、
【数2】
Figure 0004202181
である。演算子FLOORは、オペランドを、最も近い整数まで(ゼロに向けて)下げて丸める。ダイ・スキャンでのパルスの数Nscanは、
【数3】
Figure 0004202181
である。スキャンの全長は、
scan=Ldie+Wslit-t (5)
によって与えられることに留意されたい。[mm]単位でのパルス当たりの基板変位δは、
【数4】
Figure 0004202181
である。以下のように、ベクトル[startvalue:incrementvalue:endvalue]に関する表記を使用して、離散時間ベクトルを離散位置ベクトルに対応させることができる。
【数5】
Figure 0004202181
ここで、ベクトルの2つの連続する要素間の数的な差が、incrementvalueと定義されている。このようにすると、1回の露光でのパルスの数kが、露光の特定の時間インスタンスtk、および目標部分での特定の位置xkを指す。厳密には、パルス当たりの特定の基板変位δおよび目標部分幅Wdieと組み合わせたxkが、目標部分での、[mm2]単位での特定の位置領域Akに関連付けられる。
k=Wdie・((x0+k・δ)−(x0+(k−1)・δ))=Wdie・δ
(k=1...Nscan) (8)
これは当然、一定のサイズを有する。
【0046】
インスタンスk=0は、スキャンの直前の最後の時間インスタンスまたは位置であり、パルスが発しない。これは、領域Akの定義に合致し、A0に関しては定義されない(上の定式を参照のこと)。
【0047】
インスタンスk=Nslit-tは、目標部分での第1の領域が完全な照射線量を受けとった瞬間である。これは、領域A1−A(Nslit-t-1)が完全な照射線量を受けず、したがって目標部分の一部がレチクル・マスク・ブレードによって遮られることを意味し、レチクル・マスク・ブレードは、露光の開始時に照明領域を開く。
【0048】
インスタンスk=Nscan−(Nslit-t−1)は、目標部分での対応する領域が完全な照射線量を受ける最後の瞬間である。すなわち、完全なスリット幅にわたるパルスが与えられる最後の瞬間である。パルスNscan−(Nslit-t−1)+1から、レチクル・マスク・ブレードが徐々に閉じる(すなわち照明領域を閉じる)。
【0049】
インスタンスk=Nscanは、目標部分の露光の最後のパルスである。この瞬間の後、レチクル・マスク・ブレードが完全に閉じられる。
【0050】
目標部分上の位置xkでレジストによって受けられる照射線量D(xk)は、パルス・エネルギーEp(i)の和によって近似される。
【数6】
Figure 0004202181
したがって、位置xkでの[mJ]単位での照射線量誤差DE(xk)は、
【数7】
Figure 0004202181
によって与えられる。このDE(xk)は、スリットでのパルス当たりのエネルギー誤差の移動平均(MA)に密接に関係する。
【数8】
Figure 0004202181
照射線量誤差に関する正規化指標を見出すために、DE(xk)が、必要な照射線量によって割られる。これにより、上述したMAE(xk)の正規化バージョンが得られる。
【数9】
Figure 0004202181
ここで、Epref(i)およびEperr(i)は、点iに関するパルス当たりの基準エネルギーおよびパルス当たりのエネルギー誤差を示す。式(12)で与えられるパルス当たりのエネルギー誤差のこの正規化移動平均MAE,n(xk)は、目標部分位置xkでの相対照射線量誤差に関する指標である。この指標の値は、パーセンテージで表すことができ、例えば0〜5%である。
【0051】
照射線量誤差に加えて、パルス・エネルギー誤差が、露光中に高い周波数変動を有する場合がある。この効果は、移動標準偏差(MSD)によって特徴付けられ、これは、[mJ]単位での移動平均(MA)と比べたエネルギー・パルス誤差の標準偏差に等しい。
【数10】
Figure 0004202181
パルス当たりの必要エネルギーEprefの絶対値に依存しないこの指標の正規化バージョンは、
【数11】
Figure 0004202181
によって与えられる。この指標も、パーセンテージで表すことができ、例えば0〜100%である。
【0052】
k=0では、MAおよびMSDの値が定義されておらず、パルスが発しない。これは、領域A0も定義されないことに合致する。
【0053】
k=[1...(Nslit-e−1)]では、目標部分でのどの領域もそれまでに完全な照射線量を受けていないので、MAおよびMSDの値はゼロと定義される。すなわち、MAE,n(xk)≡0およびMSDE,n(xk)≡0である。
【0054】
この章の始めに述べたように、スリットでの強度は、近似的に台形の断面を有する。そのような台形の形状または任意の他の形状を、スリットでのパルスの総数Nslit-tにわたって足し、各パルスに適切な重み係数を加えることによって、例えば式(12)および(14)の性能指標に組み込むことができる。上述した改良を伴ってMAE,n(xk)を計算することにより、基板での実際の照射線量誤差にさらに近い類似性をもつ性能指標が得られる。
【0055】
特定の装置に関して、様々な設定(パルス・エネルギー、繰返し率など)でのレーザを用いた一連のテスト・ランが行われる。テスト・ラン中、パルス・エネルギーは、エネルギー・センサESを用いて測定され、かつスポット・センサSSを用いて基板レベルで測定される。移動平均MAおよび移動標準偏差MSD指標は、エネルギー・センサ・データから計算され、かつスポット・センサ・データから個別に計算される。これは、エネルギー・センサで測定されたMAおよびMSDの結果と、基板レベルでのMAおよびMSDの結果との関係を求めることができるようにする。次いで、露光中のエネルギー・センサ出力からMAおよびMSDの値を計算することにより、オンライン性能尺度が提供される。
【0056】
これらの指標の有用性は、以下に述べるように図7〜18で実証される。
【0057】
図7および8は、リソグラフィ装置の照射線量精度および再現性の試験からの生の高電圧HVおよびパルス・エネルギーEpを示し、図9および10は、Epref=2.35(mJ/パルス)/cm2およびNslit-e=50で上述したように計算されたMAおよびMSDの値を示す。テストは、基板の代わりにスポット・センサを使用して様々な照射線量設定を用いて一連のテスト露光を行うことを含む。対象の装置は、例えば目標部分の中央に送達される総照射線量が十分に1%の制限範囲内に入るので、従来の試験を通る。それにもかかわらず、テスト中に改善されてはいるが、制御されたシステムが安定性の境に近いことを、大きなパルス間変動が示す。これは、やはり大きなパルス間変動を示すMA値と、テストの開始時に高く、システムの安定性が改善されるにつれて下がるMSD値とによって定量化される。いくつかのMA値は、スキャンの開始時に受入可能な性能制限に近い、またはそれよりも高い。
【0058】
装置の再較正後に行われた第2のテスト・セットの結果が、図11〜14に示されており、これはそれぞれ図7〜10に対応する。再較正後、従来の試験の結果が非常に類似しているが、生のHVおよびEpデータは第1のテストよりもはるかに小さく変動し、はるかに高い安定性の制御システムを示し、さらに、MA値のより小さな変動、およびMSD値のはるかに小さな振幅に反映されている。
【0059】
上述したように、従来の試験は、安定性の境にある再較正前の装置と、はるかに高い安定性をもつ再較正後の装置とを区別しない。最初の装置は、従来のテストで指定される制限範囲内で動作するが、その性能を制限範囲外にする可能性があるレーザの応答の変化や、スリット幅内のパルスの数の低減など状態の変化の影響を受けやすい。これは、本発明のMAおよびMSD指標を用いて示すことができる。図15〜18は、上述した、しかしスリット内のパルスの数Nslitを50ではなく25で再計算した第1および第2のテストからのMA値およびMSD値を示す。図15に示される第1のテスト結果から再計算したMA値は大幅に増大し、一方、図17に示される第2のテストからの値は比較的小さく保たれていることがわかる。同様に、図16に示される第1のテストに関する再計算したMSD値はより高いピークを有し、より大きな変動性を示し、一方、図17に示される第2のテストからの値は低いままで、比較的一定である。
【0060】
上述したことから、十分なMAおよびMSDが、装置の性能のより完全な状況を与えると共に、各ピーク値がまた、装置の性能の良好な表示も与えることを理解されたい。
【0061】
制御システムの較正
上述した性能指標は、制御システムを微調整することができるようにし、それによりデッド・ビート制御、すなわち状態が変化する際にオーバーランまたは振動がない臨界減衰システムを提供する。レーザの応答が、レーザがパルスを発する繰返し率とは無関係な単純な時間遅延z-1である場合、制御システムは、加算器z/(z−1)として実装することができ、そのパラメータは、MAおよびMSD性能指標に関して調節することができる。
【0062】
周波数領域でのMA性能指標の解釈は、例えばデッド・ビート制御を近似する精度、または有用とみなすことができる変動パルス・エネルギー基準信号のタイプなど、放射源の性能および較正に関する仕様を決定する代替方法を提供する。例えば、較正に関する前記仕様を、必要なHV−Ep較正精度に関する仕様に変換することができる。MA性能指標の周波数領域解釈の利用は、制御装置に関する完全な設計、およびレーザ・システムの使用に影響を及ぼし、HV−Ep較正の精度仕様のみよりもはるかに広い。
【0063】
ここで、パルス当たりのエネルギーに関して変動基準Eprefが適用されるとき、本発明で述べられる全ての方法が、十分に機能的であることを強調しておく。
【0064】
1次の閉ループ制御装置を備える制御システムに基づいて、パルス・エネルギー/高電圧ゲインおよび関連するオフセット値(HV−Ep較正)を求めるための2つの異なる方法が実施される。2つの方法は、第1の方法が、(オフラインHV−Ep較正によって示される)テスト・ランを使用するステップを含み、第2の方法では、HV−Ep較正が、実際の露光中(すなわち、オンラインHV−Ep較正によって示される製造中)に得られるデータを用いて行われる点で区別される。
【0065】
オフラインHV−Ep較正は、パルス当たりの基準エネルギーに課せられる正弦信号を提供し(または、制御ループ内の別の点で正弦波を注入し)、制御されたシステムでの特定の信号(1つまたは複数)を監視する。次いで、現行の制御装置およびHV−Ep較正の設定と共に、前記課せられた正弦信号と、監視される(中間)信号(1つまたは複数)との関係から、新たなHV−Ep較正パラメータ(ゲインおよびオフセット値)が計算される。課せられた正弦信号は、周波数、振幅、および期間の数に関して調整される。この新たに提案されたオフラインHV−Ep較正スキームは、同じ精度での較正に時間がかからず、パルスが少なくてよい点で、現行のHV−Ep較正方法に勝る利点を提供する。
【0066】
オンラインHV−Ep較正は、リソグラフィ装置内の制御放射源のパルス間データにすでに含まれている情報を利用することを目指している。あらゆる放射源のパルス当たりのエネルギーで生じるピーク間変動により、情報は、前記パルス間データにすでに含まれている。HV−Ep較正パラメータは、例えば予測誤差技法を適用することによって、最低次制御システムの構造上の知識と共に、(通常の露光中に制御システム内の特定の信号から得られる)パルス間データから得ることができる。HV−Ep較正の精度をさらに改善するために、あらかじめ選択された信号、例えば高周波数正弦波を、制御システム内に注入することができ、それにより制御システムに追加情報をもつデータを与える。この注入される信号は、照射線量制御性能に影響を与えないように設計される。そのような信号の設計は、上で定義した性能尺度によって導かれる。
【0067】
本発明の特定の実施形態を上述してきたが、本発明を上述した以外の方法で実施することもできることを理解されたい。本説明は、本発明を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるリソグラフィ投影装置を示す図である。
【図2】図1の装置の放射源およびいくつかの他の構成要素を示す図である。
【図3】図1の装置の放射源に関する制御システムを示す図である。
【図4】図3の制御システムに追加されるフィード・フォワード制御装置を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の放射源に関する制御システムを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の制御システムを示す図である。
【図7】本発明の性能尺度を示す図である。
【図8】本発明の性能尺度を示す図である。
【図9】本発明の性能尺度を示す図である。
【図10】本発明の性能尺度を示す図である。
【図11】本発明の性能尺度を示す図である。
【図12】本発明の性能尺度を示す図である。
【図13】本発明の性能尺度を示す図である。
【図14】本発明の性能尺度を示す図である。
【図15】本発明の性能尺度を示す図である。
【図16】本発明の性能尺度を示す図である。
【図17】本発明の性能尺度を示す図である。
【図18】本発明の性能尺度を示す図である。
【符号の説明】
LA 放射源
Ex ビーム拡大器
IL 照明装置
Ex、IL 放射システム
AM 調整手段
IN 積分器
CO 集光器
PL 投影システム
R マスク(レチクル)
MT 第1の物体テーブル(マスク・テーブル)
C 目標部分
PB 投影ビーム
W 基板(ウェハ)
WT 第2の物体テーブル(基板テーブル)
HVPS 高電圧電源
LC レーザ・キャビティ
VAT 可変減衰器
MEM メモリ
20、21、22 制御装置

Claims (6)

  1. パルス放射源を含む、放射の投影ビームを提供するための放射システムと、
    所望のパターンに従って投影ビームをパターン形成するように使用されるパターン形成手段を支持するための支持構造と、
    基板を保持するための基板テーブルと、
    パターン形成されたビームを基板の目標部分に投影するための投影システムと、
    前記投影ビームのパルスのエネルギーを制御するための制御システムとを備え、
    前記制御システムが、1次の閉ループ制御装置を備えることを特徴とするリソグラフィ投影装置。
  2. 前記閉ループ制御装置が、増幅器と1次積分器とを備える請求項1に記載の装置。
  3. 前記制御システムが、デッド・ビート制御またはそれに近い近似を行う請求項1または請求項2に記載の装置。
  4. 前記制御システムが、前記パルス放射源の繰返し率と無関係である請求項1、請求項2、または請求項3に記載の装置。
  5. 前記制御システムがさらに、状態の変化により生じる過渡効果を補償するために補正を提供するためのフィード・フォワード制御装置を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 感放射線材料の層で少なくとも部分的に覆われている基板を提供するステップと、
    パルス放射源を含む放射システムを使用して放射の投影ビームを提供するステップと、
    パターン形成手段を使用して前記投影ビームの断面にパターンを与えるステップと、
    前記パターン形成された放射のビームを感放射線材料の前記層の目標部分に投影するステップとを含み、さらに、
    1次の閉ループ制御装置を使用して前記放射源を制御するステップを含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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