JP3701445B2 - エーテル化合物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエーテル化合物の製造法に関する。さらに詳しくは、溶剤、化粧料、洗浄剤組成物、潤滑油、乳化剤等に広範囲に使用可能なエーテル化合物を簡便かつ安価に供給できるエーテル化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル化合物が溶剤として利用されている。しかし、これらより分子量の大きいもの、或いは非対称型のものは合成が困難なため、ほとんど利用されていないのが現状である。
一方、エーテル化合物は、現在汎用されているエステル系の油剤に比べ、べとつかず、しかも加水分解しにくいので、化粧料等に配合できる油剤としてその有用性が高まっている。
また、エーテル化合物は、潤滑油、乳化剤等への利用も可能である。
【0003】
上記のような理由からもエーテル化合物の利用に対する期待は高まっており、有用なエーテル化合物を、簡便かつ安価に製造できる製造法が望まれている。
【0004】
従来、エーテル化合物の合成法として、例えば、アルコラートとハロゲン化アルキルからの合成(ウィリアムソン合成法)、アルコールとジアルキル硫酸エステル化合物からの合成、アルコール間の脱水反応による合成、アルコールのオレフィンへの付加による合成等が知られている。しかしいずれの方法も多量の塩が生成したり、製造されるエーテルが限定される等の問題があり工業的には好ましくない。
【0005】
一方、本発明者らは高級アルコールとカルボニル化合物から水素雰囲気下、触媒の存在下にエーテルを合成する方法を見出し特許出願した(特願平8−138231号明細書参照)。この方法は高収率で特にアルコールの転化率は非常に高く優れた方法である。しかし、カルボニル化合物としてアルデヒド類を用いた場合、アルコールの転化率は高いものの副反応として原料アルデヒドのアルドール縮合物が生じる場合があり、アルデヒドの反応選択性は必ずしも高くなく、高純度のエーテルを得ようとする場合は、反応物からのアルドール縮合物の除去が必要となるなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記で述べたように、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類を、触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造する際に、簡便かつ安価にしかも高純度でエーテル化合物を得ることができるエーテル化合物の製造法が望まれていた。
従って、本発明の目的は、溶剤、化粧料、洗浄剤組成物、潤滑油、乳化剤等に有効に利用可能な高純度のエーテル化合物を、簡便かつ安価に供給することができる製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類を触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造するに際し、アルデヒド類の少なくとも一部を反応系に滴下して反応させることにより、反応の際に生じる副反応を抑え、一段階でしかも高収率で高純度のエーテル化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類とを、触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造するに際し、アルデヒド類の少なくとも一部を反応系に滴下しながら反応させることを特徴とするエーテル化合物の製造法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
本発明において、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類を反応させる際に、アルデヒド類の少なくとも一部を反応系に滴下しながら反応させるが、本発明において滴下するということは、アルデヒド類を少量ずつ一定速度で連続的に反応系に加える場合はもちろん、断続的に分割して反応系に加える場合も含まれる。滴下方法については特に限定されないが、アルデヒド類が反応系内に分割して加えられればよく、更にはポンプ等でアルデヒド類の滴下速度を制御して反応を行うことが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、アルデヒド類の少なくとも一部を反応系に滴下すればよく、残りのアルデヒド類はあらかじめ反応系内に仕込んでおいてもよいが、アルデヒド類全量の50重量%以上、特に80重量%以上を反応系に滴下することが好ましい。更に、反応させるアルデヒド類を原料アルコールや、不活性な溶媒と任意の割合で混合して反応系に滴下してもよい。
【0012】
本発明の方法において、アルデヒド類の滴下速度は反応のスケールに応じて適宜選べばよいが、例えば0.5 リットルのスケールでは、 0.1〜180 g/hrが好ましく、 0.6〜60g/hrが更に好ましい。
また本発明の方法において、アルデヒド類の滴下時間は、通常、反応スケールに応じ適宜選べばよいが、具体的には 0.5時間から20時間、好ましくは1時間から10時間で終了するように滴下速度を選ぶことが実用上望ましい。
【0013】
このようにアルデヒド類を滴下しながら反応を行う本発明の方法では、アルデヒド類の副反応が生じにくく、アルデヒド類の過剰量も減らせるという利点がある。
【0014】
本発明の反応に用いられるヒドロキシ化合物としては、一般式(1)
R1-(OA)n-OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基或いはアルケニル基、もしくは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。A は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、n個のA は同一でも異なっていてもよい。nは0〜500 の数を示す。)で表される化合物が挙げられる。
【0015】
一般式(1)で表される化合物の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、n−トリデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−エイコシルアルコール等の直鎖飽和アルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、2−ヘプチルウンデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、2−デシルテトラデシルアルコール、2−(1,3,3 −トリメチルブチル)−5,7,7 −トリメチルオクチルアルコール、
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、a, bは、 a+b=14であり、 a=b=7を頂点とする分布をもつ)
で表されるメチル分岐イソステアリルアルコール、2−テトラデシルオクタデシルアルコール等の飽和分岐アルコール、9−オクタデセニルアルコール、ファルネシルアルコール、アビエチルアルコール、オレイルアルコール等のアルケニルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエチレングリコールのモノエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のジエチレングリコールのモノエーテル類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノテトラドデシルエーテル等のトリエチレングリコールのモノエーテル類、1,4 −ブタンジオールモノヘキシルエーテル、2−メチル−1,3 −プロパンジオールモノオクチルエーテル、1,6 −ペンタンジオールモノヘキシルエーテル、2,2'−ジメチルプロパンジオールモノオクチルエーテル、3−メチル−1,5 −ペンタンジオールモノヘキシルエーテル等のアルキレングリコールのモノエーテル類、上記アルコールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド或いはブチレンオキサイド付加物、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0018】
これらのヒドロキシ化合物の中では、炭素数1〜22、特に6〜22の脂肪族アルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、イソプロピルカルビトール、ブチルカルビトール、又は炭素数1〜22、特に6〜22の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数 0.1〜100)、炭素数5〜8のシクロアルカノールが好ましく、更には炭素数6〜22の脂肪族アルコール、シクロヘキサノールが好ましい。これらのヒドロキシ化合物は1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0019】
本発明に用いられるアルデヒド類としては、一般式(2)
R2−CHO (2)
(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を示す。)
で表される化合物又はこれらの重合体が挙げられる。
【0020】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ヘキサデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、エイコデシルアルデヒド等の直鎖アルデヒド、2−メチルプロピルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、メチルヘプタデシルアルデヒド、3, 5, 5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の分岐アルデヒド等が挙げられ、一般式(2)で表される化合物の重合体としては、パラホルムアルデヒド、パラアルデヒド(アセトアルデヒドの3量体)、パラプロピルアルデヒド、パラブチルアルデヒド、パラオクチルアルデヒド、パラドデシルアルデヒド、パラヘキサデシルアルデヒド等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0021】
これらのアルデヒド類の中では、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−メチルプロピルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、3, 5, 5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の炭素数12以下のアルデヒドや、パラホルムアルデヒド、パラアルデヒド、パラプロピルアルデヒド、パラブチルアルデヒドが特に好ましい。
【0022】
本発明において、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類とを反応させる際の割合は、ヒドロキシ化合物/アルデヒド(モル比)=3/1〜1/3が好ましく、更に好ましくは 1.5/1〜1/1.5 である。
【0023】
ヒドロキシ化合物が低分子量で容易に除去できるものであれば、ヒドロキシ化合物を過剰に用いてアルデヒド類をすべて反応させるのが好ましい。また、ヒドロキシ化合物の分子量が大きく、更には常温等で固化するものであれば、アルデヒド類を過剰に用い、除去しにくいヒドロキシ化合物をすべて反応させるのが好ましい。また、アルデヒド類が常温で固体の場合は、固体のまま分割して加えてもよいが、反応に影響を与えない溶媒(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒)に予め溶解して用いるのが好ましい。ヒドロキシ化合物/アルデヒド類のモル比が上記範囲以外でも収率にはそれほど影響を与えないが、経済的ではない。
【0024】
本発明において、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類を反応させる際に用いる触媒としては、カーボン、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、ゼオライト等の担体に適度に担持されたパラジウム触媒、或いは水酸化パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物、カーボン、アルミナ等の担体に適度に担持されたルテニウム、ロジウム或いは白金触媒、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化白金等が挙げられる。また、ニッケル、イリジウム、オスミウム、レニウム等の触媒も用いることができる。これらの触媒の中で、好ましくは、パラジウム系触媒、更に好ましくはカーボン、アルミナ、シリカアルミナもしくはシリカに担持されたパラジウム触媒、水酸化パラジウム又は酸化パラジウムであり、特にカーボンに担持されたパラジウム触媒が好ましい。
【0025】
本発明において触媒は、通常カーボン、アルミナ等の担体に対して2〜10重量%の割合で担持して使用するが、担体に担持せずにそのまま使用しても構わない。また20〜60重量%程度の含水品であっても構わない。
【0026】
触媒は例えば担体に対して5重量%担持されたものであれば、使用するヒドロキシ化合物に対して 0.1〜10重量%使用するのが好ましい。 0.1重量%より少なくても反応は進行するが、反応は遅く好ましくない。また10重量%より多く用いても反応は速いが、逆に副反応も進行し好ましくない。更に好ましくは 0.5〜5重量%である。
【0027】
触媒はすべてのpH領域で使用できるが、好ましくはpH8以下の触媒がよい。ここでいう触媒のpHとは、イオン交換水30gに触媒粉末2gを分散させた時の水溶液のpHを言う。
【0028】
本発明においては、ヒドロキシ化合物とアルデヒド類を水素雰囲気中で反応させるが、水素圧は特に限定されず、1(大気圧)〜300 kg/cm2 が好ましく、1(大気圧)〜200 kg/cm2 が特に好ましい。また、大気圧下に水素を流通させるような、実質上水素分圧が1kg/cm2 以下の条件でも良い。
【0029】
本発明においては、反応により副生する水を除去しながら反応を行うことが好ましい。本発明において、反応により副生する水を除去するということは、反応系外に水を除去することはもちろん、反応系内において、脱水剤等により水を除去する場合も含まれる。具体的に水を除去する方法としては、脱水剤の存在下に反応を行うことにより水を除去する方法、共沸脱水等により水を留去する方法、水素等の気体を流通させながら水を除去する方法等が挙げられる。
【0030】
脱水剤の存在下に反応を行うことにより水を除去する方法において、用いられる脱水剤とは、液体の乾燥等に用いられるいわゆる乾燥剤も含んだ意味のものである。
本発明で用いられる好ましい脱水剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、塩化カルシウム等の無機塩類、好ましくはこれらの無水物、水酸化カルシウム等の水酸化物、酸化マグネシウム等の酸化物、モレキュラーシーブ等の結晶性ゼオライト、シリカゲル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらの脱水剤の中では、無機塩類の無水物、結晶性ゼオライトが好ましく、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム、モレキュラーシーブが、更には、無水硫酸マグネシウムが特に好ましい。
本発明において脱水剤の使用量は特に限定されないが、使用するヒドロキシ化合物に対して 0.1〜50モル%が好ましく、1〜30モル%が更に好ましい。
【0031】
また、反応により副生する水を留去することにより反応系外に除去する方法において、水を留去する方法としては、特に限定されないが、例えば、共沸脱水等の方法が挙げられる。また、この際、未反応原料と共に水を留去する方法が好ましい。尚、留去後、水と未反応原料は分離し、未反応原料は反応系内に戻すのが好ましい。
【0032】
また、水素等の気体を流通させながら、反応により副生する水を反応系外に除去する方法において、用いられる水素の流通量は、反応のスケールに応じて適宜選べばよいが、例えば 0.5リットルのスケールでは0.01〜30リットル/min が好ましく、0.01〜10リットル/min が更に好ましい。
【0033】
本発明においてヒドロキシ化合物とアルデヒド類を反応させる際の反応温度は特に限定されないが、10〜300 ℃が好ましく、30〜180 ℃が特に好ましい。反応時間は、反応温度、水素圧、触媒量等によって適宜選べば良いが、通常1〜24時間、好ましくは1〜12時間である。
【0034】
また、本発明の反応においては、場合によっては反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒を用いて反応を行ってもよい。反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
反応に全く悪影響を及ぼさない溶媒を用いる場合の溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応液に対して 0.5〜2倍容量が好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、例中の%は特記しない限り重量基準である。
【0036】
実施例1
下記式で表されるポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドデシルエーテルの製造
CH3-(CH2)11-O-(CH2-CH2-O)9.3-(CH2)7-CH3
水素ガス導入管、攪拌装置及び脱水還流装置を備えた 500mlの反応容器にポリオキシエチレン(EOp=9.3) モノドデシルエーテル 139.2g(0.24モル)、触媒として5%Pd−C(pH6.6) 5.5gを仕込み、大気圧下、水素を0.3 リットル/min で連続的に流通しながらオクチルアルデヒド45.4g(0.36モル)を6.5g/hrの速度で滴下しながら 150℃で8時間攪拌を行った。
【0037】
反応終了後、濾過により触媒を除き、減圧にて過剰のオクチルアルデヒドを留去し、目的のポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドデシルエーテル 164.5g(0.24モル)を無色透明な液体として得た。ポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドデシルエーテルのエーテル化率は99%、また、オクチルアルデヒドのアルドール縮合物はエーテルに対して1%以下であった(HPLC分析値)。
【0038】
実施例2
下記式で表されるジブチルエーテルの製造
CH3(CH2)3-O-(CH2)3CH3
水素ガス導入管及び攪拌装置を備えた 500mlのオートクレーブにブチルアルコール 112.7g(1.5 モル)、触媒として5%Pd−C(pH6.6)7.9 gを仕込み、水素圧5kg/cm2 下、ブチルアルデヒド 151.4g(2.1 モル)を20g/hrの速度で滴下しながら 100℃で9時間攪拌を行った。
【0039】
反応終了後、濾過により触媒を除き減圧にて過剰のブチルアルデヒドを留去し、目的のジブチルエーテル 156.3g(1.2 モル)を無色透明な液体として得た。ジブチルエーテルのエーテル化率は80%、アルドール縮合物はエーテルに対して1%以下(HPLC分析)であった。
【0040】
実施例3〜12
表1及び表2に示すヒドロキシ化合物とアルデヒド類とを表1及び表2に示す触媒の存在下、表1及び表2に示す反応条件以外は実施例1と同様にして反応させた。得られた生成物およびそのエーテル化率、アルドール縮合物含量(%対エーテル, HPLC分析)を、実施例1及び2の結果とともに表1及び表2に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
注)表1及び表2中、EOp はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、POp はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0044】
比較例1
下記式で表されるポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドデシルエーテルの製造
CH3-(CH2)11-O-(CH2-CH2-O)9.3-(CH2)7-CH3
水素ガス導入管、攪拌装置及び脱水還流装置を備えた 500mlの反応容器にポリオキシエチレン(EOp=9.3) モノドデシルエーテル 106g(0.18モル) 、オクチルアルデヒド92g(0.72モル)、触媒として5%Pd−C(pH6.6) 6.0gを仕込み、大気圧下、水素を0.3 リットル/min で連続的に流通しながら 150℃で9時間攪拌を行った。
【0045】
反応終了後、濾過により触媒を除き、減圧にて過剰のアルデヒドを留去した。目的のポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドデシルエーテル 111.9g(0.16モル)を無色透明な液体として得た。ポリオキシエチレン(EOp=9.3) オクチルドテシルエーテルのエーテル化率は90%、アルドール縮合物はエーテルに対して13%(HPLC分析)であった。
【0046】
比較例2
下記式で表されるジブチルエーテルの製造
CH3-(CH2)3-O-(CH2)3-CH3
水素ガス導入管及び攪拌装置を備えた 500mlのオートクレーブにブチルアルコール41.3g(0.55モル)、ブチルアルデヒド 158.6g(2.2 モル)、触媒として5%Pd−C(pH6.6) 6.0gを仕込み、水素圧5kg/cm2 下、 100℃で7時間攪拌を行った。
【0047】
反応終了後、濾過により触媒を除き、減圧にて過剰のアルデヒドを留去し、目的のジブチルエーテル65.2g(0.5 モル)を無色透明な液体として得た。ジブチルエーテルのエーテル化率は91%、アルドール縮合物はエーテルに対して23%(HPLC分析)であった。
【0048】
比較例3〜10
表3及び表4に示すヒドロキシ化合物とアルデヒド類とを、表3及び表4に示す触媒の存在下、表3及び表4に示す反応条件以外は比較例1と同様にして反応させた。得られた生成物およびそのエーテル化率、アルドール縮合物含量(%対エーテル, HPLC分析)を、比較例1及び2の結果とともに表3及び表4に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
注)表3及び表4中、EOp はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、POp はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
Claims (7)
- ヒドロキシ化合物とアルデヒド類とを、触媒を用いて水素雰囲気中で反応させてエーテル化合物を製造するに際し、アルデヒド類の少なくとも一部を反応系に滴下しながら反応させることを特徴とするエーテル化合物の製造法。
- アルデヒド類全量の50重量%以上を 0.5〜20時間で連続的及び/又は断続的に反応系に滴下することを特徴とする請求項1記載の製造法。
- ヒドロキシ化合物が、一般式(1)
R1-(OA)n-OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基或いはアルケニル基、もしくは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。A は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、n 個のA は同一でも異なっていてもよい。n は0〜500 の数を示す。)
で表される化合物である請求項1又は2記載の製造法。 - アルデヒド類が、一般式(2)
R2−CHO (2)
(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を示す。)
で表される化合物又はこれらの重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。 - アルデヒド類が、炭素数12以下のアルデヒド、パラホルムアルデヒド、パラアルデヒド、パラプロピルアルデヒド及びパラブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の製造法。
- 触媒がカーボン、アルミナ、シリカアルミナもしくはシリカに担持されたパラジウム触媒、水酸化パラジウム又は酸化パラジウムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造法。
- 反応により副生する水を除去しながら反応を行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造法。
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