JP4196445B2 - 空気調和機の風向調節用垂直羽根 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気調和機の風向調節用垂直羽根に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばセパレート型空気調和機における壁掛け形の室内機では、吹出口を通して吹出される空調空気の吹出方向を調節するために、吹出口の幅方向にわたって複数の垂直羽根が並設されている。このような垂直羽根の取付構造の一例について本発明の説明図である図5を参照して説明すると、室内機の吹出口11にほぼ垂直に配置される垂直羽根13は、吹出方向に沿う上流側に固定フレーム部14を、下流側に可動フレーム部15をそれぞれ備え、これら固定フレーム部14と可動フレーム部15との間に湾曲部16を設けて構成されている。
【0003】
固定フレーム部14には、その上縁から斜め上方に傾斜して前面側(図において左側)に延びる上部フレーム部17が連設されており、この上部フレーム部17前端部の箇所でドレンパン9aの下面に固定されている。一方、可動フレーム部15は、その下端側で、吹出口11の幅方向(紙面に直交する方向)に沿って延びる連結棒18に連結されている。この連結棒18を軸方向に移動させることによって、可動フレーム部15に固定フレーム部14回りの移動が生じ、これに伴って湾曲部16に湾曲変形が生じて、吹出方向の方向付けが行われるようになっている。
【0004】
上記のような垂直羽根は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料を用いて作製されている。そして従来は、図8(a)(b)に示すように、連結棒51の軸方向移動に伴う湾曲変形を垂直羽根52の湾曲部53に生じさせるために、この湾曲部53の厚さを固定フレーム部54や可動フレーム部55よりも薄くして形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように湾曲部53を薄肉状に形成した垂直羽根52では、この湾曲部53に、熱的な影響等によって例えば図9に示すような波打ち状の変形領域56等が発生していびつな形状になり易いという問題を生じている。
【0006】
つまり、暖房運転時には室内機の吹出口からは加温された空調空気が吹出され、このとき、垂直羽根52の湾曲部53を湾曲させた状態、すなわち、この湾曲部53に湾曲変形を弾性的に生じさせた状態で運転が継続されると、垂直羽根52の温度上昇に伴って、内部応力がより大きな領域では応力緩和が生じて弾性歪が塑性歪に変化する。このため、湾曲部53を湾曲させた状態から平面状態となる位置に連結棒51を軸方向に移動させたときに上記の塑性歪に応じた変形が生じてしまう。そして、その後も湾曲状態と平面状態との切換えが繰返されることにより、図9に示したように平坦性が損なわれたいびつな変形状態となって、以降の吹出方向の設定がこの垂直羽根52では安定して得られなくなり、風向性能が低下するという問題を生じている。
【0007】
なお、湾曲部53に上記のようないびつな変形を生じさせないためには、前記のような薄肉化によって湾曲部53を形成した構成に代えて、この湾曲部53を、その弾性域の上限温度がより高温のゴムなどの軟質材料を用いて形成することも考えられる。しかしながら、このように材料を部分的に変えた構成では材料費や成形コストの高騰を招来する。
【0008】
一方、前記した従来の垂直羽根52では結露を生じ易いという問題も有している。すなわち図10に示すように、垂直羽根52を湾曲状にした状態では、各垂直羽根52の凸側の表面(図において左側の表面)に沿って流れる空調空気は、垂直羽根52の各先端側のA部において表面からの剥離を生じ、この剥離領域Aに室内空気が侵入する。このため、冷房運転時に、上記剥離領域Aに侵入した室内空気が冷却されて結露が発生する。このため、例えば各垂直羽根52の下方に、滴下した結露水を吸収するためのシール材等を設ける必要があって、全体の製作費が高くなるという問題が生じている。
【0009】
この発明は、上記した問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、不要な変形を生じることなく安定した風向性能を維持することが可能であり、また、結露を防止し得る空気調和機の風向調節用垂直羽根を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1の空気調和機の風向調節用垂直羽根は、空気調和機の吹出口11にほぼ垂直に配置され、吹出方向の上流側と下流側との一方に固定フレーム部14を、他方に可動フレーム部15を各々有すると共に、これら固定フレーム部14と可動フレーム部15との間に湾曲部16を設け、この湾曲部16を、可動フレーム部15を固定フレーム部14回りに移動させることによって湾曲変形可能に形成して成る空気調和機の風向調節用垂直羽根であって、上記湾曲部16を、ほぼ上下方向に延びる複数の平坦板21がそれぞれヒンジ部26を介して上記固定フレーム部14と可動フレーム部15との間に順次接続された形状に形成すると共に、上記ヒンジ部26を、固定フレーム部14回りの屈曲性を有するべく平坦板21よりも厚さを薄くして形成し、さらに、上記ヒンジ部26を各平坦板21間に上下に離間させて複数設け、これらヒンジ部26間に、上下方向に延びるスリット状の通風可能な開口22を形成していることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、平坦板21間のヒンジ部26に屈曲変形が生じることで、湾曲部16全体の湾曲状態が得られ、このとき、個々の平坦板21は垂直平面状態で保持されて弾性変形は殆ど生じない。このため、暖房運転中に湾曲部16を湾曲させた状態で垂直羽根13の温度が高くなったとしても、弾性歪が塑性歪に変化する状態等は各平坦板21に生じることはなく、各平坦板21は垂直平面状態で保持される。この結果、吹出方向の方向付けを長期にわたって安定して維持することができ、風向性能が向上する。
【0013】
また、この構成によれば、ヒンジ部26を上下に離間させて設け、これらの間をスリット状の通風可能な開口22としているので、各ヒンジ部26は上下方向の寸法も極力小さくして、その屈曲変形能をより大きくすることができる。これにより、可動フレーム部15側を移動させる際に過大な力を加えずとも、各ヒンジ部26での屈曲変形がスムーズに生じるので、操作性が向上する。
【0014】
また、垂直羽根13を湾曲状にした状態で、凸面側の先端領域に発生する空調空気の剥離領域には、凹面側に沿って流れる空調空気の一部が、上記開口を通して凸面側の上記剥離領域に流れるようにすることもでき、これによって、従来生じていた結露を防止することができる。したがって、前記したような結露水を吸収するためのシール材等を垂直羽根の下方に設ける必要がないので、全体的な製作費をより安価なものとすることができる。
【0015】
請求項2の空気調和機の風向調節用垂直羽根は、各平坦板21に、上下に離間するヒンジ部26間の領域で局所的に断面積を小さくして変形能を高めた上下接続部25を設けていることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、各平坦板21における上下間に捩じり方向の応力や上下方向の熱応力などが発生する場合、これらの応力に応じた変形が上下接続部25にわずかでも生じることで、各ヒンジ部26に作用する応力は大幅に低下する。この結果、充分な屈曲性が得られるように各ヒンジ部26の断面積を極力小さくした構成としても、これらヒンジ部26に亀裂や破断の生じるおそれが低減されて、安定した屈曲特性を維持することができるので、これによっても、より安定した風向性能を維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図5に、本実施形態に係るセパレート型空気調和機における壁掛け形の室内機を示している。この室内機は断面略矩形状のケーシング1を備え、このケーシング1は、室内壁面に沿って固定される背面側(図において右側)の底フレーム2と、この底フレーム2の前面側に取り付けられた前面グリル3とによって構成されている。前面グリル3には、その前面開口を覆う前面パネル4がさらに取り付けられている。この前面パネル4に前面吸込口5aが、また、底フレーム2と前面グリル3との各天板面に上面吸込口5bがそれぞれ形成され、これら各吸込口5a・5bの内側に沿って防塵フィルタ6が装着されている。
【0019】
ケーシング1内には、冷媒回路における蒸発器(冷房運転時)や凝縮器(暖房運転時)として機能する熱交換器7と、クロスフローファンから成る送風ファン8とが配置されている。熱交換器7は、前面側熱交換器7aと背面側熱交換器7bとを逆V字状に組み合わせて構成され、これら熱交換器7a・7bの各下端部間に上記送風ファン8が配置されている。なお、各熱交換器7a・7b下端には、これら熱交換器7a・7bで発生するドレン水を受ける前面側ドレンパン9a・背面側ドレンパン9bがそれぞれ設けられている。
【0020】
一方、送風ファン8の下側には、前面グリル3における下部前面側に開口する吹出口11が形成されている。この吹出口11には、この吹出口11を通して吹出される空調空気の吹出方向を上下方向に調節するための水平羽根12・12と、左右方向に調節するための垂直羽根13とが設けられている。
【0021】
上記垂直羽根13は、吹出口11にほぼ垂直に、複数枚並設されている。これら垂直羽根13は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料を用いて互いに同形状に形成されており、それぞれ、吹出方向に沿う上流側に固定フレーム部14を、下流側に可動フレーム部15をそれぞれ備えている。そして、これら固定フレーム部14と可動フレーム部15との間に、後述する湾曲部16を設けて形成されている。
【0022】
固定フレーム部14には、その上縁から斜め上方に傾斜して前面側(図において左側)に延びる上部フレーム部17が連設されており、この上部フレーム部17の前端部の箇所で、吹出口11の上壁面を構成する前面側ドレンパン9aの下面に固定されている。一方、可動フレーム部15は、その下端側で、吹出口11の幅方向(紙面に直交する方向)に沿って延びる連結棒18に回動自在に連結されている。この連結棒18を軸方向に移動させることによって、可動フレーム部15に固定フレーム部14回りの移動が生じ、これに伴って、後述するように湾曲部16に湾曲変形が生じて、空調空気に対する左右の吹出方向の方向付けが行われるようになっている。
【0023】
次に、上記垂直羽根13の詳細形状について説明する。図1に示すように、上部フレーム部17は断面T字状に形成されており、その前端部に、幅方向に広がる固定取付部17aを設けて、この取付部17aに、前記した前面側ドレンパン9aの下面に固定するための一対の矩形状取付穴17b・17bが形成されている。なお、この上部フレーム部17の後端側と、この部位から垂下する平板状の固定フレーム部14の後縁側とは断面先鋭状に形成されている。
【0024】
一方、前記可動フレーム部15の下端側には、その前縁から後方にコ字状に凹入する可動取付部15aが設けられている。この取付部15aには、図2に示すように、上下に対向する一対の嵌入突起15b・15bが形成され、これら嵌入突起15b・15bを、前記連結棒18における貫通穴に上下から嵌入させた取付状態とすることで、この可動フレーム部15側が連結棒18に回動自在に連結される構成となっている。
【0025】
上記可動フレーム部15と固定フレーム14との間の前記湾曲部16は、その全体形状がほぼ台形状に形成されている。そして、この湾曲部16は、上下方向に延びる短冊状の平坦板21…を、固定フレーム部14と可動フレーム部15との間に複数枚(図の場合には4枚)接続した形状に形成されている。各平坦板21…同士、および両端部の平坦板21・21と固定フレーム部14および可動フレーム部15とは、それぞれ、上下の各端部と略中央部との3箇所で、後述するヒンジ部26を介してそれぞれ接続され、これら上下3箇所の各ヒンジ部26間は、上下方向に延びるスリット状の開口22…が形成されている。
【0026】
さらに各平坦板21は、上下2段の各開口22…における上縁と下縁とにほぼ対応する高さ位置の領域に、それぞれ、矩形状の小開口23…が幅方向(図において左右方向)に複数(図の場合には3個)ずつ形成され、これによって、これら各領域は、図3(a)にも示すように、それぞれ4本の短柱部24…で上下の各領域を接続する上下接続部25…として形成されている。なお以下では、各平坦板21における上下接続部25…で上下に区画される各領域について、上方から上枠部21a・上平坦部21b・中央枠部21c・下平坦部21d・下枠部21eと称する。この場合、各平坦板21…における上枠部21a・中央枠部21c・下枠部21eが、前記各ヒンジ部26を介して隣接する平坦板21や固定フレーム部14・可動フレーム部15にそれぞれ接続されている。
【0027】
上記各ヒンジ部26は、同図(b)に示されているように、厚さ方向両側から凹陥状に切欠いてくびれを生じさせ、これによって局部的にて厚さを薄くして形成されている。なお、同図(c)には、上下接続部25…が位置する高さでの断面図を示しており、同図のように、前記短柱部24…は、その厚さ方向(図において上下方向)の寸法も、この上下接続部25…の領域以外の中央枠部21cや上平坦部21bなどの他の領域の厚さよりも小さくして形成されている。
【0028】
これらの厚さ寸法を例示すれば、固定フレーム部14(後縁側を除く)と可動フレーム部15、および、上下接続部25を除く領域の平坦板21の厚さは1.5mm、ヒンジ部26における最狭隘箇所での厚さ寸法は0.6mmである。また、各ヒンジ部26の上下方向の寸法は0.8〜1.0mmである。一方、上下接続部25を除く領域の平坦板21の断面形状は厚さ1.5mm×幅4.0mm、各上下接続部25の各短柱部24の断面形状は、厚さ0.8mm×幅0.4mmである。
【0029】
このように、各平坦板21は局部的に薄肉状にしたヒンジ部26で順次接続された構成となっていることによって、前記した連結棒18を軸方向に移動させて湾曲部16に湾曲変形を生じさせようとすると、図4中に二点鎖線で示すように、各平坦板21はその平坦状態を維持したまま、各ヒンジ部26がそれぞれ屈曲することによって、この湾曲部16の全体に上記連結棒18の軸方向位置に応じた湾曲変形が生じる。
【0030】
また、前記した上下接続部25においても、これらの領域での断面積が小さくなっていることによってこの部位の変形能が高められており、したがって、この部位を挟んで上下の各領域間に相対的な位置変化を生じさせるような内部応力が発生するとき、この応力に応じた変形が上下接続部25に生じ得るようになっている。
【0031】
上記の垂直羽根13が、図6に示すように、前記室内機の吹出口11の幅方向に沿って複数枚(図の場合には10枚)並設されている。
【0032】
上記構成の室内機において、前記送風ファン8が駆動されると、前面吸込口5a及び上面吸込口5bから室内空気がケーシング1内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は、防塵用フィルタ6通過時に除塵され、次いで、熱交換器7が蒸発器として機能する冷房運転時には、この熱交換器7通過時に冷却された空調空気となり、また、熱交換器7が凝縮器として機能する暖房運転時には、この熱交換器7通過時に加温された空調空気となる。この空調空気は、送風ファン8通過後に、吹出口11における前記水平羽根12や垂直羽根13での方向設定に応じた方向で、吹出口11から室内へと吹出される。
【0033】
このときの垂直羽根13による左右の吹出方向の設定は、前記連結棒18を軸方向に移動させることによって行われるが、この連結棒18は、図6に示すように、吹出口11のほぼ中央位置で左右に分離され、これによって、各垂直羽根13…の吹出方向の方向付けを左右独立に行い得るようになっている。すなわち、例えば同図に示すように、左側の垂直羽根13…に対しては、その吹出方向下流側が上流側よりも左側に位置するように連結棒18を左方向に移動することによって、前記したように、各垂直羽根13には、湾曲部16における各ヒンジ部26が屈曲して、全体的には同図に示すように左に向いて湾曲する。このとき、右側の垂直羽根13…に対しては上記とは逆に右に向けて湾曲させることで、吹出口11の幅寸法よりも広い角度範囲にわたって空調空気を吹き出すワイド吹きが行われる。
【0034】
また、左右の連結棒18・18の間に設けられている連結棒接続機構19によって両連結棒18・18を相互に連結すると、左右の各垂直羽根13…は互いに平行になり、この状態で、連結棒18・18を例えば右方向に移動すると、全ての垂直羽根13…が右方向に向き、吹出口11の全体から右方向に空調空気が吹出される。さらに、利用者がオートスイングモードを指定すると、上記の状態で、図示しない例えばステッピングモータ等から成るスイング用モータで両連結棒18・18を軸方向に往復動させる運転が行われ、これに伴って、垂直羽根13…の湾曲方向が左右に周期的に変化して、吹出口11からの空調空気の吹出方向が左右に交互に変化する運転が行われる。
【0035】
このように、空調空気の吹出方向を左右に方向付けるための垂直羽根13においては、湾曲部16に上記のような左右方向の湾曲変形が繰返されても、上下方向に平行な断面形状が、湾曲部16のほぼ全体にわたって垂直な状態で維持されることが必要である。この場合に、本実施形態においては、湾曲部16が上下方向に延びる平坦板21を連ねて形成され、これら平坦板21間における薄肉状のヒンジ部26に屈曲変形を生じさせて、湾曲部16全体の湾曲状態を得る構成となっている。したがって、湾曲部16が全体として湾曲状態であっても、個々の平坦板21は垂直平面状態で保持され、弾性変形は殆ど生じない。
【0036】
これにより、湾曲部16の全体を湾曲させた状態で暖房運転が行われる際に垂直羽根13の温度が高くなったとしても、弾性歪が応力緩和と共に塑性歪に変化する状態等は各平坦板21に生じることはない。この結果、湾曲部16に左右方向の湾曲変形が繰返されても、各平坦板21は上記した垂直状態で維持されるので、吹出方向の上記垂直羽根13による方向付けを長期にわたって安定して維持することができ、風向性能が向上する。
【0037】
また上記形態においては、湾曲部16を湾曲状態とする際に屈曲変形を生じるヒンジ部26は、上下3箇所に分けてそれぞれ設けられている。すなわち、これらヒンジ部26間にスリット状の開口22を設けることで、各ヒンジ部26は上下方向の寸法も極力小さくした構成となっている。これにより、各ヒンジ部26は、水平方向の曲げに対する変形能が大きく、この結果、連結棒18を軸方向に移動させる際の移動力が小さくとも、各ヒンジ部26での屈曲変形がスムーズに生じて、湾曲部16全体の湾曲状態が容易に得られるので操作性が向上する。
【0038】
さらに、上記開口22によって、従来の垂直羽根で生じていた結露も防止される。すなわち図7に示すように、垂直羽根13を湾曲状にした状態では、各垂直羽根13の凸側の表面(図において左側の表面)に沿って流れる空調空気は、垂直羽根13の各先端側のA部において表面から剥離し易く、従来は、冷房運転時にこれらA部の箇所に室内空気が侵入して結露を生じていた。これに対し、本実施形態においては、各垂直羽根13には各平坦板21間にスリット状の開口22が形成されているので、各垂直羽根13における凹面側(図において右側)に沿って流れる空調空気の一部が、上記開口22を通して凸面側に流れ、これら空調空気が各A部の領域を通して室内へと吹出される。
【0039】
これにより、室内空気の侵入が生じなくなり、したがって、結露が防止される。この結果、従来は前記した結露水を受けて吸収するためのシール材を垂直羽根の下方に設ける等の構成にする必要があったが、上記ではこのようなシール材が不要であるので、全体の製作費をより安価なものとすることが可能となっている。また、前記した剥離領域が長くなっても、この領域での結露を防止できるので、各垂直羽根13における先端側の長さを長くして羽根のサイズを適度に大きくすることができ、これによって、各垂直羽根13の湾曲形状に応じて方向付けられた安定した気流分布を得ることができる。
【0040】
さらに上記実施形態においては、各平坦板21には、断面積を局所的に小さくして変形能を高めた上下接続部25が設けられている。すなわち、例えば前記図3(a)に示すように、固定フレーム部14と可動フレーム部15との間には、各平坦板21の前記上枠部21aおよび中央枠部21cと下枠部21eとがヒンジ部26を介して接続され、上平坦部21bと下平坦部21dとは、それぞれ上下接続部25を介して、上枠部21aと中央枠部21cとの間、および、中央枠部21cと下枠部21eとの間に接続されている。
【0041】
したがって、連結棒18を軸方向(同図において紙面と直交する方向)に移動して湾曲部16を湾曲させる場合、各平坦板21は、まず上記した各枠部21a〜21cに、この湾曲部16全体の湾曲状態に応じた向きの変化が生じ、そして、上平坦部21bと下平坦部21dとは、上下接続部25を介して各枠部21a〜21cの向きに追随する構成となっている。
【0042】
このような湾曲変形の過程において、例えば各平坦板21における上枠部21aと下枠部21eとの間にわずかながら向きの差が生じるような場合、両者間に捩じり方向の内部応力が発生する。このような場合に、上記応力に応じた微小変形が各上下接続部25で生じることによって、各ヒンジ部26に作用する応力は大幅に低下する。また、例えば空調運転の開始時に垂直羽根13の温度が空調空気の吹出温度に応じて徐々に変化する過程では、垂直羽根13には不均一な温度分布状態が生じる。このような場合に、相互に連結された各平坦板21間に上下方向の熱応力が発生するが、この場合も、このような熱応力に応じた微小変形が各上下接続部25に生じることで、上記同様に、各ヒンジ部26に余分な応力が殆ど発生しない状態とすることができる。
【0043】
この結果、充分な屈曲性が得られるように各ヒンジ部26の断面積を極力小さくした構成としても、上記のような各応力が各ヒンジ部26に作用することが回避され、これらヒンジ部26に亀裂や破断の生じるおそれが低減される。これによって、安定した屈曲特性を維持することができ、ひいては、垂直羽根13による安定した風向性能を維持することができる。
【0044】
また上記実施形態においては、各垂直羽根13は、吹出方向下流側の端部が連結棒18に連結されている。この場合、連結棒18の配設箇所を流れる空調空気の流速は上流側に比べてより小さくなる。このため、空調空気が連結棒18と交差して流れるときに発生する音も小さくなって、より静音化された運転状態を維持することが可能となっている。
【0045】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば上記では、平坦板21の数は上記形態における4枚の構成に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。また上記では、ヒンジ部26を上下3箇所に各々設けた例を示したが、この数についても任意の数とすることができる。
【0046】
また上記では、上下に離間させたヒンジ部26間にスリット状の開口22を設けて形成したが、請求項1の範囲においては、このような開口22を設けずに、ヒンジ部26を上下方向の全体にわたって連なる形状等とすることも可能である。さらに上記では、各平坦板21における上下接続部25には、小開口23を設けてこの領域での断面積をより小さくした構成としたが、このような小開口23を形成せずに、単に厚さを薄くした構成等とすることも可能である。
【0047】
また、上下接続部25は、上記形態ではヒンジ部26に各々隣接する高さ領域にそれぞれ設けた構成としたが、各平坦板21における上下間での捩じり方向の応力や上下方向の熱応力に応じた変形を生じることによって、これを挟む上下の各領域に相対的な位置変化を生じさせ得る領域であれば、例えば各平坦板21における上平坦部21bと下平坦部21dとの各々のほぼ中間高さ位置などの領域に上下接続部25を設けて構成することも可能である。
【0048】
また上記では、固定フレーム部14の上縁から前方へと斜めに傾斜する上部フレーム部17を設けて、この上部フレーム部17の前端部を吹出流路を囲う壁面(前面側ドレンパン9aの下面)に固定する構成としたが、例えば固定フレーム部14を上方又は下方に延設してその端部を固定するようなその他の形状とすることも可能である。
【0049】
また上記では、吹出口11の吹出方向に沿って上流側に固定フレーム部14側が、下流側に可動フレーム部15側がそれぞれ位置するように垂直羽根13を配置した室内機を例に挙げたが、これとは逆に、上流側に可動フレーム部15、下流側に固定フレーム部14が各々位置するように配置して構成される室内機にも、この発明の垂直羽根を用いることが可能である。また、上記では、空気調和機における壁掛け形の室内機を例に挙げたが、例えば床置き形の室内機等にも用いることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明のように、この発明の請求項1の空気調和機の風向調節用垂直羽根においては、ほぼ上下方向に延びる複数の平坦板を薄肉状のヒンジ部で順次接続した形状に湾曲部を形成しているので、この湾曲部の湾曲状態はヒンジ部に屈曲変形が生じて得られ、各平坦板は垂直平面状態で保持される。したがって、平坦板に、例えば暖房運転中の熱的な影響等による変形が生じることはなく、上下方向に平行な断面形状は湾曲部のほぼ全体にわたって略垂直な状態で維持されるので、吹出方向の方向付けを長期にわたって安定して維持することができ、風向性能が向上する。
【0051】
しかも、この空気調和機の風向調節用垂直羽根においては、ヒンジ部を上下に離間させて、これらヒンジ部間にスリット状の開口を設けているので、各ヒンジ部は上下方向の寸法も極力小さくして、その屈曲変形能をより大きくすることができる。これにより、可動フレーム部側を移動させる際に過大な力を加えずとも、各ヒンジ部での屈曲変形がスムーズに生じるので操作性が向上する。また、垂直羽根を湾曲状にした状態での凸面側における空調空気の剥離領域に、上記開口を通して凹面側から空調空気が流れ込むようにすることもでき、これによって結露を防止することができるので、従来必要であった結露水を吸収するためのシール材等が不要となる。この結果、全体的な製作費をより安価なものとすることが可能となる。
【0052】
請求項2の空気調和機の風向調節用垂直羽根においては、各平坦板には、上下に離間するヒンジ部間の領域で局所的に断面積を小さくして変形能を高めた上下接続部を設けているので、平坦板における上下間に捩じり方向の応力や上下方向の熱応力などが発生する場合、これらの応力に応じた変形が上下接続部にわずかでも生じることで、各ヒンジ部に作用する応力は大幅に低下する。この結果、充分な屈曲性が得られるように各ヒンジ部の断面積を極力小さくしても、これらヒンジ部に亀裂や破断の生じるおそれが低減され、安定した屈曲特性を維持することができるので、これによっても、より安定した風向性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態における空気調和機の風向調節用垂直羽根の斜視図である。
【図2】上記垂直羽根の縦断面図である。
【図3】上記垂直羽根を示すものであって、同図(a)は側面図、同図(b)は同図(a)におけるX−X線矢視図、同図(c)は同図(a)におけるY−Y線矢視断面図である。
【図4】連結棒の軸方向移動に伴う上記垂直羽根の湾曲変形状態を示す横断面図である。
【図5】上記垂直羽根が組込まれた空気調和機の室内機の縦断面図である。
【図6】上記室内機の吹出口における垂直羽根の配置状態を示す平面模式図である。
【図7】上記垂直羽根を湾曲変形状態としたときの吹出口を流れる空調空気の流れ状態を示す平面模式図である。
【図8】従来の垂直羽根を示すものであって、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)におけるZ−Z線矢視断面図である。
【図9】図8の垂直羽根の湾曲部にいびつな変形が生じた状態を示す斜視図である。
【図10】図8の垂直羽根が並設された空気調和機の吹出口を流れる空調空気の流れ状態を示す平面模式図である。
【符号の説明】
11 吹出口
13 垂直羽根
14 固定フレーム部
15 可動フレーム部
16 湾曲部
21 平坦板
22 開口
25 上下接続部
26 ヒンジ部
Claims (2)
- 空気調和機の吹出口(11)にほぼ垂直に配置され、吹出方向の上流側と下流側との一方に固定フレーム部(14)を、他方に可動フレーム部(15)を各々有すると共に、これら固定フレーム部(14)と可動フレーム部(15)との間に湾曲部(16)を設け、この湾曲部(16)を、可動フレーム部(15)を固定フレーム部(14)回りに移動させることによって湾曲変形可能に形成して成る空気調和機の風向調節用垂直羽根であって、上記湾曲部(16)を、ほぼ上下方向に延びる複数の平坦板(21)がそれぞれヒンジ部(26)を介して上記固定フレーム部(14)と可動フレーム部(15)との間に順次接続された形状に形成すると共に、上記ヒンジ部(26)を、固定フレーム部(14)回りの屈曲性を有するべく平坦板(21)よりも厚さを薄くして形成し、さらに、上記ヒンジ部(26)を各平坦板(21)間に上下に離間させて複数設け、これらヒンジ部(26)間に、上下方向に延びるスリット状の通風可能な開口(22)を形成していることを特徴とする空気調和機の風向調節用垂直羽根。
- 各平坦板(21)に、上下に離間するヒンジ部(26)間の領域で局所的に断面積を小さくして変形能を高めた上下接続部(25)を設けていることを特徴とする請求項1の空気調和機の風向調節用垂直羽根。
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