JP4201221B2 - オクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物、その製造方法および用途 - Google Patents

オクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物、その製造方法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物とその製造方法およびその使用に関する。更に詳しくは、分岐鎖を持たないオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物、その製造方法および用途に関する。オクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物は界面活性剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
高級アルコールアルキレンオキサイド付加物は非イオン系界面活性剤として有用であり広く用いられている。シクロヘキサノール構造にオクチル基が置換したオクチルシクロヘキサノールのアルキレンオキサイド付加物も高級アルコールアルキレンオキサイド付加物の一種であり、オクチル基の構造によっていくつかの種類の化合物が知られていた。
【0003】
ケミカル・アブストラクツのレジストリーファイル(ケミカル・アブストラクツを通して登録された化合物の辞書ファイル)に収録されているオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物は5種類あるが、そのすべてがオクチルシクロヘキサノールのエチレンオキサイド付加物である。レジストリー番号92046−34−9を付与されているオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物は、オクチル基が「1,1,3,3−テトラメチルブチル基」であり、分岐構造のオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールのポリ(エチレンオキサイド)付加物である化合物である。またレジストリー番号70699−07−9を付与されているオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物はオクチル基が「イソオクチル基」であり、分岐構造を表す接頭語「イソ」からも明らかなように、分岐構造のオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールのポリ(エチレンオキサイド)付加物である。さらにレジストリー番号70699−06−8を付与されているオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物はオクチル基が「イソオクチル基」であり、分岐構造のオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールのモノ(エチレンオキサイド)付加物である。さらにはレジストリー番号42255−28−7を付与されているオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物はオクチル基が「オクチル基」とされているが、登録されている化学構造式から、明らかに「ノルマルオクチル基(CH3(CH27−基)」を有するオクチルシクロヘキサノールのポリ(エチレンオキサイド)付加物であることが解る。レジストリー番号42219−59−0を付与されているオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物もオクチル基が「オクチル基」とされているが、登録されている化学構造式からは明らかに「ノルマルオクチル基(CH3(CH27−基)」を有するオクチルシクロヘキサノールのトリ(エチレンオキサイド)付加物であることが解る。
【0004】
以上のように5種類のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物はすべてオクチル基が「分岐構造のオクチル基」を有するものか「ノルマルオクチル基」を有するもののどちらかであり、本発明のように直鎖オクチル基の2、3または4位にシクロヘキサン環が置換したオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はケミカル・アブストラクツのレジストリーファイル中には収録されておらず該ファイル中において新規化合物である。
またドイツ公開特許第4417947号においては、界面活性剤としてアルキルシクロヘキサノールエトキシレートが開示されているが具体的な化合物としてはp−イソノニルシクロヘキサノールエトキシレートが合成された例が示されているだけである。
【0005】
さらに米国特許第2213477号においては、アルキル置換基を持った環構造を有するヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物が開示されているが、アルキルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物としては具体的には、分岐構造を持つ置換基を有するp−イソドデシルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物とシクロヘキシル環構造もつ置換基を有するp−シクロヘキシルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物が合成された例が示されているだけである。
【0006】
以上述べたように本発明の直鎖オクチル基の2、3または4位にシクロヘキサン環が置換した構造を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はいまだかつて得られたことのない新規化合物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに知られているオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はアルキル基として、1)分岐構造のオクチル基を有するものと2)ノルマルオクチル基を有するものの二つに大別できる。分岐構造のオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はその分岐構造のために、生分解性が悪く使用済み廃液を微生物分解処理しようとしても容易に分解されない。またノルマルオクチル基を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物は、オクチル基が直鎖構造であるため生分解性は分岐構造のものに比べ優れるものの、副生物の生成を抑えノルマルオクチル基のみをシクロヘキサノール骨格に導入するには煩雑な製造方法をとらなければならない。
【0008】
本発明の課題は、界面活性剤として優れた性能を示し、生分解性が高くしかも工業的に入手が容易な原料を用い、且つ簡便な製造方法で効率よく製造することのできる新規なアルキルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物、その製造方法、さらにはその用途を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、直鎖オクチル基の2、3または4位にシクロヘキサン環が置換した構造を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物が、界面活性剤として優れた性能を示し、容易に生分解し環境に安全であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔6〕に記載した事項により特定される。
【0010】
〔1〕 式(1)(化11)
【化11】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物。
【0011】
〔2〕 直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して、式(2)(化12)
【化12】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応して、式(3)(化13)
【化13】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物を得、次いで該オクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを水素化触媒の存在下に反応することからなる、式(1)(化14)
【化14】
Figure 0004201221
(式中、R1 、a、bおよびcは前記の意味を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
【0012】
〔3〕 直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して、式(2)(化15)
【化15】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと水素とを水素化触媒の存在下に反応して、式(4)(化16)
【化16】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは前記の意味を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールを得、次いで該オクチルシクロヘキサノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応することからなる式(1)(化17)
【化17】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
【0013】
〔4〕 式(1)(化18)
【化18】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の界面活性剤としての使用。
【0014】
〔5〕 式(1)(化19)
【化19】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の洗浄剤としての使用。
【0015】
〔6〕 式(1)(化20)
【化20】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の乳化剤としての使用。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は式(1)(化21)
【化21】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物である。式(1)中のaおよびbは0〜5の整数であって且つaとbの和が5である。すなわち本発明の化合物は直鎖オクチル基の2、3または4位にシクロヘキサン環が置換した構造をとる。またオクチル基の結合位置は、アルコキシレート基(−O(CH2CHR1O)cH基)に対しシクロヘキサン環の2、3、4位の何れの位置であってもよい。さらにオクチル基とアルコキシレート基との間にシス、トランスの構造異性体が存在するがそのどちらでもよい。さらにはオキシアルキレン単位(−CH2CHR1O−単位)中のR1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、具体的にはオキシアルキレン単位はオキシエチレン単位(−CH2CH2O−単位)、オキシプロピレン単位(−CH2CH(CH3)O−単位)またはオキシブチレン単位(−CH2CH(CH2CH3)O−単位)である。
【0017】
cは1以上の整数であるが、cが2以上の場合繰り返し単位中にはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位またはオキシブチレン単位のどれか一つのみを有していてもよいし2種類以上のオキシアルキレン単位を有していてもよい。2種類以上のオキシアルキレン単位を有する場合はランダム状に付加していてもブロック状に付加していてもよい。cの範囲に制限はないが通常は1〜100の範囲である。また、本発明の式(1)の構造を有するオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物にはオクチル基の置換位置異性体、オクチル基とアルコキシレート基間の位置異性体およびシス、トランス異性体、およびオキシアルキレン単位の種類および数の異なる化合物がある。本発明のオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はこれらの異性体および化合物から選ばれる単独物であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
【0018】
本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はどのような製造方法で得られたものであってもよいが、好ましい製造方法として、直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して式(2)(化22)
【化22】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応して式(3)(化23)
【化23】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物を得、次いで該オクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを水素化触媒の存在下に反応させる方法(以下、この製造方法を製造方法(A)と略称する)と直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して式(2)で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと水素とを水素化触媒の存在下に反応して式(4)(化24)
【化24】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは前記の意味を表す)
で表されるオクチルシクロヘキサノールを得、次いで該オクチルシクロヘキサノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応させる方法(以下、この製造方法を製造方法(B)と略称する)があげられる。
【0019】
本発明の製造方法においては、製造方法(A)および(B)のいずれにおいても、まず直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応してオクチルフェノールを製造する。
本発明の製造方法の原料である直鎖オクテンとは具体的には1−オクテン、2−オクテン、3−オクテンおよび4−オクテンであり、これらは単独でもまた混合物としても使用できる。
【0020】
本発明の製造方法においては直鎖オクテンともう一方の原料であるフェノールとを酸触媒の存在下に反応する。酸触媒とはブレンステッド酸触媒またはルイス酸触媒のいずれでもよく、具体的には、例えば硫酸、燐酸、塩酸等の鉱酸類、例えばベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機スルホン酸、例えばデシルサルフェート、ドデシルサルフェート等の有機サルフェート類、例えばケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸、例えばスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂、パーフルオロスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂等の酸性イオン交換樹脂、例えば水素型Y型ゼオライト、水素型モルデナイト、水素型ZSM−5、水素型β−ゼオライト等の水素交換可能なカチオンの全部がプロトンである水素型結晶性アルミノシリケート、水素型結晶性アルミノシリケートの結晶格子中のアルミニウム原子が例えば硼素、ガリウム、インジウム、鉄、ニッケル、銅、チタン等の他の金属原子で置き換えられた水素型結晶性メタロシリケート、水素型結晶性アルミノシリケートまたは水素型結晶性メタロシリケートのイオン交換可能な水素の一部または全部を2価以上の金属イオンで置換した金属置換結晶性アルミノシリケートまたは結晶性メタロシリケート、例えばチタニア、アルミナ等の酸性酸化物、例えばシリカアルミナ、ボリアアルミナ等の酸性複合酸化物、例えば塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ等のルイス酸性を有する金属塩化物、例えばランタントリフロロメタンスルホナート錯体等のランタナイド金属のトリフロロメタンスルホナート錯体、例えばBF3 、HF・BF3 、(C252O・BF3 、(C253O・BF4 等のフッ化ホウ素化合物等があげられる。使用する触媒の量は通常用いるフェノールに対して0.01〜100重量%の範囲である。
【0021】
本発明の直鎖オクテンとフェノールとの反応においては、反応させる直鎖オクテンとフェノールとの比は特に限定されないが、通常はジアルキル化を抑制するためフェノール過剰の条件下に行われ、具体的には通常直鎖オクテン1モルに対しフェノール1.0〜50モルの比で反応させる。反応温度、反応時間は用いる触媒の種類や量によって異なるが反応温度は通常50〜180℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜30時間の範囲である。さらに反応は常圧で行うこともできるし加圧下に行うこともできる。反応は溶媒の存在下に行うこともできるが通常は過剰量のフェノールを溶媒とし、実質的に溶媒の非存在下に行われる。反応の実施方式に特に限定はなく回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも実施できる。反応終了後触媒を濾過、遠心分離、蒸留などの常用の方法により除いた後、蒸留やカラム精製等の通常の精製操作を行うことにより式(2)で表されるオクチルフェノールが得られる。
【0022】
本発明において直鎖オクテンとフェノールとの反応により得られるオクチルフェノールは式(2)(化25)
【化25】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
で表される。式(2)中のaおよびbは0〜5の整数であって且つaとbの和が5である。すなわち式(2)で表されるオクチルフェノールは直鎖オクチル基の2、3または4位にベンゼン環が置換した構造をとる。またオクチル基の結合位置は、水酸基(−OH基)に対しベンゼン環のオルト、メタ、パラ位の何れの位置であってもよいが、通常のフェノールのアルキル化反応条件ではオルトおよびパラ置換体が生成しメタ置換体は実質的に生成しない。直鎖オクテンとフェノールとの反応混合物中には通常これらのオクチルフェノールのオルト、メタ、パラ異性体および直鎖オクチル基の置換位置による異性体が存在するが、これらは単一物として取り出し次の反応に単独で用いることもできるし2種類以上の混合物として用いることもできる。
【0023】
本発明の一方の製造方法である製造方法(A)においては、式(2)で表されるオクチルフェノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応させる。炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとは、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブテンオキサイドがあげられる。これらのアルキレンオキサイドは単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物の混合物を用いてもよい。2種類以上の化合物の混合物を用いる場合は、複数のアルキレンオキサイドを同時に反応系内に存在させランダム状に付加させてもよいし、アルキレンオキサイドの種類毎に反応させブロック状に付加させてもよい。アルキレンオキサイドの付加モル数に特に制限はないが、通常式(2)で表されるオクチルフェノール1モルに対しアルキレンオキサイド1〜100モルの範囲である。
【0024】
製造方法(A)におけるアルコキシ化触媒とは、具体的には酸触媒、塩基触媒があげられる。酸触媒とはブレンステッド酸性またはルイス酸性を有する化合物でありより具体的には、直鎖オクテンとフェノールとの反応で使用できる酸触媒として列挙した化合物があげられる。また塩基触媒とはブレンステッド塩基性またはルイス塩基性を有する化合物でありより具体的には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、例えばナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルカリ金属アルコキシドまたはフェノキシド、例えば水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属水酸化物、例えばカルシウムメトキシド、カルシウムフェノキシド等のアルカリ土類金属アルコキシドまたはフェノキシド、例えば酸化マグネシウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物等があげられる。アルコキシ化触媒の使用量は、用いる触媒の種類や反応温度などにより異なるが、通常原料として用いるオクチルフェノールまたはその混合物に対して10〜5000重量ppmの範囲である。製造方法(A)においてはこのようなアルコキシ化触媒の中でも塩基触媒の使用が好ましく、アルカリ金属水酸化物の使用がより好ましい。
【0025】
製造方法(A)において、式(2)で表されるオクチルフェノールとアルキレンオキサイドとの反応における反応条件は用いるアルキレンオキサイドやアルコキシ化触媒の種類や量によって一様ではないが、反応温度は通常30〜230℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲である。また反応時間は通常、0.1〜30時間の範囲であり、好ましくは0.3〜20時間の範囲である。さらに反応圧力は通常ゲージ圧力0〜2MPaの範囲であり好ましくはゲージ圧力0.1〜0.7MPaの範囲である。反応の方式に特に限定はなく、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも実施できる。反応終了後、反応生成物に可溶性のアルコキシ化触媒は、可溶性の塩に中和してもよいし、不溶性の塩に中和し析出した塩を濾過により除いてもよい。場合によっては中和せずにそのままでオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物が得られる。また沸点の比較的低いアルコキシ化触媒は蒸留により除去することもできる。さらに反応生成物に不溶性のアルコキシ化触媒は通常濾過により除き,オクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物が得られる。
【0026】
製造方法(A)において式(2)で表されるオクチルフェノールとアルキレンオキサイドとの反応で得られるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物は式(3)(化26)
【化26】
Figure 0004201221
(式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
で表される。式(3)中のaおよびbは0〜5の整数であって且つaとbの和が5であり、直鎖オクチル基の2、3または4位にベンゼン環が置換した構造をとる。またオクチル基の結合位置は、アルコキシレート基(−O(CH2CHR1O)cH基)に対しベンゼン環のオルト、メタ、パラ位の何れの位置であってもよい。これらオクチルフェノキシ部分の構造は原料として用いた式(2)で表されるオクチルフェノールの構造に対応する構造を有する。さらにオキシアルキレン単位(−CH2CHR1O−単位)中のR1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、具体的にはオキシアルキレン単位はオキシエチレン単位(−CH2CH2O−単位)、オキシプロピレン単位(−CH2CH(CH3)O−単位)またはオキシブチレン単位(−CH2CH(CH2CH3)O−単位)である。
cは1以上の整数であるが、cが2以上の場合繰り返し単位中にはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位またはオキシブチレン単位のどれか一つのみを有していてもよいし2種類以上のオキシアルキレン単位を有していてもよい。2種類以上のオキシアルキレン単位を有する場合はランダム状に付加していてもブロック状に付加していてもよい。cの範囲に制限はないが通常は1〜100の範囲である。
【0027】
製造方法(A)において、式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを水素化触媒の存在下に反応させるが、水素化触媒とはオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物の芳香族環を水素により水素化しシクロヘキサン環にする能力を有する触媒であればどのような触媒であってもよい。このような水素化触媒としては具体的にはルテニウム、ロジウムおよびパラジウムの担持型触媒やこれらの金属の錯体触媒、ラネーニッケル、ラネーコバルトなどがあげられる。ルテニウム、ロジウムおよびパラジウムの担持型触媒とは具体的には、例えばルテニウムカーボン、ロジウムカーボン、パラジウムカーボン等のこれらの金属のカーボン担持触媒、例えばルテニウムアルミナ、ロジウムアルミナ等のこれらの金属のアルミナ担持触媒、例えばパラジウムシリカアルミナ等のこれらの金属のシリカアルミナ担持触媒、例えばパラジウムゼオライト等これらの金属のゼオライト担持触媒、例えばパラジウム硫酸バリウム等のこれらの金属の硫酸バリウム担持触媒、例えばルテニウムチタニア等のこれらの金属のチタニア担持触媒があげられる。金属の担持量は特に制限はないが、通常は0.01〜20重量%の範囲である。これらの触媒は粉末状であっても破砕状であってもよいし、またペレット状や球状に成型されていてもよい。またルテニウム、ロジウムおよびパラジウムの錯体触媒とは具体的には、例えば塩化ルテニウム、臭化パラジウムなどのこれらの金属のハロゲン化物、例えば酢酸パラジウム、プロピオン酸ロジウムなどのこれらの金属のカルボン酸塩、例えばパラジウムアセチルアセトナト、ルテニウムアセチルアセトナトなどのこれらの金属のアセチルアセトナト錯体などがあげられる。これらの触媒のうち触媒活性および選択性に優れる点から、ルテニウムまたはロジウムのカーボンまたはアルミナ担持触媒またはラネーニッケルが好ましい。
【0028】
製造方法(A)において、式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを反応させる場合、溶媒の非存在下に実施することもできるし、また溶媒の存在下に実施することもできる。用いる場合の溶媒としては、式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物および生成物を溶解または分散させることができ、それ自体が水素添加されないものであればどのようなものでもよく、具体的には例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、グリセリン等のアルコール化合物、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン等の直鎖状飽和炭化水素、例えば2−メチルブタン、2−メチルヘキサン、2−メチルペンタン、2−メチルヘプタン、3−メチルペンタン、3−エチルペンタン、3−メチルヘキサン、3−エチルヘキサン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルプロパン、2,2−ジメチルヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,2−ジメチルヘキサン、3−メチル−3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン等の分岐状飽和炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビシクロヘキサン、p−メンタン等の環状飽和炭化水素等の飽和脂肪族炭化水素化合物、例えばジクロロメタン、四塩化炭素、塩化ブチル、臭化プロピル、4−クロロシクロヘキサノール等のハロゲン化炭化水素化合物、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル化合物、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン等のケトン化合物、例えばギ酸メチル、酢酸エチル、炭酸エチレン等のエステル化合物、ニトロメタン、アセトニトリル等の窒素化合物等が挙げらる。これらの溶媒は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよい。これらの溶媒のうち、反応性および選択性の点から飽和脂肪族炭化水素化合物が好ましく、特に環状飽和炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は特に制限はないが、通常原料として用いる式(3)で表されるアルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物の濃度が5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%となる範囲で使用する。
【0029】
製造方法(A)において、式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを溶媒を用いて反応させる場合、溶媒の種類により、反応速度が遅く、好ましい反応収率が得られない場合がある。特に、エタノール等のアルコール溶媒を用いた場合、長い反応時間を要し、生産性に劣る場合がある。このような場合、水の存在下に反応を行うと選択性を損なうことなく反応速度がより向上するので好ましい。用いる場合の水は原料として用いる式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物、触媒および溶媒にあらかじめ溶解、分散または含浸させておいてもよいし、これらの原料等と別々に反応系内に仕込んでもよい。水の使用量は特に制限はないが通常原料として用いる式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物に対して0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは1〜40重量%の範囲である。
【0030】
本発明の方法の式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素との反応における水素圧力は通常ゲージ圧力0〜20MPaの範囲であり好ましくはゲージ圧力0.5〜15MPaの範囲である。反応温度は通常30〜200℃の範囲であり好ましくは50〜150℃の範囲である。反応は、例えばアルコールなどの溶媒の存在下に行うこともできるし無溶媒下に行うこともできる。
【0031】
本発明の製造方法(A)における水素化反応の実施方式は特に限定されるものではなく回分式、半回分式および連続流通式のいずれの方式でも実施できる。回分式、半回分式により反応を行う場合、触媒の使用量は特に限定はないが通常原料として用いる式(3)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物に対して0.5〜50重量%の範囲であり、また反応時間は通常0.5〜50時間の範囲である。連続流通式で反応を行う場合は、反応条件は用いる触媒の種類などにより異なるが通常液時空間速度(LHSV)が0.01〜50hr-1の範囲である。反応終了後、触媒を通常の固液分離の方法により分離することにより、目的とする式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物またはその混合物が得られる。溶媒を用いた場合は、触媒と反応液を分離後、溶媒を留去し目的の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物が得られる。
【0032】
本発明のもう一方の製造方法である製造方法(B)においては、まず、直鎖オクテンとフェノールを酸触媒存在下に反応して得られた式(2)で表されるオクチルフェノールと水素とを水素化触媒の存在下に反応させる。水素化触媒としては具体的には、製造方法(A)で用いることのできる水素化触媒として列挙した触媒をあげることができる。これらの触媒のうち触媒活性および選択性に優れる点から、ルテニウムまたはロジウムのカーボンまたはアルミナ担持触媒またはラネーニッケルが好ましい。
【0033】
製造方法(B)において式(2)で表されるオクチルフェノールと水素とを反応させる場合、溶媒の非存在下に実施することもできるし、また溶媒の存在下に実施することもできる。用いる場合の溶媒としては、前記した製造方法(A)で用いられる溶媒が用いられる。これらの溶媒は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよい。これらの溶媒のうち、反応性および選択性の点から飽和脂肪族炭化水素化合物が好ましく、特に環状飽和炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は特に制限はないが、通常原料として用いる式(3)で表されるアルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物の濃度が5〜80重量%、好ましくは20〜60重量%となる範囲で使用する。
【0034】
製造方法(B)においても、式(2)で表されるオクチルフェノールと水素とを溶媒を用いて反応させる場合、溶媒の種類により、反応速度が遅く、好ましい反応収率が得られない場合がある。特に、エタノール等のアルコール溶媒を用いた場合、長い反応時間を要し、生産性に劣る場合がある。このような場合、水の存在下に反応を行うと選択性を損なうことなく反応速度がより向上するので好ましい。用いる場合の水は原料として用いる式(2)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物、触媒および溶媒にあらかじめ溶解、分散または含浸させておいてもよいし、これらの原料等と別々に反応系内に仕込んでもよい。水の使用量は特に制限はないが通常原料として用いる式(2)で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物に対して0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは1〜40重量%の範囲である。
【0035】
製造方法(B)において式(2)で表されるオクチルフェノールと水素との反応における水素圧力は通常ゲージ圧力0〜20MPaの範囲であり好ましくはゲージ圧力0.5〜15MPaの範囲である。反応温度は通常30〜200℃の範囲であり好ましくは50〜150℃の範囲である。反応は、例えばアルコールなどの溶媒の存在下に行うこともできるし無溶媒下に行うこともできる。
【0036】
水素化反応の実施方式は特に限定されるものではなく回分式、半回分式および連続流通式のいずれの方式でも実施できる。回分式、半回分式により反応を行う場合、触媒の使用量は特に限定はないが通常原料として用いる式(2)で表されるオクチルフェノールに対して0.5〜50重量%の範囲であり、また反応時間は通常0.5〜50時間の範囲である。連続流通式で反応を行う場合は、反応条件は用いる触媒の種類などにより異なるが通常液時空間速度(LHSV)が0.01〜50hr-1の範囲である。反応終了後、触媒を通常の固液分離の方法により分離することにより、目的とするオクチルシクロヘキサノールが得られる。溶媒を用いた場合は、触媒と反応液を分離後、溶媒を留去し目的のオクチルシクロヘキサノールが得られる。
【0037】
製造方法(B)において式(2)で表されるオクチルフェノールの水素化反応で得られるオクチルシクロヘキサノールは式(4)(化27)
【化27】
Figure 0004201221
(式中、aおよびbは前記の意味を表す)
で表される。式(4)中のaおよびbは0〜5の整数であって且つaとbの和が5であり、直鎖オクチル基の2、3または4位にシクロヘキサン環が置換した構造をとる。またオクチル基の結合位置は、水酸基(−OH基)に対しシクロヘキサン環の2、3、4位の何れの位置であってもよい。さらにオクチル基と水酸基との間にシス、トランスの構造異性体が存在するがそのどちらでもよい。これらの構造は原料として用いた式(2)で表されるオクチルフェノールの構造に対応する構造となる。
【0038】
製造方法(B)においては式(4)で表されるオクチルシクロヘキサノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応する。炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとは、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブテンオキサイドがあげられる。これらのアルキレンオキサイドは単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物を用いてもよい。2種類以上の化合物を用いる場合は、複数のアルキレンオキサイドを同時に反応系内に存在させランダム状に付加させてもよいし、アルキレンオキサイドの種類毎に反応させブロック状に付加させてもよい。アルキレンオキサイドの付加モル数に特に制限はないが通常式(4)で表されるオクチルシクロヘキサノール1モルに対しアルキレンオキサイド1〜100モルの範囲である。
【0039】
製造方法(B)におけるアルコキシ化触媒とは、具体的には製造方法(A)のアルコキシ触媒として列挙した酸触媒、塩基触媒があげられる。アルコキシ化触媒の使用量は、用いる触媒の種類や反応温度などにより異なるが、通常原料として用いるオクチルフェノールまたはその混合物に対して10〜5000重量ppmの範囲である。このようなアルコキシ化触媒の中でも製造方法(B)においては酸触媒の使用が好ましく、ルイス酸性を有する金属塩化物およびフッ化ホウ素化合物の使用がより好ましい。
【0040】
製造方法(B)において、式(4)で表されるオクチルシクロヘキサノールとアルキレンオキサイドとの反応における反応条件は,用いるアルキレンオキサイドやアルコキシ化触媒の種類や量により一様ではないが、反応温度は通常30〜230℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲である。また反応時間は通常、0.1〜30時間の範囲であり、好ましくは0.3〜20時間の範囲である。さらに反応圧力は通常ゲージ圧力0〜2MPaの範囲であり好ましくはゲージ圧力0.1〜0.7MPaの範囲である。反応の方式に特に限定はなく、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも実施できる。反応終了後、反応生成物に可溶性のアルコキシ化触媒は、可溶性の塩に中和してもよいし、不溶性の塩に中和し析出した塩を濾過により除いてもよい。場合によっては中和せずにそのままで式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物が得られる。また沸点が比較的低いアルコキシ化触媒は蒸留により除去することもできる。さらに反応生成物に不溶性のアルコキシ化触媒は通常濾過により除き式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物が得られる。
【0041】
本発明の製造方法においては製造方法(A)または(B)で得られた式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物を更に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと塩基触媒の存在下に反応させ、よりアルキレンオキサイド付加数の高いオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物を得ることができる。例えば、製造方法(A)または(B)により、オクチルシクロヘキサノールのアルキレンオキサイド1モル付加物を製造し、蒸留等によりフェノール性化合物を除去し、ついで、更に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと塩基触媒の存在下に反応させ、高純度のよりアルキレンオキサイド付加数の高いオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物を得ることができる。
【0042】
使用できる炭素数2〜4のアルキレンオキサイドおよび塩基触媒は,製造方法(A)または(B)で列挙された炭素数2〜4のアルキレンオキサイドおよび塩基触媒をあげることができる。また反応条件も通常は製造方法(A)または(B)でアルキレンオキサイド付加反応において通常実施される反応条件として示した条件の範囲内で実施される。
【0043】
本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物は非イオン系界面活性剤として優れた性能と高い生分解性を有しており界面活性剤として使用できる。界面活性剤とは異相間の界面で異常な界面吸着を行って界面張力を低下せしめ、界面活性を呈する化合物のことであり、その特徴を活かして様々な使用方法が知られている。界面活性剤としての使用方法は、その洗浄剤、乳化剤、分散剤、浸透剤としての性質を応用しているものが大部分であるが、より詳しい使用例としては、例えば「界面活性剤の性質と応用」(刈米孝夫著、幸書房、昭和55年発行)によれば、例えば精練洗浄剤、繊維の紡糸、紡績および加工用油剤、編立油剤、製織油剤、繊維製品柔軟剤、染色助剤等の繊維工業用途、例えばDP用脱樹脂分散剤、蒸解助剤、製紙用ピッチ分散剤、消泡剤、脱墨剤、フェルト洗浄剤、加工紙用薬剤等の紙パルプ工業用途、例えば乳化重合用乳化剤、帯電防止剤、防曇剤等の合成ゴム、合成樹脂工業用途、例えば農薬の乳化剤、可溶化剤、展着剤、水和剤、分散剤、滑剤等の農薬工業用途、例えば金属洗浄剤、金属防錆剤等の金属工業用途、例えば衣料用洗剤、台所用洗剤、住居用洗剤等の家庭用洗剤類などをあげることができる。本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物はこれらの界面活性剤用途への使用に好適であり、特にこれらの用途のうち、洗浄剤、乳化剤としての性質を応用した使用に優れている。
【0044】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
(オクチルフェノールの合成)
窒素導入管、温度計、冷却管、滴下ロートおよび撹拌器を備えた500ml五ッ口フラスコにフェノール200.0g(2.13mol)と減圧乾燥し脱水したH型陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15)20.0gを仕込んだ。系内を窒素置換した後100℃に昇温し、この温度を保ちながら1−オクテン119.2g(1.06mol)を滴下ロートから1.5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに同温度で2時間反応させた。50℃に冷却後、濾過によりH型陽イオン交換樹脂を除き、得られた反応混合物を減圧蒸留し5mmHgで132℃の留分を無色液体として147.3g得た。この無色液体の 1H−NMR、13C−NMR、GC−MS(EI法)、GC−IR測定した結果、表1(表1)に示した6種類のオクチルフェノールの混合物であることが解った。オクチルフェノールの1−オクテン基準のモル収率は67.3%であった。
【0045】
【表1】
Figure 0004201221
(注)表中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、
Peはn-ペンチル基、Hexはn-ヘキシル基を表す。
【0046】
(オクチルフェノールエチレンオキサイド付加物の合成)
エチレンオキサイド導入管を備えた500mlオートクレーブに、上記方法で得られたオクチルフェノール103.2g(0.50mol)および40%水酸化ナトリウム水溶液0.27g(水酸化ナトリウム2.7mmol)を仕込んだ。系内を窒素置換した後120℃に昇温し、次いで系内を50mmHgの減圧にし1時間減圧脱水した。減圧脱水終了後、系内を窒素により常圧に戻し、150℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド110.2g(2.50mol)をゲージ圧力0.2〜0.4MPaの加圧下で4時間かけて反応系内に送入しオクチルフェノールのエトキシ化反応を行った。エチレンオキサイド送入終了後、さらに同温度で1時間熟成を行い、冷却後酢酸0.17g(2.8mmol)で中和してオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物213.4gを得た。得られたオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物の、オクチルフェノールに対するエチレンオキサイドの平均の付加モル数(以下、単にエチレンオキサイド付加モル数と略称する)は5.0である。
【0047】
(オクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の合成)
次いで1000mlオートクレーブに得られたエチレンオキサイド付加モル数5.0のオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物200g(468.8mmol(オクチルフェノキシ骨格のモル数))、粉末状の5重量%ルテニウムカーボン含水品40.0g(含水率50重量%)、エタノール300gを仕込んだ。系内を窒素置換、次いで水素置換した後60℃に昇温した。水素圧力をゲージ圧力7.0MPaに調整し、同圧力を保つよう水素を連続的に供給しながら10時間同温度で核水素化反応を行った。反応終了後、冷却し触媒を濾過した後、溶媒であるエタノールを留去して無色液体を得た。 1H−NMRおよび13C−NMRを測定したところ芳香環は殆どが水素化されシクロヘキサン環に変化していること、オクチル基の構造には変化がないことが解った。また質量分析を測定した結果、オクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物に対応する親ピークが得られた。これらの測定結果および元素分析、赤外スペクトル分析の結果から、この液体はオクチルシクロヘキサノールに対するエチレンオキサイドの平均の付加モル数(以下、単にエチレンオキサイド付加モル数と略称する)が5.0の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物であった。
【0048】
反応中に消費された水素の量は1.415molであり仕込んだオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物に対し3.02モル倍であった。また液体クロマトグラフィーによりオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物中に残存するオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物を定量したところ、その量は420重量ppmであった。さらに水素化分解反応により生成するオクチルシクロヘキサンをガスクロマトグラフィーにより定量したところその量は210重量ppmであった。
【0049】
実施例2
実施例1のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の合成工程において、溶媒のエタノールを用いず、触媒の粉末状の5重量%ルテニウムカーボン含水品40.0g(含水率50重量%)のかわりに、粉末状の5重量%ルテニウムカーボン乾燥品20.0gを用いた以外は実施例1と同様にして式(1)で表されるエチレンオキサイド付加モル数が5.0の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物を無色液体として得た。
反応中に消費された水素の量は1.411molであり仕込んだオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物に対し3.01モル倍であった。また液体クロマトグラフィーによりオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物中に残存するオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物を定量したところ、その量は120重量ppmであった。さらに水素化分解反応により生成するオクチルシクロヘキサンをガスクロマトグラフィーにより定量したところその量は150重量ppmであった。
【0050】
実施例3
実施例1のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の合成工程において、溶媒のエタノールをシクロヘキサンに、触媒の粉末状の5重量%ルテニウムカーボン含水品40.0g(含水率50重量%)のかわりに、粉末状の5重量%ルテニウムカーボン乾燥品20.0gを用いた以外は実施例1と同様にして式(1)で表されるエチレンオキサイド付加モル数が5.0の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物を無色液体として得た。
反応中に消費された水素の量は1.415molであり仕込んだオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物に対し3.02モル倍であった。また液体クロマトグラフィーによりオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物中に残存するオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物を定量したところ、その量は60重量ppmであった。さらに水素化分解反応により生成するオクチルシクロヘキサンをガスクロマトグラフィーにより定量したところその量は90重量ppmであった。
【0051】
実施例4
実施例1において、オクチルフェノールエチレンオキサイド付加物の合成の際に用いるエチレンオキサイドの量を220.4g(5.00mol)に、40%水酸化ナトリウムの量を0.40g(水酸化ナトリウム0.40mmol)に、中和の際に用いる酢酸の量を0.25g(0.42mmol)に変えた以外は、全て実施例1と同様にして式(1)で表されるエチレンオキサイド付加モル数が10.0のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物を無色液体として得た。
【0052】
実施例5
実施例1において、オクチルフェノールエチレンオキサイド付加物の合成の際に用いるエチレンオキサイドの量を330.5g(7.50mol)に、40%水酸化ナトリウムの量を0.54g(水酸化ナトリウム0.54mmol)に、中和の際に用いる酢酸の量を0.34g(0.57mmol)に変えた以外は、全て実施例1と同様にして式(1)で表されるエチレンオキサイド付加モル数が15.0のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物を白色ワックス状固体として得た。
【0053】
実施例6(基本性能測定)
実施例1〜3で得られたオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の表面張力、起泡性、泡の安定度、流動点、曇点、動粘度を測定しその結果を表2(表2、表3)にまとめた。比較のために従来から非イオン系界面活性剤として知られているノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(ノニル基は分岐構造の混合物)の測定値も併記した。測定方法は以下の方法に従った。
1)表面張力:JIS(日本工業規格)K−3362「合成洗剤試験方法」の表面張力測定法の滴容法に従い、界面活性剤濃度0.1重量%水溶液について25℃で測定した。
2)起泡性、泡の安定度:JIS K−3362「合成洗剤試験方法」の起泡力と泡の安定度測定法に従い、界面活性剤濃度0.1重量%水溶液について25℃で測定した。
3)流動点:JIS K−2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品の曇り点試験方法」の流動点測定法に従い測定した。
4)曇点:JIS K−2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品の曇り点試験方法」の曇点測定法に従い、界面活性剤濃度1重量%水溶液について測定した。
5)動粘度:ウベローデ粘度計を用いて25℃における動粘度を測定した。
【0054】
【表2】
Figure 0004201221
【0055】
【表3】
Figure 0004201221
【0056】
表2の結果から明らかなように、本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物は表面張力の低下能が高い、消泡性が高い、流動点が低い、動粘度が低い等の界面活性剤として優れた性能を有することが解る。
【0057】
実施例7(洗浄力測定)
実施例2で得られたエチレンオキサイド付加モル数10.0のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の洗浄力を測定し、その結果を表3(表4)にまとめた。比較のために従来から知られているエチレンオキサイド付加モル数10.0のノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(ノニル基は分岐構造の混合物)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(直鎖型)の測定値も併記した。測定方法は以下の通りである。
人工汚こうとして関東ローム層の粘土39.8g、カーボンブラック0.5g、ミリスチン酸6.6g、オレイン酸6.6g、トリステアレン6.6g、トリオレイン6.6g、コレステロールステアレート0.9g、パラフィン(融点48〜50℃)4.4g、スクアレン4.4g、コレステロール3.5g、クロロホルム4kgを用い、この組成の汚こうをホモミキサーで激しく撹拌して充分分散させた汚染浴に連続自動汚染機(東洋精機製作所製)によって標準綿布を浸漬した。この汚染布を2週間自然乾燥した後、10cm四方に切断して人工汚染布を作成した。
洗浄力試験機はTerg−O−Tometer(上島製作所製)を用いた。各界面活性剤の0.01重量%水溶液1リットル中(使用水は純水に塩化カルシウムを炭酸カルシウム換算で50ppm加え硬度調整した)に汚染布4枚を入れ、10℃で10分間洗浄した。洗浄終了後すすぎ(純水1リットルで3分間)を2回行った。試験布を風乾後アイロン掛けし、測色色差計(日本電色工業社製)を用いて布の表面反射率を測定し、次式(数1)によって洗浄効率(D)を求めた。ここでRw、Rs、Roはそれぞれ洗浄布、汚染布、原白布の表面反射率である。
【0058】
【数1】
D(%)=(Rw−Rs)/(Ro−Rs)×100
【0059】
【表4】
Figure 0004201221
【0060】
表3の結果からも明らかなように、本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物は優れた洗浄力を有し洗浄剤として好適である。
【0061】
実施例8(乳化力測定)
実施例1〜3で得られたオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の乳化力を測定しその結果を表4(表5)にまとめた。比較のためにノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(ノニル基は分岐構造の混合物)の測定値も併記した。測定方法は以下の方法に従った。
界面活性剤濃度1.0重量%水溶液25ml(水に難溶の化合物についてはその化合物0.25gと水24.75g)と各油分(キシレン、綿実油、ケロシン)25mlを50ml共栓付メスシリンダーに入れ、20秒間に60回激しく振とうした後、25℃の恒温槽中で60分間静置しその時点の液層の全容積に対する乳化層の容積%を測定した。
【0062】
【表5】
Figure 0004201221
【0063】
表4の結果からも明らかなように本発明の式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物は優れた乳化力を有し、乳化剤として好適である。
【0064】
実施例9(生分解性測定)
実施例1で得られたエチレンオキサイド付加モル数5.0のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の生分解性を測定し、その結果を表5(表6)にまとめた。比較のためにエチレンオキサイド付加モル数5.0のノニルフェノールエチレンオキサイド付加物の測定値も併記した。測定方法はMITI法に定められた標準活性汚泥によるBOD法を採用し以下のように行った。
標準活性汚泥濃度30mg/lおよび被験物質濃度100mg/l相当を300mlの無機培養地に添加し28日間培養して、生物学的酸素消費量(BOD)を測定し、分解率を算出した。
【0065】
【表6】
Figure 0004201221
【0066】
表5の結果からも明らかなように、分岐構造の側鎖を有するノニルフェノールエチレンオキサイド付加物に比べ本発明のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物は生分解性に優れることが解る。
【0067】
実施例10
(オクチルフェノールの合成)
実施例1と同様に行った。
(オクチルフェノールプロピレンオキサイド付加物の合成)
実施例1においてエチレンオキサイドの代わりにプロピレンオキサイド58.1g(1.00mol)を用い、40%水酸化ナトリウムの代わりに25%水酸化カリウム0.32g(水酸化カリウム1.4mmol)を用いて、さらに中和時の酢酸の量を0.09g(1.5mmol)に変えた以外は全て実施例1と同様に反応、熟成、中和を行いプロピレンオキサイド付加モル数2.0のオクチルフェノールプロピレンオキサイド付加物を得た。
【0068】
(オクチルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物の合成)
実施例1においてオクチルフェノールエチレンオキサイド付加物の代わりに、上記の方法により得られたプロピレンオキサイド付加モル数2.0のオクチルフェノールプロピレンオキサイド付加物100g(310.1mmol(オクチルフェノキシ骨格のモル数))を用い粉末状の5重量%ルテニウムカーボン含水品(含水量50重量%)の使用量を20.0gに、エタノール使用量を150gに変えた以外は全て実施例1と同様に反応、濾過、脱溶媒を行い式(1)で表されるプロピレンオキサイド付加モル数2.0のオクチルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物100.7gを無色液体として得た。
【0069】
実施例11
エチレンオキサイド導入管を備えた500mlオートクレーブに、実施例8で得られたプロピレンオキサイド付加モル数2.0のオクチルシクロヘキサノールプロピレンオキサイド付加物80.0g(0.24mol(オクチルシクロヘキシル骨格のモル数))および40%水酸化ナトリウム水溶液0.23g(水酸化ナトリウム2.3mmol)を仕込んだ。系内を窒素置換した後120℃に昇温し、次いで系内を50mmHgの減圧にし1時間減圧脱水した。減圧脱水終了後、系内を窒素により常圧に戻し、150℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキサイド107.3g(2.44mol)をゲージ圧力0.2〜0.4MPaの加圧下で4時間かけて反応系内に送入しエトキシ化反応を行った。エチレンオキサイド送入終了後、さらに同温度で1時間熟成を行い、冷却後酢酸0.14g(2.3mmol)で中和して式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド付加物(プロピレンオキサイド付加モル数2.0、エチレンオキサイド付加モル数10.0のブロック共付加体)187.3gを無色液体として得た。
【0070】
実施例12
(オクチルフェノールの合成)
実施例1と同様に行った。
(オクチルシクロヘキサノールの合成)
1000mlオートクレーブに上記反応で得られたオクチルフェノール100g(1.06mol)、粉末状の5重量%ロジウムカーボン含水品(含水率50重量%)20.0g、エタノール200gを仕込んだ。系内を窒素置換、次いで水素置換した後60℃に昇温した。水素圧力をゲージ圧力6.0MPaに調整し、同圧力を保つよう水素を連続的に供給しながら8時間同温度で核水素化反応を行った。反応終了後、冷却し触媒を濾過した後、溶媒であるエタノールを留去して無色液体101.2gを得た。 1H−NMRおよび13C−NMRを測定したところ芳香環は殆どが水素化されシクロヘキサン環に変化していること、オクチル基の構造には変化がないことが解った。また質量分析を測定した結果、オクチルシクロヘキサノールに対応する親ピークが得られた。これらの測定結果および元素分析、赤外スペクトル分析の結果から、この液体は式(4)で表されるオクチルシクロヘキサノールであった。
反応中に消費された水素の量は3.19molであり仕込んだオクチルフェノールに対し3.01モル倍であった。また液体クロマトグラフィーによりオクチルシクロヘキサノール中に残存するオクチルフェノールを定量したところ、その量は350重量ppmであった。さらに水素化分解反応により生成するオクチルシクロヘキサンをガスクロマトグラフィーにより定量したところその量は160重量ppmであった。
【0071】
(オクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物の合成)
エチレンオキサイド導入管を備えた500mlオートクレーブに、上記方法で得られたオクチルシクロヘキサノール80.0g(0.80mol)および(C252O・BF 0.14g(0.99mmol)を仕込んだ。系内を窒素置換した後50℃に昇温し、この温度を保ちながらエチレンオキサイド105.7g(2.40mol)をゲージ圧力0.2〜0.4MPaの加圧下で3時間かけて反応系内に送入しオクチルシクロヘキサノールのエトキシ化反応を行った。エチレンオキサイド送入終了後、さらに同温度で1時間熟成を行い、冷却後10%水酸化ナトリウム水溶液0.40g(水酸化ナトリウム1.0mmol)で中和し、次いで水洗して式(1)で表されるエチレンオキサイド付加モル数3.0のオクチルシクロヘキサノールエチレンオキサイド付加物185.7gを無色液体として得た。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、非イオン系界面活性剤として好適でしかも生分解性にも優れた式(1)で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物を提供することができる。

Claims (6)

  1. 式(1)(化1)
    Figure 0004201221
    (式中、R は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物。
  2. 直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して、式(2)(化2)
    【化2】
    (式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
    Figure 0004201221
    で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応して、式(3)(化3)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物を得、次いで該オクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物と水素とを水素化触媒の存在下に反応することからなる、式(1)(化4)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 、a、bおよびcは前記の意味を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
  3. 直鎖オクテンとフェノールとを酸触媒の存在下に反応して、式(2)(化5)
    Figure 0004201221
    (式中、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5である)
    で表されるオクチルフェノールを得た後、該オクチルフェノールと水素とを水素化触媒の存在下に反応して、式(4)(化6)
    Figure 0004201221
    (式中、aおよびbは前記の意味を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールを得、次いで該オクチルシクロヘキサノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとをアルコキシ化触媒の存在下に反応することからなる式(1)(化7)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは前記の意味を表し、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
  4. 式(1)(化8)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の界面活性剤としての使用。
  5. 式(1)(化9)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の洗浄剤としての使用。
  6. 式(1)(化10)
    Figure 0004201221
    (式中、R1 は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aおよびbは0〜5の整数であって、且つ、aとbの和が5であり、cは1以上の整数を表す)
    で表されるオクチルシクロヘキサノールアルキレンオキサイド付加物の乳化剤としての使用。
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