JP4201233B2 - ポリオキシアルキレンポリオール及びその誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法、並びに、該製造方法を適用した、ポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、及びポリウレタン等の誘導体の製造方法に関する。詳しくは、P=N結合を有する化合物触媒の存在下、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合することにより得られた粗製ポリオキシアルキレンポリオールを、特定の形状を有する固体酸と接触させる、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法、並びに、該製造方法を適用した、ポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、軟質ポリウレタンフォーム、及びポリウレタン樹脂等の誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化カリウム(以下、KOHという)触媒の存在下、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合することにより、工業的規模で製造されている。KOH触媒と活性水素化合物とを加熱減圧脱水し、重合開始剤(活性水素化合物のカリウム塩)を調製した後、該重合開始剤にアルキレンオキサイドを連続的に装入しながら、反応温度105〜150℃、最大反応圧力490〜588kPa以下の条件で、所定の分子量が得られるまで反応させ、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得る。次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のカリウムを無機酸等の酸で中和した後、脱水、乾燥して析出したカリウム塩をろ過による等の精製工程を経て製造されている。
【0003】
しかし、アルキレンオキサイドとして最も広く使用されているプロピレンオキサイドを付加重合する場合、ポリオキシアルキレンポリオールの分子量の増加と共に、分子末端に不飽和基を有するモノオールが副生することが知られている。
【0004】
通常、モノオールの含有量は、ポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度(以下、C=Cと表記する)に対応する。このモノオールは、主反応により生成するポリオキシアルキレンポリオールと比較して低分子量であるため、ポリオキシアルキレンポリオールの分子量分布を大幅に広げ、平均官能基数を低下させる。従って、モノオール含有量の高いポリオキシアルキレンポリオールを使用したポリウレタン樹脂は、フォーム、エラストマーを問わず、ヒステリシスの増大、硬度の低下、キュア性の低下、永久圧縮歪みの増加等の好ましくない結果を伴う。
【0005】
そこで、モノオールの副生を抑制し、かつ、ポリオキシアルキレンポリオールの生産性の向上を図ることが種々検討されている。例えば、USP3,829,505、USP4,472,560号公報には、プロピレンオキサイド付加重合用の触媒として、複合金属シアン化物錯体(Double Metal Cyanide complex;以下、DMCという)触媒を用いる方法が提案されている。DMCは、プロピレンオキサイドの重合触媒として優れた性能を示す。しかし、DMCを触媒として用い、アルキレンオキサイドとしてエチレンオキサイドを付加重合する場合には、一旦、酸素を含んだガス、過酸化物、硫酸等の酸化剤との反応によりDMCを失活させ、ポリオールから触媒残渣を分別し、更に、KOHのようなアルカリ金属水酸化物やアルカリ金属アルコキシド等を用いてエチレンオキサイドを付加重合する必要があるため(USP5,235,114号公報)、操作が煩雑となる。
【0006】
特開平7−278289号公報には、水酸化セシウム等を触媒として用いた、水酸基価(以下、OHVと表記する)が10〜35mgKOH/g、モノオール最大含有量が15モル%であり、更に、プロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トウ−テイル(Head−to−Tail、以下、単にH−Tという)結合最低選択率が96%であるポリオキシアルキレンポリオールが開示されている。該ポリオキシアルキレンポリオールは、モノオール含有量を低下させても粘度が低く、又、得られる軟質ポリウレタンフォームの機械的性質も良好であり、優れた特性を有するポリオキシアルキレンポリオールである。しかし、水酸化セシウムを触媒として、例えば、OHVが15mgKOH/gであり、モノオール含有量15モル%以下の高分子量、低モノオール含有量のポリオキシアルキレンポリオールを製造するためにはかなりの反応時間を要するので、ポリオールの生産性を考慮した場合、必ずしも満足し得る触媒とはいえない。
【0007】
一方、金属を含まないポリオキシアルキレンポリオールの製造用触媒として、ホスファゼン化合物が提案されている(EP0763555号公報、マクロモレキュラー ラピッド コミュニケーション(Macromol.Rapid Commun.)17巻 143〜148頁 1996年、及び、マクロモレキュラーシンポジウム(Macromol.Symp.)107巻 331〜340頁 1996年)。これらのホスファゼン化合物をポリオキシアルキレンポリオールの製造用触媒として用いた場合、モノオールの副生率が少ない上、ポリオキシアルキレンポリオールの生産性が飛躍的に向上するといった利点を有している。
【0008】
本出願人は、国際公開公報WO98/54241号(EP0916686A1号公報)に係わる特許出願において、新規なホスファゼニウム化合物を触媒として使用した、C=Cが低く、H−T結合選択率が高く、且つ、主反応成分のポリオールの分子量分布がシャープであるポリオキシアルキレンポリオール、及びその製造方法を提案した。ホスファゼニウム化合物をポリオキシアルキレンポリオールの製造用触媒として用いた場合、プロピレンオキサイドをモノマーとしてポリオールの製造を行っても、モノオールの副生率が少なく、ポリオキシアルキレンポリオールの生産性が飛躍的に向上するといった利点を有している。
【0009】
一方、ホスファゼン化合物、及び、ホスファゼニウム化合物の他に、ホスフィンオキシド化合物が公知である〔参照文献:Journal of general chemistry of the USSR,55,1453(1985)〕。該文献には、ホスフィンオキシド化合物の製造方法、並びに、ヨウ化メチルを用いた反応例が記載されている。しかし、ホスフィンオキシド化合物をポリオールの製造用の触媒として用いることについては何ら開示されていない。
【0010】
本出願人は、上記国際公開公報WO98/54241号(EP0916686A1号公報)に係わる特許出願において、ホスファゼニウム化合物を触媒として使用して製造した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法を提案した(第11頁21行〜第12頁17行におけるe〜hの方法)。該精製方法におけるe法は、特定量の酸、水、及び吸着剤の相乗効果により、触媒残存量を150ppm以下に制御し得るポリオールの優れた精製方法である。f法は、e法において、ポリオールに不活性な特定量の有機溶媒を併用する方法である。e法、及びf法は、共に特定量の吸着剤を使用する方法である。しかし、該方法は、前処理として、酸による中和処理を行った後、吸着剤を用いて残存触媒を除去する方法であり、工程が若干長い。
【0011】
また、吸着剤を用いない他の精製方法である、g法、及びh法は、共に多量の水、又は有機溶媒を使用する方法である。そのため、精製処理後、ポリオキシアルキレンポリオールから、水、又は有機溶媒を除去する工程を必要とする。ポリオキシアルキレンポリオールの分子構造に依っては、多量の水との接触操作により、水中に一部ポリオールが溶解するため、ポリオールの収率が低下することがある。これらの方法は、いずれも工程が長く、必ずしも満足し得る方法とはいえない。
【0012】
上記のように、ホスファゼン化合物、及びホスファゼニウム化合物等のP=N結合を有する化合物は、C=Cが低く、H−T結合選択率が高く、且つ、主反応成分のポリオールの分子量分布がシャープである、等の優れた特性を有するポリオキシアルキレンポリオールの製造触媒として極めて有用である。従って、該化合物を触媒として用いて製造されたポリオキシアルキレンポリオールを、更に簡便な方法により精製する方法が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中から、簡便な方法により、効率的に残存触媒化合物を除去し得る、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法、及びその誘導体の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、P=N結合を有する化合物を触媒とし、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、更に、得られた粗製ポリオキシアルキレンポリオールを特定の形状を有する固体酸(吸着剤)を用いて精製することにより、触媒残存量の少ないポリオキシアルキレンポリオールが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
即ち、本発明に係わる第1発明は、P=N結合を有する化合物を触媒として、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと、比表面積が450〜1200m2/g、平均細孔直径が40〜100Åである固体酸とを接触させ、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法である。
【0016】
第1発明の好ましい態様として、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸を接触させる際に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.1〜10重量%の水を共存させる前記ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法、及び、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸とを接触させた後、固体酸とポリオキシアルキレンポリオールを分離し、次いで、ポリオキシアルキレンポリオールに対し、無機酸、及び有機酸から選ばれた少なくとも1種の酸1〜25ppmを添加する前記ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法が挙げられる。粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸とを接触させる温度は50〜150℃の範囲が好ましい。また、精製したポリオキシアルキレンポリオール中の触媒残存量は、90ppm以下に制御することが好ましい。
【0017】
上記第1発明における好ましい固体酸として、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び酸化亜鉛を含む異なる酸化物同士から調製される複合金属酸化物が挙げられる。具体的には、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸チタニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸チタニウム、ジルコン酸アルミニウム、及びジルコン酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の複合金属酸化物が挙げられる。これらの内、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びそれらの混合物が好ましい。
【0018】
P=N結合を有する化合物として、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、及びホスファゼン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物が挙げられる。ホスファゼニウム化合物としては、化学式(1)〔化4〕
【0019】
【化4】
【0020】
[化学式(1)中のa、b、c及びdは、それぞれ0〜3の正の整数であるが、a、b、c及びdの全てが同時に0ではない。Rは、同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。Q-は、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、アリールオキシアニオンまたはカルボキシアニオンを表す]で表される化合物が挙げられる。
ホスフィンオキシド化合物として、化学式(2)〔化5〕
【0021】
【化5】
【0022】
[化学式(2)において、Rは同種、または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、xは含有する水の量をモル比で示し、0〜5である]で表される化合物が挙げられる。
ホスファゼン化合物として、化学式(3)〔化6〕
【0023】
【化6】
【0024】
(化学式(3)中、l、m及びnは、それぞれ0〜3の正の整数を表す。Dは、同種または異種の炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基、チオフェノール残基、一置換アミノ基、二置換アミノ基、または5乃至6員環の環状アミノ基である。Qは、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。さらには、同一リン原子上の、もしくは異なる二個のリン原子上の二個のDが互いに結合し、またDとQとが互いに結合して、それぞれ環構造を形成することもできる)で表される化合物が挙げられる。
【0025】
上記粗製ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては、活性水素化合物1モルに対し、触媒1×10-4〜5×10-1モルの存在下、反応温度15〜130℃、最大反応圧力882kPa以下の条件下で、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合する方法が挙げられる。
【0026】
本発明に係わる方法により製造されるポリオキシアルキレンポリオールの特性は、水酸基価が2〜200mgKOH/g、総不飽和度が0.07meq./g以下、プロピレンオキサイド付加重合によるポリオキシアルキレンポリオールのオキシプロピレン基のヘッド−トウ−テイル結合選択率が95モル%以上である。これらの特性に加え、オキシプロピレン基の含有量が少なくとも50重量%であることが好ましい。更に、水酸基価が9〜120mgKOH/g、総不飽和度が0.05meq./g以下、ヘッド−トウ−テイル結合選択率が96モル%以上であり、且つ、P=N結合を有する化合物触媒の残存量が90ppm以下であることが好ましい。
【0027】
第2発明は、ポリオール中にポリマー粒子が分散したポリマー分散ポリオールの製造方法であって、前記製造方法によりポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、ラジカル重合開始剤の存在下、40〜200℃において、該ポリオール100重量部中で、エチレン性不飽和モノマー5〜86重量部を重合し、ポリマー粒子の濃度を5〜60重量%に制御することを特徴とするポリマー分散ポリオールの製造方法である。エチレン性不飽和モノマーは、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド及びメタクリル酸メチルから選ばれた少なくとも1種のモノマーであることが好ましい。
【0028】
第3発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法であって、前記製造方法によりポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、50〜120℃において、得られたポリオキシアルキレンポリオールに対して、イソシアネートインデックスが1.3〜10となる量のポリイソシアネートを反応させる、イソシアネート基の含有量(NCO%)が0.3〜30重量%、プレポリマーの主鎖のヘッド−トウ−テイル結合選択率が95モル%以上であるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法である。得られたプレポリマー中の遊離イソシアネート化合物の含有量が、1重量%以下であることが好ましい。
【0029】
第4発明は、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法であって、前記製造方法によりポリマー分散ポリオールを製造し、次いで、50〜120℃において、得られたポリマー分散ポリオールに対して、イソシアネートインデックスが1.3〜10となる量のポリイソシアネートを反応させる、イソシアネート基の含有量(NCO%)が0.3〜30重量%であるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法である。
【0030】
第5発明は、前記製造方法によりイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、次いで、60〜140℃において、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤とを、イソシアネートインデックスが0.6〜1.5となる範囲で反応させるポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0031】
第6発明は、前記製造方法によりポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、10〜50℃において、得られたポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネート基末端プレポリマーとを、イソシアネートインデックスが0.8〜1.3となる範囲で反応させるポリウレタン樹脂の製造方法である。
【0032】
第7発明は、水、触媒、及び整泡剤の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記製造方法によりポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、得られたポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも30重量%含むポリオールを用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0033】
第8発明は、水、触媒、及び整泡剤の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記製造方法によりポリマー分散ポリオールを製造し、次いで、得られたポリマー分散ポリオールを少なくとも10重量%含むポリオールを用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0034】
本発明の特徴は、P=N結合を有する化合物を触媒として、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、得られた粗製ポリオキシアルキレンポリオールを特定の形状を有する固体酸と接触させて、残存触媒を除去し、精製ポリオキシアルキレンポリオール中の残存触媒を150ppm以下に制御することにある。本発明に係わる固体酸を用いる精製方法は、従来の固体酸(吸着剤)を用いる精製方法に比べ、酸による中和処理等が不要であり、工程が簡略化できるため、精製工程における製品ロスが少ない。また、触媒残存量が少ないため、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールの誘導体であるイソシアネート基末端プレポリマーの経時安定性が向上する利点がある。更に、そのプレポリマーから得られるポリウレタンの特性も優れる。従って、本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオール及びその誘導体の製造方法は、塗料、接着剤、床材、防水材、シーリング剤、靴底、エラストマー等のポリウレタン分野、並びに、界面活性剤、潤滑剤、作動液、及びサニタリー用品分野等における原料の製造方法として極めて有用である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法>
先ず、本発明に係るポリオキシアルキレンポリオールの製造方法について説明する。
本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの製造方法は、P=N結合を有する化合物を触媒とし、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、得られた粗製ポリオキシアルキレンポリオールを特定の形状を有する固体酸と接触させる方法で精製することによって製造される。
【0036】
粗製ポリオキシアルキレンポリオールの製造用触媒として用いる、P=N結合を有する化合物としては、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、及びホスファゼン化合物が挙げられる。
ホスファゼニウム化合物としては、上記化学式(1)で表される化合物、又は、化学式(4)〔化7〕
【0037】
【化7】
【0038】
[化学式(4)中のa、b、c及びdは、それぞれ0〜3の正の整数であるが、a、b、c及びdの全てが同時に0ではない。Rは同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のRが互いに結合して環構造を形成する場合もある。rは、1〜3の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Tr-は、価数rの無機アニオンを表す]で表される化合物が挙げられる。これらの内、化学式(1)で表される化合物が好ましい。
【0039】
本発明における化学式(1)、又は化学式(4)で表されるホスファゼニウムカチオン中のa、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の正の整数である。ただし、全てが同時に0ではない。好ましくは0〜2の整数である。より好ましくはa、b、cおよびdの順序に関わらず、(2,1,1,1)、(1,1,1,1)、(0,1,1,1)、(0,0,1,1)または(0,0,0,1)の組み合わせ中の数である。さらに好ましくは、(1,1,1,1)、(0,1,1,1)、(0,0,1,1)または(0,0,0,1)の組み合わせ中の数である。
【0040】
本発明における化学式(1)、又は化学式(4)で表される塩のホスファゼニウムカチオン中のRは、同種または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基である。具体的には、このRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチルまたは2−フェニルエチル等の脂肪族または芳香族の炭化水素基から選ばれる。これらの内、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチル、tert−オクチル等の炭素数1〜10個の脂肪族炭化水素基が好ましい。メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0041】
また、ホスファゼニウムカチオン中の同一窒素原子上の2個のRが結合して環構造を形成する場合の該窒素原子上の2価の炭化水素基は、4〜6個の炭素原子からなる主鎖を有する2価の炭化水素基である(環は窒素原子を含んだ5〜7員環となる)。好ましくは、例えば、テトラメチレン、ペンタメチレンまたはヘキサメチレン等である。また、それらの主鎖にメチルまたはエチル等のアルキル基が置換したものである。より好ましくは、テトラメチレンまたはペンタメチレン基である。ホスファゼニウムカチオン中の、可能な全ての窒素原子についてこのような環構造をとっていても構わず、一部であってもよい。
【0042】
化学式(4)中のTr-は、価数rの無機アニオンを表す。そして、rは1〜3の整数である。このような無機アニオンとしては、例えば、ホウ酸、テトラフルオロ酸、シアン化水素酸、チオシアン酸、フッ化水素酸、塩酸またはシュウ化水素酸などのハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、ヘキサフルオロリン酸、炭酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロタリウム酸および過塩素酸などの無機アニオンが挙げられる。また、無機アニオンとしてHSO4 -、HCO3 -もある。これらの無機アニオンは、イオン交換反応により互いに交換することができる。これらの無機アニオンのうち、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、ハロゲン化水素酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸および過塩素酸等の無機酸のアニオンが好ましい。塩素アニオンがより好ましい。
【0043】
化学式(4)のホスファゼニウム化合物を触媒として使用する場合には、予め、活性水素化合物のアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の塩を調製する必要がある。該塩の調製方法は従来公知の方法でよい。化学式(4)で表される化合物と共存させる活性水素化合物のアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の塩とは、活性水素化合物の活性水素が水素イオンとして解離してアルカリ金属、又はアルカリ土類金属イオンと置き換わった形の塩である。
【0044】
化学式(1)で表される化合物の好ましい形態としては、例えば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。
【0045】
ホスフィンオキシド化合物としては、上記化学式(2)で表される化合物が挙げられる。化学式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物中のRは、同種、または異種の炭素数1〜10個の炭化水素基である。このRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ブテニル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル(通称、tert−オクチル)、ノニル、デシル、フェニル、4−トルイル、ベンジル、1−フェニルエチル、または2−フェニルエチル等の脂肪族、または芳香族の炭化水素基から選ばれる。更に、Rは、ピロリジノ基、ピペリジノ基の形態でも構わない。これらのRのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、tert−ペンチル、1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル等の同種、又は、異種の炭素数1〜8個の脂肪族炭化水素基が好ましい。メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0046】
化学式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物は、Journal of general chemistry of the USSR,55,1453(1985)記載の方法、又はそれに類似する方法で合成することができる。通常、化学式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物は、吸湿性を有しており、含水物、あるいは水和物になりやすい。ホスフィンオキシド化合物に含まれる水分子の量を表すxは、該ホスフィンオキシド化合物に対するモル比で示しており、xは、0〜5であり、好ましくは0〜2である。
ホスフィンオキシド化合物の好ましい形態としては、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、又はトリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0047】
ホスファゼン化合物としては、本出願人の特許出願に係わる特開平10−36499号公報に示した化合物が挙げられる。具体的には、上記化学式(3)で表される化合物が挙げられる。
化学式(3)中のQ、即ち、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、tert−オクチル、ノニルまたはデシル等のアルキル基であり、アリル、2−メチルアリル、ベンジル、フェネチル、o−アニシル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルまたはシンナミル等の不飽和結合もしくは芳香族基を有するアルキル基であり、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3−プロピルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたは1−シクロヘキセニル等の脂環族基であり、ビニル、スチリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニルまたは1,3−ブタジエニル等のアルケニル基であり、エチニルまたは2−プロピニル等のアルキニル基であり、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、3,4−キシリル、メシチル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはp−メトキシフェニル等の芳香族基が挙げられる。
【0048】
化学式(3)中のD、即ち、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、tert−オクチル、ノニルまたはデシル等のアルキル基であり、アリル、2−メチルアリル、ベンジル、フェネチル、o−アニシル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルまたはシンナミル等の不飽和結合もしくは芳香族基を有するアルキル基であり、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3−プロピルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたは1−シクロヘキセニル等の脂環族基であり、ビニル、スチリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニルまたは1,3−ブタジエニル等のアルケニル基であり、エチニルまたは2−プロピニル等のアルキニル基であり、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、3,4−キシリル、メシチル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはp−メトキシフェニル等の芳香族基が挙げられる。
【0049】
Dのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、アリルオキシ、シクロヘキシルオキシまたはベンジルオキシ等の炭素数1〜20を含むアルコキシ基であり、Dのフェノキシ基としては、例えば、フェノキシ、4−メチルフェノキシ、3−プロピルフェノキシまたは1−ナフチルオキシ等の炭素数6〜20を含むフェノキシ基であり、Dのチオール残基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、tert−オクチルチオ、ノニルチオまたはデシルチオ等の炭素数1〜20を含むチオール残基である。
【0050】
Dのチオフェノール残基としては、例えば、フェニルチオ、o−トルイルチオ、m−トルイルチオ、p−トルイルチオ、2,3−キシリルチオ、2,4−キシリルチオ、3,4−キシリルチオ、4−エチルフェニルチオ、または2−ナフチルチオ等の炭素数6〜20を含むチオフェノール残基であり、Dの一置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミノ、オクチルアミノ、tert−オクチルアミノ、ノニルアミノ、デシルアミノ、1−エチルプロピルアミノ、1−エチルブチルアミノ、アニリノ、o−トルイルアミノ、m−トルイルアミノ、p−トルイルアミノ、2,3−キシリノアミノ、2,4−キシリノアミノまたは3,4−キシリノアミノ等の炭素数1〜20を含む一置換アミノ基である。
【0051】
Dの二置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、メチルブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、エチルヘキシルアミノ、ジヘプチルアミノ、ジオクチルアミノ、ジ−tert−オクチルアミノ、エチル−tert−オクチルアミノ、ジノニルアミノ、ジデシルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、ジ−o−トルイルアミノ、ジ−2,3−キシリルアミノまたはフェニルトルイルアミノ等の同種もしくは異種の炭素数1ないし20の炭化水素基が二置換したアミノ基であり、1−ピロリジニル、3−メチル−1−ピロリジニル、1−ピロリル、3−エチル−1−ピロリル、1−インドリル、1−ピペリジル、3−メチル−1−ピペリジル、1−ピペラジニル、4−メチル−1−ピペラジニル、1−イミダゾリジニルまたは4−モルホリニル等の5ないし6員環の環状アミノ基が挙げられる。
【0052】
同一リン原子上の、又は、異なる二個のリン原子上の二個のDが互いに結合した可能な全て、または一部が環構造を形成している場合の、リン原子上の二価の基(D−D)としては、エチレン、ビニレン、プロピレン、1,2−シクロヘキサニレン、1,2−フェニレン、トリメチレン、プロペニレン、テトラメチレン、2,2'−ビフェニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレンまたはペンタメチレン等の飽和もしくは不飽和の脂肪族の二価の炭化水素基である。
【0053】
更には、該二価の基の両端とリン原子間の結合の一方、または両方に、酸素原子、硫黄原子、及び水素原子またはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基等の脂肪族や芳香族炭化水素基が結合した窒素原子からなる群のうちの任意の一個または二個が挿入した形の二価の基が挙げられる。
【0054】
それらの二価の基の具体例としては、例えば、メチレンオキシ、エチレン−2−オキシ、トリメチレン−3−オキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、トリメチレン−1,3−ジオキシ、シクロヘキサン−1,2−ジオキシ、ベンゼン−1,2−ジオキシ、メチレンチオ、エチレン−2−チオ、トリメチレン−3−チオ、テトラメチレン−4−チオ、メチレンジチオ、エチレンジチオ、トリメチレン−1,3−ジチオ、イミノメチレン、2−イミノエチレン、3−イミノトリメチレン、4−イミノテトラメチレン、N−エチルイミノメチレン、N−シクロヘキシル−2−イミノエチレン、N−メチル−3−イミノトリメチレン、N−ベンジル−4−イミノテトラメチレン、ジイミノメチレン、1,2−ジイミノエチレン、1,2−ジイミノビニレン、1,3−ジイミノトリメチレン、N,N'−ジメチルジイミノメチレン、N,N'−ジフェニル−1,2−ジイミノエチレン、N,N'−ジメチル−1,2−ジイミノエチレン、N−メチル−N'−エチル−1,3−ジイミノトリメチレン、N,N'−ジエチル−1,4−ジイミノテトラメチレンまたはN−メチル−1,3−ジイミノトリメチレン等の基が挙げられる。
【0055】
また、DとQとが互いに結合して可能な全て、または一部が環構造を形成している場合の、窒素原子およびリン原子を繋ぐ二価の基(D−Q)としては、上記に示したリン原子上の二価の基と同一の飽和もしくは不飽和の脂肪族の二価の炭化水素基であり、さらには該二価の炭化水素基とリン原子間の結合に、酸素原子、硫黄原子および、水素原子またはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基などの脂肪族や芳香族炭化水素基が結合した窒素原子からなる群のうちの任意の一個が挿入した形の二価の基が挙げられる。
【0056】
それらの二価の基の具体例としては、例えば、メチレンオキシ、エチレン−2−オキシ、メチレンチオ、エチレン−2−チオ、イミノメチレン、2−イミノエチレン、N−メチルイミノメチレン、N−エチル−2−イミノエチレン、N−メチル−3−イミノトリメチレンまたはN−フェニル−2−イミノエチレン等の基が挙げられる。
【0057】
化学式(3)で表される構造を持つホスファゼン化合物の具体例を挙げると、Dが同種、または異種のアルキル基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメチルホスファゼンまたは1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタイソプロピル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0058】
Dが不飽和結合、もしくは芳香族基を有するアルキル基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリアリルホスファゼン、1−シクロヘキシル−2,2,4,4,4−ペンタアリル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)または1−エチル−2,4,4,4−トリベンジル−2−トリベンジルホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0059】
Dが脂環族基である場合の例としては、例えば、1−メチル−2,2,2−トリシクロペンチルホスファゼンまたは1−プロピル−2,2,4,4,4−シクロヘキシル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがアルケニル基である場合の例としては、例えば、1−ブチル−2,2,2−トリビニルホスファゼンまたは1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタスチリル−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがアルキニル基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(2−フェニルエチニル)ホスファゼン等が挙げられ、Dが芳香族基である場合の例としては例えば、1−イソプロピル−2,4,4,4−テトラフェニル−2−トリフェニルホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0060】
Dがアルコキシ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメトキシホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタイソプロポキシ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)または1−フェニル−2,2,4,4,4−ペンタベンジルオキシ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがフェノキシ基である場合の例としては、例えば、1−メチル−2,2,2−トリフェノキシホスファゼンまたは1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(1−ナフチルオキシ)−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0061】
Dが二置換アミノ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジメチルアミノ)−2−トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジイソプロピルアミノ)−2−トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジ−n−ブチルアミノ)−2−トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(メチルエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(メチルエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5,6λ5−カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5,6λ5−カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5,6λ5−カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジ−n−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5,4λ5,6λ5−カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2−〔2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン−1−イル〕−2−〔2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)−1−イル〕−2λ5,4λ5,6λ5−カテナトリ(ホスファゼン)または1−フェニル−2,2−ビス(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシ−4−フェニルアミノ−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0062】
更に、同一リン原子上の、または異なる二個のリン原子上のDが互いに結合して環構造を形成している場合の例としては、例えば、2−(tert−ブチルイミノ)−2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2λ5−ホスフィナン等が挙げられる。
【0063】
ホスファゼン化合物の好ましい形態としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[ トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ] −2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、または7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ[ 5,5] ウンデカ−1(6)−エン等が挙げられる。以上、詳述したP=N結合を有する化合物の内、触媒の工業的な利用を鑑みると、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、及びそれらの混合物が好ましい。
【0064】
本発明に用いる活性水素化合物としては、アルコール類、フェノール化合物、ポリアミン、アルカノールアミン、チオアルコール類等が挙げられる。例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール類、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、メチルグルコシド等の糖類、又は、その誘導体、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪酸アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、レゾルシン等のフェノール化合物等が挙げられる。
【0065】
更に、エチレンチオグリコール、プロピレンチオグリコール、トリメチレンチオグリコール、ブタンジチオール等の2価のチオアルコール類や、ジエチレンチオグリコール、トリエチレンチオグリコール等のアルキレンチオグリコール類が挙げられる。これらの活性水素化合物は2種以上併用して使用することもできる。
また、これらの活性水素化合物に従来公知の方法でエポキサイド化合物を付加重合して得られる化合物も使用できる。
【0066】
これらの化合物の中で最も好ましくは、2価アルコール類、2価アルコール類にアルキレンオキサイドを付加重合した数平均分子量が最大2,000までの化合物、3価アルコール類、3価アルコール類にアルキレンオキサイドを付加重合した数平均分子量が最大2,000までの化合物である。2価アルコール類あるいは3価アルコール類にエポキサイド化合物を付加した後の数平均分子量が2,000を超えるものは副生モノオール量が多くなるため好ましくない。
【0067】
上記活性水素化合物に付加重合するエポキサイド化合物としては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドである。より好ましくはプロピレンオキサイド、及びエチレンオキサイドである。エポキサイド化合物の総量の少なくとも50重量%はプロピレンオキサイドであることが好ましい。より好ましくは少なくとも60重量%であり、更に好ましくは少なくとも70重量%である。かかる割合のプロピレンオキサイドを含むエポキサイド化合物を使用することにより、ポリオキシアルキレンポリオール中に占めるオキシプロピレン基の含有量を少なくとも50重量%とすることができる。オキシプロピレン基の好適な含有量は、少なくとも60重量%であり、更に好ましくは少なくとも70重量%である。オキシプロピレン基の含有量が50重量%以上であると、ポリオキシアルキレンポリオールの粘度が低下し、且つ、該ポリオールから得られるウレタン樹脂の柔軟性が向上する。
【0068】
触媒である上記P=N結合を有する化合物の使用量は、活性水素化合物1モルに対して、1×10-4〜5×10-1モルである。好ましくは5×10-4〜1×10-1モル、さらに好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。ポリオキシアルキレンポリオールを高分子量化する際には、活性水素化合物に対するP=N結合を有する化合物の濃度を上記範囲内で高めることが好ましい。活性水素化合物1モルに対して、P=N結合を有する化合物が1×10-4モル未満である場合には、エポキサイド化合物の重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。逆に、5×10-1モルを超えると、ポリオキシアルキレンポリオール製造コストに占めるP=N結合を有する化合物触媒のコストが高くなる。
【0069】
活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合する温度は15〜130℃である。好ましくは40〜120℃、更に好ましくは50〜110℃の範囲である。エポキサイド化合物の付加重合温度を上記範囲内の低い温度で行う場合は、活性水素化合物に対するP=N結合を有する化合物の濃度を先に述べた範囲内で高めることが好ましい。エポキサイド化合物の付加重合温度が15℃未満であると、エポキサイド化合物の重合速度が低下するため、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。一方、付加重合温度が130℃を超えると、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)にも依るが、総不飽和度(C=C)が0.07meq./gより高くなる。
【0070】
エポキサイド化合物の付加重合反応の最大圧力は、882kPa以下である。通常、耐圧反応機内でエポキサイド化合物の付加重合が行われる。エポキサイド化合物の反応は減圧状態から開始しても、大気圧の状態から開始してもよい。大気圧状態から開始する場合には、窒素、又は、ヘリウム等の不活性気体存在下で行うことが望ましい。エポキサイド化合物の最大反応圧力が882kPaを超えると副生モノオール量が増加する。最大反応圧力は、好ましくは686kPa以下、更に好ましくは490kPa以下である。エポキサイド化合物として、プロピレンオキサイドを用いる場合には、最大反応圧力は490kPa以下が好ましい。
【0071】
重合系へのエポキサイド化合物の供給方法は、必要量のエポキサイド化合物の一部を一括して供給し、残部を連続的に供給する方法、又は、全てのエポキサイド化合物を連続的に供給する方法等が用いられる。必要量のエポキサイド化合物の一部を一括して供給する方法においては、エポキサイド化合物の重合反応初期の反応温度は、上記温度範囲内でより低温側とし、エポキサイド化合物の装入後に次第に反応温度を上昇する方法が好ましい。
【0072】
エポキサイド化合物として、プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを併用する場合の重合方法には、▲1▼プロピレンオキサイドを重合した後、エチレンオキサイドをブロックで共重合するエチレンオキサイドキャップ反応、▲2▼プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをランダムに共重合するランダム反応、▲3▼プロピレンオキサイドを重合した後、エチレンオキサイドを重合し、次いで、プロピレンオキサイドを重合するトリブロック共重合反応が挙げられる。これらの中で好ましい重合方法は、エチレンオキサイドキャップ反応とトリブロック共重合反応である。
【0073】
付加重合機の最大圧力は、エポキサイド化合物の装入速度、重合温度、触媒量等に影響される。エポキサイド化合物の装入速度は、付加重合機の最大圧力が882kPaを超えないように制御することが好ましい。エポキサイド化合物の装入が完了すると、付加重合機の内圧は徐々に低下する。内圧の変化が認められなくなるまで付加重合反応を継続することが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)を基準とすると、OHVが2〜200mgKOH/gとなるまで付加重合を継続することが好ましい。
【0074】
エポキサイド化合物の付加重合反応に際して、必要ならば溶媒を使用することもできる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ペプタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。溶媒を使用する場合には、ポリオキシアルキレンポリオールの製造コストを上げないためにも、製造後に溶媒を回収し再利用する方法が望ましい。
【0075】
本発明に係わる、ホスフィンオキシド化合物を触媒として用いるポリオキシアルキレンポリオールの製造方法においては、活性水素化合物(但し、水を除く)、及び、ホスフィンオキシド化合物中の水分が低い場合、ポリオキシアルキレンポリオールの重合開始剤を調製する工程において、加熱減圧脱水処理、あるいは、脱塩反応等の操作を行わなくても良い。通常、最も広く使用されているKOH触媒を用いる方法においては、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合する前に、反応機にKOHと活性水素化合物を装入し、100〜120℃、1.33kPa以下の条件で、3〜8時間の加熱減圧脱水処理を行い、重合開始剤(活性水素化合物のカリウム塩)を調製する必要がある。又、特開平10−77289号公報、或いは、国際公開公報WO98/54241号(EP0916686A1)記載の無機化合物が対アニオンであるホスファゼニウム化合物触媒を用いる方法においては、上記活性水素化合物のカリウム塩との脱塩反応を行い、重合開始剤を調製しなければならない。加熱減圧脱水処理を実施しなくてよい場合の好ましい水分量は、活性水素化合物、及び、ホスフィンオキシド化合物の総量に対して、水分が600ppm以下であり、更に好ましくは、400ppm以下、最も好ましくは、300ppm以下である。
【0076】
次に、上記のようにして製造された粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法について説明する。精製の主たる目的は、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中に残存するP=N結合を有する化合物を除去することに有る。本発明者らは、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを特定の比表面積、及び平均細孔直径を有する固体酸に接触させることにより、効率的に残存触媒が除去され、触媒の残存量を特定値以下に制御できることを見出した。特に、比表面積が450〜1200m2/gであり、且つ、平均細孔直径が40〜100Åである固体酸が有用である。
【0077】
P=N結合を有する化合物(以下、触媒という)の除去能を考慮すると、固体酸の比表面積が重要な因子である。固体酸の比表面積は、好ましくは500〜1100m2/g、更に好ましくは550〜1000m2/gである。比表面積が450m2/g未満になると、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒の除去能が低下する。一方、粗製ポリオキシアルキレンポリオール、及び固体酸の混合液から、精製ポリオキシアルキレンポリオールを回収する際の効率を考慮すると、比表面積の上限としては1200m2/gである。
【0078】
好ましい平均細孔直径は50〜100Åであり、更に好ましくは55〜95Åである。平均細孔直径が40Å未満の固体酸、例えば、ゼオライト等は、触媒の除去能が低い。一方、触媒の分子直径、及び固体酸の比表面積等を考慮すると、固体酸の平均細孔直径の上限は100Åである。更に、触媒の除去能を向上させるためには、比表面積、及び平均細孔直径が上記範囲であり、且つ、直径が10〜60Åの範囲の細孔を有する固体酸を用いることが好ましい。
【0079】
上記形状を有する固体酸としては、酸性白土、モンモリロナイト等の粘土鉱物、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等の複合金属酸化物、金属の硫酸塩又はリン酸塩等、シリカゲル−リン酸等の固形化酸、陽イオン交換樹脂が挙げられる。本発明の目的には、上記比表面積、及び平均細孔直径を有する複合金属酸化物が好適である。この様な複合金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び酸化亜鉛等の異なる酸化物同士から調製される複合金属酸化物が挙げられる。具体的には、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸チタニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸チタニウム、ジルコン酸アルミニウム、ジルコン酸マグネシウム等が挙げられる。これらの複合金属酸化物以外に、前記した形状を満たしていれば、シリカゲル等の金属酸化物単体も使用できる。
【0080】
特に好ましく用いられる固体酸は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びこれらの混合物である。これらは天然品より合成品が好ましい。これらの特性を有する固体酸の市販品としては、協和化学工業(株)製、商品名:KW−600BUP−S、KW−700PEL、KW−700SEL等が挙げられる。これらの内、KW−700PEL、及びKW−700SELが好ましい。最も好ましくはKW−700SELである。
【0081】
合成ケイ酸アルミニウムの例としては、二酸化珪素の含有量が55〜75重量%、酸化アルミニウムの含有量が5〜25重量%のものが好ましい。その化学組成の例としては、Al2O3・nSiO2・mH2Oが挙げられる(n、mは、酸化アルミニウムへの二酸化珪素、または水の配位数)。水が配位したものが好ましい。合成ケイ酸マグネシウムの例としては、二酸化珪素の含有量が55〜70重量%、酸化マグネシウムの含有量が5〜20重量%のものが好ましい。その化学組成の例としては、MgO・xSiO2・yH2Oが挙げられる(x、yは、酸化マグネシウムへの二酸化珪素、または水の配位数)。特に水が配位したものが好ましい。
【0082】
粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸との接触温度は、室温近傍の温度でも良い。しかし、処理時間の短縮、触媒除去能の向上を図ること等を考慮すると、接触温度は50〜150℃の範囲が好ましい。より好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃である。ポリオキシアルキレンポリオールの分子量が大きい場合には、粘度が高くなるので50℃以上で接触させることが好ましい。150℃より高くなると、粗製ポリオキシアルキレンポリオールが着色する傾向にある。
【0083】
粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸との接触方法としては、回分式と連続式の2方法が挙げられる。回分式とは、例えば、反応機に仕込んだ粗製ポリオキシアルキレンポリオールに固体酸を装入し、攪拌混合する方法である。ポリオキシアルキレンポリオールの着色、劣化を防止する目的で、不活性ガスの存在下、攪拌混合することが好ましい。固体酸の使用量としては、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して0.01〜2重量%である。好ましくは0.05〜1.5重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。接触時間は、スケールにも依るが、前記温度条件で1〜6時間程度が好ましい。連続式とは、固体酸を充填した塔に粗製ポリオキシアルキレンポリオールを通液する方法である。空塔速度は、スケールにも依るが、0.1〜3(1/hr)程度が好ましい。固体酸と接触した後、ろ過、遠心分離等の常用の方法によりポリオキシアルキレンポリオールを回収する。
【0084】
固体酸による触媒の吸着能を更に向上させるために、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸とを接触させる際に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.1〜10重量%の水を共存させることが好ましい。より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは2〜7重量%である。固体酸と水を共存させる方法は、ポリオール中にそれらを添加すればよい。両者を添加する順序は問わない。粗製ポリオキシアルキレンポリオールに水を添加する時の温度は、50〜150℃が好ましい。水を添加した場合、例えば、90℃で5時間、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸を攪拌混合した後、例えば、110℃、1.33kPa以下の条件で減圧脱水操作を行い、水分を除去する。
【0085】
ポリオキシアルキレンポリオールの劣化を防止する目的で、ポリオキシアルキレンポリオールに酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤は、単独、又は2種以上を併用しても良い。酸化防止剤としては、例えば、tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニール)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニール)−プロピオネート、エチルヘキシルホスファイト、4,4‘−ビス−α、α’−ジメチルベンジルジフェニルアミン、2−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、ポリオキシアルキレンポリオールに対して、100〜2000ppm程度である。
【0086】
更に、精製ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを製造する場合、プレポリマーの経時安定性を向上させる目的で、前記方法により得られたポリオキシアルキレンポリオールに酸を添加することもできる。酸としては、無機酸、及び有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、及び、それらの水溶液が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、及び、それらの水溶液が挙げられる。好ましくはリン酸、マレイン酸であり、水溶液の形態で用いることが良い。酸の添加量は、ポリオキシアルキレンポリオールに対して1〜25ppmである。好ましくは1〜20ppm、更に好ましくは1〜15ppmである。酸は、前記した添加量の範囲で、且つ、ポリオキシアルキレンポリオールのpHが5未満、及び、酸価が0.08mgKOH/g以上にならないような範囲で使用することが好ましい。
【0087】
更に、上記操作により得られるポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度は0.28mmol/kg以下が好ましい。更に好ましくは0.2mmol/kg以下、最も好ましくは、0.15mmol/kg以下である。過酸化物濃度が0.28mmol/kgを超えると、ポリイソシアネート化合物との反応に際して、錫系触媒を使用する場合、過酸化物により錫系触媒の活性が低下するため、ポリウレタンの成形性、力学物性が低下する。
【0088】
上記のようにして得られる精製ポリオキシアルキレンポリオールは、下記1〜4の特性を有する。即ち、(1)2〜200mgKOH/gの範囲のOHV。(2)0.07meq./g以下の範囲の総不飽和度(以下、C=Cという)。(3)95モル%以上のオキシプロピレン基のヘッド−トウ−テイル結合選択率(以下、H−T結合選択率という)。(4)150ppm以下の触媒残存量。(以下、これらを本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの4要件という)を有する。
【0089】
ポリオキシアルキレンポリオールのOHVは、好ましくは9〜120mgKOH/gであり、更に好ましくは11〜60mgKOH/gである。OHVが2mgKOH/gより小さくなるまでエポキサイド化合物、特にプロピレンオキサイドの付加重合を行うと、ポリオキシアルキレンポリオールの反応時間が長くなり過ぎる。又、OHVが200mgKOH/gより大きくなると、ポリオキシアルキレンポリオールの分子量が小さくなり、得られるポリウレタンの柔軟性が低下する。
【0090】
ポリオキシアルキレンポリオールのC=Cは、主として、プロピレンオキサイドの副反応により生成した分子末端に不飽和基を有するモノオール量の指標である。C=Cは0.07meq./g以下である。これより大きくなると、軟質ポリウレタンフォーム、エラストマー、シーリング材等のポリウレタン樹脂の機械的性質が低下するので好ましくない。かかる観点から、C=Cは好ましくは0.05meq./g以下、更に好ましくは0.03meq./g以下である。ポリウレタン樹脂の用途に依っては、ポリオキシアルキレンポリオールのC=Cは、0であることが好ましい。しかし、反応温度、圧力等の反応条件を極端に緩和しなければならず、反応時間が長くなり過ぎて、工業的には必ずしも好ましいとはいえない。斯様な観点から、C=Cの下限は0.001meq./g程度であることが好ましい。
【0091】
この様なC=Cの低いポリオキシアルキレンポリオールにおいて、プロピレンオキサイド付加重合によるオキシプロピレン基に基づくH−T結合選択率が95%より少なくなると、ポリオキシアルキレンポリオールの粘度の上昇、あるいはシリコーン整泡剤等の助剤との相溶不良による軟質ポリウレタンフォームの成形性悪化等の問題が生じる。また、ポリオキシアルキレンポリオールを高分子量化した際の粘度上昇により、ポリイソシアネート化合物との反応により得られるプレポリマーの粘度も上昇するため、作業性が低下する。このような観点から、H−T結合選択率は、95モル%以上であり、好ましくは96モル%である。
【0092】
ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒の残存量は、150ppm以下である。触媒の残存量が150ppmより多くなると、ポリオキシアルキレンポリオールをポリイソシアネート化合物と反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの経時的な粘度変化が生じる。触媒の残存量は、好ましくは90ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。触媒残存量の下限値は、可能な限り少ない方が良い。通常、上記精製方法によれば、1ppm程度まで低減することが可能である。
【0093】
<ポリマー分散ポリオールの製造方法>
次に、本発明に係わるポリマー分散ポリオールの製造方法について説明する。ポリマー分散ポリオールの製造方法としては、ポリオキシアルキレンポリオール中で、エチレン性不飽和モノマーを連続式操作、又は、回分式操作により重合し、ポリオール中にポリマー粒子を分散させる方法(以下、I法という)、或いは、予め、溶媒等の中で重合したポリマー溶液をポリオキシアルキレンポリオールに添加、脱溶媒し、ポリオール中にポリマー粒子を分散させる方法(以下、II法という)が挙げられる。ポリマー分散ポリオールの生産性を考慮すると、I法、特にその連続式操作が好ましい。先ず、I法について説明する。
【0094】
本発明において、ポリマー分散ポリオールの製造に使用するポリオキシアルキレンポリオールは、前記、1〜4の4要件を満たすポリオキシアルキレンポリオールである。ポリオキシアルキレンポリオールのOHVは、10〜150mgKOH/gの範囲が好ましい。更に好ましくは15〜100mgKOH/gの範囲である。
【0095】
ポリマー粒子を形成させるためのエチレン性不飽和モノマーは、重合し得るエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物である。かかるエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート等のメタクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン等の炭化水素系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレン等の芳香族炭化水素系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルエチルケトン等のビニルケトン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、N,N−ジメチルメタクロイルアミド等のメタクリルアミド類が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上の混合物でも使用できる。
【0096】
これらの内、好ましくは、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、及びメタクリル酸メチルから選ばれた少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和モノマーである。
【0097】
ポリマー粒子の分散濃度は、エチレン性不飽和モノマーの使用量、及びその転化率に依存する。ポリマー分散ポリオールの製造条件にも依るが、通常、エチレン性不飽和モノマーの転化率は70重量%以上である。好ましくは80重量%以上である。エチレン性不飽和モノマーの使用量は、その転化率を考慮して決定する。具体的には、分散媒である前記ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対し、5〜86重量部である。好ましくは8〜70重量部、さらに好ましくは9〜52重量部である。かくして、分散ポリマー粒子の濃度は、分散媒であるポリオキシアルキレンポリオール及びポリマー粒子の合計量の5〜60重量%であるポリマー分散ポリオールが得られる。好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは12〜45重量%である。ポリマー粒子の濃度が5重量%未満では、ポリウレタンの硬度、ポリウレタンフォームの通気性等、ポリマー分散ポリオールを使用したことによる十分な改質効果が得られない。ポリマー粒子の濃度が60重量%を超えると、得られるポリマー分散ポリオールの粘度の上昇が著しく、また、分散安定性も悪化する。
【0098】
ポリオキシアルキレンポリオール中に分散させるポリマー粒子の平均粒径は、0.01〜10μmが好ましい。さらに好ましくは0.05〜7μm、最も好ましくは0.08〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満の場合は、ポリマー分散ポリオールの粘度が上昇する。また、平均粒径が10μmより大きい場合は、ポリマーの分散安定性が悪化する。
【0099】
エチレン性不飽和モノマーの重合には、ラジカル重合開始剤が用いられる。具体的には、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の過酸化物、パーオキシジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常、エチレン性不飽和モノマーに対して、0.1〜10重量%である。好ましくは0.5〜5重量%である。
【0100】
ラジカル重合開始剤と共に連鎖移動剤を併用することが好ましい。連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール等のアルコール類、メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の脂肪族アミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のモルホリン類、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、トルエン、キシレン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられる。これらの内、好ましくはトリエチルアミン、トリエチルアミンとイソプロパノールの混合物である。連鎖移動剤の使用量は、ポリオキシアルキレンポリオールとエチレン性不飽和モノマーの総重量に対して0.01〜10重量%が好ましい。更に好ましくは0.05〜5重量%である。
【0101】
更に、ポリマー粒子を安定に分散させる目的で、分散安定化剤の存在下に重合を行うこともできる。このような分散安定化剤として、特公昭49−46556号公報に記載されているような、炭素−炭素不飽和結合含有ポリエステルポリオールや、アクリル基、メタクリル基、アリル基等を分子末端に有する変性ポリオール等が挙げられる。また、実質的に炭素−炭素不飽和結合を含有しない高分子量ポリオキシアルキレンポリオールやポリエステルポリオールも分散安定化剤として使用できる。
【0102】
上記ポリオキシアルキレンポリオールに対し、エチレン性不飽和モノマー、重合開始剤、必要に応じて、連鎖移動剤、分散安定化剤等を添加して重合反応を行う。エチレン性不飽和モノマーの重合温度は、使用するラジカル開始剤の種類に応じて決められる。通常、開始剤の分解温度以上において重合する。好ましくは40〜200℃、更に好ましくは90〜150℃である。また、重合反応は、加圧下、大気圧下でも行うことができる。重合反応は、無溶媒でも行うことができるが。水、有機溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒の存在下に行うこともできる。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0103】
重合反応終了後、得られたポリマー分散ポリオールは、そのままポリウレタンの原料として使用できる。しかし、未反応エチレン性不飽和モノマー、重合開始剤の分解生成物、連鎖移動剤、溶媒等を減圧下に留去した後に使用することが好ましい。減圧留去操作の条件は特に限定されるものではないが、通常、70〜150℃、1.33kPa以下の条件で、強制薄膜蒸発機等の装置を用いて実施する。
【0104】
次に、予め、溶媒等の中で重合したポリマー溶液をポリオキシアルキレンポリオールに添加、脱溶媒し、ポリマー粒子を分散させる方法(II法)について説明する。ポリマー粒子を形成させるエチレン性不飽和モノマー、重合開始剤等は、前記した化合物を用いる。重合温度は、用いる重合開始剤、エチレン性不飽和モノマーの化学的、物理的性質にも依るが、通常、40〜200℃である。好ましくは90〜150℃の範囲である。重合に用いる溶媒としては、用いる重合開始剤、エチレン性不飽和モノマーの化学的、物理的性質にも依るが、前記した有機溶媒、及び水から選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いる。重合開始剤、エチレン性不飽和モノマーの使用量は、特に限定されるものではないが、通常、溶媒に対して、各々、0.01〜10重量%、3〜60重量%である。又、モノマーの重合において、前記した連鎖移動剤を使用しても構わない。
【0105】
溶媒中で、ポリマー粒子を形成させた後、得られたポリマー溶液と前記したポリオキシアルキレンポリオールとを混合する。混合条件は、特に限定されるものではないが、通常、15〜150℃である。好ましくは20〜120℃の範囲である。混合時間は0.5〜5時間程度、攪拌下で行う。その後、溶媒の除去操作を行う。用いた溶媒、ポリマーの化学的、物理的性質にも依るが、通常、70〜150℃、1.33kPa以下の条件で、1〜6時間程度、加熱減圧操作を実施して溶媒を除去する。その際、溶媒の除去を迅速に行うため、ポリオキシアルキレンポリオール中に、不活性ガスを通気しながら、減圧操作を行うこともできる。
【0106】
ポリマー分散ポリオールに含まれるポリマーの平均粒子径は、ポリマーの分散安定性とポリマー分散ポリオールの粘度に影響を与える、かかる観点から、ポリマーの平均粒子径は0.01〜10μmが好適である。このような粒径にするには、分散媒であるポリオキシアルキレンポリオールの特性の他、前記の連鎖移動剤、分散安定化剤、溶媒等の種類、及びそれらの使用量、エチレン性不飽和モノマーの重量組成比等を適宜調整することにより行うことができる。
【0107】
<イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法(1)>
ポリオキシアルキレンポリオールを原料とするイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法について説明する。イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることにより製造させる。本発明で使用するポリオールとしては、前記(1)〜(4)の4要件を満たすポリオキシアルキレンポリオール、又は、該ポリオキシアルキレンポリオールから誘導される前記ポリマー分散ポリオールである。
【0108】
先ず、ポリオールとして、ポリオキシアルキレンポリオールを用いる方法について説明する。ポリオールとしては、前記(1)〜(4)の4要件を満たすポリオキシアルキレンポリオールである。そのうち、触媒の残存量が、50ppm以下のものが好ましい。更に、ポリオキシアルキレンポリオールのCPR(Controlled Polymerization Rate、ポリオール中の塩基性物質の量を示す指標)は、3以下が好ましい。更に好ましくはCPRは1以下、最も好ましくはCPRが0である。CPRが3より大きくなると、イソシアネート基末端プレポリマーの貯蔵安定性が低下する。
【0109】
イソシアネート基末端プレポリマー中の触媒の残存量は、120ppm以下が好ましい。更に好ましくは70ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。イソシアネート基末端プレポリマー中の触媒の残存量は、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒の残存量を150ppm以下に制御することにより達成される。イソシアネート基末端プレポリマー中の触媒の残存量が、120ppmより多くなると、プレポリマーの経時粘度変化が大きくなる。触媒の残存量の下限値は、可能な限り少ない方が良い。通常、上記ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法によれば、1ppm程度まで除去することが可能であるため、イソシアネート基末端プレポリマー中の触媒残存量は、1ppm程度まで低減が可能である。
【0110】
本発明で用いるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系等の化合物が使用できる。例えば、芳香族系イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これら有機ポリイソシアネートの80:20重量比(TDI−80/20)、65:35重量比(TDI−65/35)の異性体混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等や、これらポリイソシアネートを水素添加した(以下、水添という)化合物が挙げられる。
【0111】
脂肪族系イソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族系イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0112】
更に、前記したポリイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体等の変性イソシアネート等も使用できる。又、ポリイソシアネート、及び、ポリイソシアネートの変性体を、前記した活性水素化合物類、数平均分子量が100〜6000g/molのポリオール類、及び、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール、アリルアルコール等のモノオール類の単独、又はこれらの混合物で変性したイソシアネート化合物等も使用できる。又、モノオールにエポキサイド化合物を付加重合した、数平均分子量が100〜3000g/molの範囲のポリオールをポリイソシアネートの変性剤として使用しても構わない。上記のポリイソシアネート、及びポリイソシアネートの変性体は混合して用いることもできる。好ましい混合比率は、ポリイソシアネートとポリイソシアネートの変性体との重量比で、5:95〜95:5の範囲、更に好ましくは、10:90〜90:10、最も好ましくは、30:70〜70:30の範囲である。
【0113】
上記したポリイソシアネートの内、好ましくは、2,4−トリレンジイソシアネート(以下、2,4−TDIという)、2,6−トリレンジイソシアネート(以下、2,6−TDIという)、及びこれらポリイソシアネートの80:20重量比(TDI−80/20)、65:35重量比(TDI−65/35)の異性体混合物、水添TDI−80/20、水添TDI−65/35、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという)、水添MDI、パラフェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(以下、XDIという)、水添XDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)、ノルボルネンジイソシアネート(以下、NBDIという)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、DCHMDIという)である。
【0114】
更に、これらのポリイソシアネートのビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、並びに、ポリイソシアネートのグリセリン変性体、トリメチロールプロパン変性体、及び、グリセリン、トリメチロールプロパンにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等を付加重合したポリオールで変性したポリイソシアネート変性体が好ましい。特に、好ましくは、TDI類、MDI、XDI、HDI、IPDI、NBDI、これらポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、ポリオール変性体、及び、これらの混合物である。
【0115】
イソシアネート基末端プレポリマーを製造する際の、ポリオール中の活性水素基に対するイソシアネート基の当量比であるNCOインデックスは、1.3〜10の範囲である。好ましくは1.4〜9、さらに好ましくは1.5〜8である。又、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基の含有量(以下、NCO%という)は、0.3〜30重量%である。好ましくは0.5〜25重量%、更に好ましくは0.8〜15重量%、最も好ましくは1〜10重量%である。空気中の水分と反応して得られる一液型硬化性組成物に用いられるイソシアネート基末端プレポリマーでは、NCO%は前記した範囲で低く設計される。又、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、及びポリオキシアルキレンポリオール等のグリコール類、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジエチルジアミノトルエン等のポリアミン化合物を硬化剤とする二液型硬化性組成物に用いられるイソシアネート基末端プレポリマーでは、一液型と比較して、NCO%は高く設計される。
【0116】
本発明により製造されるイソシアネート基末端プレポリマーの主鎖のH−T結合選択率は、95モル%以上である。これは、原料であるポリオキシアルキレンポリオールのプロピレンオキサイド付加重合によるオキシプロピレン基のH−T結合選択率を95モル%以上に制御することにより達成される。イソシアネート基末端プレポリマーの主鎖のH−T結合選択率を95モル%以上とすることにより、高分子量化した場合にも低粘度とすることができる。プレポリマーのH−T結合選択率としては、96%以上が好ましい。
【0117】
プレポリマー化反応における触媒として、アミン化合物、有機金属化合物等のポリウレタンを製造する公知の触媒を使用することができる。ポリオキシアルキレンポリオールの分子量が小さい場合、即ち、OHVが高い場合には、触媒を使用しなくてもよい場合がある。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]エーテル、トリエチレンジアミン、及びトリエチレンジアミンの塩等が挙げられる。有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、及びナフテン酸コバルト等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いることもできるが、2種類以上任意に混合して使用できる。これらの触媒の内、特に、有機金属系触媒が好ましい。その使用量は、ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、0.0001〜2.0重量部である。好ましくは0.001〜1.0重量部である。
【0118】
プレポリマーを製造する時の温度は、50〜120℃が好ましい。更に好ましくは60〜110℃、特に好ましくは70〜100℃である。ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させる際には空気中の水分との接触をさけるため、不活性ガス存在下で反応させることが望ましい。不活性ガスとしては窒素、ヘリウムなどが挙げられる。窒素が好ましい。窒素雰囲気下、2〜10時間攪拌しながら反応を行う。
【0119】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造する際に、反応前後、或いは反応途中に、ポリイソシアネート、及びポリオールに不活性な有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤の量としては、ポリオールとポリイソシアネートの合計重量に対して100重量%以下が好ましい。更に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。このような有機溶剤として、芳香族系、脂肪族系、脂環族系、ケトン系、エステル系、及び、エステルエーテル系のものが挙げられる。例えば、トルエン、キシレン類、ヘキサン類、アセトン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等である。
【0120】
次に、遊離イソシアネート化合物の含有量が1重量%以下であるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法について説明する。遊離イソシアネート化合物の含有量が1重量%以下であるイソシアネート基末端プレポリマーのNCO%は、0.3〜30重量%である。好ましくは0.5〜25重量%、更に好ましくは1〜15重量%である。イソシアネート基末端プレポリマー中の遊離イソシアネート化合物の含有量は、0.8重量%以下が好ましい。更に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。遊離イソシアネート含有量が1重量%を超えると、ポリウレタンのヒステリシスロスが大きくなる。
【0121】
イソシアネート基末端プレポリマー中の遊離イソシアネート化合物の含有量を1重量%以下に制御するためには、特定の温度、圧力の条件下で、前記したイソシアネート基末端プレポリマーの減圧処理を行う。尚、遊離イソシアネート化合物の含有量が1重量%以下であるイソシアネート基末端プレポリマーの原料となるイソシアネート基末端プレポリマーは、前記した方法により製造を行う。減圧処理過程で未反応イソシアネート化合物の2量体の生成を抑制するために減圧処理操作は重要な工程である。減圧操作時の温度は70〜180℃である。好ましくは80〜170℃、更に好ましくは85〜160℃である。温度が70℃より低くなると、未反応イソシアネート化合物を除去する時間が長くなる。温度が180℃を超えると、減圧処理過程でプレポリマーの粘度が上昇する。圧力は、665Pa以下である。好ましくは266Pa以下、更に好ましくは133Pa以下である。最も好ましくは13.3Pa以下である。圧力が665Paを超えると、未反応ポリイソシアネート化合物を除去する時間が長くなり、減圧処理過程でプレポリマーの粘度が上昇する。
【0122】
減圧処理は、薄膜蒸発方法が好ましい。強制循環式攪拌膜型の蒸発器、或いは流下膜式分子蒸留装置等を用いることができる(参考文献;改訂第5版、化学工学便覧:化学工学協会編集、丸善株式会社、1988年発行)。そのような装置としては、例えば、スミス式薄膜蒸発器(神鋼パンテック株式会社製、商品名:ワイプレン、エクセバ)、或いは、コントロ式薄膜蒸発器〔(株)日立製作所製、商品名:サンベイ式薄膜蒸発器等〕が挙げられる。減圧処理によりプレポリマー中から回収されたポリイソシアネート化合物は、再度、プレポリマー反応に使用できる。使用に際しては、2量体等の不純物が少ないポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
【0123】
上記の如くして製造されたイソシアネート基末端プレポリマーに、硬化用触媒、シリコーン系カップリング剤、充填剤、可塑剤、顔料、補強剤、難燃剤、安定剤、消泡剤等を目的に応じて添加することができる。更に、プレポリマーの経時的な粘度変化を抑制する目的で、プレポリマーに無機酸、有機酸等を添加しても構わない。無機酸としては、リン酸、ピロリン酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸、及びオレイン酸等が挙げられる。これらの酸は単独で用いることもできるが、2種類以上併用しても良い。その使用量は、イソシアネート基末端プレポリマー100重量部に対して、0.0001〜3重量部であることが好ましい。更に好ましくは0.003〜1重量部である。
【0124】
<イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法(2)>
次いで、ポリオールとして、ポリマー分散ポリオールを使用する方法について説明する。ポリマー分散ポリオールを原料とするイソシアネート基末端プレポリマーは、基本的には、上記したポリオキシアルキレンポリオールを使用する方法と同様の方法で製造される。ポリイソシアネート化合物、添加助剤等についても上記と同様のものが用いられる。即ち、ポリオキシアルキレンポリオールの代わりに、ポリマー分散ポリオールを使用する方法である。ポリマー分散ポリオールとしては、上記本発明に係わるポリマー分散ポリオールの製造方法で得られた物が用いられる。イソシアネート基末端プレポリマーの粘度を考慮すると、上記本発明のポリマー分散ポリオールの内、ポリマー濃度が5〜30重量%程度のものが好ましい。イソシアネート基末端プレポリマーのNCO%は、0.3〜30重量%、好ましくは、1〜15重量%である。
【0125】
<ポリウレタン樹脂の製造方法(1)>
イソネート基末端プレポリマーを原料とするポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。ポリウレタン樹脂は、前記方法で製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマーと鎖延長剤を反応させることにより製造される。イソシアネート基末端プレポリマー及び鎖延長剤の使用量は、イソシアネートインデックスが0.6〜1.5となる範囲で反応させる。好ましくは0.8〜1.3、更に好ましくは0.9〜1.2である。得られるポリウレタン樹脂は、主にポリウレタンエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマー、塗料、接着剤分野等で使用できる。
【0126】
プレポリマーは、前記製造方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを少なくとも60重量%を含むものが好ましい。更に好ましくは少なくとも70重量%含むものである。最も好ましくは前記の方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマー単独である。本発明の方法以外の製造方法で得られるイソシアネート基末端プレポリマーの好ましい形態としては、例えば、特公平6−13593号公報に例示されているポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンアジペート、及びポリカプロラクトンポリオールをポリオール成分としたイソシアネート基末端プレポリマーが挙げられる。本発明の方法で得られるポリオキシアルキレンポリオールを原料とするイソシアネート基末端プレポリマーの含有量が60重量%未満になるとプレポリマーの粘度が上昇し、作業性が低下する。
【0127】
鎖延長剤とは、イソシアネート基と反応できる活性水素基を1分子中に2個以上有する化合物である。例えば、ポリオール化合物、及びポリアミン化合物の少なくとも1種類の活性水素基含有化合物が挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール類、1,4−シクロヘキサンジオール、スピロヘキサンジオール等のシクロヘキシレン、スピロ環及びメチレン鎖を含み、それらを結合するものとしてエーテル結合、エステル結合等の各種結合を含む化合物である。
【0128】
又、それらの誘導体として各種置換基を含むもの等が使用できる。更に、芳香族アルコール類として、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート等の化合物、及び、それらの化合物の水酸基当たり、1〜4モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種のアルキレンオキサイドを付加したポリオールも使用できる。
【0129】
ポリアミン化合物としては、トリレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、ジフェニルメタンジアミン、及び、それら異性体の混合物、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンの芳香族ジアミン類が挙げられる。又、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン等の脂環族ジアミン類や、エチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等のアルキルジヒドラジド、或いは、それらの誘導体など従来公知のポリアミン化合物が使用できる。更に、これらの活性水素化合物に従来公知の方法によりアルキレンオキサイドを付加したアミノ基含有ポリオールも鎖延長剤として使用できる。これらのポリオール類、ポリアミン類を任意の割合で混合し、鎖延長剤として使用することもできる。
【0130】
前記化合物の中で好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、及びこれらの化合物にアルキレンオキサイドを付加重合したポリオールである。
【0131】
予め、前記したしたイソシアネート基末端プレポリマー、及び鎖延長剤を、所定の温度、例えば、30〜150℃に調整し、減圧脱泡処理を行う。次いで、両成分を急速撹拌して混合し、所定温度、例えば40〜140℃に加熱した型に注入して成形物(ポリウレタン樹脂)を製造する。この際に、硬化用触媒、無機酸、有機酸、シリコーン系カップリング剤、充填剤、可塑剤、顔料、補強剤、難燃剤、安定剤、消泡剤等をポリウレタン樹脂の使用目的に応じて添加することができる。ポリウレタン硬化用触媒としては、前記した、アミン化合物、有機金属化合物等のポリウレタンを製造する従来公知の触媒が使用できる。
【0132】
プレポリマーの経時的な粘度変化を抑制する目的で、プレポリマーに無機酸、或いは有機酸を添加しても構わない。無機酸としては、リン酸が好ましい。有機酸としては、例えば、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸およびオレイン酸等が使用できる。これらの酸は単独で用いることもできるが、2種類以上併用しても良い。その使用量は前記イソシアネート基末端プレポリマー100重量部に対して0.001〜10.0重量部である。好ましくは0.003〜5.0重量部である。
【0133】
上述のようにして、本発明に係わるイソシアネート基末端プレポリマーを主成分とするプレポリマーと活性水素基を含有した鎖延長剤とを反応させることにより、ポリウレタン樹脂が製造される。かかる方法の他に、本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも60重量%含むポリオール、ポリイソシアネート、及び、鎖延長剤を同時に混合して成形する、ワンショット法も適用できる。
【0134】
<ポリウレタン樹脂の製造方法(2)>
次いで、前記製造方法により得られたポリオキシアルキレンポリオールを硬化剤として使用するポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。該ポリウレタン樹脂は、前記製造方法により得られたポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネート基末端プレポリマーとを反応させることにより製造される。通常、このような方法により得られるポリウレタン樹脂は、防水材、シーリング材用途に使用される。硬化剤として用いるポリオキシアルキレンポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法の項で説明した、(1)〜(4)の要件を満たすものである。その内、OHVとしては、8〜100mgKOH/gのものが好ましい。更に好ましくは10〜50mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールである。
【0135】
予め、ポリオキシアルキレンポリオールに対し、ウレタン化触媒、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、難燃剤、消泡剤、顔料、シリコーン系カップリング剤等の助剤を混合してもよい。これらの各種の助剤は、従来公知の化合物を使用することができる。助剤の添加総量は、ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、10〜800重量部である。好ましくは20〜700重量部である。前記方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールであれば、分子量(OHV)、官能基数、オキシプロピレン基の含有量等の異なるポリオキシアルキレンポリオールを任意の割合で混合してもよい。
【0136】
シリコーン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。その使用量は、ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、0.01〜8重量部であることが好ましい。更に好ましくは0.03〜5重量部である。又、ポリオキシアルキレンポリオールに、前記したポリアミン化合物を添加してもよい。
【0137】
ポリオキシアルキレンポリオールと上記助剤との分散安定性を向上させるために、攪拌混合を十分実施する。攪拌方法は、一軸或いは二軸式のスクリューを装着した混練方式の形態が好ましい。主剤として用いるイソシアネート基末端プレポリマーは、前記の方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーが好ましい。他の方法で製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを併用してもよい。その場合、前記方法により製造されたイソシアネート基末端プレポリマーを少なくとも60重量%含むものが好ましい。更に好ましくは70重量%である。
【0138】
主剤であるイソシアネート基末端プレポリマーと、硬化剤であるポリオキシアルキレンポリオールを、十分攪拌混合し、得られた混合液を、温度10〜50℃の範囲で硬化させる。硬化時間としては、硬化剤に添加した触媒の量にも依るが、通常、1〜7日間である。ポリオキシアルキレンポリオール及びイソシアネート基末端プレポリマーは、イソシアネートインデックスが0.8〜1.3となる範囲で反応させる。好ましくは0.85〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1の範囲である。
【0139】
<軟質ポリウレタンフォームの製造方法>
最後に、軟質ポリウレタンフォームの製造方法について説明する。本発明により製造される軟質フォームの全密度は、20kg/m3〜60kg/m3であることが好ましい。更に好ましくは25kg/m3〜55kg/m3、最も好ましくは27kg/m3〜50kg/m3である。機械強度の指標であるフォームの伸びは、90〜200%であることが好ましい。更に好ましくは100〜180%である。湿熱時の圧縮永久歪は18%以下であることが好ましい。更に好ましくは15%以下、最も好ましくは13%以下である。
【0140】
本発明の方法で得られる軟質ウレタンフォームの湿熱時の圧縮永久歪みの下限値は、フォームの密度にも依るが、2%程度である。更に、フォームの繰り返し圧縮試験における硬度ロスは20%以下であることが好ましい。更に好ましくは15%以下である。最も好ましくは12%以下である。本発明の方法で得られた軟質フォームの繰り返し圧縮試験における硬度ロスの下限値は、フォームの密度にも依るが、1%程度である。
【0141】
本発明に係わる軟質ウレタンフォームは、水、触媒、及び整泡剤の存在下、下記(a)、又は(b)のポリオールのいずれか1種のポリオールとポリイソシアネート化合物とを攪拌混合することにより製造される。ポリオールフォームの製造に際しては、目的の物性に応じて、架橋剤、その他添加剤を単独、又は複数種を組み合わせて添加してもよい。この時、架橋剤、その他添加剤は、下記(a)又は(b)のポリオール、或いは、ポリイソシアナート化合物のいずれか一方、又は、双方に添加しても良い。或いは、ポリイソシアナート化合物、水、触媒、整泡剤、及び、下記(a)又は(b)のポリオールを混合する混合機、又は反応機に添加しても良い。
(a)前記本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも30重量%含むポリオール。
(b)前記本発明の製造方法で得られたポリマー分散ポリオールを少なくとも10重量%含むポリオール。
【0142】
先ず、(a)を使用する製造方法について説明する。本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも30重量%含むポリオールを使用する。該ポリオールの好ましい含有量は、少なくとも50重量%である。更に好ましくは少なくとも60重量%である。本願発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの含有量が30重量%未満になると、得られる軟質ウレタンフォームの耐久性、フォームの成形性等が低下する。
【0143】
併用してもよい、本発明の製造方法で得られたポリオール以外のものとしては、USP5,916,994号公報記載の水酸化セシウムを触媒とした、モノオール含有量(本発明のC=Cに対応する)の低いポリオキシアルキレンポリオール、従来公知の方法で製造されたポリマー分散ポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。又、OHV、C=C、オキシプロピレン基の含有量、オキシエチレン基の含有量、或いは、平均官能基数が異なるポリオキシアルキレンポリオールを2種類以上併用しても構わない。
【0144】
本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの好ましい分子構造としては、活性水素基が3〜4の化合物を重合開始剤としたポリオールであり、その重合開始剤としては、前記した活性水素化合物の内、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が例示できる。OHVは10〜70mgKOH/gのものが好ましい。更に好ましくは12〜60mgKOH/gである。最も好ましくは15〜55mgKOH/gである。エチレンオキサイドの付加重合によるオキシエチレン基の含有量は5〜30重量%のものが好まい。更に好ましくは6〜25重量%、最も好ましくは8〜20重量%である。ポリオキシアルキレンポリオール中のオキシエチレン基の含有量が30重量%より多くなると、軟質フォームの湿熱時の永久圧縮歪みが悪化する傾向になる。又、オキシエチレン基は、ポリオキシアルキレンポリオールの分子末端に導入することが好ましい。オキシエチレン基の分子末端への導入により、ポリオキシアルキレンポリオールの分子末端の1級水酸基化率が向上するためである。本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの内、分子末端の1級水酸基化率が50モル%以上であるものが好ましい。更に好ましくは60モル%以上、最も好ましくは70モル%以上である。
【0145】
次いで、(b)を使用する方法について説明する。前記本発明の製造方法で得られたポリマー分散ポリオールを少なくとも10重量%含むポリオールが使用される。好ましくは少なくとも15重量%、更に好ましくは少なくとも20重量%である。ポリマー分散ポリオールのポリマー粒子濃度が30〜60重量%程度である場合、ポリマー分散ポリオールの使用上限値は、60重量%程度が好ましい。更に好ましい上限値は50重量%である。
【0146】
併用してもよい、本発明の製造方法以外の方法で製造されたポリオールとしては、前記した本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオール、USP5,916,994号公報記載の水酸化セシウムを触媒とした、モノオール含有量の低いポリオキシアルキレンポリオール、該ポリオールを分散媒としたポリマー分散ポリオール、従来公知の方法で製造されたポリマー分散ポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。又、OHV、C=C、オキシプロピレン基の含有量、オキシエチレン基の含有量、或いは、平均官能基数が異なるポリオキシアルキレンポリオールを分散媒としたポリマー分散ポリオールを2種類以上併用しても構わない。更に、OHV、ポリマー粒子濃度、ポリマー粒子を形成するエチレン性不飽和モノマー単位の異なるポリマー分散ポリオールを2種以上併用しても構わない。
【0147】
軟質ウレタンフォームを製造する際には、上記ポリオールの他、発泡剤となる水、触媒、及び整泡剤が用いられる。水は、ポリイソシアネート化合物と反応して炭酸ガスを発生するので、発泡剤として機能する。水の使用量は、上記ポリオキシアルキレンポリオ−ル及びポリマー分散ポリオールを含むポリオ−ル100重量部に対して、1〜8重量部が好ましい。更に好ましくは2〜7重量部、最も好ましくは2.5〜6重量部である。水と併用して、地球環境保護の目的で開発されたハイドロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC−134a等)、炭化水素類(シクロペンタン等)等を発泡助剤として用いても構わない。水と併用する発泡助剤の使用量は、目的とする軟質フォームの密度にも依るが、ポリオール100重量部に対して、1〜30重量部が好ましい。更に好ましくは2〜25重量部である。
【0148】
触媒は、従来公知のものが使用できる。その使用量は、通常、ポリオール100重量部に対して、0.005〜10重量部である。好ましくは0.01〜5重量部である。具体的な触媒を例示すると、例えば、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチルエ−テル)、モルホリン類等の脂肪族アミン類、オクタン酸スズ、ジブチルチンジラウレート等の有機錫化合物が挙げられる。これらの触媒は単独、又は2種類以上併用しても構わない。
【0149】
整泡剤は、従来公知の有機ケイ素系界面活性剤が使用できる。その使用量は、ポリオール100重量部に対して、0.1〜4重量部である。好ましくは0.2〜3重量部である。整泡剤としては、例えば、東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン社製、商品名:SRX−274C、SF−2969、SF−2961、SF−2962、或いは、日本ユニカ−社製、商品名:L−5309、L−3601、L−5307、L−3600等が使用できる。
【0150】
その他の助剤として、架橋剤、難燃剤、顔料等があり、それぞれを必要に応じて添加することができる。架橋剤を使用する場合、架橋剤としては、OHV200〜1800mgKOH/gのポリオールが用いられる。例えば、グリセリン等の脂肪族多価アルコ−ル類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等の活性水素化合物、OHV200〜1800mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオ−ル等が用いられる。その他、従来公知の架橋剤が用いられる。架橋剤の使用量は、ポリオール100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましい。
【0151】
予め、ポリオキシアルキレンポリオール又はポリマー分散ポリオール、水、触媒、整泡剤、及び、目的に応じて架橋剤、難燃剤等を混合することにより、レジンプレミックスを調製し、得られたレジンプレミックスからフォームを製造することもできる。レジンプレミックスには、その他助剤として顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等も添加することができる。
【0152】
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)及び、それらの混合物が挙げられる。通常、トリレンジイソシアネート(TDI)は、2,4−TDIと2,6−TDIの異性体の混合物の形態である。トリレンジイソシアネート中の異性体の重量比は、2,4−TDI/2,6−TDIの重量比で、80:20が好ましい(TDI−80/20という)。更に、TDIと特開平11−140154号公報記載の一般式(3)で表されるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとの混合ポリイソシアネートが好ましい。このようなポリイソシアネート化合物としては、三井化学(株)製、商品名:コスモネートM−200、同M−3000等が例示できる。
【0153】
混合ポリイソシアネート化合物において、TDIとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの混合比は、重量比で50:50〜98:2が好ましい。更に好ましくは65:35〜95:5、最も好ましくは70:30〜90:10である。これらポリイソシアネートとOHVが100〜2000mgKOH/gのポリオール、活性水素化合物等とを反応させたウレタン変性体、ポリイソシアネートのビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、及び、アロファネート変性体も使用できる。
軟質ウレタンフォームの製造におけるNCOインデックスは0.6〜1.5、好ましくは、0.7〜1.4、最も好ましくは、0.7〜1.3である。
【0154】
本発明に係わる軟質ポリウレタンフォ−ムの成形方法は、通常、レジンプレミックスとポリイソシアネートとを高圧発泡機、低圧発泡機等を用いて混合、成形する方法が好ましい。低圧発泡機を使用する場合には、2種を超える成分の混合が可能である。そのため、ポリオ−ル系、水系、触媒系、難燃剤系、ポリイソシアネート系等に分割して混合することもできる。これらの混合液は、発泡機の混合ヘッドから吐出され、そのまま発泡、硬化させて軟質ポリウレタンフォ−ムを製造し、目的とする形状に加工することもできる。或いは、混合液を金型内に注入し、発泡、充填、硬化させて所定形状の成型品を得ることもできる。通常、硬化時間は30秒〜30分である。金型温度は、室温〜80℃程度、硬化温度は、室温〜180℃の条件で軟質ポリウレタンフォ−ムが製造される。
【0155】
レジンプレミックスの形態で使用する場合、通常、高圧発泡機、又は低圧発泡機内で、ポリイソシアネートと混合される。有機スズ系触媒のような加水分解性を示す化合物を触媒として使用する場合、水との接触を避けるため、水成分、有機スズ触媒成分を分離し、発泡機の混合ヘッドで混合する方法が好ましい。
【0156】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明について更に詳細に説明する。尚、実施例に示した各特性値は下記方法により測定した。
【0157】
(1)ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV、単位:mgKOH/g)、総不飽和度(C=C、単位:meq./g)、及び粘度(以下、ηという、単位:mPa・s/25℃)
JIS K−1557記載の方法により測定する。
【0158】
(2)ポリオキシアルキレンポリオールのH−T結合選択率(単位:モル%)日本電子(株)製、400MHz13C核磁気共鳴(NMR)装置を用い、重水素化クロロホルムを溶媒として、ポリオキシアルキレンポリオールの13C−NMRスペクトルをとり、H−T結合のオキシプロピレンユニットのメチル基のシグナル[16.9〜17.4ppm、以下、Aという]とヘッド−トウ−ヘッド(Head−to−Head)結合のオキシプロピレンユニットのメチル基のシグナル[17.7〜18.5ppm、以下、Bという]を測定し、数式{〔A/(A+B)]×100}から算出する。尚、各シグナルの帰属はMacromolecules、第19巻、1337−1343ページ(1986年)、F.C.Schilling、A.E.Tonelliの報文に記載された値を参考にする。
【0159】
(3)ポリオキシアルキレンポリオール中のP=N結合を有する化合物触媒の残存量(以下、触媒残存量という。単位:ppm)
ポリオール中の窒素残存量を定量することにより、P=N結合を有する化合物の残存量を逆算する。ポリオールをメスフラスコに秤量し、トルエン(試薬特級)を用いて希釈し、次いで、微量全窒素分析装置(三菱化学(株)製、形式:TN−100型)を用いて窒素濃度の定量を行う。
【0160】
(4)粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールという)中の触媒濃度(単位;ppm)
粗製ポリオール約15gを100ml容積のビーカーに秤量した後、60mlのイソプロピルアルコール/水(体積比:10/6)の溶液に溶解し、1/100mol/Lの塩酸を用いて、電位差滴定装置(平沼産業(株)製、型式:TS−980型)により定量する。
【0161】
(5)ポリオキシアルキレンポリオール中のナトリウム濃度(単位;ppm)粗製ポリオールから触媒除去を行う際に使用する固体酸から溶出するナトリウム(以下、Naという)濃度を測定する。原子吸光分析装置(パーキンエルマ社製、形式:5100PC型)を用いて定量する。定量限界は0.1ppmである。
【0162】
(6)P=N結合を有する化合物触媒及び活性水素化合物中の水分(単位:ppm)
水分測定装置(平沼産業(株)製、型式:AQV−7)を用いて測定する。
【0163】
(7)ポリオキシアルキレンポリオールのオキシプロピレン基の含有量(以下、PO含量という。単位:重量%)、及び、ポリオキシアルキレンポリオールの分子末端のオキシエチレン基含有量(以下、末端EO量という。単位:重量%)ポリオキシアルキレンポリオールを重水素化したアセトンに溶解し、上記13C−NMR測定により、PO含量、及び末端EO量を測定する。
【0164】
(8)固体酸及びその特性値
実施例、比較例で使用した固体酸、及びその特性値を[表1]に示す。固体酸の組成、比表面積、並びに平均細孔直径は下記(9)〜(10)項に記載した方法により測定した。固体酸の組成は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び、二酸化珪素(SiO2)の重量%で表示した。固体酸A、B、C及びFは、協和化学工業(株)品である。固体酸D及びEは、富田製薬(株)品である。
【0165】
【表1】
【0166】
(9)固体酸の組成
固体酸1重量部に対して、硝酸5重量部を添加し、80℃にて24時間加熱する。室温まで冷却して得られた均一溶液を試料とする。試料溶液を高周波誘導結合プラズマ測定装置〔(株)島津製作所製、形式:ICPS−8000C〕を用いて分析し、ケイ素、アルミニウム、及びマグネシウムの定量を行う。
【0167】
(10)固体酸の比表面積(単位;m2/g)、及び平均細孔直径(単位;Å)
測定装置(カンタクロム社製、形式:オートソルブ3)を用いる。測定前に固体酸を150℃、1.33kPa以下で1時間、加熱減圧処理を行う。吸脱着ガスには窒素を用いる。
【0168】
製造例1
ホスファゼニウム化合物(以下、PZNという)
温度計、滴下ロートを取り付けた3000mlの3つ口フラスコに五塩化リン(純正化学(株)製)60.20gを秤取り、525mlのオルソジクロロベンゼン(以下、ODCBという。三井化学(株)製)を加えて懸濁液とした。この懸濁液を30℃に加熱し、900mlのODCBに、Reinhard Schwesinger,et al.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1993,32,1361〜1363)記載の方法により合成したトリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン{(Me2N)3P=NH}439.27gを溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。同温度で30分間攪拌した後、約30分間かけて160℃まで昇温し、更に20時間攪拌した。生成した不溶物をろ過した。ろ液にイオン交換水を添加し、3回水洗処理を行った。
【0169】
水洗処理後の水不溶層(以下、有機層という)1091.2gに対して、イオン交換水619.26gと1mol/Lの塩酸を289.5ml加え、水層を分液し、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムクロライド{[(Me2N)3P=N]4P+Cl-}を得た。更に、イオン交換水を加え、2.5重量%水溶液に調製した。次いで、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液により交換基を水酸基型にしたイオン交換樹脂レバチットMP−500(バイエル社製)を充填したポリカーボネート製円筒状カラムにテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムクロライドの2.5重量%水溶液を23℃、SV(Space Velocity)0.5(1/hr)でカラム底部より上昇流で通液し、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドにイオン交換を行った。
【0170】
更に、該イオン交換樹脂を充填したカラムにイオン交換水を通液し、カラムに残存しているホスファゼニウム化合物の回収を行った。その後、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドの水溶液を80℃、7.98kPaの条件下で2時間、更に80℃、133Paの条件で7時間減圧脱水処理を行うことにより、粉末のテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド{[(Me2N)3P=N]4P+OH-}(PZN)を得た。
【0171】
乾燥後の該化合物の重量測定から求めた収率は98重量%であった。重水素化ジメチルホルムアミド溶液によるテトラメチルシランを内部標準とした1H−NMR(日本電子製400MHzNMR)の化学シフトは2.6ppm(d,J=9.9Hz、72H)であった。元素分析値は、C:38.28、H:9.82、N:29.43、P:19.94(理論値、C:38.09、H:9.72、N:29.61、P:20.46)であった。該ホスファゼニウム化合物は、化学式(1)において、a、b、c、dの順に(1,1,1,1)で、Rがメチル基であり、Q-がOH-のヒドロキシアニオンである。
【0172】
製造例2
ホスフィンオキシド化合物(以下、PZOという)
オキシ三塩化リン、及び、製造例1で製造された、トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼンを原料とし、溶媒に、トルエンを使用して、ジャーナル オブ ジェネラル ケミストリー オブ ザ ユーエスエスアール(USSR)、第55巻、1453ページ(1985年発行)記載の方法により、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N]3P=O・0.29(H2O)}(Meはメチル基を示す。以下、同様)の合成を行った。次いで、該化合物を、五酸化リンを乾燥剤としたデシケーターに入れ、23℃、655Paの条件で、1週間乾燥させ、水を含まないトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド{[(Me2N)3P=N]3P=O}を得た。得られた化合物は、化学式(2)で表されるホスフィンオキシド化合物において、Rがメチル(Me)基であり、xが0である。化学式の同定は、31P−NMR、1H−NMR、及び、元素分析法により実施した。
【0173】
製造例3
ホスファゼン化合物(以下、PZBという)
Fulka社製、商品名:ホスファゼンベースP<t/4>−t−Octの1.00mol/Lに調整されたn−ヘキサン溶液を用いた。該化合物は、化学式(3)において、Qがtert−オクチル基、Dがジメチルアミノ基、(l、m、n)の順に(1、1、1)であるホスファゼン化合物である。
【0174】
<ポリオキシアルキレンポリオールの製造>
実施例1
ポリオキシアルキレンポリオールA
窒素雰囲気下、水分が345ppmであるジプロピレングリコール1モルに対して、5×10-3モルのPZN(30重量%のトルエン溶液の形態、以下、同様)を加え、窒素置換を行った後、105℃に昇温し、同温度にて、窒素を液相中に導入しながら、1.33kPa以下の条件で、3時間の加熱減圧処理を行った。次いで、8.65kPaの圧力から、重合温度80℃、最大反応圧力が330kPaの条件で、OHVが28mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0175】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を3重量%、固体酸Aを0.8重量%添加し、同温度にて2時間の吸着反応を行った。その後、該ポリオールに対して、酸化防止剤[チバスペシャリティーケミカルズ(株)製、商品名:IRGANOX1010、以下、同様]を750ppm添加し、110℃、880Paの条件で、3時間の加熱減圧脱水処理を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、保持粒径1μmのろ紙(アドバンテック東洋(株)製、5Cタイプ、以下、同様)により、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールAのOHVは28.3mgKOH/g、C=Cは0.013meq./g、H−T結合選択率は96.5mol%、ηは900mPa・s/25℃であり、触媒残存量は2.5ppmであった。PO含量は、100重量%であり、ナトリウム残存量(以下、Na残存量という)は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0176】
実施例2
ポリオキシアルキレンポリオールB
予め、窒素を通気しながら、110℃、655Paの条件で1.5時間の加熱減圧脱水処理を行い、水分を95ppmに調整したグリセリン1モルに対して、6×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、85℃に昇温した。次いで、大気圧下、重合温度85℃、最大反応圧力が455kPaの条件で、OHVが28mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、85℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0177】
次いで、120℃に昇温し、同温度で、1.33kPa以下の条件で、1時間減圧処理を行った後、窒素により230kPaまで加圧した。OHVが24mgKOH/gになるまで、エチレンオキサイドの逐次装入を行った。エチレンオキサイドの装入後、オートクレーブの圧力変化が認められなくなるまで反応を継続した。その後、同温度にて、1.33kPa以下の条件で、0.5時間減圧処理を行った。次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を2重量%、及び、固体酸Aを0.8重量%添加し、80℃、1時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオールに対して、酸化防止剤を750ppm添加し、110℃、880Paの条件で、3時間の加熱減圧脱水処理を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールBのOHVは24.2mgKOH/g、C=Cは0.018meq./g、H−T結合選択率は97.1mol%、ηは1420mPa・s/25℃であり、触媒残存量は23ppmであった。Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であり、PO含量は、85.1重量%であり、末端EO量は、14.8重量%であった。
【0178】
実施例3
ポリオキシアルキレンポリオールC
窒素雰囲気下、実施例1で用いたジプロピレングリコール1モルに対して、4×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、105℃に昇温し、実施例1記載の同様の方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、8.65kPaの圧力から、重合温度85℃、最大反応圧力が420kPaの条件で、OHVが37mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの混合エポキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、85℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。該混合エポキサイドは、プロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの重量比が85:15である。
【0179】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを1重量%加え、同温度にて、1時間吸着反応を行った。次いで、該ポリオールに対して、800ppmの酸化防止剤を添加後、110℃、850Paの条件で、3時間の加熱減圧脱水処理を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールCのOHVは37.3mgKOH/g、C=Cは0.009meq./g、H−T結合選択率は97.4mol%、ηは550mPa・s/25℃であり、触媒残存量は3.1ppmであった。PO含量は、84.8重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0180】
実施例4
ポリオキシアルキレンポリオールD
窒素雰囲気下、水分が442ppmであるペンタエリスリトール1モルに対して、1×10-2モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、6.65kPaの条件で、ペンタエリスリトール100重量部に対して、20重量部のプロピレンオキサイドを装入し、85℃に昇温した。攪拌を行いながら、同温度にて1時間反応後、重合温度85℃、最大反応圧力が460kPaの条件で、OHVが28mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの混合エポキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、85℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。該混合エポキサイドは、プロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの重量比が90:10である。その後、180kPaまで窒素加圧を行い、重合温度125℃、最大反応圧力が480kPaの条件で、OHVが24mgKOH/gになるまで、エチレンオキサイドの付加重合を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、125℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0181】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を3重量%、及び、固体酸Aを0.8重量部添加し、同温度で1時間吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。最終的に、110℃、880Paの条件で、3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールDのOHVは24.3mgKOH/g、C=Cは0.016meq./g、H−T結合選択率は97.6mol%、ηは1540mPa・s/25℃であり、触媒残存量は26ppmであった。PO含量は、76.3重量%であり、末端EO量は、15.1重量%、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0182】
実施例5
ポリオキシアルキレンポリオールE
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、1.2×10-2モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、大気圧下、重合温度80℃、最大反応圧力が410kPaの条件で、OHVが32.5mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、85℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行った後、窒素により182kPaまで加圧し、重合温度120℃、最大反応圧力が410kPaの条件で、OHVが28mgKOH/gになるまでエチレンオキサイドの付加重合反応を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0183】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Bを0.7重量%装入し、80℃、1時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールEのOHVは28.1mgKOH/g、C=Cは0.014meq./g、H−T結合選択率は96.8mol%、ηは1150mPa・s/25℃であり、触媒残存量は25ppmであった。PO含量は、85.4重量%であり、末端EO量は、14.5重量%、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0184】
実施例6
ポリオキシアルキレンポリオールF
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、7.5×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、大気圧下、重合温度80℃、最大反応圧力が410kPaの条件で、OHVが40mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行った後、窒素により182kPaまで加圧し、重合温度125℃、最大反応圧力が480kPaの条件で、OHVが33mgKOH/gになるまでエチレンオキサイドの付加重合反応を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0185】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを1重量%装入し、80℃、3時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールFのOHVは33.5mgKOH/g、C=Cは0.012meq./g、H−T結合選択率は97.2mol%、ηは900mPa・s/25℃であり、触媒残存量は1.3ppmであった。PO含量は、84.6重量%であり、末端EO量は、15.3重量%、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0186】
実施例7
ポリオキシアルキレンポリオールG
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、5.5×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、6.65kPaにおいて、重合温度95℃、最大反応圧力が410kPaの条件で、OHVが53mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの混合エポキサイドの付加重合反応を行った。該混合エポキサイドのプロピレンオキサイドとブチレンオキサイドの重量比は、90:10である。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、95℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行った後、窒素により182kPaまで加圧し、重合温度125℃、最大反応圧力が480kPaの条件で、OHVが45mgKOH/gになるまでエチレンオキサイドの付加重合反応を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0187】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.75重量%装入し、80℃、2時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールGのOHVは44.9mgKOH/g、C=Cは0.010meq./g、H−T結合選択率は97.7mol%、ηは620mPa・s/25℃であり、触媒残存量は2.5ppmであった。PO含量は、76.8重量%であり、末端EO量は、14.2重量%、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0188】
実施例8
ポリオキシアルキレンポリオールH
窒素雰囲気下、実施例1で用いたジプロピレングリコール1モルに対して、8×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、75℃に昇温した。次いで、2.66kPaにおいて、重合温度75℃、最大反応圧力が350kPaの条件で、OHVが18.5mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、90℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0189】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.9重量%装入し、80℃、2時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールHのOHVは18.6mgKOH/g、C=Cは0.025meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは1500mPa・s/25℃であり、触媒残存量は4.2ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0190】
実施例9
ポリオキシアルキレンポリオールI
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、3×10-3モルのPZNと3×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、2.66kPaにおいて、重合温度75℃、最大反応圧力が350kPaの条件で、OHVが33.2mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、90℃、1.33kPa以下の条件で、0.5時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0191】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.8重量%装入し、80℃、2時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールIのOHVは33.5mgKOH/g、C=Cは0.014meq./g、H−T結合選択率は97.9mol%、ηは920mPa・s/25℃であり、触媒残存量は6.6ppmであった。PO含量は、99.6重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0192】
実施例10
ポリオキシアルキレンポリオールJ
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、1.2×10-2モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、80℃に昇温した。次いで、6.65kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が450kPaの条件で、OHVが11mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0193】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.7重量%装入し、80℃、3時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールJのOHVは11.3mgKOH/g、C=Cは0.037meq./g、H−T結合選択率は97.5mol%、ηは3950mPa・s/25℃であり、触媒残存量は5.1ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0194】
実施例11
ポリオキシアルキレンポリオールK
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、6×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度78℃、最大反応圧力が475kPaの条件で、OHVが56mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0195】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.8重量%装入し、80℃、1時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールKのOHVは56.3mgKOH/g、C=Cは0.009meq./g、H−T結合選択率は97.6mol%、ηは480mPa・s/25℃であり、触媒残存量は2.1ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0196】
実施例12
ポリオキシアルキレンポリオールL
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、5×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、88℃に昇温した。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度88℃、最大反応圧力が475kPaの条件で、OHVが98mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行い、オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった後、同温度で、OHVが76mgKOH/gになるまでエチレンオキサイドの付加重合反応を行った。更に、同温度にて、オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった後、OHVが56mgKOH/gになるまでプロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力変化が認められなくなった時点で、90℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0197】
次いで、窒素雰囲気下、80℃に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5重量%、及び、固体酸Aを0.7重量%装入し、80℃、1時間の吸着反応を行った。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、600ppmの酸化防止剤を添加し、減圧下で脱水を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、110℃、880Paの条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールLのOHVは56.1mgKOH/g、C=Cは0.010meq./g、H−T結合選択率は97.8mol%、ηは540mPa・s/25℃であり、触媒残存量は34ppmであった。PO含量は、75.8重量%であり、末端EO量は、7.8重量%であった。Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0198】
実施例13
ポリオキシアルキレンポリオールM
窒素雰囲気下、実施例1で用いたジプロピレングリコール1モルに対して、7.2×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、80℃に昇温した。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が475kPaの条件で、OHVが18.7mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールmという)を得た。この時の粗製ポリオール中の触媒濃度は、682ppmであった。
【0199】
次いで、窒素雰囲気下、85℃に調整した該粗製ポリオールmに対して、イオン交換水を3重量%、及び、固体酸Aを0.8重量%装入し、85℃、3時間の吸着反応を行った。更に、減圧脱水を継続し、最終的に、105℃、1.33kPa以下の条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールMのOHVは18.6mgKOH/g、C=Cは0.025meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは1500mPa・s/25℃であり、触媒残存量は3.8ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0200】
実施例14
ポリオキシアルキレンポリオールN
実施例13で調製した粗製ポリオールmを用いた。固体酸Aの添加量を粗製ポリオールmに対して、0.5重量%とした以外、実施例13と同様に精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールNのOHVは18.7mgKOH/g、C=Cは0.025meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは1500mPa・s/25℃であり、触媒残存量は42.4ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0201】
実施例15
ポリオキシアルキレンポリオールO
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、9.2×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、80℃に昇温した。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が475kPaの条件で、OHVが18.5mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールo1という)を得た。この時の粗製ポリオール中の触媒濃度は、872ppmであった。
【0202】
次いで、固体酸Aを使用し、その添加量を粗製ポリオールo1に対して、1.0重量%とした以外、実施例13と同様にして精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールOのOHVは18.7mgKOH/g、C=Cは0.026meq./g、H−T結合選択率は97.6mol%、ηは1880mPa・s/25℃であり、触媒残存量は3.5ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0203】
実施例16
ポリオキシアルキレンポリオールP
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、5.6×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が405kPaの条件で、OHVが33mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールp1という)を得た。この時の粗製ポリオール中の触媒濃度は、852ppmであった。
【0204】
次いで、窒素雰囲気下、予め、80℃に加熱した粗製ポリオールp1に、5重量%のイオン交換水、及び、0.35重量%の固体酸Aを装入し、80℃、3時間攪拌混合を行った。その後、昇温しながら、減圧脱水を開始した。最終的に、105℃、1.33kPa以下の条件で3時間加熱減圧処理を行った後、ろ紙による減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールPのOHVは33.7mgKOH/g、C=Cは0.014meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは830mPa・s/25℃であり、触媒残存量は8.0ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0205】
実施例17
ポリオキシアルキレンポリオールQ
実施例16で得られた粗製ポリオールp1を用いた。固体酸Aの添加量を粗製ポリオールp1に対して0.5重量%とした以外は、実施例16と同様な方法により、ポリオキシアルキレンポリオールを精製した。精製ポリオキシアルキレンポリオールQのOHVは33.7mgKOH/g、C=Cは0.014meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは830mPa・s/25℃であり、触媒残存量は1.2ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0206】
実施例18
ポリオキシアルキレンポリオールR
窒素雰囲気下、実施例2で用いたグリセリン1モルに対して、1.2×10-2モルのPZBを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が405kPaの条件で、OHVが18.4mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールr1という)を得た。この時の粗製ポリオール中の触媒濃度は、930ppmであった。
【0207】
次いで、窒素雰囲気下、予め、80℃に加熱した粗製ポリオールr1に対して、0.7重量%の固体酸Bを装入した以外は、実施例16と同様な方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールRのOHVは18.5mgKOH/g、C=Cは0.027meq./g、H−T結合選択率は97.9mol%、ηは1550mPa・s/25℃であり、触媒残存量は27.9ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0208】
実施例19
ポリオキシアルキレンポリオールS
窒素雰囲気下、実施例1で用いたジプロピレングリコール1モルに対して、5.0×10-3モルのPZNを加え、窒素置換を行った後、実施例1記載と同様な方法により、加熱減圧操作を行った。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度80℃、最大反応圧力が385kPaの条件で、OHVが37mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、80℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールs1という)を得た。この時の粗製ポリオール中の触媒濃度は、1253ppmであった。
【0209】
次いで、窒素雰囲気下、予め、80℃に加熱した粗製ポリオールs1に対して、0.7重量%の固体酸Cを装入した以外は、実施例16と同様な方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールSのOHVは37.1mgKOH/g、C=Cは0.010meq./g、H−T結合選択率は97.4mol%、ηは550mPa・s/25℃であり、触媒残存量は85.3ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.1ppm未満(検出限界濃度未満)であった。
【0210】
比較例1
ポリオキシアルキレンポリオールT
実施例13で調製した粗製ポリオールmを用いた。固体酸Dの添加量を粗製ポリオールmに対して、0.8重量%とした以外、実施例13と同様にして精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールT中の触媒残存量は296.5ppm、OHVは18.9mgKOH/gであり、Naは0.2ppmであった。H−T結合選択率は、98.1mol%、ηは1500mPa・s/25℃、C=Cは0.025meq./gであり、PO含量は、100重量%であった。
【0211】
比較例2
ポリオキシアルキレンポリオールU
実施例15で調製した粗製ポリオールo1を用いた。固体酸Dの添加量を粗製ポリオールo1に対して、1.0重量%とした以外、実施例15と同様にして粗製ポリオールo1を精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールU中の触媒残存量は182.0ppm、OHVは18.8mgKOH/gであり、Naは0.3ppmであった。H−T結合選択率は、97.6mol%、ηは1880mPa・s/25℃、C=Cは0.026meq./gであり、PO含量は、100重量%であった。
【0212】
比較例3
ポリオキシアルキレンポリオールV
実施例15で調製した粗製ポリオールo1を用いた。固体酸Eの添加量を粗製ポリオールに対して、1.0重量%とした以外、実施例15と同様にして粗製ポリオールo1を精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールV中の触媒残存量は248.7ppm、OHVは18.7mgKOH/gであり、Naは0.4ppmであった。H−T結合選択率は、97.6mol%、ηは1880mPa・s/25℃、C=Cは0.026meq./gであり、PO含量は、100重量%であった。
【0213】
比較例4
ポリオキシアルキレンポリオールW
実施例13で調製した粗製ポリオールmを用いた。固体酸Dを粗製ポリオールに対して、1.3重量%とした以外、実施例13と同様にして粗製ポリオールmを精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールW中の触媒残存量は135.2ppm、OHVは18.8mgKOH/gであり、Naは0.5ppmであった。H−T結合選択率は、98.1mol%、ηは1500mPa・s/25℃、C=Cは0.025meq./gであり、PO含量は、100重量%であった。
【0214】
比較例5
ポリオキシアルキレンポリオールX
窒素雰囲気下、実施例1で用いたジプロピレングリコール1モルに対して、8×10-3モルのPZOを加え、窒素置換を行った後、135℃に昇温した。次いで、86.5kPaにおいて、重合温度135℃、最大反応圧力が582kPaの条件で、OHVが8.5mgKOH/gになるまで、プロピレンオキサイドの付加重合反応を行った。オートクレーブの圧力の変化が認められなくなった時点で、120℃、1.33kPa以下の条件で、1時間の減圧処理を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
【0215】
次いで、窒素雰囲気下、85℃に調整した該粗製ポリオールに対して、イオン交換水を3重量%、及び、粗製ポリオール中のPZO1モルに対して、1.2モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を添加し、85℃、2時間の中和反応を行った。その後、酸化防止剤を粗製ポリオールに対して、600ppm添加後、加熱、減圧操作を行いながら、最終的に、105℃、1.33kPa以下の条件で3時間の同操作を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて、減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールXのOHVは8.7mgKOH/g、C=Cは0.077meq./g、H−T結合選択率は97.5mol%、ηは7450mPa・s/25℃であり、触媒残存量は353.4ppmであった。PO含量は、100重量%であった。
【0216】
比較例6
ポリオキシアルキレンポリオールY
実施例18で製造した粗製ポリオールr1を用いた。固体酸Eを使用した以外、実施例18と同様にして粗製ポリオールr1を精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールYのOHVは18.7mgKOH/g、C=Cは測定不能であった。H−T結合選択率は97.9mol%、ηは1550mPa・s/25℃であり、触媒残存量は793ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は5.6ppmであった。
【0217】
比較例7
ポリオキシアルキレンポリオールZ
実施例16で製造した粗製ポリオールp1を用いた。固体酸Dを使用した以外、実施例16と同様にして粗製ポリオールp1を精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールZのOHVは34.1mgKOH/g、C=Cは0.015meq./g、H−T結合選択率は98.1mol%、ηは830mPa・s/25℃であり、触媒残存量は262ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.8ppmであった。
【0218】
比較例8
ポリオキシアルキレンポリオールZ1
実施例19で製造した粗製ポリオールs1を用いた。固体酸Fを使用した以外、実施例19と同様にして粗製ポリオールs1を精製し、ポリオキシアルキレンポリオールを回収した。精製ポリオキシアルキレンポリオールZ1のOHVは37.4mgKOH/g、C=Cは測定不能であった。H−T結合選択率は97.4mol%、ηは550mPa・s/25℃であり、触媒残存量は915ppmであった。PO含量は、100重量%であり、Na残存量は0.7ppmであった。
【0219】
実施例1〜19、及び、比較例1〜8で得られたポリオキシアルキレンポリオール(以下、ポリオールという)の製造用触媒、エポキサイド化合物、触媒除去に用いた固体酸とその使用量、酸の種類とその使用量、OHV、C=C、H−T結合選択率、η、P=N結合を有する化合物触媒の残存量(単に、触媒残存量という)、Na残存量(単に、Naという)、PO含量、末端EO量について、[表2]〜[表5]にまとめて示す。
表中に記載した各略号はそれぞれ次ぎの物質を示す。
DPG:ジプロピレングリコール、Gly:グリセリン、PE:ペンタエリスリトール、PZN:ホスファゼニウム化合物、PZO:ホスフィンオキシド化合物、PZB:ホスファゼン化合物、PO:プロピレンオキサイド、EO:エチレンオキサイド、BO:ブチレンオキサイド。
【0220】
【表2】
【0221】
【表3】
【0222】
【表4】
【0223】
【表5】
【0224】
<実施例の考察1>
実施例1〜19、及び、比較例1〜8の結果から以下の知見が得られる。特定の形状、及び組成を有する固体酸(A、B、C)を用いることにより、ポリオール中の触媒残存量を効率良く、150ppm以下に低減することが可能である。実施例13及び比較例1では、ホスフィンオキシド化合物(PZO)触媒を使用した同一の粗製ポリオールmを、同一量の固体酸を用い、同一吸着条件で精製した。実施例13におけるポリオール中の触媒残存量(3.8ppm)は、比較例1のそれ(296.5ppm)と比べてかなり低い。この結果は、実施例13では、本発明で規定する形状を有する固体酸Aを、比較例1では、比表面積が本発明で規定する範囲より低い値の固体酸Cを用いたことに起因する。固体酸の形状の差異により、ポリオール中の触媒残存量は大きく変化する。
【0225】
同様に、実施例15(固体酸A)に対し、比較例2(固体酸D)及び比較例3(固体酸E)を対比すると、本発明で規定する形状の固体酸を用いることにより、PZO触媒を効率良く除去することが可能であることがわかる。
PZN触媒ポリオールについては、実施例16(固体酸A)と比較例7(固体酸D)との対比、PZB触媒ポリオールについては、実施例18(固体酸B)と比較例6(固体酸E)との対比から、本発明で規定する形状を有する固体酸を使用することにより、精製ポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御可能であることがわかる。
【0226】
一方、粗製ポリオール中のPZO触媒をリン酸で中和して、精製処理を行ったポリオキシアルキレンポリオールX(比較例5)は、PZO触媒残存量が150ppm以下にならなかった。又、実施例18と比較例6、及び、実施例19と比較例8との対比において、比較例6及び8で精製処理したポリオールY及びZ1中の触媒濃度は、793ppm、及び915ppmであった。充分に精製されなかった。触媒残存量が150ppmを超えると、ポリオールの外観に着色が認められた。また、JIS K−1557に規定される方法では、OHV、C=Cが高精度で測定できないことがわかった。又、本発明で規定する形状を有する固体酸を用いて、粗製ポリオールを精製することにより、固体酸からのNa溶出量(Na)が少なく、高品質のポリオキシアルキレンポリオールが得られる。
【0227】
汎用的に使用されている水酸化カリウム、及び、モノオール含有量が低減可能な触媒である水酸化セシウム等のアルカリ金属触媒、並びに、複合金属シアン化物錯体を用いた粗製ポリオール中から触媒を除去するためには、酸による触媒中和方法が最も一般的である。しかし、過剰に用いた酸の除去、或いは中和されずに残存しているアルカリ金属等を吸着するために、従来公知の吸着剤を併用する工程が必要となる。しかし、本発明のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法に依れば、短時間に効率良く、触媒残存量を低減できるため、工業的スケールにおけるポリオールの生産効率が大幅に向上する。
【0228】
<ポリマー分散ポリオールの製造>
ポリマー分散ポリオールの特性は次の(11)〜(14)の方法によった。
(11)ポリマー分散ポリオールの水酸基価(OHV、単位:mgKOH/g)、及び、粘度(以下、η(POP)という。単位:mPa・s/25℃)
前記(1)記載の方法により求める。
【0229】
(12)ポリマー分散ポリオールのポリマー濃度(以下、ポリマー濃度という。単位:wt%)
ポリマー分散ポリオールにメタノールを加え、良く分散させた後に、毎分5000回転の条件で、1時間、遠心分離を行い、メタノール不溶分の重量を測定して求める。但し、ビニルモノマーとして、アクリロニトリル(AN)を単独で用いたポリマー分散ポリオールについては、元素分析法による窒素濃度からポリマー濃度を求める。
【0230】
(13)ポリマー分散ポリオール中のポリマー粒子の平均粒径(以下、平均粒径という。単位:μm)
ポリマー分散ポリオールをイソプロパノールに分散し、粒子アナライザー(コールター社製、型式:LS230)を用いて、測定を行う。尚、粒子の平均粒径とは、体積平均粒径を示す。
【0231】
(14)ポリマー分散ポリオール中のポリマー粒子の分散安定性(以下、分散安定性という。単位なし)
ポリマー分散ポリオールを毎分5000回転の条件で、1時間、遠心分離を行い、次いで、遠心分離管を逆さにして24時間自然流下させ、遠心分離管底部での非流動性ケーキの有無を目視で判定する。非流動性ケーキが存在する場合は、分散安定性が悪く(bad、もしくはpoor)、非流動性ケーキが存在しない場合は、分散安定性が良い(good)と評価する。
【0232】
実施例に用いた原料、及びその略号を以下に示す。
(ポリオール)B、F、K、L;それぞれ、実施例2(B)、実施例6(F)、実施例11(K)、実施例12(L)により得られたポリオキシアルキレンポリオール。
(エチレン性不飽和モノマー1);アクリロニトリル(以下、ANという)。
(エチレン性不飽和モノマー2);スチレン(以下、Stという)
(連鎖移動剤);トリエチルアミン(以下、TEAという)、イソプロパノール(以下、IPAという)。
(ラジカル開始剤);2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(以下、V−59という)。
(ポリオールA1);分散安定化剤。KOHを触媒として、グリセリンにプロピレンオキサイド、次いで、エチレンオキサイドをそれぞれ付加重合して得られた、OHV34mgKOH/g、末端EO含量が14重量%のポリオールに、無水コハク酸、及び、エチレンオキサイドを反応させたOHVが29mgKOH/gのポリエーテルエステルポリオール。
【0233】
実施例20〜23
温度計、攪拌装置、圧力計、及び送液装置を装着した1Lの耐圧オートクレーブに、ポリオールを満液状態になるまで仕込み、攪拌しながら、120℃に昇温した。ポリオール、V−59、AN、St、連鎖移動剤(TEA、IPA)、及びポリオールA1の混合液を該オートクレーブに連続装入し、排出口より、連続的にポリマー分散ポリオールを得た。反応条件は、反応温度120℃、反応圧力440kPaの条件で、滞留時間は50分であった。得られた反応液を120℃、655Pa以下の条件で、3時間の加熱減圧処理を行い、未反応のエチレン性不飽和モノマー、重合開始剤の分解物、及び連鎖移動剤等の除去を行った。原料の仕込み量、及び、ポリマー分散ポリオールの性状を[表6]に示す。
【0234】
【表6】
【0235】
<実施例の考察2>
本発明に係わる、P=N結合を有する化合物(PZO、PZN)を触媒として製造したポリオキシアルキレンポリオールを用いたポリマー分散ポリオールは、粘度が低く、ポリマー粒子の平均粒径が小さい上、更に、ポリマー粒子の分散安定性に優れている。
【0236】
<イソシアネート基末端プレポリマーの製造>
P=N結合を有する化合物(PZN、PZO、PZB)触媒残存量の異なるポリオールを用いて、イソシアネート基末端プレポリマーの製造を行った。尚、プレポリマーの経時安定性は、下記(15)の方法により評価した。
【0237】
(15)イソシアネート基末端プレポリマーの経時安定性(単位;%)
調製直後のプレポリマーの粘度(n)、及び、60℃で14日間保管した後のプレポリマーの粘度(m)を測定し、数式[(m−n)×100/n]から粘度変化率を算出する。プレポリマーの粘度(η(PRE))(単位:mPa・s/25℃)は、JIS K−1557記載の方法で測定する。この粘度変化率が小さいほど、プレポリマーの経時安定性が良いと判断する。
【0238】
ポリオールM(実施例13)、ポリオールN(実施例14)、ポリオールO(実施例15)、ポリオールP(実施例16)、ポリオールQ(実施例17)、ポリオールS(実施例19)、ポリオールT(比較例1)、ポリオールU(比較例2)、ポリオールV(比較例3)、ポリオールW(比較例4)、ポリオールZ(比較例7)、及び、ポリオールZ1(比較例8)を用いて、これらとポリイソシアネートとを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーを調製し、その経時安定性を上記(15)記載の方法により測定、評価した。尚、[表7]にプレポリマーを合成した際の、ポリオール、ポリイソシアネート、及び、助剤であるキシレン(和光純薬(株)製)、ジオクチルフタレート(協和油化(株)製、以下、DOPという)の仕込量(単位;重量部)を示す。ポリイソシアネートとしては、コスモネートPH(三井化学(株)製、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート)、及び、コスモネートT−65(三井化学(株)製、2,4−TDIと2,6−TDIの重量比65:35の混合TDI)を用いた。
【0239】
実施例24
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに実施例13で得られたポリオールMを488.3重量部、及び、実施例15で得られたポリオールOを429.4重量部仕込み、攪拌混合を行った。該混合ポリオール中の触媒濃度は3.6ppmであった。その後、該混合ポリオールにコスモネートPHを82.3重量部装入し、80℃に昇温し、同温度で3時間反応後、90℃に昇温し、同温度で6時間反応後、60℃に降温し、90重量部のキシレンを添加し、同温度にて1時間攪拌を行った。次いで、50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。プレポリマーの経時安定性は10%であった。
【0240】
実施例25
窒素雰囲気下、実施例14で得られたポリオールNを488.3重量部セパラブルフラスコに仕込み、次いで、該ポリオールに対して、8.9ppmのリン酸(6.5重量%リン酸水溶液の形態)を添加した。攪拌混合後、水を除去するため、105℃、1.33kPa以下の条件で2時間、加熱減圧処理を行った。更に、実施例15で得られたポリオールOを429.4重量部添加し、0.5時間攪拌混合した。該混合ポリオール中の触媒濃度は24.2ppmであった。その後、55℃に降温し、コスモネートPHを82.3重量部装入し、実施例24と同様な反応操作を行い、プレポリマーを得た。窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。プレポリマーの経時安定性は16%であった。
【0241】
実施例26
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに実施例17で得られたポリオールQを528重量部、及び、実施例19で得られたポリオールSを330重量部をそれぞれ仕込み、攪拌混合を行った。該ポリオール中の触媒濃度は、28.3ppmであった。その後、80℃に昇温し、該混合ポリオールにDOPを48重量部加えた後、コスモネートT−65を95重量部装入し、同温度で6時間、プレポリマー化反応を行った。50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。プレポリマーの経時安定性は11%であった。
【0242】
実施例27
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに実施例19で得られたポリオールSを711重量部仕込み、次いで、該ポリオールに対して、6.8ppmのリン酸(6.5重量%のリン酸水溶液の形態)を添加した。攪拌混合後、水を除去するため、105℃、1.33kPa以下の条件で2時間、加熱減圧処理を行った。該ポリオール中の触媒濃度は、85.3ppmであった。その後、80℃に降温し、コスモネートPHを231重量部装入し、同温度で5時間、プレポリマー化反応を行った。50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。プレポリマーの経時安定性は24%であった。
【0243】
比較例9
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに比較例4で得られたポリオールWを488.3重量部、及び、比較例3で得られたポリオールVを429.4重量部をそれぞれ仕込み、攪拌混合を行った。該混合ポリオール中の触媒濃度は188.3ppmであった。その後、該混合ポリオールにコスモネートPHを82.3重量部装入し、80℃に昇温し、同温度で3時間反応後、90℃に昇温し、同温度で6時間反応後、60℃に降温し、90重量部のキシレンを添加し、同温度にて1時間攪拌を行った。次いで、50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。経時安定性試験後は、プレポリマーが金属製容器内でゲル化していた。
【0244】
比較例10
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに比較例1で得られたポリオールTを488.3重量部、及び、比較例2で得られたポリオールUを429.4重量部をそれぞれ仕込み、攪拌混合を行った。該ポリオール中の触媒濃度は242.9ppmであった。その後、該混合ポリオールにコスモネートPHを82.3重量部装入し、比較例9と同様な反応操作を行い、プレポリマーを得た。次いで、50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。経時安定性試験後は、プレポリマーが金属製容器内でゲル化していた。
【0245】
比較例11
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに実施例19で得られたポリオールSを330重量部、及び、比較例7で得られたポリオールZを528重量部それぞれ仕込み、攪拌混合を行った。該ポリオール中の触媒濃度は、162ppmであった。その後、80℃に昇温し、該ポリオールにDOPを48重量部加えた後、コスモネートT−65を95重量部装入し、同温度で6時間、プレポリマー化反応を行った。50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。プレポリマーの経時安定性は122%であった。
【0246】
比較例12
窒素雰囲気下、温度計を装着したセパラブルフラスコに実施例16で得られたポリオールPを528重量部、及び、比較例8で得られたポリオールZ1を330重量部それぞれ仕込み、攪拌混合を行った。該ポリオール中の触媒濃度は、303ppmであった。その後、80℃に昇温し、該ポリオールにDOPを48重量部加えた後、コスモネートT−65を95重量部装入し、同温度で6時間、プレポリマー化反応を行った。50℃まで降温し、窒素雰囲気下、プレポリマーを金属製容器に密閉し、前記した経時安定性試験を行った。経時安定性試験後は、プレポリマーが金属製容器内でゲル化していた。
実施例24〜27、及び、比較例9〜12の結果を[表7]に示す。
【0247】
【表7】
【0248】
<実施例の考察3>
実施例24〜27で得られた結果より、触媒残存量を150ppm以下に制御したポリオキシアルキレンポリオールを用いることにより、経時安定性に優れたイソシアネート基末端プレポリマーが得られることがわかる。更に、触媒残存量が188.3ppm以上になると、プレポリマーがゲル化した。
【0249】
<ポリマー分散ポリオールを用いたイソシアネート基末端プレポリマーの製造>
次いで、本発明の方法で製造したポリマー分散ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造し、その経時安定性を示す。プレポリマーの経時安定性試験は、上記(15)記載の方法により評価した。
【0250】
実施例28
窒素雰囲気下、実施例20で得られたポリマー分散ポリオールAA707.2重量部に、ポリイソシアネートとして、112.8重量部のコスモネートT−80(三井化学(株)製、2,4−TDIと2,6−TDIの重量比80:20の混合TDI、以下、同様)を装入し、90℃、4時間攪拌することにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。NCOインデックスは、5.0である。得られたプレポリマーのNCO%は、5.30重量%であり、η(PRE)は、15300mPa・s/25℃であった。窒素雰囲気下、該プレポリマー550重量部を金属製容器に密閉し、上記(15)記載の方法により、プレポリマーの経時安定性試験を行った。経時安定性は、29%であり、経時安定性に優れたイソシアネート基末端プレポリマーが得られた。
【0251】
<イソシアネート基末端プレポリマー及びポリウレタン樹脂の製造>
イソシアネート基末端プレポリマーは、以下、プレポリマーと略する。
【0252】
(16)プレポリマーのH−T結合選択率(単位:mol%)
前記(2)の方法により求める。
(17)プレポリマーのNCO%(単位:重量%)、及び粘度(以下、η(PRE)という。単位:mPa・s/25℃)
NCO%は、JIS K−7301、η(PRE)は、JIS K−1557記載の方法により求める。
【0253】
(18)プレポリマー中のP=N結合を有する化合物触媒の残存量(以下、プレポリマーの触媒残存量という。単位:ppm)
キャピラリー電気泳動装置(waters社製、全自動CIAシステム)により、プレポリマー中の触媒残存量の測定を行う。前処理した試料に塩酸水溶液を添加し、シェーカー(東京理化機器(株)製、EYELA SHAKER)にて塩酸水溶液中に触媒の抽出を行う。その後、静置分液を行い、水層を分離し、キャピラリー電気泳動分析装置を用いて、触媒残存量の定量を行う。プレポリマーの前処理方法は、プレポリマー中のイソシアネート基をメタノール(試薬特級)で反応させた後、80℃に加熱し、1.33kPa以下の減圧を行い、残存しているメタノールを除去する。
(19)ポリウレタンエラストマーの脱型可能時間(単位:h)
エラストマーにクラックや変形を生じず、金型から脱型可能になる時間を脱型可能時間とする。硬化シートを手で曲げた後、クラックが生じない時間を脱型可能時間とし、その時間を測定する。
【0254】
(20)ポリウレタンエラストマーの機械物性
JIS K−7312記載の方法により測定する。以下、測定項目を示す。
硬度(以下、Hsという)、100%応力、(以下、M100という。単位:MPa)、300%応力(以下、M300という。単位:MPa)、引張強度(以下、TSという。単位:MPa)、伸び(以下、ELという。単位:%)、圧縮永久歪み(以下、Csという。単位:%)、及び、反発弾性率(以下、Rという。単位:%)を測定する。尚、圧縮永久歪み測定は、70℃、24時間の圧縮条件である。
【0255】
実施例29
プレポリマーAA1及びポリウレタンエラストマー
窒素雰囲気下、210.3重量部のコスモネートT−80に、1789.7重量部のポリオールCを装入後、80℃、6時間撹拌し、プレポリマー化反応を行った。この時のNCOインデックスは2である。NCO%が2.41重量%、η(PRE)7,150mPa・s/25℃、H−T結合選択率97.3mol%、触媒残存量が31ppmのプレポリマーAA1を得た。次いで、100℃で減圧脱気した100重量部のプレポリマーAA1に、予め130℃で溶融した4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(以下、MBOCAという)6.9重量部を加え、素早く均一に混合した。該混合液を、110℃に予熱した金属製モールドに注入し、110℃、24時間の条件で硬化させることにより、ウレタンエラストマーを得た。この時のポリウレタンエラストマーの脱型可能時間は、3.5hであった。更に、前記したポリウレタンエラストマーのシートを、23℃、相対湿度60%の雰囲気下で7日間静置した後、ポリウレタンエラストマーの機械物性の測定を行った。それらの結果を[表8]に示す。
【0256】
実施例30
プレポリマーAA2及びポリウレタンエラストマー
窒素雰囲気下、113.1重量部のコスモネートT−80に1886.9重量部のポリオールHを装入後、80℃、6時間撹拌し、プレポリマー化反応を行った。NCO%が1.14重量%、η(PRE)13,400mPa・s/25℃、H−T結合選択率98.2mol%、触媒残存量が7.2ppmのプレポリマーAA2を得た。この時のNCOインデックスは2である。100重量部のプレポリマーAA2にMBOCA3.3重量部を加えた以外は、実施例29と同様な方法により、ポリウレタンエラストマーを得た。この時のポリウレタンエラストマーの脱型可能時間は、5hであった。更に、実施例29と同様な方法により、ポリウレタンエラストマーの機械物性の測定を行った。それらの結果を[表8]に示す。
【0257】
実施例31
プレポリマーAA3及びポリウレタンエラストマー
窒素雰囲気下、891.3重量部のコスモネートPHに712.6重量部のポリオールC、及び、396.1重量部のポリオールIを装入後、80℃、5時間撹拌し、プレポリマー化反応を行った。NCO%が13.3重量%、η(PRE)2,520mPa・s/25℃、H−T結合選択率97.4mol%、触媒残存量が14ppmのプレポリマーAA3を得た。この時のNCOインデックスは10である。次いで、予め、25℃で減圧脱気した100重量部のプレポリマーAA3に、前記した方法で減圧脱気した1,4−ブタンジオール(以下、1,4−BGという、以下、同様)12.8重量部、及び、ジブチルチンジラウレート(三共有機合成(株)製、商品名:Stann BL、以下、同様)0.005重量部を加え、実施例29記載と同様な方法により、ポリウレタンエラストマーを得た。この時のポリウレタンエラストマーの脱型可能時間は、5hであった。更に、実施例29と同様にポリウレタンエラストマーの機械物性の測定を行った。それらの結果を[表8]に示す。
【0258】
【表8】
【0259】
<実施例の考察4>
P=N結合を有する化合物(PZN、PZO)触媒で製造し、且つ、本発明に係わる方法により精製したポリオキシアルキレンポリオールを用いたイソシアネート基末端プレポリマーから得られるポリウレタンエラストマーは、ポリウレタンエラストマーの脱型可能時間が短く、樹脂の機械物性の発現性が速い。又、上記イソシアネート基末端プレポリマーを用いることにより、Hs、M10、M300、TS、R、Cs等の機械物性に優れたポリウレタンエラストマーが得られる。
【0260】
<遊離イソシアネート化合物濃度が低いプレポリマー及びポリウレタン樹脂の製造>
(21)プレポリマー中の遊離イソシアネート化合物濃度(以下、遊離イソシアネート化合物濃度という。単位:重量%)
ガスクロマトグラフィー装置〔(株)島津製作所製、型式:GC−14A〕によりプレポリマー中の遊離イソシアネート化合物の定量を行う。
その他、プレポリマーのNCO%、η(PRE)、H−T結合選択率、及び、触媒残存量は、前記した方法により測定する。
【0261】
実施例32
プレポリマーAA4及びポリウレタンエラストマー
窒素雰囲気下、642.0重量部のコスモネートT−80に1243.6重量部のポリオールC、及び、114.4重量部の1,3−ブタンジオール(以下、1,3−BGという)を装入後、80℃で5時間攪拌し、NCO%が13.5重量%であるイソシアネート基末端プレポリマーを得た。この時のNCOインデックスは8である。該イソシアネート基末端プレポリマーを分子蒸留装置(柴田科学(株)製、型式:MS−800型)を用いて、ワイパー回転数400r.p.m、150℃、の条件で、5時間減圧処理を行い、遊離ポリイソシアネート化合物の除去を行った。遊離イソシアネート化合物濃度は、0.3重量%、NCO%が2.50重量%、η(PRE)5,400mPa・s/25℃、H−T結合選択率97.6mol%、触媒残存量が21ppmのプレポリマーAA4を得た。100重量部のプレポリマーAA4にMBOCA7.2重量部を加えた以外は、実施例29と同様な方法により、ポリウレタンエラストマーを得た。この時のポリウレタンエラストマーの脱型可能時間は、4.5hであった。更に、実施例29と同様な方法により、ポリウレタンエラストマーの機械物性の測定を行った。
【0262】
その結果、Hs(ShoreA)70、M100が2.9MPa、M300が5.2MPa、TSが14.7MPa、ELが870%、Rが98%、Csが30%であるポリウレタンエラストマーを得た。尚、本実施例と同等レベルのNCO%を有する、上記実施例29におけるイソシアネート基末端プレポリマーAA1の遊離イソシアネート化合物濃度を測定した結果、1.9重量%であった。遊離イソシアネート化合物の除去操作を行うことにより、NCO%が同じレベルであっても、イソシアネート基末端プレポリマーの粘度は低くなっており(実施例29のプレポリマーAA1での遊離イソシアネート化合物濃度は、1.9重量%に対して、実施例32のプレポリマーAA4での遊離イソシアネート化合物濃度は、0.3重量%である)、作業性に優れている。
【0263】
<ポリオキシアルキレンポリオールを硬化剤としたポリウレタン樹脂の製造>
(22)ポリウレタン樹脂の機械物性
JIS A−6021記載の方法により、引張強度(TS、単位:MPa)、伸び(EL、単位:%)、引裂強度(以下、TRという、単位:kN/m)を測定する。
【0264】
(23)ポリウレタン樹脂の表面汚染性
ポリウレタン樹脂の表面汚染性として、触感による樹脂表面のタックを測定する。後述する条件で、7日間硬化した後のポリウレタン樹脂の表面に、タックがない場合には、good、タックがある場合には、badと評価する。
【0265】
実施例33
実施例8で得られたポリオールHを5.6重量部、実施例9で得られたポリオールIを7.1重量部、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBOCA)10.7重量部、ジオクチルフタレート(DOP)26.4重量部、炭酸カルシウム61.2重量部、硬化用触媒であるオクチル酸鉛(活材ケミカル(株)製、商品名:ミニコP−24)1.8重量部、及び、耐候安定化剤(大内新興化学(株)製、商品名:ノクラック300)1.2重量部を混合し、混練装置((株)井上製作所製ディゾルバー、型式:DHC−2)を用いて1000r.p.mの攪拌速度で、50℃、1時間、混練して硬化剤を得た。次いで、窒素雰囲気下、143重量部のコスモネートT−80に、実施例8で得られたポリオールHを517重量部、及び、実施例9で得られたポリオールIを960重量部を各々添加し、90℃、4時間攪拌しながら、プレポリマー化反応を行った。その後、プレポリマーを室温まで冷却し、前記した硬化剤100重量部と、上記プレポリマー100重量部を気泡が混入しないように、3分間均一に混合し、テフロンコートした厚さ1mmのモールドへ注入し、23℃、相対湿度55%の条件下、硬化させ、ポリウレタン樹脂を得た。ポリウレタン樹脂の硬化の進行性を評価するために、前記硬化条件で1日後、7日後のポリウレタン樹脂の機械物性、表面汚染性の測定を行った。その結果、硬化1日後のTSが、4.3MPa、ELが990%、TRが20kN/mであり、硬化7日後のTSが、5.7MPa、ELが810%、TRが23kN/mであった。硬化7日後のポリウレタン樹脂の表面汚染性は、タックがなく、goodであった。
【0266】
本発明に係わるP=N結合を有した化合物を触媒として製造ポリオキシアルキレンポリオールを、硬化剤、及び主剤であるイソシアネート基末端プレポリマーに用いた、本発明のポリウレタン樹脂は、TS、TR等の物性の発現性が速い上、優れた機械物性を有している。尚、物性発現性とは、硬化7日後のTS、TR値を、硬化1日後のTS、TRで各々除した倍率に基づく。その倍率が小さいほど、物性発現性が速いと判断する。更に、樹脂表面のタックがないため、表面汚染性の少ないポリウレタン樹脂が得られる。
【0267】
<軟質ポリウレタンフォームの製造>
以下、軟質ポリウレタンフォームを軟質フォームという。
(24)軟質フォームの密度(単位:kg/m3)
JIS K−6400の記載の方法により求めた、見かけ密度を示す。表皮スキンがある直方体状のサンプルを用いて全密度を、表皮スキンがない直方体状のサンプルを用いて、コア密度を測定する。
【0268】
(25)軟質フォームの硬度(単位:N/314cm2)
JIS K−6400のA法記載の方法により求める。軟質フォームの厚みは、94mmないし100mmのものを使用する。
【0269】
(26)軟質フォームの伸び率(単位:%)
JIS K−6400記載の方法により求める。
(27)軟質フォームの圧縮永久歪(単位;%)
JIS K−6400記載の方法により求める。測定に際して、成形した軟質フォームのコア部を50×50×25mmに切り抜き使用する。平行平面板を用いて、試験片を元のフォームの50%の厚みまで圧縮し、次いで、70℃、22時間放置する。平行平面板から試験片を取り出して30分後、その厚みを測定し、永久圧縮歪みを測定する。
【0270】
(28)軟質フォームの湿熱圧縮永久歪(単位;%)
JIS K−6400記載の方法により求める。測定に際して、成形した軟質フォームのコア部を50×50×25mmに切り抜き使用する。平行平面板を用いて、試験片を元のフォームの50%の厚みまで圧縮し、次いで、50℃、相対湿度95%の条件下、22時間放置する。平行平面板から試験片を取り出して30分後、その厚みを測定し、湿熱圧縮永久歪みを測定する。
【0271】
(29)繰り返し圧縮試験における軟質フォームの硬度ロス(単位;%)及び高さロス(単位;%)
JIS K−6400記載の方法により求める。測定に際して、成形した軟質フォームのコア部を100×100×50mmに切り抜き使用する。試験片を平行平面板に挟み、室温で、毎分60回の速さで、元のフォーム厚さに対して、50%の圧縮歪みを連続して8万回繰り返す。試験片を取り出して30分後、前記した方法により、フォームの硬度を測定し、硬度ロスを測定する。又、試験前後におけるフォームの高さを測定し、高さロスを測定する。
【0272】
軟質フォームの製造において、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリマー分散ポリオールの他に、以下に示す化合物を使用した。
(ポリイソシアネート−1):コスモネートTM−20;三井化学(株)製、2,4−TDIと2,6−TDIの重量比80:20の混合TDI80重量部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート20重量部の混合物。該ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートは、ベンゼン環に基づく2核体成分が43重量%、3核体成分が24重量%、4核体成分が9重量%からなるポリイソシアネートである。(ポリイソシアネート−2):コスモネートT−80;三井化学社(株)製、2,4−TDIと2,6−TDIの重量比80:20の混合TDI。(触媒−1):Minico L−1020;活材ケミカル社製のアミン触媒(トリエチレンジアミンの33%ジエチレングリコール溶液)。(触媒−2):Minico TMDA;活材ケミカル社製のアミン触媒。(架橋剤−1):KL−210;三井化学(株)製、水酸基価830mgKOH/gの架橋剤。(整泡剤−1):L−3601;日本ユニカー社製のシリコーン整泡剤。
【0273】
実施例34
以下に示す7成分を混合してレジンプレミックスを調製した。ポリオキシアルキレンポリオール:50重量部、ポリマー分散ポリオール:50重量部、架橋剤−1:3.0重量部、水:3.4重量部、触媒−1:0.4重量部、触媒−2:0.1重量部、整泡剤−1:1.0重量部。
ポリオキシアルキレンポリオールとして、ポリオキシアルキレンポリオールB、ポリマー分散ポリオールとして、ポリマー分散ポリオールAAを使用した。上記レジンプレミックス107.9重量部に、ポリイソシアネート−1を43.3重量部添加、混合し、直ちに、予め65℃に調整した内寸400×400×100mmの金型へ注入し、蓋を閉めて発泡させた。次いで、100℃の熱風オーブン中で7分間、加熱硬化した後、軟質ポリウレタンフォームを金型より取り出した。23℃、相対湿度50%のオーブン中で、一昼夜養生した後に、軟質フォームの物性測定を行った。得られた軟質フォームの物性を[表9]に示す。本実施例におけるNCOインデックスは1.00である。
【0274】
実施例35〜39
[表9]に示すポリオキシアルキレンポリオール、及びポリマー分散ポリオールに各々変更し、軟質フォームの見かけ密度を[表9]に従って制御した以外は、実施例34と同様の方法で軟質フォームの製造を行った。得られた軟質フォームの物性を[表9]に示す。
【0275】
【表9】
【0276】
実施例40〜43
[表10]に示したポリオキシアルキレンポリオール、ポリマー分散ポリオールの組み合わせと、ポリイソシアネート−1をポリイソシアネート−2に変更し、見掛け密度を[表10]に従って制御した以外は、実施例34と同様の方法で軟質フォームの製造を行った。NCOインデックスは1.00とした。得られた軟質ポリウレタンフォームの物性を[表10]に示す。
【0277】
【表10】
【0278】
<実施例の考察5>
[表9]、及び[表10]より、P=N結合を有する化合物(PZN、PZO)を触媒として製造したポリオキシアルキレンポリオールを用いた、軟質ポリウレタンフォームは、優れた硬度、伸び、圧縮永久歪、湿熱圧縮永久歪、耐久性(繰り返し圧縮試験における硬度ロス、高さロスを指す)を有する。
【0279】
【発明の効果】
本発明に係わる固体酸を用いる精製方法は、従来の固体酸(吸着剤)を用いる精製方法に比べ、酸による中和処理等が不要であり、工程が簡略化できるため、精製工程における製品ロスが少ない。また、触媒残存量が少ないため、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールの誘導体であるイソシアネート基末端プレポリマーの経時安定性が向上する利点がある。更に、そのプレポリマーから得られるポリウレタンの特性も優れる。本発明によれば、煩雑な工程を必要としない簡便な方法により、高純度のポリオキシアルキレンポリオールを容易に製造することができる。また、本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオールの製造方法を適用することにより、その誘導体であるポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、軟質ポリウレタンフォーム、及びポリウレタン樹脂を容易に製造することができる。
【0280】
P=N結合を有する化合物、特に、上記化学式(1)〜(3)で表される化合物を触媒として、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、且つ、得られた粗製ポリオキシアルキレンポリオールを特定の形状を有する固体酸で精製処理することにより、触媒残存量を150ppm以下に効率良く制御できる。そのため、不純物の含有量の少ない高品質のポリオキシアルキレンポリオールが製造可能である。ポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御することにより、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させたイソシアネート基末端プレポリマーの経時安定性が向上する。更に、本発明により得られるポリオキシアルキレンポリオールは、H−T結合選択率が高いため、低粘度であり、且つ、モノオールの含有量が低い。
【0281】
複合金属シアン化物錯体触媒は、C=Cの低いポリオキシアルキレンポリオールを製造し得ることが知られている。しかし、該触媒は、エチレンオキサイドを付加重合する場合には使用できない。そのため、エチレンオキサイドの付加重合に際しては、他の触媒に切り替える必要があり、煩雑な反応操作が必要である。これに対し、本発明に係わるP=N結合を有する化合物触媒は、上記の如き煩雑な反応操作は不要である。その上、P=N結合を有する化合物の内、ホスフィンオキシド化合物(PZO)を触媒として用いる場合、ポリオキシアルキレンポリオールの重合開始剤の調製工程において、活性水素化合物、及び触媒中の水分が600ppm以下であれば、脱水操作、脱塩操作等が不要である。そのため、ポリオキシアルキレンポリオールの生産性が向上する。
【0282】
本発明の方法により製造されたポリマー分散ポリオールは、触媒残存量、及びモノオール含有量が低く、H−T結合選択率が高いポリオキシアルキレンポリオールを分散媒としている。そのため、低粘度である。そのため、ポリマー粒子濃度を高くした場合であっても、従来品に比べ、低粘度で、且つ、粒子の分散安定性に優れたポリマー分散ポリオールが製造できる。本発明の方法で製造されたイソシアネート基末端プレポリマーは、触媒残存量、並びにモノオール含有量が低く、H−T結合選択率が高いポリオキシアルキレンポリオールを使用するため、広範なポリウレタン用途において機械物性、その発現性、及び外観形状において優れた性能を発揮する。しかも、イソシアネート基末端プレポリマーの経時安定性にも優れている。更に、本発明の方法で製造された軟質ポリウレタンフォームは、成形性に優れる他、圧縮永久歪み、湿熱圧縮永久歪み、及び繰り返し圧縮試験等の耐久性において優れた性能を示す。
【0283】
従って、本発明に係わるポリオキシアルキレンポリオール及びその誘導体の製造方法は、塗料、接着剤、床材、防水材、シーリング剤、靴底、エラストマー等のポリウレタン分野、並びに、界面活性剤、潤滑剤、作動液、及びサニタリー用品分野等における原料の製造方法として極めて有用である。
Claims (19)
- P=N結合を有する化合物を触媒として、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと、比表面積が450〜1200m2/g、平均細孔直径が40〜100℃である固体酸とを接触させ、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒残存量を150ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 固体酸が、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び酸化亜鉛を含む異なる酸化物同士から調製される複合金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 複合金属酸化物が、ケイ酸アルミニウム、及びケイ酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の複合金属酸化物であることを特徴とする請求項2記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- P=N結合を有する化合物が、ホスファゼニウム化合物、ホスフィンオキシド化合物、及びホスファゼン化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 50〜150℃において、粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸とを接触させることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸を接触させる際に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、0.1〜10重量%の水を共存させることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 粗製ポリオキシアルキレンポリオールと固体酸を接触させた後、固体酸とポリオキシアルキレンポリオールを分離し、次いで、ポリオキシアルキレンポリオールに対し、無機酸、及び有機酸から選ばれた少なくとも1種の酸1〜25ppmを添加することを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- 活性水素化合物1モルに対し、触媒1×10−4〜5×10−1モルの存在下、反応温度15〜130℃、最大反応圧力882kPa以下の条件下で、活性水素化合物にエポキサイド化合物を付加重合して粗製ポリオキシアルキレンポリオールを製造することを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- ポリオキシアルキレンポリオールのオキシプロピレン基の含有量が少なくとも50重量%であることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
- ポリオール中にポリマー粒子が分散したポリマー分散ポリオールの製造方法であって、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法でポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、ラジカル重合開始剤の存在下、40〜200℃において、該ポリオール100重量部中で、エチレン性不飽和モノマー5〜86重量部を重合し、ポリマー粒子の濃度を5〜60重量%に制御することを特徴とするポリマー分散ポリオールの製造方法。
- エチレン性不飽和モノマーが、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド及びメタクリル酸メチルから選ばれた少なくとも1種のモノマーであることを特徴とする請求項13記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- ポリオールとポリイソシアネートとを反応させるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法であって、請求項13又は14に記載の方法でポリマー分散ポリオールを製造し、次いで、50〜120℃において、得られたポリマー分散ポリオールに対して、イソシアネートインデックスが1.3〜10となる量のポリイソシアネートを反応させる、イソシアネート基の含有量(NCO%)が0.3〜30重量%であるイソシアネート基末端プレポリマーの製造方法。
- 請求項15に記載の方法でイソシアネート基末端プレポリマーを製造し、次いで、60〜140℃において、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと鎖延長剤とを、イソシアネートインデックスが0.6〜1.5となる範囲で反応させるポリウレタン樹脂の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載の方法でポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、10〜50℃において、得られたポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネート基末端プレポリマーとを、イソシアネートインデックスが0.8〜1.3となる範囲で反応させるポリウレタン樹脂の製造方法。
- 水、触媒、及び整泡剤の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法でポリオキシアルキレンポリオールを製造し、次いで、得られたポリオキシアルキレンポリオールを少なくとも30重量%含むポリオールを用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 水、触媒、及び整泡剤の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、請求項13又は14に記載の方法でポリマー分散ポリオールを製造し、次いで、得られたポリマー分散ポリオールを少なくとも10重量%含むポリオールを用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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