JP4197449B2 - シート搬送ガイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,画像形成装置等が備える回転ローラとそれに弾性付勢された揺動部材との間を通って搬送されるシート材の搬送をガイドするシート搬送ガイドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置等では,記録紙等のシート材を搬送するため,回転駆動される回転ローラとこれに弾性付勢された揺動部材である従動ローラやさばきパッド等が設けられ,前記回転ローラと前記揺動部材との間にシート材を通すことにより,回転ローラの回転力によってシート材が搬送されるよう構成されている。さらに,前記回転ローラの前段及び/又は後段には,シート材を前記回転ローラと前記揺動部材との間に導くため,或いは前記回転ローラと前記揺動部材との間から搬送されてくるシート材を次の搬送路へ導くためにシート搬送ガイドが設けられる。
図4は,従来のシート搬送ガイドの構成例を表す概略断面図である。
所定の給紙部1にセットされたシート材Sは,給紙ローラR1により前記給紙部1から送り出され,さばきローラR2(前記回転ローラの一例)とこれに対してバネ等により弾性付勢されたさばきパッド2(摩擦パッド)との間に導かれる。前記給紙ローラR1により複数枚のシート材Sが排出された場合,前記さばきパッド2とシート材Sとの間及び複数枚のシート材S相互間に作用する摩擦力と,前記さばきローラR2とこれと接するシート材Sとの間に作用する摩擦力との違いにより,シート材Sが1枚ずつ分離されて後段へ搬送される。このとき,シート材Sの厚みの違いにより前記さばきパッド2は揺動する(揺動部材の一例)。
前記さばきローラR2及び前記さばきパッド2を通過したシート材Sは,前記さばきローラR2の後段においてシート搬送ガイドGによりガイドされ,シート材Sに対して画像が転写される転写部にシート材Sを搬送するアイドルローラ対R3の方向へ導かれる。
前記アイドルローラ対R3は,回転駆動されるアイドルローラR31とこれに対してバネ等により弾性付勢されて従動回転する従動ローラR32からなり,シート材Sの厚みによって前記従動ローラR32は揺動する(揺動部材の一例)。前記シート搬送ガイドGは,板金や樹脂等からなり,前記アイドルローラR31前段において,シート材Sを前記アイドルローラR31と前記従動ローラ32との間に導くよう形成されている。
ここで,前記さばきパッド2や前記従動ローラR32(以下,総称して揺動部材という)は揺動するため,これらの動きと干渉しないように,前記シート搬送ガイドGと前記揺動部材との間には所定のすき間4,5が設けられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平06−92505号公報
【非特許文献1】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,近年,装置のコンパクト化が進む中で,シート搬送ガイドは,シート材を小さな曲率半径で方向転換させるよう構成されるため,前記揺動部材とのすき間においてシート材が前記揺動部材や回転ローラとの衝突してジャムが発生しやすいという問題点があった。図4に示す例では,すき間5の部分が特に曲率半径が小さくジャムが発生しやすい。
これに対し,特許文献1では,ピンチローラ(回転ローラの一例)の近傍に配置したフィルム部材によってシート材をガイドする構成が提案されているが,フィルム部材では,小さな曲率半径で方向転換させることが難しいという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,回転ローラとそれに弾性付勢された揺動部材の前後において,すき間なく円滑にシート材をガイドできるとともに,シート材を小さな曲率半径で方向転換させる場合にも対応可能なシート搬送ガイドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,回転ローラとそれに弾性付勢された揺動部材との間を通って搬送されるシート材の搬送を前記回転ローラの前段及び/又は後段でガイドするシート搬送ガイドにおいて,当該シート搬送ガイドが,前記揺動部材を前記回転ローラに対して弾性付勢するとともに,前記回転ローラの前段及び/又は後段で前記シート材の搬送方向をガイドする弾性部材からなることを特徴とするシート搬送ガイドとして構成されるものである。
例えば,前記弾性部材がねじりコイルバネであり,該ねじりコイルバネのアーム部により前記シート材がガイドされるもの等である。
ここで,前記揺動部材としては,前記回転ローラに従動回転する従動ローラ又は前記シート材を1枚ずつ分離して搬送するさばきパッド等が考えられる。
これにより,シート材をガイドする部分(前記ねじりコイルバネのアーム部等)が,前記回転ローラに対向する前記揺動部材まで伸びる構成となるので,シート材をガイドする部分と前記揺動部材との間にすき間が生じず,シート材の円滑な搬送(ガイド)が可能となる。さらに,前記弾性部材(即ち,当該シート搬送ガイド)の形状を,シート材の方向転換に必要な曲率半径に合わせた形状とすれば,小さな曲率半径の搬送経路にも対応できる。
【0006】
また,前記ねじりコイルバネによるシート搬送ガイドの構成例としては,例えば,前記揺動部材が,前記ねじりコイルバネのコイル部又は一方のアーム部で支持されたものが考えられる。
この場合,前記揺動部材が,前記回転ローラの軸に略平行な方向に複数配列され,当該シート搬送ガイドが前記揺動部材それぞれについて設けられた前記弾性部材からなるものが考えられる。
これにより,シート材の幅方向(即ち,前記回転ローラの軸に略平行な方向)に,それをガイドする前記ねじりコイルバネのアーム部等のガイド部が複数配列されることになり,その配列間隔を適当に狭い間隔とすれば,シート材のサイズ(幅)が大きい場合であっても,安定してガイドすることができる。
さらにこの場合,前記弾性部材それぞれの弾性付勢力が,所定の基準位置の前記揺動部材に対して最も強く,前記基準位置から離れて位置する前記揺動部材に対してはそれより弱く構成されたものが好適である。
これにより,前記揺動部材が前記従動ローラである場合に,シート材にシワが発生することを防止できる。前記基準位置は,例えば,前記回転ローラの軸方向における中央や一方の端部等である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るシート搬送ガイドXの概略断面図,図2は本発明の実施の形態に係るシート搬送ガイドXの概略正面図及びねじりコイルバネのバネ圧力の分布を表すグラフ,図3は本発明の実施例に係るシート搬送ガイドX1の概略断面図,図4は従来のシート搬送ガイドの概略断面図である。
【0008】
以下,図1及び図2を用いて,画像形成装置のシート搬送路に設けられた本発明の実施の形態に係るシート搬送ガイドXについて説明する。
シート搬送ガイドXは,ねじりコイルバネからなり(以下,ねじりコイルバネXという),所定の給紙部1から搬送されてくる記録紙等のシート材Sを,該シート材Sにトナー画像を転写する転写部3に搬送するアイドルローラ対R3の前段に設けられるものである。
前記ねじりコイルバネXは,そのコイル部B1及びその一方のアーム部B2の端部B3とが画像形成装置本体のフレームに固定され,他方のアーム部B4の端部B5により,前記アイドルローラ対R3を構成する従動ローラR32の回転軸を支持している。これにより,前記従動ローラR32は,前記ねじりコイルバネXの弾性力により,前記アイドルローラ対R3を構成するアイドルローラR31(前記回転ローラの一例)に対して弾性付勢される。さらに,前記アーム部B4は,シート材Sの搬送経路に沿って湾曲して形成されている。
【0009】
前記給紙部1にセットされたシート材Sは,図4に示した従来のものと同様に,給紙ローラR1により前記給紙部1から送り出され,さばきローラR2とこれに対してバネ等により弾性付勢されたさばきパッド2(摩擦パッド)とによってシート材Sが1枚ずつ分離されて後段へ搬送される。前記さばきパッド2は,所定の回動軸2aに回動可能に支持されており,通過するシート材Sの厚みの違いにより前記さばきパッド2は揺動(回動)する。
前記さばきローラR2及び前記さばきパッド2を通過したシート材Sは,前記ねじりコイルバネXのアーム部B4によりガイドされ,前記アイドルローラ対R3の方向へ導かれる。
ここで,前記アイドルローラ対R3の一方を構成する前記従動ローラR32は,前記ねじりコイルバネXの弾性力により,そのアーム部B4の端部B5によって前記アイドルローラR31に対して弾性付勢されているため,前記従動ローラR32は,通過するシート材Sの厚みによって揺動する(揺動部材の一例)。
このような構成により,シート材Sをガイドする前記ねじりコイルバネXのアーム部B4が前記従動ローラR32まで伸びる構成となるので,シート材Sをガイドする部分(B4)と前記従動ローラR32との間にすき間が生じず,シート材Sの円滑な搬送(ガイド)が可能となる。さらに,前記アーム部B4の形状を,シート材の方向転換に必要な曲率半径に合わせた湾曲形状とすることにより,小さな曲率半径の搬送経路にも対応できる。
【0010】
図2は,シート搬送ガイドXの概略正面図(図2(a))及びねじりコイルバネのバネ圧力の分布を表すグラフ(図2(b),(c))である。
図2(a)に示すように,前記従動ローラR32は,前記アイドルローラR31の軸R31aに略平行な方向に複数配列され(図2では5つ配列),前記従動ローラR32それぞれについて前記ねじりコイルバネXが設けられている。
このような構成により,シート材Sの幅方向(即ち,前記アイドルローラR31の軸R31aに略平行な方向)に,それをガイドする前記ねじりコイルバネのアーム部R4(図2には不図示)が複数配列されることになり,その配列間隔を適当に狭い間隔とすれば,シート材Sのサイズ(幅)が大きい場合であっても,安定してガイドすることができる。
【0011】
ここで,複数の前記ねじりコイルバネXそれぞれのバネ圧力(前記従動ローラR32に対する弾性付勢力)は,図2(b)のバネ圧分布グラフに示すように,所定の基準位置P0の前記従動ローラP32に対して最も強く,前記基準位置P0から離れた位置の前記従動ローラR32に対してはそれより弱くなるように構成されている。
これにより,前記アイドルローラR31からシート材Sに伝達される搬送力が,シート材Sのシワを伸ばす方向(図2(b)に示すバネ圧分布では,前記アイドルローラR31の軸R31aの中心部から両外側への方向)に作用するため,シート材にシワが発生することを防止できる。
前記ねじりコイルバネXそれぞれのバネ圧力(弾性付勢力)は,前記ねじりコイルバネXにおける,線材の径,開き角度,前記コイル部B1の巻き数,線材の材質(種類)等によって設定(調整)すればよい。
また,図2(b)では,前記アイドルローラR31の軸R31aの略中心部を前記基準位置P0とし,それより両外側へ離れた位置ほどバネ圧力を弱める構成としているが,これに限るものでなく,例えば,図2(c)に示すように,前記アイドルローラR31の軸R31aの一方の端部付近を前記基準位置P0し,それより前記軸R31方向の反対側へ離れた位置ほどバネ圧力を弱める構成とすることも考えられる。この基準位置P0は,例えば,サイズ(幅)の異なるシート材Sが搬送され得る場合に,いずれのサイズのシート材Sが搬送されていても,かならずシート材Sが通過する位置とすることが考えられる。
【0012】
【実施例】
次に,本発明を,前記さばきローラの後段におけるシート材のガイドに適用した実施例である,シート搬送ガイドX1について説明する。
シート搬送ガイドX1は,ねじりコイルバネからなり(以下,ねじりコイルバネX1という),その一方のアーム部B2’の端部B3’が,画像形成装置本体のフレームに固定された前記さばきパッド2(摩擦パッド)の回動軸2aに固定され,もう一方のアーム部B4’の端部B5’も画像形成装置本体のフレームに固定された後段のガイド部6に固定されるとともに,コイル部B1’によって前記さばきパッド2の回動先端部付近を支持するよう構成されている。これにより,前記さばきパッド2(前記揺動部材の一例)は,前記ねじりコイルバネX1の弾性力により,前記さばきローラR2(前記回転ローラの一例)に対して弾性付勢される。
このような構成により,前記ねじりコイルバネXのアーム部B4’が,前記さばきパッド2とその後段のガイド部4との間に跨ることになるので,アーム部B4’が前記さばきパッド2と前記ガイド部6との間のすき間を埋めるガイドとなり,シート材の円滑な搬送(ガイド)が可能となる。
このような構成も,本発明の実施例の一つである。
また,前記実施の形態及び実施例では,前記揺動部材(前記従動ローラや前記さばきパッド)の弾性付勢部材とその前後のガイド部材とを兼用する弾性部材をねじりコイルバネとする例について示したが,十分な弾性付勢力を得られる他の金属部材等であっても構わない。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,ねじりコイルバネ等の弾性部材が回転ローラに対向する揺動部材の弾性付勢と回転ローラの前後のシート材のガイドとを兼用することにより,シート材をガイドする部分(ねじりコイルバネのアーム部等)が揺動部材まで伸びる構成となるので,シート材をガイドする部分と揺動部材との間にすき間が生じず,シート材の円滑な搬送(ガイド)が可能となる。さらに,弾性部材の形状を,シート材の方向転換に必要な曲率半径に合わせた形状とすれば,小さな曲率半径の搬送経路にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート搬送ガイドXの概略断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るシート搬送ガイドXの概略正面図及びねじりコイルバネのバネ圧力の分布を表すグラフ。
【図3】本発明の実施例に係るシート搬送ガイドX1の概略断面図。
【図4】従来のシート搬送ガイドの概略断面図。
【符号の説明】
1…給紙部
2…さばきパッド(揺動部材)
3…転写部
4,5…すき間
6…ガイド部
R1…給紙ローラ
R2…さばきローラ(回転ローラ)
R31…アイドルローラ(回転ローラ)
R32…従動ローラ(揺動部材)
S…シート材
X,X1…シート搬送ガイド(ねじりコイルバネ)
Claims (6)
- 回転ローラとそれに弾性付勢された揺動部材との間を通って搬送されるシート材の搬送を前記回転ローラの前段及び/又は後段でガイドするシート搬送ガイドにおいて,
当該シート搬送ガイドが,前記揺動部材を前記回転ローラに対して弾性付勢するとともに,前記回転ローラの前段及び/又は後段で前記シート材の搬送方向をガイドする弾性部材からなることを特徴とするシート搬送ガイド。 - 前記弾性部材がねじりコイルバネであり,該ねじりコイルバネのアーム部により前記シート材がガイドされてなる請求項1に記載のシート搬送ガイド。
- 前記揺動部材が,前記回転ローラに従動回転する従動ローラ又は前記シート材を1枚ずつ分離して搬送するさばきパッドである請求項1又は2のいずれかに記載のシート搬送ガイド。
- 前記揺動部材が,前記ねじりコイルバネのコイル部又は一方のアーム部で支持されてなる請求項2又は3のいずれかに記載のシート搬送ガイド。
- 前記揺動部材が,前記回転ローラの軸に略平行な方向に複数配列され,当該シート搬送ガイドが前記揺動部材それぞれについて設けられた前記弾性部材からなる請求項1〜4のいずれかに記載のシート搬送ガイド。
- 前記弾性部材それぞれの弾性付勢力が,所定の基準位置の前記揺動部材に対して最も強く,前記基準位置から離れて位置する前記揺動部材に対してはそれより弱く構成されてなる請求項5に記載のシート搬送ガイド。
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