JP3722200B2 - 放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及び放電励起ガスレーザ装置 - Google Patents
放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及び放電励起ガスレーザ装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置の光源として用いられる露光用エキシマレーザ装置や露光用フッ素レーザ装置等の露光用放電励起ガスレーザ装置の出力を一定に制御するエネルギー制御方法及びそれを用いた放電励起ガスレーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体露光装置では、露光とウエハ移動が交互に繰り返し行われるため、光源として用いられるエキシマレーザ装置は、いわゆるバーストモードで運転される。このバーストモードとは、図7に示すように、レーザ光を所定回数連続パルス発振させた後、所定時間パルス発振を休止させる運転を繰り返し行うことを言う。図7では、バーストib−1,ib,ib+1が連続パルス発振期間で、それらの間休止期間が取られる。
【0003】
ところが、放電励起ガスレーザ装置の特徴として、レーザ媒質励起のためのエネルギー(後で説明する電気エネルギー)入力が一定であっても、レーザ発振開始直後に急激に出力が減少し、その後出力が安定するという特徴がある(後で説明する従来技術の特開平11−214783号では、スパイキング現象、同特開平11−191653号では、K領域に相当する。)。
【0004】
したがって、レーザ媒質励起のためのエネルギー入力が一定であるバーストモードにおいては、所定回数連続パルス発振する期間(以下、バーストと称する。)のレーザ開始直後には、図8に示すように、毎回このような急激な出力減少が発生する。このため、放電励起ガスレーザ装置を露光用光源として用いるためには、充電電圧等を制御して、この出力特性を一定にする必要がある。
【0005】
エキシマレーザ装置のレーザ出力は、高電圧パルス発生装置に搭載されるコンデンサに蓄積される電気エネルギーをレーザガスが充填されたレーザ容器の放電空間に投入してレーザガスを励起することにより得られる。そのため、レーザ出力の値は、このコンデンサへの充電電圧の値に依存する(図1)。
【0006】
一方、近年の半導体露光装置では、半導体の高集積化に伴い、チップ上を一括に露光するいわゆるステッパから、線状のビームによりチップ内をスキャンするスキャナーが主流になりつつある。これは、スキャン方式の方が、集光ビームの幅が狭いため、レンズ系の高NA化(高精度化)を図ることができるためである。
【0007】
スキャナーにおいては、図9に示すように、1チップ上を所定のピッチずつレーザビームを移動させて露光する。上記移動ピッチΔpは、1チップ上の任意の点が所定パルス数Nsだけ露光されるよう設定される。図9は、例えばNs=3となる例であり、レーザ光は、E1,E2,E3,E4,・・・のようにピッチΔpずつ1チップ上をスキャンしている。そして、1チップ上の各点A,B,Cのドーズ量(露光量)は、レーザパルス3パルス分となる。
【0008】
以上のように、近年、スキャナーが主流となりつつある傾向により、光源としての放電励起ガスレーザ装置には、レーザ出力の安定度(σ)よりも、レーザパルスの出力の移動平均出力値(例えば、図9の例では、1チップ上の各点A,B,Cのドーズ量)の安定性が望まれている。
【0009】
すなわち、次式で定義される移動平均出力値エラー(移動平均出力値偏差)ΔDができるだけ小さい方が望ましい。
【0010】
ここで、
Ns:1チップ上の任意の一か所に照射されるパルス数(例えば、50)
E(k):k番目のレーザパルスの出力(エネルギー)値
Es:各レーザパルスの目標レーザ出力値(エネルギー目標値)
である。
【0011】
なお、移動平均出力値偏差ΔDは、次式で定義することもある。
【0012】
すなわち、前者が移動平均出力値偏差ΔDを「ドーズ量偏差(出力偏差の積算値)の目標ドーズ量(目標レーザ出力積算値)に対する割合」で定義しているのに対し、後者は移動平均出力値偏差ΔDを「1チップ上の任意の一か所にNs回照射されるレーザパルスの1パルス当たりの平均ドーズ量偏差」で定義している。
【0013】
レーザ開始直後に急激に出力が減少し、その後出力が安定するという特性があるエキシマレーザ装置の出力特性を一定にするための従来の出力制御方法(特開平11−214783号)では、以下のような制御方法が提案されている。
【0014】
▲1▼バースト内の制御領域をバースト初期(学習制御)とそれ以降(各パルス制御)の2つの領域に分ける。
【0015】
▲2▼バースト初期を、前のバーストからの学習制御を行う。すなわち、
V(ib,is) = V(ib-1,is) + G1×(Es-E(ib-1,is))
ここで、
Es:エネルギー目標値
ib:バーストの番号
is:レーザパルス数
V(ib,is) :バーストib、パルス数isのときの高電圧パルス発生装置に搭載されるコンデンサの充電電圧(指令電圧値)
E(ib-1,is):バーストib-1、パルス数isのときの出力エネルギー値
G1:比例係数
である。
【0016】
▲3▼それ以降を、毎パルス制御を行う。すなわち、
V(ib,is) = V(ib,is-1) + G2×(Es-E(ib,is-1))
ここで、
G2:比例係数
である。
【0017】
基本的に、この従来の制御方法では、バースト初期の充電電圧を、前のバーストの同じパルス数の充電電圧と出力結果より求める構成をとっている。基本的に、バースト初期の特性(連続パルス発振開始直後の特性)は、前述したように急激な出力減少領域であり、このような制御方法を繰り返すことにより、学習制御領域の全てのパルスを目標出力に近づけることが可能となる。
【0018】
しかしながら、この従来の第1の制御方法の場合、学習制御領域の全てのパルスが、目標出力を下回る場合、及び、上回る場合等、移動平均出力値で考えた場合、大きくエラーが生じるバーストが生じてしまう。これは、移動平均出力値の安定性が重要である最近のスキャナー型露光装置の場合、大きなデメリットとなってしまう。
【0019】
これに対し、他の従来の出力制御方法(特開平11−191653号)では、以下のような制御方法が提案されている。
【0020】
▲1▼バースト内の制御領域をバースト初期(KPI制御)とそれ以降(PI制御)の2つの領域に分ける。
【0021】
▲2▼バースト初期(KPI制御領域)を、前のバーストからの学習制御を行う。すなわち、
V(ib,is) = Vb(ib-1,is) −Vc(ib,is-1)
ここで、
Vb(ib-1,is) :前のバーストのパルス数isまでの指令電圧値と出力結果より求めた電圧であり、出力偏差(エネルギーエラー)と積算出力値偏差の両方を考慮した値
Vc(ib,is-1) :今回のバーストのパルス数is-1までの出力偏差(エネルギーエラー)と積算出力値偏差の両方を考慮して求めた電圧補正値
である。なお、上式の詳細は以下の通りである。
【0022】
ここで、
D(ib,is-1):バーストibにおける最初のパルス1から前のパルスis-1までのドーズ量の偏差
A,B:0と1の間である重み係数
C :0と1の間である重み係数
である。
【0023】
▲3▼それ以降(PI制御)を、前のパルスの出力偏差と前のパルスまでの全ての積算出力値偏差により制御する。すなわち、
V(ib,is) = V(ib,is-1)-dV/dE { A・dE(ib,is-1)+ B・D(ib,is-1)}
基本的に、この制御方法では、バースト初期の電圧を、前のバーストの同じパルス数の電圧と出力結果、及び、今回のバーストの電圧と出力結果の両方から求めると共に、出力偏差と積算出力値偏差の両方を考慮する構成をとっている。この制御方法の場合、バーストの1パルスのみは、前述の第1の従来例と同じ制御になる。この制御の場合、バースト初期のKPI制御領域において、出力偏差と積算値偏差の両方を考慮しているために、移動平均出力値がバースト初期に悪化することなく、制御が可能である。
【0024】
しかしながら、KPI及びPI領域において、バーストの1パルス目から前のパルスまでの全ての積算値の偏差を考慮しているために、本来、一か所の照射量である移動平均出力値で見た場合に、余分な出力結果を含んでしまうという欠点がある。さらに、連続発振開始直後には、急激な温度上昇が生じるため、前のバーストの同じパルスの電圧のみを参考にしている従来例のバースト初期の制御方法では、完全に追従できないという問題があった(第1の従来例も同様)。基本的に、バースト開始直後には、電極表面温度及び回路の急激な温度上昇が生じ、バースト間のレーザ出力の急激な変動が生じる。
【0025】
さらに、従来例において、比例係数(第1の従来例の場合、G、もう1つの従来例の場合、dE/DV)を正確に求めること、及び、動作に応じて更新することの重要性が述べられている。
【0026】
第1の従来例の場合、調整発振(連続パルス発振前の予備動作)において、入出力特性を計算し、比例係数を求めている。
【0027】
この場合、連続パルス発振中に比例係数が更新されないために、フッ素(F2 )濃度の変化による比例係数の変化に対応できないという欠点がある。
【0028】
第2の従来例の場合は、連続パルス発振動作中に通常制御を中止し、微小に電圧を増加させた場合の入出力特性により、比例係数を求めている。
【0029】
この場合は、連続パルス発振中に比例係数が更新されるが、比例係数を求める制御を行った段階で、移動積算出力値の安定性が悪化する可能性がある。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エキシマレーザ装置等の放電励起ガスレーザ装置において、バースト初期の移動平均出力値偏差の値を小さくすると共に、連続パルス発振開始初期の急激な温度上昇による入出力特性の変化に対応し、正確な比例係数を求めると共に、制御を乱すことなく比例係数を更新する放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及びその方法を用いた放電励起ガスレーザ装置を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法は、所定時間の連続パルス発振と所定時間の休止を繰り返すバースト動作モードで動作する放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法において、
前記レーザ出力制御は、レーザ媒質へエネルギーを注入するための高電圧パルス発生装置への指令電圧値を制御することにより行われ、
この指令電圧値の制御は、バースト当初の予測制御モードと、それに続く移動平均出力制御モードとを少なくとも含み、
前記予測制御モードは、各連続パルス発振初期の所定数のパルスに対し、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスに用いられた電圧補正量dVp(ib-1,is) を、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスの出力結果E(ib-1,is)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib-1,is)を用いて補正し、この補正値dVp(ib,is) と前回の連続パルス発振時終盤の複数個の指令電圧値から求めた基準電圧Vstart(ib-1)とを用いて今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する予測制御モードであり、
前記移動平均出力制御モードは、今回の連続パルス発振時のis-1番目のパルスに用いられた指令電圧値V(ib,is-1)を、放電励起ガスレーザ装置の使用形態で決まる移動積算パルス数をNsとするとき、is-Ns 番目(この整数が0以下になる場合は1番目)からis-1番目までの移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1)と、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)とを所定の比率で加算することにより、今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する移動平均出力制御モードである、
ことを特徴とする方法である。
【0032】
この場合、前記移動平均出力制御モードに続いて、
今回の連続パルス発振のis-1番目のパルスの指令電圧値V(ib,is-1) を、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)を用いて補正して今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定するエネルギー制御モードを含む、
ように構成することが望ましい。
【0033】
また、前記予測制御モード、及び、前記移動平均出力制御モードにおけるパルスの出力結果とエネルギー目標値との偏差ΔE を電圧値に変換するのに使用される比例係数Kを、所定時間の連続パルス発振が終了する毎に更新するようにすることが望ましい。
【0034】
その場合、比例係数Kの更新は、今回の連続パルス発振時に使用した比例係数K(ib)と、今回の連続パルス発振時において設定した複数個の指令電圧値に対する出力結果のデータを用いて計算した比例係数 calK(ib)とを所定の比率で加算して次回の連続パルス発振時の比例係数K(ib +1) とすることにより行うことができる。
【0035】
また、連続パルス発振終了後次回の連続パルス発振時に、前記予測制御モードにおいて使用される基準電圧Vstart(ib+1) が、今回の連続パルス発振時において使用した基準電圧Vstart(ib) と、今回の連続パルス発振時の終盤における複数個の指令電圧値の平均値 calVstart (ib)とを所定の比率で加算することにより定めるようにすることが望ましい。
【0036】
本発明の放電励起ガスレーザ装置は、レーザガスが充填され放電空間を有するレーザ容器と、この放電空間に高電圧パルスを印加することにより放電エネルギーを投入して前記レーザガスを励起する高電圧パルス発生装置と、レーザ出力を測定するレーザ出力モニタと、出力モニタからの出力データを基に前記電圧パルス発生装置への指令電圧値を設定するコントローラとを有する放電励起ガスレーザ装置において、
このコントローラは、バースト当初の予測制御手段と、それに続く移動平均出力制御手段とを少なくとも含み、
前記予測制御手段は、各連続パルス発振初期の所定数のパルスに対し、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスに用いられた電圧補正量dVp(ib-1,is) を、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスの出力結果E(ib-1,is)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib-1,is)を用いて補正し、この補正値dVp(ib,is) と前回の連続パルス発振時終盤の複数個の指令電圧値から求めた基準電圧Vstart(ib-1)とを用いて今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する予測制御手段であり、
前記移動平均出力制御手段は、今回の連続パルス発振時のis-1番目のパルスに用いられた指令電圧値V(ib,is-1)を、放電励起ガスレーザ装置の使用形態で決まる移動積算パルス数をNsとするとき、is-Ns 番目(この整数が0以下になる場合は1番目)からis-1番目までの移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1)と、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)とを所定の比率で用いて補正することにより、今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する移動平均出力制御手段である、
ことを特徴とするものである。
【0037】
本発明においては、バーストのスパイク領域初期(予測制御領域:P領域)において、前のバーストの同じパルス数の出力偏差ΔE(ib-1,is) を用いるばかりではなく、前のバーストの直前の制御電圧の結果Vstart (基準電圧)をも用いて、指令電圧値を定めているので、連続パルス発振(バースト)開始初期の急激な温度上昇に伴う特性の変化に追従できる。
【0038】
また、スパイク領域初期に続く領域の制御(移動平均出力制御:D領域)において、露光装置の使用形態を前提にして、1か所に照射する移動積算パルス数Ns における移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1) を考慮した制御を行っているため、スキャナーによる露光量を安定化させることができる。
【0039】
また、スパイク領域の後の通常の定常発振領域(E領域)制御中において比例係数Kを計算により求め、かつ、一定の割合で更新しているため、調整発振等を行う必要がなく、また、制御を乱すことなく、レーザ装置の特性の変化に対応することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及び放電励起ガスレーザ装置の実施形態を説明する。
【0041】
図1に、本発明の出力制御方法を適用する露光用ArFエキシマレーザ装置のブロック図を示す。
【0042】
レーザ容器1より放出されたレーザ光の一部はビームスプリッタ2、3により出力モニタ4、波長モニタ5に導かれる。波長モニタ5に導光されたレーザ光は、波長並びにスペクトル線幅がモニタされ、測定データはコントローラ6に送出される。コントローラ6は、波長モニタ5より受け取ったデータの波長の値と所望の波長とを比較して狭帯域化モジュール7を駆動制御してレーザ光の波長の安定化を行う。
【0043】
出力モニタ4に導光されたレーザ光は、出力がモニタされ、測定データはコントローラ6に送出される。
【0044】
また、露光装置9は、所定の仕様に基き、バースト開始信号並びにバースト終了信号をコントローラ6に送出する。
【0045】
コントローラ6は、露光装置9からのバースト開始信号並びにバースト終了信号に基き、高電圧パルス発生装置8からレーザ容器1内の放電電極に印加される高電圧パルスの繰返し周波数や回数を制御する。その際、バーストの順番ib、バースト内でのパルス数isをカウントし、出力モニタ4より送られてくるレーザ出力値Eと、バーストの順番ib、バースト内でのパルス数isとを関連づけ、レーザ出力データをE(ib,is) として記憶する。
【0046】
そして、上記レーザ出力データや、予め記憶しておいた各種パラメータ(後述)に基き、以下に示すように、高電圧パルス発生装置8のコンデンサの充電電圧を制御して、バーストモードでの出力の一定化制御を行う。
【0047】
ここで、上記コンデンサへの充電は、高電圧パルス発生装置8が具備する充電器(チャージャー)により行われる。この充電器によりコンデンサは任意の充電電圧に充電される、この充電電圧の制御がコントローラに6より行われる。
【0048】
所望の充電電圧をVとするとき、コントローラ6は、高電圧パルス発生装置8の充電器に指令電圧値V(=充電電圧値)のデータを送出する。充電器は、この指令電圧値Vのデータに基き、コンデンサの充電電圧がVとなるように供給する電力を制御する。
【0049】
充電されたコンデンサの電荷は、高電圧パルス発生装置8が具備する放電用コンデンサ(いわゆるピーキング・コンデンサ)に移行し、放電用コンデンサよりレーザ容器1内の一対の主電極に高電圧が印加される。そして、その主電極間の電圧が絶縁破壊電圧に到達すると、主電極間で放電が開始し、放電用コンデンサに移行していた電荷が放電に供給され、レーザガスが励起され、レーザ発振が行われる。
【0050】
すなわち、前記したように、レーザ出力は、高電圧パルス発生装置8に搭載されるコンデンサに蓄積される電気エネルギーを放電用コンデンサを介してレーザガスが充填されたレーザ容器1の放電空間に投入してレーザガスを励起することにより得られる。そのため、レーザ出力の値は、主電極間での放電電圧に依存する。放電電圧は充電電圧に比例することになる。すなわち、レーザ出力の値は指令電圧値Vに依存することになる。
【0051】
そして、本発明の出力制御は、図2に示すように、充電電圧が一定の場合にはレーザ出力がレーザ発振開始直後急激に減少するバーストにおける制御領域をバースト初期から順に3つの制御領域(P,D,E)に分割して、各制御領域毎に別々の制御を行う。基本的に、P領域は数パルス程度、D領域は30〜50パルス程度の領域、E領域は残りのパルスの領域であり、定常発振領域である。これらの領域P,D,Eにおける基本的な制御内容は以下の通りである。
【0052】
すなわち、制御対象パルスの属するバーストをib、バーストibにおけるパルス数をisとするとき、上記レーザパルス(ib,is)を発生させるための高電圧パルス発生装置8のコンデンサへの充電電圧値である指令電圧値V(ib,is) を設定する。
【0053】
以下、各領域について説明する。
【0054】
バースト開始直後の領域であるP領域は予測制御領域であり、このP領域では、V(ib,is) を以下に示す(1)、(2)式に基き設定する。
【0055】
V(ib,is) = Vstart(ib-1) −dVp(ib,is) ・・・(1)
dVp(ib,is)=dVp(ib-1,is)+ K×ΔE(ib-1,is) ・・・(2)
ここで、各項は以下の通りである。
【0056】
Vstart(ib-1):基準電圧=前回のバーストib-1終盤の定常発振領域における複数個の指令電圧値Vの平均値
ΔE(ib-1,is)=E(ib-1,is)−Es
:前回のバーストib-1における同じパルス数isのレーザ出力E(
ib-1,is)のエネルギー目標値Esに対する偏差
K :比例係数
上記のVstartの具体的な算出方法は後述する。
【0057】
(1)、(2)式の関係を図示すると、図3のようになる。ただし、この図では K×ΔE(ib-1,is) は負となっている。
【0058】
すなわち、上記予測制御領域(P)においては、
前回のバーストib-1で用いられた電圧補正量dVp(ib-1,is) を、
前回のバーストib-1の出力結果E(ib-1,is) とエネルギー目標値Esの偏差ΔE(ib-1,is) とを用いて補正し[dVp(ib,is) =dVp(ib-1,is) +K・ΔE(ib-1,is) ]、
この補正値dVp(ib,is) と前回のバーストib-1の定常発振領域から求めた基準電圧Vstart(ib-1)とを用いて充電電圧V(ib,is) を設定する。
【0059】
なお、dVp(1b,is) は予め設定しておく。
【0060】
次に、上記の予測制御領域Pに続く移動平均出力制御領域Dでは、V(ib,is) を以下に示す(3)、(4)、(5)式に基き設定する。
【0061】
ただし、
E(ib,k) :バーストib中のk番目のレーザパルスのレーザ出力(エネルギー)値
Es:各レーザパルスの目標レーザ出力値(エネルギー目標値)
Ns:1チップ上の任意の一か所に照射されるパルス数(移動積算パルス数)
ΔD(ib,is-1):パルス数is-1までの1パルス当たりの平均ドーズ量偏差(移動平均出力値偏差)
ΔE(ib,is-1)=E(ib,is-1)−Es
:直前のパルス数is-1のレーザ出力値E(ib,is-1)のエネルギー目標値Esに対する偏差
K :比例係数
A:重み係数(移動平均出力偏差を用いた制御とレーザ出力値偏差を用い制御の割合、典型的には0.5)
である。
【0062】
なお、移動平均出力値偏差ΔD(ib,is)を以下のように定めてもよい。
【0063】
ただし、
ΔD(ib,is-1):パルス数is-1までのドーズ量偏差の目標ドーズ量に対する割合(移動平均出力値偏差)
である。
【0064】
このD領域は、直前のレーザパルスのエネルギー目標値からの偏差のみならず、露光装置の使用形態における1チップ上の任意の一か所に照射されるパルス数での移動平均出力値のエラーに鑑みて充電電圧値を設定する。
【0065】
例えば、(a)前回のバーストにおける指令電圧値をそのときの出力結果を基に補正する場合(例えば、従来の第1の制御方法の学習制御)と、(b)今回のD領域の制御の場合の動作の相違例を図4に示す。
【0066】
図の(a)の場合、前回のバーストの出力結果、すなわち、前回のバーストにおける各レーザ出力のエネルギー目標値からの出力偏差ΔEに基いて指令電圧値V(ib,is) を制御しているので、そのとき移動平均出力値の目標値からの偏差ΔDが許容範囲外にあったとしても対応できない。
【0067】
一方、図の(b)の場合、直前のレーザ出力値の目標値からの偏差ΔE(ib,is-1)とそのときの移動平均出力値の目標値からの偏差に対応する移動平均出力偏差ΔD(ib,is-1)の両方に基き、制御している。したがって、▲1▼、▲2▼、▲3▼のように直前のパルスエネルギーの目標値からの偏差が許容範囲内にあっても、指令電圧値V(ib,is) は変更され、移動平均出力値の目標値からの偏差ΔDも許容範囲内に収められる。
【0068】
すなわち、D領域においては、
今回のバーストibで用いられた直前のレーザパルス(is-1)の指令電圧値Vp(ib,is-1) を、
直前のレーザパルス数is-1までの移動平均出力値エラーΔD(ib,is-1)と、
同じく直前のレーザパルス(パルス数is-1)の出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esの偏差ΔE(ib,is-1)とを所定の比率(A:1−A)で用いて補正して、
充電電圧V(ib,is) を設定する。
【0069】
次に、上記の移動平均出力制御領域Dに続くエネルギー制御領域Eでは、V(ib,is) を以下に示す(6)式に基き設定する。
【0070】
V(ib,is) = V(ib,is-1) −K ×ΔE(ib,is-1) ・・・(6)
ここで、
ΔE(ib,is-1)=E(ib,is-1)−Es
:直前のレーザパルス(パルス数is-1)のレーザ出力値E(ib,is-1)のエネルギー目標値Esに対する偏差
K :比例係数
である。
【0071】
すなわち、E領域においては、
直前のレーザパルス(パルス数is-1)の指令電圧値V(ib,is-1) を、
出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib-1,is)を用いて補正して、
充電電圧V(ib,is) を設定する。
【0072】
ところで、上記したP領域、D領域、E領域における制御では何れも、設定充電電圧を補正するデータの一つとして、出力結果と目標出力との偏差ΔEに、出力データを電圧データに変換する比例係数K=(dV/dE)を乗じたデータを使用している。この比例係数Kは、例えばエキシマレーザ装置の場合、フッ素濃度の減少等によって変化するもので、バースト内の複数個の指令電圧値Vに対する出力結果Eを用いて、直線近似により計算する。
【0073】
この直線近似には、例えば最小自乗法が用いられる。
【0074】
ここで、
n:データの個数
である。
【0075】
この比例係数Kは、下式に従って更新される。
【0076】
K(ib+1)= (1-B)×K(ib)+ B× calK(ib) ・・・(8)
ここで、
K(ib):今回のバーストで使用された定数
calK(ib):今回のバーストibにおける複数個の指令電圧値Vに対する出力結果Eデータを用いて、例えば、(7)式にて計算された比例係数
B:重み係数(今回のバーストで用いた比例係数と今回のバースト内の複数のデータから求めた比例係数との割合、典型的には0.1)
である。
【0077】
B=0.1とした場合、10バースト分の比例係数を平均化したのに相当する。
【0078】
すなわち、比例係数Kの更新(→K(ib+1))は、
今回のバーストibで使用した比例係数K(ib)と、
今回のバーストibにおける複数個の指令電圧値Vに対する出力結果Eデータを用いて計算した比例係数 calK(ib)とを、
所定の比率(1−B:B)で加算することにより行われる。
【0079】
また、前記したように、P領域における制御では、前のバーストib-1の終盤の定常発振領域における複数のパルスに対応する各充電電圧の設定値の平均値である基準電圧Vstart(ib-1) を設定充電電圧を補正するデータの一つとして使用している。この基準電圧Vstart(ib) は、以下のように計算される。
【0080】
calVstart(ib) =ΣV(ib,is) /n ・・・(9)
ここで、
n:データの個数
である。
【0081】
さらに、Vstart の更新には、2つの方法がある。第1の更新方法においては、Vstart は下式に従って更新される。
【0082】
Vstart (ib+1)= calVstart (ib) ・・・(10)
ここで、
calVstart (ib):今回のバーストib終盤の定常発振領域における複数個の指令電圧値Vの平均値
である。
【0083】
すなわち、第1の更新方法においては、今回のバーストib終盤の定常発振領域における複数個の指令電圧値Vの平均値を計算して、次回のバーストib+1のVstart(ib+1) として使用する。
【0084】
Vstart の第2の更新方法においては、Vstart は下式に従って更新される。
【0085】
ここで、
Vstart (ib):今回のバーストで使用されたVstart
calVstart(ib) :今回のバーストib終盤の定常発振領域における複数個の指令電圧値Vの平均値
C:重み係数(今回のバーストで用いたVstart と今回のバースト内の複数のデータから求めたVstart との割合、典型的には0.5)
である。
【0086】
すなわち、第2の更新方法においては、
今回のバーストで使用した基準電圧Vstart(ib) と、
今回のバーストib終盤の定常発振領域における複数個の指令電圧値Vの平均値 calVstart (ib)を計算して、
両者を、所定の比率(1−C:C)で加算することにより行われる。
【0087】
さて、以上のような本発明の制御方法の全体の制御の流れを表すフローチャートを図5に示す。以下、順に説明する。
step1
図1に示すコントローラ6に、初期パラメータが設定される。初期パラメータは、
Np:P領域でのパルス数(例えば、数パルス)
Nd:D領域でのパルス数
Ns:移動平均パルス数
Es:エネルギー目標値
A:重み係数(移動平均出力制御の割合)
B:重み係数(比例係数更新の割合)
C:重み係数(基準電圧更新の割合)(第2の更新方法でVstart を更新する場合)
である。
【0088】
なお、第1回目のバースト(ib=1)に用いられる以下のデータが記憶されている。
【0089】
指令電圧値データV(0,is)
比例係数K(0)
基準電圧Vstart(0,is)
上記step1の後、露光装置9よりバースト開始信号がコントローラ6に入力される。
step2
バーストの番号が1つ更新される。
【0090】
ib= ib +1
バースト内レーザパルス数isが1にリセットされ、パルス数のカウントが開始される。
【0091】
is= 1
step3
カウントされたバースト内パルス数とNp(P領域でのパルス数)とが比較され、レーザパルス数がP領域にあるかどうか判断する。
【0092】
is≦ Np のとき、step4に移行する。
【0093】
is> Np のとき、step6に移行する。
step4
コントローラ6において、高電圧パルス発生装置8へ指令される指令電圧値が、以下の式に基き設定される。
【0094】
V(ib,is) = Vstart(ib-1) −dVp(ib,is) ・・・(1)
dVp(ib,is)=dVp(ib-1,is)+ K×ΔE(ib-1,is) ・・・(2)
コントローラ6は、上記指令電圧値をバーストの順番ib、バースト内でのパルス数isとを関連づけ、指令電圧値データV(ib,is)として記憶する。
【0095】
そして、上記指令電圧値を基にレーザ発振が行われる。
step5
出力モニタ4によりレーザ出力が測定される。
【0096】
測定値は出力モニタ4よりコントローラ6へ送出され、コントローラ6は出力モニタ4より送られてくるレーザ出力値を、バーストの順番ib、バースト内でのパルス数isと関連づけ、レーザ出力データをE(ib,is) として記憶する。
【0097】
コントローラ6は、上記レーザ出力データE(ib,is) 、予め記憶しておいたエネルギー目標値Esとを用いて、
出力偏差:ΔE(ib,is)=E(ib,is)−Es
移動平均出力偏差:ΔD(ib,is)
とを計算し記憶する。
【0098】
出力偏差ΔE(ib,is)は次回のバーストib+1のP領域で使用され、
移動平均出力偏差ΔD(ib,is)は今回のバーストibのD領域で使用される(step7)。
【0099】
そして、レーザパルス数がバーストの番号が1つ更新される。
【0100】
is=is+1
その後、再びstep3へ移行し、更新されたレーザパルス数がP領域にあるかどうか判断する。
step6
P領域を通過したレーザパルス数と、Np(P領域でのパルス数)とNd(D領域でのパルス数)とを加算した値とが比較され、レーザパルス数がD領域にあるかどうか判断する。
【0101】
is≦ Np + Nd のとき、step7に移行する。
【0102】
is> Np + Nd のとき、step9に移行する。
step7
コントローラ6において、高電圧パルス発生装置8へ指令される指令電圧値が、以下の式に基き設定される。
【0103】
コントローラ6は、上記指令電圧値をバーストの順番ib、バースト内でのパルス数isとを関連づけ、指令電圧値データV(ib,is)として記憶する。
【0104】
上記指令電圧値を基にレーザ発振が行われる。
step8
出力モニタ4によりレーザ出力が測定される。
【0105】
測定値は出力モニタ4よりコントローラ6へ送出され、コントローラ6は出力モニタ4より送られてくるレーザ出力値を、バーストの順番ib、バースト内でのパルス数isと関連づけ、レーザ出力データをE(ib,is) として記憶する。
【0106】
コントローラ6は、上記レーザ出力データE(ib,is) 、予め記憶しておいたエネルギー目標値Esとを用いて、
出力偏差:ΔE(ib,is)=E(ib,is)−Es
移動平均出力偏差:ΔD(ib,is)
とを計算し記憶する。
【0107】
出力偏差ΔE(ib,is)、移動平均出力偏差ΔD(ib,is)は次回のレーザ発振(パルス数is+1)において使用される。なお、移動平均出力偏差ΔD(ib,is)は、今回のバーストibのD領域で使用される。
【0108】
レーザパルス数がバーストの番号が1つ更新される。
【0109】
is= is +1
その後、再びstep6へ移行し、更新されたレーザパルス数がD領域にあるかどうか判断する。
step9
露光装置9からバースト終了信号ibset が入力されたかどうかを判断する。
【0110】
ibset 入力:Noのとき、step10に移行する。
【0111】
ibset 入力:Yesのとき、step12に移行する。
step10
コントローラ6において、高電圧パルス発生装置8へ指令される指令電圧値が、以下の式に基き設定される。
【0112】
V(ib,is) = V(ib,is-1) −K ×ΔE(ib,is-1) ・・・(6)
コントローラ6は、上記指令電圧値をバーストの順番ib、バースト内でのパルス数isとを関連づけ、指令電圧値データV(ib,is)として記憶する。
【0113】
上記指令電圧値を基にレーザ発振が行われる。
step11
出力モニタ4によりレーザ出力が測定される。
【0114】
測定値は出力モニタ4よりコントローラ6へ送出され、コントローラ6は出力モニタ4より送られてくるレーザ出力値を、バーストの順番ib、バースト内でのパルス数isと関連づけ、レーザ出力データをE(ib,is) として記憶する。
【0115】
コントローラ6は、上記レーザ出力データE(ib,is) 、予め記憶しておいたエネルギー目標値Esとを用いて、
出力偏差:ΔE(ib,is)=E(ib,is)−Es
を計算し記憶する。出力偏差ΔE(ib,is)は次回のレーザ発振(パルス数is+1)において使用される。
【0116】
レーザパルス数がバーストの番号が1つ更新される。
【0117】
is= is +1
その後、再びstep9へ移行し、更新されたレーザパルス数がE領域にあるかどうか判断する。
step12
コントローラ6は、下式に基き比例係数Kを更新する。
【0118】
K(ib+1)= (1-B)×K(ib)+ B× calK(ib) ・・・(8)
また、コントローラ6は、以下の何れかの式に基き、基準電圧Vstart を更新する。
【0119】
第1の更新方法
Vstart (ib+1)= calVstart (ib) ・・・(10)
第2の更新方法
両者を更新後、step2へ移行する。
【0120】
なお、上記step9においては、露光装置からバースト終了信号ibset が入力されたかどうかを判断していたが、バーストにおけるパルス数であるNtotal をstep1で初期パラメータとして設定し、Ntotal とP領域、D領域を通過したレーザパルス数とを比較し、バーストの終了を判断してもよい。その場合は、step9は図6に示すように変更し、
is≦Ntotal のとき、step10に移行する。
【0121】
is>Ntotal のとき、step12に移行する。
【0122】
以上、本発明の放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及び放電励起ガスレーザ装置を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0123】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の放電励起ガスレーザ装置の出力制御方法及び放電励起ガスレーザ装置においては、バーストのスパイク領域初期(予測制御領域:P領域)において、前のバーストの同じパルス数の出力偏差ΔE(ib-1,is) を用いるばかりではなく、前のバーストの直前の制御電圧の結果Vstart (基準電圧)をも用いて、指令電圧値を定めているので、連続パルス発振(バースト)開始初期の急激な温度上昇に伴う特性の変化に追従できる。
【0124】
また、スパイク領域初期に続く領域の制御(移動平均出力制御:D領域)において、露光装置の使用形態を前提にして、1か所に照射する移動積算パルス数Ns における移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1) を考慮した制御を行っているため、スキャナーによる露光量を安定化させることができる。
【0125】
また、スパイク領域の後の通常の定常発振領域(E領域)制御中において比例係数Kを計算により求め、かつ、一定の割合で更新しているため、調整発振等を行う必要がなく、また、制御を乱すことなく、レーザ装置の特性の変化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の出力制御方法を適用する1例の露光用ArFエキシマレーザ装置のブロック図である。
【図2】本発明において各バーストの出力制御領域を3つの領域に分割して別々に制御することを説明するための図である。
【図3】最初のP領域の予測制御を説明するための図である。
【図4】次のD領域の移動平均出力制御の動作と従来の学習制御の動作の相違例を示す図である。
【図5】本発明の出力制御方法の全体の制御の流れ表すフローチャートである。
【図6】変形例の制御の流れ表すフローチャートの変形部分を示す図である。
【図7】バーストモードを説明するための図である。
【図8】バーストモードにおいてレーザ発振開始直後の急激な出力減少の様子を示す図である。
【図9】スキャナーにおける露光の様子と1チップ上の各点のドーズ量を説明するための図である。
【符号の説明】
1…レーザ容器
2、3…ビームスプリッタ
4…出力モニタ
5…波長モニタ
6…コントローラ
7…狭帯域化モジュール
8…高電圧パルス発生装置
9…露光装置
Claims (6)
- 所定時間の連続パルス発振と所定時間の休止を繰り返すバースト動作モードで動作する放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法において、
前記レーザ出力制御は、レーザ媒質へエネルギーを注入するための高電圧パルス発生装置への指令電圧値を制御することにより行われ、
この指令電圧値の制御は、バースト当初の予測制御モードと、それに続く移動平均出力制御モードとを少なくとも含み、
前記予測制御モードは、各連続パルス発振初期の所定数のパルスに対し、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスに用いられた電圧補正量dVp(ib-1,is) を、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスの出力結果E(ib-1,is)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib-1,is)を用いて補正し、この補正値dVp(ib,is) と前回の連続パルス発振時終盤の複数個の指令電圧値から求めた基準電圧Vstart(ib-1)とを用いて今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する予測制御モードであり、
前記移動平均出力制御モードは、今回の連続パルス発振時のis-1番目のパルスに用いられた指令電圧値V(ib,is-1)を、放電励起ガスレーザ装置の使用形態で決まる移動積算パルス数をNsとするとき、is-Ns 番目(この整数が0以下になる場合は1番目)からis-1番目までの移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1)と、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)とを所定の比率で加算することにより、今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する移動平均出力制御モードである、
ことを特徴とする放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法。 - 前記移動平均出力制御モードに続いて、
今回の連続パルス発振のis-1番目のパルスの指令電圧値V(ib,is-1) を、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)を用いて補正して今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定するエネルギー制御モードを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法。 - 前記予測制御モード、及び、前記移動平均出力制御モードにおけるパルスの出力結果とエネルギー目標値との偏差ΔE を電圧値に変換するのに使用される比例係数Kを、所定時間の連続パルス発振が終了する毎に更新することを特徴とする請求項1又は2記載の放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法。
- 前記比例係数Kの更新は、今回の連続パルス発振時に使用した比例係数K(ib)と、今回の連続パルス発振時において設定した複数個の指令電圧値に対する出力結果のデータを用いて計算した比例係数 calK(ib)とを所定の比率で加算して次回の連続パルス発振時の比例係数K(ib +1) とすることにより行われることを特徴とする請求項3記載の放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法。
- 連続パルス発振終了後次回の連続パルス発振時に、前記予測制御モードにおいて使用される基準電圧Vstart(ib+1) が、今回の連続パルス発振時において使用した基準電圧Vstart(ib) と、今回の連続パルス発振時の終盤における複数個の指令電圧値の平均値 calVstart (ib)とを所定の比率で加算することにより定められることを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の放電励起ガスレーザ装置のレーザ出力制御方法。
- レーザガスが充填され放電空間を有するレーザ容器と、この放電空間に高電圧パルスを印加することにより放電エネルギーを投入して前記レーザガスを励起する高電圧パルス発生装置と、レーザ出力を測定するレーザ出力モニタと、出力モニタからの出力データを基に前記電圧パルス発生装置への指令電圧値を設定するコントローラとを有する放電励起ガスレーザ装置において、
このコントローラは、バースト当初の予測制御手段と、それに続く移動平均出力制御手段とを少なくとも含み、
前記予測制御手段は、各連続パルス発振初期の所定数のパルスに対し、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスに用いられた電圧補正量dVp(ib-1,is) を、前回の連続パルス発振時のis番目のパルスの出力結果E(ib-1,is)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib-1,is)を用いて補正し、この補正値dVp(ib,is) と前回の連続パルス発振時終盤の複数個の指令電圧値から求めた基準電圧Vstart(ib-1)とを用いて今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する予測制御手段であり、
前記移動平均出力制御手段は、今回の連続パルス発振時のis-1番目のパルスに用いられた指令電圧値V(ib,is-1)を、放電励起ガスレーザ装置の使用形態で決まる移動積算パルス数をNsとするとき、is-Ns 番目(この整数が0以下になる場合は1番目)からis-1番目までの移動平均出力値偏差ΔD(ib,is-1)と、is-1番目のパルスの出力結果E(ib,is-1)とエネルギー目標値Esとの偏差ΔE(ib,is-1)とを所定の比率で用いて補正することにより、今回の連続パルス発振のis番目のパルスに用いる指令電圧値V(ib,is)を設定する移動平均出力制御手段である、
ことを特徴とする放電励起ガスレーザ装置。
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