JP4500076B2 - 高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法に関する。詳しくは、フェノール含有量の少ないフェノール・酸化エチレン付加体を、無溶媒、塩基性触媒の存在下で効率的に製造する方法に関する。フェノール・酸化エチレン付加体のうち、1対1付加体は、フェノキシエタノールあるいはグリコールフェノールエーテルと呼称されることもあるが、本発明では上記の通り、フェノール・酸化エチレン付加体と呼称する。
フェノール・酸化エチレン付加体は、化粧品の防腐剤、医農薬、洗浄剤、香料及びUV硬化剤の中間体の原料として、また、酢酸ビニル系ポリマーエマルジョンの造膜温度調整剤として広く用いられている。従来の製造方法としては、アルカリ金属水酸化物(特許文献1参照)、イオン交換樹脂(特許文献2参照)といった塩基性触媒の存在下で、フェノールを酸化エチレン(エチレンオキシド)と反応させて、得られた反応液を乳酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸といった有機酸、または硫酸、塩酸、燐酸といった無機酸で中和し、製品としている。求められる製品の品質に応じて、脱塩及び/又は精留といった操作を施し、製品のフェノール・酸化エチレン付加体の純度を高めている。
近年、ユーザーの安全への意識向上から、より低フェノール含有量の製品が求められている。単に製品中のフェノール含有量を低下させることだけを目的とするのであれば、フェノールに対する酸化エチレンの付加反応モル比を上げて付加反応の後、精留すれば良いが、2−(2−フェノキシエトキシ)エタノールのようなフェノールに酸化エチレンが複数モル付加反応した高モル付加体が多く生成し、製品が蒸留精製を必要としない場合には製品の機能低下の問題を、一方、蒸留精製する必要がある場合には蒸留時に製品の歩留まり低下、ボトム量の増加といった問題を引き起こす。
従来技術の問題点を解決するために、フェノールと酸化エチレンとの反応において、触媒の変更、溶媒の選定により、フェノールへの酸化エチレン付加モル分布を狭くしようとする検討がなされている。
例えば、フェノールのグリコールエーテルの工業的製造方法として、水相中で少量の水溶性中性アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下、20〜130℃の温度及び10気圧以下の圧力下で攪拌しつつフェノールとアルキレンオキシドを反応させる方法(特許文献3参照)が開示されている。
この反応では、溶媒の水とアルキレンオキシドとが反応して(ポリ)アルキレングリコールを副生する等、アルキレンオキシドを浪費し、バッチ当りの製品収量が低下するため好ましくない。また、アルキレンオキシド付加反応後に水層、油層の分離操作が必要であり、さらにフェノールへ2モル以上のアルキレンオキシドが付加した水溶性が高いポリアルキレングリコールモノフェニルエーテルが副生するため、COD負荷の高い排水を処理する必要があるといった問題がある。
また、フェノール類とアルキレンオキサイドとの反応をエーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素及びニトロ芳香族化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機溶媒で、3級アミン、3級アルシン及び3級スチビンからなる群から選ばれた何れかの触媒の存在下に反応させることを特徴とする方法(特許文献4参照)が開示されている。
この方法では、有機溶媒を用いるため、バッチ当りの製品収量の低下、溶媒の回収、リサイクルといった問題がある。また、アミン触媒を用いると反応液が着臭し、反応液を蒸留精製する場合でも、その臭気は製品に残り、その様な臭気が残った製品は、特に、香料分野、化粧品分野では使用できない。さらに、ヒ素化合物、アンチモン化合物を触媒に用いることは、製品を香料分野、化粧品分野等、人と接触する用途で使用する場合には好ましくない。
また、該反応の触媒として、各種ホスホニウム塩を用いることが開示されている(特許文献5〜8参照)。
ホスホニウム塩触媒を用いると反応液の色相は良好で、フェノール・酸化エチレン付加体の純度は高いが、反応液にホスホニウム化合物が分解した臭気がある。その臭気は精留しても製品に残り、その様な臭気が残った製品は、特に、香料分野、化粧品分野では使用できない。
また、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属硼水素化物を用いる、芳香品質のエチレングリコールモノアリールエーテルの製造方法(特許文献9〜10参照)が開示されている。
この方法では得られる反応液は色相、臭気共に優れているが、フェノール含有量が数百ppmと多いため、フェノール含有量を100ppm以下にするためには、フェノールを除去する工程が必要になる。さらに製品を蒸留精製する必要がある場合には、前記フェノール除去工程を実施しないと、蒸留精製時にフェノール除去の負荷が高く、また製品の収率が低くなるといった問題があった。
東独国特許第282448号明細書 米国特許第2852566号明細書 特公昭39−30272号公報 特公昭50−17976号公報 西独国特許第2609475号明細書 英国特許第1485598号明細書 加国特許第1091690号明細書 米国特許第4302574号明細書 西独国特許第3312684号明細書 米国特許第4533759号明細書
本発明者らは、上記のような従来の技術の状況に鑑み、塩基性触媒の変更を伴わず、溶媒を使用せず、かつ特別な精製工程を伴わない、高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法を提供すべく、鋭意検討を重ねた。
その結果、反応原料の供給方法及び温度制御について特定の方法を選択することにより、蒸留精製など特別な負荷を伴うことなく簡単な操作でフェノール含有量を大幅に低減できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、無溶媒、塩基性触媒の存在下でフェノールと酸化エチレンとを反応させて、フェノール・酸化エチレン付加体を製造する方法において、フェノール1モルに対して1〜10モルの酸化エチレンを、反応混合物中の酸化エチレン濃度が常時0.05%以上となるように維持しながら、反応温度130〜180℃で供給し、酸化エチレンの供給量が所要量の70%を超え100%未満の時点で、前記反応温度よりも15℃以上低い温度にまで冷却しつつ残余の酸化エチレンを供給し、更に同一温度条件下又は0〜15℃冷却した温度条件下、酸化エチレンを供給することなく、熟成することを特徴とする高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法に存する。
また、本発明は上記の方法で製造されたフェノール含有量が30ppm以下の高純度フェノール・酸化エチレン付加体にも存する。
塩基性触媒の変更を伴わず、溶媒を使用せず、かつ蒸留精製など特別な負荷を伴うことなく簡単な温度制御操作で、フェノール含有量が50ppm以下、特に30ppm以下の高純度フェノール・酸化エチレン付加体を製造することができる。
1.酸化エチレン付加反応工程
反応器に原料のフェノール及び塩基性触媒を仕込み、反応器内の雰囲気を窒素、ヘリウム等の不活性ガスで置換し、130〜180℃、好ましくは155〜175℃に加熱し、同温度範囲で酸化エチレンをフェノール(仕込量)に対しモル比で1〜10、好ましくは1.0〜3.0に達するまで供給し、付加反応させる。通常、フェノールは反応に先立ち、反応器内に所定量の全量が一括して仕込まれる。
反応器内の雰囲気を不活性ガスに置換する操作は、反応液の着色防止と安全性確保のために行うものである。この操作は温度40〜70℃の範囲内で行うことが好ましい。40℃よりも低いとフェノールが凝固する恐れがあり、逆に、70℃を超えると、反応液が着色し、また反応液からアルカリ焼けにより異臭がする恐れもある。
塩基性触媒としては、強アルカリが好適であり、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましいが、他の弱アルカリ、例えば水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウムもまた使用することができる。反応性、工業的入手の容易さ等から、特に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
塩基性触媒の使用量(仕込量)は、フェノール(仕込量)に対して0.01〜1.0重量%であり、好ましくは0.05〜0.5重量%である。1.0重量%より多くても、反応速度の上昇は飽和しており、熟成後の反応液中のフェノール含有量は変わらず、中和に使用する酸成分が多くなるだけ、経済的に不利である。逆に、0.01重量%より少ないと、反応速度が低下し、反応に長時間がかかる。塩基性触媒は、通常、必要量の全量を一括して反応器に仕込むが、複数回に分割してもよく、反応後半に酸性物質を加えて部分的に中和することもできる。
この酸化エチレン付加反応工程での反応温度は130〜180℃であり、好ましくは155〜175℃、更に好ましくは160〜170℃である。反応温度が130℃よりも低いと、反応が遅く、反応に長時間を要する。逆に180℃よりも高いと、無触媒反応(フェノールの自触媒作用)が進行し、フェノールが多く残存し、また副生物の生成量が増加する。本発明の付加反応は大きな発熱を伴うので、反応温度の制御は冷却手段や酸化エチレンの供給速度などを考慮して、上記130〜180℃の間から適宜に選択される。
本発明における反応は前段反応と後段反応の二つに分割できる。好ましくは150〜180℃で行われる前段反応と、それより15℃以上低い、好ましくはそれより20〜40℃低い、130〜150℃で行われる後段反応に分割して実施される。付加反応の後期において、目的生成物の熱分解によりフェノール含有量が増加する傾向にあるので、該分解を抑えるために反応温度を下げるものである。前段反応は、150〜180℃の間で通常一定温度で実施するが、温度制御のバラツキを含めて考慮すると0〜10℃程度、連続的又は不連続に上下させてもよい。しかしながら生成物のプロセス・品質管理を容易にするうえでは、反応を一定温度で行う態様は好ましい。
この反応工程で酸化エチレンは、連続的又は間欠的に供給することができるが、一定の供給速度で連続的に供給する方法は好ましい。酸化エチレンの供給量は、フェノール(仕込量)に対するモル比で、1〜10であり、好ましくは1〜6であり、最も好ましくは1.0〜3.0である。このモル比は目的とする付加体の構造(付加モル数)に応じて適宜に選択される。反応器としては、通常撹拌槽が用いられる。
酸化エチレンの供給速度は、反応のサイズによって異なるが、例えば容量1リットルの反応器を用いて反応を行う場合、100〜200g/時程度である。
反応時間(酸化エチレンを供給する時間)は、反応温度、触媒量、酸化エチレンの供給速度などにも左右されるが、通常、前段反応は30分〜3時間、後段反応は冷却所要時間を含めて20分〜2時間程度である。
フェノールと酸化エチレンとの付加反応速度は十分に大きく、上記のような触媒の存在下、130〜180℃で反応を実施する場合、供給した酸化エチレンは速やかに消費される。従って、反応混合物中の酸化エチレン濃度は通常ゼロに近く、例えば、0.01%以下である。
本発明において最も大きな特徴とするところは、反応混合物中の酸化エチレン濃度を付加反応の開始から終了までの間、常時0.05%以上に保持することにある。従来公知の方法においては反応混合物中の酸化エチレン濃度について詳しくは着目されておらず、本発明者らの知る限り、酸化エチレンによる反応圧力がかからない条件下での反応において、酸化エチレン濃度は通常ゼロに近く、多くとも0.01%程度と推測される。反応混合物中の酸化エチレン濃度を常時0.05%以上に保持する方法としては、反応温度、触媒量、酸化エチレンの供給速度などが挙げられる。例えば、一定圧力の加圧状態に保ちながら反応を行うと制御が容易である。要するに、酸化エチレンが完全消費されるような過大な反応速度の雰囲気は好ましくない。
130〜180℃の高温の温度帯域において、酸化エチレン濃度が0.05%を下回ると一旦生成した付加体が分解(逆反応)したり副反応を起こしてフェノール濃度が増加する。一方、酸化エチレン濃度が大きすぎる状態で後段反応に移行すると、後段反応及び熟成(反応の押し切り)に長時間を要するので生産性が落ちる。従って、反応混合物中の酸化エチレン濃度は、好ましくは0.06〜1%となるように調節される。
本発明においてもう一つの大きな特徴は、付加反応の後段に特定範囲で反応温度を下げることである。ここでいう後段反応とは、酸化エチレンの供給量が所要量の70%を超え100%未満の状態になった時点をいう。好ましくは酸化エチレンの供給量が所要量の80〜90%となった時点で冷却を開始することである。冷却速度は反応器の大きさにも左右されるが、1℃/分以上、好ましくは2℃/分以上の急速冷却が好ましい。冷却の温度幅は15℃以上、好ましくは20〜40℃である。この冷却により反応速度は低下するが、反応器には酸化エチレンの供給量が所定値になるまで、引き続いて酸化エチレンが供給され、フェノール・酸化エチレンの付加反応が継続する。反応温度が低下したことにより、付加体の分解が抑制され、結果としてフェノール含有量の増加を抑える効果がある。
2.熟成工程
本発明において熟成とは、所定量の酸化エチレンの供給を終えた後、酸化エチレンを供給することなく、反応混合物をそのまま加熱状態に保持することをいう。好ましくは緩やかな撹拌下に保持されるが、撹拌は不可欠ではない。熟成中の温度は、後段反応と同温度、又は更に0〜15℃低い温度条件下、通常10分〜300分、好ましくは20分〜2時間行われる。熟成中酸化エチレンは供給されないが、反応混合物中に存在する未反応の酸化エチレンがフェノールと反応する押しきりが行われ、所定の組成を有する付加体が得られる。この熟成中にも付加体の分解によりフェノールが増加するおそれがあるので、上記の温度条件下で実施することが肝要である。結果として、付加体中のフェノール含有量が30ppm以下、好ましくは20ppm以下、酸化エチレン濃度として、好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下に調整することができる。
3.中和工程
本発明の中和工程は、反応混合物中に残存する塩基性触媒を無害化するために行われる。中和剤としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸を使用することができる。これらの酸の中では、酢酸又は硫酸が好ましい。また、吸着剤により塩基性触媒等を除去することもできる。例えば、キョーワード−600及びキョーワード−700(協和化学工業社製)のようなアルカリ吸着剤で処理して、処理液を濾過、遠心分離等の固液分離操作を施すこともできる。さらに塩基性触媒に対して過剰量の硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸で中和し、キョーワード−500(協和化学工業社製)のような酸吸着剤で処理して、処理液に濾過、遠心分離等の固液分離操作を施してもよい。
この中和工程の温度は、通常50〜100℃であり、好ましくは50〜70℃である。50℃より低くても大きな問題はないが、あまり低くしすぎると冷却に要する時間が長くなり、反応液の粘度が増加し、中和に要する時間が延びる傾向にある。逆に100℃を超えると、仕込み作業上危険である。
以下に本発明を実施例により詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における部及び%は重量基準で示す。
なお、化学分析は下記の方法に従った。
(1)フェノール濃度
JIS K 0400−28−10:1999に準拠して行った。
(2)酸化エチレン濃度
島津製作所社製 GC−14Aを使用してガスクロマトグラフィー分析により求めた。
測定条件の一例を以下に示す。
カラム: ガラス製、長さ1.6m×内径3.2mm
充填剤: Silicone OV−1 10%
担体: Uniport HP 60/80
カラム温度: 145℃(4分間保持)から220℃(5℃/分の昇温)
窒素流量: 50mL/分
(3)水酸基価
ピリジン溶媒中、微沸下で所定量のサンプルを過剰の無水酢酸と反応させ、生成する酢酸と残存する酢酸を自動滴定装置(京都電子工業社製、AT−420)を使用し、N/2の水酸化カリウム水溶液で滴定する。ブランクとの差より水酸基価を計算し、mgKOH/gの単位で表示した。
[実施例1]
フェノール470g(5モル)、触媒として水酸化カリウム0.32g(0.006モル)を撹拌機及び冷却手段を有する容量1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素置換を行った。その後、60分かけて135℃まで加熱し、その温度で酸化エチレンの供給を開始した。酸化エチレンは連続的に定量供給した。
反応中、圧力はゲージ圧力0.34MPa以下、温度は反応熱を利用して165℃まで昇温させた。同温度を保つよう必要に応じて冷却しつつ反応させた。酸化エチレン総反応量330g(7.5モル)の内、286g(6.5モル)を100分かけて導入した。その時点で、酸化エチレンの供給は継続したまま、オートクレーブの冷却を開始し、反応温度を145℃に制御しつつ、残り44g(1モル)を導入した。165℃から145℃の冷却に要した時間は10分であった。
酸化エチレンの導入終了後、更に温度145℃で60分間熟成した。酸化エチレンの導入終了時点で反応物の一部をサンプリングして分析したところ、フェノール濃度は3ppm、酸化エチレン濃度は1.5%であった。その後、温度110℃まで冷却し、酢酸0.38g(0.006モル)を仕込み、温度110℃を30分間保持し、中和を行った。最終的に室温まで冷却し、目的物としてフェノール・酸化エチレン付加体800g(5モル)を得た。
このフェノール・酸化エチレン付加体のフェノール濃度は5ppm、酸化エチレン濃度は0.04%、水酸基価は350であった。図1に、原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示した。前段の反応温度よりも20℃低い後段反応及び熟成により、フェノール濃度を殆ど増加させることなく、酸化エチレン濃度を1/37に低減することができた。酸化エチレン濃度を可及的ゼロに近づけることは、反応生成物である付加体の組成を目標値に合わせるために極めて重要である。結果を表1にまとめた。
[実施例2]
フェノール329g(3.5モル)、触媒として水酸化カリウム0.65g(0.012モル)を撹拌機及び冷却手段を有する容量1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素置換を行った。その後、90分かけて150℃まで加熱し、その温度で酸化エチレンの供給を開始した。酸化エチレンは連続的に定量供給した。
反応中、圧力はゲージ圧力0.34MPa以下、温度は反応熱を利用して165℃まで昇温させた。同温度を保つよう必要に応じて冷却しつつ反応させた。酸化エチレン総反応量463g(10.5モル)の内、389g(8.8モル)を120分かけて導入した。その時点で、酸化エチレンの供給は継続したまま、オートクレーブの冷却を開始し、反応温度を145℃に制御しつつ、残り74g(1.7モル)を導入した。165℃から145℃の冷却に要した時間は10分であった。
酸化エチレンの導入終了後、更に温度145℃で30分間熟成した。酸化エチレンの導入終了時点で反応物の一部をサンプリングして分析したところ、フェノール濃度は3ppm、酸化エチレン濃度は1.5%であった。その後、温度110℃まで冷却し、酢酸0.72g(0.012モル)を仕込み、温度110℃を30分間保持し、中和を行った。最終的に室温まで冷却し、目的物としてフェノール酸化エチレン付加体790g(3.5モル)を得た。
このフェノール・酸化エチレン付加体のフェノール濃度は6ppm、酸化エチレン濃度は0.07%、水酸基価は250であった。図2に、原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示した。後段反応においてフェノールは殆ど生成しておらず、また熟成中、フェノール濃度を増加させることなく酸化エチレン濃度を1/21に低減することができた。
[比較例1]
フェノール470g(5モル)、触媒として水酸化カリウム0.32g(0.006モル)を撹拌機及び冷却手段を有する容量1リットルのオートクレーブに仕込み、窒素置換を行った。その後、60分かけて135℃まで加熱し、その温度で酸化エチレンの供給を開始した。酸化エチレンは連続的に定量供給した。
反応中、圧力はゲージ圧力0.34MPa以下、温度は反応熱を利用して165℃まで昇温させた。同温度を保つよう必要に応じて冷却しつつ反応させた。酸化エチレン330g(7.5モル)を115分かけて導入した。
酸化エチレンの導入終了後、冷却することなく165℃のまま60分間保持した。その後、温度60〜70℃まで冷却し、酢酸0.38g(0.006モル)を仕込み、その温度で30分間保持し、中和を行った。最終的に室温まで冷却し、目的物としてフェノール・酸化エチレン付加体800g(5モル)を得た。なお、酸化エチレンの導入終了時点における、反応混合物中の酸化エチレン濃度は1.9%であった。
このフェノール・酸化エチレン付加体のフェノール濃度は54ppm、酸化エチレン濃度は0.005%、水酸基価は351であった。図3に、原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示した。付加反応を165℃の一定温度で行い、かつ酸化エチレンの供給終了後の熟成を同温度で実施したものである。酸化エチレン濃度は十分低いものの、フェノール濃度は54ppmと大きくなった。
化粧品の防腐剤、医農薬、洗浄剤、香料、UV硬化剤の原料、酢酸ビニル系ポリマーエマルジョンの造膜温度調整剤などとして有用なフェノール・酸化エチレン付加体の製造方法を提供する。
Figure 0004500076
原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示すグラフである(実施例1)。 原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示すグラフである(実施例2)。 原料の仕込み時から反応生成物の室温冷却までの温度変化及び酸化エチレンの積算供給率(%)を示すグラフである(比較例1)。
符号の説明
実線は反応温度(℃)を、破線は酸化エチレンの積算供給率(%)を示す。黒丸は酸化エチレンの供給開始時点を、白抜き丸は酸化エチレンの供給終了時点を示す。

Claims (13)

  1. 無溶媒、塩基性触媒の存在下でフェノールと酸化エチレンとを反応させて、フェノール・酸化エチレン付加体を製造する方法において、フェノール1モルに対して1〜10モルの酸化エチレンを、反応混合物中の酸化エチレン濃度が常時0.05%以上となるように維持しながら、反応温度130〜180℃で供給し、酸化エチレンの供給量が所要量の70%を超え100%未満の時点で、前記反応温度よりも15℃以上低い温度にまで冷却しつつ残余の酸化エチレンを供給し、更に該残余の酸化エチレンを供給した後段反応と同温度又は該残余の酸化エチレンを供給した後段反応温度より0〜15℃冷却した温度条件下、酸化エチレンを供給することなく、熟成することを特徴とする高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  2. 反応温度が155〜175℃であることを特徴とする請求項1に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  3. 熟成温度が100〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  4. 酸化エチレンの供給量が所要量の80〜100%未満の範囲で冷却を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  5. 冷却速度が2℃/分以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  6. 反応混合物中の酸化エチレン濃度が常時0.06〜1%となるように維持することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  7. 反応温度から20〜40℃低い温度に冷却することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  8. フェノール1モルに対して1.0〜3.0モルの酸化エチレンを供給することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  9. 酸化エチレンの供給を連続的又は間欠的に実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  10. 酸化エチレンを連続・一定の供給速度で供給することを特徴とする請求項9に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  11. 熟成時間が10〜300分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  12. 熟成終了後、熟成温度又は熟成温度よりも冷却された50〜100℃の温度下、酸成分を添加して残存する塩基性触媒を中和することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。
  13. 酸成分が硫酸又は酢酸であることを特徴とする請求項12に記載の高純度フェノール・酸化エチレン付加体の製造方法。

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