JP4197749B2 - トラカール外套管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体腔内に刺入し、体腔内への挿入器具の挿入路を形成する管状のトラカール外套管に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、外科手術等においても内視鏡が広く用いられるようになってきている。腹腔鏡下での胆嚢摘出術等はその代表例である。腹腔鏡下外科手術においての操作は、まず炭酸ガスなどの気腹ガスを腹腔に送気してその腹腔を気腹し、次に内針を装填したトラカール外套管を腹腔内に穿刺し、その後に内針を抜去することで、トラカール外套管内に腹腔鏡や処置具等の挿入器具を腹腔内に導入するための案内路を形成する。
【0003】
この種のトラカール外套管はその内部に腹腔内から体外に気腹ガスが漏出しないように気密を保つためのバルブが設けられている。このバルブはトラカール外套管内の案内路を気密に保つという機能上、閉塞部材、その支持部材や付勢部材等の多くの構成部品が必要であり、その結果としてバルブ周辺の構造が複雑になるという問題がある。そのため、術後にトラカール外套管を洗浄する際にその内部の洗浄が面倒であるという問題が生じる。
【0004】
また、他の先行例としてUSP第5,224,952号明細書のものがある。この先行例にはトラカール外套管に付勢部材で付勢される閉塞部材を有する弁を設けたものであるが、この弁の部材はトラカール外套管の本体から着脱することができない。また、閉塞部材を付勢するために別の付勢部材を必要としている。さらに、この閉塞用弁の部材はトラカール外套管の本体側に着脱できないように取り付けられているために、それらの部材とそれらの周辺の洗浄が非常に難しく、またそれらの部材の組立性も悪い。
【0005】
これら先行例の問題を解決するために特開平6−292678号公報に記載されているような弁構造のものが知られている。この公報で知られる弁構造は、弾性材からなる閉塞部材が気腹圧により付勢されて気密を確保する方式のものである。また、閉塞部材はトラカール外套管に対し着脱自在に設けられている。
なお、腹腔鏡や処置具をトラカール外套管内に挿入したときに気密を保つためのキャップがトラカール外套管基端部に設けられることも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のトラカール外套管にあっては気腹圧により閉塞部材を付勢してトラカール外套管内の気密を確保しようとするが、気腹圧のみで完全に気密を保つ程の付勢力が得られず、従って、チャンバーの当接部分に閉塞部材を確実に当接させることが困難であることや、その閉塞部材の弾性部分にクセがついて閉塞部材がチャンバー全体に当接しなくなることにより確実な閉塞が困難になる。
【0007】
一方、閉塞部材を付勢するためにばね等による付勢部材を閉塞部材と一体に設けるとすると、前述した通りにトラカール外套管の内部構造が複雑になり、特に術後の洗浄作業が面倒になる。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところはトラカール外套管の内部の洗浄を容易かつ確実に行えて、かつ気密性の高いトラカール外套管を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、体腔内に刺入され、体腔内への挿入器具の挿入路を形成する管状の套管を備えたトラカール外套管本体と、前記挿入器具の挿入路を開閉する弁部を有した閉塞部材と、前記閉塞部材の弁部により閉塞される開口を有し、前記弁部が接触する前記開口の開口縁は前記挿入器具の挿入方向に対して斜めに傾斜しており、前記開口は前記弁部により閉塞されることで体腔内外の気密を確保可能に構成されたチャンバーと、前記閉塞部材に設けられ、前記チャンバーに対して前記閉塞部材を着脱自在に装着させるための着脱部と、前記閉塞部材に前記着脱部と弁部の間に位置して設けられ、前記着脱部を前記チャンバーに装着した場合に前記開口縁よりも前記トラカール外套管本体の基端側に位置するとともに前記開口縁に前記弁部を接触させるところまで屈曲させられる第1屈曲状態と、前記挿入器具を挿入することにより前記弁部を押圧した場合に前記第1屈曲状態よりも大きく屈曲させられる第2屈曲状態とを呈し、両屈曲状態での屈曲による弾性復元力によって前記弁部を前記開口縁に向けて付勢するヒンジ部と、を具備したことを特徴とするトラカール外套管である。
【0010】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
図1から図2を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1および図2に示すように、この第1実施形態に係るトラカール外套管10の本体は基端側本体11と先端側本体12からなり、全体として体腔内への挿入器具の挿入路を形成するように構成されている。
【0011】
そして、基端側本体11と先端側本体12はその基端側本体11に設けられたピン11aと先端側本体12に設けられたカム溝12aにより、いわゆるバヨネット式に着脱自在に連結されるものである。基端側本体11と先端側本体12にはその装着完了位置を示す目印11d,12dが設けられている。さらに基端側本体11と先端側本体12の連結部付近にはパッキン13が介設されており、そのパッキン13により連結した両者の連結部を気密状態にシールする。
【0012】
基端側本体11にはチャンバー11bが設けられており、さらに、チャンバー11bにはシリコンゴム等からなる閉塞弁14が装着されている。前記閉塞弁14はその一端にチャンバー11bの溝部11cに対してスライド式に嵌め込む着脱部14aが設けられている。溝部11cは図6において紙面に垂直な方向へ直線的に形成されている。溝部11cに着脱部14aを嵌め込むことにより閉塞弁14はチャンバー11bに着脱自在に取り付けられている。
【0013】
前記閉塞弁14は前記溝部11cに嵌め込むための着脱部14aと、この着脱部14aにヒンジ部14bを介して一体に連接される円板状の弁部14cとからなる。そして、閉塞弁14はヒンジ部14bが図1で示す実線の状態に屈曲された状態で、チャンバー11bの溝部11cに嵌め込まれて装着される。このため、閉塞弁14の弁部14cはヒンジ部14bの弾性復元力によりチャンバー11bの開口縁11dに向けて付勢され、その開口縁11dに押し当たり、これによりチャンバー11bの開口を閉塞した状態にシールする。
【0014】
なお、前記閉塞弁14の着脱部14aについてはチャンバー11bの溝部11cに着脱する際の摺動性を良くするため、金属や硬質のプラスチックにより形成することが望ましい。
【0015】
また、前記基端側本体11には開口フランジ11eが設けられており、この開口フランジ11eには図2で示すように挿入口15aを有する弾性体からなるキャップ15が被着されている。このキャップ15はそれ自身の弾性により着脱自在に嵌め込まれる。
【0016】
一方、前記開口フランジ11eに挿入され、前記挿入口15aにより緊縛される外径部16aを有する挿入具16と、この挿入具16の基端側に被着され、前記キャップ15の挿入口15aより細径の挿入口17aを有する小口キャップ17からなるリデューサ18が用意されている。
【0017】
また前記挿入具16の先端部には外径部16aより細径のガイド部16bが形成されている。そして、リデューサ18は基端側本体11の開口フランジ11e付近にストラップ19を介して接続される。ストラップ19はシリコンゴム等の弾性材からなり、基端側本体11とリデューサ18の双方に対して着脱自在に設けられている。
【0018】
先端側本体12の太径の手元操作部部分にはトラカール外套管10を腹腔内に穿刺/抜去する際にしっかり把持するためのグリップ20が設けられている。先端側本体12の先端側部分には腹腔内に刺入される挿入部用套管21が連接されている。
【0019】
(作用)
トラカール外套管10の本体は、前述したように基端側本体11と先端側本体12からなり、その基端側本体11と先端側本体12はバヨネット式に着脱自在に連結されているため、トラカール外套管10の組立/分解をワンタッチにでき、例えばねじ式の連結方式に比べると、ねじ谷等がないことから術後の洗浄性も良い。
【0020】
また閉塞弁14は、チャンバー11bに装着されているときにはそのヒンジ部14bが屈曲しているので、閉塞弁14自身の弾性復元力により弁部14cは常にチャンバー11bの開口縁11dに向けて付勢されている。そのため、前述の先行技術(特開平6−292678号公報)のものにおいてのトラカール外套管よりも高い気密性を得ることができる。さらに、閉塞弁14は単純な板状の弁であるので、その成型等が極めて容易であり、低コストで製造することができる。
【0021】
さらにリデューサ18が用意されたことにより、普段、使用する挿入器具よりも細径の挿入器具を用いるときでも気腹ガスの漏出を防ぐことができる。リデューサ18の挿入具16にはガイド部16bが設けられていることから基端側本体11へのリデューサ18の挿入はスムースに行うことができる。
【0022】
また、ストラップ19は基端側本体11とリデューサ18の双方に対して着脱自在に設けられているので、リデューサ18を必要としないときにはリデューサ18を取り外して使用することが可能であり、リデューサ18やストラップ19が破損したときはそれらの部品だけを交換することができる。なお、分解可能であるため、術後の洗浄性が良いことはもとよりである。
【0023】
さらにグリップ20が先端側本体12に設けられたことによりトラカール外套管10の把持性が向上し、よってトラカール外套管10の操作性が向上することからトラカール外套管10をより安全に腹腔内に刺入することができる。
【0024】
(効果)
前記閉塞弁14のヒンジ部14bをチャンバー11bに屈曲させた状態で装着することにより、付勢部材によらなくても高い気密性が得られるとともに、構造がシンプルであることにより使用後の分解・洗浄が容易である。しかも、リデューサ18をトラカール外套管10に対して着脱自在に設けたことにより使用上便利で、かつ洗浄性の良いトラカール外套管を提供することができる。
【0025】
<第2実施形態>
図3から図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
(構成)
図3に示すように、この第2実施形態に係るトラカール外套管31の本体は主に基端側本体32と先端側本体33とからなり、全体として体腔内への挿入器具の挿入路を形成するように構成されている。
【0026】
基端側本体32と先端側本体33はその基端側本体32の先端部分に設けられた雄ねじ32aと先端側本体33の基端部分に設けられた雌ねじ33aにより連結されており、また着脱できるようになっている。また基端側本体32と先端側本体3の連結部付近にはパッキン34が介設されており、パッキン34はその両者の連結部分を気密状態にシールするものである。
なお、基端側本体32と先端側本体33の連結部はトラカール外套管31の太径の手元操作部31aにおいて形成されている。
【0027】
前記基端側本体32の基端には開口フランジ32bが設けられており、この開口フランジ32bには、挿入口35aを有する弾性体からなるキャップ35がその弾性を利用して被着されている。また、基端側本体32内には先端側の縁36aが斜めに形成されているチャンバー36と、このチャンバー36を取り囲むように嵌合しそのチャンバー36に対して着脱自在に装着される閉塞部材37と、この閉塞部材37を取り囲むように嵌合しその閉塞部材37に対して着脱自在に装着される付勢部材38が備えられている。
【0028】
前記閉塞部材37は前記チャンバー36を締め付けて嵌合する固定壁37aと、前記チャンバー36の先端に形成された縁36aに対してその全周に渡り当接する閉塞弁37bと、当該閉塞弁37bと前記縁36aが当接する位置に設けられ薄肉の突出壁状に形成されたシール部37cと、当閉塞弁37bが開閉する際の支点となるヒンジ部37dにより構成される。固定壁37aの内面には凸部37eが設けられており、この凸部37eが前記チャンバー36の外周面に設けられた凹溝36bに嵌まり込んで係合することによって固定壁37aはチャンバー36に対して位置決め固定される。
なお、これらの固定壁37a、閉塞弁37b、シール部37c、ヒンジ部37dはシリコンゴム等の弾性材により一体に形成されている。
【0029】
前記付勢部材38は前記固定壁37aを締め付けて嵌合するばね支持部材38aと、前記閉塞弁37bを縁36aに向けて付勢するように前記ばね支持部材38aに固定されているばね38bにより構成される。付勢部材38においての、ばね支持部材38aとばね38bは一体にして設けても良い。
【0030】
先端側本体33の先端側部分は腹腔内に刺入される挿入部用套管39からなり、これに図4で示すように差し込まれた挿入器具42を腹腔内に案内するようになっている。套管39の先端部付近には気腹ガスを送通するための送気孔39aが設けられており、さらに套管39の先端部には先端チップ40が設けられている。先端チップ40の先端は斜めに形成されているが、その先端チップ40の開口部40aの縁は非エッジに形成されている。そのために先端チップ40の肉厚は套管39より厚く設けられており、その肉厚の分だけ、内径寸法は先端チップ40の方が套管39より小さい。
【0031】
また、前記先端側本体33の手元部分の側面部分には送気口金41が設けられている。この送気口金41には図示しない送気チューブが接続され、その送気チューブを介して図示しない気腹器から気腹ガスが腹腔内に供給するようになっている。
【0032】
(作用)
図3は挿入器具42が挿入されていないときのトラカール外套管31の状態を示す。
このとき、閉塞弁37bに設けられている薄肉の凸壁状のシール部37cは、チャンバー36の先端に形成された縁36aに対してその全周に渡って当接している。さらに、閉塞弁37bは、ばね38bにより付勢されることにより前記シール部37cが弾性変形を起こして前記縁36aに密着することにより完全にシールする。これによりキャップ35側部分と挿入先端側部分を気密的に遮断するから送気口金41から送気された気腹ガスの漏れを防止する。従って、挿入器具42を挿入しないときは気腹ガスが体外へ漏出することがなく、腹腔を気腹した状態に保つことができる。
【0033】
一方、図4はトラカール外套管31に例えばトラカール内針や内視鏡または処置具等の挿入器具42を挿入したときの状態を示すものである。
このように挿入器具42をトラカール外套管31内に挿入すると、挿入器具42はヒンジ部37dの弾性及びばね38bの弾性による付勢力に抗して閉塞弁37bを押す。すると、閉塞弁37bはヒンジ部37dを支点にして折り曲がるので、挿入器具42は閉塞弁37bを傷つけることなくトラカール外套管31内に挿入できる。
【0034】
なお、トラカール外套管31の各本体32,33内には閉塞弁37bとばね38bが可動できるだけのスペースが設けられているので、挿入器具42を挿入する際、キャップ35の挿入口35aにおける開口周縁が挿入器具42の外周面に接し、そのまま緊縛するので、この部分から気腹ガスが腹腔外に漏出するのを防ぐ。従って、挿入器具42を挿入して閉塞部材37で気密を保てなくても、キャップ35により気腹ガスを体外に漏出することなく、腹腔を気腹状態に保つことができる。
【0035】
前述の通り、前記先端チップ40の内径は套管39の内径より小さく設けられているため、先端チップ40の内径と略同じ外径の挿入器具42を挿入した場合は、両者間のクリアランスが小さいために気腹ガスを十分に腹腔内に供給できなくなる虞があるが、この実施形態の場合には送気口金41から送気された気腹ガスは挿入器具42の外周と套管39の内周との間を通って、套管39の先端付近に設けられた送気孔39aから腹腔内に流れ、気腹ガスの供給を確保する。
【0036】
また、先端チップ40の開口部40aの縁は非エッジに形成されているので、例えば挿入器具42として例えば挿入部に湾曲部を有する内視鏡を用いる場合、誤って内視鏡の湾曲部を曲げたままトラカール外套管31から抜去しようとしても先端チップ40が湾曲部を覆うゴムなどの可撓部材を傷付ける心配がない。
【0037】
術後にトラカール外套管31を洗浄するときはまず基端側本体32と先端側本体33を雄ねじ32aと雌ねじ33aを境に分解し、パッキン34を取り外す。次に、基端側本体32から付勢部材38を取り外し、続いて閉塞部材37を取り外す(図5を参照)。
このとき、図5に示すように、付勢部材38はばね支持部材38aをつまみ、閉塞部材37は固定壁37aをつまむことで、それらの部材を容易に取り外すことができる。最後に基端側本体32からキャップ35を取り外す。以上のようにトラカール外套管31は各構成部品を分解することができるので、各構成部品とも隅々まで完全に洗浄することができ、洗浄が容易であるとともに、洗浄不良にともなう感染症の発生を防ぐことができる。
【0038】
(効果)
この実施形態によれば、閉塞部材37をチヤンバー36に向けて付勢するように着脱自在に保持したことにより、トラカール外套管31の内部の洗浄を容易かつ完全に行え、しかも気密性の高いトラカール外套管31を提供することができる。
【0039】
<第3実施形態>
図6から図7を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
(構成)
この第3実施形態は前述した第2実施形態と共通する構成があるので異なる構成のみ説明し、同一の構成には同じ符号を付してその説明は省略する。
【0040】
図6に示すように、閉塞部材37は固定壁37a、閉塞弁37b、シール部37c、ばね素材からなるヒンジ部37dにより、一体的に構成される。なお、固定壁37a、閉塞弁37b、シール部37cは第1実施形態と同様にシリコンゴム等の弾性材により形成される。
【0041】
また、前記閉塞部材37のヒンジ部37dは、ばね素材を用いてなり、これにより固定壁37aと閉塞弁37bを連結し、閉塞部材37を一体的に設けたことにより、この第3実施形態では第2実施形態に示されている付勢部材38がその構成から除外されている。
【0042】
(作用)
図6はトラカール外套管31に挿入器具42が挿入されていないときの状態を示す。
このとき、閉塞弁37bに設けられている薄肉壁状のシール部37cはチャンバー36の先端に形成された縁36aに対してその全周に渡って当接している。さらに、閉塞弁37bは、ばね素材からなるヒンジ部37dにより付勢されることにより前記シール部37cが弾性変形をして前記縁36aに密着する。
【0043】
図7は、トラカール外套管31に挿入器具42が挿入されているときの状態を示す。
挿入器具42をトラカール外套管31内に挿入すると、その挿入器具42はばね素材からなるヒンジ部37dの付勢力に抗して閉塞弁37bを押す。すると、開閉弁37bはヒンジ部37dを支点にして折り曲がるので、挿入器具42は閉塞弁37bを傷付けることなくトラカール外套管31内に挿入できる。
【0044】
その他の構成は第2実施形態と同じなので、トラカール外套管31は各構成部品を分解することができるので、各構成部品とも隅々まで完全に洗浄することができ、洗浄不良に伴う感染症の発生を容易に防ぐことができること等は前述した第2実施形態と同様である。
【0045】
(効果)
第2実施形態での効果に加えて、閉塞部材37のヒンジ部37dにばね素材を用いて固定壁37a、閉塞弁37b、シール部37cとを一体的に設けられていることにより、第2実施形態に示されている付勢部材38を省くことができるので、構成部品の削減に伴い、より洗浄作業が簡便になるとともに製造コストを低減することができる。
【0046】
また、前記付勢部材38が省かれたことにより、挿入器具42をトラカール外套管31内に挿入されたとき、ばね38bが可動するためのスペースをトラカール外套管の本体32,33内に設ける必要がないため、トラカール外套管31の本体32,33をより小型にすることができる。これにより、術者は挿入器具42の操作性が向上し、手術を迅速に行うことができる。
【0047】
[付記]
1.体腔内に刺入され、体腔内への挿入器具の挿入路を形成する管状の套管を備えたトラカール外套管の本体と、前記挿入器具の挿入路を開閉する閉塞部材と、この閉塞部材との接触により閉塞して体腔内外の気密を確保するチャンバーとを備えたトラカール外套管において、
前記閉塞部材と前記チャンバーとを着脱自在で、かつ装着した状態では前記閉塞部材を前記チャンバーに付勢させて保持したことを特徴とするトラカール外套管。
【0048】
2.付記第1項に記載のトラカール外套管であって、前記閉塞部材は屈曲した状態で前記チャンバーに保持される屈曲部を有する。
3.付記第2項に記載のトラカール外套管であって、前記屈曲した部分は弾性部材で構成され、その弾性力で閉塞部材の弁部を前記チャンバーに押し当る。
4.付記第2,3項に記載のトラカール外套管であって、前記閉塞部材と前記屈曲部は同一部材で一体である。
【0049】
5.付記第1項乃至第4項に記載のトラカール外套管であって、前記チャンバーに接触する向きに閉塞部材を付勢し、その閉塞状態の気密性を高める付勢部材を設けた。
6.付記第5項に記載のトラカール外套管であって、前記付勢部材は前記チャンバーに対して着脱自在である。
【0050】
7.付記第1に記載のトラカール外套管において、前記閉塞部材はトラカール外套管の本体と係合する固定部と、前記チャンバーの先端に形成された縁に対して全周に渡り当接する閉塞弁と、前記挿入器具の挿脱により前記閉塞弁が開閉する際の支点となるヒンジ部からなり、少なくとも当該ヒンジ部をばね素材により形成したことを特徴とするトラカール外套管。
8.付記第1ないし付記第7に記載のトラカール外套管において、前記閉塞部材を弾性材により形成したことを特徴とするトラカール外套管。
【0051】
9.付記第1ないし付記第8に記載のトラカール外套管において、前記閉塞部材と前記チャンバーが当接する位置に、前記閉塞部材に一体にシール部を形成したことを特徴とするトラカール外套管。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前記閉塞部材と前記チャンバーとを着脱自在で、かつ装着した状態では前記ヒンジ部を介して前記閉塞部材を前記チャンバーに付勢させるように構成にしたから、トラカール外套管の内部の洗浄が容易でかつ気密性の高いトラカール外套管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るトラカール外套管の手元部を分解して示す説明図。
【図2】第1実施形態に係るトラカール外套管の手元部を断面して示す説明図。
【図3】第2実施形態に係るトラカール外套管の縦断面図。
【図4】第2実施形態に係るトラカール外套管に挿入部材が挿入されたときのトラカール外套管の縦断面図。
【図5】第2実施形態に係るトラカール外套管の基端側本体、閉塞部材、及び付勢部材の外観を示す斜視図。
【図6】第3実施形態に係るトラカール外套管の縦断面図。
【図7】第3実施形態に係るトラカール外套管に挿入部材が挿入されたときのトラカール外套管の縦断面図。
【符号の説明】
10…トラカール外套管、11…基端側本体、12…先端側本体、11a…ピン、11b…チャンバー、11c…溝部、11d…開口縁、14…閉塞弁、 14a…着脱部、14b…ヒンジ部、14c…弁部、18…リデューサ。

Claims (1)

  1. 体腔内に刺入され、体腔内への挿入器具の挿入路を形成する管状の套管を備えたトラカール外套管本体と、
    前記挿入器具の挿入路を開閉する弁部を有した閉塞部材と、
    前記閉塞部材の弁部により閉塞される開口を有し、前記弁部が接触する前記開口の開口縁は前記挿入器具の挿入方向に対して斜めに傾斜しており、前記開口は前記弁部により閉塞されることで体腔内外の気密を確保可能に構成されたチャンバーと、
    前記閉塞部材に設けられ、前記チャンバーに対して前記閉塞部材を着脱自在に装着させるための着脱部と、
    前記閉塞部材に前記着脱部と弁部の間に位置して設けられ、前記着脱部を前記チャンバーに装着した場合に前記開口縁よりも前記トラカール外套管本体の基端側に位置するとともに前記開口縁に前記弁部を接触させるところまで屈曲させられる第1屈曲状態と、前記挿入器具を挿入することにより前記弁部を押圧した場合に前記第1屈曲状態よりも大きく屈曲させられる第2屈曲状態とを呈し、両屈曲状態での屈曲による弾性復元力によって前記弁部を前記開口縁に向けて付勢するヒンジ部と、
    を具備したことを特徴とするトラカール外套管。
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