JP2001113552A - ポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法 - Google Patents

ポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法

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JP2001113552A
JP2001113552A JP29421599A JP29421599A JP2001113552A JP 2001113552 A JP2001113552 A JP 2001113552A JP 29421599 A JP29421599 A JP 29421599A JP 29421599 A JP29421599 A JP 29421599A JP 2001113552 A JP2001113552 A JP 2001113552A
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cooling
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molding
molded product
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Masahiko Samejima
昌彦 鮫島
Yoshiyuki Kobayashi
喜幸 小林
Kenji Yamaguchi
健二 山口
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コアベントやコアベントホールなどの通気孔
を成形型の表面から無くした新規な発泡成形装置の実用
化を図るものであり、このような新規な発泡成形技術に
おける課題の1つであるところの、冷却効率の低下を解
消して、成形品の冷却時間を短縮し得るポリオレフィン
系合成樹脂の型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法を
提供する。 【解決手段】 成形品外面の目立つ場所を成形する成形
部に、コアベント及びコアベントホールなどの通気孔が
存在しないコア型2及びキャビティ型3の2つの成形型
と、両成形型2,3の背面に向けて冷却水をそれぞれ噴
射して、成形型2,3を介して間接的に成形品を冷却す
る第1冷却手段と、両成形型2,3に形成した冷却水孔
45,46を介して成形空間4内に冷却水を噴射し、こ
の冷却水により直接的に成形品を冷却する第2冷却手段
とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
合成樹脂からなる予備発泡ビーズを用いた型内発泡成形
装置及び型内発泡成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性合成樹脂からなる予備発泡ビー
ズを用いて成形品を製作する型内発泡成形装置として、
コア型及びキャビティ型と、両型間に形成される成形空
間内に予備発泡ビーズを充填するための充填手段と、成
形空間内に充填した予備発泡ビーズに対して蒸気を通
し、予備発泡ビーズを加熱、発泡融着させる蒸気供給手
段と、コア型及びキャビティ型の背面に対して冷却水を
噴霧して成形品を冷却する冷却手段とを備え、コア型の
背面側及びキャビティ型の背面側にチャンバをそれぞれ
形成するとともに、コア型及びキャビティ型にチャンバ
と成形空間とを連通するコアベントやコアベントホール
などの通気孔を形成し、該チャンバを、予備発泡ビーズ
の充填時には、予備発泡ビーズとともに成形空間内に供
給される空気の排出空間として機能させ、加熱、発泡融
着時には、成形空間に蒸気を供給するためのチャンバと
して機能させ、冷却時にはコア型背面及びキャビティ型
背面に対して冷却水を噴霧するための冷却室として機能
させるように構成したものが実用化されている。
【0003】また、前記蒸気供給手段は、例えば2つの
チャンバに対してそれぞれ接続した蒸気供給管及びドレ
ン管と、蒸気供給管及びドレン管の途中部に介装した制
御弁とを有し、次のように予備発泡ビーズを加熱、発泡
融着している。先ず、ドレン管を開放した状態で、蒸気
供給管から両チャンバに対して蒸気を供給することで、
2つのチャンバ内の空気を排出する。次に、一方のチャ
ンバに蒸気を供給して、他方のチャンバから排出するこ
とで、成形空間内に蒸気を通して、成形空間内の空気を
排出するとともに、予備発泡ビーズ及び金型を予熱す
る。次に、ドレン管を閉鎖した状態で、両チャンバに蒸
気を供給して、予備発泡ビーズを加熱、発泡融着してい
る。また、成形品の冷却時には、コア型及びキャビティ
型の背面に対して冷却水をそれぞれ噴霧して冷却するこ
とになるが、このとき通気孔を通って冷却水の一部が成
形空間内に侵入し、この侵入した冷却水により成形品が
効率的に冷却されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記発泡成形方法は、
現在最も主流の成形方法であるが、この成形方法におい
ても、次のような課題を有している。 (1)成形型に多数の通気孔を透設したことによる成形
型の強度低下を補うため、アルミニウム合金型材からな
る成形型の肉厚を例えば8〜12mmと厚肉に設定する
必要があるが、このように構成すると、成形型の熱容量
が大きくなり、加熱冷却の熱効率が低下したり、昇温、
降温の速度が遅くなることから、制御精度が低くなるな
どの不具合がある。 (2)一般的な1対の成形型において2000〜400
0個の通気孔が設けられているので、孔あけ作業が煩雑
で加工コストが高くなるうえ、コアベントは成形型に形
成した取付孔に対して手作業で取付けるため、その作業
が煩雑であり、しかも型表面の損傷が避けられず、余分
な手直し作業も必要である。
【0005】(3)コアベントやコアベントホールなど
の通気孔にスケールなどの目詰まりが生じて、加熱不
良、離型不良、冷却不良が生じるので、コアベントの取
り替えまたは定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメン
テナンス作業が必要である。 (4)発泡成形品の表面に通気孔の跡が付くので、成形
品の外観の美麗性を低下させる要因になるとともに、外
面に対して印刷等を施す場合には通気孔の跡が邪魔にな
って綺麗に印刷できない。 (5)成形後、チャンバ内に冷却水を噴霧して発泡成形
品を冷却するため、通気孔を通じて水分が成形空間内に
浸透し、成形品の内部にまで6〜10%程度含水するこ
とになり、乾燥工程が必要であった。また、成形品に冷
却水が直接的に接触するので、衛生的な成形品を得るた
めには、冷却水を清浄な状態に管理する必要がある。
【0006】(6)チャンバから成形空間内へ蒸気を通
して予備発泡ビーズを同じ加熱条件で加熱し、発泡融着
させる関係上、このようにして得られる成形品(以下、
等加熱成形品と称する)においては、ビーズの融着率に
依存して表面性が変化する。具体的には、融着率が低く
なると表面性が悪化し、融着率が高くなると表面性が良
好になる。一方、等加熱成形品におけるビーズの融着率
は、高く設定するほど成形品の機械的強度などの物性が
向上するが、加熱、発泡融着時間及び冷却時間が長くな
り、成形のサイクルタイムが全体的に長くなって生産性
が低下するという問題がある。
【0007】また、このようなことから前述の成形技術
では、成形品におけるビーズの融着率を、例えば40%
〜80%に設定し、表面性を良好にして外観の美麗性を
確保するとともに、融着率を十分に確保して機械的強度
を確保するようにしているが、機械的強度に対する要求
の低い成形品においても、外観の美麗性を確保するた
め、ある程度融着率を高く設定する必要があり、その分
成形のサイクルタイムが長くなって、生産性が低下する
という問題がある。尚、ここで使用する融着率とは、成
形品を割ってみて、その破断面におけるビーズの状態を
評価したものであり、具体的にはビーズ自体が破損する
ことなく、ビーズの表面に沿って割れているものを融着
していないとみなし、ビーズ自体が破損して割れている
ものを融着しているとみなして、ビーズ自体が破損して
いるものの割合を測定して求めたものである。
【0008】このように、前記発泡成形方法において
は、コアベントやコアベントホールなどの通気孔を活用
して蒸気や空気などの用役流体を成形空間内に供給し、
あるいは成形空間から排出することで、発泡成形品を得
るように構成されているが、通気孔を設けるが故、前述
のような多数の問題が発生しているのが実状である。
【0009】本発明者らは、これらの課題を根本的に解
決すべく、通気孔の無い成形型を用いた発泡成形方法の
実用化について鋭意検討し、種々の試験を行った。成形
型から通気孔を無くするとはいっても、成形空間に対し
て蒸気や空気などの用役流体を供給或いは排出するため
のコアベントやコアベントホールに代わる通路は必須で
あるので、このような通路を何処に、どの様に形成する
かが問題であり、またこの様な通路に対してどの様なタ
イミングで、またどの様な条件で用役流体を供給するの
かなど、解決しなければならない課題が山積されてい
る。
【0010】このような課題の1つとして、成形品の冷
却効率が低下するという課題がある。即ち、このような
通気孔を有しない成形型においては、成形型の背面に向
けて冷却水を噴射しても、成形空間内に冷却水が侵入し
ないので、成形品は冷却水により直接的に冷却されるこ
とはなく、成形型を介して間接的に冷却されるだけとな
り、従来の成形装置のように直接的及び間接的に冷却さ
れる場合と比較して、冷却効率が低下し、成形品の冷却
に要する時間が長くなるという問題がある。
【0011】本発明の目的は、コアベントやコアベント
ホールなどの通気孔を成形型の表面から無くした新規な
発泡成形装置の実用化を図るものであり、このような新
規な発泡成形技術における課題の1つであるところの、
冷却効率の低下を解消して、成形品の冷却時間を短縮し
得るポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡成形装置及び
型内発泡成形方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段及びその作用】本発明に係
るポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡成形装置は、成
形品外面の目立つ場所を成形する成形部に、コアベント
及びコアベントホールなどの通気孔が存在しないコア型
及びキャビティ型の2つの成形型と、前記両成形型の背
面に向けて冷却水をそれぞれ噴射して、成形型を介して
間接的に成形品を冷却する第1冷却手段と、前記両成形
型の少なくとも一方に冷却水孔を形成するとともに、こ
の冷却水孔に成形型の外部から導かれた冷却水供給管を
接続し、冷却水孔を介して成形空間内に冷却水を噴射し
て、冷却水により直接的に成形品を冷却する第2冷却手
段とを備えたものである。
【0013】この成形装置においては、成形品外面の目
立つ場所を成形する成形部に通気孔を形成しないので、
成形品表面に形成される通気孔の跡は、成形品表面の目
立たない場所に配置されることになり、成形品表面の美
麗性を向上できる。また、この成形装置においては、通
気孔を完全あるいは略完全になくして、コア型の背面側
のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバと、成
形空間とに対してそれぞれ個別に用役流体を制御するこ
とも可能である。この場合には、例えば用役流体として
蒸気を制御して、それぞれの空間の加熱条件を独立に調
整すると、両チャンバに供給する蒸気により、成形空間
内に充填された予備発泡ビーズのコア型及びキャビティ
型に接する表面性をそれぞれ調整でき、また成形空間に
供給する蒸気により、成形空間内に充填された予備発泡
ビーズを加熱、発泡融着して、表面性とは独立に予備発
泡ビーズの融着率を調整できることになる。このため、
成形品内部の融着率を低く抑えて、成形のサイクルタイ
ムを短縮しつつ、表面美麗な成形品を製作することが可
能となり、生産性と商品価値の両立を図ることが可能と
なる。
【0014】更に、この成形装置では、第1冷却手段に
より成形型の背面側に冷却水を噴射して、成形型を介し
て間接的に成形品を冷却できるとともに、第2冷却手段
により両成形型の少なくとも一方に形成した冷却水孔を
介して成形空間内に冷却水を噴射して、冷却水により成
形品を直接的に冷却できるので、成形品の冷却効率を高
めて、成形品の冷却のための所要時間を大幅に短縮でき
るとともに、冷却水の使用量を節減できる。
【0015】請求項2記載のように、通気孔をコア型及
びキャビティ型から完全に省略してもよい。この場合に
は、コア型の背面側のチャンバと、キャビティ型の背面
側のチャンバと、成形空間との3つの空間の加熱条件を
より厳密に設定できるとともに、通気孔の跡の無い美麗
な表面の成形品が得られるので好ましい。しかも、通気
孔が無いことから、冷却時に成形型の背面に向けて噴射
した冷却水が成形空間内に侵入しないので、該冷却水
は、清浄な状態に高度に管理する必要がない。このた
め、冷却水孔から供給する冷却水についてのみ清浄な状
態に管理すればよいので、冷却水の浄化のためのコスト
を削減できる。
【0016】尚、コア型及び/又はキャビティ型に形成
した冷却水孔は、コアベントやコアベントホールなどの
通気孔と同様に、成形品の表面に跡を残すので、該跡が
成形品の目立たない位置になるように形成することが好
ましい。例えば、請求項3記載のように、前記冷却水孔
を予備発泡ビーズの充填器付近とエジェクタピン付近の
少なくとも一方に形成することが好ましい。
【0017】本発明に係るポリオレフィン系合成樹脂の
型内発泡成形方法は、請求項1〜3のいずれか1項記載
の型内発泡成形装置を用い、成形空間内で成形した成形
品を冷却する際に、第1冷却手段により成形型の背面に
向けて冷却水を噴射させるとともに、第2冷却手段によ
り冷却水孔から成形空間内に冷却水を直接的に噴射させ
るものである。この成形方法においては、請求項1〜3
のいずれか1項記載の型内発泡成形装置を用い、第1冷
却手段により成形型を介して間接的に成形品を冷却する
とともに、第2冷却手段により成形空間内に供給した冷
却水により直接的に成形品を冷却するので、成形型に通
気孔を形成していない成形型を用いつつ、成形品の冷却
効率を高めて、成形品の冷却のための所要時間を大幅に
短縮できるとともに、冷却水の使用量を節減できる。
【0018】請求項5記載の成形方法は、第1冷却手段
により冷却水を噴射して冷却を開始してから、2〜30
秒経過後に第2冷却手段により冷却水孔から成形空間内
へ冷却水を噴射するものである。つまり、成形空間内に
充填した予備発泡ビーズは、蒸気圧を作用させて加熱し
た後、成形空間を大気開放したときに、成形空間内に隙
間なく膨らんで相互に融着することになるが、このとき
成形空間内に冷却水を供給すると、予備発泡ビーズが十
分に膨らまない状態で固化してしまい、成形品の表面に
凹凸が形成されるという成形不良が発生する。一方、成
形型の冷却には一定時間を要するので、予備発泡ビーズ
が十分に膨張した後、成形型の背面側へ向けて冷却水を
噴射して冷却を開始したのでは冷却時間が長くなる。こ
のため、第1冷却手段による成形品の冷却は、加熱終了
直後から開始し、その後2〜30秒経過して予備発泡ビ
ーズが十分に膨らんだ状態で、第2冷却手段により成形
空間内に冷却水を供給して、成形品を冷却することで、
冷却時間を極力短縮しつつ、品質の良い成形品を得るこ
とが可能となるのである。
【0019】請求項6記載の成形方法は、成形型に対す
る予備発泡ビーズの発泡樹脂圧を順次測定し、第1冷却
手段による冷却開始後における発泡樹脂圧が、加熱終了
時の発泡樹脂圧の0.50〜0.95倍の範囲内のとき
に、第2冷却手段により冷却水孔から成形空間内へ冷却
水を噴射するものである。つまり、前記請求項5では、
第1冷却手段を作動させてからの遅延時間により第2冷
却手段の作動タイミングを設定したが、成形空間内にお
ける発泡樹脂圧を直接的に測定し、第1冷却手段による
冷却開始後における発泡樹脂圧が、加熱終了時の発泡樹
脂圧の0.50〜0.95倍の範囲内のときに、予備発
泡ビーズが十分に膨らんだ状態になっているとして、第
2冷却手段を作動させてもよい。
【0020】第2冷却手段の作動時間は、請求項7記載
のように2〜30秒間に設定したり、請求項8記載のよ
うに第1冷却手段の作動時間の3〜50%に設定するこ
とが好ましい。つまり、第2冷却手段は、冷却工程の終
了まで作動させることも可能であるが、第2冷却手段か
ら供給される冷却水は成形品に直接接触するので、冷却
効率を充分に確保しつつ、過冷却による成形品の収縮を
防止したり、成形品の含水率を極力少なくするととも
に、離型後における成形品の汚損等を防止するため、請
求項7又は8記載のようにその作動時間を設定すること
が好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。先ず、本発明に係る成
形装置及び成形方法で用いる予備発泡ビーズについて説
明する。予備発泡ビーズの素材としては、ポリエチレン
系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系
合成樹脂材料や、これらの合成樹脂材料の共重合体など
を採用できる。具体的には、エチレンプロピレンランダ
ムポリプロピレン樹脂、エチレンプロピレンブロックポ
リプロピレン樹脂、ホモポリプロピレンエチレンプロピ
レンブテンランダムターポリマー、直鎖状低密度ポリエ
チレン(LLDPE)、架橋低密度ポリエチレン(架橋
LDPE)などを好適に利用できる。このようなポリオ
レフィン系樹脂の予備発泡ビーズは、素材自体が軟らか
く、しかもガス透過性が高いことから、同一発泡倍率の
ポリスチレン系樹脂からなる予備発泡ビーズよりも格段
に粒子形状が変形しやすいので、離型不良が発生し易
く、本発明を適用するのに好適である。
【0022】予備発泡ビーズの発泡倍率は、その素材に
もよるが、3〜150倍の範囲内が好ましい。具体的に
は、ポリスチレン系合成樹脂材料からなる予備発泡ビー
ズにおいては3〜100倍、好ましくは3〜80倍、ポ
リオレフィン系合成樹脂材料からなる予備発泡ビーズに
おいては、3〜90倍、好ましくは3〜60倍のものが
好適に利用できる。また、粒径は1〜10mm、好まし
くは2.0〜8mmの範囲のものが好適に利用できる。
特にポリオレフィン系合成樹脂材料の予備発泡ビーズ
は、素材自体が軟らかく、しかもガス透過性が高いこと
から、同一発泡倍率のポリスチレン系合成樹脂材料から
なる予備発泡ビーズよりも格段に粒子形状が変形しやす
ので、特に充填性の改善効果を発揮する上で好ましい。
【0023】より具体的には、ポリオレフィン系合成樹
脂材料として例えばポリプロピレン系樹脂からなる予備
発泡ビーズを用いる場合には、次のようにその物性を設
定することになる。予備発泡ビーズのセル径は、100
μm未満の場合には、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易
く、表面外観の見栄えが劣るという問題があり、900
μmを越える場合には、セル径が不均一になり易く、セ
ル径が大きいため表面のきめが粗く、表面外観が劣ると
いう問題があるので、100〜900μmの範囲内、よ
り好ましくは150〜700μm、特に好ましくは17
0〜550μmに設定することになる。発泡倍率は、特
に制限はないが5〜60倍(発泡ビーズの嵩倍率)程度
が好ましい。
【0024】DSC2’ndピーク比は、8%〜60%
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは
10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定する
ことになる。
【0025】独立気泡率は、65%未満の場合には、成
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以
上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%
以上に設定することになる。
【0026】次に、型内発泡成形装置の具体的構成につ
いて説明する。図1、図2に示すように、型内発泡成形
装置1は、対向配置された1組の成形型としてのコア型
2及びキャビティ型3と、コア型2とキャビティ型3と
で形成される成形空間4内に空気の流れに乗せて予備発
泡ビーズを充填するためのビーズ充填手段と、成形空間
4内を減圧する減圧手段と、成形空間4内へ圧縮空気を
供給する圧縮空気供給手段と、成形空間4内に充填され
た予備発泡ビーズを蒸気により加熱し、発泡融着させる
蒸気供給手段と、成形品を冷却するための第1冷却手段
及び第2冷却手段とを備えている。
【0027】コア型2及びキャビティ型3は、枠状フレ
ーム10と裏板11とを有するハウジング12にそれぞ
れ取り付けられ、コア型2及びキャビティ型3の背面側
には第1チャンバ13及び第2チャンバ14がそれぞれ
形成されている。コア型2及びキャビティ型3には、従
来の成形装置とは異なり、コアベントやコアベントホー
ルなどの通気孔が形成されておらず、成形空間4と両チ
ャンバ13、14とは独立な空間に構成されている。但
し、このように成形空間4と両チャンバ13、14とを
完全に気密状に隔絶することが最も好ましいが、成形空
間4と両チャンバ13、14を連通する従来のコアベン
トやコアベントホールなどの通気孔を少数設けた場合で
も、これらの空間を独立に制御するように構成したもの
は本発明の範疇である。
【0028】第1チャンバ13及び第2チャンバ14は
用役弁SV1、SV2及び切替弁SWV1、SWV2を
介して蒸気供給管15及び空気供給管16にそれぞれ接
続されるとともに、ドレン弁DV1、DV2及び切替弁
SWV3、SWV4を介してドレン管17及び真空ポン
プ19が介装された減圧管18にそれぞれ接続されてい
る。また、成形品を冷却するための第1冷却手段とし
て、第1及び第2チャンバ13、14にはコア型2とキ
ャビティ型3の背面に対して冷却水を噴霧する複数のノ
ズル20を備えたノズルユニット21がそれぞれ設けら
れ、両ノズルユニット21は冷却水弁CV1、CV2を
介して冷却水供給管22に接続されている。
【0029】本発明に係る型内発泡成形装置の第1の特
徴とする構成は、コア型2及びキャビティ型3のうち
の、成形品の目立たない部分を成形する成形部に成形空
間4に開口する第1開口部30を形成し、この第1開口
部30を外部の用役配管15〜18にそれぞれ連通する
連通路を設け、用役弁SV3〜SV6及びドレン弁DV
3、DV4と、切替弁SWV1〜SWV4の操作によ
り、複数の第1開口部30から成形空間4に対して蒸気
や圧縮空気などの用役流体をチャンバ13、14とは独
立に供給或いは排出できるように構成した点にある。
【0030】第1開口部30の形成位置は、基本的に
は、コア型2とキャビティ型3との合わせ目或いはその
付近に形成する場合と、充填器23やエジェクタピン2
4などの付属部品における成形空間4に露出する部分の
付近に形成する場合と、両者の組合せの3通りに大別で
きる。先ず、第1開口部30をコア型2とキャビティ型
3との合わせ目或いはその付近に形成したものについ
て、3つのタイプを例示しながら説明する。
【0031】(1)第1のタイプの型内発泡成形装置1
は、図1、図2に示すように、コア型2とキャビティ型
3との合わせ目部分に沿って成形空間4に開口するスリ
ット状の第1開口部30a、30bを配置するととも
に、該第1開口部30a、30bと外部の用役配管15
〜18とを連通する連通路として、型間通路31a、3
1b及び内部配管32a、32bを設けたものであり、
コア型2及びキャビティ型3には、従来のようなコアベ
ントやコアベントホールなどの通気孔が設けられておら
ず、型閉されたときには、成形空間4は両チャンバ1
3、14と気密に隔離されると同時に、コア型2及びキ
ャビティ型3間に外部の用役配管15〜18に通じる第
1開口部30a、30bが形成されるように構成したも
のである。
【0032】このように構成すると、予備発泡ビーズに
対する予熱排気工程及び融着加熱工程を、従来のコアベ
ントやコアベントホールなどの通気孔に代えてこの第1
開口部30a、30bを用いて、以下の要領で行うこと
が可能となる。すなわち、予熱排気工程においては、第
1開口部30a又は第1開口部30bから減圧排気して
成形空間4内を直接に減圧した後、予熱用蒸気を同様に
直接に供給すればよく、また融着加熱工程では、同様に
第1開口部30a又は第1開口部30bから融着温度の
蒸気を成形空間4内の予備発泡ビーズに直接に供給すれ
ばよいことになる。この場合、第1開口部30a、30
bに対する予備発泡ビーズの目詰まりを防止するには、
第1開口部30a、30bの成形空間4側の開口幅を、
充填する予備発泡ビーズの外径寸法である1〜10mm
φ以下に形成する必要があり、また、はみ出しやバリ跡
などの発生を少なくし、発泡成形体の仕上がりを良好に
するには、可及的に開口幅を狭くする方が好ましいが、
開口幅を狭くすると用役流体の通過抵抗が大きくなるの
で、開口幅は、0.1〜1.5mmに設定するのが適当
である。
【0033】また、本発明において、前記第1開口部3
0a、30bは、コア型2とキャビティ型3との合わせ
目で凹部の谷部分に沿って設けるのが適当である。この
場合、スリット状の第1開口部30a、30bは、発泡
成形体の外周囲の凸角稜線部に相当するので、わずかな
バリなどが残ったとしても外観を損なうことが少ないか
らである。また、内部配管32a、32bとしては、4
〜15mmφの銅パイプを利用するのが適当である。な
お、図1では、第1開口部30aと型間通路31aと内
部配管32aからなる一連の連通路と、第1開口部30
bと型間通路31bと内部配管32bからなる一連の連
通路との2個の組合せが示されているが、本発明ではこ
の形態に限定されるものではなく、得られる発泡成形体
の形状、サイズに応じて、3個以上の組合せも可能であ
るし、また単数個で実施することも可能である。
【0034】また、前記第1開口部30を複数個設けた
場合には、例えば1対の第1開口部30a、30bを設
けた場合には、図2に例示するように、成形空間4の対
向する両端部の対辺に位置する成形型2、3間の合わせ
目に向かい合わせに配置するのが好ましい。第1開口部
30a、30bの長さを特に限定するものではないが、
このようにすれば、一方の第1開口部から成形空間4を
通過して他方の第1開口部に向けて、蒸気などの用役流
体を供給可能とした用役操作を採用することができ、特
に、成形空間4内に充填した予備発泡ビーズ間の空気を
蒸気で置換する操作や、予備発泡ビーズの加熱操作が迅
速に行うことができるようになるなどの利点が得られる
ので好ましい。
【0035】この第1のタイプの利点を整理して示すと
次の通りである。 [1]成形型2、3から従来のような多数のコアベントや
コアベントホールなどの通気孔を省略できるので、強度
低下の恐れがなく、従来の肉厚8〜12mmのアルミニ
ウム合金型材を肉厚4〜8mmに低減でき、その結果、
熱容量が小さくなって加熱冷却の熱効率が向上し、温度
制御の精度も向上し、材料コストも低減できる。 [2]コアベント取付孔やコアベントホールなどの孔明け
作業や、コアベント取付孔に対するコアベントの取付作
業が不要となって、加工コストか大幅に削減でき、成形
型2、3の製作コストが低減できる。
【0036】[3]また、目詰まりに基づく加熱不良、離
型不良、冷却不良が発生せず、コアベントの取替えまた
は定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメンテナンス作
業が全く不要となる。 [4]製品の表面にコアベント、ベントホールの跡が付か
ないので、外観品質が向上し、表面印刷、シールラベル
の貼付などの工程の障害が解消される。 [5]冷却工程で用いられる冷却水が成形空間内に侵入し
なくなるので、成形品の水分が従来の6〜10%程度か
ら0.5〜4%程度にまで低下するから、乾燥工程が不
要となり、サイクル時間短縮に大いに寄与する。
【0037】[6]本発明の最大の利点は、従来の成形型
では実現のできなかった用役操作が可能になるという点
である。なんとなれば、従来、予備発泡ビーズに蒸気な
どの用役流体を作用させるには、用役配管から供給され
た用役流体が、いずれかのチャンバに作用した後、コア
ベントやコアベントホールなどの通気孔を経由して予備
発泡ビーズに作用を及ぼすというものであったが、本発
明では、チャンバ13、14と成形空間4の用役通路と
を分離、独立させ、加圧空気、蒸気、減圧空気、冷却水
などの用役流体は、第1開口部30a、30bを通じて
成形空間4内に直接に作用させることになるので、用役
操作の自由度が拡張されたことになる。
【0038】例えば、成形空間4内を減圧にしたい場
合、従来の成形型では、両方のチャンバも減圧にする必
要があったが、本発明では、チャンバ容積の1/10オ
ーダの容積である成形空間4のみを対象にして減圧操作
を行うことが可能となった。したがって、従来、レスポ
ンスが迅速に行われるから、その操作性が大幅に改善さ
れるなどのメリットが得られるのである。
【0039】また、チャンバ13、14が成形空間4と
は独立な空間に構成され、それぞれの加熱条件を独立に
調整できるので、2つのチャンバ13、14に供給する
蒸気により、1組の成形型2、3の温度をそれぞれ独立
に調整して、成形型2、3に密着する成形品の表面性を
調整でき、また成形空間4に供給する蒸気により、成形
空間4内に充填された予備発泡ビーズを加熱し、発泡融
着して、表面性とは独立に予備発泡ビーズの融着率を調
整できることになる。このため、成形品内部の融着率を
低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮しつつ、表面
美麗な成形品を製作することが可能となり、生産性と商
品価値の両立を図ることが可能となる。
【0040】(2)第2のタイプの型内発泡成形装置1
Aは、図3に示すように、スリット状の第1開口部30
a、30bを外部の用役配管15〜18に連通する連通
路として、型閉時に、成形空間4側から外部に向けて成
形型2、3の合わせ目部分に沿って形成される型間通路
33a、33bと、枠状フレーム10同士の合わせ目部
分で包囲された状態で形成される型間空間34a、34
bとを備えたものである。それ以外の構成は、前記型内
発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同一符号
を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】つまり、この型内発泡成形装置1Aにおい
ては成形型2、3には、従来のようなコアベントやコア
ベントホールなどの通気孔が設けられておらず、型閉さ
れたときには、成形空間4は両チャンバ13、14と気
密に隔離された状態に形成されるとともに、第1開口部
30a、30bと、これら第1開口部30a、30bを
用役配管15〜18に連通する連通路、即ち型間通路3
3a、33bおよび型間空間34a、34bが、先の第
1のタイプの型内発泡成形装置1とは異なった形態で、
成形空間4側から両成形型2、3及び枠状フレーム10
の合わせ目に沿って外部に向けて形成されるのである。
【0042】この図3に示す発泡成形装置1Aにおいて
は、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に用役流
体を操作できるので、前述した[1]〜[6]の全ての利点を
享受できるうえ、製作時に配管工事が必要である独立し
た内部配管32a、32bが不要であるから、発泡成形
装置の製作コストが抑えられ、メンテナンスも不要とな
る利点が得られるのである。
【0043】(3)第3のタイプの型内発泡成形装置1
Bは、図4、図5に示すように、コア型2とキャビティ
型3の合わせ目付近におきてコア型2に成形空間4内に
開口する第1開口部30c、30dを形成し、第1開口
部30c、30dを外部の用役配管15〜18に連通す
る連通路として、第1開口部30c、30dを取り囲む
ようにコア型2の内側に固定した通路形成部材38によ
り形成される連通空間39a、39bと、連通空間39
a、39bを外部の用役配管15〜18に連通する内部
配管40a、40bとを備え、連通空間39a、39b
及び内部配管40a、40bを介して第1開口部30
c、30dに対して個別に用役流体を供給或いは排出で
きるように構成したものである。それ以外の構成は、前
記型内発泡成形装置1と同様なので、同一部材には、同
一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】つまり、この型内発泡成形装置1Bにおい
て成形型2、3には、従来のように成形空間4とチャン
バ13,14とを連通するコアベントやコアベントホー
ルなどの通気孔が設けられておらず、成形型を閉じたと
きには、成形空間4は、チャンバ13,14と気密に隔
離された状態に形成されるとともに、第1開口部30
c、30dと、これら第1開口部30c、30dを用役
配管15〜18に連通する連通路、即ち連通空間39
a、39bおよび内部配管40a、40bが、先の2つ
の事例とは異なった形態で形成されるのである。
【0045】第1開口部30c、30dは、コア型2に
直接的に貫通孔やスリットを形成してもよいが、蒸気が
流通することにより内面が磨耗することが考えられるの
で、従来の成形装置と同様に、第1開口部30c、30
dに対応させてコアベント取付孔を形成して、コアベン
トを着脱自在に組付けることが好ましい。
【0046】この図4、図5に示す発泡成形装置1Bに
おいては、型内発泡成形装置1と同様に、発泡成形時に
用役流体を操作できるので、前述した[5][6]の利点を享
受できる。また、成形空間4と連通空間39a、39b
とを連通するコアベントを設けることから、前述した
[1]〜[4]の利点に対しては多少不利になるが、従来のよ
うにコアベントを成形型の全面に一様に形成するわけで
はないので、コアベントの個数を格段に少なくすること
が可能となる。また、蒸気による第1開口部30c、3
0dの磨耗にも容易に対応できるので、より現実的な設
計のものとなる。なお、この第3のタイプの発泡成形装
置1Bにおいても、第2のタイプの発泡成形装置1Aと
同様に左右の枠状フレーム10の合わせ目間に型間空間
を形成し、内部配管32a、32bを省略することも可
能である。尚、図4にしめす事例では、第1開口部30
c、30dをコア型2側に形成したが、成形品の内面側
(コア型2側)が外部に露出する場合には、第1開口部
30c、30dをキャビティ型3側に形成することが、
成形品の美麗性を向上させる上で好ましい。
【0047】次に、第1開口部30を充填器23やエジ
ェクタピン24などの付属部品付近に形成する場合につ
いて説明する。付属部品付近に第1開口部30を形成す
る場合には、図1、図3、図4に示すように、キャビテ
ィ型3のうちの充填器23及びエジェクタピン24に対
応する位置に略筒状の外装部材41を固定し、充填器2
3及びエジェクタピン24を外装部材41に内嵌状に設
け、充填器23及びエジェクタピン24と外装部材41
間に用役配管15〜18に個別に連通する連通路42、
43を形成し、連通路42、43の先端部に成形空間4
に開口する第1開口部30e、30fを夫々形成し、連
通路42、43に用役弁SV5、SV6を介して用役配
管15〜18を接続し、前記第1開口部30a〜30d
の場合と同様に、所要の蒸気、加圧空気の供給あるいは
減圧操作などを行うことになる。この場合、先の第1開
口部30a〜30dを併設せず、第1開口部30e、3
0fを単独に設けた形態であっても本発明の目的を達成
することが可能であるが、前記第1開口部30a〜30
dと併設する形態が好ましい。
【0048】このように充填器23及びエジェクタピン
24の先端付近に配設した第1開口部30e、30f
と、先に説明した第1開口部30a〜30dとを図1、
図3、図4のように併設して、それぞれの第1開口部3
0から外部の用役配管15〜18に連通する個別の通路
を設けてもよい。この場合には、成形空間4の対向する
両端部分と成形空間4の中央部分の少なくとも3か所に
用役流体を供給可能な第1開口部30が設けられるの
で、品質要求に応じた用役流体の供給が可能になるう
え、用役流体の供給、停止など制御操作の自由度が増加
するから、発泡成形体の種類、形状などに対応した最適
の用役操作が行えるという利点が得られる。
【0049】但し、この図1、図3、図4による事例で
は、充填器23及びエジェクタピン24の先端部付近に
第1開口部30e、30fを配設したが、本発明は、こ
の形態に限定されるものではなく、成形型に取り付けら
れるその他の付属部品、例えば、冷却水配管金具などを
利用することも可能である。また、成形空間4内の予備
発泡ビーズ全体に対して一様に蒸気が行き渡るように構
成されていれば、全ての充填器23やエジェクタピン2
4の外側に連通路42、43を形成する必要はないし、
第1開口部30e、30fの一方或いは両方を省略する
ことも可能で、第1開口部30e、30fは成形する成
形品の形状などに応じて適宜に設けることになる。ま
た、第1開口部30a〜30dを第1開口部30e、3
0fから成形空間4に供給される蒸気の排出専用の開口
部として用いてもよい。尚、図1、図3、図4において
は、充填器23やエジェクタピン24をキャビティ型3
側に形成したが、成形品の外面側(キャビティ型3側)
が外部に露出する場合には、充填器23やエジェクタピ
ン24をコア型2側に形成することが、成形品の美麗性
を向上させる上で好ましい。
【0050】本発明に係る型内発泡成形装置の第2の特
徴は、成形品の冷却時に、成形空間4内に冷却水を圧入
噴射して、冷却水により成形品を直接的に冷却するため
の第2冷却手段を設けた点にある。第2冷却手段につい
て説明すると、図1〜図5に示すように、コア型2とキ
ャビティ型3には冷却水孔45、46が形成され、両冷
却水孔45、46は冷却弁CV3、CV4を介して冷却
水供給管22にそれぞれ接続されている。そして、予備
発泡ビーズを蒸気により加熱融着させた後、成形品を冷
却する際に、前述した第1冷却手段により成形型2,3
の背面に対して冷却水を噴射して、成形型2,3を介し
て間接的に成形品を冷却するとともに、第2冷却手段に
より冷却水を成形空間4内に圧入噴射することで、冷却
水により直接的に成形品を冷却できるように構成されて
いる。但し、第2冷却手段と第1冷却手段とを別系統の
冷却水供給管に連通させてもよい。つまり、第2冷却手
段へ供給する冷却水は、成形品に直接的に接触するの
で、高度に清浄な状態に管理する必要があるが、第1冷
却手段に供給する冷却水は成形品とは接触しないので、
必ずしも清浄な状態に管理する必要がない。このため、
第1冷却手段へ供給する冷却水のみを高度に管理するこ
とで、冷却水の浄化処理のためのコストを削減できるこ
とになる。
【0051】冷却水孔45,46は、丸孔でもよいし、
細長いスリット状や小判型の孔でもよく、任意の形状を
採りうる。また、冷却水孔45,46の形成位置は任意
に設定可能であるが、成形品全体がバランスよく冷却さ
れるようにレイアウトすることが好ましい。更に、個数
も任意に設定可能であるが、多すぎるとコアベントやコ
アベントホールなどの通気孔を省略することによるメリ
ットが少なくなるので、極力少なくすることが好まし
く、開口面積も同様の理由から極力小さくすることが好
ましい。具体的には、冷却水孔の個数は、成形品形状や
成形品サイズにもよるが、凹凸型それぞれの表面積10
0cm2当たり0.5〜1.5箇所設けることが好まし
い。また、冷却水孔の1個当たりの開口面積は、0.0
5cm2(根拠:キリ穴程度)〜2.00cm2(根拠:コア
ベント程度)に設定することが好ましい。
【0052】冷却水の圧力は、冷却水噴射時の発泡樹脂
圧力以下の場合には、水圧が発泡樹脂圧に負けて噴射で
きなくなるため、発泡樹脂圧以上が必要である。また、
4.9×105Pa(ポリプロピレン用成形機の耐圧)
以上の場合には、成形機及び成形品が破損するためそれ
未満に設定することになる。
【0053】尚、冷却水孔45,46は、成形型2,3
に独立に形成してもよいが、例えば、図6に示すよう
に、第1開口部30e,30fを冷却水孔として活用す
ることも可能である。この場合には、連通路42,43
を用役弁CV5を介して冷却水供給管22に連通させ、
成形品の冷却時に用役弁CV5を開いて、第1開口部3
0e,30fから成形空間4内に冷却水を供給すること
になる。また、予備発泡ビーズ5を充填するための充填
器23の周囲に連通路42を形成しない場合には、充填
器23の内部通路(図示略)を活用して、成形空間4内
に冷却水を供給することも可能である。
【0054】第2冷却手段による冷却水の噴射タイミン
グは、第1冷却手段による冷却水の噴射タイミングより
も少し遅らすことが好ましい。具体的には、蒸気による
予備発泡ビーズの加熱が完了すると、ドレン弁DV3、
DV4を開いて、成形空間4内を大気開放することにな
るが、第1冷却手段は、成形空間4を大気開放すると同
時に作動させ、第2冷却手段は、成形空間4を大気開放
してから、予備発泡ビーズが十分に膨張するまでの一定
時間経過後に作動させることになる。つまり、第1冷却
手段では、成形型2,3の背面側へ向けて冷却水を噴射
して、成形型2,3を介して成形品を冷却する関係上、
成形型2,3自体が冷却されるまでに多少の時間を要す
る。このため、予備発泡ビーズが十分に膨張してから冷
却水を噴射したのでは、成形品が迅速に冷却されず、冷
却時間が長くなる。一方、第2冷却手段では、成形空間
4内に冷却水を供給して、冷却水により直接的に成形品
を冷却する関係上、成形空間4を大気開放すると同時に
成形空間4内に冷却水を供給すると、予備発泡ビーズが
十分に膨張しない状態で成形品が冷却されてしまい、成
形品表面に凹凸が形成されるという不具合が発生する。
このため、冷却時間を極力短縮するとともに成形品品質
を確保するため、第1冷却手段は予備発泡ビーズの加熱
完了後、直ちに作動させ、第2冷却手段は第1冷却手段
よりも一定時間経過後に作動させることになる。
【0055】次に、第2冷却手段の作動タイミングを決
定するために行った試験について説明する。 (成形条件) ・予備発泡ビーズ ポリプロピレン樹脂製ビーズ 平均発泡倍率 :15倍 融点 :約145℃ メルトフローレイト:約5.5g/10分 粒重量 :約1.8mg ・成形品 幅200mm、長さ500mm、厚み100mmの板状
部材 平均発泡倍率11倍 ・成形装置 最高蒸気圧力:3.43×105Pa(一定) 冷却水水温 :30〜40℃ 冷却水圧力 :約3.92×105Pa 冷却終了条件:発泡樹脂圧4.9×104Paの時点
(一定) 上記成形条件で成形空間4内に予備発泡ビーズを充填
し、蒸気により予備発泡ビーズを加熱融着させてから、
発泡樹脂圧が4.9×104Paになるまで第1冷却手
段を作動させて、成形型の背面に冷却水を噴射するとと
もに、表2に示すように、第2冷却手段の制御パターン
を変更して6種類の成形品を製作した。冷却方法をより
具体的に説明すると、試験例1では、第1冷却手段のみ
で成形品を冷却し、試験例2では、第1冷却手段の作動
後、20秒間の遅延時間を経過してから第2冷却手段を
5秒間作動させ、試験例3では、第1冷却手段の作動
後、10秒間の遅延時間を経過してから第2冷却手段を
5秒間作動させ、試験例4では、第1冷却手段の作動
後、10秒間の遅延時間を経過してから第2冷却手段を
2秒間作動させ、試験例5では、第1冷却手段の作動
後、10秒間の遅延時間を経過してから第2冷却手段を
2秒間作動させ、その後成形空間内を真空引きし、試験
例6では、第1冷却手段と同時に第2冷却手段を5秒間
作動させた。そして、予備発泡ビーズの充填開始から成
形品の冷却完了までの成形サイクルタイムを測定して、
表2の結果を得た。また、図7は成形時間と発泡樹脂面
圧との関係を示した線図である。
【0056】
【表1】
【0057】表1及び図7から判るように、第1冷却手
段と第2冷却手段とを併用した試験例2〜6は、第1冷
却手段のみにより冷却した試験例1と比較して、冷却時
間が短く、成形サイクルタイムが全体的に短くなってい
ることが判る。また、第1及び第2冷却手段を併用する
場合においても、試験例6のように、蒸気による予備発
泡ビーズの加熱後、両冷却手段を同時に作動させて冷却
すると、成形品表面に凹凸が形成されて成形品品質が低
下し、また試験例2のように第1冷却手段の作動後、2
0秒経過してから第2冷却手段を作動させたのでは、成
形サイクルタイムの短縮時間が第1冷却手段のみで冷却
した試験例1と比較して5秒程度と短く、第2冷却手段
を設けることのメリットが十分に引き出せないので、試
験例3〜5のように遅延時間を10秒程度に設定するこ
とが好ましい。更に、第2冷却手段による冷却水の噴射
時間は、試験例4のように2秒では短すぎ、5秒程度が
好ましいことが判る。更にまた、第2冷却手段により冷
却水を供給してから成形空間内を真空引きすると、成形
品表面が乾燥するので好ましい。
【0058】以上の結果から、第1冷却手段に対する第
2冷却手段の作動遅延時間は5〜20秒程度が好適であ
り、第2冷却手段の作動時間は2〜10秒程度が好適で
あることが判る。但し、作動遅延時間及び作動時間は、
成形品のサイズや形状によって多少変動するので、成形
品形状やサイズに応じて適宜に設定することになる。具
体的には、第1冷却手段に対する第2冷却手段の作動遅
延時間は2〜30秒、好ましくは5〜20秒に設定し、
第2冷却手段の作動時間は2〜30秒、好ましくは2〜
10秒に設定することになる。また、第2冷却手段の作
動時間は、第1冷却手段の作動時間の3〜50%、好ま
しくは5〜20%に設定してもよい。また、予備発泡ビ
ーズが十分に膨張した後に第2冷却手段を作動させる
と、成形不良が発生しないことから、成形型に対する発
泡樹脂面圧を測定するための面圧センサを成形型に設
け、第1冷却手段による冷却開始後における発泡樹脂圧
が、加熱終了時の発泡樹脂圧の0.50〜0.95倍の
範囲内、好ましくは0.6〜0.8倍の範囲内のとき
に、第2冷却手段を作動させてもよい。
【0059】また、本実施例では、成形品の冷却効率を
高めるため冷却水孔45,46を形成したが、この冷却
水孔45,46を活用して、成形品の離型性を向上させ
るように構成することも可能である。例えば、冷却水孔
45を制御弁(図示外)及び切替弁SWV2を介して空
気供給管16に連通させるととももに、冷却水孔46を
制御弁(図示外)及び切替弁SWV4を介して減圧管1
8に連通させ、成形型2,3を型開きするときには、両
制御弁を開放して、冷却水孔45から加圧エアを供給し
て成形品をコア型2から切り離すとともに、冷却水孔4
6内を減圧してキャビティ型3に対して成形品を吸着
し、キャビティ型3に成形品が残置されるようにしても
よい。つまり、成形品のコア型2側とキャビティ型3と
に差圧を生じさせ、所望の成形型側に成形品を残置させ
ることが可能となる。また、キャビティ型3からの成形
品の離型時には、冷却水孔46に加圧エアを供給して、
エジェクタピン24により離型作業を補助させてもよ
い。
【0060】次に、前記図1に示す発泡成形装置1を用
いた成形品の成形方法について説明する。この成形方法
は、成形空間4に予備発泡ビーズを充填する充填工程
と、成形空間4に充填された予備発泡ビーズを加熱、発
泡融着させる加熱工程と、成形された成形品を冷却する
冷却工程の3つの工程に分かれている。
【0061】先ず、予備発泡ビーズの充填工程について
説明する。この工程では、コア型2とキャビティ型3と
を型閉めするとともにドレン弁DV3、DV4を開け、
充填器23から成形空間4に対して予備発泡ビーズを空
気の流れに乗せて供給しながら、成形空間4内に供給さ
れる空気を第1開口部30a、30bを介して成形空間
4外に排出し、成形空間4内に予備発泡ビーズを充填す
る。尚、予備発泡ビーズとして、成形前にビーズに対し
て大気圧以上の空気を圧入し、発泡力を付加したビー
ズ、所謂成含ビーズを用いることも可能である。
【0062】具体的な充填方法としては、次に示すよう
な、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮充填法など
を採用できる。 [1]クラッキング充填法では、充填時に、コア型2とキ
ャビティ型3とを完全に型閉めせず(クラッキング)、
例えば成形品の底肉厚の10%だけ開けておき、コア型
2とキャビティ型3間の隙間から充填時に使用する空気
を排出しながら予備発泡ビーズを充填することになる。 [2]加圧充填法では、予備発泡ビーズを収容した原料タ
ンク内を1.96×104〜1.47×104Pa程度に
加圧し、成形空間4内を大気圧に開放した状態で、原料
タンクと成形空間4との差圧を利用して、成形空間4内
に予備発泡ビーズを搬送して充填することになる。 [3]圧縮充填法では、原料タンク内の圧力pを加圧充填
法よりも高めの9.8×104〜4.9×105Pa程度
に加圧し、成形空間4の内圧p1との差圧(p−p1)
を維持しながら、予備発泡ビーズを搬送して充填するこ
とになる。
【0063】次に、成形空間4に充填された予備発泡ビ
ーズの蒸気による加熱工程について説明する。先ず、ド
レン弁DV1、DV2を開けた状態で用役弁SV1、S
V2を開け、チャンバ13,14に対して蒸気を流す事
で、チャンバ13,14の空気を蒸気で置換する。但
し、この工程は、充填工程内で行ってもよい。
【0064】次に、ドレン弁DV1、DV2を閉じると
ともに、チャンバ13,14内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV1、SV2を制御しながら、チャ
ンバ13,14に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給
し、コア型2及びキャビティ型3を加熱して、コア型2
及びキャビティ型3に接触する予備発泡ビーズを発泡融
着させ、成形品の表面部を成形する。一方、成形空間4
内に充填された予備発泡ビーズを加熱するための工程を
並行して行うが、この工程は大きく3つに分かれてい
る。
【0065】第1工程では、ドレン弁DV4を開けると
ともにドレン弁DV3を閉め、用役弁SV3、SV5、
SV6を開けるとともに用役弁SV4を閉めて、成形空
間4内に蒸気を通して予備発泡ビーズ間の空気を蒸気に
置換する。第2工程では、第1工程とは逆に、ドレン弁
DV4を閉めるとともにドレン弁DV3を開け、用役弁
SV3を閉めるとともに用役弁SV4、SV5、SV6
を開けて、成形空間4内に蒸気を通して予備発泡ビーズ
間の空気を蒸気に置換する。但し、この第2工程は省略
してもよい。
【0066】第3工程では、ドレン弁DV3、DV4を
閉めるとともに、成形空間4内が予め設定した蒸気圧に
なるように用役弁SV3〜SV6を制御しながら、成形
空間4に予め設定した加熱時間だけ蒸気を供給し、予備
発泡ビーズを加熱、発泡融着させて、成形品の内部を成
形する。このようにチャンバ13,14に供給される蒸
気と、成形空間4に供給される蒸気とにより、成形品の
表面部と成形品の内部とを独立に加熱できるので、成形
品の表面性と、成形品内部の融着率とを個別に調整する
ことが可能となる。
【0067】次の冷却工程では、冷却水弁CV1、CV
2を開けて、コア型2及びキャビティ型3に向けてノズ
ル20から冷却水を噴霧し、コア型2及びキャビティ型
3を介して成形空間4内の成形品を冷却するとともに、
第1冷却手段を作動させてから前述した一定の遅延時間
を経過したときに、第2冷却手段の冷却水弁CV3,C
V4,CV5を一定時間開けて、冷却水孔45,46か
ら成形空間4内に圧入した冷却水により成形品を直接的
に冷却する。但し、図6に示すように構成する場合に
は、冷却水弁CV5も冷却水弁CV3、CV4と同様に
制御することになる。こうして成形品を冷却した後は、
成形型2、3を型開きして、キャビティ型3側に残置し
た成形品をエジェクタピン24により離型することにな
る。
【0068】このようにして成形した成形品において
は、外面にコアベント及びコアベントホールの跡の無い
表面美麗な成形品となる。しかも表面性に関しては、従
来の成形技術により製作した等加熱成形品と同等に設定
しつつ、内部の融着率に関しては、該表面性の等加熱成
形品よりも低く設定したり、高く設定した成形品とな
る。つまり、従来の成形方法では、予備発泡ビーズの加
熱、発泡融着時に、予備発泡ビーズの表面と内部とが同
じ加熱条件で加熱される関係上、成形品内部の融着率を
低く設定すると、図8(a)に示すように、成形品内部
のビーズ5Aの境界部に隙間が形成されるとともに成形
品の表面部に窪み7が形成されるが、本発明の成形方法
では、表面と内部とを独立に加熱できるので、内部の融
着率のみを低く設定することで、図8(b)に示すよう
に、成形品内部のビーズ5Aの境界部には隙間6が形成
されるものの、成形品の表面のビーズ5Bの境界部には
窪み7がほとんど形成されていない、表面が平滑で美麗
な成形品を実現できる。また、内部の融着率を低く設定
した場合には、表面性に対する要求が高く、機械的強度
があまり要求されないような成形品、例えばコンクリー
ト表面化粧型枠、容器の蓋や断熱材などの成形品として
好適に利用でき、内部の融着率を高くした場合には、表
面性はあまり要求されないが、機械的強度に対する要求
の高い成形品や繰り返し使用に耐える成形品、例えば自
動車用の各種部材や通い函などの成形品として好適に利
用できる。本発明は、例えばカップ麺の容器のような小
さく単純な形状をした成形品よりも、比較的大きい、複
雑な形状をした成形品において、効果を発揮し、有用な
ものである。特に、肉厚部と薄肉部とを共に有するよう
な、成形品に対して有益である。
【0069】
【発明の効果】請求項1に係る合成樹脂の型内発泡成形
装置によれば、成形品外面の目立つ場所を成形する成形
部に通気孔を形成しないので、成形品表面に形成される
通気孔の跡は、成形品表面の目立たない場所に配置され
ることになり、成形品表面の美麗性を向上できる。しか
も、通気孔を完全あるいは略完全になくして、コア型の
背面側のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバ
と、成形空間とに対してそれぞれ個別に用役流体を制御
することも可能なので、これら3つの空間の加熱条件を
それぞれ独立に調整して、例えば成形品内部の融着率を
低く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮しつつ、表面
美麗な成形品を製作することが可能となり、生産性と商
品価値の両立を図ることが可能となる。更に、この成形
装置では、第1冷却手段により成形型を介して間接的に
成形品を冷却できるとともに、第2冷却手段により冷却
水により成形品を直接的に冷却できるので、成形品の冷
却効率を高めて、成形品の冷却のための所要時間を大幅
に短縮できるとともに、冷却水の使用量を節減できる。
【0070】請求項2記載のように、通気孔をコア型及
びキャビティ型から完全に省略すると、コア型の背面側
のチャンバと、キャビティ型の背面側のチャンバと、成
形空間との3つの空間の加熱条件をより厳密に設定でき
るとともに、通気孔の跡の無い美麗な表面の成形品が得
られるので好ましい。しかも、通気孔が無いことから、
成形型の背面に向けて噴射する冷却水は。清浄な状態に
高度に管理する必要がなく、冷却水孔から供給する冷却
水についてのみ清浄な状態に管理すればよいので、冷却
水の浄化のためのコストを削減できる。
【0071】請求項3記載のように、前記冷却水孔を予
備発泡ビーズの充填器付近とエジェクタピン付近の少な
くとも一方に形成すると、成形品に形成される冷却水孔
の跡が目立たなくなるので、成形品の美麗性を向上する
上で好ましい。
【0072】本発明に係るポリオレフィン系合成樹脂の
型内発泡成形方法によれば、請求項1〜3のいずれか1
項記載の型内発泡成形装置を用いているので、成形品表
面の美麗性を向上できること、成形品内部の融着率を低
く抑えて、成形のサイクルタイムを短縮しつつ、表面美
麗な成形品を製作することが可能となり、生産性と商品
価値の両立を図ることが可能となること、成形品の冷却
のための所要時間を大幅に短縮して成形品の生産性を向
上でいること、冷却水の使用量を節減してランニングコ
ストを低減できること、などの効果が得られる。
【0073】請求項5記載のように、第1冷却手段によ
り冷却水を噴射して冷却を開始してから、2〜30秒経
過後に第2冷却手段により冷却水孔から成形空間内へ冷
却水を噴射したり、請求項6記載のように、成形型に対
する予備発泡ビーズの発泡樹脂圧を順次測定し、第1冷
却手段による冷却開始後における発泡樹脂圧が、加熱終
了時の発泡樹脂圧の0.50〜0.95倍の範囲内のと
きに、第2冷却手段により冷却水孔から成形空間内へ冷
却水を噴射すると、冷却時間を極力短縮しつつ、表面美
麗な品質の良い成形品を得ることが可能となるのであ
る。
【0074】請求項7記載のように、第2冷却手段の作
動時間を2〜30秒間に設定したり、請求項8記載のよ
うに、第2冷却手段の作動時間を第1冷却手段の作動時
間の3〜50%に設定すると、冷却効率を充分に確保し
つつ、成形品が冷却水で濡れることを極力防止して、過
冷却による成形品の収縮を防止したり、成形品の含水率
を少なくできるとともに、離型後における成形品の汚損
等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 型内発泡成形装置の全体構成図
【図2】 図1のII−II線断面図
【図3】 他の構成の型内発泡成形装置の全体構成図
【図4】 他の構成の型内発泡成形装置の全体構成図
【図5】 図4のV−V線断面図
【図6】 他の構成の型内発泡成形装置の全体構成図
【図7】 成形サイクルと発泡樹脂面圧の関係を示す線
【図8】 成形品の表面性と内部融着率の説明図
【符号の説明】
1 型内発泡成形装置 2 コア型 3 キャビティ型 4 成形空間 5A ビーズ 5B ビーズ 6 隙間 7 窪み 10 枠状フレーム 11 裏板 12 ハウジング 13 第1チャンバ 14 第2チャンバ 15 蒸気供給管 16 空気供給管 17 ドレン管 18 減圧管 19 真空ポンプ 20 ノズル 21 ノズルユニット 22 冷却水供給管 23 充填器 24 エジェクタピン SV1、SV2 用役弁 SWV1、SWV2 切替弁 DV1、DV2 ドレン弁 SWV3、SWV4 切替弁 CV1、CV2 冷却水弁 30 第1開口部 30a 第1開口部 30b 第1開口部 31a 型間通路 31b 型間通路 32a 内部配管 32b 内部配管 1A 型内発泡成形装置 33a 型間通路 33b 型間通路 34a 型間空間 34b 型間空間 1B 型内発泡成形装置 30c 第1開口部 30d 第1開口部 38 通路形成部材 39a 連通空間 39b 連通空間 40a 内部配管 40b 内部配管 30e 第1開口部 30f 第1開口部 41 外装部材 42 連通路 43 連通路 45 冷却水孔 46 冷却水孔

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品外面の目立つ場所を成形する成形
    部に、コアベント及びコアベントホールなどの通気孔が
    存在しないコア型及びキャビティ型の2つの成形型と、 前記両成形型の背面に向けて冷却水をそれぞれ噴射し
    て、成形型を介して間接的に成形品を冷却する第1冷却
    手段と、 前記両成形型の少なくとも一方に冷却水孔を形成すると
    ともに、この冷却水孔に成形型の外部から導かれた冷却
    水供給管を接続し、冷却水孔を介して成形空間内に冷却
    水を噴射して、冷却水により直接的に成形品を冷却する
    第2冷却手段と、 を備えたことを特徴とするポリオレフィン系合成樹脂の
    型内発泡成形装置。
  2. 【請求項2】 前記通気孔を両成形型から完全に省略し
    た請求項1記載のポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡
    成形装置。
  3. 【請求項3】 前記冷却水孔を予備発泡ビーズの充填器
    付近とエジェクタピン付近の少なくとも一方に形成した
    請求項1又は2記載のポリオレフィン系合成樹脂の型内
    発泡成形装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の型内
    発泡成形装置を用い、成形空間内で成形した成形品を冷
    却する際に、第1冷却手段により成形型の背面に向けて
    冷却水を噴射させるとともに、第2冷却手段により冷却
    水孔から成形空間内に冷却水を直接的に噴射させること
    を特徴とするポリオレフィン系合成樹脂の型内発泡成形
    方法。
  5. 【請求項5】 第1冷却手段により冷却水を噴射して冷
    却を開始してから、2〜30秒経過後に第2冷却手段に
    より冷却水孔から成形空間内へ冷却水を噴射する請求項
    4記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  6. 【請求項6】 成形型に対する予備発泡ビーズの発泡樹
    脂圧を順次測定し、第1冷却手段による冷却開始後にお
    ける発泡樹脂圧が、加熱終了時の発泡樹脂圧の0.50
    〜0.95倍の範囲内のときに、第2冷却手段により冷
    却水孔から成形空間内へ冷却水を噴射する請求項4記載
    のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  7. 【請求項7】 第2冷却手段の作動時間を2〜30秒間
    に設定した請求項4〜6のいずれか1項記載のポリオレ
    フィン系樹脂の型内発泡成形方法。
  8. 【請求項8】 第2冷却手段の作動時間を第1冷却手段
    の作動時間の3〜50%に設定した請求項5〜7のいず
    れか1項記載のポリオレフィン系樹脂の型内発泡成形方
    法。
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