JP4195917B2 - 産業用車両の空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックホー等の建設機械といった産業用車両であって、産業用車両の空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、特開平8−48139号に示すように、また、図29、図30に示すように、前記バックホーの旋回体上にはキャビン90が立設されて運転操作部を覆っており、キャビン90内の天井面には空調機器であるクーラーの室内機91が取り付けられて、室外機93が旋回体の前方に配設されている。また、コンプレッサ92がエンジン83へ取り付けられて、該エンジンによって駆動されている。
【0003】
そして、これらの室内機91、室外機93、及び、コンプレッサ92をガス配管94・94・・・により接続して、キャビン90内を冷房するように構成している。さらに、キャビン90内を冷房するための空調装置として、図31に示すように、クーラーユニット94をキャビン90の天井上面に取り付けたものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、従来例の特開平8−48139号に示すように、また、前述の図29、図30に示す空調装置においては、室内器91を天井面に取り付けていたので、機体の重心が高くなって不安定になり、機体の振動が大きくなっていた。そして、クーラーユニット94をキャビン90の天井上面に取り付けたものにおいては、該天井面からクーラーユニット94が出っ張って外観が悪化し、該クーラーユニット94から排出されるドレンが、天井面の四方から落下して、下方の作業者にかかる場合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
走行装置に旋回台(2)を左右旋回自在に装着し、該旋回台(2)上に、エンジン(3)、運転座席(24)及び、キャビン(6)又はキャノピー(16)を配設した産業用車両において、該キャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面上の一部を他部よりも低くして、凹部(6a)を構成し、該凹部(6a)に空調装置であるクーラーユニット(7)を載置し、該クーラーユニット(7)は、コンプレッサ(32)、コンデンサ(33)、エバポレータ(34)、DC/ACコンバータ(35)、冷却ファン(36)、外気ファン(37)、及び、操作スイッチ(38)等を、一つのケーシング(7b)内に収納して構成し、前記コンプレッサ(32)と、旋回台(2)に配設されたバッテリー(31)とを電気的な配線で接続し、該バッテリー(31)の直流電源をDC/ACコンバータ(35)により交流電源に変換して供給し、コンプレッサ(32)の駆動をバッテリー(31)からの電気駆動で行ない、該クーラーユニット(7)のケーシング(7b)下面に冷風口(7a)を形成し、該冷風口(7a)をキャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面に配設し、前記操作スイッチ(38)も同様に、前記ケーシング(7b)の下面に取り付け、該クーラーユニット(7)は、前記コンデンサ(33)の配設側の面から外気を取り込み、エバポレータ(34)部で冷却し、前記冷風口(7a)から吹き出すと共に、該クーラーユニット(7)内の排熱を、前記外気ファン(37)により外部へ放出するように構成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0007】
図1は本発明の産業用車両であるバックホーを示す平面図、図2は旋回体に設置したエンジンの支持構造を示す平面図、図3は同じく側面図、図4は同じく背面図、図5は同じく正面図、図6はエンジンの支持構造の別参考例を示す平面図、図7は同じく側面図、図8は同じく背面図、図9は同じく正面図、図10はエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位量との関係を示す図、図11はエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位角度との関係を示す図である。
【0008】
図12はキャビン天井面の凹部にクーラーユニットを設置したバックホーを示す平面図、図13は同じく側面図、図14はクーラーユニットを内部を示す平面図、図15は同じく側面図、図16は同じく底面図、図17はキャノピーの天井面に形成した凹部へクーラーユニットを設置したバックホーを示す側面図、図18はキャビン内にクーラーユニットを設置した例を示す部分側面図、図19は同じく別参考例を示す平面図、図20はキャノピーの天井面に形成した凹部の別参考例を示す側面断面図、図21は同じく平面図である。
【0009】
図22はキャノピーの天井面に形成した凹部の第三の参考例を示す側面断面図、図23は同じく平面図、図24はキャビン天井面に防振部材を介してクーラーユニットを設置した状態を示す側面図、図25は従来の産業用車両におけるエンジンの支持構造を示す平面図、図26は同じく側面図、図27は従来のエンジン支持構造をとった場合のエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位量との関係を示す図、図28は同じくエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位角度との関係を示す図、図29は従来の産業用車両における空調装置の設置状態を示す平面図、図30は同じく側面図、図31はキャビンの天井面上に空調装置を設置した例を示す側面図である。
【0010】
従来から、バックホーといったような建設機械等の産業用車両において、エンジンを機体に設置する場合には、該エンジンから発生される振動を低減するために、該エンジンの周囲四箇所に防振部材を配設し、該防振部材を介して設置していた。例えば、図25、図26に示すように、バックホーにおいて、走行装置81の上方に回転自在に配設された旋回体82には、エンジン83が設置されている。該エンジン83の本体83aの一端部にはフライホイールを覆うフライホイールカバー83bを付設し、該フライホイールカバー83bには油圧ポンプが取り付けられている。一方、エンジン83の本体83aの他端部にはファン83dが回転自在に取り付けられ、該ファン83dの本体83aと反対方向にはラジエータ84が配設されている。そして、エンジン83は、本体83aのファン83d側端部における両側、及び、フライホイールカバー83bの両側部分の合計四箇所で、防振部材85・85・・・を介して旋回体82に取り付け支持されている。さらに、前記油圧ポンプ83cや、旋回体82に配設された他の油圧機器86等がお互いに油圧ホース87・87・・・により連結されている。
【0011】
しかし、前述の如く、エンジン83を、該エンジン83の両側に配設した防振部材85・85・・・を介して四点で支持しているので、設置スペースが広くなって、該エンジンの設置位置をあまり後方ヘずらすことができなかった。そして、エンジン83の周囲4箇所で支持しているので、支持構造が複雑となって、油圧ポンプ83cを配管している前記油圧ホースの配管レイアウトに制約が多くなってしまう。また、エンジン83には、図26に示すように、該エンジン83の重心Gを通って、エンジン83のファン83d側の上方から油圧ポンプ83c側下方までを通過する慣性主軸Kがあり、この慣性主軸K上でエンジン83を支持すると最も高い防振効果を得ることができるが、前述のような四点支持であると慣性主軸Kの近傍で支持することが困難であり、あまり高い防振効果を得ることができなかった。
【0012】
例えば、図27には、エンジン83から発生する振動の周波数とその場合の上下方向の変位量との関係を示すグラフ89aを示しているが、該グラフ89aの変位量のピークが、エンジン回転数が最も低い状態であるアイドリング時に発生する振動周波数88aよりも高い周波数域にあるので(定格運転時等、アイドリング時よりもエンジン回転数が高い場合には、発生する振動周波数もアイドリング時の振動周波数88aよりも高くなる)、あまり高い防振効果が得られていないこととなる。さらに、図28には、エンジン83から発生する振動の周波数とその場合の横方向の変位角度との関係を示すグラフ89bを示しているが、この場合においても、該グラフ89bの変位角度のピークが、エンジン回転数が最も低い状態であるアイドリング時に発生する振動周波数88bよりも高い周波数域にあるので(定格運転時等、アイドリング時よりもエンジン回転数が高い場合には、発生する振動周波数もアイドリング時の振動周波数88bよりも高くなる)、あまり高い防振効果が得られていないこととなる。
【0013】
まず、本発明の産業用車両であるバックホーにおけるエンジンの支持構造について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回自在に配設している。該旋回体2上にはエンジン3が設置されており、該エンジン3の前後方向を旋回体2の左右方向に向けて配置している。尚、該エンジン3はボンネット(図示せず)により被覆されており、旋回体2前端部の作業機支持部2aには作業機(図示せず)が取り付けられている。
【0014】
エンジン3における本体3aの一端部(後端部)にはフライホイールを覆うフライホイールカバー3bを付設し、該フライホイールカバー3bには油圧ポンプ3cが取り付けられている。一方、エンジン3の本体3aの他端部(前端部)にはファン3dが回転自在に取り付けられ、該ファン3dの前方(本体3aの方向と反対方向)にはラジエータ4が配設されている。そして、エンジン3は、本体3aの前端部における両側壁と、フライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方に配置した防振部材85・85・・・等により、合計三箇所で旋回体2に取り付けられ支持されている。
【0015】
図2乃至図5に示すように、エンジン3における本体3a前端部の両側壁には、ブラケット11・11が取り付けられ、外方へ突出している。該ブラケット11・11の下方には、支持台12・12がそれぞれ配設され、旋回体2上に固設されている。そして、該ブラケット11と支持台12との間に、弾性を有したゴムや合成樹脂等で構成された防振部材5が介装されている。一方、フライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方には、ブラケット11が取り付けられており、該ブラケット11と旋回体2との間に前記防振部材5が介装されている。即ち、エンジン3は、本体3a前端部の両側と、エンジン3後部のフライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方との合計三箇所において、防振部材5・5・・・を介して、旋回体2に設置されているのである。
【0016】
このように、三点支持することにより、エンジン3後部における防振部材5の左右への出っ張りをなくすことができるので、設置スペースを減少することができ、エンジン3を旋回体2の後方側へ寄せて設置することができる。これにより、機体の前後バランスが向上して振動を低減することができるとともに、作業者が運転操作を行う運転部のスペースを広く確保することができる。また、エンジン3の支持構造を簡単な構造とすることができ、低コスト化が図れるとともに、油圧ポンプ3c等の油圧機器を接続する油圧ホースのレイアウトや該油圧機器の配置の自由度を広げることができる。
【0017】
ここで、図3に示すように、エンジン3には、該エンジン3の重心Gを通って、エンジン3の前方上方から後方下方までを通過する慣性主軸Kがあり、この慣性主軸K上でエンジン3を支持すると最も高い防振効果を得ることができる。そこで、本支持構造においては、エンジン3に取り付けるブラケット11・11・・・が、側面視において慣性主軸K上に位置するように構成している。即ち、エンジン3を慣性主軸K上で支持するように構成している。
【0018】
また、エンジン3は、次のように支持することもできる。即ち、図6乃至図9に示すように、エンジン3における本体3a前端面の左右側には、ブラケット21・21が取り付けられ、前方へ突出している。該ブラケット21・21の下方には、支持台22・22がそれぞれ配設され、旋回体2上に固設されている。そして、該ブラケット21と支持台22との間に、弾性を有したゴムや合成樹脂等で構成された防振部材15が介装されている。一方、フライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方には、ブラケット21が取り付けられており、該ブラケット21と旋回体2との間に前記防振部材5が介装されている。即ち、エンジン3は、本体3a前端面の左右部と、フライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方との合計三箇所において、防振部材15・15・・・を介して、旋回体2に設置されているのである。
【0019】
このように、本体3a前端面と、フライホイールカバー3b及び油圧ポンプ3cの下方とで三点支持することにより、エンジン3前部及び後部における防振部材5の左右への出っ張りをなくすことができるので、設置スペースを前記例の場合よりもさらに減少することができ、エンジン3を旋回体2のさらに後方側へ寄せて設置することができる。これにより、機体の前後バランスがさらに向上して振動を大きく低減できるとともに、作業者が運転操作を行う運転部のスペースをより広く確保することができる。
【0020】
ここで、図7に示すように、エンジン3には、前述の如く該エンジン3の重心Gを通って、エンジン3の前方上方から後方下方までを通過する慣性主軸Kがあり、この慣性主軸K上でエンジン3を支持すると最も高い防振効果を得ることができる。そこで、本支持構造においても、エンジン3に取り付けるブラケット21・21・・・が、側面視において慣性主軸K上に位置するように構成している。即ち、エンジン3を慣性主軸K上で支持するように構成しているのである。
【0021】
そして、図6乃至図9に示す本参考例や、図2乃至図5に示す前記参考例の如く、エンジン3を慣性主軸K上で支持することによって、高い防振効果を得ている。例えば、図10には、エンジン3から発生する振動の周波数とその場合の上下方向の変位量との関係を示すグラフ9aを示しているが、該グラフ9aの変位量のピークが、エンジン回転数が最も低い状態であるアイドリング時に発生する振動周波数8aよりも低い周波数域にあるので(定格運転時等、アイドリング時よりもエンジン回転数が高い場合には、発生する振動周波数もアイドリング時の振動周波数88aよりも高くなる)、エンジン3の運転時には振動量が小さくなることとなり、高い防振効果を得ることができている。
【0022】
さらに、図11には、エンジン3から発生する振動の周波数とその場合の横方向の変位角度との関係を示すグラフ9bを示しているが、この場合においても、該グラフ9bの変位角度のピークが、エンジン回転数が最も低い状態であるアイドリング時に発生する振動周波数8bよりも低い周波数域にあるので(定格運転時等、アイドリング時よりもエンジン回転数が高い場合には、発生する振動周波数もアイドリング時の振動周波数88bよりも高くなる)、エンジン3の運転時には振動量が小さくなることとなり、高い防振効果を得ることができている。尚、エンジン3の支持部に配置する防振部材は、防振部材5の如く略V字状に形成したものや、防振部材15の如く略円筒状に形成したものの他、略直方体状に形成したもの等を使用してもよい。
【0023】
次に、旋回体2上に立設され運転部を覆うキャビン内の空調を行う空調装置の設置構造について説明する。図12、図13において、旋回体2上には、運転部を覆うキャビン6が立設されており、該キャビン6の天井面の後部は前部よりも全体的に一段低く形成して凹部6aを構成している。該凹部6aの上面にはキャビン6を冷房する空調装置であるクーラーユニット7が設置され、該クーラーユニット7下面の冷風口7aからキャビン6内に冷風を吹き出すように構成している。該クーラーユニット7は旋回台2に配設されたバッテリー31と接続され、該バッテリー31により運転されている。
【0024】
図14乃至図16に示すように、クーラーユニット7は、コンプレッサ32、コンデンサ33、エバポレータ34、DC/ACコンバータ35、冷却ファン36、外気ファン37、及び、操作スイッチ38等が一つのケーシング7b内に収納されて構成されている。そして、該クーラーユニット7は、バッテリー31からの直流電源をDC/ACコンバータ35により交流電源に変換して、クーラーユニット7におけるコンデンサ33配設側の面から外気を取り込んでエバポレータ34部で冷却し、冷風口7aから吹き出すとともに、クーラーユニット7内の排熱を外気ファン37により外部へ放出するように構成している。該冷風口7aはクーラーユニット7の下面に形成され、キャビン6の天井面内側に配設される該クーラーユニット7の下面からキャビン6内の作業者に向かって冷風を吹き付けられるようにし、前記操作スイッチ38も、キャビン6内の作業者が容易に操作できるように、クーラーユニット7の下面に取り付けられている。
【0025】
また、前記クーラーユニット7は、産業用車両がキャノピー仕様であっても、前述のキャビン仕様の場合と同様に取り付けるようにしている。即ち、図17に示すように、キャノピー16が旋回体2上の運転部上方に設けられており、該キャノピー16上面の後部は、前部よりも全体的に一段低く形成して凹部16aを構成している。そして、該キャノピー16の凹部16aにクーラーユニット7を設置して、クーラーユニット7の冷風口7aから運転部へ向かって冷風を吹き出すようにしている。
【0026】
即ち、本発明の産業用車両であるバックホーにおいては、コンプレッサ32、エバポレータ34及び冷却ファン36等で構成される室内機、コンデンサ33を一体にした空調装置であるクーラーユニット7をキャビン6又はキャノピー16上に設置し、前記コンプレッサ32の駆動をバッテリー31からの電気駆動で行っているのである。
【0027】
さらに、前記クーラーユニット7のように構成部品を一つのケーシング7b内に収納した空調機器はコンパクトに構成することができるので、キャビン6の凹部6a上面に設置するだけでなく、次のような場所に設置することもできる。即ち、図18に示すクーラーユニット41の如く、キャビン6内の運転座席24の前方に設置したり、クーラーユニット42の如く、該運転座席24の後部上方へ設置することもできる。また、図19に示すクーラーユニット43の如く運転座席24の横部に設置することも可能である。
【0028】
以上のように、キャビン6内やキャノピー16下方の運転部を冷却する空調装置を、一つのクーラーユニット7に纏めて構成し、該クーラーユニット7をバッテリー31により駆動するように構成することにより、該クーラーユニット7をコンパクトに構成することができるので、キャビン6の天井上面や、該キャビン6内の各部へ容易に設置することができ、機体全体の小型化を図ることもできる。また、該クーラーユニット7の設置時に、各機器間を接続するガス配管を行う必要や、エンジンへのコンプレッサの取り付けを行う必要がないので、設置時間が短縮できるとともに、ガス配管や継手部分からのガス漏れが発生する心配がなくて、信頼性を向上することができる。そして、設置時には、バッテリー31と接続する電気的な配線のみでよいので、設置及び取り外しが容易で、メンテナンスせいを向上することもできる。さらに、軽量で小型であるので、キャノピー仕様の車両への設置も容易で高い冷房効果を得ることができ、空調装置を安価に提供することが可能となる。
【0029】
また、クーラーユニット7をキャビン6の天井面に形成した凹部6aに設置した場合には、該クーラーユニット7が、キャビン6の天井面前部の高さよりも上方へ突出することがないので、外観性が向上する。さらに、クーラーユニット7の設置位置を低く抑えることができるので、キャビン6の重心が低くなって安定し、機体の振動を抑えることができるとともに、冷却風の吹き出し口を低位置に配置することができて高い冷却効果を得ることができる。そして、キャビン6の天井面における凹部6aの前方は、該凹部6aよりも高く形成されているので(前方以外の三方向は凹部6aと同じ高さに形成されている)、クーラーユニット7から排出されるドレンが落下する箇所を規制することができ(本参考例の場合はキャビン6の前方へ落下することがない)、作業者が排出されたドレンによって濡れることを防止することができる。
【0030】
また、キャビン6の天井面の凹部6aや、キャノピー16上面の凹部16aは、前述の如く前部よりも一段低く形成するだけでなく、次のような形状に形成してもよい。例えば、図20、図21に示すキャノピー26には、上面の後半部分における略中央部に凹部26aを形成しており、該凹部26aの後部はキャノピー26の後端部まで延設されている。即ち、凹部26aの前端及び左右端は、キャノピー26の他部よりも一段低く形成して、凹部26aの後端はキャノピー26の後端部まで延設して、該凹部26aと同一の高さに形成しているのである。そして、該凹部26aの上方には、カバー体27を配設して、凹部26aに設置したクーラーユニット7の上方を覆うようにしている。
【0031】
キャノピー26の凹部26aをこのように形成することで、該凹部26aに設置したクーラーユニット7から排出されたドレンを、キャノピー26の後端部からのみ下方へ落下させることができる。また、クーラーユニット7の上方を覆うことにより、該クーラーユニット7が外部から見えなくなるので、外観性が向上する。尚、凹部26aの端部をキャノピー26の端部まで延設して、該凹部26aと同一の高さに形成するのは、後端部一箇所だけでなくてもよく、後端部と左右端部の何れか一方との二箇所、又は、左右両端部の二箇所としてもよい。
【0032】
また、図22、図23に示すキャノピー28の如く形成してもよい。該キャノピー28には、上面の後半部分における略中央部に凹部28aを形成しており、該凹部28aの左右部分の一方はキャノピー28の端部まで延設されている。即ち、凹部28aの左右端部の一方はキャノピー28の端部まで同一の高さに形成して、凹部28aの前後端及び左右端の他方は、キャノピー28の他部よりも一段低く形成しているのである。
【0033】
キャノピー28の凹部28aをこのように形成することで、該凹部28aに設置したクーラーユニット7から排出されたドレンを、キャノピー28の左右一方の端部からのみ下方へ落下させることができる。また、クーラーユニット7の上方を覆うことにより、該クーラーユニット7が外部から見えなくなるので、外観性が向上する。
【0034】
尚、凹部26aの端部をキャノピー26の端部まで延設して、該凹部26aと同一の高さに形成するのは、左右端部の何れか一方のみの一箇所だけでなくてもよく、後端部と左右端部の何れか一方との二箇所、又は、左右両端部の二箇所としてもよい。そして、キャノピー26の凹部26aの構成や、キャノピー28の凹部28aの構成は、前記キャビン6においても同様に構成することができる。
【0035】
このように、キャノピー26・28の如く、天井面の凹部の一方向、又は、二方向を、天井面の端部まで該凹部と同じ高さに形成しているので、下方の作業者にクーラーユニット7から排出されたドレンがかかって濡れることを防止することができる。
【0036】
また、図24に示すように、キャビン6の凹部6aにクーラーユニット7を設置する際には、該クーラユニット7と凹部6aとの間に、弾性を有したゴムや合成樹脂等で構成された防振部材30を介して設置するように構成している。このように、クーラーユニット7を、防振部材30を介してキャビン6に設置することで、該クーラーユニット7へ伝達される振動を低減することができ、該クーラーユニット7内の各機器が振動により破損することを防止することができる。
【0037】
機体に設置したエンジンを、防振部材を介して支持する産業用車両において、該エンジンを防振部材を介して3点で支持したので、エンジンを支持する防振部材が、エンジンの左右方向へ出っ張ることを防止することができるので、エンジンの設置スペースを減少することができ、該エンジンを旋回体の後方側へ寄せて設置することができた。これにより、機体の前後バランスが向上して振動を低減することができるとともに、作業者が運転操作を行う運転部のスペースを広く確保することができた。また、エンジンの支持構造を簡単な構造とすることができ、低コスト化が図れるとともに、油圧ポンプ等の油圧機器を接続する油圧ホースのレイアウトや該油圧機器の配置の自由度を広げることができた。
【0038】
更に、機体に設置したエンジンを、防振部材を介して支持する産業用車両において、該エンジンを防振部材を介して3点で支持し、該エンジンの支持位置を、エンジンの重心を通過する慣性主軸に沿って配置したので、エンジンから発生する振動のピークを、エンジン回転数が最も低い状態であるアイドリング時に発生する振動周波数よりも低い周波数域に位置させることができた。これにより、エンジンの運転時における振動量を小さくすることができて、高い防振効果を得ることができた。
【0039】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
走行装置に旋回台(2)を左右旋回自在に装着し、該旋回台(2)上に、エンジン(3)、運転座席(24)及び、キャビン(6)又はキャノピー(16)を配設した産業用車両において、該キャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面上の一部を他部よりも低くして、凹部(6a)を構成し、該凹部(6a)に空調装置であるクーラーユニット(7)を載置し、該クーラーユニット(7)は、コンプレッサ(32)、コンデンサ(33)、エバポレータ(34)、DC/ACコンバータ(35)、冷却ファン(36)、外気ファン(37)、及び、操作スイッチ(38)等を、一つのケーシング(7b)内に収納して構成し、前記コンプレッサ(32)と、旋回台(2)に配設されたバッテリー(31)とを電気的な配線で接続し、該バッテリー(31)の直流電源をDC/ACコンバータ(35)により交流電源に変換して供給し、コンプレッサ(32)の駆動をバッテリー(31)からの電気駆動で行ない、該クーラーユニット(7)のケーシング(7b)下面に冷風口(7a)を形成し、該冷風口(7a)をキャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面に配設し、前記操作スイッチ(38)も同様に、前記ケーシング(7b)の下面に取り付け、該クーラーユニット(7)は、前記コンデンサ(33)の配設側の面から外気を取り込み、エバポレータ(34)部で冷却し、前記冷風口(7a)から吹き出すと共に、該クーラーユニット(7)内の排熱を、前記外気ファン(37)により外部へ放出するように構成したので、
第一に、空調装置がコンパクトに構成できるため、該空調装置のキャビンの天井、又は、運転部近傍への設置が容易にできる。
第二に、空調装置の設置時のガス配管、エンジンへのコンプレッサの配置が不要で、該空調装置が短時間で設置できる。
第三に、キャビン又はキャノピーの天井面上の一部を他部よりも低くした凹部を構成し、該凹部に空調装置を設置したので、空調装置の設置位置を低く抑えることができる、キャビンの重心が低くなって安定し、機体の振動を抑えることができるとともに、冷却風の吹き出し口を低位置に配置することができて高い冷却効果を得ることができる。
第四に、空調装置が、キャビンの天井面前部の高さよりも上方へ突出することがないので、外観性を向上することができる。
第五に、キャビンの天井面における凹部以外の部分は、該凹部よりも高く形成されているので、クーラーユニットから排出されるドレンが落下する箇所を規制することができ、作業者が排出されたドレンによって濡れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の産業用車両であるバックホーを示す平面図である。
【図2】 旋回体に設置したエンジンの支持構造を示す平面図である。
【図3】 同じく側面図である。
【図4】 同じく背面図である。
【図5】 同じく正面図である。
【図6】 エンジンの支持構造の別参考例を示す平面図である。
【図7】 同じく側面図である。
【図8】 同じく背面図である。
【図9】 同じく正面図である。
【図10】 エンジン運転時に発生する振動の周波数と変位量との関係を示す図である。
【図11】 エンジン運転時に発生する振動の周波数と変位角度との関係を示す図である。
【図12】 キャビン天井面の凹部にクーラーユニットを設置したバックホーを示す平面図である。
【図13】 同じく側面図である。
【図14】 クーラーユニットを内部を示す平面図である。
【図15】 同じく側面図である。
【図16】 同じく底面図である。
【図17】 キャノピーの天井面に形成した凹部へクーラーユニットを設置したバックホーを示す側面図である。
【図18】 キャビン内にクーラーユニットを設置した例を示す部分側面図である。
【図19】 同じく別参考例を示す平面図である。
【図20】 キャノピーの天井面に形成した凹部の別参考例を示す側面断面図である。
【図21】 同じく平面図である。
【図22】 キャノピーの天井面に形成した凹部の第三の参考例を示す側面断面図である。
【図23】 同じく平面図である。
【図24】 キャビン天井面に防振部材を介してクーラーユニットを設置した状態を示す側面図である。
【図25】 従来の産業用車両におけるエンジンの支持構造を示す平面図である。
【図26】 同じく側面図である。
【図27】 従来のエンジン支持構造をとった場合のエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位量との関係を示す図である。
【図28】 同じくエンジン運転時に発生する振動の周波数と変位角度との関係を示す図である。
【図29】 従来の産業用車両における空調装置の設置状態を示す平面図である。
【図30】 同じく側面図である。
【図31】 キャビンの天井面上に空調装置を設置した例を示す側面図である。
【符号の説明】
G 重心
K 慣性主軸
2 旋回体
3 エンジン
5 防振部材
6 キャビン
6a 凹部
7 クーラーユニット(空調装置)
7a 冷風口
Claims (1)
- 走行装置に旋回台(2)を左右旋回自在に装着し、該旋回台(2)上に、エンジン(3)、運転座席(24)及び、キャビン(6)又はキャノピー(16)を配設した産業用車両において、該キャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面上の一部を他部よりも低くして、凹部(6a)を構成し、該凹部(6a)に空調装置であるクーラーユニット(7)を載置し、該クーラーユニット(7)は、コンプレッサ(32)、コンデンサ(33)、エバポレータ(34)、DC/ACコンバータ(35)、冷却ファン(36)、外気ファン(37)、及び、操作スイッチ(38)等を、一つのケーシング(7b)内に収納して構成し、前記コンプレッサ(32)と、旋回台(2)に配設されたバッテリー(31)とを電気的な配線で接続し、該バッテリー(31)の直流電源をDC/ACコンバータ(35)により交流電源に変換して供給し、コンプレッサ(32)の駆動をバッテリー(31)からの電気駆動で行ない、該クーラーユニット(7)のケーシング(7b)下面に冷風口(7a)を形成し、該冷風口(7a)をキャビン(6)又はキャノピー(16)の天井面に配設し、前記操作スイッチ(38)も同様に、前記ケーシング(7b)の下面に取り付け、該クーラーユニット(7)は、前記コンデンサ(33)の配設側の面から外気を取り込み、エバポレータ(34)部で冷却し、前記冷風口(7a)から吹き出すと共に、該クーラーユニット(7)内の排熱を、前記外気ファン(37)により外部へ放出するように構成したことを特徴とする産業用車両の空調装置。
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- 1998-02-25 JP JP04338798A patent/JP4195917B2/ja not_active Expired - Fee Related
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