JP4196429B2 - ホログラムカラーフィルタとそれを用いた反射型カラー液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型カラー液晶表示装置に関し、特に、観察条件に制約を受けず、従来より明るい表示が可能な反射型カラー液晶表示装置とそれに用いられるホログラムカラーフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2に示すような液晶パネル2の背面に反射層8を有する構成で、バックライトを要さず観察者側からの照明光(室内照明や日光などの外部光)9の反射光を視覚するタイプの反射型カラー液晶表示装置が公知である。反射型カラー液晶表示装置は、バックライトを要する透過型カラー液晶表示装置と比較すると、低消費電力化、薄型軽量化、低コスト化などの利点を持つ。
しかし、反射型カラー液晶表示装置は照明光がカラーフィルタを2回通ることと照明光の光強度がバックライトの光強度に比べオーダーが1桁以上小さいことから、透過型カラー液晶表示装置に比べ表示像が暗くなってしまう。
このため照明光の利用効率を向上させる必要があり、近年、反射層の表面凹凸形状の制御や高開口率な液晶パネルの設計およびカラーフィルタの最適化が行われている。
【0003】
反射型カラー液晶表示装置で表示を最も明るくするためには、最も強い光の正反射方向から見るのがよい。しかし、ガラス基板表面での反射(映り込み)12があるため、実際には観察者13は正反射より少しずらして見ることになり、表示輝度が低く高品位な表示ができないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の上記のような問題を鑑みてなされたものであり、その課題は、反射型カラー液晶表示装置において、表示光に所望の特性(拡散性あるいは集光性)を持たせ、且つ照明光の液晶パネル表面での反射とは異なった方向へ表示光を出射させるために、体積型位相透過型ホログラムをカラーフィルタの前面あるいは背面に配置する構成とし、明るい表示が可能な反射型カラー液晶表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するものであり、請求項1の発明は、液晶パネルに対しカラーフィルタの前面あるいは背面に、拡散機能を有する体積型位相透過型ホログラムを配置し、角度選択性により反射型液晶表示装置に入射する照明光が液晶パネルに入射する際にホログラムで回折し、出射する表示光は回折せず透過する事で、視域と出射光の方向を制御して明るく見やすい表示を可能とするホログラムカラーフィルタとしたものである。
【0006】
本発明の請求項2の発明は、液晶パネルに対しカラーフィルタの前面あるいは背面に、拡散機能を有する体積型位相透過型ホログラムを配置し、角度選択性により反射型液晶表示装置に入射する照明光が液晶パネルに入射する際に回折せずに透過し、出射する表示光だけがホログラムで回折する事で、視域と出射光の方向を制御して明るく見やすい表示を可能とするホログラムカラーフィルタとしたものである。
【0007】
本発明の請求項3の発明は、複数種類の前記体積位相透過型ホログラムが、同一感光材料にパターン状に領域分割されて記録された構成であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のホログラムカラーフィルタとしたものである。
【0008】
本発明の請求項4の発明は、異なる複数種類のホログラムが同一感光材料内に多重記録された前記体積位相反射ホログラムであることを特徴とする請求項1あるいは請求項
2に記載のホログラムカラーフィルタとしたものである。
【0009】
本発明の請求項5の発明は、異なる複数種類の前記ホログラムが重ね合わされてなる構成であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のホログラムカラーフィルタとしたものである。
【0010】
本発明の請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のホログラムカラーフィルタを液晶パネルの前面に配置してなる構成の反射型カラー液晶表示装置としたものである。
【0011】
【作用】
液晶パネルに対しカラーフィルタの前面あるいは背面に、体積型位相透過型ホログラムを配置し、表示光が反射型液晶表示装置から出射する際にホログラムで所望の特性(拡散性あるいは集光性)を有する光を回折することで、視域と出射光の方向を制御して明るく見やすい表示を可能とするホログラムカラーフィルタを用いた反射型カラー液晶表示装置を提供する。
【0012】
本発明においてホログラムカラーフィルタとは、カラーフィルタとホログラムを貼り合わせて構成されたものであり、カラーフィルタで分光された光がホログラムにより回折され、所望の方向に所望の輝度分布を有した光を出射させるものである。
【0013】
また請求項2の発明においては、前記ホログラムを体積位相透過型ホログラムとする事で、体積型ホログラムが持つ角度選択性により反射型カラー液晶表示装置に入射する照明光は回折せずに透過し、出射する表示光だけをホログラムで回折する事ができ、光の利用効率が高いホログラムカラーフィルタを用いることによって、より明るい反射型カラー液晶表示装置を提供する。
ここで角度選択性とは特定方向からの入射光に対してのみ、特定方向の回折光を出射するようなホログラムの光学特性であり、ホログラムの撮影の条件に応じて、上記の特定方向は決定される。
【0014】
また請求項3〜5の発明においては、複数種類の前記体積位相透過型ホログラムが、▲1▼同一感光材料にパターン状に領域分割されて記録されるか、▲2▼同一感光材料内に多重記録されるか、▲3▼重ね合わされるか、とした構成にすることにより、反射型カラー液晶表示装置の照明光の入射方向や、観察者の目の位置に依らず、明るい表示を得ることができるホログラムカラーフィルタおよびそれを用いた反射型カラー液晶表示装置を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例により図面を参照して詳述する。
<実施例1>
図1は、本発明のホログラムカラーフィルタ1を用いた反射型カラー液晶表示装置を示す概略図である。ホログラムカラーフィルタ1が液晶パネル2の前面に配置されており、ホログラムカラーフィルタ1は、カラーフィルタ4の背面に体積型位相透過型ホログラム5を配置して構成される。
以下概念的な説明を行うために、同図では、照明光9及び表示光11などはすべて光線で示しており、また、カラーフィルタ4、体積型位相透過型ホログラム5、液晶パネル2との間が離れているが、実際には接着層により接着されて積層されている。
【0016】
照明光9が外部より液晶表示装置に入射すると、まずカラーフィルタ4を通過し、RGBの各波長域に分けられ、体積型位相透過型ホログラム5で回折し、その回折光10は所望の方向に所望の特性(拡散性あるいは集光性)を有しており、次に液晶パネル2に到達し、液晶パネル2により表示情報を含んだ光が反射層8で反射される。この反射光は再び液晶パネル2、体積型位相透過型ホログラム5、及びカラーフィルタ4を順に透過し、観察者13に達する。
【0017】
なお、反射層8が図示のように別体ではなく液晶パネル2の中に画素電極のような形で備えている反射型液晶表示装置の場合も図中の反射層8が無いだけで本発明の効果作用は同じである。
【0018】
また、上記の説明では液晶層7を光の吸収現象を利用したゲストホスト液晶などを利用した場合について述べているが、光の旋光性を利用したツイステッドネマチック液晶などを利用した場合でも、液晶層2の片面あるいは両面に偏光層か必要となるが本発明の効果作用は同じである。
【0019】
本発明ではホログラムを体積位相透過型ホログラムとすることで、体積ホログラムが持つ入射光の角度選択性により、反射型液晶装置において入射光だけがホログラムで高い効率で回折し、逆に反射光ではホログラムで回折しなくすることが出来る。また、その逆も可能である。このため光量の損失が低減され、光の利用効率が高くより明るい表示が可能となる。
【0020】
ここでいう角度選択性とは、特定方向からの入射光に対してのみ、特定方向への回折光を出射するようなホログラムの光学特性であり、ホログラムの撮影記録時の条件に応じて、上記の特定方向は決定される。
【0021】
本発明の請求項3〜5では、体積型位相透過型ホログラムが▲1▼同一感光材料にパターン状に領域分割されて記録されるか、▲2▼同一感光材料内に多重記録されるか、▲3▼重ね合わされるか、とした構成により、カラーフィルタでRGBの各波長域に分けられたそれぞれの光に対して、所望の方向に所望の特性を有した回折光を出射させ、反射型カラー液晶表示装置の照明光の入射方向に依らず、明るい表示を得ることができる。回折光の特性に所望の拡散性を持たせることにより観察者の目の位置に依らず、明るい表示を得ることができ、また、回折光の特性に所望の集光性を持たせることにより所望の観察者位置に明るい表示をすることが可能となる。
【0022】
<実施例2>
図2は体積型位相透過型ホログラムの角度選択性が上記実施例(図1)とは異なる場合に係わる反射型カラー液晶表示装置の実施例を示す概略図であり、その他の構成は図1と同様である。
【0023】
実施例1では体積型位相透過型ホログラム5の角度選択性により照明光(入射光)9が透過回折を行ったが、本実施例では入射光9は体積型位相透過型ホログラム5を透過し、反射層8に到達する。
反射層8で反射された光は、液晶層7、カラーフィルタ4を順に透過し、再び体積型位相透過型ホログラム5に入射する。この光は反射型カラー液晶表示装置の前面から入射した照明光9とは正負が逆の入射角度であり、体積型位相透過型ホログラム5の角度選択性に合致し、所望の方向に所望の特性(拡散性や集光性)を有した光を回折し、観察者13に達する。
【0024】
特定方向からの入射光に対して、特定方向へ所望の特性を有した回折光を出射するようなホログラムの光学特性は、ホログラムの撮影記録時の条件に応じて決定される。
【0025】
拡散性を有する回折光を出射させるホログラムは、1つのレーザー光源から出射されたレーザービームを2つに分け、一方を物体光としてすりガラスを照明した拡散光を、他方を参照光として球面波や平面波にして、その2つの光波の干渉縞をホログラム用感光材料に記録することで得られる。或いは一旦すりガラス等をホログラム撮影したマスターホログラムから再生されるすりガラスの像を再びホログラム記録する所謂2ステップのホログラム記録方法により得ることができる。
【0026】
集光性を有する回折光を出射させるホログラムは、1つのレーザー光源から出射されたレーザービームを2つに分け、一方を発散球面波、他方を平面波にして、その2つの光波の干渉縞をホログラム用感光材料に記録することで得られる。これらの記録方法は当該技術分野においては公知の事実であり、本明細書の中で具体的な記述や図面は割愛する。
【0027】
本発明における体積型位相透過型ホログラムは、上記の2光束ホログラム撮影光学系により、半導体レーザーの532nmの光を用いて、1000番のすりガラスの拡散光を物体光として、アグファゲバルト社製8E56ホログラム用銀塩感光材料に記録したものを、ゲストホスト液晶を用いた反射型カラー液晶表示装置に図2のような構成にて実施した。ここで得られた体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率14の概略図を図4に示す。
【0028】
また、上記の2光束ホログラム撮影光学系により、発散球面波を物体光として、R用体積型位相透過型ホログラム15をヘリウムーネオンレーザーの632.8nmの光を用いて、アグファゲバルト社製8E75ホログラム用銀塩感光材料フィルムに記録し、G用体積型位相透過型ホログラム16を半導体レーザーの532nmの光を用いて、アグファゲバルト社製8E56ホログラム用銀塩感光材料フィルムに記録し、B用体積型位相透過型ホログラム17をアルゴンレーザーの457.9nmの光を用いて、アグファゲバルト社製8E56ホログラム用銀塩感光材料フィルムに記録し、それらを重ね合わせ、ゲストホスト液晶を用いた反射型カラー液晶表示装置に図5のような構成にて実施した。なお、カラーフィルタの各色に対する体積型位相透過型ホログラムの重ね合わせ順序は任意である。ここで得られた体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率18、19、20の概略図を図6に示す。
【0029】
ホログラム撮影用レーザーの波長やホログラム用感光材料或いは液晶表示装置等は上記実施例に限定されるものではなく、たとえばレーザーの波長としては、上記以外に476nm、488nm、514.5nm、647nm等、コヒーレント性の良い単一波長の光であれば使用可能である。
【0030】
また、感光材料としては上記の銀塩感光材料以外に重クロム酸ゼラチンやフォトポリマー等も使用可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、バックライト等の照明装置を有しない反射型カラー液晶表示装置であって、明るく見やすい表示を実現できるような反射型液晶表示装置が提供される。
従来の反射型カラー液晶表示装置では、照明光の液晶パネル表面での反射(映り込み)があるため、実際には観察者は正反射より少しずらして見ることになり、表示輝度が低く高品位な表示ができないという問題点に対して、本発明のホログラムを用いた反射型カラー液晶表示装置によれば、所望の出射方向で所望の視域に表示光を出射させることが可能で、結果として光の利用効率を上げて、明るく見やすい表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラムカラーフィルタを用いた反射型カラー液晶表示装置の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明のホログラムカラーフィルタを用いた反射型カラー液晶表示装置の他の実施形態を示す概略図。
【図3】従来の反射型カラー液晶表示装置の概略図。
【図4】体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率を示す概略図。
【図5】本発明のホログラムカラーフィルタを用いた反射型カラー液晶表示装置の他の実施形態を示す概略図。
【図6】カラーフィルタのRGBの色に対する体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率を示す概略図。
【符号の説明】
1…ホログラムカラーフィルタ
2…液晶パネル
3…ガラス基板
4…カラーフィルタ
5…体積型位相透過型ホログラム
6…対向電極
7…液晶層
8…反射層
9…照明光
10…回折光
11…表示光
12…ガラス基板の表面による正反射光(映り込み)
13…観察者
14…体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率
15…R用体積型位相透過型ホログラム
16…G用体積型位相透過型ホログラム
17…B用体積型位相透過型ホログラム
18…R用体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率
19…G用体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率
20…B用体積型位相透過型ホログラムの分光回折効率
Claims (6)
- 液晶パネルに対しカラーフィルタの前面あるいは背面に、拡散機能を有する体積型位相透過型ホログラムを配置し、角度選択性により反射型液晶表示装置に入射する照明光が液晶パネルに入射する際にホログラムで回折し、出射する表示光は回折せず透過する事で、視域と出射光の方向を制御して明るく見やすい表示を可能とするホログラムカラーフィルタ。
- 液晶パネルに対しカラーフィルタの前面あるいは背面に、拡散機能を有する体積型位相透過型ホログラムを配置し、角度選択性により反射型液晶表示装置に入射する照明光が液晶パネルに入射する際に回折せずに透過し、出射する表示光だけがホログラムで回折する事で、視域と出射光の方向を制御して明るく見やすい表示を可能とするホログラムカラーフィルタ。
- 複数種類の前記体積位相透過型ホログラムが、同一感光材料にパターン状に領域分割されて記録された構成であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のホログラムカラーフィルタ。
- 異なる複数種類のホログラムが同一感光材料内に多重記録された前記体積位相反射ホログラムであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のホログラムカラーフィルタ。
- 異なる複数種類の前記ホログラムが重ね合わされてなる構成であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のホログラムカラーフィルタ。
- 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のホログラムカラーフィルタを液晶パネルの前面に配置してなる構成の反射型カラー液晶表示装置。
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