JP2001088157A - ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法 - Google Patents
ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法Info
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- JP2001088157A JP2001088157A JP26651299A JP26651299A JP2001088157A JP 2001088157 A JP2001088157 A JP 2001088157A JP 26651299 A JP26651299 A JP 26651299A JP 26651299 A JP26651299 A JP 26651299A JP 2001088157 A JP2001088157 A JP 2001088157A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 成形品の外観の美麗性を向上しつつ、成形品
内部の融着率を調整可能とし、生産性と商品価値を両立
させるとともに、成形品のうちの充填器に対面する部分
の成形性を向上し得るポリオレフィン系樹脂の型内発泡
成形装置及び型内発泡成形方法を提供する。 【解決手段】 成形品外面の目立つ場所を成形する成形
部に、コアベント及びコアベントホールなどの通気孔が
存在しないコア型2及びキャビティ型3と、成形空間4
内に予備発泡ビーズ5を充填するための充填器23であ
って、先端部に先端側へ行くにしたがって縮径する凸型
部61を形成したピストン60を有する充填器23とを
備え、ピストン60により充填器23の成形空間4側の
供給孔57を閉鎖した状態で、凸型部61が成形空間4
内に突出するように構成した。
内部の融着率を調整可能とし、生産性と商品価値を両立
させるとともに、成形品のうちの充填器に対面する部分
の成形性を向上し得るポリオレフィン系樹脂の型内発泡
成形装置及び型内発泡成形方法を提供する。 【解決手段】 成形品外面の目立つ場所を成形する成形
部に、コアベント及びコアベントホールなどの通気孔が
存在しないコア型2及びキャビティ型3と、成形空間4
内に予備発泡ビーズ5を充填するための充填器23であ
って、先端部に先端側へ行くにしたがって縮径する凸型
部61を形成したピストン60を有する充填器23とを
備え、ピストン60により充填器23の成形空間4側の
供給孔57を閉鎖した状態で、凸型部61が成形空間4
内に突出するように構成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂からなる予備発泡ビーズを用いた型内発泡成形装置
及び型内発泡成形方法に関する。
樹脂からなる予備発泡ビーズを用いた型内発泡成形装置
及び型内発泡成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性合成樹脂からなる予備発泡ビー
ズを用いて成形品を製作する型内発泡成形装置として、
図10に示すように、対向配置した1組みの成形型10
0、101を備え、両成形型100、101の背面側に
チャンバ102、103をそれぞれ形成するとともに、
両成形型100、101にチャンバ102、103と成
形空間104とを連通する多数の通気孔105、106
をそれぞれ形成し、通気孔105、106を介して後述
する加熱蒸気などの用役流体を成形空間104に供給し
たり成形空間104から排出したりするものが実用化さ
れている。なお、この事例では、それぞれのチャンバ1
02、103の上部に加熱用蒸気などを供給するための
上部用役口107、108を設け、下部に減圧ポンプあ
るいはドレン配管に接続された下部用役口109、11
0を設けて、成形空間104に対して蒸気を供給するよ
うに構成されている。
ズを用いて成形品を製作する型内発泡成形装置として、
図10に示すように、対向配置した1組みの成形型10
0、101を備え、両成形型100、101の背面側に
チャンバ102、103をそれぞれ形成するとともに、
両成形型100、101にチャンバ102、103と成
形空間104とを連通する多数の通気孔105、106
をそれぞれ形成し、通気孔105、106を介して後述
する加熱蒸気などの用役流体を成形空間104に供給し
たり成形空間104から排出したりするものが実用化さ
れている。なお、この事例では、それぞれのチャンバ1
02、103の上部に加熱用蒸気などを供給するための
上部用役口107、108を設け、下部に減圧ポンプあ
るいはドレン配管に接続された下部用役口109、11
0を設けて、成形空間104に対して蒸気を供給するよ
うに構成されている。
【0003】また、成形型100、101に透設された
多数の通気孔105、106は、実際には、図11、図
12に例示するように、0.5mmφ程度の丸孔や幅
0.5mm程度のスリットからなる貫通孔を複数個透設
した外径7〜12mmの蓋を有する筒体からなるコアベ
ント111を、成形型100、101に孔明け配置した
コアベント取付孔112に嵌め込んで形成したものと、
成形型100,101に直接的に形成した0.5mmφ
程度のコアベントホール113とで構成され、これらの
通気孔105、106は、成形型100、101に20
〜50mmのピッチで設けられている。
多数の通気孔105、106は、実際には、図11、図
12に例示するように、0.5mmφ程度の丸孔や幅
0.5mm程度のスリットからなる貫通孔を複数個透設
した外径7〜12mmの蓋を有する筒体からなるコアベ
ント111を、成形型100、101に孔明け配置した
コアベント取付孔112に嵌め込んで形成したものと、
成形型100,101に直接的に形成した0.5mmφ
程度のコアベントホール113とで構成され、これらの
通気孔105、106は、成形型100、101に20
〜50mmのピッチで設けられている。
【0004】このような型内発泡成形装置を用いて、予
備発泡させた予備発泡ビーズを成形空間104内に充填
した後、加熱用蒸気で加熱し、発泡融着させ、冷却固化
させて、所定形状の発泡成形体として取り出すのである
が、この発泡成形における通気孔105、106の役割
について、さらに説明する。特開昭57−174223
号公報には、図13に示すような工程図が記載されてお
り、その(a)〜(e)は、成形型内の空気及び予備発
泡ビーズ間の空気を蒸気と置換するための予熱排気工程
を表示しており、以下の具体的内容について説明する。
尚、この図では、黒塗りつぶしの弁記号は閉弁状態を、
白抜き弁記号は開放状態を示す。
備発泡させた予備発泡ビーズを成形空間104内に充填
した後、加熱用蒸気で加熱し、発泡融着させ、冷却固化
させて、所定形状の発泡成形体として取り出すのである
が、この発泡成形における通気孔105、106の役割
について、さらに説明する。特開昭57−174223
号公報には、図13に示すような工程図が記載されてお
り、その(a)〜(e)は、成形型内の空気及び予備発
泡ビーズ間の空気を蒸気と置換するための予熱排気工程
を表示しており、以下の具体的内容について説明する。
尚、この図では、黒塗りつぶしの弁記号は閉弁状態を、
白抜き弁記号は開放状態を示す。
【0005】(a)は排気工程で、成形空間104内に
予備発泡ビーズを充填した後、ごく短時間、蒸気を上部
用役口107、108からチャンバ102、103に供
給するとともに、下部用役口109、110から成形型
内の特にチャンバ102、103内の空気を吸引排出し
て内部の排気をする。この場合、チャンバ102、10
3内を蒸気でプラス圧に高め、通気孔105、106を
通じて予備発泡ビーズ間にも一旦蒸気を侵入させる。
(b)は両側排気工程で、上部用役口107、108を
閉じて、吸引減圧操作を継続して成形型内を減圧状態に
すれば、予備発泡ビーズ間の空間に存在していた空気も
両側の成形型に設けられている通気孔105、106を
経由して吸引され排出される。
予備発泡ビーズを充填した後、ごく短時間、蒸気を上部
用役口107、108からチャンバ102、103に供
給するとともに、下部用役口109、110から成形型
内の特にチャンバ102、103内の空気を吸引排出し
て内部の排気をする。この場合、チャンバ102、10
3内を蒸気でプラス圧に高め、通気孔105、106を
通じて予備発泡ビーズ間にも一旦蒸気を侵入させる。
(b)は両側排気工程で、上部用役口107、108を
閉じて、吸引減圧操作を継続して成形型内を減圧状態に
すれば、予備発泡ビーズ間の空間に存在していた空気も
両側の成形型に設けられている通気孔105、106を
経由して吸引され排出される。
【0006】(c)は片側予熱工程で、下部用役口10
9、110を閉じて、減圧状態になった一方のチャンバ
103側の上部用役口108から短時間、蒸気を供給す
る。この場合、供給された蒸気は、成形型101の通気
孔106、成形空間104内の予備発泡ビーズ間、成形
型100の通気孔105に順に透過して反対側のチャン
バ102に流入することになり、予備発泡ビーズと成形
型100、101各部の全体が予熱されることになる。
(d)は、蒸気の流れ方向を逆にした片側予熱工程で、
チャンバ102側から同様な操作を行い、成形空間10
4内の空気を完全に排除するとともに、双方の成形型1
00、101の部分的温度差を可及的に少なくしながら
予熱する。
9、110を閉じて、減圧状態になった一方のチャンバ
103側の上部用役口108から短時間、蒸気を供給す
る。この場合、供給された蒸気は、成形型101の通気
孔106、成形空間104内の予備発泡ビーズ間、成形
型100の通気孔105に順に透過して反対側のチャン
バ102に流入することになり、予備発泡ビーズと成形
型100、101各部の全体が予熱されることになる。
(d)は、蒸気の流れ方向を逆にした片側予熱工程で、
チャンバ102側から同様な操作を行い、成形空間10
4内の空気を完全に排除するとともに、双方の成形型1
00、101の部分的温度差を可及的に少なくしながら
予熱する。
【0007】(e)は融着加熱工程であり、融着加熱用
蒸気を双方のチャンバ102、103に供給して、成形
型100、101を加熱するとともに、それぞれの成形
型100、101の通気孔105、106を通して予備
発泡ビーズをも加熱し、発泡を完了させるとともに相互
に融着させ、発泡成形体を形成させる。
蒸気を双方のチャンバ102、103に供給して、成形
型100、101を加熱するとともに、それぞれの成形
型100、101の通気孔105、106を通して予備
発泡ビーズをも加熱し、発泡を完了させるとともに相互
に融着させ、発泡成形体を形成させる。
【0008】また、成形空間への予備発泡ビーズの充填
方法としては、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮
充填法などが広く採用されている。
方法としては、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮
充填法などが広く採用されている。
【0009】クラッキング充填法は、コア型並びにキャ
ビティ型に配置されたコアベントからだけでは、充填時
に使用する空気を十分に排気できないときに採用する方
法で、充填時に、コア型とキャビティ型とを完全に型閉
めせず(クラッキング)、例えば成形品の底肉厚の10
%だけ開けておき、コア型とキャビティ型間の隙間から
も充填時に使用する空気を排出する方法である。
ビティ型に配置されたコアベントからだけでは、充填時
に使用する空気を十分に排気できないときに採用する方
法で、充填時に、コア型とキャビティ型とを完全に型閉
めせず(クラッキング)、例えば成形品の底肉厚の10
%だけ開けておき、コア型とキャビティ型間の隙間から
も充填時に使用する空気を排出する方法である。
【0010】加圧充填法は、予備発泡ビーズを収容した
原料タンク内を0.2〜1.5kg/cm2 程度に加
圧し、キャビティ内をコアベント及びチャンバを通じて
大気圧に開放した状態で、原料タンクとキャビテイとの
差圧を利用して、キャビティ内に予備発泡ビーズを搬送
して充填する方法である。圧縮充填法は、原料タンク内
の圧力pを加圧充填法よりも高めの1.0〜5.0kg
/cm2 程度に加圧し、一方のチャンバ内を加圧し
て、ベントホールを通じて連通しているキャビティ内圧
力p1の差圧(p−p1)を変化させて、予備発泡ビー
ズを搬送して充填する方法である。
原料タンク内を0.2〜1.5kg/cm2 程度に加
圧し、キャビティ内をコアベント及びチャンバを通じて
大気圧に開放した状態で、原料タンクとキャビテイとの
差圧を利用して、キャビティ内に予備発泡ビーズを搬送
して充填する方法である。圧縮充填法は、原料タンク内
の圧力pを加圧充填法よりも高めの1.0〜5.0kg
/cm2 程度に加圧し、一方のチャンバ内を加圧し
て、ベントホールを通じて連通しているキャビティ内圧
力p1の差圧(p−p1)を変化させて、予備発泡ビー
ズを搬送して充填する方法である。
【0011】前述した3つの充填方法では、充填操作の
終了時点で充填器114内の予備発泡ビーズを原料タン
クに還流させ、充填器114の先端を閉鎖するところの
ブローバックといわれるステップが設けられている。
終了時点で充填器114内の予備発泡ビーズを原料タン
クに還流させ、充填器114の先端を閉鎖するところの
ブローバックといわれるステップが設けられている。
【0012】このブローバックについて、図14を参照
してさらに説明すると、先ず、充填器114は予備発泡
ビーズが通過する充填パイプ部120とプランジャ部1
21から構成され、その先端は、チャンバ102を貫通
してキャビティ型100の供給孔122に接続されてい
る。そして、原料タンク123と充填器114の間に
は、充填管124が接続され、予備発泡ビーズが両成形
型100、101の間の成形空間104内に送り込まれ
るよう設定されている。
してさらに説明すると、先ず、充填器114は予備発泡
ビーズが通過する充填パイプ部120とプランジャ部1
21から構成され、その先端は、チャンバ102を貫通
してキャビティ型100の供給孔122に接続されてい
る。そして、原料タンク123と充填器114の間に
は、充填管124が接続され、予備発泡ビーズが両成形
型100、101の間の成形空間104内に送り込まれ
るよう設定されている。
【0013】このように配置して、原料タンク123内
の圧力に対して、成形空間104内の圧力をマイナスに
調整すれば、この差圧によって予備発泡ビーズは、図1
4(a)に示すように、原料タンク123から充填管1
24、充填器114の充填パイプ部120を通って、成
形空間104内に送り込まれるのである。この場合、送
入される予備発泡ビーズを成形空間104内に円滑に送
入し、隅々まで行き届くように予備発泡ビーズを付勢す
るために、充填エア弁125から加圧された充填エアを
導入し、充填パイプ部120の先端部分で噴出孔126
から図14(a)に矢印で例示したように噴出させてい
る。
の圧力に対して、成形空間104内の圧力をマイナスに
調整すれば、この差圧によって予備発泡ビーズは、図1
4(a)に示すように、原料タンク123から充填管1
24、充填器114の充填パイプ部120を通って、成
形空間104内に送り込まれるのである。この場合、送
入される予備発泡ビーズを成形空間104内に円滑に送
入し、隅々まで行き届くように予備発泡ビーズを付勢す
るために、充填エア弁125から加圧された充填エアを
導入し、充填パイプ部120の先端部分で噴出孔126
から図14(a)に矢印で例示したように噴出させてい
る。
【0014】かくして、送入された予備発泡ビーズで成
形空間104が満たされた状態、例えば図14(b)の
状態になると、充填エア弁125から導入された充填エ
アは、充填され密に詰まった予備発泡ビーズが障壁とな
って、噴出孔126からUターンして充填パイプ部12
0を逆流するようになる。この気流の流れによって充填
パイプ部120中にあった予備発泡ビーズは充填管12
4の方に押し戻され、空になるのである。この工程がブ
ローバック工程のうち、通称、自然ブローバックといわ
れる工程である。
形空間104が満たされた状態、例えば図14(b)の
状態になると、充填エア弁125から導入された充填エ
アは、充填され密に詰まった予備発泡ビーズが障壁とな
って、噴出孔126からUターンして充填パイプ部12
0を逆流するようになる。この気流の流れによって充填
パイプ部120中にあった予備発泡ビーズは充填管12
4の方に押し戻され、空になるのである。この工程がブ
ローバック工程のうち、通称、自然ブローバックといわ
れる工程である。
【0015】この自然ブローバックによって、充填パイ
プ部120中の予備発泡ビーズが排除された後、プラン
ジャ部121に収納してあるプランジャシャフト127
を押し出し、図14(c)に示すように、そのプランジ
ャ先端128を押しつけることによってキャビティ型1
00の供給孔122を封鎖する。かくして、予備発泡ビ
ーズは成形空間104内に封入された状態で充填される
のである。さらに、充填管124中に残留する予備発泡
ビーズについても、ブローバックして完全に原料タンク
123に還流させて、充填工程が終了する。
プ部120中の予備発泡ビーズが排除された後、プラン
ジャ部121に収納してあるプランジャシャフト127
を押し出し、図14(c)に示すように、そのプランジ
ャ先端128を押しつけることによってキャビティ型1
00の供給孔122を封鎖する。かくして、予備発泡ビ
ーズは成形空間104内に封入された状態で充填される
のである。さらに、充填管124中に残留する予備発泡
ビーズについても、ブローバックして完全に原料タンク
123に還流させて、充填工程が終了する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】前述のように成形型1
00、101に形成されている通気孔105、106
は、予備発泡ビーズ間の空気の排出通路として、或いは
加熱蒸気の供給通路などとして、均質な発泡成形体を得
るための重要な役割を果しているのであるが、一方、以
下のような問題点も認識されている。 (1)成形型に多数の通気孔を透設したことによる成形
型の強度低下を補うため、アルミニウム合金型材からな
る成形型の肉厚を例えば8〜12mmと厚肉に設定する
必要があるが、このように構成すると、成形型の熱容量
が大きくなり、加熱冷却の熱効率が低下したり、昇温、
降温の速度が遅くなることから、制御精度が低くなるな
どの不具合がある。
00、101に形成されている通気孔105、106
は、予備発泡ビーズ間の空気の排出通路として、或いは
加熱蒸気の供給通路などとして、均質な発泡成形体を得
るための重要な役割を果しているのであるが、一方、以
下のような問題点も認識されている。 (1)成形型に多数の通気孔を透設したことによる成形
型の強度低下を補うため、アルミニウム合金型材からな
る成形型の肉厚を例えば8〜12mmと厚肉に設定する
必要があるが、このように構成すると、成形型の熱容量
が大きくなり、加熱冷却の熱効率が低下したり、昇温、
降温の速度が遅くなることから、制御精度が低くなるな
どの不具合がある。
【0017】(2)一般的な1対の成形型において20
00〜4000個の通気孔が設けられているので、孔あ
け作業が煩雑で加工コストが高くなるうえ、コアベント
は成形型に形成した取付孔に対して手作業で取付けるた
め、その作業が煩雑であり、しかも型表面の損傷が避け
られず、余分な手直し作業も必要である。
00〜4000個の通気孔が設けられているので、孔あ
け作業が煩雑で加工コストが高くなるうえ、コアベント
は成形型に形成した取付孔に対して手作業で取付けるた
め、その作業が煩雑であり、しかも型表面の損傷が避け
られず、余分な手直し作業も必要である。
【0018】(3)コアベントやコアベントホールなど
の通気孔にスケールなどの目詰まりが生じて、加熱不
良、離型不良、冷却不良が生じるので、コアベントの取
り替えまたは定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメン
テナンス作業が必要である。 (4)発泡成形品の表面に通気孔の跡が付くので、成形
品の外観の美麗性を低下させる要因になるとともに、外
面に対して印刷等を施す場合には通気孔の跡が邪魔にな
って綺麗に印刷できない。 (5)成形後、チャンバ内に冷却水を噴霧して発泡成形
品を冷却するため、通気孔を通じて水分が成形空間内に
浸透し、成形品の内部にまで6〜10%程度含水するこ
とになり、乾燥工程が必要であった。また、成形品に冷
却水が直接的に接触するので、衛生的な成形品を得るた
めには、冷却水を清浄な状態に管理する必要がある。
の通気孔にスケールなどの目詰まりが生じて、加熱不
良、離型不良、冷却不良が生じるので、コアベントの取
り替えまたは定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメン
テナンス作業が必要である。 (4)発泡成形品の表面に通気孔の跡が付くので、成形
品の外観の美麗性を低下させる要因になるとともに、外
面に対して印刷等を施す場合には通気孔の跡が邪魔にな
って綺麗に印刷できない。 (5)成形後、チャンバ内に冷却水を噴霧して発泡成形
品を冷却するため、通気孔を通じて水分が成形空間内に
浸透し、成形品の内部にまで6〜10%程度含水するこ
とになり、乾燥工程が必要であった。また、成形品に冷
却水が直接的に接触するので、衛生的な成形品を得るた
めには、冷却水を清浄な状態に管理する必要がある。
【0019】(6)チャンバから成形空間内へ蒸気を通
して予備発泡ビーズを同じ加熱条件で加熱し、発泡融着
させる関係上、このようにして得られる成形品(以下、
等加熱成形品と称する)においては、ビーズの融着率に
依存して表面性が変化する。具体的には、融着率が低く
なると表面性が悪化し、融着率が高くなると表面性が良
好になる。一方、等加熱成形品におけるビーズの融着率
は、高く設定するほど成形品の機械的強度などの物性が
向上するが、加熱、発泡融着時間及び冷却時間が長くな
り、成形のサイクルタイムが全体的に長くなって生産性
が低下するという問題がある。
して予備発泡ビーズを同じ加熱条件で加熱し、発泡融着
させる関係上、このようにして得られる成形品(以下、
等加熱成形品と称する)においては、ビーズの融着率に
依存して表面性が変化する。具体的には、融着率が低く
なると表面性が悪化し、融着率が高くなると表面性が良
好になる。一方、等加熱成形品におけるビーズの融着率
は、高く設定するほど成形品の機械的強度などの物性が
向上するが、加熱、発泡融着時間及び冷却時間が長くな
り、成形のサイクルタイムが全体的に長くなって生産性
が低下するという問題がある。
【0020】また、このようなことから前述の成形技術
では、成形品におけるビーズの融着率を、例えば40%
〜80%に設定し、表面性を良好にして外観の美麗性を
確保するとともに、融着率を十分に確保して機械的強度
を確保するようにしているが、機械的強度に対する要求
の低い成形品においても、外観の美麗性を確保するた
め、ある程度融着率を高く設定する必要あり、その分成
形のサイクルタイムが長くなって、生産性が低下すると
いう問題がある。尚、ここで使用する融着率とは、成形
品を割ってみて、その破断面におけるビーズの状態を評
価したものであり、具体的にはビーズ自体が破損するこ
となく、ビーズの表面に沿って割れているものを融着し
ていないとみなし、ビーズ自体が破損して割れているも
のを融着しているとみなして、ビーズ自体が破損してい
るものの割合を測定して求めたものである。
では、成形品におけるビーズの融着率を、例えば40%
〜80%に設定し、表面性を良好にして外観の美麗性を
確保するとともに、融着率を十分に確保して機械的強度
を確保するようにしているが、機械的強度に対する要求
の低い成形品においても、外観の美麗性を確保するた
め、ある程度融着率を高く設定する必要あり、その分成
形のサイクルタイムが長くなって、生産性が低下すると
いう問題がある。尚、ここで使用する融着率とは、成形
品を割ってみて、その破断面におけるビーズの状態を評
価したものであり、具体的にはビーズ自体が破損するこ
となく、ビーズの表面に沿って割れているものを融着し
ていないとみなし、ビーズ自体が破損して割れているも
のを融着しているとみなして、ビーズ自体が破損してい
るものの割合を測定して求めたものである。
【0021】このように、前記発泡成形方法において
は、コアベントやコアベントホールなどの通気孔を活用
して蒸気や空気などの用役流体を成形空間内に供給し、
あるいは成形空間から排出することで、発泡成形品を得
るように構成されているが、通気孔を設けるが故、前述
のような多数の問題が発生しているのが実状である。
は、コアベントやコアベントホールなどの通気孔を活用
して蒸気や空気などの用役流体を成形空間内に供給し、
あるいは成形空間から排出することで、発泡成形品を得
るように構成されているが、通気孔を設けるが故、前述
のような多数の問題が発生しているのが実状である。
【0022】本発明者らは、これらの課題を根本的に解
決すべく、通気孔の無い成形型を用いた発泡成形方法の
実用化について鋭意検討し、種々の試験を行った。成形
型から通気孔を無くするとはいっても、成形空間に対し
て蒸気や空気などの用役流体を供給或いは排出するため
のコアベントやコアベントホールに代わる通路は必須で
あるので、このような通路を何処に、どの様に形成する
かが問題であり、またこの様な通路に対してどの様なタ
イミングで、またどの様な条件で用役流体を供給するの
かなど、解決しなければならない課題が山積されてい
る。
決すべく、通気孔の無い成形型を用いた発泡成形方法の
実用化について鋭意検討し、種々の試験を行った。成形
型から通気孔を無くするとはいっても、成形空間に対し
て蒸気や空気などの用役流体を供給或いは排出するため
のコアベントやコアベントホールに代わる通路は必須で
あるので、このような通路を何処に、どの様に形成する
かが問題であり、またこの様な通路に対してどの様なタ
イミングで、またどの様な条件で用役流体を供給するの
かなど、解決しなければならない課題が山積されてい
る。
【0023】また、前述した従来の充填方法では、発泡
成形体の前記供給孔122の位置に相当する部分に部分
的に過充填現象が発生して、結果、発泡成形体製品の形
状不良あるいは外観不良につながるという問題があっ
た。このような過充填現象が起きる理由は、自然ブロー
バックの時点で、充填器114の充填パイプ部120を
通って成形空間104内に送り込まれる予備発泡ビーズ
が供給孔122において、図14(b)に示されるよう
に、成形空間104側に吸着されながら充填器114側
に盛り上がった形に余剰の予備発泡ビーズが堆積すると
推測されるが、この余剰の予備発泡ビーズの固まりが、
この供給孔122を封鎖するときに、図14(c)のよ
うに、平坦なプランジャ先端128によって、成形空間
104内に充填されている予備発泡ビーズ間に押し込ま
れることになり、その部分の密度が異常に上昇すること
に原因があるものと推測された。そこで、この過充填現
象を防止する目的で、噴出孔126から噴出する充填エ
アの圧力、噴出角度、時間などを調整して余剰予備発泡
ビーズの固まりが堆積しないよう対策を試みたが、ブロ
ーバックの処理時間が長時間となる、充填エアを多量に
消費するなど不具合が付随して発生するにもかかわら
ず、過充填の改善効果が不十分であり、この問題を解消
するに至らなかった。
成形体の前記供給孔122の位置に相当する部分に部分
的に過充填現象が発生して、結果、発泡成形体製品の形
状不良あるいは外観不良につながるという問題があっ
た。このような過充填現象が起きる理由は、自然ブロー
バックの時点で、充填器114の充填パイプ部120を
通って成形空間104内に送り込まれる予備発泡ビーズ
が供給孔122において、図14(b)に示されるよう
に、成形空間104側に吸着されながら充填器114側
に盛り上がった形に余剰の予備発泡ビーズが堆積すると
推測されるが、この余剰の予備発泡ビーズの固まりが、
この供給孔122を封鎖するときに、図14(c)のよ
うに、平坦なプランジャ先端128によって、成形空間
104内に充填されている予備発泡ビーズ間に押し込ま
れることになり、その部分の密度が異常に上昇すること
に原因があるものと推測された。そこで、この過充填現
象を防止する目的で、噴出孔126から噴出する充填エ
アの圧力、噴出角度、時間などを調整して余剰予備発泡
ビーズの固まりが堆積しないよう対策を試みたが、ブロ
ーバックの処理時間が長時間となる、充填エアを多量に
消費するなど不具合が付随して発生するにもかかわら
ず、過充填の改善効果が不十分であり、この問題を解消
するに至らなかった。
【0024】本発明の目的は、成形品の外観の美麗性を
向上しつつ、成形品内部の融着率を調整可能とし、生産
性と商品価値を両立させるとともに、成形品のうちの充
填器に対面する部分の成形性を向上し得るポリオレフィ
ン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法を提
供することである。
向上しつつ、成形品内部の融着率を調整可能とし、生産
性と商品価値を両立させるとともに、成形品のうちの充
填器に対面する部分の成形性を向上し得るポリオレフィ
ン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法を提
供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段及びその作用】請求項1に
係るポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置は、成形
品外面の目立つ場所を成形する成形部に、コアベント及
びコアベントホールなどの通気孔が存在しないコア型及
びキャビティ型と、成形空間内に予備発泡ビーズを充填
するための充填器であって、先端部に先端側へ行くにし
たがって縮径する凸型部を形成したピストンを有する充
填器とを備え、ピストンにより充填器の成形空間側の供
給孔を閉鎖した状態で、凸型部が成形空間内に突出する
ものである。
係るポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置は、成形
品外面の目立つ場所を成形する成形部に、コアベント及
びコアベントホールなどの通気孔が存在しないコア型及
びキャビティ型と、成形空間内に予備発泡ビーズを充填
するための充填器であって、先端部に先端側へ行くにし
たがって縮径する凸型部を形成したピストンを有する充
填器とを備え、ピストンにより充填器の成形空間側の供
給孔を閉鎖した状態で、凸型部が成形空間内に突出する
ものである。
【0026】この成形装置においては、成形品外面の目
立つ場所を成形する成形部に通気孔を形成しないコア型
とキャビティ型を備えているので、成形品表面に形成さ
れる通気孔の跡は、成形品表面の目立たない場所に配置
されることになり、成形品表面の美麗性を向上できる。
また、この成形装置においては、コア型とキャビティ型
の通気孔を完全あるいは略完全になくして、コア型の背
面側のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバ
と、成形空間とに対してそれぞれ個別に用役流体を制御
することも可能である。例えば、用役流体として蒸気を
制御して、それぞれの空間の加熱条件を独立に調整する
と、両チャンバに供給する蒸気により、成形空間内に充
填された予備発泡ビーズのコア型及びキャビティ型に接
する表面性をそれぞれ調整でき、また成形空間に供給す
る蒸気により、成形空間内に充填された予備発泡ビーズ
を加熱、発泡融着して、表面性とは独立に予備発泡ビー
ズの融着率を調整できることになる。このため、成形品
内部の融着率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短
縮しつつ、表面美麗な成形品を製作することが可能とな
り、生産性と商品価値の両立を図ることが可能となる。
立つ場所を成形する成形部に通気孔を形成しないコア型
とキャビティ型を備えているので、成形品表面に形成さ
れる通気孔の跡は、成形品表面の目立たない場所に配置
されることになり、成形品表面の美麗性を向上できる。
また、この成形装置においては、コア型とキャビティ型
の通気孔を完全あるいは略完全になくして、コア型の背
面側のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバ
と、成形空間とに対してそれぞれ個別に用役流体を制御
することも可能である。例えば、用役流体として蒸気を
制御して、それぞれの空間の加熱条件を独立に調整する
と、両チャンバに供給する蒸気により、成形空間内に充
填された予備発泡ビーズのコア型及びキャビティ型に接
する表面性をそれぞれ調整でき、また成形空間に供給す
る蒸気により、成形空間内に充填された予備発泡ビーズ
を加熱、発泡融着して、表面性とは独立に予備発泡ビー
ズの融着率を調整できることになる。このため、成形品
内部の融着率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短
縮しつつ、表面美麗な成形品を製作することが可能とな
り、生産性と商品価値の両立を図ることが可能となる。
【0027】また、ポリオレフィン系樹脂からなる予備
発泡ビーズを用いているので、成形空間に対する予備発
泡ビーズの充填性を十分に確保することが可能となる。
つまり、本成形装置においては、両チャンバと成形空間
とにおける用役流体を精度よく制御するためには、成形
型に通気孔を設けないことが最も好ましいが、このよう
に構成すると予備発泡ビーズの充填用エアの流れに乱れ
が発生し易くなり、予備発泡ビーズの充填性の低下が懸
念されるが、ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビ
ーズは、素材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高い
ことから、同一発泡倍率のポリスチレン系樹脂からなる
予備発泡ビーズよりも格段に粒子形状が変形しやすく充
填性の改善に寄与するので、全体的な充填性の低下を効
果的に防止できる。
発泡ビーズを用いているので、成形空間に対する予備発
泡ビーズの充填性を十分に確保することが可能となる。
つまり、本成形装置においては、両チャンバと成形空間
とにおける用役流体を精度よく制御するためには、成形
型に通気孔を設けないことが最も好ましいが、このよう
に構成すると予備発泡ビーズの充填用エアの流れに乱れ
が発生し易くなり、予備発泡ビーズの充填性の低下が懸
念されるが、ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビ
ーズは、素材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高い
ことから、同一発泡倍率のポリスチレン系樹脂からなる
予備発泡ビーズよりも格段に粒子形状が変形しやすく充
填性の改善に寄与するので、全体的な充填性の低下を効
果的に防止できる。
【0028】更に、充填器のピストンの先端部に、充填
器の成形空間側の供給孔を閉鎖した状態で、成形空間内
に突出する凸型部を形成しているので、予備発泡ビーズ
の充填完了後、ピストンで供給孔を閉鎖すると、凸型部
の体積分だけ予備発泡ビーズが多めに押し込まれること
になり、一見ピストン対面位置の予備発泡ビーズの充填
密度が高くなりそうに思えるが、この凸型部は先端側へ
行くにしたがって縮径するように形成されているので、
ブローバック後において充填器内に残存する予備発泡ビ
ーズは、ピストンの対面する部分だけでなくその外側の
成形空間内にも押し込まれて分散される。このため、従
来のようにピストン先端の平坦面で予備発泡ビーズを押
し込む場合と比較して、ピストンに対面する部分の充填
密度が過剰に高くなることを防止して、該部分における
ビーズ同士の融着不良を防止できる。
器の成形空間側の供給孔を閉鎖した状態で、成形空間内
に突出する凸型部を形成しているので、予備発泡ビーズ
の充填完了後、ピストンで供給孔を閉鎖すると、凸型部
の体積分だけ予備発泡ビーズが多めに押し込まれること
になり、一見ピストン対面位置の予備発泡ビーズの充填
密度が高くなりそうに思えるが、この凸型部は先端側へ
行くにしたがって縮径するように形成されているので、
ブローバック後において充填器内に残存する予備発泡ビ
ーズは、ピストンの対面する部分だけでなくその外側の
成形空間内にも押し込まれて分散される。このため、従
来のようにピストン先端の平坦面で予備発泡ビーズを押
し込む場合と比較して、ピストンに対面する部分の充填
密度が過剰に高くなることを防止して、該部分における
ビーズ同士の融着不良を防止できる。
【0029】請求項2記載のように、通気孔をコア型及
びキャビティ型から完全に省略してもよい。この場合に
は、コア型の背面側のチャンバと、キャビティ型の背面
側のチャンバと、成形空間との3つの空間の加熱条件を
より厳密に設定できるとともに、通気孔の跡の無い美麗
な表面の成形品が得られるので好ましい。しかも、通気
孔が無いことから、冷却時に両チャンバに噴霧した冷却
水が成形品に接することを防止して、冷却水が接するこ
とによる成形品の含水率の上昇を防止できる。また、冷
却水が成形品に直接的に接触しないので、冷却水を清浄
な状態に高度に管理しなくても、衛生的な成形品を得る
ことが可能となる。
びキャビティ型から完全に省略してもよい。この場合に
は、コア型の背面側のチャンバと、キャビティ型の背面
側のチャンバと、成形空間との3つの空間の加熱条件を
より厳密に設定できるとともに、通気孔の跡の無い美麗
な表面の成形品が得られるので好ましい。しかも、通気
孔が無いことから、冷却時に両チャンバに噴霧した冷却
水が成形品に接することを防止して、冷却水が接するこ
とによる成形品の含水率の上昇を防止できる。また、冷
却水が成形品に直接的に接触しないので、冷却水を清浄
な状態に高度に管理しなくても、衛生的な成形品を得る
ことが可能となる。
【0030】請求項3記載のように、凸型部が、半球
状、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状のいずれかの
形状に構成してもよい。このような形状の凸型部は、ピ
ストン対面位置の予備発泡ビーズを円滑にピストン対面
位置外へ押し込むことが可能なので、ピストンに対面す
る部分の充填密度が過剰に高くなることを防止して、該
部分におけるビーズ同士の融着不良を防止できる。
状、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状のいずれかの
形状に構成してもよい。このような形状の凸型部は、ピ
ストン対面位置の予備発泡ビーズを円滑にピストン対面
位置外へ押し込むことが可能なので、ピストンに対面す
る部分の充填密度が過剰に高くなることを防止して、該
部分におけるビーズ同士の融着不良を防止できる。
【0031】請求項4記載のように、凸型部の成形空間
内への突出長さ2〜10mmに設定するのがよい。凸型
部の成形空間内への突出長さは、10mmを越えると成
形品に大きな凹部が形成され、成形品の見栄性が低下
し、2mm未満では充填器内の予備発泡ビーズを成形空
間に十分に分散させることができず、ピストン対面位置
の予備発泡ビーズが過充填状態になるので、2〜10m
mに設定することが好ましい。
内への突出長さ2〜10mmに設定するのがよい。凸型
部の成形空間内への突出長さは、10mmを越えると成
形品に大きな凹部が形成され、成形品の見栄性が低下
し、2mm未満では充填器内の予備発泡ビーズを成形空
間に十分に分散させることができず、ピストン対面位置
の予備発泡ビーズが過充填状態になるので、2〜10m
mに設定することが好ましい。
【0032】請求項5に係るポリオレフィン系樹脂の型
内発泡成形方法は、請求項1〜4のいずれか1項記載の
型内発泡成形装置を用い、充填器によりポリオレフィン
系樹脂からなる予備発泡ビーズを成形空間内に充填した
後、凸型部を成形空間内に突出させた状態でピストンに
て充填器の供給孔を閉鎖し、その後充填した予備発泡ビ
ーズを蒸気により加熱、融着するものである。この成形
方法では、請求項1〜4のいずれか1項記載の型内発泡
成形装置を用いているので、請求項1〜4に係る発明と
同様の作用が得られる。
内発泡成形方法は、請求項1〜4のいずれか1項記載の
型内発泡成形装置を用い、充填器によりポリオレフィン
系樹脂からなる予備発泡ビーズを成形空間内に充填した
後、凸型部を成形空間内に突出させた状態でピストンに
て充填器の供給孔を閉鎖し、その後充填した予備発泡ビ
ーズを蒸気により加熱、融着するものである。この成形
方法では、請求項1〜4のいずれか1項記載の型内発泡
成形装置を用いているので、請求項1〜4に係る発明と
同様の作用が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1、図2に示すよう
に、型内発泡成形装置1は、対向配置された1組の成形
型としてのコア型2及びキャビティ型3と、コア型2と
キャビティ型3とで形成される成形空間4内に空気の流
れに乗せて予備発泡ビーズ5を充填するためのビーズ充
填手段と、成形空間4内を減圧する減圧手段と、成形空
間4内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、成形
空間4内に充填された予備発泡ビーズ5を蒸気により加
熱し、発泡融着させる蒸気供給手段とを備えている。
て図面を参照しながら説明する。図1、図2に示すよう
に、型内発泡成形装置1は、対向配置された1組の成形
型としてのコア型2及びキャビティ型3と、コア型2と
キャビティ型3とで形成される成形空間4内に空気の流
れに乗せて予備発泡ビーズ5を充填するためのビーズ充
填手段と、成形空間4内を減圧する減圧手段と、成形空
間4内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、成形
空間4内に充填された予備発泡ビーズ5を蒸気により加
熱し、発泡融着させる蒸気供給手段とを備えている。
【0034】予備発泡ビーズ5の素材としては、ポリエ
チレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフ
ィン系樹脂が採用されている。具体的には、エチレンプ
ロピレンランダムポリプロピレン樹脂、エチレンプロピ
レンブロックポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン
エチレンプロピレンブテンランダムターポリマー、直鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)、架橋低密度ポリ
エチレン(架橋LDPE)などを好適に利用できる。こ
のようなポリオレフィン系樹脂の予備発泡ビーズは、素
材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高いことから、
同一発泡倍率のポリスチレン系樹脂からなる予備発泡ビ
ーズよりも格段に粒子形状が変形しやすいので、特に充
填性の改善効果を発揮する上で好ましい。
チレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフ
ィン系樹脂が採用されている。具体的には、エチレンプ
ロピレンランダムポリプロピレン樹脂、エチレンプロピ
レンブロックポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン
エチレンプロピレンブテンランダムターポリマー、直鎖
状低密度ポリエチレン(LLDPE)、架橋低密度ポリ
エチレン(架橋LDPE)などを好適に利用できる。こ
のようなポリオレフィン系樹脂の予備発泡ビーズは、素
材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高いことから、
同一発泡倍率のポリスチレン系樹脂からなる予備発泡ビ
ーズよりも格段に粒子形状が変形しやすいので、特に充
填性の改善効果を発揮する上で好ましい。
【0035】予備発泡ビーズのセル径は、100μm未
満の場合には、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、表
面外観の見栄えが劣るという問題があり、900μmを
越える場合には、セル径が不均一になり易く、セル径が
大きいため表面のきめが粗く、表面外観が劣るという問
題があるので、100〜900μmの範囲内、より好ま
しくは150〜700μm、特に好ましくは170〜5
50μmに設定することになる。発泡倍率は、特に制限
はないが5〜60倍(発泡ビーズの嵩倍率)程度が好ま
しい。
満の場合には、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、表
面外観の見栄えが劣るという問題があり、900μmを
越える場合には、セル径が不均一になり易く、セル径が
大きいため表面のきめが粗く、表面外観が劣るという問
題があるので、100〜900μmの範囲内、より好ま
しくは150〜700μm、特に好ましくは170〜5
50μmに設定することになる。発泡倍率は、特に制限
はないが5〜60倍(発泡ビーズの嵩倍率)程度が好ま
しい。
【0036】DSC2’ndピーク比は、8%〜60%
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは
10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定する
ことになる。
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは
10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定する
ことになる。
【0037】独立気泡率は、65%未満の場合には、成
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以
上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%
以上に設定することになる。
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以
上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%
以上に設定することになる。
【0038】コア型2及びキャビティ型3は、枠状フレ
ーム10と裏板11とを有するハウジング12にそれぞ
れ取り付けられ、コア型2及びキャビティ型3の背面側
には第1チャンバ13及び第2チャンバ14がそれぞれ
形成されている。コア型2及びキャビティ型3には、従
来の成形装置とは異なり、コアベントやコアベントホー
ルなどの通気孔が形成されておらず、成形空間4と両チ
ャンバ13、14とは独立な空間に構成されている。但
し、このように成形空間4と両チャンバ13、14とを
完全に気密状に隔絶することが最も好ましいが、成形空
間4と両チャンバ13、14を連通する従来のベントホ
ールを少数設けた場合でも、これらの空間を独立に制御
するように構成したものは本発明の範疇である。
ーム10と裏板11とを有するハウジング12にそれぞ
れ取り付けられ、コア型2及びキャビティ型3の背面側
には第1チャンバ13及び第2チャンバ14がそれぞれ
形成されている。コア型2及びキャビティ型3には、従
来の成形装置とは異なり、コアベントやコアベントホー
ルなどの通気孔が形成されておらず、成形空間4と両チ
ャンバ13、14とは独立な空間に構成されている。但
し、このように成形空間4と両チャンバ13、14とを
完全に気密状に隔絶することが最も好ましいが、成形空
間4と両チャンバ13、14を連通する従来のベントホ
ールを少数設けた場合でも、これらの空間を独立に制御
するように構成したものは本発明の範疇である。
【0039】第1チャンバ13及び第2チャンバ14は
用役弁SV1、SV2及び切替弁SWV1、SWV2を
介して蒸気供給管15及び空気供給管16にそれぞれ接
続されるとともに、ドレン弁DV1、DV2及び切替弁
SWV3、SWV4を介してドレン管17及び真空ポン
プ19が介装された減圧管18にそれぞれ接続されてい
る。また、第1及び第2チャンバ13、14にはコア型
2とキャビティ型3の背面に対して冷却水を噴霧する複
数のノズル20を備えたノズルユニット21がそれぞれ
設けられ、両ノズルユニット21は冷却水弁CV1、C
V2を介して冷却水供給管22に接続されている。
用役弁SV1、SV2及び切替弁SWV1、SWV2を
介して蒸気供給管15及び空気供給管16にそれぞれ接
続されるとともに、ドレン弁DV1、DV2及び切替弁
SWV3、SWV4を介してドレン管17及び真空ポン
プ19が介装された減圧管18にそれぞれ接続されてい
る。また、第1及び第2チャンバ13、14にはコア型
2とキャビティ型3の背面に対して冷却水を噴霧する複
数のノズル20を備えたノズルユニット21がそれぞれ
設けられ、両ノズルユニット21は冷却水弁CV1、C
V2を介して冷却水供給管22に接続されている。
【0040】本発明に係る型内発泡成形装置の第1の特
徴とする構成は、コア型2及びキャビティ型3のうち
の、成形品の目立たない部分を成形する成形部に成形空
間4に開口する第1開口部30を形成し、この第1開口
部30を外部の用役配管15〜18にそれぞれ連通する
連通路を設け、用役弁SV3〜SV6及びドレン弁DV
3、DV4と、切替弁SWV1〜SWV4の操作によ
り、複数の第1開口部30から成形空間4に対して蒸気
や圧縮空気などの用役流体をチャンバ13、14とは独
立に供給或いは排出できるように構成した点にある。
徴とする構成は、コア型2及びキャビティ型3のうち
の、成形品の目立たない部分を成形する成形部に成形空
間4に開口する第1開口部30を形成し、この第1開口
部30を外部の用役配管15〜18にそれぞれ連通する
連通路を設け、用役弁SV3〜SV6及びドレン弁DV
3、DV4と、切替弁SWV1〜SWV4の操作によ
り、複数の第1開口部30から成形空間4に対して蒸気
や圧縮空気などの用役流体をチャンバ13、14とは独
立に供給或いは排出できるように構成した点にある。
【0041】第1開口部30の形成位置は、基本的に
は、コア型2とキャビティ型3との合わせ目或いはその
付近に形成する場合と、充填器23やエジェクタピン2
4などの付属部品における成形空間4に露出する部分の
付近に形成する場合と、両者の組合せの3通りに大別で
きる。先ず、第1開口部30をコア型2とキャビティ型
3との合わせ目或いはその付近に形成したものについ
て、3つのタイプを例示しながら説明する。
は、コア型2とキャビティ型3との合わせ目或いはその
付近に形成する場合と、充填器23やエジェクタピン2
4などの付属部品における成形空間4に露出する部分の
付近に形成する場合と、両者の組合せの3通りに大別で
きる。先ず、第1開口部30をコア型2とキャビティ型
3との合わせ目或いはその付近に形成したものについ
て、3つのタイプを例示しながら説明する。
【0042】(1)第1のタイプの型内発泡成形装置1
は、図1、図2に示すように、コア型2とキャビティ型
3との合わせ目部分に沿って成形空間4に開口するスリ
ット状の第1開口部30a、30bを配置するととも
に、該第1開口部30a、30bと外部の用役配管15
〜18とを連通する連通路として、型間通路31a、3
1b及び内部配管32a、32bを設けたものであり、
コア型2及びキャビティ型3には、従来のような通気孔
が設けられておらず、型閉されたときには、成形空間4
は両チャンバ13、14と気密に隔離されると同時に、
コア型2及びキャビティ型3間に外部の用役配管15〜
18に通じる第1開口部30a、30bが形成されるよ
うに構成したものである。
は、図1、図2に示すように、コア型2とキャビティ型
3との合わせ目部分に沿って成形空間4に開口するスリ
ット状の第1開口部30a、30bを配置するととも
に、該第1開口部30a、30bと外部の用役配管15
〜18とを連通する連通路として、型間通路31a、3
1b及び内部配管32a、32bを設けたものであり、
コア型2及びキャビティ型3には、従来のような通気孔
が設けられておらず、型閉されたときには、成形空間4
は両チャンバ13、14と気密に隔離されると同時に、
コア型2及びキャビティ型3間に外部の用役配管15〜
18に通じる第1開口部30a、30bが形成されるよ
うに構成したものである。
【0043】このように構成すると、予備発泡ビーズ5
に対する予熱排気工程及び融着加熱工程を、従来の通気
孔に代えてこの第1開口部30a、30bを用いて、以
下の要領で行うことが可能となる。すなわち、予熱排気
工程においては、第1開口部30a又は第1開口部30
bから減圧排気して成形空間4内を直接に減圧した後、
予熱用蒸気を同様に直接に供給すればよく、また融着加
熱工程では、同様に第1開口部30a又は第1開口部3
0bから融着温度の蒸気を成形空間4内の予備発泡ビー
ズ5に直接に供給すればよいことになる。この場合、第
1開口部30a、30bに対する予備発泡ビーズ5の目
詰まりを防止するには、第1開口部30a、30bの成
形空間4側の開口幅を、充填する予備発泡ビーズ5の外
径寸法である1〜10mmφ以下に形成する必要があ
り、また、はみ出しやバリ跡などの発生を少なくし、発
泡成形体の仕上がりを良好にするには、可及的に開口幅
を狭くする方が好ましいが、開口幅を狭くすると用役流
体の通過抵抗が大きくなるので、開口幅は、0.1〜
1.5mmに設定するのが適当である。
に対する予熱排気工程及び融着加熱工程を、従来の通気
孔に代えてこの第1開口部30a、30bを用いて、以
下の要領で行うことが可能となる。すなわち、予熱排気
工程においては、第1開口部30a又は第1開口部30
bから減圧排気して成形空間4内を直接に減圧した後、
予熱用蒸気を同様に直接に供給すればよく、また融着加
熱工程では、同様に第1開口部30a又は第1開口部3
0bから融着温度の蒸気を成形空間4内の予備発泡ビー
ズ5に直接に供給すればよいことになる。この場合、第
1開口部30a、30bに対する予備発泡ビーズ5の目
詰まりを防止するには、第1開口部30a、30bの成
形空間4側の開口幅を、充填する予備発泡ビーズ5の外
径寸法である1〜10mmφ以下に形成する必要があ
り、また、はみ出しやバリ跡などの発生を少なくし、発
泡成形体の仕上がりを良好にするには、可及的に開口幅
を狭くする方が好ましいが、開口幅を狭くすると用役流
体の通過抵抗が大きくなるので、開口幅は、0.1〜
1.5mmに設定するのが適当である。
【0044】また、本発明において、前記第1開口部3
0a、30bは、コア型2とキャビティ型3との合わせ
目で凹部の谷部分に沿って設けるのが適当である。この
場合、スリット状の第1開口部30a、30bは、発泡
成形体の外周囲の凸角稜線部に相当するので、わずかな
バリなどが残ったとしても外観を損なうことが少ないか
らである。また、内部配管32a、32bとしては、4
〜15mmφの銅パイプを利用するのが適当である。な
お、図1では、第1開口部30aと型間通路31aと内
部配管32aからなる一連の連通路と、第1開口部30
bと型間通路31bと内部配管32bからなる一連の連
通路との2個の組合せが示されているが、本発明ではこ
の形態に限定されるものではなく、得られる発泡成形体
の形状、サイズに応じて、3個以上の組合せも可能であ
るし、また単数個で実施することも可能である。
0a、30bは、コア型2とキャビティ型3との合わせ
目で凹部の谷部分に沿って設けるのが適当である。この
場合、スリット状の第1開口部30a、30bは、発泡
成形体の外周囲の凸角稜線部に相当するので、わずかな
バリなどが残ったとしても外観を損なうことが少ないか
らである。また、内部配管32a、32bとしては、4
〜15mmφの銅パイプを利用するのが適当である。な
お、図1では、第1開口部30aと型間通路31aと内
部配管32aからなる一連の連通路と、第1開口部30
bと型間通路31bと内部配管32bからなる一連の連
通路との2個の組合せが示されているが、本発明ではこ
の形態に限定されるものではなく、得られる発泡成形体
の形状、サイズに応じて、3個以上の組合せも可能であ
るし、また単数個で実施することも可能である。
【0045】また、前記第1開口部30を複数個設けた
場合には、例えば1対の第1開口部30a、30bを設
けた場合には、図2に例示するように、成形空間4の対
向する両端部の対辺に位置する成形型2、3間の合わせ
目に向かい合わせに配置するのが好ましい。第1開口部
30a、30bの長さを特に限定するものではないが、
このよにすれば、一方の第1開口部から成形空間4を通
過して他方の第1開口部に向けて、蒸気などの用役流体
を供給可能とした用役操作を採用することができ、特
に、成形空間4内に充填した予備発泡ビーズ5間の空気
を蒸気で置換する操作や、予備発泡ビーズ5の加熱操作
が迅速に行うことができるようになるなどの利点が得ら
れるので好ましい。
場合には、例えば1対の第1開口部30a、30bを設
けた場合には、図2に例示するように、成形空間4の対
向する両端部の対辺に位置する成形型2、3間の合わせ
目に向かい合わせに配置するのが好ましい。第1開口部
30a、30bの長さを特に限定するものではないが、
このよにすれば、一方の第1開口部から成形空間4を通
過して他方の第1開口部に向けて、蒸気などの用役流体
を供給可能とした用役操作を採用することができ、特
に、成形空間4内に充填した予備発泡ビーズ5間の空気
を蒸気で置換する操作や、予備発泡ビーズ5の加熱操作
が迅速に行うことができるようになるなどの利点が得ら
れるので好ましい。
【0046】この第1のタイプの利点を整理して示すと
次の通りである。 [1]成形型2、3から従来のような通気孔を取り除くこ
とができるので、強度低下の恐れがなく、従来の肉厚8
〜12mmのアルミニウム合金型材を肉厚4〜8mmに
低減でき、その結果、熱容量が小さくなって加熱冷却の
熱効率が向上し、温度制御の精度も向上し、材料コスト
も低減できる。 [2]通気孔の孔明け作業やコアベント自体の取付作業が
不要となって、加工コストか大幅に削減でき、成形型
2、3の製作コストが低減できる。
次の通りである。 [1]成形型2、3から従来のような通気孔を取り除くこ
とができるので、強度低下の恐れがなく、従来の肉厚8
〜12mmのアルミニウム合金型材を肉厚4〜8mmに
低減でき、その結果、熱容量が小さくなって加熱冷却の
熱効率が向上し、温度制御の精度も向上し、材料コスト
も低減できる。 [2]通気孔の孔明け作業やコアベント自体の取付作業が
不要となって、加工コストか大幅に削減でき、成形型
2、3の製作コストが低減できる。
【0047】[3]また、目詰まりに基づく加熱不良、離
型不良、冷却不良が発生せず、コアベントの取替えまた
は定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメンテナンス作
業が全く不要となる。 [4]製品の表面にコアベント、コアベントホールの跡が
付かないので、外観品質が向上し、表面印刷、シールラ
ベルの貼付などの工程の障害が解消される。 [5]冷却工程で用いられる冷却水が成形空間内に侵入し
なくなるので、成形品の水分が従来の6〜10%程度か
ら0.5〜4%程度にまで低下するから、乾燥工程が不
要となり、サイクル時間短縮に大いに寄与する。
型不良、冷却不良が発生せず、コアベントの取替えまた
は定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメンテナンス作
業が全く不要となる。 [4]製品の表面にコアベント、コアベントホールの跡が
付かないので、外観品質が向上し、表面印刷、シールラ
ベルの貼付などの工程の障害が解消される。 [5]冷却工程で用いられる冷却水が成形空間内に侵入し
なくなるので、成形品の水分が従来の6〜10%程度か
ら0.5〜4%程度にまで低下するから、乾燥工程が不
要となり、サイクル時間短縮に大いに寄与する。
【0048】[6]本発明の最大の利点は、従来の成形型
では実現のできなかった用役操作が可能になるという点
である。なんとなれば、従来、予備発泡ビーズに蒸気な
どの用役流体を作用させるには、用役配管から供給され
た用役流体が、いずれかのチャンバに作用した後、ベン
トホールを経由して予備発泡ビーズに作用を及ぼすとい
うものであったが、本発明では、チャンバ13、14と
成形空間4の用役通路とを分離、独立させ、加圧空気、
蒸気、減圧空気、冷却水などの用役流体は、第1開口部
30a、30bを通じて成形空間4内に直接に作用させ
ることになるので、用役操作の自由度が拡張されたこと
になる。
では実現のできなかった用役操作が可能になるという点
である。なんとなれば、従来、予備発泡ビーズに蒸気な
どの用役流体を作用させるには、用役配管から供給され
た用役流体が、いずれかのチャンバに作用した後、ベン
トホールを経由して予備発泡ビーズに作用を及ぼすとい
うものであったが、本発明では、チャンバ13、14と
成形空間4の用役通路とを分離、独立させ、加圧空気、
蒸気、減圧空気、冷却水などの用役流体は、第1開口部
30a、30bを通じて成形空間4内に直接に作用させ
ることになるので、用役操作の自由度が拡張されたこと
になる。
【0049】例えば、成形空間4内を減圧にしたい場
合、従来の成形型では、両方のチャンバも減圧にする必
要があったが、本発明では、チャンバ容積の1/10オ
ーダの容積である成形空間4のみを対象にして減圧操作
を行うことが可能となった。したがって、従来、レスポ
ンスが迅速に行われるから、その操作性が大幅に改善さ
れるなどのメリットが得られるのである。
合、従来の成形型では、両方のチャンバも減圧にする必
要があったが、本発明では、チャンバ容積の1/10オ
ーダの容積である成形空間4のみを対象にして減圧操作
を行うことが可能となった。したがって、従来、レスポ
ンスが迅速に行われるから、その操作性が大幅に改善さ
れるなどのメリットが得られるのである。
【0050】また、チャンバ13、14が成形空間4と
は独立な空間に構成され、それぞれの加熱条件を独立に
調整できるので、2つのチャンバ13、14に供給する
蒸気により、1組の成形型2、3の温度をそれぞれ独立
に調整して、成形型2、3に密着する成形品の表面性を
調整でき、また成形空間4に供給する蒸気により、成形
空間4内に充填された予備発泡ビーズ5を加熱し、発泡
融着して、表面性とは独立に予備発泡ビーズ5の融着率
を調整できることになる。このため、成形品内部の融着
率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮しつつ、
表面美麗な成形品を製作することが可能となり、生産性
と商品価値の両立を図ることが可能となる。
は独立な空間に構成され、それぞれの加熱条件を独立に
調整できるので、2つのチャンバ13、14に供給する
蒸気により、1組の成形型2、3の温度をそれぞれ独立
に調整して、成形型2、3に密着する成形品の表面性を
調整でき、また成形空間4に供給する蒸気により、成形
空間4内に充填された予備発泡ビーズ5を加熱し、発泡
融着して、表面性とは独立に予備発泡ビーズ5の融着率
を調整できることになる。このため、成形品内部の融着
率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮しつつ、
表面美麗な成形品を製作することが可能となり、生産性
と商品価値の両立を図ることが可能となる。
【0051】(2)第2のタイプの型内発泡成形装置1
Aは、図3に示すように、スリット状の第1開口部30
a、30bを外部の用役配管15〜18に連通する連通
路として、型閉時に、成形空間4側から外部に向けて成
形型2、3の合わせ目部分に沿って形成される型間通路
33a、33bと、枠状フレーム10同士の合わせ目部
分で包囲された状態で形成される型間空間34a、34
bとを備えたものである。それ以外の構成は、前記型内
発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同一符号
を付してその詳細な説明を省略する。
Aは、図3に示すように、スリット状の第1開口部30
a、30bを外部の用役配管15〜18に連通する連通
路として、型閉時に、成形空間4側から外部に向けて成
形型2、3の合わせ目部分に沿って形成される型間通路
33a、33bと、枠状フレーム10同士の合わせ目部
分で包囲された状態で形成される型間空間34a、34
bとを備えたものである。それ以外の構成は、前記型内
発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同一符号
を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】つまり、この型内発泡成形装置1Aにおい
ては成形型2、3には、従来のような通気孔が設けられ
ておらず、型閉されたときには、成形空間4は両チャン
バ13、14と気密に隔離された状態に形成されるとと
もに、第1開口部30a、30bと、これら第1開口部
30a、30bを用役配管15〜18に連通する連通
路、即ち型間通路33a、33bおよび型間空間34
a、34bが、先の第1のタイプの型内発泡成形装置1
とは異なった形態で、成形空間4側から両成形型2、3
及び枠状フレーム10の合わせ目に沿って外部に向けて
形成されるのである。
ては成形型2、3には、従来のような通気孔が設けられ
ておらず、型閉されたときには、成形空間4は両チャン
バ13、14と気密に隔離された状態に形成されるとと
もに、第1開口部30a、30bと、これら第1開口部
30a、30bを用役配管15〜18に連通する連通
路、即ち型間通路33a、33bおよび型間空間34
a、34bが、先の第1のタイプの型内発泡成形装置1
とは異なった形態で、成形空間4側から両成形型2、3
及び枠状フレーム10の合わせ目に沿って外部に向けて
形成されるのである。
【0053】この図3に示す発泡成形装置1Aにおいて
は、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に用役流
体を操作できるので、前述した[1]〜[6]の全ての利点を
享受できるうえ、製作時に配管工事が必要である独立し
た内部配管32a、32bが不要であるから、発泡成形
装置の製作コストが抑えられ、メンテナンスも不要とな
る利点が得られるのである。
は、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に用役流
体を操作できるので、前述した[1]〜[6]の全ての利点を
享受できるうえ、製作時に配管工事が必要である独立し
た内部配管32a、32bが不要であるから、発泡成形
装置の製作コストが抑えられ、メンテナンスも不要とな
る利点が得られるのである。
【0054】(3)第3のタイプの型内発泡成形装置1
Bは、図4、図5に示すように、コア型2とキャビティ
型3の合わせ目付近におきてコア型2に成形空間4内に
開口する第1開口部30c、30dを形成し、第1開口
部30c、30dを外部の用役配管15〜18に連通す
る連通路として、第1開口部30c、30dを取り囲む
ようにコア型2の内側に固定した通路形成部材38によ
り形成される連通空間39a、39bと、連通空間39
a、39bを外部の用役配管15〜18に連通する内部
配管40a、40bとを備え、連通空間39a、39b
及び内部配管40a、40bを介して第1開口部30
c、30dに対して個別に用役流体を供給或いは排出で
きるように構成したものである。それ以外の構成は、前
記型内発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同
一符号を付してその詳細な説明を省略する。
Bは、図4、図5に示すように、コア型2とキャビティ
型3の合わせ目付近におきてコア型2に成形空間4内に
開口する第1開口部30c、30dを形成し、第1開口
部30c、30dを外部の用役配管15〜18に連通す
る連通路として、第1開口部30c、30dを取り囲む
ようにコア型2の内側に固定した通路形成部材38によ
り形成される連通空間39a、39bと、連通空間39
a、39bを外部の用役配管15〜18に連通する内部
配管40a、40bとを備え、連通空間39a、39b
及び内部配管40a、40bを介して第1開口部30
c、30dに対して個別に用役流体を供給或いは排出で
きるように構成したものである。それ以外の構成は、前
記型内発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同
一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】つまり、この型内発泡成形装置1Bにおい
て成形型2、3には、従来のように成形空間4とチャン
バ12、13とを連通する通気孔が設けられておらず、
成形型を閉じたときには、成形空間4は、チャンバ1
2、13と気密に隔離された状態に形成されるととも
に、第1開口部30c、30dと、これら第1開口部3
0c、30dを用役配管15〜18に連通する連通路、
即ち連通空間39a、39bおよび内部配管40a、4
0bが、先の2つの事例とは異なった形態で形成される
のである。
て成形型2、3には、従来のように成形空間4とチャン
バ12、13とを連通する通気孔が設けられておらず、
成形型を閉じたときには、成形空間4は、チャンバ1
2、13と気密に隔離された状態に形成されるととも
に、第1開口部30c、30dと、これら第1開口部3
0c、30dを用役配管15〜18に連通する連通路、
即ち連通空間39a、39bおよび内部配管40a、4
0bが、先の2つの事例とは異なった形態で形成される
のである。
【0056】第1開口部30c、30dは、コア型2に
直接的に貫通孔やスリットを形成してもよいが、蒸気が
流通することにより内面が磨耗することが考えられるの
で、従来の成形装置と同様に、第1開口部30c、30
dに対応させてコアベント取付孔を形成して、コアベン
トを着脱自在に組付けることが好ましい。
直接的に貫通孔やスリットを形成してもよいが、蒸気が
流通することにより内面が磨耗することが考えられるの
で、従来の成形装置と同様に、第1開口部30c、30
dに対応させてコアベント取付孔を形成して、コアベン
トを着脱自在に組付けることが好ましい。
【0057】この図4、図5に示す発泡成形装置1Bに
おいては、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に
用役流体を操作できるので、前述した[5][6]の利点を享
受できる。また、成形空間4と連通空間39a、39b
とを連通するコアベントを設けることから、前述した
[1]〜[4]の利点に対しては多少不利になるが、従来のよ
うにコアベントやコアベントホールを成形型の全面に一
様に形成するわけではないので、コアベントの個数を格
段に少なくすることが可能となる。また、蒸気による第
1開口部30c、30dの磨耗にも容易に対応できるの
で、より現実的な設計のものとなる。なお、この第3の
タイプの発泡成形装置1Bにおいても、第2のタイプの
発泡成形装置1Aと同様に左右の枠状フレーム10の合
わせ目間に型間空間を形成し、内部配管32a、32b
を省略することも可能である。尚、図4にしめす事例で
は、第1開口部30c、30dをコア型2側に形成した
が、成形品の内面側(コア型2側)が外部に露出する場
合には、第1開口部30c、30dをキャビティ型3側
に形成することが、成形品の美麗性を向上させる上で好
ましい。
おいては、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に
用役流体を操作できるので、前述した[5][6]の利点を享
受できる。また、成形空間4と連通空間39a、39b
とを連通するコアベントを設けることから、前述した
[1]〜[4]の利点に対しては多少不利になるが、従来のよ
うにコアベントやコアベントホールを成形型の全面に一
様に形成するわけではないので、コアベントの個数を格
段に少なくすることが可能となる。また、蒸気による第
1開口部30c、30dの磨耗にも容易に対応できるの
で、より現実的な設計のものとなる。なお、この第3の
タイプの発泡成形装置1Bにおいても、第2のタイプの
発泡成形装置1Aと同様に左右の枠状フレーム10の合
わせ目間に型間空間を形成し、内部配管32a、32b
を省略することも可能である。尚、図4にしめす事例で
は、第1開口部30c、30dをコア型2側に形成した
が、成形品の内面側(コア型2側)が外部に露出する場
合には、第1開口部30c、30dをキャビティ型3側
に形成することが、成形品の美麗性を向上させる上で好
ましい。
【0058】次に、第1開口部30を充填器23やエジ
ェクタピン24などの付属部品付近に形成する場合につ
いて説明する。付属部品付近に第1開口部30を形成す
る場合には、図1、図3、図4に示すように、キャビテ
ィ型3のうちの充填器23及びエジェクタピン24に対
応する位置に略筒状の外装部材41を固定し、充填器2
3及びエジェクタピン24を外装部材41に内嵌状に設
け、充填器23及びエジェクタピン24と外装部材41
間に用役配管15〜18に個別に連通する連通路42、
43を形成し、連通路42、43の先端部に成形空間4
に開口する第1開口部30e、30fを夫々形成し、連
通路42、43に用役弁SV5、SV6を介して用役配
管15〜18を接続し、前記第1開口部30a〜30d
の場合と同様に、所要の蒸気、加圧空気の供給あるいは
減圧操作などを行うことになる。この場合、先の第1開
口部30a〜30dを併設せず、第1開口部30e、3
0fを単独に設けた形態であっても本発明の目的を達成
することが可能であるが、前記第1開口部30a〜30
dと併設する形態が好ましい。
ェクタピン24などの付属部品付近に形成する場合につ
いて説明する。付属部品付近に第1開口部30を形成す
る場合には、図1、図3、図4に示すように、キャビテ
ィ型3のうちの充填器23及びエジェクタピン24に対
応する位置に略筒状の外装部材41を固定し、充填器2
3及びエジェクタピン24を外装部材41に内嵌状に設
け、充填器23及びエジェクタピン24と外装部材41
間に用役配管15〜18に個別に連通する連通路42、
43を形成し、連通路42、43の先端部に成形空間4
に開口する第1開口部30e、30fを夫々形成し、連
通路42、43に用役弁SV5、SV6を介して用役配
管15〜18を接続し、前記第1開口部30a〜30d
の場合と同様に、所要の蒸気、加圧空気の供給あるいは
減圧操作などを行うことになる。この場合、先の第1開
口部30a〜30dを併設せず、第1開口部30e、3
0fを単独に設けた形態であっても本発明の目的を達成
することが可能であるが、前記第1開口部30a〜30
dと併設する形態が好ましい。
【0059】このように充填器23及びエジェクタピン
24の先端付近に配設した第1開口部30e、30f
と、先に説明した第1開口部30a〜30dとを図1、
図3、図4のように併設して、それぞれの第1開口部3
0から外部の用役配管15〜18に連通する個別の通路
を設けてもよい。この場合には、成形空間4の対向する
両端部分と成形空間4の中央部分の少なくとも3か所に
用役流体を供給可能な第1開口部30が設けられるの
で、品質要求に応じた用役流体の供給が可能になるう
え、用役流体の供給、停止など制御操作の自由度が増加
するから、発泡成形体の種類、形状などに対応した最適
の用役操作が行えるという利点が得られる。
24の先端付近に配設した第1開口部30e、30f
と、先に説明した第1開口部30a〜30dとを図1、
図3、図4のように併設して、それぞれの第1開口部3
0から外部の用役配管15〜18に連通する個別の通路
を設けてもよい。この場合には、成形空間4の対向する
両端部分と成形空間4の中央部分の少なくとも3か所に
用役流体を供給可能な第1開口部30が設けられるの
で、品質要求に応じた用役流体の供給が可能になるう
え、用役流体の供給、停止など制御操作の自由度が増加
するから、発泡成形体の種類、形状などに対応した最適
の用役操作が行えるという利点が得られる。
【0060】但し、この図1、図3、図4による事例で
は、充填器23及びエジェクタピン24の先端部付近に
第1開口部30e、30fを配設したが、本発明は、こ
の形態に限定されるものではなく、成形型に取り付けら
れるその他の付属部品、例えば、冷却水配管金具などを
利用することも可能である。また、成形空間4内の予備
発泡ビーズ5全体に対して一様に蒸気が行き渡るように
構成されていれば、全ての充填器23やエジェクタピン
24の外側に連通路42、43を形成する必要はない
し、第1開口部30e、30fの一方或いは両方を省略
することも可能で、第1開口部30e、30fは成形す
る成形品の形状などに応じて適宜に設けることになる。
また、第1開口部30a〜30dを第1開口部30e、
30fから成形空間4に供給される蒸気の排出専用の開
口部として用いてもよい。尚、図1、図3、図4におい
ては、充填器23やエジェクタピン24をキャビティ型
3側に形成したが、成形品の外面側(キャビティ型3
側)が外部に露出する場合には、充填器23やエジェク
タピン24をコア型2側に形成することが、成形品の美
麗性を向上させる上で好ましい。
は、充填器23及びエジェクタピン24の先端部付近に
第1開口部30e、30fを配設したが、本発明は、こ
の形態に限定されるものではなく、成形型に取り付けら
れるその他の付属部品、例えば、冷却水配管金具などを
利用することも可能である。また、成形空間4内の予備
発泡ビーズ5全体に対して一様に蒸気が行き渡るように
構成されていれば、全ての充填器23やエジェクタピン
24の外側に連通路42、43を形成する必要はない
し、第1開口部30e、30fの一方或いは両方を省略
することも可能で、第1開口部30e、30fは成形す
る成形品の形状などに応じて適宜に設けることになる。
また、第1開口部30a〜30dを第1開口部30e、
30fから成形空間4に供給される蒸気の排出専用の開
口部として用いてもよい。尚、図1、図3、図4におい
ては、充填器23やエジェクタピン24をキャビティ型
3側に形成したが、成形品の外面側(キャビティ型3
側)が外部に露出する場合には、充填器23やエジェク
タピン24をコア型2側に形成することが、成形品の美
麗性を向上させる上で好ましい。
【0061】本発明に係る型内発泡成形装置の第2の特
徴は、図6に示すように、充填器23のピストン60と
して、先端部に先端側へ行くにしたがって縮径する凸型
部61を形成し、ピストン60により充填器23の成形
空間4側の供給孔57を閉鎖した状態で、凸型部61が
成形空間4内に突出することで、成形品のうちのピスト
ン60に対面する部分における予備発泡ビーズ5の過充
填現象を防止するように構成した点にある。
徴は、図6に示すように、充填器23のピストン60と
して、先端部に先端側へ行くにしたがって縮径する凸型
部61を形成し、ピストン60により充填器23の成形
空間4側の供給孔57を閉鎖した状態で、凸型部61が
成形空間4内に突出することで、成形品のうちのピスト
ン60に対面する部分における予備発泡ビーズ5の過充
填現象を防止するように構成した点にある。
【0062】先ず、成形空間4内に予備発泡ビーズ5を
充填するためのビーズ充填手段の全体構成について説明
する。図6に示すように、予備発泡ビーズ5を貯留する
ための原料タンク50が設けられ、原料タンク50には
吸気管51が接続され、吸気管51の途中部には吸気弁
V1が介装され、吸気弁V1を制御することで、原料タ
ンク50の内圧が調整される。キャビティ型3側の裏板
11には成形空間4に開口する充填器23が取付けら
れ、原料タンク50にはシャッター52が付設され、充
填器23は充填管53を介して原料タンク50のシャッ
ター52に接続され、原料タンク50に充填された予備
発泡ビーズ5は、空気の流れに乗って充填器23から成
形空間4内へ供給されるように構成されている。充填器
23には充填エア供給管54が接続され、充填エア供給
管54の途中部に介装した充填エア弁V2により、適正
圧力の充填エアが供給されるような構成となっている。
原料タンク50の内圧は、成形空間4の内圧以上に設定
されていれば、大気解放状態、減圧状態、加圧状態のい
ずれの状態に設定してもよい。
充填するためのビーズ充填手段の全体構成について説明
する。図6に示すように、予備発泡ビーズ5を貯留する
ための原料タンク50が設けられ、原料タンク50には
吸気管51が接続され、吸気管51の途中部には吸気弁
V1が介装され、吸気弁V1を制御することで、原料タ
ンク50の内圧が調整される。キャビティ型3側の裏板
11には成形空間4に開口する充填器23が取付けら
れ、原料タンク50にはシャッター52が付設され、充
填器23は充填管53を介して原料タンク50のシャッ
ター52に接続され、原料タンク50に充填された予備
発泡ビーズ5は、空気の流れに乗って充填器23から成
形空間4内へ供給されるように構成されている。充填器
23には充填エア供給管54が接続され、充填エア供給
管54の途中部に介装した充填エア弁V2により、適正
圧力の充填エアが供給されるような構成となっている。
原料タンク50の内圧は、成形空間4の内圧以上に設定
されていれば、大気解放状態、減圧状態、加圧状態のい
ずれの状態に設定してもよい。
【0063】充填器23は、図6に示すように、予備発
泡ビーズ5が通過する充填パイプ部55とプランジャ部
56とから構成され、充填パイプ部55の先端は、第2
チャンバ14を通ってキャビティ型3に形成した供給孔
57に接続されている。充填パイプ部55内には充填パ
イプ部55に沿って延びて、充填パイプ部55の先端近
傍部において供給孔57側へ向けて開口する充填エア通
路58が形成され、充填エア通路58の基端部は充填エ
ア供給管54に接続されている。
泡ビーズ5が通過する充填パイプ部55とプランジャ部
56とから構成され、充填パイプ部55の先端は、第2
チャンバ14を通ってキャビティ型3に形成した供給孔
57に接続されている。充填パイプ部55内には充填パ
イプ部55に沿って延びて、充填パイプ部55の先端近
傍部において供給孔57側へ向けて開口する充填エア通
路58が形成され、充填エア通路58の基端部は充填エ
ア供給管54に接続されている。
【0064】プランジャ部56内にはプランジャシャフ
ト59が設けられ、プランジャシャフト59の先端部に
はピストン60が設けられ、ピストン60は図6(c)
に図示の前進位置と、図6(a)に図示の後退位置とに
わたって進退駆動可能に構成され、前進位置において供
給孔57を閉鎖し、後退位置において供給孔57を開放
するように構成されている。
ト59が設けられ、プランジャシャフト59の先端部に
はピストン60が設けられ、ピストン60は図6(c)
に図示の前進位置と、図6(a)に図示の後退位置とに
わたって進退駆動可能に構成され、前進位置において供
給孔57を閉鎖し、後退位置において供給孔57を開放
するように構成されている。
【0065】ピストン60の先端部には先端側(成形空
間側)へ行くにしたがって縮径する凸型部61が形成さ
れ、この凸型部61はピストン60を前進位置に位置さ
せた状態で成形空間4内に突出状に配置されるように構
成されている。つまり、図6(b)に示すように、充填
パイプ部55に予備発泡ビーズ5が残存した場合でも、
図6(c)に示すように、供給孔57をピストン60に
より閉鎖するためピストン60を前進位置へ移動させる
と、図7(a)に示すように、充填パイプ部55内に残
存する予備発泡ビーズ5が凸型部61により押されて、
図7(b)に矢印で示すように、成形空間4のうちのピ
ストン60の対面位置だけでなく、対面位置の外側にも
押し込まれ、ピストン60の対面位置における予備発泡
ビーズ5の充填密度が過剰に高くなることが防止され
る。
間側)へ行くにしたがって縮径する凸型部61が形成さ
れ、この凸型部61はピストン60を前進位置に位置さ
せた状態で成形空間4内に突出状に配置されるように構
成されている。つまり、図6(b)に示すように、充填
パイプ部55に予備発泡ビーズ5が残存した場合でも、
図6(c)に示すように、供給孔57をピストン60に
より閉鎖するためピストン60を前進位置へ移動させる
と、図7(a)に示すように、充填パイプ部55内に残
存する予備発泡ビーズ5が凸型部61により押されて、
図7(b)に矢印で示すように、成形空間4のうちのピ
ストン60の対面位置だけでなく、対面位置の外側にも
押し込まれ、ピストン60の対面位置における予備発泡
ビーズ5の充填密度が過剰に高くなることが防止され
る。
【0066】凸型部61の形状は、先端側へ行くにした
がって縮径するように構成されていれば、図8(a)に
示すように半球状に形成してもよいし、図8(b)に示
すように円錐状に形成してもよいし、図8(c)に示す
ように円錐台状に形成してもよい。また、図示していな
いが、角錐状や角錐台状に形成してもよい。尚、図8に
示す実施例では、凸型部61の軸心をピストン60と同
軸上に配置させたが、ピストン60の軸心に対して偏心
させてもよい。この場合には、予備発泡ビーズの押込量
を押し込む方向に応じて調整できるので、残留した予備
発泡ビーズ5を充填密度が低くなる方へより多く押し込
むことが可能となり、充填密度のバラツキをより一層少
なくできるので好ましい。また、ピストン60の直径
と、凸型部61の最大径を同じに設定したが、凸型部6
1の最大径をピストン60の直径よりも小さく設定する
ことも可能である。この場合には、凸型部61により形
成される成形品の凹部を小さくできるので、成形品の見
栄性を向上する上で好ましい。
がって縮径するように構成されていれば、図8(a)に
示すように半球状に形成してもよいし、図8(b)に示
すように円錐状に形成してもよいし、図8(c)に示す
ように円錐台状に形成してもよい。また、図示していな
いが、角錐状や角錐台状に形成してもよい。尚、図8に
示す実施例では、凸型部61の軸心をピストン60と同
軸上に配置させたが、ピストン60の軸心に対して偏心
させてもよい。この場合には、予備発泡ビーズの押込量
を押し込む方向に応じて調整できるので、残留した予備
発泡ビーズ5を充填密度が低くなる方へより多く押し込
むことが可能となり、充填密度のバラツキをより一層少
なくできるので好ましい。また、ピストン60の直径
と、凸型部61の最大径を同じに設定したが、凸型部6
1の最大径をピストン60の直径よりも小さく設定する
ことも可能である。この場合には、凸型部61により形
成される成形品の凹部を小さくできるので、成形品の見
栄性を向上する上で好ましい。
【0067】成形空間4内への凸型部61の突出長さT
は、2〜10mmに設定することが好ましい。つまり、
突出長さTが2mm未満の場合には、ピストン60の対
面位置における予備発泡ビーズの充填密度を十分に低減
できず、また突出長さTが10mmを越える場合には、
成形品の強度が低下したり、見栄性が低下するので、2
〜10mmに設定することが好ましい。但し、肉厚が1
0mm以下となるような極薄肉部を有する箇所に充填器
を配置する場合には、Tは2mmよりも大きく、肉厚T
1の50%よりも小さく設定することが好ましい。
は、2〜10mmに設定することが好ましい。つまり、
突出長さTが2mm未満の場合には、ピストン60の対
面位置における予備発泡ビーズの充填密度を十分に低減
できず、また突出長さTが10mmを越える場合には、
成形品の強度が低下したり、見栄性が低下するので、2
〜10mmに設定することが好ましい。但し、肉厚が1
0mm以下となるような極薄肉部を有する箇所に充填器
を配置する場合には、Tは2mmよりも大きく、肉厚T
1の50%よりも小さく設定することが好ましい。
【0068】次に、前記ビーズ充填手段を用いた予備発
泡ビーズの充填方法について、図1、図6を参照しなが
ら説明する。先ず、コア型2とキャビティ型3とを型閉
めするとともに、原料タンク50の内圧が成形空間4の
内圧よりも高くなるように、ドレン弁DV3、DV4、
吸気弁V1、切替弁SWV3、SWV4を制御して、原
料タンク50から成形空間4への空気の流れを形成し、
この空気の流れに乗せて予備発泡ビーズ5を成形空間4
内に充填する。また、このとき充填エア弁V2を制御し
て、充填エアを充填エア通路58を通じて、充填パイプ
部55の先端部分から図6(a)に矢印で例示したよう
に噴出させ、予備発泡ビーズ5が成形空間4内に円滑に
且つ隅々まで充填されるように、予備発泡ビーズ5を付
勢する。
泡ビーズの充填方法について、図1、図6を参照しなが
ら説明する。先ず、コア型2とキャビティ型3とを型閉
めするとともに、原料タンク50の内圧が成形空間4の
内圧よりも高くなるように、ドレン弁DV3、DV4、
吸気弁V1、切替弁SWV3、SWV4を制御して、原
料タンク50から成形空間4への空気の流れを形成し、
この空気の流れに乗せて予備発泡ビーズ5を成形空間4
内に充填する。また、このとき充填エア弁V2を制御し
て、充填エアを充填エア通路58を通じて、充填パイプ
部55の先端部分から図6(a)に矢印で例示したよう
に噴出させ、予備発泡ビーズ5が成形空間4内に円滑に
且つ隅々まで充填されるように、予備発泡ビーズ5を付
勢する。
【0069】具体的な充填方法としては、次に示すよう
な、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮充填法など
を採用でき、これらの充填方法に則してドレン弁DV
3、DV4、吸気弁V1、切替弁SWV3、SWV4を
制御することになる。 [1]クラッキング充填法では、充填時に、コア型2とキ
ャビティ型3とを完全に型閉めせず(クラッキング)、
例えば成形品の底肉厚の10%だけ開けておき、コア型
2とキャビティ型3間の隙間から充填時に使用する空気
を排出しながら予備発泡ビーズ5を充填することにな
る。 [2]加圧充填法では、予備発泡ビーズ5を収容した原料
タンク50内を0.2〜1.5kg/cm2程度に加圧し、成
形空間4内を大気圧に開放した状態で、原料タンク50
と成形空間4との差圧を利用して、成形空間4内に予備
発泡ビーズ5を搬送して充填することになる。 [3]圧縮充填法では、原料タンク50内の圧力pを加圧
充填法よりも高めの1.0〜5.0kg/cm2程度に加圧
し、成形空間4の内圧p1との差圧(p−p1)を維持
しながら、予備発泡ビーズ5を搬送して充填することに
なる。
な、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮充填法など
を採用でき、これらの充填方法に則してドレン弁DV
3、DV4、吸気弁V1、切替弁SWV3、SWV4を
制御することになる。 [1]クラッキング充填法では、充填時に、コア型2とキ
ャビティ型3とを完全に型閉めせず(クラッキング)、
例えば成形品の底肉厚の10%だけ開けておき、コア型
2とキャビティ型3間の隙間から充填時に使用する空気
を排出しながら予備発泡ビーズ5を充填することにな
る。 [2]加圧充填法では、予備発泡ビーズ5を収容した原料
タンク50内を0.2〜1.5kg/cm2程度に加圧し、成
形空間4内を大気圧に開放した状態で、原料タンク50
と成形空間4との差圧を利用して、成形空間4内に予備
発泡ビーズ5を搬送して充填することになる。 [3]圧縮充填法では、原料タンク50内の圧力pを加圧
充填法よりも高めの1.0〜5.0kg/cm2程度に加圧
し、成形空間4の内圧p1との差圧(p−p1)を維持
しながら、予備発泡ビーズ5を搬送して充填することに
なる。
【0070】こうして、成形空間4内に予備発泡ビーズ
5を充填して、図6(b)に示すように、成形空間4内
が予備発泡ビーズ5で満たされると、自然ブローバック
がなされることになる。即ち、成形空間4内に密に詰ま
った予備発泡ビーズ5が障壁となって、充填エア弁V2
から導入された充填エアが、図6(b)に矢印で示すよ
うに、充填エア通路58の噴出孔58aからUターンし
て充填パイプ部55を逆流し、充填パイプ部55中に存
在する予備発泡ビーズは、気流の流れによって充填管5
3の方に押し戻され、充填管53内の予備発泡ビーズと
ともに原料タンク50内に還流される。
5を充填して、図6(b)に示すように、成形空間4内
が予備発泡ビーズ5で満たされると、自然ブローバック
がなされることになる。即ち、成形空間4内に密に詰ま
った予備発泡ビーズ5が障壁となって、充填エア弁V2
から導入された充填エアが、図6(b)に矢印で示すよ
うに、充填エア通路58の噴出孔58aからUターンし
て充填パイプ部55を逆流し、充填パイプ部55中に存
在する予備発泡ビーズは、気流の流れによって充填管5
3の方に押し戻され、充填管53内の予備発泡ビーズと
ともに原料タンク50内に還流される。
【0071】この自然ブローバックによって、充填パイ
プ部55中の予備発泡ビーズ5を排除した後、プランジ
ャ部56のピストン60を前進位置へ押し出し、図6
(c)に示すように、ピストン60によりキャビティ型
3の供給孔57を封鎖する。このとき、充填パイプ部5
5中に残存する予備発泡ビーズ5は、前述のように、凸
型部61により成形空間4内に押し込まれることになる
が、凸型部61を先端側へ行くにしたがって縮径するよ
うに構成しているので、該予備発泡ビーズ5は、図8
(b)に示すように、凸型部61により成形空間4のう
ちのピストン60の対面位置及びその外側に押し込ま
れ、ピストン60の対面位置における予備発泡ビーズ5
の充填密度が過剰に高くなることが防止される。つま
り、自然ブローバックによって、充填パイプ部55中の
予備発泡ビーズ5の大部分は原料タンク50内に還流さ
れるが、その一部は充填パイプ部55内に残存すること
がある。本発明では、このように充填パイプ部55内に
予備発泡ビーズ5が残留した場合でも、これを成形空間
4のうちのピストン60の対面位置及びその周辺に分散
させて充填することで、ピストン60の対面位置の充填
密度が過剰に高くなることが防止されるのである。こう
して、ピストン60にて供給孔57を閉鎖した後、充填
管53中に残留する予備発泡ビーズ5についても、ブロ
ーバックして完全に原料タンク50に還流させて、充填
工程が終了する。
プ部55中の予備発泡ビーズ5を排除した後、プランジ
ャ部56のピストン60を前進位置へ押し出し、図6
(c)に示すように、ピストン60によりキャビティ型
3の供給孔57を封鎖する。このとき、充填パイプ部5
5中に残存する予備発泡ビーズ5は、前述のように、凸
型部61により成形空間4内に押し込まれることになる
が、凸型部61を先端側へ行くにしたがって縮径するよ
うに構成しているので、該予備発泡ビーズ5は、図8
(b)に示すように、凸型部61により成形空間4のう
ちのピストン60の対面位置及びその外側に押し込ま
れ、ピストン60の対面位置における予備発泡ビーズ5
の充填密度が過剰に高くなることが防止される。つま
り、自然ブローバックによって、充填パイプ部55中の
予備発泡ビーズ5の大部分は原料タンク50内に還流さ
れるが、その一部は充填パイプ部55内に残存すること
がある。本発明では、このように充填パイプ部55内に
予備発泡ビーズ5が残留した場合でも、これを成形空間
4のうちのピストン60の対面位置及びその周辺に分散
させて充填することで、ピストン60の対面位置の充填
密度が過剰に高くなることが防止されるのである。こう
して、ピストン60にて供給孔57を閉鎖した後、充填
管53中に残留する予備発泡ビーズ5についても、ブロ
ーバックして完全に原料タンク50に還流させて、充填
工程が終了する。
【0072】尚、自然ブローバックが始まったときに、
原料タンク50内の圧力を維持しつつ、成形空間4内の
圧力が充填時の圧力よりプラス圧になるよう設定した
り、成形空間4内の圧力を維持しつつ、原料タンク50
内の圧力をその成形空間4内の圧力に等しく、またはマ
イナス圧に調整して、ブローバックを行ってもよい。こ
の場合には、予備発泡ビーズ5を充填器23から成形空
間4の方向に移動させる空気の流れが弱くなるかまたは
停止するとともに、キャビティ型3の供給孔57付近の
予備発泡ビーズ5が成形空間4の内部方向に吸着される
圧力もごく弱いものとなるので、充填パイプ部55中に
残留した余剰の予備発泡ビーズ5の堆積が少なくなり、
ピストン60にて供給孔57を封鎖したときにおける、
過充填をより一層効果的に防止できる。なお、ブローバ
ック時の成形空間4と原料タンク50の最大差圧(成形
空間4の圧力−原料タンク50の圧力)は、0.5kg
/cm2とすることが好ましい。その理由は、0.5k
g/cm2を超えると、予備発泡ビーズ5の逆流が発生
し、成形空間4内の充填状態が少なくとも部分的に崩れ
てしまうからである。
原料タンク50内の圧力を維持しつつ、成形空間4内の
圧力が充填時の圧力よりプラス圧になるよう設定した
り、成形空間4内の圧力を維持しつつ、原料タンク50
内の圧力をその成形空間4内の圧力に等しく、またはマ
イナス圧に調整して、ブローバックを行ってもよい。こ
の場合には、予備発泡ビーズ5を充填器23から成形空
間4の方向に移動させる空気の流れが弱くなるかまたは
停止するとともに、キャビティ型3の供給孔57付近の
予備発泡ビーズ5が成形空間4の内部方向に吸着される
圧力もごく弱いものとなるので、充填パイプ部55中に
残留した余剰の予備発泡ビーズ5の堆積が少なくなり、
ピストン60にて供給孔57を封鎖したときにおける、
過充填をより一層効果的に防止できる。なお、ブローバ
ック時の成形空間4と原料タンク50の最大差圧(成形
空間4の圧力−原料タンク50の圧力)は、0.5kg
/cm2とすることが好ましい。その理由は、0.5k
g/cm2を超えると、予備発泡ビーズ5の逆流が発生
し、成形空間4内の充填状態が少なくとも部分的に崩れ
てしまうからである。
【0073】また、成形空間4に充填する予備発泡ビー
ズ5として、大気圧以上の空気を圧入して発泡力を付加
したビーズ、所謂成含ビーズを用いることも可能であ
る。この場合には、予備発泡ビーズ5を図示外の成含タ
ンク内に充填して、0.3〜2.0kg/cm2の無機
ガスを予備発泡ビーズ5に圧入し、これを原料タンク5
0内に供給することになる。つまり、本発明で使用する
予備発泡ビーズ5は、ポリオレフィン系樹脂からなり、
一般にポリスチレン系樹脂と比較して発泡力が弱いの
で、蒸気で加熱しても十分に膨らまず、ビーズ間の密着
性が低下したり、ビーズ間の隙間が大きくなって見栄性
が低下するなど、成形品の品質が低下することが考えら
れる。このため、予備発泡ビーズ5に予め無機ガスを圧
入してその発泡力を高めることが好ましい。
ズ5として、大気圧以上の空気を圧入して発泡力を付加
したビーズ、所謂成含ビーズを用いることも可能であ
る。この場合には、予備発泡ビーズ5を図示外の成含タ
ンク内に充填して、0.3〜2.0kg/cm2の無機
ガスを予備発泡ビーズ5に圧入し、これを原料タンク5
0内に供給することになる。つまり、本発明で使用する
予備発泡ビーズ5は、ポリオレフィン系樹脂からなり、
一般にポリスチレン系樹脂と比較して発泡力が弱いの
で、蒸気で加熱しても十分に膨らまず、ビーズ間の密着
性が低下したり、ビーズ間の隙間が大きくなって見栄性
が低下するなど、成形品の品質が低下することが考えら
れる。このため、予備発泡ビーズ5に予め無機ガスを圧
入してその発泡力を高めることが好ましい。
【0074】前述のようにして成形空間4内に充填した
予備発泡ビーズ5は、例えば次のような加熱工程及び冷
却工程を経て成形することになる。以下、図1に示す発
泡成形装置1を用いて説明する。
予備発泡ビーズ5は、例えば次のような加熱工程及び冷
却工程を経て成形することになる。以下、図1に示す発
泡成形装置1を用いて説明する。
【0075】加熱工程では、先ず、ドレン弁DV1、D
V2を開けた状態で用役弁SV1、SV2を開け、チャ
ンバ31、32に対して蒸気を流す事で、チャンバ3
1、32の空気を蒸気で置換する。但し、この工程は、
成形空間4への予備発泡ビーズ5の充填工程内で行って
もよい。
V2を開けた状態で用役弁SV1、SV2を開け、チャ
ンバ31、32に対して蒸気を流す事で、チャンバ3
1、32の空気を蒸気で置換する。但し、この工程は、
成形空間4への予備発泡ビーズ5の充填工程内で行って
もよい。
【0076】次に、ドレン弁DV1、DV2を閉じると
ともに、チャンバ31、32内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV1、SV2を制御しながら、チャ
ンバ31、32に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給
し、コア型2及びキャビティ型3を加熱して、コア型2
及びキャビティ型3に接触する予備発泡ビーズ5を発泡
融着させ、成形品の表面部を成形する。一方、成形空間
4内に充填された予備発泡ビーズ5を加熱するための工
程を並行して行うが、この工程は大きく3つに分かれて
いる。
ともに、チャンバ31、32内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV1、SV2を制御しながら、チャ
ンバ31、32に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給
し、コア型2及びキャビティ型3を加熱して、コア型2
及びキャビティ型3に接触する予備発泡ビーズ5を発泡
融着させ、成形品の表面部を成形する。一方、成形空間
4内に充填された予備発泡ビーズ5を加熱するための工
程を並行して行うが、この工程は大きく3つに分かれて
いる。
【0077】第1工程では、ドレン弁DV4を開けると
ともにドレン弁DV3を閉め、用役弁SV3、SV5、
SV6を開けるとともに用役弁SV4を閉めて、成形空
間4内に蒸気を通して予備発泡ビーズ5間の空気を蒸気
に置換する。第2工程では、第1工程とは逆に、ドレン
弁DV4を閉めるとともにドレン弁DV3を開け、用役
弁SV3を閉めるとともに用役弁SV4、SV5、SV
6を開けて、成形空間4内に蒸気を通して予備発泡ビー
ズ5間の空気を蒸気に置換する。但し、この第2工程は
省略してもよい。
ともにドレン弁DV3を閉め、用役弁SV3、SV5、
SV6を開けるとともに用役弁SV4を閉めて、成形空
間4内に蒸気を通して予備発泡ビーズ5間の空気を蒸気
に置換する。第2工程では、第1工程とは逆に、ドレン
弁DV4を閉めるとともにドレン弁DV3を開け、用役
弁SV3を閉めるとともに用役弁SV4、SV5、SV
6を開けて、成形空間4内に蒸気を通して予備発泡ビー
ズ5間の空気を蒸気に置換する。但し、この第2工程は
省略してもよい。
【0078】第3工程では、ドレン弁DV3、DV4を
閉めるとともに、成形空間4内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV3〜SV6を制御しながら、成形
空間4に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給し、予備
発泡ビーズ5を加熱、発泡融着させて、成形品の内部を
成形する。このようにチャンバ31、32に供給される
蒸気と、成形空間4に供給される蒸気とにより、成形品
の表面部と成形品の内部とを独立に加熱でき、成形品の
表面性と、成形品内部の融着率とを個別に調整すること
が可能となるので、例えば機械的強度に対する要求の低
い成形品においては、表面性を十分に確保しつつ、成形
品内部の融着率を低くして成形のサイクルタイムを短縮
することが可能となり、商品価値と生産性の両立を図る
ことが可能となる。
閉めるとともに、成形空間4内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV3〜SV6を制御しながら、成形
空間4に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給し、予備
発泡ビーズ5を加熱、発泡融着させて、成形品の内部を
成形する。このようにチャンバ31、32に供給される
蒸気と、成形空間4に供給される蒸気とにより、成形品
の表面部と成形品の内部とを独立に加熱でき、成形品の
表面性と、成形品内部の融着率とを個別に調整すること
が可能となるので、例えば機械的強度に対する要求の低
い成形品においては、表面性を十分に確保しつつ、成形
品内部の融着率を低くして成形のサイクルタイムを短縮
することが可能となり、商品価値と生産性の両立を図る
ことが可能となる。
【0079】次の冷却工程では、冷却水弁CV1、CV
2を開けて、コア型2及びキャビティ型3に向けてノズ
ル24から冷却水を噴霧し、コア型2及びキャビティ型
3を介して成形空間4内の成形品を冷却する。尚、コア
型2及びキャビティ型3にはコアベントやコアベントホ
ールなどの通気孔が形成されていないので、成形品は冷
却水に接することなく冷却される。このため、成形品の
含水率は、成形空間4内でドレン化した蒸気だけであ
り、その量は従来の成形方法と比較して1/5〜1/1
0にする事ができる。冷却後は、成形品がキャビティ型
3側に残置するように成形型2、3を開け、エジェクタ
ピン24を用いて成形品をキャビティ型3から離型し
て、成形型から取り出す。
2を開けて、コア型2及びキャビティ型3に向けてノズ
ル24から冷却水を噴霧し、コア型2及びキャビティ型
3を介して成形空間4内の成形品を冷却する。尚、コア
型2及びキャビティ型3にはコアベントやコアベントホ
ールなどの通気孔が形成されていないので、成形品は冷
却水に接することなく冷却される。このため、成形品の
含水率は、成形空間4内でドレン化した蒸気だけであ
り、その量は従来の成形方法と比較して1/5〜1/1
0にする事ができる。冷却後は、成形品がキャビティ型
3側に残置するように成形型2、3を開け、エジェクタ
ピン24を用いて成形品をキャビティ型3から離型し
て、成形型から取り出す。
【0080】このようにして成形した成形品において
は、外面にコアベント及びコアベントホールの跡の無い
表面美麗な成形品となる。しかも表面性に関しては、従
来の成形技術により製作した等加熱成形品と同等に設定
しつつ、内部の融着率に関しては、該表面性の等加熱成
形品よりも低く設定したり、高く設定した成形品とな
る。つまり、従来の成形方法では、予備発泡ビーズの加
熱、発泡融着時に、予備発泡ビーズの表面と内部とが同
じ加熱条件で加熱される関係上、成形品内部の融着率を
低く設定すると、図9(a)に示すように、成形品内部
のビーズ5Aの境界部に隙間が形成されるとともに成形
品の表面部に窪み7が形成されるが、本発明の成形方法
では、表面と内部とを独立に加熱できるので、内部の融
着率のみを低く設定することで、図9(b)に示すよう
に、成形品内部のビーズ5Aの境界部には隙間6が形成
されるものの、成形品の表面のビーズ5Bの境界部には
窪み7がほとんど形成されていない、表面が平滑で美麗
な成形品を実現できる。また、内部の融着率を低く設定
した場合には、表面性に対する要求が高く、機械的強度
があまり要求されないような成形品、例えばコンクリー
ト表面化粧型枠、容器の蓋や断熱材などの成形品として
好適に利用でき、内部の融着率を高くした場合には、表
面性はあまり要求されないが、機械的強度に対する要求
の高い成形品や繰り返し使用に耐える成形品、例えば自
動車用の各種部材や通い函などの成形品として好適に利
用できる。本発明は、例えばカップ麺の容器のような小
さく単純な形状をした成形品よりも、比較的大きい、複
雑な形状をした成形品において、効果を発揮し、有用な
ものである。特に、肉厚部と薄肉部とを共に有するよう
な、成形品に対して有益である。
は、外面にコアベント及びコアベントホールの跡の無い
表面美麗な成形品となる。しかも表面性に関しては、従
来の成形技術により製作した等加熱成形品と同等に設定
しつつ、内部の融着率に関しては、該表面性の等加熱成
形品よりも低く設定したり、高く設定した成形品とな
る。つまり、従来の成形方法では、予備発泡ビーズの加
熱、発泡融着時に、予備発泡ビーズの表面と内部とが同
じ加熱条件で加熱される関係上、成形品内部の融着率を
低く設定すると、図9(a)に示すように、成形品内部
のビーズ5Aの境界部に隙間が形成されるとともに成形
品の表面部に窪み7が形成されるが、本発明の成形方法
では、表面と内部とを独立に加熱できるので、内部の融
着率のみを低く設定することで、図9(b)に示すよう
に、成形品内部のビーズ5Aの境界部には隙間6が形成
されるものの、成形品の表面のビーズ5Bの境界部には
窪み7がほとんど形成されていない、表面が平滑で美麗
な成形品を実現できる。また、内部の融着率を低く設定
した場合には、表面性に対する要求が高く、機械的強度
があまり要求されないような成形品、例えばコンクリー
ト表面化粧型枠、容器の蓋や断熱材などの成形品として
好適に利用でき、内部の融着率を高くした場合には、表
面性はあまり要求されないが、機械的強度に対する要求
の高い成形品や繰り返し使用に耐える成形品、例えば自
動車用の各種部材や通い函などの成形品として好適に利
用できる。本発明は、例えばカップ麺の容器のような小
さく単純な形状をした成形品よりも、比較的大きい、複
雑な形状をした成形品において、効果を発揮し、有用な
ものである。特に、肉厚部と薄肉部とを共に有するよう
な、成形品に対して有益である。
【0081】次に、前記成形方法の評価試験及びそれに
より製作した成形品の品質評価試験について説明する。
ポリプロピレン製の予備発泡ビーズを用いて、表1に示
す加熱条件で成形し、その表面性と成形品内部の融着率
を測定した。但し、表面性は、図9(a)に示す窪み7
の出現度に応じて5段階評価したもので、数値が高くな
るほど窪み7の出現度が少なく、表面性が良好であるこ
とを示す。また融着率は、成形品を割ってみて、その破
断面におけるビーズの状態を評価したものであり、具体
的にはビーズ自体が破損することなく、ビーズの表面に
沿って割れているものを融着していないとみなし、ビー
ズが破損して割れているものを融着しているとみなし
て、破損して割れているビーズの割合を測定した。
より製作した成形品の品質評価試験について説明する。
ポリプロピレン製の予備発泡ビーズを用いて、表1に示
す加熱条件で成形し、その表面性と成形品内部の融着率
を測定した。但し、表面性は、図9(a)に示す窪み7
の出現度に応じて5段階評価したもので、数値が高くな
るほど窪み7の出現度が少なく、表面性が良好であるこ
とを示す。また融着率は、成形品を割ってみて、その破
断面におけるビーズの状態を評価したものであり、具体
的にはビーズ自体が破損することなく、ビーズの表面に
沿って割れているものを融着していないとみなし、ビー
ズが破損して割れているものを融着しているとみなし
て、破損して割れているビーズの割合を測定した。
【0082】
【表1】
【0083】この結果より、チャンバ13、14の加熱
条件と第1開口部30a、30bからの蒸気による成形
空間4の加熱条件とを制御することで、成形品の表面性
と内部の融着度合いを個別に制御できる事が分かる。従
来の成形方法では、表1のケースB、Fに相当する品質
の成形品しか製造することができなかったが、本発明で
は表面性と融着率とを色々に組合せたケースA〜Iの成
形品を製作でき、成形の自由度が大幅に拡大する。
条件と第1開口部30a、30bからの蒸気による成形
空間4の加熱条件とを制御することで、成形品の表面性
と内部の融着度合いを個別に制御できる事が分かる。従
来の成形方法では、表1のケースB、Fに相当する品質
の成形品しか製造することができなかったが、本発明で
は表面性と融着率とを色々に組合せたケースA〜Iの成
形品を製作でき、成形の自由度が大幅に拡大する。
【0084】例えば、ケースD、Gに示すように、内部
の融着率を低くしつつ、表面性が良好な成形品を製作で
きる。このような成形品は、内部の融着率が低いことか
ら機械的強度は低下するが、加熱、発泡融着時間及び冷
却時間を短縮でき、表面性を良好に維持しつつ生産性を
向上できるので、コンクリート表面化粧型枠、容器の蓋
や断熱材などのように、機械的強度の要求されないよう
な成形品として好適に利用できる。従来の成形方法によ
りこのような成形品を製作する場合には、評価3以上の
表面性を良品とするならば、ケースFに示されるよう
に、成形のサイクルタイムは250秒以上必要であった
が、本発明の成形方法では、ケ一スD、E、G、Hに見
られるように、150秒、220秒、170秒、230
秒のサイクルタイムでそれぞれ成形できるので、生産性
を向上できる。また、必要以上の加熱を行わないので、
エネルギーコストを下げることも可能となる。
の融着率を低くしつつ、表面性が良好な成形品を製作で
きる。このような成形品は、内部の融着率が低いことか
ら機械的強度は低下するが、加熱、発泡融着時間及び冷
却時間を短縮でき、表面性を良好に維持しつつ生産性を
向上できるので、コンクリート表面化粧型枠、容器の蓋
や断熱材などのように、機械的強度の要求されないよう
な成形品として好適に利用できる。従来の成形方法によ
りこのような成形品を製作する場合には、評価3以上の
表面性を良品とするならば、ケースFに示されるよう
に、成形のサイクルタイムは250秒以上必要であった
が、本発明の成形方法では、ケ一スD、E、G、Hに見
られるように、150秒、220秒、170秒、230
秒のサイクルタイムでそれぞれ成形できるので、生産性
を向上できる。また、必要以上の加熱を行わないので、
エネルギーコストを下げることも可能となる。
【0085】また、ケースCに示すように、内部の融着
率を高く設定しつつ、表面性を多少低く設定した成形品
を製作できる。このような成形品は、内部の融着率が高
いことから機械的強度は高くなるが、発泡融着時間及び
冷却時間を短縮できるとともに第1開口部30a、30
bにおける蒸気圧力を低く設定でき、機械的強度を十分
に高めつつ生産性の向上及び省エネ化が図れるので、自
動車用の各種部材や通い函などのように、表面性はあま
り要求されないが機械的強度が要求される成形品として
好適に利用できる。従来の成形方法によりこのような成
形品を製作する場合には、融着率80を良品とするなら
ば、ケースFに示されるように、成形のサイクルタイム
は250秒以上必要であったが、本発明の成形方法で
は、ケ一スCに見られるように、240秒のサイクルタ
イムで成形できるので、生産性を向上できる。また、チ
ャンバ13、14の蒸気圧力に関しては、ケースFは
3.5kg/cm2であるのに対し、ケースCでは3.0kg/c
m2に設定できるので、チャンバ13、14の蒸気圧力を
低くしてエネルギーコストを低減できることが判る。
率を高く設定しつつ、表面性を多少低く設定した成形品
を製作できる。このような成形品は、内部の融着率が高
いことから機械的強度は高くなるが、発泡融着時間及び
冷却時間を短縮できるとともに第1開口部30a、30
bにおける蒸気圧力を低く設定でき、機械的強度を十分
に高めつつ生産性の向上及び省エネ化が図れるので、自
動車用の各種部材や通い函などのように、表面性はあま
り要求されないが機械的強度が要求される成形品として
好適に利用できる。従来の成形方法によりこのような成
形品を製作する場合には、融着率80を良品とするなら
ば、ケースFに示されるように、成形のサイクルタイム
は250秒以上必要であったが、本発明の成形方法で
は、ケ一スCに見られるように、240秒のサイクルタ
イムで成形できるので、生産性を向上できる。また、チ
ャンバ13、14の蒸気圧力に関しては、ケースFは
3.5kg/cm2であるのに対し、ケースCでは3.0kg/c
m2に設定できるので、チャンバ13、14の蒸気圧力を
低くしてエネルギーコストを低減できることが判る。
【0086】
【発明の効果】請求項1に係るポリオレフィン系樹脂の
型内発泡成形方法によれば、成形品外面の目立つ場所を
成形する成形部に通気孔を形成しないので、成形品表面
に形成される通気孔の跡は、成形品表面の目立たない場
所に配置されることになり、成形品表面の美麗性を向上
できる。しかも、通気孔を完全あるいは略完全になくし
て、コア型の背面側のチャンバと、キャビティ型の背面
側のチャンバと、成形空間とに対してそれぞれ個別に用
役流体を制御することも可能なので、これら3つの空間
の加熱条件をそれぞれ独立に調整して、例えば成形品内
部の融着率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮
しつつ、表面美麗な成形品を製作することが可能とな
り、生産性と商品価値の両立を図ることが可能となる。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを
用いているので、成形型に形成する通気孔を極力少な
く、あるいは完全に省略して、両チャンバと成形空間と
に対する用役流体の制御精度を向上しつつ、予備発泡ビ
ーズの充填性の低下を効果的に防止できる。更に、充填
器のピストンの先端部に先端側へ行くにしたがって縮径
する凸型部を形成することで、従来のようにピストン先
端の平坦面で予備発泡ビーズを押し込む場合と比較し
て、ピストンに対面する部分の充填密度が局部的に過剰
に高くなることを防止して、過充填によるビーズ同士の
融着不良を防止できる。
型内発泡成形方法によれば、成形品外面の目立つ場所を
成形する成形部に通気孔を形成しないので、成形品表面
に形成される通気孔の跡は、成形品表面の目立たない場
所に配置されることになり、成形品表面の美麗性を向上
できる。しかも、通気孔を完全あるいは略完全になくし
て、コア型の背面側のチャンバと、キャビティ型の背面
側のチャンバと、成形空間とに対してそれぞれ個別に用
役流体を制御することも可能なので、これら3つの空間
の加熱条件をそれぞれ独立に調整して、例えば成形品内
部の融着率を低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮
しつつ、表面美麗な成形品を製作することが可能とな
り、生産性と商品価値の両立を図ることが可能となる。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる予備発泡ビーズを
用いているので、成形型に形成する通気孔を極力少な
く、あるいは完全に省略して、両チャンバと成形空間と
に対する用役流体の制御精度を向上しつつ、予備発泡ビ
ーズの充填性の低下を効果的に防止できる。更に、充填
器のピストンの先端部に先端側へ行くにしたがって縮径
する凸型部を形成することで、従来のようにピストン先
端の平坦面で予備発泡ビーズを押し込む場合と比較し
て、ピストンに対面する部分の充填密度が局部的に過剰
に高くなることを防止して、過充填によるビーズ同士の
融着不良を防止できる。
【0087】請求項2記載のように、通気孔をコア型及
びキャビティ型から完全に省略すると、コア型の背面側
のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバと、成
形空間との3つの空間の加熱条件をより厳密に設定でき
るとともに、通気孔の跡の無い美麗な表面の成形品が得
られるので好ましい。しかも、通気孔が無いことから、
冷却時に両チャンバに噴霧した冷却水が成形品に接する
ことを防止して、冷却水が接することによる成形品の含
水率の上昇を防止できる。また、冷却水が成形品に直接
的に接触しないので、冷却水を清浄な状態に高度に管理
しなくても、衛生的な成形品を得ることが可能となる。
びキャビティ型から完全に省略すると、コア型の背面側
のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバと、成
形空間との3つの空間の加熱条件をより厳密に設定でき
るとともに、通気孔の跡の無い美麗な表面の成形品が得
られるので好ましい。しかも、通気孔が無いことから、
冷却時に両チャンバに噴霧した冷却水が成形品に接する
ことを防止して、冷却水が接することによる成形品の含
水率の上昇を防止できる。また、冷却水が成形品に直接
的に接触しないので、冷却水を清浄な状態に高度に管理
しなくても、衛生的な成形品を得ることが可能となる。
【0088】請求項3記載のように、凸型部が、半球
状、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状のいずれかの
形状に構成すると、ピストン対面位置の予備発泡ビーズ
を円滑にピストン対面位置外へ押し込むことが可能なの
で、ピストンに対面する部分の充填密度が局部的に過剰
に高くなることを防止して、過充填によるビーズ同士の
融着不良を防止できる。
状、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状のいずれかの
形状に構成すると、ピストン対面位置の予備発泡ビーズ
を円滑にピストン対面位置外へ押し込むことが可能なの
で、ピストンに対面する部分の充填密度が局部的に過剰
に高くなることを防止して、過充填によるビーズ同士の
融着不良を防止できる。
【0089】請求項4記載のように、凸型部の成形空間
内への突出長さを2〜10mmに設定すると、成形品の
見栄性が低下することを極力防止しつつ、ピストン対面
位置における予備発泡ビーズが過充填状態になることを
防止でき、成形品の品質を向上できる。
内への突出長さを2〜10mmに設定すると、成形品の
見栄性が低下することを極力防止しつつ、ピストン対面
位置における予備発泡ビーズが過充填状態になることを
防止でき、成形品の品質を向上できる。
【0090】請求項5に係るポリオレフィン系樹脂の型
内発泡成形方法によれば、請求項1〜4のいずれか1項
記載の型内発泡成形装置を用いているので、請求項1〜
4に係る発明と同様の効果が得られる。
内発泡成形方法によれば、請求項1〜4のいずれか1項
記載の型内発泡成形装置を用いているので、請求項1〜
4に係る発明と同様の効果が得られる。
【図1】 型内発泡成形装置の全体構成図
【図2】 図1のII−II線断面図
【図3】 他の構成の型内発泡成形装置の全体構成図
【図4】 他の構成の型内発泡成形装置の全体構成図
【図5】 図4のV−V線断面図
【図6】 ビーズ充填手段の作動説明図
【図7】 ピストンの凸型部の作動説明図
【図8】 ピストンの側面図
【図9】 成形品の表面性と内部融着率の説明図
【図10】 従来技術に係る型内発泡成形装置の全体構
成図
成図
【図11】 従来技術に係る通気孔付近の縦断面図
【図12】 従来技術に係るコアベントの平面図
【図13】 従来技術に係る発泡成形体の成形方法の説
明図
明図
【図14】 従来技術に係る予備発泡ビーズの充填方法
の説明図
の説明図
1 型内発泡成形装置 2 コア型 3 キャビティ型 4 成形空間 5 予備発泡ビーズ 10 枠状フレーム 11 裏板 12 ハウジング 13 第1チャンバ 14 第2チャンバ 15 蒸気供給管 16 空気供給管 17 ドレン管 18 減圧管 19 真空ポンプ 20 ノズル 21 ノズルユニット 22 冷却水供給管 23 充填器 24 エジェクタピン SV1、SV2 用役弁 SWV1、SWV2 切替弁 DV1、DV2 ドレン弁 SWV3、SWV4 切替弁 CV1、CV2 冷却水弁 30 第1開口部 30a 第1開口部 30b 第1開口部 31a 型間通路 31b 型間通路 32a 内部配管 32b 内部配管 1A 型内発泡成形装置 33a 型間通路 33b 型間通路 34a 型間空間 34b 型間空間 1B 型内発泡成形装置 30c 第1開口部 30d 第1開口部 38 通路形成部材 39a 連通空間 39b 連通空間 40a 内部配管 40b 内部配管 30e 第1開口部 30f 第1開口部 41 外装部材 42 連通路 43 連通路 50 原料タンク 51 吸気管 V1 吸気弁 V2 充填エア弁 52 シャッター 53 充填管 54 充填エア供給管 55 充填パイプ部 56 プランジャ部 57 供給孔 58 充填エア通路 58a 噴出孔 59 プランジャシャフト 60 ピストン 61 凸型部
Claims (5)
- 【請求項1】 成形品外面の目立つ場所を成形する成形
部に、コアベント及びコアベントホールなどの通気孔が
存在しないコア型及びキャビティ型と、成形空間内に予
備発泡ビーズを充填するための充填器であって、先端部
に先端側へ行くにしたがって縮径する凸型部を形成した
ピストンを有する充填器とを備え、ピストンにより充填
器の成形空間側の供給孔を閉鎖した状態で、凸型部が成
形空間内に突出することを特徴とするポリオレフィン系
樹脂の型内発泡成形装置。 - 【請求項2】 前記通気孔をコア型及びキャビティ型か
ら完全に省略した請求項1記載のポリオレフィン系樹脂
の型内発泡成形装置。 - 【請求項3】 前記凸型部が、半球状、円錐状、円錐台
状、角錐状、角錐台状のいずれかの形状に構成された請
求項1又は2記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成
形装置。 - 【請求項4】 前記凸型部の成形空間内への突出長さを
2〜10mmに設定した請求項1〜3のいずれか1項記
載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の型内
発泡成形装置を用い、充填器によりポリオレフィン系樹
脂からなる予備発泡ビーズを成形空間内に充填した後、
凸型部を成形空間内に突出させた状態でピストンにて充
填器の供給孔を閉鎖し、その後充填した予備発泡ビーズ
を蒸気により加熱、融着することを特徴とするポリオレ
フィン系樹脂の型内発泡成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26651299A JP2001088157A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26651299A JP2001088157A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001088157A true JP2001088157A (ja) | 2001-04-03 |
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ID=17431945
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26651299A Pending JP2001088157A (ja) | 1999-09-21 | 1999-09-21 | ポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001088157A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014008659A (ja) * | 2012-06-28 | 2014-01-20 | Yamamon:Kk | 発泡樹脂製容器 |
JP2014069476A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Sekisui Plastics Co Ltd | 発泡成形体 |
-
1999
- 1999-09-21 JP JP26651299A patent/JP2001088157A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014008659A (ja) * | 2012-06-28 | 2014-01-20 | Yamamon:Kk | 発泡樹脂製容器 |
JP2014069476A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Sekisui Plastics Co Ltd | 発泡成形体 |
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