JP4196020B2 - 型内発泡成形金型、型内発泡成形方法、及び型内発泡成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車バンパ芯材等として使用される型内発泡成形体を製造するための型内発泡成形金型及び型内発泡成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性合成樹脂からなる予備発泡ビーズを用いて型内発泡成形体を製造するための型内発泡成形金型としては、例えば、キャビティ型(中型)及びコア型(中型)と、両中型間に形成される成形空間内に予備発泡ビーズを充填する充填手段と、成形空間内に充填された予備発泡ビーズに水蒸気を供給し、予備発泡ビーズを加熱、発泡、互いに融着させる加熱手段と、両中型の背面側にそれぞれ冷却水を噴霧して型内発泡成形体を冷却する冷却手段とを備え、両中型の背面側にそれぞれチャンバを設けると共に、両中型と成形空間とを連通する多数の通気孔を両中型にそれぞれ形成したものが知られている。
【0003】
このような型内発泡成形金型において、チャンバは、予備発泡ビーズの充填時には成形空間内に予備発泡ビーズと共に供給される空気の排出空間として、予備発泡ビーズの加熱、発泡、融着時には成形空間内に水蒸気を供給するための水蒸気室として、型内発泡成形体の冷却時には両中型の背面側にそれぞれ冷却水を噴霧するための冷却室として、それぞれ機能する。
【0004】
また、多数の通気孔は、予備発泡ビーズの充填時には成形空間内に供給された空気をチャンバ内に排出する通路として、予備発泡ビーズの加熱、発泡、融着時にはチャンバ内に供給された水蒸気を成形空間内に導く通路として、それぞれ機能する。通気孔としては、例えば、キャビティ型やコア型に直接的に形成された直径0.8〜1.5mm程度のコアベントホールや、キャビティ型やコア型に設けた外径7〜12mmの筒状のコアベントに形成された複数のスリット孔又は円孔等がある。なお、コアベントはキャビティ型やコア型に形成した取付孔にはめ込まれており、このコアベントの成形空間側の一端を閉塞する底部に幅0.2〜0.7mm程度のスリット孔又は直径0.2〜0.5mm程度の円孔が複数個形成されている。また、実用化されている型内発泡成形金型としては、例えば、キャビティ型やコア型に上記のような通気孔を15〜50mmのピッチで設けたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の型内発泡成形金型は、以下のような課題を有している。
【0006】
(1)充填密度
キャビティ型とコア型を完全に型閉めした状態で予備発泡ビーズを充填した場合、キャビティ型とコア型の合わせ目が閉塞された状態となるため、充填器から供給された空気は合わせ目付近には流れにくい。そのため、充填器から空気と共に成形空間内に供給される予備発泡ビーズは合わせ目付近には充填されにくく、合わせ目付近に形成される型内発泡成形体の外周部の充填密度が低下するという問題点がある。
【0007】
この問題点を解決するため、例えば、キャビティ型とコア型の合わせ目に外部に連通するように形成される型間通路を利用する方法(特開平11−309734号公報参照)が提案されている。この方法によれば、型内発泡成形体の外周部の充填密度を向上させることができるが、型内発泡成形体の外周部以外の部分に形成される突起部等の充填密度を向上させることはできないという問題点がある。
【0008】
この問題点を解決するため、例えば、型内発泡成形体に突起部を形成するための袋状凹部を設けた金型側のチャンバを成形空間に対してマイナス圧に保持し、予備発泡ビーズの一部を袋状凹部に集中的に充填した後、予備発泡ビーズの残部を成形空間全体に充填する方法(特開2000−6254号公報参照)が提案されている。しかしながら、突起部のサイズは小さいことが多いと共に、袋状凹部を設けた金型には多数の通気孔が存在するため、この方法においては、成形空間内に供給された空気が拡散してチャンバに排出され、突起部の充填密度を向上させるには至っていない。
【0009】
このように、一般的に、成形空間内における充填器から近い領域では、充填器から供給される空気の流れが強いため、充填性は良好である。これに対し、充填器から遠い領域では、空気が金型の通気孔からチャンバに抜けて流れが弱くなるため、充填密度が低下する傾向にある。
【0010】
また、中型における予備発泡ビーズが充填されにくい難充填部に配管を設け、難充填部から空気を集中的に排出する方法(特開2001−96557号公報参照)も提案されている。この方法によれば、難充填部の充填密度を向上させることができるが、型内発泡成形金型の構造が複雑化するため、金型コストの増加に繋がるという問題点がある。
【0011】
ここで、成形空間の各部における充填密度の低下を防止する方法としては、例えば、充填器の数を増加させることが知られている。しかしながら、設備的な制約から、充填器の数を増加させるにも限界がある。また、充填器数の増加により、各充填器から供給される空気の圧力が低下したり、成形空間から空気を十分に排出できなくなったりして、逆に充填密度の低下を招くこともある。
【0012】
このような場合、水蒸気圧の上昇や加熱時間の延長も一般的に行われている。しかしながら、このような過剰な加熱操作によれば、成形空間内の予備発泡ビーズに過剰な発泡力が与えられるため、冷却時間が長くなり、成形サイクル延長による生産性の低下、及び水蒸気や冷却水の消費量増加による生産コストの増加に繋がるという問題点がある。
【0013】
(2)型内発泡成形体の外周部の発泡性・融着性
一般的な型内発泡成形金型では、予備発泡ビーズの充填時と同様、加熱時においても、キャビティ型とコア型の合わせ目付近の空気は水蒸気で置換されにくいため、型内発泡成形体の外周部の発泡性や融着性は低い傾向にある。そのため、上記のような過剰な加熱操作を行っているのが実状であるが、これでは生産性の低下や生産コストの増加に繋がるという問題点がある。
【0014】
(3)メンテナンス性
自動車バンパ芯材を製造するための一般的なキャビティ型やコア型には、合わせて2000〜4000個の通気孔が設けられているが、生産中、通気孔にスケール等の堆積による目詰まりが生じ、充填不良、融着不良、冷却不良、離型不良を引き起こすことが多いため、既述のコアベントの取り替え又は高圧洗浄等の煩雑なメンテナンス作業が定期的に必要であり、生産コストを低減化しにくいという問題点がある。
【0015】
(4)強度
キャビティ型やコア型に多数の通気孔を設ければ、中型の強度が低下し、中型の寿命が短くなるため、中型の肉厚を大きくしたり、補強材の装着等により中型を補強したりしているが、これでは中型の熱容量が大きく、熱伝導が悪いため、加熱や冷却に使用するエネルギーも多く必要であり、生産コストを低減化しにくいという問題点がある。
【0016】
この発明は、以上のような事情や問題点に鑑みてなされたものであり、少ない充填器により均一な充填密度でかつ外周部や突起部等の発泡性及び融着性に優れた型内発泡成形体を製造できると共に、コストダウンを図ることができる型内発泡成形金型、型内発泡成形方法、及び型内発泡成形体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1の型内発泡成形金型は、型閉めにより1対の中型の間に形成される成形空間内に予備発泡ビーズを充填し、成形空間内に水蒸気を供給して予備発泡ビーズを加熱、発泡、互いに融着させることによって、型内発泡成形体を製造できる型内発泡成形金型において、一方の中型のフランジ部と他方の中型のフランジ部との間に、1対の中型の合わせ目に形成されるクリアランスを介して成形空間と連通する型間空洞部を設け、この型間空洞部に用役気体の供給及び排出が可能な用役配管を接続し、前記一方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔をこの一方の中型に15mm以上のピッチで形成すると共に、前記他方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔を、この他方の中型に設けられた予備発泡ビーズが充填されにくい難充填部に形成したものである。
【0018】
請求項2の型内発泡成形金型は、前記一方の中型に形成した通気孔のピッチを30mm以上としたものである。
【0019】
請求項3の型内発泡成形金型は、型間空洞部を複数の空洞部に仕切り、各空洞部に用役配管をそれぞれ接続したものである。
【0020】
請求項4の型内発泡成形金型は、予備発泡ビーズを成形空間内に充填するための充填器と、前記一方の中型又は前記他方の中型に充填器を挿入するために形成された挿入孔との間にクリアランスを設けたものである。
【0021】
請求項5の型内発泡成形金型は、型内発泡成形体を離型するための離型ピンと、前記一方の中型又は前記他方の中型に離型ピンを挿入するために形成された挿入孔との間にクリアランスを設けたものである。
【0022】
請求項6の型内発泡成形金型は、型内発泡成形体に肉抜き孔を形成するために前記一方の中型に設けられた型肉抜き形成部と、前記肉抜き孔を形成するために前記他方の中型に設けられた肉抜き形成部との間に、これら1対の肉抜き形成部の合わせ目に形成されるクリアランスを介して成形空間と連通する独立空洞部を設けると共に、この独立空洞部と前記一方の中型側のチャンバ又は前記他方の中型側のチャンバとを連通する通気孔を1対の肉抜き形成部の少なくともいずれか一方に形成したものである。
【0023】
請求項7の型内発泡成形金型は、前記他方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔を前記難充填部にのみ形成したものである。
【0024】
また、請求項8の型内発泡成形方法は、請求項1乃至6のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、少なくとも型間空洞部の空気圧及び他方の中型側のチャンバの空気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの充填を行うものである。
【0025】
請求項9の型内発泡成形方法は、前記一方の中型側のチャンバを型間空洞部及び前記他方の中型側のチャンバよりも高い空気圧に保持しながら、予備発泡ビーズの充填を行うものである。
【0026】
請求項10の型内発泡成形方法は、請求項1乃至6のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、 型間空洞部の水蒸気圧、前記一方の中型側のチャンバの水蒸気圧、及び前記他方の中型側のチャンバの水蒸気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの加熱を行うものである。
【0027】
請求項11の型内発泡成形方法は、請求項1乃至6のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、型内発泡成形体を製造した後、型間空洞部の水蒸気圧を低下させてから、前記一方の中型側のチャンバの水蒸気圧及び前記他方の中型側のチャンバの水蒸気圧を低下させるものである。
【0028】
更に、請求項12の型内発泡成形体は、請求項8乃至11のいずれか記載の型内発泡成形方法により得られるものである。
【0029】
請求項13の型内発泡成形体は、自動車バンパ芯材である。
【0030】
請求項14の型内発泡成形体は、ポリオレフィン系樹脂からなる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る型内発泡成形金型1は、例えば、成形型(1対の中型)として対向配置されたキャビティ型(一方の中型)2及びコア型(他方の中型)3と、型閉めによりキャビティ型2とコア型3との間に形成される成形空間4内に圧送空気によって予備発泡ビーズ5を充填する充填手段と、成形空間4内に水蒸気を供給して予備発泡ビーズ5を加熱、発泡、互いに融着させる加熱手段と、製造された型内発泡成形体を冷却する冷却手段とを備えたものであって、キャビティ型2のフランジ部2aとコア型3のフランジ部3aとの間に型間空洞部6を設け、この型間空洞部6に用役配管を接続し、通気孔7をキャビティ型2に15mm以上のピッチで形成すると共に、通気孔7をコア型3の難充填部8に形成したものである。
【0032】
キャビティ型2及びコア型3は、枠状フレーム10と裏板11とを有するハウジング12にそれぞれ取り付けられている。また、キャビティ型2の背面側やコア型3の背面側には、通気孔7を介して成形空間4と連通するチャンバ13,14がそれぞれ設けられている。
【0033】
チャンバ13,14には、用役配管として、蒸気供給管20やドレン管21がそれぞれ接続されており、蒸気弁SV1,SV2を介して水蒸気を供給できると共に、ドレン弁DV1,DV2を介して空気、水蒸気、凝縮水(いわゆるドレン)、冷却水を排出できるようになっている。冷却水は、冷却手段としてチャンバ13,14内にそれぞれ設けられ、冷却水弁CV1、CV2を介して冷却水供給管22にそれぞれ接続された冷却水配管23,24の複数の冷却水ノズル25から、キャビティ型2の背面側やコア型3の背面側にそれぞれ噴霧される。
【0034】
予備発泡ビーズ5の材質としては、製造される型内発泡成形体の使用条件等に応じた物性のものを選択すればよいが、ポリオレフィン系樹脂を好適に採用できる。即ち、予備発泡ビーズ5から製造される型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂で構成されていれば、リサイクルが容易であるという利点がある。そのため、特に、大量に廃棄される自動車バンパ芯材等においては、リサイクルにより廃棄物量を大幅に低減化することができる。予備発泡ビーズ5の発泡倍率としては、材質にもよるが、3〜90倍が適当である。予備発泡ビーズ5の粒径としては、1〜10mmが適当である。
【0035】
ポリオレフィン系樹脂は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等を使用できる。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、ホモポリプロピレン等が挙げられる。プロピレンと共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン等の炭素数2〜8のα−オレフィン単量体、ノルボルネン系モノマー等の環状オレフィン、酢酸ビニル等のビニルアルコールエステル、メチルメタクリレート,エチルアクリルレート,ヘキシルアクリルレート等のアルキル基の炭素数が1〜6のアクリル酸アルキルエステル、ビニルアルコール、メタクリル酸、塩化ビニル等が挙げられる。これらの単量体のうち、共重合体の発泡性、融着性、機械的強度、耐熱性、柔軟性のバランスに優れたものとなるエチレンを好適に使用できる。これらの単量体は、プロピレンとの共重合に単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、このようなポリプロピレン系樹脂は、無架橋のものでもよいし、パーオキサイドや放射線等によって架橋したものでもよい。ポリエチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、架橋低密度ポリエチレン(架橋LDPE)等が挙げられる。
【0036】
型間空洞部6は、キャビティ型2のフランジ部2aとコア型3のフランジ部3aとの間に、キャビティ型2とコア型3の合わせ目に形成されるクリアランス6aを介して成形空間4と連通するように設けられている。この型間空洞部6にも、用役配管として、蒸気供給管20やドレン管21が接続されており、蒸気弁SV3を介して水蒸気を供給できると共に、ドレン弁DV3を介して空気、水蒸気、凝縮水を排出できるようになっている。なお、用役配管とは、蒸気供給管20やドレン管21等、型間空洞部6やチャンバ13,14に対し、空気や水蒸気等の型内発泡成形に使用される用役気体の供給及び排出が可能な配管である。
【0037】
通気孔7は、例えば、外径7〜12mmの筒状のコアベントに形成された複数のスリット孔又は円孔等から構成されている。なお、コアベントはキャビティ型2やコア型3に形成した取付孔にはめ込まれ、このコアベントの成形空間4側の一端を閉塞する底部に幅0.2〜0.7mm程度のスリット孔又は直径0.2〜0.5mm程度の円孔が複数個形成されている。キャビティ型2には、チャンバ13と成形空間4とを連通する通気孔7が15mm以上のピッチで形成されている。この場合、通気孔7のピッチは15〜100mmが適当であるが、メンテナンス性、強度、予備発泡ビーズ5の発泡性・融着性等を考慮すれば、30〜75mm、より好ましくは50〜75mmであるのが望ましい。なお、通気孔7の構成は特に限定されるものではなく、その他にキャビティ型2やコア型3に直接的に形成されたコアベントホール等であってもよい。
【0038】
一方、コア型3に設けられた予備発泡ビーズ5が充填されにくい難充填部8には、チャンバ14と成形空間4とを連通する通気孔7が形成されている。難充填部8としては、例えば、型内発泡成形体の突起部を形成するための凹部3bの奥部、予備発泡ビーズ5を成形空間4内に充填するための充填器26から離れた遠隔部の奥部等が挙げられる。なお、難充填部8は、コア型3の代わりにキャビティ型2に設けてもよい。ここで、製造される型内発泡成形体が自動車バンパ芯材であれば、難充填部8は一般的にコア型3に設けられるが、自動車バンパ芯材を製造するために難充填部8をコア型3に設けた場合は、コア型3における通気孔7は難充填部8にのみ形成しておくのが望ましい。逆に、自動車バンパ芯材等の型内発泡成形体を製造するために難充填部8をキャビティ型2に設けた場合は、キャビティ型2における通気孔7は難充填部8にのみ形成しておくのが望ましい。即ち、凹部3b等に形成される型内発泡成形体の突起部等を自動車等への取付部材として使用する場合、上記のようにして難充填部8を設けた中型における通気孔7を難充填部8にのみ形成しておけば、自動車バンパ芯材等の型内発泡成形体の表面のうち、難充填部8を設けた中型に接触していた面の突起部等以外の部分には通気孔7の跡が残らないので、自動車バンパ芯材等の取付精度を向上できるという利点がある。
【0039】
ここで、充填器26と、キャビティ型2又はコア型3に充填器26を挿入するために形成された挿入孔27との間にクリアランス26aを設けておけば、このクリアランス26aを通気孔として使用できるという利点がある。同様に、製造された型内発泡成形体を離型するための離型ピン28と、キャビティ型2又はコア型3に離型ピン28を挿入するために形成された挿入孔29との間にクリアランス28aを設けておけば、このクリアランス28aを通気孔として使用することができる。
【0040】
充填手段は、上記のような充填器26を備えており、圧送空気により充填器26を介して成形空間4内に予備発泡ビーズ5が供給及び充填される。この際、少なくとも型間空洞部6の空気圧及び例えばコア型3側のチャンバ14の空気圧を制御しながら予備発泡ビーズ5の充填を行えば、成形空間4内の空気の流れを制御できるので、均一な充填密度の型内発泡成形体を製造できるという利点がある。
【0041】
なお、上記の操作においては、成形空間4は大気圧よりも高い空気圧に保持される。また、空気圧の制御は、少なくとも型間空洞部6及び難充填部8が設けられた例えばコア型3に対して個別に設定された空気圧、必要に応じて更に難充填部8が設けられていない例えばキャビティ型2側のチャンバ13に対しても設定された空気圧を、ドレン弁DV1〜3で調整することによって行われる。
【0042】
ここで、例えばキャビティ型2側のチャンバ13を型間空洞部6及びコア型3側のチャンバ14よりも高い空気圧に保持しながら予備発泡ビーズ5の充填を行えば、成形空間4内に圧送された空気が、クリアランス6aを介して型間空洞部6に排出され易いと共に、コア型3の難充填部8に形成した通気孔7を介してコア型3側のチャンバ14に排出され易いので、クリアランス6a付近に形成される型内発泡成形体の外周部や、コア型3の凹部3b等に形成される型内発泡成形体の突起部等における予備発泡ビーズの充填密度を確実に向上させることができるという利点がある。
【0043】
キャビティ型2側のチャンバ13を型間空洞部6及びコア型3側のチャンバ14よりも高い空気圧に保持するには、例えば、ドレン弁DV2,DV3から空気を排出させるが、ドレン弁DV1からは空気を排出させないようにすればよい。あるいは、ドレン弁DV1〜3の全てから空気を排出させると共に、キャビティ型2側のチャンバ13が型間空洞部6及びコア型3側のチャンバ14よりも高い空気圧となるように調整すればよい。
【0044】
なお、コア型3やキャビティ型2に凹部3bの奥部等の難充填部8が設けられていない場合、型間空洞部6をチャンバ13,14よりも低い空気圧に保持しながら予備発泡ビーズ5の充填を行えば、成形空間4内に圧送された空気がクリアランス6aを介して型間空洞部6に排出され易いので、クリアランス6a付近に形成される型内発泡成形体の外周部における充填密度を確実に向上させることができる。この場合も同様に、ドレン弁DV3から空気を排出させるが、ドレン弁DV1,DV2からは空気を排出させないようにすればよい。あるいは、ドレン弁DV1〜3の全てから空気を排出させると共に、型間空洞部6がチャンバ13,14よりも低い空気圧となるように調整すればよい。
【0045】
加熱手段は、上記のような蒸気供給管20を備えており、基本的には蒸気弁SV1,SV2,SV3及びドレン弁DV1,DV2,DV3の操作により、型間空洞部6やチャンバ13,14を介して成形空間4内に水蒸気を供給し、成形空間4内に充填された予備発泡ビーズ5全体に水蒸気が行き渡るように構成されている。
【0046】
蒸気弁SV1,SV2,SV3は、供給する水蒸気の水蒸気圧を制御できるようになっており、基本的には加熱の初期は低い水蒸気圧とされ、加熱の進行に伴って水蒸気圧が徐々に高められる。水蒸気圧を高める方法としては、例えば、段階的に高める方法や、時間の経過と共に線形的に高める方法等が挙げられる。
【0047】
次に、型内発泡成形金型1を用いる型内発泡成形方法について説明する。
この型内発泡成形方法は、完全に型閉めした後で成形空間4内に予備発泡ビーズ5を充填する充填工程と、成形空間4内に充填された予備発泡ビーズ5を加熱、発泡、互いに融着させる加熱工程と、製造された型内発泡成形体を冷却する冷却工程とを有している。
【0048】
充填工程においては、既述のように、少なくとも型間空洞部6の空気圧及び例えばコア型3側のチャンバ14の空気圧を制御する。また、必要に応じて、例えばキャビティ型2側のチャンバ13を型間空洞部6及びコア型3側のチャンバ14よりも高い空気圧に保持する。
【0049】
加熱工程は、型間空洞部6内やチャンバ13,14内の空気を水蒸気に置換する予備加熱工程と、成形空間4内に充填された予備発泡ビーズ5の間隙の空気を水蒸気に置換する流通加熱工程と、型内発泡成形金型1全体の水蒸気圧を高めることにより予備発泡ビーズ5を加熱、発泡、互いに融着させる本加熱の工程とを有している。
【0050】
なお、加熱工程においては、型間空洞部6の水蒸気圧、キャビティ型2側のチャンバ13の水蒸気圧、及びコア型3側のチャンバ14の水蒸気圧を制御する。これにより、成形空間内の水蒸気の流れを制御できるので、発泡性及び融着性に優れた型内発泡成形体を製造できるという利点がある。
【0051】
予備加熱工程においては、ドレン弁DV1,DV2を開けた状態で蒸気弁SV1,SV2を開け、チャンバ13,14内に水蒸気を供給し、チャンバ13,14内の空気を外部に排出することにより水蒸気に置換する。型間空洞部6においては、チャンバ13,14と水蒸気等の用役気体の供給構造が異なるので、次の通流加熱工程で水蒸気置換を行う。
【0052】
流通加熱工程においては、蒸気弁SV1,SV2,SV3及びドレン弁DV1,DV2,DV3を使用して成形空間4に充填された予備発泡ビーズ5の間隙の空気を水蒸気に置換する。この場合、基本的には、水蒸気が供給される蒸気弁と連通するドレン弁を閉じ、成形空間4を介して他のドレン弁に水蒸気を流せばよい。
【0053】
なお、蒸気弁SV1,SV2,SV3及びドレン弁DV1,DV2,DV3の開閉の組み合わせにより種々の方法があるが、成形空間4に充填された予備発泡ビーズ5が、供給された水蒸気の流れにより移動しないようにするのが望ましい。即ち、型内発泡成形体に形成される薄肉部や角部等においては、予備発泡ビーズ5が移動し易いので、薄肉部や角部等に形成される部分と近接する蒸気弁からは水蒸気を供給しないようにするのが好ましい。また、供給する水蒸気の水蒸気圧も低めに設定するのが好ましい。
【0054】
例えば、ドレン弁DV2,DV3を開き、蒸気弁SV1を開いてキャビティ型2側のチャンバ13内に水蒸気を供給する。この水蒸気は、キャビティ型2の通気孔7やクリアランス26a、28aを介して成形空間4内に供給され、予備発泡ビーズ5の間隙の空気と共に、キャビティ型2とコア型3の合わせ目のクリアランス6aやコア型3の通気孔7を介して型間空洞部6やコア型3側のチャンバ14に排出され、ドレン弁DV2,DV3を介して外部に排出される。これにより、成形空間4内に充填された予備発泡ビーズ5の間隙の空気は水蒸気に置換される。
【0055】
本加熱の工程においては、例えば、ドレン弁DV1,DV2,DV3全てを閉じ、蒸気弁SV1,SV2を開くことによりチャンバ13,14に水蒸気を供給し、型内発泡成形金型1全体の水蒸気圧を高め、予備発泡ビーズ5を加熱、発泡、互いに融着させる。
【0056】
この際、型間空洞部6の水蒸気圧は、成形空間4からクリアランス6aを介して排出される水蒸気により高められるが、蒸気弁SV3を開いて更に水蒸気圧を高めてもよい。この場合、キャビティ型2とコア型3の合わせ目付近に充填された予備発泡ビーズ5の移動を防止するために、型間空洞部6の水蒸気圧がチャンバ13,14の各水蒸気圧よりも早く上昇しないように制御するのが望ましい。
【0057】
冷却工程においては、まず、型内発泡成形金型1内の水蒸気圧を低下させる。水蒸気圧を低下させる方法としては、例えば、冷却水弁CV1,CV2を開き、冷却水ノズル25から冷却水をキャビティ型2の背面側やコア型3の背面側に噴霧し、チャンバ13,14内の水蒸気を凝縮させることによる方法や、ドレン弁DV1,DV2,DV3を開いて外部に水蒸気を排出することによる方法等が挙げられる。
【0058】
型内発泡成形体を製造した直後はその形状保持が不十分であるので、この際、型間空洞部6の水蒸気圧を低下させてから、チャンバ13,14の各水蒸気圧を低下させれば、キャビティ型2とコア型3の合わせ目付近に形成された型内発泡成形体の外周部に押圧による成形不良が発生するのを防止できるという利点がある。
【0059】
例えば、型内発泡成形金型1内の水蒸気圧を低下させると同時に又はその前に、ドレン弁DV3を開き、型間空洞部6の水蒸気圧を低下させる。
【0060】
その後、ドレン弁DV1,DV2,DV3を開いた状態で冷却水弁CV1,CV2を開き、冷却水ノズル25から冷却水を噴霧することにより、キャビティ型2及びコア型3を介して成形空間4内の型内発泡成形体を冷却する。また、キャビティ型2やコア型3に形成した通気孔7、キャビティ型2とコア型3の合わせ目のクリアランス6aから成形空間4内に冷却水が流入するので、冷却水により直接的にも型内発泡成形体が冷却される。なお、冷却水が流入する通気孔7の数は従来の型内発泡成形金型と比較して極端に少ないので、冷却された型内発泡成形体の含水率を従来品の1/3以下にすることもできる。
【0061】
冷却後は、型開きをし、離型ピン28を押し出して型内発泡成形体を型内発泡成形金型1から取り出す。
【0062】
図3及び図4に示すように、第2実施形態に係る型内発泡成形金型31は、第1実施形態において、例えばコア型3のフランジ部3aにそれぞれ突設された2つの仕切部材32等により型間空洞部6を例えば2つの空洞部33に仕切り、各空洞部33に用役配管をそれぞれ接続したものである。
【0063】
各空洞部33には、蒸気供給管20やドレン管21がそれぞれ接続されており、蒸気供給管SV4,SV5を介して水蒸気を供給できると共に、ドレン弁DV4,DV5を介して空気や凝縮水を排出できるようになっている。各空洞部33は、キャビティ型2とコア型3の合わせ目のクリアランス6aを介してそれぞれ成形空間4と連通している。
【0064】
なお、空洞部33の数は特に限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。また、仕切部材32等は、キャビティ型2のフランジ部2a等に突設してもよい。
【0065】
このような型内発泡成形金型31によれば、成形空間4内の空気の流れを更に細かく制御できるという利点がある。
【0066】
図5に示すように、第3実施形態に係る型内発泡成形金型41は、第2実施形態において、型内発泡成形体に肉抜き孔を形成するためにキャビティ型2に設けられた肉抜き形成部42と、前記肉抜き孔を形成するためにコア型3に設けられた肉抜き形成部43との間に、これら1対の肉抜き形成部42,43の合わせ目に形成されるクリアランス44aを介して成形空間4と連通する独立空洞部44を設けると共に、この独立空洞部44とキャビティ型2側のチャンバ13又はコア型3側のチャンバ14とを連通する通気孔7を肉抜き形成部42,43の例えば両方に形成したものである。
【0067】
1対の肉抜き形成部42,43は、はまり込み構造となっている。この実施形態においては、キャビティ型2側の肉抜き形成部42が凹状に、コア型3側の肉抜き形成部43が凸状に形成されているが、これに限定されるものではなく、図6に示す例(第1実施形態の型内発泡成形金型1に近似する例)のように、凹凸がその逆になるように形成してもよい。また、通気孔7は、肉抜き形成部42,43のいずれか一方だけに形成してもよい。
【0068】
いずれにしても、独立空洞部44はクリアランス44aを介して成形空間4と連通しているので、成形空間4内に供給された空気や水蒸気は、独立空洞部44と連通するクリアランス44a及び通気孔7を介してキャビティ型2側のチャンバ13やコア型3側のチャンバ14に排出される。そのため、第1及び第2実施形態と同様に、クリアランス44a付近に形成される型内発泡成形体の肉抜き孔の周囲部における充填性、発泡性、融着性を向上させることができるという利点がある。
【0069】
なお、以上の実施形態において、クリアランス6a,26a,28a,44aの開口幅は、充填する予備発泡ビーズ5の外径寸法以下であれば、特に制限はないが、型内発泡成形時における予備発泡ビーズ5の膨張によるクリアランス6a,26a,28a,44aからのはみ出し、及びそれに伴う製造後のバリ跡等の発生を少なくして型内発泡成形体の仕上がりを良好にするには、開口幅をできる限り狭くするのが好ましい一方、開口幅を狭くすれば用役気体の通過抵抗が大きくなることから、開口幅は0.1〜1.5mmに設定するのが望ましい。
【0070】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明するが、この発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0071】
〔実施例1〜20〕
型内発泡成形体として、長さ1350mm×幅200mm×厚み30〜80mmの自動車バンパ芯材51(図7参照)を製造した。キャビティ型やコア型の通気孔として、コアベントを使用した。コアベントは、キャビティー型には50mmピッチ、コア型には図7の示す2つの突起部52をそれぞれ形成するための2つの凹部の奥部にのみ設けた。成形機としては、型間空洞部と連通するクリアランスから成形空間内に水蒸気を供給する機能及び成形空間から水蒸気や空気を排出する機能を有する耐圧5MPaのものを使用した。予備発泡ビーズとしては、鐘淵化学工業株式会社製の「エペラン−PP LBS13.5」(嵩密度57g/L)及び「エペラン−PP LBS18」(嵩密度43g/L)を使用し、圧縮充填での成形を行った。
【0072】
まず、充填器数と充填器位置を変更した場合の結果を表1及び表2に示す。
表1はLBS13.5原料を使用し、型内発泡成形体の平均密度を81.8g/Lとしたときの結果であり、表2はLBS18原料を使用し、型内発泡成形体の平均密度を60.0g/Lとしたときの結果である。表中の充填器位置は、図7に示す二点鎖線の円の位置に対応している。型内発泡成形体の密度分布は、型内発泡成形体を長手方向に12等分して各ピースの密度を測定した結果である。表中の突起部や外周部は、図7に示す突起部52や外周部53の密度をそれぞれ測定した結果である。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
実施例1〜20で製造された型内発泡成形体においては、充填器の数や位置にほとんど関係なく、均一な密度となっている。また、表1及び表2から明らかなように、予備発泡ビーズの嵩密度によらず、少ない充填器で均一に充填することができた。
【0076】
〔比較例1〜14〕
実施例1〜20で使用したものと同形状のキャビティ型やコア型を使用したが、キャビティ型とコア型にコアベントをそれぞれ15mmピッチで設けた。その他は、実施例1〜20と同様の操作を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0077】
比較例1〜14では、密度を均一にするためには、充填器数を増加させるという方策を取る必要があった。しかし、充填器数を増加させても、突起部52や外周部53の密度は他の部分に比べて低かった。更に、充填器の位置により、密度分布は大きく変わった。基本的には、充填器が配置されている部分の密度は高く、充填器から遠い部分や突起部52、外周部53の密度は低くなった。
【0078】
〔実施例21〜25〕
コアベントのピッチによる充填性や融着性の影響を調べた結果を表3に示す。
実施例1〜20と同じキャビティ型やコア型を使用し、キャビティ型の適宜のコアベントを盲コアベントに交換することによりコアベントのピッチを調整した。また、2本の充填器(図7に示す▲2▼,▲5▼の位置)を使用した。予備発泡ビーズとしては、実施例1〜10と同じ鐘淵化学工業株式会社製の「エペラン−PP LBS13.5」(嵩密度57g/L)を使用し、圧縮充填での成形を行った。
【0079】
得られた成形品について、充填性及び融着性の評価をそれぞれ行った(発泡ビーズ:型内発泡成形後の予備発泡ビーズ)。
【0080】
〔充填性〕
下記の基準に従い、成形品表面の目視観察により評価した。
◎:発泡ビーズ間の空隙がほとんど見られない状態
○:発泡ビーズ間の空隙が若干見られる状態
△:発泡ビーズ間の空隙が目立つものの、発泡ビーズの剥離、点融着は見られない状態
×:発泡ビーズが剥離し、成形品を得ることができない状態
【0081】
〔融着性〕
成形品を割り、発泡ビーズの破壊程度により融着率を測定した。具体的には、発泡ビーズ界面で破壊した場合には未融着、発泡ビーズ内部で破壊した場合には融着しているとみなし、全体の発泡ビーズ個数に対する融着した発泡ビーズ個数の割合(融着率,%)から下記の基準に従って判断した。
◎:優良な状態 融着率70%以上
○:良好な状態 融着率60〜70%
△:合格品質の低限界 融着率40〜60%
×:不可(不良レベル) 融着率40%以下
【0082】
【表3】
【0083】
実施例23〜25では、コアベントのピッチを大きくしても、良好な品質のものが得られている。特に、均一性においては、従来品より優れたものが得られるようになった。また、キャビティ型とコア型のコアベント数の合計は、50〜95個であった。更に、コアベントには、スケールが堆積しにくくなっていた。
【0084】
〔比較例15〜19〕
比較例1〜14と同じキャビティ型及びコア型を使用し、実施例21〜25と同様に盲コアベントを用いてコアベントのピッチの変更を行った。また、良好な充填を行うために、6本の充填器(図7に示す▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼の位置)を使用して行った。その結果を表3に示す。
【0085】
この結果より、比較例15〜19では、コアベントのピッチが大きくなれば、良好な品質のものが得られなくなった。特に、比較例17〜19では、不良品レベルとなった。また、キャビティ型とコア型のコアベント数の合計は、600個以上であった。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、型間空洞部を設け、この型間空洞部に用役配管を接続し、通気孔をキャビティ型等の前記一方の中型に15mm以上のピッチで形成すると共に、通気孔をコア型等の前記他方の中型に設けられた難充填部に形成しているので、少ない充填器により均一な充填密度でかつ外周部や突起部等の発泡性及び融着性に優れた型内発泡成形体を製造できると共に、コストダウンを図ることができる。
【0087】
請求項2の発明によれば、前記一方の中型に形成した通気孔のピッチを30mm以上としているので、メンテナンス性、強度、予備発泡ビーズの発泡性・融着性等が更に優れたものとなる。
【0088】
請求項3の発明によれば、型間空洞部を複数の空洞部に仕切り、各空洞部に用役配管をそれぞれ接続しているので、成形空間内の空気の流れを更に細かく制御できる。
【0089】
請求項4及び請求項5の発明によれば、充填器や離型ピンと挿入孔との間にクリアランスを設けているので、このクリアランスを通気孔として使用できる。
【0090】
請求項6の発明によれば、前記一方の中型側の型肉抜き形成部と前記他方の中型側の肉抜き形成部との間に、これら1対の肉抜き形成部の合わせ目に形成されるクリアランスを介して成形空間と連通する独立空洞部を設けると共に、この独立空洞部と前記一方の中型側のチャンバ又は前記他方の中型側のチャンバとを連通する通気孔を1対の肉抜き形成部の少なくともいずれか一方に形成しているので、クリアランス付近に形成される型内発泡成形体の肉抜き孔の周囲部における充填性、発泡性、融着性を向上させることができる。
【0091】
請求項7の発明によれば、前記他方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔を前記難充填部にのみ形成しているので、前記凹部等に形成される型内発泡成形体の突起部等を自動車等への取付部材として使用する場合、自動車バンパ芯材等の型内発泡成形体の表面のうち、難充填部を設けた他方の中型に接触していた面の突起部等以外の部分には通気孔の跡が残らない。そのため、自動車バンパ芯材等の自動車等への取付精度を向上できる。
【0092】
請求項8の発明によれば、少なくとも型間空洞部の空気圧及び前記他方の中型側のチャンバの空気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの充填を行うので、成形空間内の空気の流れを制御でき、均一な充填密度の型内発泡成形体を製造することができる。
【0093】
請求項9の発明によれば、前記一方の中型側のチャンバを型間空洞部及び前記他方の中型側のチャンバよりも高い空気圧に保持しながら、予備発泡ビーズの充填を行うので、成形空間内に圧送された空気が、クリアランスを介して型間空洞部に排出され易いと共に、前記他方の中型の難充填部に形成した通気孔を介してこの他方の中型側のチャンバに排出され易い。そのため、クリアランス付近に形成される型内発泡成形体の外周部や、前記他方の中型の凹部等に形成される型内発泡成形体の突起部等における充填密度を確実に向上させることができる。
【0094】
請求項10の発明によれば、型間空洞部の水蒸気圧、前記一方の中型側のチャンバの水蒸気圧、及び前記他方の中型側のチャンバの水蒸気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの加熱を行うので、成形空間内の水蒸気の流れを制御でき、発泡性及び融着性に優れた型内発泡成形体を製造できる。
【0095】
請求項11の発明によれば、型内発泡成形体を製造した後、型間空洞部の水蒸気圧を低下させてから、1対の中型の各水蒸気圧を低下させるので、1対の中型の合わせ目付近に形成された型内発泡成形体の外周部に押圧による成形不良が発生するのを防止できる。
【0096】
請求項12及び請求項13の発明によれば、既述の型内発泡成形方法により得られるものであるので、均一な充填密度であると共に、外周部や突起部等の発泡性及び融着性に優れている。
【0097】
請求項14の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂からなるので、リサイクルが容易である。そのため、特に、大量に廃棄される自動車バンパ芯材等においては、リサイクルにより廃棄物量を大幅に低減化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る型内発泡成形金型の概略構成図。
【図2】図1のX−X線断面図。
【図3】第2実施形態に係る型内発泡成形金型の概略構成図。
【図4】図1のY−Y線断面図。
【図5】第3実施形態に係る型内発泡成形金型の概略構成図。
【図6】1対の肉抜き形成部の凹凸を逆にした例を示す概略構成図。
【図7】 (a)は実施例1〜25及び比較例1〜19で製造した型内発泡成形体の正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)のZ−Z線端面図。
【符号の説明】
1,31,41 型内発泡成形金型
2 キャビティ型(一方の中型)
2a フランジ部
3 コア型(他方の中型)
3a フランジ部
4 成形空間
5 予備発泡ビーズ
6 型間空洞部
6a クリアランス
7 通気孔
8 難充填部
13,14 チャンバ
20 蒸気供給管(用役配管)
21 ドレン管(用役配管)
26 充填器
26a クリアランス
27 挿入孔
28 離型ピン
28a クリアランス
29 挿入孔
33 空洞部
42,43 肉抜き形成部
44 独立空洞部
44a クリアランス
Claims (14)
- 型閉めにより1対の中型の間に形成される成形空間内に予備発泡ビーズを充填し、成形空間内に水蒸気を供給して予備発泡ビーズを加熱、発泡、互いに融着させることによって、型内発泡成形体を製造できる型内発泡成形金型において、
一方の中型のフランジ部と他方の中型のフランジ部との間に、1対の中型の合わせ目に形成されるクリアランスを介して成形空間と連通する型間空洞部を設け、
この型間空洞部に用役気体の供給及び排出が可能な用役配管を接続し、
前記一方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔をこの一方の中型に15mm以上のピッチで形成すると共に、
前記他方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔を、この他方の中型に設けられた予備発泡ビーズが充填されにくい難充填部に形成した
ことを特徴とする型内発泡成形金型。 - 前記一方の中型に形成した通気孔のピッチを30mm以上とした請求項1記載の型内発泡成形金型。
- 型間空洞部を複数の空洞部に仕切り、各空洞部に用役配管をそれぞれ接続した請求項1又は2記載の型内発泡成形金型。
- 予備発泡ビーズを成形空間内に充填するための充填器と、前記一方の中型又は前記他方の中型に充填器を挿入するために形成された挿入孔との間にクリアランスを設けた請求項1乃至3のいずれか記載の型内発泡成形金型。
- 型内発泡成形体を離型するための離型ピンと、前記一方の中型又は前記他方の中型に離型ピンを挿入するために形成された挿入孔との間にクリアランスを設けた請求項1乃至4のいずれか記載の型内発泡成形金型。
- 型内発泡成形体に肉抜き孔を形成するために前記一方の中型に設けられた型肉抜き形成部と、前記肉抜き孔を形成するために前記他方の中型に設けられた肉抜き形成部との間に、これら1対の肉抜き形成部の合わせ目に形成されるクリアランスを介して成形空間と連通する独立空洞部を設けると共に、この独立空洞部と前記一方の中型側のチャンバ又は前記他方の中型側のチャンバとを連通する通気孔を1対の肉抜き形成部の少なくともいずれか一方に形成した請求項1乃至5のいずれか記載の型内発泡成形金型。
- 前記他方の中型の背面側に設けられたチャンバと成形空間とを連通する通気孔を前記難充填部にのみ形成した請求項1乃至6のいずれか記載の型内発泡成形金型。
- 請求項1乃至7のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、
少なくとも型間空洞部の空気圧及び他方の中型側のチャンバの空気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの充填を行うことを特徴とする型内発泡成形方法。 - 前記一方の中型側のチャンバを型間空洞部及び前記他方の中型側のチャンバよりも高い空気圧に保持しながら、予備発泡ビーズの充填を行う請求項8記載の型内発泡成形方法。
- 請求項1乃至7のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、
型間空洞部の水蒸気圧、前記一方の中型側のチャンバの水蒸気圧、及び前記他方の中型側のチャンバの水蒸気圧を制御しながら、予備発泡ビーズの加熱を行うことを特徴とする型内発泡成形方法。 - 請求項1乃至7のいずれか記載の型内発泡成形金型を用いる型内発泡成形方法において、
型内発泡成形体を製造した後、型間空洞部の水蒸気圧を低下させてから、前記一方の中型側のチャンバの水蒸気圧及び前記他方の中型側のチャンバの水蒸気圧を低下させることを特徴とする型内発泡成形方法。 - 請求項8乃至11のいずれか記載の型内発泡成形方法により得られる型内発泡成形体。
- 自動車バンパ芯材である請求項12記載の型内発泡成形体。
- ポリオレフィン系樹脂からなる請求項12又は13記載の型内発泡成形体。
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