JP2001320118A - レーザ装置 - Google Patents

レーザ装置

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JP2001320118A
JP2001320118A JP2000138608A JP2000138608A JP2001320118A JP 2001320118 A JP2001320118 A JP 2001320118A JP 2000138608 A JP2000138608 A JP 2000138608A JP 2000138608 A JP2000138608 A JP 2000138608A JP 2001320118 A JP2001320118 A JP 2001320118A
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pulse
discharge voltage
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gain
δeth
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JP2000138608A
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Tomokazu Takahashi
知和 高橋
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Komatsu Ltd
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Komatsu Ltd
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Publication date
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Lasers (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続パルス発振の全パルスのパルスエネルギ
ーを常に均一にして、光露光や光加工の精度をより一層
向上させうることができるレーザ装置を提供すること。 【解決手段】 本発明においては、補正放電電圧ΔVi
はΔVi=関数f(ΔE)になるように定義されてい
る。パルスエネルギーの偏差ΔEと、予め設定された閾
値(±ΔEth)とを比較し、この比較の結果、「−Δ
Eth<ΔE かつΔE<ΔEth」のときは「ΔVi
=G1*ΔE」を採用し、また「+ΔEth≦ΔE」の
ときは「ΔVi=G1*ΔEth+G2*(ΔE−ΔE
th)」を採用し、さらに「−ΔEth≧ΔEのときは
「ΔVi=G1*(−ΔEth)+G2*(ΔE+ΔE
th)」を採用し、これら採用された補正放電電圧ΔV
iをもって放電電圧データViを補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を用いて
半導体、高分子材料、または無機材料などに対し所定の
露光または加工を加える加工装置に対してレーザ光を出
力するレーザ装置に関し、特にバーストモード運転を実
行する際に常に均一なパルスエネルギー値を得るように
したレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体露光装置などの紫外線光を用いた
分野においては、回路パターンの解像度を一定レベル以
上に維持するために厳密な露光量制御が必要とされる。
ところが、半導体露光装置の光源として使用されるエキ
シマレーザは、いわゆるパルス放電励起ガスレーザのた
めに1パルス毎のパルスエネルギーにバラツキがあり、
露光量制御の精度向上のためにはこのバラツキを小さく
する必要がある。
【0003】一方、半導体露光装置では周知のように露
光とステージ移動とを交互に繰り返すので、この半導体
露光装置の露光光源としてエキシマレーザを用いた場合
には、このエキシマレーザの運転状態は、図11に示す
ように、レーザ光を所定回数連続してパルス発振させる
連続パルス発振運転と、所定時間の間パルス発振を休止
させる発振休止時間とを繰り返すバーストモード運転と
なる。
【0004】しかし、上述したようにエキシマレーザは
パルス放電励起ガスレーザであるため、常に一定の大き
さのパルスエネルギーで発振を続けることが困難であ
る。この原因としては、(1)放電されることによって放
電空間内にレーザガスの密度擾乱が発生し、次回の放電
を不均一、不安定にする、(2)この不均一放電等のため
放電電極の表面において局所的な温度上昇が発生し、次
回の放電を劣化させ放電を不均一なものにすることなど
がある。
【0005】特に、上記連続パルス発振期間の初期にお
いてその傾向が顕著であり、図12に示すように、発振
休止期間tの経過後の最初の数パルスが含まれるスパイ
ク領域では、最初比較的高いパルスエネルギーが得ら
れ、その後は徐々にパルスエネルギーが低下するとい
う、いわゆるスパイク現象が現れる。このスパイク領域
が終了すると、パルスエネルギーは比較的高いレベルの
安定な値が続くプラトー領域を経た後、定常領域に入
る。
【0006】このようにバーストモード運転のエキシマ
レーザ装置では、1パルス毎のエネルギーのバラツキが
露光量制御の精度を低下させると共に、スパイキング現
象がさらにバラツキを著しく大きくし、露光量制御の精
度を大きく低下させるという問題がある。
【0007】そこで、本願出願人は、既に出願した特願
平4−191056号、特願平7−249683号、特
願平8−292631号に記載されたレーザ装置を提案
している。
【0008】上記特願平4−191056号および特願
平7−249683号に記載されたレーザ装置では、励
起強度(充電電圧、放電電圧)が大きくなるに従って発
振されるパルスのエネルギーが大きくなるという性質を
利用して、バーストモードにおける連続パルス発振の最
初のパルスの放電電圧(充電電圧)を小さくし、以後の
パルスの放電電圧を徐々に大きくしていくという具合
に、放電電圧を各パルス毎に変化させてスパイキング現
象による初期エネルギー上昇を防止するようにしてい
る。
【0009】すなわち、発振休止時間t、パワーロック
電圧(レーザガスの劣化に応じて決定される電源電圧)
などの各種パラメータを考慮して連続パルス発振の各パ
ルスエネルギーを所望の目標値Etにする放電電圧デー
タを、連続パルス発振の各パルス毎に予めテーブルに記
憶すると共に、今回の連続パルス発振時のパルスエネル
ギーEi(i=1、2、・・・、n:整数)を検出し、
この検出値Eiとパルスエネルギー目標値Etとを比較
し、この比較結果に基づいて前記予め記憶された各パル
ス毎の放電電圧データを補正更新するようにしている。
この補正電圧データは次のバースト周期の際の放電電圧
データとして用いられる。
【0010】上記放電電圧の補正制御においては、前記
テーブルに記憶した放電電圧データViによってレーザ
発振したときのパルスエネルギーEiを検出して目標パ
ルスエネルギーEtとの差△E(=Et−Ei)を計算
し、該差△Eに応じて補正放電電圧△V(=G・△E
G:ゲイン係数)を計算し、この補正放電電圧△Vによ
って前記テーブルに記憶した放電電圧Viを補正して、
補正後の放電電圧データVi’(=Vi+△V)を得る
ようにしている。
【0011】しかしながら、上記従来の補正制御によれ
ば、図12に示す1バースト周期内の全ての領域(スパ
イク領域、プラトー領域および定常領域)で、上記ゲイ
ン係数Gを同一値に固定するようにしているので、各パ
ルスエネルギーのバラツキの抑制効果が十分ではなかっ
た。つまり、図12に示すスパイク領域に加えてプラト
ー領域および定常状態においてもスパイクキラー制御を
行っているので、スパイク領域以外の領域でパルスエネ
ルギーのバラツキの抑制効果が十分ではない。
【0012】そこで、上記特願平8−292631号に
記載されたレーザ装置では、電源電圧データテーブルに
記憶された電源電圧データを補正するに当たり、この補
正の際に用いる制御ゲインをパルス番号および発振休止
時間に対応してグループ分けすると共に、これらのグル
ープ単位に異なる値を設定するようにしている。
【0013】この補正電圧制御においては、1バースト
周期をパルス番号に基づいて、パルス番号が1である最
初の第1発目のパルスのみを制御対象にする制御領域
A、パルス番号が2である第2発目のパルスのみを制御
対象にする制御領域B、パルス番号が3〜12である第
3〜第12発目の10個のパルスを制御対象にする制御
領域C、第13発目以降のパルスを制御対象にする制御
領域Dからなる4つの制御領域A〜Dに分け、各制御領
域A〜D毎にそれぞれ各別の放電圧制御を行う。
【0014】具体的には、制御領域A〜Cでは、予め求
めておいた放電電圧テーブルに記憶した放電電圧データ
に基づいて放電電圧制御を行い、制御領域Dにおいて
は、放電電圧データテーブルを用いない制御を実行す
る。
【0015】上記制御領域A〜Cで行われる放電電圧デ
ータテーブルを用いた放電電圧制御においては、放電電
圧データテーブルに記憶した放電電圧Vi(i=1、
2、・・・n)によってパルス発振したときのパルスエ
ネルギーEiを検出して目標エパルスネルギーEtとの
差ΔEi(=Et−Ei)を計算し、該差ΔEiに応じ
て補正放電電圧△Vi(=G・△Ei G:ゲイン係
数)を計算し、この補正放電電圧△Viによって前記テ
ーブルに記憶した放電電圧Viを補正して、補正後の放
電電圧データVi’(=Vi+△Vi)を得るようにし
ている。ただし、「制御領域Aのゲイン定数Ga < 制
御領域Bのゲイン定数Gb < 制御領域Cのゲイン定数
Gc」という具合に、制御領域A〜C単位に上記ゲイン
定数Gの値を異ならせるようにしている。
【0016】ここで、エキシマレーザの放電電圧と出力
されるパルス光パワーの関係を、図13に示す。この図
13に示す特性によれば、電圧Vc以上で放電が発生し
てパルス発振が起こり、また、電圧が低い間はパルス光
パワーと電圧がほぼ比例するが、電圧が高くなると飽和
して電圧上昇に伴うパルス光パワー上昇が少なくなって
きている。この図13においては、同じパルス光パワー
ΔPだけ上昇させるために必要な電圧変化を放電電圧の
大小に応じて2種類示しており、電圧が低いときの変化
量ΔVLと電圧が高いときの変化量ΔVHとの間には、明
らかに、ΔVL<ΔVHが成り立つ。
【0017】一方、1バースト周期内の複数のパルスエ
ネルギーは、同一の放電電圧をもってパルス発振した場
合であっても、図12に示すように、前述したようにス
パイク現象が現れる。つまり、最初の数パルスが含まれ
るスパイク領域では、最初比較的高いパルスエネルギー
が得られ、その後は徐々にパルスエネルギーが低下す
る。
【0018】したがって1バースト周期内の複数のパル
スエネルギーのバラツキを抑制するには、スパイク領域
に含まれる数パルスのパルス発振のときには放電電圧を
低く設定し、それ以後は、その放電電圧値よりも高めの
放電電圧を設定すれば良いことになる。
【0019】そこで、上記特願平8−292631号に
記載されたレーザ装置における、上記制御領域A〜C単
位にゲイン定数Gの値を異ならせる放電電圧制御では、
制御領域Aにおいては、△Vi=Ga・ΔEiによって
補正放電電圧値ΔViを求め、制御領域Bにおいては、
△Vi=Gb・ΔEiよって補正放電電圧値ΔViを求
め、制御領域Aにおいては、△Vi=Gc・ΔEiによ
って補正放電電圧値ΔViを求めている。
【0020】上述したように上記特願平8−29263
1号に記載されたレーザ装置では、上記制御領域A〜C
毎にゲイン定数Gの値を異ならせた放電電圧制御によっ
て、連続パルス発振の全パルスのパルスエネルギーを常
に均一にするようにしている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上述したように上記特
願平8−292631号(以下、文献という。)に記載
されたレーザ装置では、下記に示す式(1)によって補
正放電電圧値ΔViを求め、この△Viを基に補正後の
放電電圧データVi’(=Vi+△Vi)を得るように
している。
【0022】 △Vi=Gn・ΔEi ・・・(1) 但し、iはパルスの番号であり、i番目のパルスは制御
領域A、B、Cのうち何れかの領域に含まれる。また、
Gnは制御領域A、B、Cのうち何れかの領域のゲイン
係数であり、制御領域Aのゲイン係数Ga < 制御領域
Bのゲイン定数Gb < 制御領域Cのゲイン係数Gcの
関係が成立している。
【0023】また、放電電圧データテーブルには、例え
ば異なる3つの発振休止時間tに対応して、下記に示す
式(2)が満足するように、実際にパルス発振し調整し
て得られる放電電圧の値が予め記憶される。
【0024】 │Ei−Et│<ΔEn ・・・(2) 但し、ΔEnは閾値であり、上記3つの発振休止時間に
対応してΔE1、ΔE2、ΔE3の値が適用される。こ
こで、3つの発振休止時間がt1<t2<t3の関係が
成立するときに、ΔE1<ΔE2<ΔE3とする。
【0025】従って、上記文献のレーザ装置において
は、上記制御領域A、B、C毎に、さらに上記発振休止
時間t1、t2、t3毎に放電電圧データViおよびゲ
イン係数Gが決定されることとなる。
【0026】しかし、同一の1バースト周期内の複数の
パルスに着目すると、これら複数のパルスのパルスエネ
ルギーについては、同一の発振休止時間に対応する放電
電圧データが適用されると共に、パルス発振されたパル
スが含まれる制御領域に対応するゲイン係数(同一の制
御領域においてはゲイン係数は同一)が適用される。
【0027】このことは、同一の1バースト周期内の同
一の制御領域においては、パルス発振したときのパルス
エネルギーEiの値(あるいはパルスエネルギーの偏差
の値)に係わらず、同一の放電電圧データおよびゲイン
係数が適用されることを意味している。
【0028】さて、今回パルス発振されたパルスのパル
スエネルギーが上記式(1)で示される│Ei−Et│
<ΔEnを満足する場合には、上記式(2)で示される
補正放電電圧値△Vi=Gn・ΔEiは、今回パルス発
振されたパルスのパルスエネルギーのバラツキを補正す
べく適正な値となり、この△Viを基に補正後の放電電
圧データVi=(Vi+Gn・ΔEi)が得られる。そ
の結果として、次回パルス発振するときの放電電圧V
i’は、理論上は適正な値となる。
【0029】すなわち、上記文献のレーザ装置において
は、パルス発振したときのパルスエネルギーEiと目標
パルスエネルギーEtとの差ΔEi(=│Ei−Et
│)が、目標エパルスネルギーEtを中心として設定さ
れた誤差範囲の上限および下限の閾値ΔEthの範囲内
(つまり、ΔEi=│Ei−Et│<ΔEth)の場合
(これを事象1とする。)には、パルスエネルギーのバ
ラツキを抑制することが可能となる。
【0030】ところが、たとえば放電電極間の放電の不
均一性でアーク放電が発生することに起因して、パルス
発振したときのパルスエネルギーEiが、例えば目標パ
ルスエネルギーEtから下限の閾値ΔEthを減算した
パルスエネルギーの値よりも大幅に低下することがあ
る。つまりΔEi=│Ei−Et│>ΔEthとなる場
合(これを事象2とする。)である。
【0031】その原因としては、上述したようにアーク
放電の発生が1つの要因として挙げられるが、正確な要
因については良く知られていない。しかも、そのような
事象は再現性がる。
【0032】このようなパルスエネルギーの大幅な低下
についても対策を講ずる必要があり、上記従来の放電電
圧制御においては、上記式(2)で示される補正放電電
圧値△Vi=Gn・ΔEiを用いて、放電電圧Viを補
正するようにしている。
【0033】たとえば、図14に示すように、第5発目
のパルスのパルスエネルギーの計測値がEj-1であった
とすれば、ΔEi(=ΔE5)=│Ej-1−Et│<Δ
Ethの関係が成立して、上記事象1となる。これに対
し、第6発目のパルスのパルスエネルギーの計測値がE
jであったとすれば、ΔEi(=ΔE6)=│Ej−Et
│>ΔEthの関係が成立して、上記事象2となる。
【0034】すなわち、上記の場合では、同一のバース
ト周期内の第5発目と第6発目のパルスのパルスエネル
ギーの上記ΔEiについて、ΔE6(=ΔEi)> ΔE
5(=ΔEi)の関係が成立することになり、上記事象
2の場合の方が、上記事象1の場合と比較して、パルス
発振したときのパルスエネルギーEiと目標パルスエネ
ルギーEtとの差ΔEiの値が大きくなる。
【0035】このことは、同一のゲイン係数(Gc)が
適用される場合において、上記事象2において△Vi=
Gn(=Gc)・ΔEiにより求められる補正放電電圧
△Vi(2)は、上記事象1において△Vi=Gn(=G
c)・ΔEiにより求められる補正放電電圧△Vi(1)
よりも値が大きいことを意味する。
【0036】このように今回のパルス発振のときのパル
スのパルスエネルギーEi(=Ej)が目標パルスエネ
ルギーEtよりも大幅に小さい値となったので、今回の
パルスのパルスエネルギー(Ej)と次回のパルスのパ
ルスエネルギー(Ej+1)との平均値を目標パルスエネ
ルギーEtとすべく、次回パルス発振したときのパルス
のパルスエネルギーEi(=Ej+1)の値が大きくなる
ように、補正後の放電電圧Vi’の電圧値は高く設定さ
れる。
【0037】したがって、上記補正放電電圧△Vi
(2)を基に、テーブルに記憶された放電電圧Viを補
正して得られた補正後の放電電圧データVi’(=Vi
+△Vi(2))に基づく放電電圧Vi’をもって次回
のパルス(第7発目のパルス)をパルス発振した場合に
は、第7発目のパルスのパルスエネルギーEiは、図1
4に示すように、理論的には前回のパルス(第6発目の
パルス)のパルスエネルギーEjとの積算の平均値が目
標パルスエネルギーEtとされるべく、「Ej+1」の値
となるはずであるが、この値「Ej+1 」よりも大きい値
「Ek」となる。
【0038】何故そのような事象が発生するのかという
原因については知られていないが、その事象の再現性は
ある。
【0039】このような事象に対処するため、「(E
k)−(Ej+1)」の値の過剰パルスエネルギー分を次
回のパルス(第8発目のパルス)のパルスエネルギーに
おいて吸収されるように、放電電圧制御が行われる。
【0040】つまり、上記過剰エネルギーを含む今回の
パルス(第7発目のパルス)のパルスエネルギーと次回
のパルス(第8発目のパルス)のパルスエネルギーとの
積算値の平均値が目標パルスエネルギーEtとされるべ
く、第8発目のパルスのパルスエネルギーが低くなるよ
うに次回のパルス発振時に適用される放電電圧Vi’が
決定される。
【0041】このように上記文献のレーザ装置において
は、ΔEi=│Ej−Et│>ΔEthの関係が成立し
て上記事象2となる場合に、補正後の放電電圧Vi’を
もって次回のパルス(第7発目のパルス)をパルス発振
したとしても、そのパルスのパルスエネルギーは、理論
上の値「Ej+1 」とはならず、この値よりも大きい値
「Ek」となる。
【0042】そして「(Ek)−(Ej+1)」の値の過
剰パルスエネルギーに起因するパルスエネルギーのバラ
ツキを抑制すべく、次回以降のパルス発振において放電
電圧制御が行われる。このときのパルスエネルギーのバ
ラツキは、上記第7発目のパルスのパルスエネルギーが
理論上の値「Ej+1」であった場合と比較して、大きい
ものとなる。
【0043】このようにΔEi=│Ej−Et│>ΔE
thの関係が成立する場合に、ΔVi=Gn(=Gc)
・ΔEiの式を用いて補正放電電圧ΔViを求め、この
ΔViに基づいて補正した補正後の放電電圧Vi’をも
ってパルス発振したときは、過剰パルスエネルギーが発
生するということが、本願発明者の実験によって確認さ
れている。
【0044】したがって、ΔEi=│Ej−Et│>Δ
Ethの関係が成立する場合には、次回のパルス(第7
発目のパルス)のパルス発振のときに、「(Ek)−
(Ej+1)」の値の過剰パルスエネルギーが発生しない
ように、補正後の放電電圧Vi’を低く設定すれば良い
ことが分かる。
【0045】しかしながら、上記従来の放電電圧制御に
おいては、同一の1バースト周期内での同一制御領域た
とえば制御領域Cに含まれるパルスをパルス発振させる
ときには、上述したように補正後の放電電圧データVi
=(Vi+Gc・ΔEi)が適用されるものの、テーブ
ルに記憶されている補正前の放電電圧データ(Vi)お
よびゲイン係数(Gc)の値は同一のものが適用される
ため、パルスエネルギーの偏差が大きいときに、補正後
の放電電圧Vi’を低く設定するということは不可能で
ある。
【0046】すなわち、上記の場合では、補正後の放電
電圧Vi’は、パルス発振したときのパルスエネルギー
Eiと目標パルスエネルギーEtとの偏差ΔEiのみに
依存(詳しくはGc・ΔEiのみに依存)するため、補
正後の放電電圧Vi’の電圧値を低く(控えめ)に設定
することは不可能であり、よってパルスエネルギーのバ
ラツキを常に均一とすることは困難となる。
【0047】そこで、本発明は、連続パルス発振の全パ
ルスのパルスエネルギーを常に均一にして、光露光や光
加工の精度をより一層向上させることができるレーザ装
置を提供することを解決課題とする。
【0048】
【課題を解決するための手段、作用および効果】上記解
決課題を達成するため、第1の発明では、レーザ光を所
定回数連続してパルス発振させる連続発振動作と、この
パルス発振を所定の発振休止時間の間だけ休止する停止
動作を交互に実行する運転を1バースト周期とするバー
ストモード運転を繰り返し行い、前記パルス発振の各出
力エネルギーが所定の目標値範囲内に入るようにレーザ
の電源電圧を制御するレーザ装置において、出力エネル
ギーの偏差の値に応じてゲイン係数値が異なるゲイン特
性を有する予め設定された非線形特性情報に基づいて、
前記パルス発振の各出力エネルギーの偏差の値に応じた
ゲイン係数値をもって前記電源電圧を制御する制御手段
を具備したことを特徴とする。
【0049】また、第2の発明では、第1の発明におい
て、前記非線形特性情報は、前記パルス発振の各出力エ
ネルギーの偏差の値が、前記所定の目標値範囲内に存在
する場合と前記所定の目標値範囲を超える場合とでは、
前記ゲイン特性のゲイン係数値が異なるように設定され
ているとともに、前者の場合におけるゲイン特性は後者
の場合におけるゲイン特性よりもゲイン係数値が小さく
設定されていることを特徴とする。
【0050】さらに、第3の発明では、第1また第2の
発明において、前記非線形特性情報は、前記パルス発振
の各出力エネルギーの偏差の値が前記所定の目標値範囲
を超える場合における前記ゲイン特性のゲイン係数値
は、当該出力エネルギーの偏差の値に基づいて前記電源
電圧を補正するのに必要な理論上のゲイン係数値よりも
小さく設定されていることを特徴とする。
【0051】この第1乃至第3の発明を図7を参照して
説明する。
【0052】補正放電電圧ΔViを求めるときは、次の
条件〜に対応して次式(5)〜(7)が適用され
る。なお、これらの式において、G1、G2はゲイン係
数であり、G1<G2の関係が成立している。ΔEth
は閾値を表し、ΔEはパルスエネルギーの偏差を表して
いる。
【0053】 :−ΔEth<ΔE かつ ΔE<ΔEthのときは、 ΔVi=G1*ΔE ・・・(5) :+ΔEth≦ΔEのときは、 ΔVi=G1*ΔEth+G2*(ΔE−ΔEth) ・・・(6) :−ΔEth≧ΔEのときは、 ΔVi=G1*(−ΔEth)+G2*(ΔE+ΔEth) ・・・(7 ) 図7において、符号A−Aの点線で示される直線はΔV
i=G2*ΔEの特性を示し、符号B−Bの点線及び実
線で示される直線はΔVi=G1*ΔEの特性を示し、
実線で示される折れ線は、上記式(5)〜(7)を満足
する補正放電電圧ΔVi=関数f(ΔE)の特性を示し
ている。
【0054】上記ΔVi=G2*ΔEの特性(線分A−
A)は、上述した従来のたとえば制御領域Cにおいて適
用されるΔVi=Gc*ΔEiの特性に相当しているも
のとする。すなわち、ΔVi=G2*ΔEの特性におい
ては、ゲイン係数(Gc)に依存し(Gc・ΔEiの比
例計算の値に依存)、しかも、パルス発振の各出力エネ
ルギーの偏差の値に基づいて電源電圧(放電電圧)を補
正するのに必要な理論上の制御ゲインに設定されたもの
となっている。
【0055】本発明に係る非線形特性としてのΔVi=
関数f(ΔE)においては、「ΔEth≦│ΔE│」の
関係が成立する範囲の線分と、ΔVi=G2*ΔE(符
号A−Aの点線参照)の線分とは平行になっている。す
なわち、上記式(5)で表されるΔViの特性である直
線の傾きとΔVi=G2*ΔEの特性である直線の傾き
とが同一になるように設定されている。また、「−ΔE
th≦ΔE≦+ΔEth」の関係が成立する範囲の線分
はΔVi=G1*ΔEの特性になっている。
【0056】ちなみに、上記の場合は、ΔEth≦│Δ
E│の関係が成立する場合におけるVi=関数f(Δ
E)での補正放電電圧とΔVi=G2*ΔEでの補正放
電電圧との差ΔVthは、ΔVth=(G2−G1)*
ΔEthで表される。
【0057】上述したようにパルスエネルギーの偏差の
値が、例えば、「−ΔEth<ΔEかつ ΔE<ΔEt
h」の関係が成立する場合と、「│ΔE│≧ΔEth」
の関係が成立する場合とでは、ゲイン係数を異ならせる
ように設定すると共に、従来の場合と比較してそのゲイ
ン係数を低く設定し、その偏差ΔEに応じたゲイン係数
をもって放電電圧Viを補正する。
【0058】しかも、パルスエネルギーの偏差が大きい
ときには、目標値に対するエネルギー出力の追従性を良
くし、しかもパルスエネルギーの偏差ΔEを小さくすべ
く、大きなゲインであって、かつゲインを大きくし過ぎ
る(理論上適切であるゲインとする)ことによる必要以
上の電圧指令値(補正後の放電電圧)とならないような
ゲインをもって、補正後の放電電圧Vi’を求める。
【0059】以上説明したように、第1乃至第3の発明
によれば、出力エネルギーの偏差の値に応じてゲイン係
数値が異なるゲイン特性を有する予め設定された非線形
特性情報に基づいて、パルス発振の各出力エネルギーの
偏差の値に応じたゲイン係数値をもって電源電圧を補正
し、この補正後の電源電圧をもってパルス発振を行うこ
とができる。
【0060】特に、第3の発明によれば、パルス発振の
各出力エネルギーの偏差の値が所定の目標値範囲を超え
る場合には、当該出力エネルギーの偏差の値に基づいて
電源電圧を補正するのに必要な理論上のゲイン係数値よ
りも小さく設定されたゲイン係数値のゲイン特性を有す
る非線形特性情報に基づいて、当該ゲイン係数値をもっ
て電源電圧を補正し、この補正後の電源電圧をもってパ
ルス発振を行うことができると共に、必要以上に電源電
圧を補正したことに伴うパルスエネルギーのバラツキを
抑制することができる。
【0061】また、上記解決課題を達成するため、第4
の発明では、第1乃至第3の発明のうちの何れかの発明
において、前記非線形特性情報は、前記パルス発振の各
出力エネルギーの偏差の値が前記所定の目標値範囲内に
存在する場合における前記ゲイン特性のゲイン係数値
は、零に設定されていることを特徴とする。
【0062】この第4の発明を図9を参照して説明す
る。
【0063】補正放電電圧ΔVi=関数f(ΔE)は、
図9に示される補正放電電圧ΔVi=f(ΔE)で表さ
れる折れ線(実線)の非線形特性となるように定義され
ている。
【0064】すなわち、図9に示すように、線分B1−
B2、線分B2−B3および線分B3−B4から構成さ
れる折れ線(実線)の如く、ΔVi1=f(ΔE)で表さ
れる非線形特性や、あるいは、線分C1−C2、線分C
2−C3および線分C3−C4から構成される折れ線
(一点鎖線および実線)の如く、ΔVi2=f(ΔE)で
表される非線形特性が定義されている。
【0065】なお、上記ΔVi2=f(ΔE)で表される
非線形特性の│ΔE│≧ΔEthの関係が成立する範囲
においては、線分B1−B2を平行移動して横軸の例え
ば「+ΔEth」が基準点となるように線分C1−C2
が定義されている。
【0066】このように定義された非線形特性を採用す
る放電電圧制御においては、例えば、ΔVi2=f(Δ
E)で表される非線形特性を採用した場合においては、
「−ΔEth<ΔE かつ ΔE<ΔEth」の関係が
成立する場合は、上述した放電電圧データViまたは参
照放電電圧データViに対する補正は行われない(ΔV
i1=0)。
【0067】このように│ΔE│≧ΔEthの関係が成
立する場合に、放電電圧Viに対する補正を実施しない
のは、エキシマレーザ等のガスレーザでは放電電圧Vi
を補正したとしてもパルスエネルギーのバラツキが発生
するからである。そのため、「−ΔEth≦ΔE≦+Δ
Eth」の関係が成立する範囲内にあるパルスエネルギ
ーの偏差ΔEについては、放電電圧Viの補正を実施し
ない(あるいは偏差│ΔE│がΔEth近傍にある場合
に限って放電電圧Viを補正する)ようにしている。
【0068】以上説明したように、第4の発明によれ
ば、パルス発振の各出力エネルギーの偏差の値が所定の
目標値範囲内に存在する場合におけるゲインの値は零
(つまり電源電圧の補正は行わない)としているので、
電源電圧の補正のための処理時間が不要となり、その
分、1バースト周期内の連続パルス発振に要する時間を
短縮させることができる。
【0069】しかも、各出力エネルギーの偏差の値が所
定の目標値範囲を超える場合は、従来の場合と比較し
て、電源電圧を控えめ(理論上適切であるゲインより低
め)に補正するので、補正したことによる次のパルス発
振時のパルスのパルスエネルギーの偏差を小さく抑制す
ることができる。
【0070】さらに、上記解決課題を達成するため、第
5の発明では、第1乃至第4の発明のうちの何れかの発
明において、前記レーザ光がスキャン方式の露光処理に
おける露光光源として用いられる場合は、前記パルス発
振の各出力エネルギーの偏差の値が前記所定の目標値範
囲を超える場合におけるスキャン方式用のゲイン特性
は、前記ゲイン特性と比較して小さいゲイン計数値が設
定されていることを特徴とする。
【0071】この第5の発明を図7および図10を参照
して説明する。
【0072】補正放電電圧ΔVi=関数f(ΔE)は、
図10に示される補正放電電圧ΔVi=f(ΔE)で表
される折れ線(実線)の非線形特性となるように定義さ
れている。
【0073】すなわち、上記ΔVi=f(ΔE)の特性
(図10中実線参照)は、│ΔE│≧ΔEthの関係が
成立する場合においては、ΔVi=G2*ΔE(=図7
に示すΔVi=G2*ΔE)よりも特性の傾きが小さい
(ゲイン係数値が小さい)ものとなっているΔVi=G
3*ΔEの特性に平行に(特性の傾きが同一)なってい
る。
【0074】したがって、│ΔE│≧ΔEthが成立す
るときには、図10に示す特性におけるパルスエネルギ
ーの偏差ΔEiに対応する補正放電電圧(スキャン方式
に適用される電圧)は、図7に示した特性におけるパル
スエネルギーの偏差ΔEiに対応する補正放電電圧(ス
テッパ方式に適用される電圧)よりも電圧値が小さくな
っている。
【0075】以上説明したように、第5の発明によれ
ば、スキャン方式の露光処理に用いられる露光光源とし
てのパルス光は、ステッパ方式の露光処理に用いられる
露光光源としてのパルス光のエネルギー偏差のバラツキ
を抑制するためのゲインよりも係数が小さいゲインをも
ってパルス発振されたものとなる。
【0076】このため、ステッパ方式と比較して一定エ
リア(照射領域)に照射されるパルスの数が少ないスキ
ャン方式においても、パルスのパルスエネルギーの偏差
を小さく抑制することができる。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。
【0078】図1は、この発明に係るレーザ装置を半導
体の回路パターンの縮小投影露光処理を行うステッパ方
式の露光処理における露光光源として適用した場合の構
成を示している。すなわち、1がレーザ装置としての狭
帯域化エキシマレーザであり、20が縮小投影露光装置
としてのステッパである。
【0079】エキシマレーザ1のレーザチャンバ2は、
図示しない放電電極等を有し、レーザチャンバ2内に充
填されたクリプトン(Kr)、フッ素(F2)、ネオン
(Ne)等からなるレーザガスを放電電極間の放電によ
って励起させてレーザ発振を行う。
【0080】発光した光は狭帯域化ユニット3によって
狭帯域化されて、再びレーザチャンバ2に戻って増幅さ
れ、フロントミラー4を介して発振レーザ光Lとして出
力される。出力された一部の光は再びレーザチャンバ2
に戻りパルス発振が起こる。なお、レーザ光Lは、先の
図11に示したように、所定の周期で所定回数連続して
パルス発振させる連続発振運転と、連続発振運転後に前
記連続パルス発振を所定時間停止させる停止運転(発振
休止時間)とを交互に繰り返すバーストモード運転によ
り断続的に出力される。
【0081】電源回路5は、レーザコントローラ6から
加えられた電源電圧データに応じて前記放電電極間に電
位差Vを与えて放電を行う。なお、電源回路5において
は、図示しない充電回路により電荷を一旦充電した後、
たとえばGTOやサイラトロン等のスイッチ素子の動作
により放電を行う。
【0082】フロントミラー4、レーザチャンバ2およ
び狭帯域化ユニット3で構成される光共振器から発振さ
れたレーザ光Lは、ビームスプリッタ7によってその一
部がサンプリングされ、レンズ7aを介して光モニタモ
ジュール8に入射される。また、その残りのレーザ光L
はスリット9を介して露光装置20へ出射される。この
スリット9は、出力されるレーザ光を遮光するシャッタ
としても機能する。
【0083】光モニタモジュール8は、パルス発振が行
われる度に、出力レーザ光Lの1パルス当たりのエネル
ギーEi(i=1、2、・・・、n:整数)を検出す
る。この検出パルスエネルギーEiはレーザコントロー
ラ6に送られ、第j番目のパルス群のi番目のパルスの
エネルギーEj,iとしてテーブル(レーザコントローラ
6に内蔵されているメモリ上のテーブル)に記憶され
る。なお、光モニタモジュール8では、レーザ光Lのス
ペクトル線幅、波長等を検出し、これらのデータもレー
ザコントローラ6へ送出する。
【0084】レーザコントローラ6には、図2に示すよ
うに露光装置20からバースト信号BS、レーザ発振同
期信号(外部トリガ)TR、目標パルスエネルギー値E
tを示す信号が入力されている。
【0085】レーザ発振同期信号TRは、レーザ装置1
での連続パルス発振の際の各パルスのトリガ信号として
機能する。バースト信号BSは、その立ち上がりでレー
ザ装置1での連続発振運転を開始させ(バーストオ
ン)、その立ち下がりでレーザ装置1での連続発振運転
を停止させる(バーストオフ)よう機能させるものであ
り、そのバーストオン時点から所定時間t1経過後に1
発目のレーザ発振同期信号TRが発生され、かつ最後の
レーザ発振同期信号TRが発生されてから所定時間t2
後にバーストオフされるように設定されている。
【0086】レーザコントローラ6では、これら入力信
号に基づいて、後述する補正放電電圧データテーブルに
記憶されている放電電圧(電源電圧)データを読み出す
と共に、この読み出した電源電圧データに対して後述す
る所定の補正方法により補正を施した後、補正後の電源
電圧データを電源回路5に与える。
【0087】なお、レーザコントローラ6には、上述し
たような電源電圧の制御のための後述する処理手順に対
応するプログラムや、出力エネルギーの偏差の値に応じ
てゲイン係数値が異なるゲイン特性を有する予め設定さ
れた非線形特性情報を記憶するメモリ(例えばRO
M)、前記電源電圧の制御に必要な後述する放電電圧デ
ータテーブル、目標パルスエネルギー値、パルスエネル
ギー計測値などを記憶するメモリ(例えばRAM)が内
蔵(具備)されている。
【0088】露光装置20には、スリット10を介して
入射されたレーザ光Lの一部をサンプリングするビーム
スプリッタ11が設けられ、そのサンプリング光はレン
ズ11aを介して光モニタモジュール12へ入射され
る。光モニタモジュール12では、入射されたレーザ光
Lの1パルス当たりのエネルギーEi’を検出し、この
検出エネルギー値Ei’を露光装置コントローラ13に
送出する。なお、ビームスプリッタ11を通過したレー
ザ光は、縮小投影露光処理に用いられる。
【0089】露光装置コントローラ13では、縮小投影
露光処理およびウェハが載置されたステージの移動制
御、ウェハの交換制御の他に、レーザ発振同期信号T
R、バースト信号BSおよび目標パルスエネルギー値E
iを示す信号をレーザ装置1へ送信するなどの動作を実
行する。
【0090】次に、本実施形態で行われる放電電圧制御
について説明する。
【0091】図3は、放電電圧を一定にしたときの1バ
ースト周期内での各レーザパルスの出力変化を示すもの
で、前述したように、第1発目のパルスはその直前の発
振休止時間によってレーザが安定するのでその出力が最
も大きく、また第2発目以降のパルスは直前のパルス発
振の影響を受けた状態で発振を繰り返すので各パルスの
出力は徐々に低下する。そして、この場合、第12発目
のパルス以降においては、レーザが定常状態になるの
で、ほぼ同一の光エネルギーを出力する。
【0092】このような出力レーザパルスの特性は、全
てのバースト周期に亘ってほぼ共通に現れる。したがっ
て、本実施形態では、1バースト周期をパルス番号に基
づいて4つの制御領域A〜Dに分け、各制御領域A〜D
毎にそれぞれ各別の放電電圧制御を行うようにしてい
る。
【0093】ここでは、制御領域Aはパルス番号が1で
ある最初の第1発目のパルスのみを制御対象にし、制御
領域Bはパルス番号が2である第2発目のパルスのみを
対象にし、制御領域Cはパルス番号が3〜12である第
3〜第12発目の10個のパルスを制御対象にし、制御
領域Dは第13発目以降のパルスを制御対象にしてい
る。
【0094】なお、制御領域A〜Dにおいて制御対象と
するパルスは、上述したパルス番号のパルスに限定され
るものではなく、適宜に設定可能である。例えば、制御
領域Aではパルス番号が1および2である第1および第
2発目のパルスを制御対象にし、制御領域Bではパルス
番号が3および4である第3および第4発目のパルスを
対象にし、制御領域Cはパルス番号が5〜19である第
5〜第19発目の15個のパルスを制御対象にし、制御
領域Dは第20発目以降のパルスを制御対象にしても良
い。
【0095】また、制御領域A〜Cでは、パルス番号毎
に予め求めておいた放電電圧データテーブル(レーザコ
ントローラ6に内蔵のRAM)に記憶されている放電電
圧データに基づいて放電電圧制御を行うようにするが、
制御領域Dにおいては放電電圧テーブルを用いない制御
を実行する。すなわち、制御領域Dにおいては、当該パ
ルスの直前のパルス発振の励起強度(放電電圧)とその
パルスエネルギー値との関係から当該パルスのパルスエ
ネルギー値を目標値Etに一致させる為に必要な励起強
度(充電電圧)を求め、該励起強度によるパルス発振を
行わせる制御を実行する。
【0096】次に、制御領域A〜Cでの補正放電電圧制
御において用いられる放電電圧データテーブルを予め作
成するための手法について説明する。
【0097】エキシマレーザ1と縮小投影露光装置20
との間のシャッタ(図1のスリット9)を閉じてレーザ
光が縮小投影露光装置20に入射されない状態にした
後、例えば3つの代表的な発振休止時間T1、T2、T
3(T1<T2<T3)を含む試運転パターンを用いて
エキシマレーザ1を実際に発振動作させる。この3つの
代表的な発振休止時間T1、T2、T3は、当該露光装
置20を運転させると最も多く発生する3つの発振休止
時間であり、露光装置20や露光することが多いウェハ
パターンに応じて適当なる時間を設定するようにする。
【0098】因みに、ステッパ型の露光装置20におい
ては、図4に示すように、発振休止時間T1は、ウェハ
W上の同一の列に配置された複数のICチップにおい
て、1つのICチップC1へのパルス光の照射が終了
し、このICチップC1から次のICチップC2への移
動、パルス光の照射のための位置決め等を含む時間に相
当するものとする。
【0099】また発振休止時間T2は、ウェハW上の同
一の列に配置された複数のICチップにおいて最終の例
えばICチップC5へのパルス光の照射が終了し、この
ICチップC5から次の列に配置された複数のICチッ
プにおける最初のICチップC6への移動、パルス光の
照射のための位置決め等を含む時間に相当するものとす
る。
【0100】さらに発振休止時間T3は、1つのウェハ
内の全てのICチップへの照射が終了し、このウェハと
次の照射対象のウェハとの交換作業(ウェハの取り出
し、セット、位置決め等)に要する時間に相当するもの
とする。
【0101】ところで、レーザコントローラ6は、例え
ば発振休止時間T1を経過した後の1バースト周期分
(パルス番号1〜12のパルスを含む)のパルス発振動
作が実施された際の放電電圧データを、パルス番号に対
応してRAMに割り当てられたテーブルに記憶する。同
様に、発振休止時間T2、T3を経過した後の1バース
ト周期分のパルス発振動作が実施された際の放電電圧デ
ータを前記テーブルに記憶する。
【0102】このようにして発振休止時間T1、T2、
T3を含む試運転パターンにより得られた放電電圧デー
タの一例を、図5に示す。
【0103】図5において、発振休止時間T1に対応し
て記憶されているV1(1)、V1(2)、・・・、V1(12)
は、パルス番号のパルスを発振する際に適用される放電
電圧データを示し、例えば、V1(1)はパルス番号が
1のパルスを発振する際に用いられる放電電圧データを
表し、V1(12)はパルス番号が12のパルスを発振
する際に用いられる放電電圧データを表している。発振
休止時間T2、T3に対応して記憶されているV1(1)・
・・の電圧も、上記同様の放電電圧データを意味してい
る。
【0104】なお、上述したテーブルに記憶される放電
電圧データとしては、1回の試運転パターンにより得ら
れた1バースト周期分の各パルスのパルス発振時の放電
電圧の電圧値を用いても良いし、例えば発振休止時間T
1を経過した後に1バースト周期分(パルス番号1〜1
2のパルスを含む)のパルス発振動作を行うというバー
ストモード運転を複数回繰り返し、その後、パルス番号
1〜12の各パルス毎に、前記複数回分のパルス発振時
の放電電圧の平均値を用いても良い。
【0105】勿論、図5に示されるテーブル内容は書き
換え可能であり、定期的に上述した手順によって、発振
休止時間T1、T2、T3(T1<T2<T3)を含む
試運転パターンを用いてエキシマレーザ1を実際に発振
動作させて、放電電圧データを更新するようにしても良
い。
【0106】上述したようにして作成された放電電圧デ
ータテーブルを用いた放電電圧制御においては、パルス
発振する際に、そのパルス発振するパルスのパルス番号
に対応して、上述した放電電圧データテーブル(図5参
照)に記憶されている放電電圧データViを後述する補
正放電電圧を基に補正し、この補正後の放電電圧をもっ
てパルス発振を行うようにする。
【0107】次に、制御領域Dでの補正放電電圧制御に
おいて用いる放電電圧について説明する。
【0108】この制御領域Dでの放電電圧としては、今
回のバースト周期内の既に出力されたパルスに対応する
放電電圧Viを用いる。
【0109】参照するパルス番号に関しては、(1)当該
パルスの直前のパルスに対応する充電電圧Vi、
(2)当該パルスのN(例えばN=2、N
=3など)個前のパルスに対応する充電電圧Vi、

(3)当該パルスのパルス番号より若いパルス番号
を持つn個のパルスそれぞれに対応する充電電圧の平均
値Vi、
等がある。
【0110】なお、説明の都合上、上記(1)〜(3)
の何れかにより得られた充電電圧Viを参照放電電圧デ
ータViという。
【0111】そして、当該パルスをパルス発振する際に
は、上記参照放電電圧データViを後述する補正放電電
圧を基に補正し、この補正後の放電電圧をもってパルス
発振を行うようにする。
【0112】次に、この補正後の放電電圧の求め方につ
いて説明する。
【0113】1バースト周期内のパルス発振時の放電電
圧制御においては、今回パルス発振したときのパルスエ
ネルギーEiを検出し、該パルスエネルギー値Eiと目
標パルスエネルギー値Etとの偏差ΔE(=Et−E
i)を演算し、該偏差ΔEに応じて補正放電電圧ΔVi
(=関数f(ΔE))を演算し、この補正放電電圧ΔV
iによって前記テーブルに記憶されている放電電圧デー
タViまたは上記参照放電電圧データViを補正して、
補正後の放電電圧データVi’を得るようにしている。
【0114】ここで、補正後の放電電圧データVi’は
次式(3)を演算することで求めることができる。 Vi’=Vi+ΔVi ・・・(3) なお、第1発目のパルスについては、前記テーブルに記
憶されているパルス番号1に対応する放電電圧データV
iをもってパルス発振される。
【0115】何故ならば、第1発目のパルスのパルス発
振による当該パルスエネルギー値の偏差が仮に大きかっ
たとしても、第2発目以降のパルスのパルス発振よるパ
ルスエネルギーの偏差を小さくすべく放電電圧制御を行
うことで、1バースト周期内の複数のパルスのパルスエ
ネルギーのバラツキを抑制することができるからであ
る。すなわち、当該複数のパルスのパルスエネルギーの
平均値を、目標パルスエネルギー値に近似させることが
可能となるからである。
【0116】次に、補正放電電圧ΔVi(=関数f(Δ
E))の求め方について説明する。
【0117】この実施形態においては、パルスエネルギ
ーの偏差の大きさに応じて非線形的に補正放電電圧デー
タを求め、この補正放電電圧データに基づいて放電電圧
(電圧指令値)を補正するようにしている。
【0118】具体的には、パルスエネルギーの偏差が小
さい場合と大きい場合とでは異なるゲインとなるように
したものであり、その偏差が大きいときはゲインが大き
く、その偏差が小さいときはゲインが小さくなるよう
に、次式(4)で示される関数f(x)が定義されてい
る。
【0119】 ΔVi=関数f(ΔE) ・・・(4) そして、この式(4)を演算することで補正放電電圧デ
ータを求めることができる。
【0120】ここでは、前提条件として、図6に示すよ
うに、目標パルスエネルギー値をEt、このEtを中心
として設定された誤差範囲の上限値(閾値)を「+ΔE
th」および下限値(閾値)を「−ΔEth」とする。
なお、図6に示す特性においては、図14に示した特性
において、パルス数、目標パルスエネルギー値Et、閾
値「ΔEth」は同一の条件になっている。
【0121】さて、上述した前提条件の下で、補正放電
電圧ΔViを求める際には、次の条件〜に対応して
次式(5)〜(7)が適用される。なお、次式(5)〜
(7)において、G1、G2はゲイン係数であり、G1
<G2の関係が成立するものとする。
【0122】 :−ΔEth<ΔE かつ ΔE<ΔEthのときは、 ΔVi=G1*ΔE ・・・(5) :+ΔEth≦ΔEのときは、 ΔVi=G1*ΔEth+G2*(ΔE−ΔEth) ・・・(6) :−ΔEth≧ΔEのときは、 ΔVi=G1*(−ΔEth)+G2*(ΔE+ΔEth) ・・・(7 ) これら条件〜の場合に適用される補正放電電圧ΔV
iの特性を、図7に示す。
【0123】図7において、符号A−Aの点線で示され
る直線はΔVi=G2*ΔEの特性を示し、符号B−B
の点線及び実線で示される直線はΔVi=G1*ΔEの
特性を示し、実線で示される折れ線は、上記式(5)〜
(7)を満足する補正放電電圧ΔVi=関数f(ΔE)
の特性を示している。
【0124】上記ΔVi=G2*ΔEの特性(線分A−
A)は、上述した従来のたとえば制御領域Cにおいて適
用されるΔVi=Gc*ΔEiの特性に相当しているも
のとする。すなわち、ΔVi=G2*ΔEの特性におい
ては、ゲイン係数(Gc)に依存し(Gc・ΔEiの比
例計算の値に依存)、しかも、パルス発振の各出力エネ
ルギーの偏差の値に基づいて電源電圧(放電電圧)を補
正するのに必要な理論上のゲイン(ゲイン計数値)に設
定されたものとなっている。
【0125】本発明に係る非線形特性情報としてのΔV
i=関数f(ΔE)においては、「+ΔEth≦ΔEお
よびΔE≦−ΔEth」の関係が成立する範囲の線分
と、ΔVi=G2*ΔE(符号A−Aの点線参照)の線
分とは平行になっている。すなわち、上記式(5)で表
されるΔViの特性である直線の傾きとΔVi=G2*
ΔEの特性である直線の傾きとが同一になるように設定
されている。また、「−ΔEth≦ΔE≦+ΔEth」
の関係が成立する範囲の線分はΔVi=G1*ΔEの特
性になっている。
【0126】ちなみに、上記の場合は、ΔEth≦│Δ
E│の関係が成立する場合におけるVi=関数f(Δ
E)での補正放電電圧とΔVi=G2*ΔEでの補正放
電電圧との差ΔVthは、ΔVth=(G2−G1)*
ΔEthで表される。
【0127】上述したような定義内容(非線形特性情
報)は、レーザコントローラ6に内蔵されているROM
に記憶されている。
【0128】なお、本実施形態においては、パルスエネ
ルギーの目標値が大きく変更されるなどしてパルスエネ
ルギーの偏差が大きくなったときは、下記の理由によ
り、ΔVi=G2*ΔEの特性に従って素早く目標値に
近づくようになっている。
【0129】すなわち、ΔVi=G1*ΔEth+G2
*(ΔE−ΔEth)、つまり上記式(6)において、
│ΔE│≫ΔEthの関係が成立する場合は、上記式
(6)は、ΔVi=f(ΔE)≒G2*ΔEと定義する
ことができるからである。同様の理由で、上記式(7)
は、│ΔE│≫ΔEthの関係が成立する場合は、ΔV
i=f(ΔE)≒G2*ΔEとみなすことができる。
【0130】勿論、このような場合でも、│ΔE│<Δ
Ethの関係が成立する場合は、上記式(5)で示され
るようにΔVi=G1*ΔEの特性が適用され、パルス
エネルギーの偏差に対して、上記│ΔE│≫ΔEthの
場合と比較して、放電電圧データを控えめに補正するこ
とができる。
【0131】次に、上述した放電電圧制御について具体
例を挙げて説明する。
【0132】たとえば、図6に示すように、第5発目の
パルスのパルスエネルギーの計測値がEj-1であったと
すれば、 ΔEi=ΔE5=Et−Ej-1<ΔEth
の関係が成立する。
【0133】この場合の補正放電電圧ΔViは、上記式
(5)に各値を代入して演算することにより求められ
る。因みに、この場合は、図7からも明らかなように、
補正放電電圧=「−ΔVi」となる。そして、この「−
ΔVi」とテーブルに記憶されている放電電圧データV
iとに基づいて得られる補正後の放電電圧Vi’は、上
記式(3)より、Vi’=Vi+ΔViとなる。
【0134】これは、第5発目のパルスのパルスエネル
ギー値Eiが目標パルスエネルギー値Etよりも低かっ
たので、今回(第5発目)のパルスと次回(第6発目)
のパルスのそれぞれのパルスエネルギー値の積算の平均
値が目標パルスエネルギー値Etとされるべく、次回
(第6発目)のパルスのパルスエネルギー値を少し高め
になるように、放電電圧が高く設定されたことになる。
【0135】次に、上述した補正後の放電電圧Vi’を
もって第6発目のパルスをパルス発振した際に、たとえ
ば放電電極間の放電の不均一性でアーク放電が発生する
等に起因して、図6に示すように、第6発目のパルスの
パルスエネルギーが大幅に低下したとする。
【0136】ここで、そのパルスエネルギー値がEjで
あったとすれば、 ΔEi=ΔE6=Et−Ej>ΔEth の関係が成立する。
【0137】この場合の補正放電電圧ΔViは、上記式
(6)に各値を代入して演算することにより求められ
る。因みに、上記式(7)の右辺においては、第1項は
符号が「−」となり、第2項は、│−ΔEi(ΔE6)
│>ΔEthの関係から符号が「−」となる。従ってこ
の場合も、図6から明らかなように、上記第5発目のパ
ルスの場合と同様に、補正放電電圧=「−ΔVi」とな
り、この「−ΔVi」に基づく補正後の放電電圧Vi’
は、上記式(3)より、Vi’=Vi+ΔViとなる。
【0138】そして、上述した補正後の放電電圧Vi’
をもって第7発目のパルスをパルス発振した場合には、
そのパルスエネルギー値は、図6に示すように、次式
(8)を満足するような「Ej+1」となる。
【0139】 │Ej−Et│=│(Ej+1)−Et│ ・・・(8) この式(8)における左辺の│Ej−Et│はΔE6であ
るので、第7発目のパルスのパルスエネルギー値Ej+1
は、「Et+ΔE6」となる。
【0140】ここで、図6に示す第7発目のパルスのパ
ルスエネルギー値Ej+1は、図14に示した従来の特性
における第7発目のパルスのパルスエネルギー値Ej+1
に相当している。
【0141】ここで注目すべき点は、図6に示した特性
においては、図14に示した従来の放電電圧制御の場合
において発生した過剰エネルギー「Ek−(Ej+1)」
が発生していないということと、第8発目以降のパルス
のパルスエネルギーのバラツキは、図14に示した従来
の場合と比較して、小さくしかも比較的安定していると
いうこと、である。
【0142】このように突発的にパルスエネルギーが極
小(偏差が大)となるような事象がが発生したとして
も、上述したように非線形特性の定義内容(補正放電電
圧ΔVi)を基に放電電圧Viを補正し、この補正後の
放電電圧Vi’をもってパルス発振することで、次回の
パルス発振以降のパルスエネルギーの偏差のバラツキを
抑制することができるということは、本願発明者によっ
て再現的に確認されている。
【0143】その理由は、本実施形態に係る放電電圧制
御においては、パルスエネルギーの偏差の値に対応した
異なる値のゲインであって、パルス発振の各出力エネル
ギーの偏差の値に基づいて電源電圧(放電電圧=電圧指
令値)を補正するのに必要な理論上のゲインよりも小さ
い値(係数)のゲインを有する非線形特性(図7のΔV
i=f(ΔE)参照)の定義内容に従って、前記テーブ
ルに記憶されている放電電圧データをを補正するように
しているからである。
【0144】この場合は、第6発目のパルスのパルスエ
ネルギーの偏差が大きかったので(│−ΔEi(ΔE
6)│>ΔEth)、ゲイン係数値が大きく、しかも、
理論上は最適なゲイン係数値であるG2よりも多少小さ
く(控えめに)設定(この例では補正放電電圧ΔVth
分だけ低めに設定)されているゲイン係数値を有する非
線形特性情報(上記式(7)参照)に従って、補正放電
電圧データΔViが求められる。
【0145】具体的には、パルスエネルギーの偏差ΔE
6に対する補正放電電圧ΔViは、図7に示す様に、上
記従来の放電電圧制御の場合において適用されるような
ΔVi=G2*ΔEで表される線形特性(理論上は適切
な特性)におけるΔVではなく、この値│ΔV│よりも
ΔVth低い値(控えめな値)である、ΔVi=関数f
(ΔE)で表される非線形特性におけるΔV6が補正値
として適用される。
【0146】何故ならば、前述したように、たとえば放
電電極間の放電の不均一性でアーク放電が発生する等に
起因してパルス発振したパルスのパルスエネルギーが大
幅に低下した場合に、このパルスエネルギーの低下分を
補うべく次回のパルス発振時のパルスのパルスエネルギ
ーが高くなるように放電電圧データを補正し、この補正
後の放電電圧をもって当該次回のパルスがパルス発振さ
れたときに、当該パルスエネルギーが、図14に示した
第7発目のパルスのパルスエネルギーの如く過剰エネル
ギー「Ek−(Ej+1)」を含むパルスエネルギー値と
なる、ことを防止するためだからである。
【0147】次に、1バースト周期内の連続パルスに対
する放電電圧制御を、図8に示すフローチャートを参照
して説明する。
【0148】最初に、レーザコントローラ6は、パルス
カウンタ値iを「0」と定義すると共に、1つのパルス
がパルス発振される際には、パルスカウンタ値iを+1
インクリメントする(i=i+1)。このパルスカウン
タ値iの値がパルス番号と一致することになる。
【0149】第1発目のパルスについては、上述したよ
うに上記テーブル(図5参照)に記憶されているパルス
番号1に対応する放電電圧データViをもってパルス発
振する。
【0150】光モニタモジュール8は、パルス発振され
た1つのパルスのパルスエネルギーを計測し、当該パル
スエネルギー計測値を求める(ステップS101)。
【0151】光モニタモジュール8によるパルスエネル
ギー計測値は、レーザコントローラ6に送出され、レー
ザコントローラ6に内蔵されているメモリ(ワークメモ
リ)に記憶される。また、このメモリには、目標パルス
エネルギー値が予め登録されている。
【0152】レーザコントローラ6は、上記メモリか
ら、光モニタモジュール8によるパルスエネルギー計測
値Eiと目標パルスエネルギー値Eiを取得し(ステッ
プS102、S103)、パルスエネルギー計測値Ei
と目標パルスエネルギー値Etとの偏差ΔEを算出する
(ステップS104)。
【0153】次に、レーザコントローラ6は、この算出
した偏差ΔEに基づいて、「−ΔEth<ΔE かつ
ΔE<ΔEth」の関係が成立するか否かを判断し(ス
テップS105)、この関係が成立すると判断した場合
には、上記式(5)に各値を代入して演算し(ステップ
S106)、一方、この関係が成立しないと判断した場
合は、「+ΔEth≦ΔE」の関係が成立するか否かを
判断する(ステップS107)。
【0154】ステップS107において「+ΔEth≦
ΔE」の関係が成立すると判断したレーザコントローラ
6は、上記式(6)に各値を代入して演算し(ステップ
S108)、一方、その関係が成立しないと判断した場
合は、「ΔE≦−ΔEth」であると判定して(ステッ
プS109)、上記式(7)に各値を代入して演算し
(ステップS110)。
【0155】上記ステップS106を終了した場合、上
記ステップS108を終了した場合、上記ステップS1
10を終了した場合には、レーザコントローラ6は、求
めた補正放電電圧ΔViに基づいて補正後の放電電圧V
i’(上記式(3)参照)を求める(ステップS11
1)。
【0156】ステップS111においては、パルスカウ
ンタ値i=i+1が+1インクリメントされ、パルス番
号が12(パルスカウンタ値i=12)に達するまで
は、当該パルスカウンタ値iで示されるパルス番号に対
応する放電電圧データViがテーブル(図5参照)から
取得される。例えば、パルスカウンタ値iが+1インク
リメントされてi=2となると、パルス番号が2に対応
する放電電圧データViが取得されることになる。
【0157】ただし、ウェハW上の同一の列に配置され
た複数のICチップ間の移動に伴う発振休止時間経過し
た後に、1バースト周期の連続パルス発振を行う場合に
は、図5に示した発振休止時間T1に対応するV1(1)、
V1(2)、・・・、V1(12)が取得され、また、所定の列
の最終のICチップから次の列の最初のICチップへの
移動に伴う発振休止時間経過した後に、1バースト周期
の連続パルス発振を行う場合には、図5に示した発振休
止時間T2に対応するV2(1)、V2(2)、・・・、V2(1
2))が取得され、さらに、ウェハの交換作業(ウェハの
取り出し、セット、位置決め等)に伴う発振休止時間経
過した後、1バースト周期の連続パルス発振を行う場合
には、図5に示した発振休止時間T3に対応するV3
(1)、V3(2)、・・・、V3 (12)が取得される。
【0158】一方、ステップS111において、パルス
番号が13(パルスカウンタ値i=13)以降は、図5
に示したテーブルに記憶された放電電圧データViは使
用されず、上述した参照放電電圧データViが取得され
る。
【0159】そして放電電圧データViまたは参照放電
電圧データViが取得されると、レーザコントローラ6
は、取得したViと補正放電電圧ΔViに基づいて、上
述した式(3)つまり補正後の放電電圧Vi’=Vi±
ΔViを求める。
【0160】次にレーザコントローラ6は、求めた放電
電圧データVi’を電源回路5に与えた後、パルス発振
は終了したか否かを判断する(ステップS112)。
【0161】電源回路5では、レーザコントローラ6か
ら与えられた放電電圧データVi’に基づく放電電圧を
放電電極間に印加する。これによって、その放電電圧を
もって次回のパルス発振が行われる。
【0162】ステップS112においてパルス発振が継
続して終了していないと判断された場合には、上記ステ
ップS101に戻り、このステップ以降が実行される。
【0163】一方、ステップS112において、パルス
カウント値iが1バースト周期内の最終のパルス番号と
同一の値となり、パルス発振が終了した場合には、この
処理を終了する。この後は、例えば露光装置20におい
てステージ移動が実施された後に、レーザコントローラ
6によって、上述した処理手順にしたがって、次の1バ
ースト周期内の連続パルスに対する放電電圧制御が実施
される。
【0164】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、パルスエネルギーの偏差の値が、例えば、「−ΔE
th<ΔE かつ ΔE<ΔEth」の関係が成立する
場合と、「│ΔE│≧ΔEth」の関係が成立する場合
とでは、ゲイン係数(ゲイン係数値)を異ならせるよう
に設定すると共に、従来の場合と比較してそのゲイン係
数を低く設定し、その偏差ΔEに応じたゲイン係数をも
って放電電圧を補正することができる。
【0165】このため、パルスエネルギーの偏差が大き
いときには、目標値に対するエネルギー出力の追従性を
良くし、しかもパルスエネルギーの偏差を小さくすべ
く、大きなゲイン係数のゲイン特性であって、ゲイン係
数を大きくし過ぎる(理論上適切であるゲインとする)
ことによる必要以上の補正後の放電電圧(電圧指令値)
とならないようなゲイン特性(ゲイン係数)をもって、
補正後の放電電圧(つまり電圧指令値)を求めることが
できる。
【0166】しかも、エキシマレーザでは、放電電圧が
一定であっても、パルス毎の出力パルスエネルギーにバ
ラツキが発生するので、この影響を除去すべく、パルス
エネルギーの偏差が大きいときのゲインと比較して、さ
らに小さいゲイン係数のゲイン特性をもって補正後の放
電電圧を求めることができる。
【0167】したがって、本実施形態では、フィードバ
ックのゲイン係数を大きめに設定した場合の長所と小さ
めに設定した場合の長所を両立させ、パルスエネルギー
の目標値に対する追従性を保ちつつ、定常状態における
パルスエネルギーのバラツキを抑制することができる。
【0168】[第2の実施の形態]この第2の実施形態
に係るレーザ装置は、基本的には上記第1の実施形態と
同様の構成(例えば図1に示す構成)および機能(例え
ば図8に示す処理手順)を有しているものの、上記補正
放電電圧ΔVi=関数f(ΔE)の非線形特性の定義内
容が第1の実施形態と異なっている。
【0169】次の定義内容が異なっている補正放電電圧
ΔVi=関数f(ΔE)の非線形特性について説明す
る。
【0170】第1の実施形態では、補正放電電圧ΔVi
=f(ΔE)は、図7に示した実線のように、「−ΔE
th<ΔE かつ ΔE<ΔEth」の関係が成立する
場合においては、ゲイン係数Gが小さくなるような非線
形特性の定義内容であるのに対し、第2の実施形態は、
次のような定義内容になっている。
【0171】すなわち、図9に示すように、線分B1−
B2、線分B2−B3および線分B3−B4から構成さ
れる折れ線(実線)の如く、ΔVi1=f(ΔE)で表さ
れる非線形特性や、あるいは、線分C1−C2、線分C
2−C3および線分C3−C4から構成される折れ線
(一点鎖線および実線)の如く、ΔVi2=f(ΔE)で
表される非線形特性が定義されている。
【0172】なお、上記ΔVi2=f(ΔE)で表される
非線形特性の│ΔE│≧ΔEthの関係が成立する範囲
においては、線分B1−B2を平行移動して横軸の例え
ば「+ΔEth」が基準点となるように線分C1−C2
が定義されている。
【0173】この第2の実施形態においては、上記ΔV
i1あるいはΔVi2の何れかの非線形特性情報を指定して
放電電圧制御を実施することになる。
【0174】上記ΔVi1=f(ΔE)で表される非線形
特性においては、│ΔE│がΔEthに対し所定の割合
に達していない場合(ΔEが小さい場合)、つまりパル
スエネルギー値Eiの偏差が小さい場合は、ΔVi1=0
となる。
【0175】従って放電電圧制御においては、上述した
放電電圧データViまたは参照放電電圧データViに対
する補正は行われず、これらの電圧値Viがそのまま用
いられる。一方、│ΔE│がΔEthに対し上記所定の
割合に達している場合は、小さいゲイン係数をもって放
電電圧データViまたは参照放電電圧データViが補正
される。
【0176】なお、ここでは、ΔVi1=f(ΔE)で表
される非線形特性の│ΔE│≧ΔEthの関係が成立す
る範囲においては、任意のΔEに対応して、図7に示し
たΔVi1=f(ΔE)の当該範囲における前記任意のΔ
Eに対応する補正放電電圧ΔViになるように設定され
ている。
【0177】一方、ΔVi2=f(ΔE)で表される非線
形特性情報を採用した放電電圧制御においては、「−Δ
Eth<ΔE かつ ΔE<ΔEth」の関係が成立す
る場合は、上述した放電電圧データViまたは参照放電
電圧データViに対する補正は行われない(ΔVi1=
0)。
【0178】上述したように第2の実施形態では、偏差
ΔEが│ΔE│<ΔEthの関係にある場合も、その偏
差の値に応じて多少のゲインをもって補正するようにし
たΔVi1=f(ΔE)と、偏差ΔEが│ΔE│<ΔEt
hの関係にある場合は、一切補正しないようにしたΔV
i2=f(ΔE)とに大別することができ、前者あるいは
後者の何れかの非線形特性情報を指定(例えばパラメー
タ指定など)して放電電圧制御を実施することになる。
【0179】なお、上記ΔVi1=f(ΔE)およびΔV
i2=f(ΔE)の非線形特性において、│ΔE│≧ΔE
thの場合の補正放電電圧ΔViの特性の傾きを図7に
示したΔVi=G2*ΔEと同一の傾きとしているが、
何らこれに限定されることなく、適宜変更し設定するこ
とができる。
【0180】上述したように「−ΔEth<ΔE かつ
ΔE<ΔEth」の関係が成立する場合においては、
放電電圧に対して、最小のゲイン係数に基づて補正する
か、あるいは補正をしないようにしているが、その理由
は下記の通りである。
【0181】すなわち、図11を参照して説明したよう
に、1バースト周期内の複数のパルスエネルギーは、同
一の放電電圧をもってパルス発振した場合であってもス
パイク現象が現れ、最初の数パルスが含まれるスパイク
領域では、最初比較的高いパルスエネルギーが得られ、
その後は徐々にパルスエネルギーが低下する。
【0182】そのため、図7に示したように「−ΔEt
h≦ΔE≦+ΔEth」の関係が成立する場合におい
て、仮にΔVi=G1*ΔEの特性をもって放電電圧V
iを補正したとしても、この補正後の放電電圧Vi’を
もってパルス発振されたパルスのパルスエネルギー値E
iは、目標パルスエネルギー値Etとはならず、「−Δ
Eth≦ΔE≦+ΔEth」を満足する偏差ΔEとなる
確率が高い。
【0183】そこで、この第2の実施形態においては、
上述したようにして放電電圧Viを補正したとしてもパ
ルスエネルギーのバラツキが発生するのなら、「−ΔE
th≦ΔE≦+ΔEth」の範囲内にあるパルスエネル
ギーの偏差ΔEに対しては、放電電圧Viの補正を実施
しないか、あるいは偏差│ΔE│がΔEth近傍にある
場合に限って放電電圧Viを補正するようにしたもので
ある。
【0184】なお、この第2の実施形態では、偏差ΔE
が│ΔE│<ΔEthの関係にある場合に、一切補正し
ないようにしたΔVi2=f(ΔE)においては、たとえ
ば線分C1−C2は線分B1−B2を平行移動させたも
のとなっているが、このように平行移動することなく線
分B1−B2のままであっても良い。
【0185】この場合は、│ΔE│≦ΔEthの関係に
ある場合(つまりΔEが線分C2−C3上に存在する場
合)には、次回のパルス発振時の放電電圧Viに対して
一切補正は行わない(ΔVi=0)、一方、│ΔE│<
ΔEthの関係にある場合は、当該放電電圧Viに対し
て線分B1−B2の特性をもって補正する。
【0186】換言すれば、図7に示した第1の実施形態
での補正放電電圧ΔVi=f(ΔE)の特性において、
│ΔE│≦ΔEthの関係がある場合に、(1)図7に示
したように所定のゲイン係数をもって放電電圧データを
補正する、 (2)│ΔE│がΔEthの近傍にあるときに
は、図9に示した例えば線分B1−B2の如く所定のゲ
イン係数をもって補電電電圧データを補正し、それ以外
のΔEのときは補正しない、(3)補正放電電圧データは
一切補正しない。という具合に定義することができる。
【0187】以上説明したように、第2の実施形態によ
れば、上記第1の実施形態の作用効果を期待することが
できる。
【0188】また、第2の実施形態では、予め設定した
「−ΔEth≦ΔE≦+ΔEth」の関係が成立する場
合には、放電電圧Viの補正を実施しないか、あるいは
偏差│ΔE│がΔEth近傍にある場合に限って放電電
圧Viを補正するようにしたので、補正電圧Viの補正
のための処理時間が不要となり、その分、1バースト周
期内の連続パルス発振に要する時間を短縮させることが
できる。
【0189】しかも、│ΔE│<ΔEthの関係が成立
する場合は、従来の場合と比較して、補正放電電圧を控
えめ(理論上適切であるゲインより低め)にして放電電
圧Viを補正するので、補正したことによる次のパルス
発振時のパルスのパルスエネルギーの偏差を小さく抑制
することができる。
【0190】したがって、迅速な露光処理が可能とな
り、1バースト周期内の連続パルスのパルスエネルギー
のバラツキを抑制することができる。
【0191】[第3の実施の形態]この第3の実施形態
に係るレーザ装置は、基本的には上記第1の実施形態と
同様の構成(例えば図1に示す構成)および機能(例え
ば図8に示す処理手順)を有しているものの、上記第2
実施形態と同様に、上記補正放電電圧ΔVi=関数f
(ΔE)の非線形特性の定義の内容が第1の実施形態と
異なっている。
【0192】上記第1の実施形態ではステッパ型の露光
装置20へ出力されうレーザ光についての放電電圧制御
について説明したが、第3の実施形態においては、スキ
ャン型の露光装置へ出力されるレーザ光についての放電
電圧制御を実施するレーザ装置を想定している。
【0193】次に、上記定義内容が異なっている補正放
電電圧ΔVi=関数f(ΔE)の非線形特性について説
明する。
【0194】この場合の補正放電電圧ΔViは、図10
に示す補正放電電圧ΔVi=f(ΔE)で表される折れ
線(実線)の非線形特性の定義内容になっている。
【0195】すなわち、図10に示す内容は、図7に示
した特性において、ΔVi=G2*ΔEよりも特性の傾
きが小さい(ゲイン係数が小さい)ものとなっているΔ
Vi=G3*ΔEの特性(図10中符号C−Cで示され
る一点鎖線参照)を追加し、また実線で示されるΔVi
=f(ΔE)の特性を削除する一方、│ΔE│≧ΔEt
hにおいては、ΔVi=G3*ΔEの特性に平行な(特
性の傾きが同一の)ΔVi=f(ΔE)の特性(図10
中実線参照)を追加したものになっている。
【0196】したがって、│ΔE│≧ΔEthの関係が
成立するときには、図10に示す特性におけるパルスエ
ネルギーの偏差ΔEiに対応する補正放電電圧は、図7
に示した特性におけるパルスエネルギーの偏差ΔEiに
対応する補正放電電圧よりも電圧値が小さくなってい
る。
【0197】このようにスキャン型の露光装置の露光光
源として用いられるレーザ光(パルス光)のパルス発振
の場合は、ステッパ型の露光装置の露光光源として用い
られるレーザ光(パルス光)のパルス発振の場合と比較
して、同一のパルスエネルギーの偏差ΔEiであてっ
も、補正放電電圧ΔViの電圧値を小さくするのは、下
記の理由からである。
【0198】すなわち、ステッパ型の露光装置によるウ
ェハへの露光処理においては、周知のように、投影レン
ズ(レチクルステージ)とウェハ(ウェハステージ)と
を停止させた状態で、一定エリア(露光領域)へ複数の
パルス(連続パルス)を照射し露光した後、次の露光エ
リアが投影レンズの直下に来るように、ウェハ(ウェハ
ステージ)を逐次移動させる。
【0199】このようなステッパ方式では、一定エリア
(露光領域)に照射された複数のパルス(例えばパルス
数が200程度の連続パルス)のパルスエネルギー値を
積算した値の平均値が、目標パルスエネルギーEtにな
れば良いので、例えば図6に示したパルスエネルギー値
Ej(第6発目のパルスのパルスエネルギー値)の如
く、一連のパルス群の中で極小のパルスエネルギー値が
存在したとしても、当該複数のパルス(例えばパルス数
が200程度の連続パルス)のパルスエネルギー値を積
算した値の平均値を、目標パルスエネルギーEtに近似
させることが可能である。
【0200】これに対し、スキャン型の露光装置による
ウェハへの露光処理においては、周知のように、ウェハ
における一定エリア(照射領域)を露光しながら、1つ
の露光領域を露光する間、投影レンズ(レチクルスキャ
ンステージ)とウェハ(ウェハスキャンステージ)とを
交互に反対方向に移動させる。しかも照射領域に照射さ
れるパルスの数は、上記ステッパ方式での露光領域への
連続パルスのパルス数よりも少ない(例えばステッパ方
式の場合と比較して1/4〜1/3のパルス数)。
【0201】このため、補正放電電圧を求めるときのゲ
イン係数が大きいと、その分、次にパルス発振したとき
の当該パルスエネルギー値に影響を与えてしまう。
【0202】すなわち、ステッパ方式では、大きいゲイ
ン係数Gに基づく補正後の放電電圧をもってパルス発振
したことによる当該パルスエネルギーのバラツキがあっ
たとしても、例えばパルス数が200程度の連続パルス
のパルスエネルギー値を積算した値の平均値を求めるの
で、この平均値を、目標パルスエネルギー値Etに近似
させることが可能である。
【0203】一方、スキャン方式においては、上記同様
に、大きいゲイン係数Gに基づく補正後の放電電圧をも
ってパルス発振したことによる当該パルスエネルギーの
バラツキがあった場合は、例えばパルス数が50〜70
程度の連続パルスのパルスエネルギー値を積算した値の
平均値を求めることになるので、この平均値を、目標パ
ルスエネルギー値Etに近似させることができない事態
が発生することがある。
【0204】そこで、スキャン方式でのゲイン係数を、
ステッパ方式でのゲイン係数と比較して、多少小さめに
設定することで、1つのパルスのパルスエネルギーの偏
差を小さくし、例えばパルス数が50〜70程度の連続
パルスのパルスエネルギー値を積算した値の平均値を、
目標パルスエネルギー値Etに近似させることができる
ようにしたものである。
【0205】なお、この第3の実施形態では、│ΔE│
≧ΔEthの特性での線分の傾きを図7に示した第1の
実施形態の当該特性での線分の傾きより緩やかにするこ
とで、第1の実施形態の場合と比較して、補正放電電圧
ΔViの値を低めになるようにしているが、これに限定
にされることなく、次のようにしても良い。
【0206】すなわち、第3の実施形態においては、│
ΔE│≧ΔEthの特性は、図7に示した第1の実施形
態のΔVi=f(ΔE)における│ΔE│≧ΔEthの
特性の線分をX軸(横軸)方向に平行移動させた線分と
なるように定義する。
【0207】そして、│ΔE│≦ΔEthの関係が成立
する範囲においては、上記第2の実施形態で説明した
(1)〜(3)の何れかの補正放電電圧の特性を適用する。
【0208】したがって、│ΔE│≧ΔEthの関係が
成立する場合に着目したときには、図9に示した特性に
おいて、ΔVi1で示される特性(実線参照)については
ステッパ方式の露光処理に適用し、ΔVi2で示される特
性(一点鎖線参照)についてはスキャン方式の露光処理
に適用することができる。
【0209】この場合、何れの特性を採用するかは実際
に使用される露光装置に依存することになるが、何れか
の露光方式が決定されれば、レーザコントローラ6によ
る制御のための例えば制御プログラムのパラメータをΔ
Vi1か、あるいはΔVi2に設定することで、露光方式に
適した放電電圧制御を実施することができる。
【0210】以上説明したように、第3の実施形態によ
れば、上記第1の実施形態と同様の作用効果を期待する
ことができる。
【0211】また、第3の実施形態によれば、露光装置
への露光光源の供給に際し、スキャン方式の露光処理の
場合には、ステッパ方式の露光処理の場合と比較して、
補正放電電圧を低め(ゲインを控えめ)つまり補正後の
放電電圧Viを低めにしてパルス発振することにより、
スキャン方式の露光処理に適したパルスのパルスエネル
ギーを供給することができ、しかもそのパルスエネルギ
ーのバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る第1の実施形態のレーザ装
置の構成を示す構成図である。
【図2】図2はバースト信号、レーザ発振同期信号のタ
イムチャートである。
【図3】図3は1バースト周期内の分割された制御領域
を示す図である。
【図4】図4はウェハ上のICチップの配列を示す平面
図である。
【図5】図5は放電電圧電圧データテーブルの一例を示
す図である。
【図6】図6は第1の実施形態に係る放電電圧制御での
1バースト周期におけるパルスエネルギーのバラツキを
説明するための図である。
【図7】図7は第1の実施形態で採用される補正放電電
圧用の非線形特性を説明するたの図である。
【図8】図8は第1の実施形態の出力エネルギー制御
(放電電圧制御)処理の処理手順を示すフローチャート
である。
【図9】図9は第2の実施形態で採用される補正放電電
圧用の非線形特性を説明するたの図である。
【図10】図10は第3の実施形態で採用される補正放
電電圧用の非線形特性を説明するたの図である。
【図11】図11は充電電圧を一定にした場合のバース
ト運転におけるパルスエネルギー波形を示す図である。
【図12】図12は1バースト周期におけるパルスエネ
ルギー波形を示す拡大図である。
【図13】図13は放電電圧とパルス光パワーの関係を
示す図である。
【図14】図14は従来の放電電圧制御での1バースト
周期におけるパルスエネルギーのバラツキを説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 レーザ装置(エキシマレーザ) 2 レーザチャンバ 3 狭帯域化ユニット 6 レーザコントローラ 8 光モニタモジュール 20 露光装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ光を所定回数連続してパルス発振さ
    せる連続発振動作と、このパルス発振を所定の発振休止
    時間の間だけ休止する停止動作を交互に実行する運転を
    1バースト周期とするバーストモード運転を繰り返し行
    い、前記パルス発振の各出力エネルギーが所定の目標値
    範囲内に入るようにレーザの電源電圧を制御するレーザ
    装置において、 出力エネルギーの偏差の値に応じてゲイン係数値が異な
    るゲイン特性を有する予め設定された非線形特性情報に
    基づいて、前記パルス発振の各出力エネルギーの偏差の
    値に応じたゲイン係数値をもって前記電源電圧を制御す
    る制御手段を具備したことを特徴とするレーザ装置。
  2. 【請求項2】前記非線形特性情報は、 前記パルス発振の各出力エネルギーの偏差の値が、前記
    所定の目標値範囲内に存在する場合と前記所定の目標値
    範囲を超える場合とでは、前記ゲイン特性のゲイン係数
    値が異なるように設定されているとともに、前者の場合
    におけるゲイン特性は後者の場合におけるゲイン特性よ
    りもゲイン係数値が小さく設定されていることを特徴と
    する請求項1記載のレーザ装置。
  3. 【請求項3】前記非線形特性情報は、 前記パルス発振の各出力エネルギーの偏差の値が前記所
    定の目標値範囲を超える場合における前記ゲイン特性の
    ゲイン係数値は、当該出力エネルギーの偏差の値に基づ
    いて前記電源電圧を補正するのに必要な理論上のゲイン
    係数値よりも小さく設定されていることを特徴とする請
    求項1または2記載のレーザ装置。
  4. 【請求項4】前記非線形特性情報は、 前記パルス発振の各出力エネルギーの偏差の値が前記所
    定の目標値範囲内に存在する場合における前記ゲイン特
    性のゲイン係数値は、零に設定されていることを特徴と
    する請求項1乃至3のうちの何れかの項記載のレーザ装
    置。
  5. 【請求項5】前記レーザ光がスキャン方式の露光処理に
    おける露光光源として用いられる場合は、前記パルス発
    振の各出力エネルギーの偏差の値が前記所定の目標値範
    囲を超える場合におけるスキャン方式用のゲイン特性
    は、前記ゲイン特性と比較して小さいゲイン計数値が設
    定されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちの
    何れかの項記載のレーザ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107925214A (zh) * 2015-04-08 2018-04-17 西默有限公司 用于光源的波长稳定化
US10971887B2 (en) 2016-03-18 2021-04-06 Gigaphoton Inc. Laser device and laser device control method

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CN107925214A (zh) * 2015-04-08 2018-04-17 西默有限公司 用于光源的波长稳定化
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