JP4195578B2 - 摩擦攪拌による複数列部材の接合体 - Google Patents

摩擦攪拌による複数列部材の接合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の長尺部材長尺板又は型材)が摩擦攪拌接合された接合体に関し、特に、鉄道車両、船舶、及び航空機等の大型構造物に用いられる摩擦攪拌による複数列部材の接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
特表平7−505090号公報には、摩擦攪拌接合による長尺部材同士の接合が記載されており、固相接合方法として、加工物より実質的に硬い材質からなる回転ツ−ルを加工物の溶接部に挿入し、回転ツ−ルを回転させながら移動することにより、回転ツ−ルと加工物との間に生じる摩擦熱による塑性流動によって加工物を接合する接合方法がある。
【0003】
ここで、図4(B)を参照して、摩擦攪拌接合について説明する。例えば、長手方向に延びる2枚の長尺板11及び12を摩擦攪拌接合によって接合する際には、工具13が用いられる。この工具13は、被加工物に摩擦熱を付与する円形ショルダ面を備えるショルダ部13aとショルダ面の中心軸線上に沿って垂設されたプローブ13bとを有している。長尺板11及び12を接合する際には、長尺板11及び12を接合線(接合ライン)14に沿って突き合わせ、架台上でクランプする。
【0004】
次に、工具13を回転させて、プローブ13bが接合ライン14に接して、発生した摩擦熱によって軟化した長尺板11及び12に円形ショルダ面が接するまで圧入する。この際、プローブ13bの差し込み(圧入)を容易にするため、長尺板の端部(長手方向端部)、つまり、接合ライン14の端部から僅かに内側に孔15を設けて、この孔15にプローブ13bを差し込む。
【0005】
そして、工具13は上方から押圧されるとともに回転しつつ、接合ライン14に沿って移動する。長尺板11及び12に接触しつつ回転するショルダ部13aは、軟化した板材(材料)が飛び出すのを防止するとともに、板材との相対的運動による摩擦熱の発生及び維持を行い、発生熱量の大部分を担う。接合部の温度は長尺板の融点温度以下であるが、プローブ13bの回転とショルダ部13aの移動に起因する流体圧力効果によって、ショルダ部13aの回転運動に応じて発生した摩擦熱によって軟化した材料がプローブ回りに流動して、接合ライン14に沿って接合ビード16が形成され、長尺板11及び12が接合される。なお、前述の孔15よりも外側に位置する部分は、接合後カットされる。
【0006】
また、前述のように接合ライン14に孔15を設ける代わりに、図4(A)に示す工具13が用いられることもある。この工具13では、プローブ13bがネジ状に形成されており、つまり、プローブ13bの外周面にはネジ体17が形成されており、長尺板11及び12を接合する際には、この工具13を回転させて、プローブ13bが接合ライン14に接して、発生した摩擦熱によって軟化した長尺板11及び12に円形ショルダ面が接するまで圧入する。この際、プローブ13bにはネジ体17が形成されているから、容易にプローブ13bを差し込む(圧入する)ことができる。
【0007】
上述のように、長尺部材である長尺板同士等を摩擦攪拌接合する際には、接合ライン14の僅かに内側から摩擦攪拌接合を開始するが、特に、特開2002−35966公報に記載されているように、複数列の接合線を同時に摩擦攪拌接合する際において、窓等の摩擦攪拌接合を要しない部分が混在する場合には、特に、接合ラインの僅か内側から摩擦攪拌接合を行う必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにして、長尺板11及び12を接合する際には、長手方向一端の僅か内側を始点とし、長手方向他端の僅か内側を終点として、摩擦攪拌接合を行う。つまり、図5(A)に示すように、始点に工具13のプローブ13bを差し込み、工具13を回転させつつ、実線矢印で示す方向に工具を移動させる。工具13の移動につれて、接合ライン14に沿って接合ビード16が形成される(図5(B)参照)。このようにして、長尺板11及び12を摩擦攪拌接合して接合体21を形成した後、図5(C)において一点鎖線で示す始点及び終点よりも外側に位置する部分はカットされる。
【0009】
ところで、上述のようにして、長尺板11及び12を摩擦攪拌接合すると、摩擦攪拌接合が行われた部分では、摩擦攪拌接合による熱歪みがおこるばかりでなく、塑性流動による突き合わせ部の一体化に起因してさらに熱歪みが生じ、これら熱歪みによって、長尺板11及び12を接合した接合体21がその幅方向に収縮する。そして、両端部は接合されていないから、つまり、両端部には収縮が起きず、元の幅であるため、図5(C)に示すように、接合体21はその長手方向側壁が中央で凹形状となってしまう(つまり、大きなギャップGが生じてしまう)。このようなギャップGが存在すると、接合体21にさらに長尺板22を接合しようとする際、接合体21に長尺板22を接合することが困難となってしまうばかりでなく、平行で精度のよい幅広接合体を形成することができないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、摩擦攪拌接合による熱歪み(熱変形)に起因するギャップの拡大を防止して、複数本の長尺部材が良好に摩擦攪拌接合された接合体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長手方向に平行に延在する複数本の長尺板や型材(以下長尺部材という)同士を、長手方向に延びる突き合わせ部に沿って突き合わせ、1又は複数のショルダ面とショルダ面中心より垂設するプローブを有する工具を用いて前記プローブを前記長尺部材の突き合わせ部の長手方向端より僅かに内側接合線始端位置より挿設させて突き合わせラインの長手方向他端側に向けて工具を移動しながら前記突き合わせ部の長手方向他端の僅かに内側の接合線終端位置まで摩擦攪拌接合されて接合線が形成されてなる広幅接合体において、
前記接合線を挟んで隣接する長尺部材の幅方向の収縮を許容する収縮許容部が、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側に位置する長尺部材の突き合わせ部に形成されていることを特徴とする。
【0012】
かかる発明によれば、接合線を挟んで隣接する長尺部材の幅方向の収縮を許容する収縮許容部が、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側に位置する長尺部材の突き合わせ部に形成されているので、長尺部材の幅方向の収縮が許容されることになって、その結果、熱歪みによる幅方向の収縮に起因するギャップが防止でき、複数本の長尺部材が良好に摩擦攪拌接合された接合体を得ることができる。
【0013】
本発明は、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側の長尺部材の突き合わせ部に位置する、前記収縮許容部が、長手方向に沿って形成される、U字、矩形状若しくはV字状、若しくはナイフエッジ状の切り欠き空間であることを特徴とする。このように、収縮許容部として、切り欠き空間を形成しているから、切り欠き空間は長尺部材に容易に形成することができ、しかもこの切り欠き空間によって、熱歪みによる幅方向への収縮に対して長尺部材の両端部が反発することがない。その結果、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができる。
【0014】
本発明は、前記切り欠き空間の少なくとも開端幅が、幅方向の収縮量より大で、ショルダ直径より小なることを特徴とする。このように、切り欠き空間の開端幅を幅方向の収縮量よりも大とすれば、長尺部材の端部が熱収縮によってぶつかり合うことがなく、熱収縮を吸収して、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができる。さらに、切り欠き空間の開端幅をショルダ直径より小としたから、接合線始端若しくは接合線終端位置においても、ショルダ面は長尺部材に当接するから、摩擦攪拌接合が損なわれることがない。
【0015】
本発明は、前記切り欠き空間の少なくとも開端幅が、プローブ直径より大で、ショルダ直径より小なることを特徴とする。このようにすれば、接合ラインに予め孔を設ける必要がなく、しかもプローブをネジ状とする必要もなく、容易にプローブを接合ラインに挿入することができる。
【0016】
本発明は前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部夫々に存在する切り欠き空間であることを特徴とする。このように、切り欠き空間を、当接される長尺部材同士の接合線延長位置の両側に存在させているから、切り欠き空間によって均等に熱収縮を吸収できる。
【0017】
本発明は、前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部の一の長尺部材側に存在する切り欠き空間であることを特徴とする。このように、切り欠き空間を、当接される長尺部材同士の接合線延長位置の片側に存在させているから、切り欠き空間が形成された長尺部材と切り欠き空間が形成されていない長尺部材同士を摩擦攪拌接合する際においても、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができ、容易に精度のよい接合体を製造することができる。
【0018】
本発明は、片側切り欠きを有する長尺部材同士を前後逆に交互に配置して突き合わせ配置し、突き合わせた長尺部材同士の両端側に切り欠き空間を形成することを特徴とする。このようにすれば、複数の長尺部材を接合する際において、接合ラインの延長線上に、容易に切り欠き空間を位置づけることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。なお、図示の例に記載された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に限定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0022】
図1(A)は切り欠きが形成され、長手方向に延びる板(以下長尺板と呼ぶ:長尺部材)同士を付き合わせた状態を上方から示す図である。図において、複数本の長尺板(例えば、約25メートル程度の平板)を摩擦攪拌接合する場合について説明する。長尺板31及び32をその突き合わせ部に沿って突き合わせて、突き合わせ部に沿って、摩擦攪拌接合する際には、長尺板31の両端部には、それぞれ突き合わせ部に沿って幅方向に延びる切り欠き31a及び31bが予め形成される。同様に、長尺板32の両端部には、それぞれ突き合わせ部に沿って幅方向の延びる切り欠き32a及び32bが予め形成される。なお、切り欠き31a、31b、32a、及び32bは同一形状であり、夫々の切り欠き31aと32a、31bと32bを突き合わせた形状がU字状となる。
【0023】
上述のようにして、切り欠き31a、31b、32a、及び32bを長尺板31及び32に形成した後、突き合わせ部で長尺板31及び32を突き合わせる。この際、突き合わせ部の一端には、切り欠き31a及び32aによって切り欠き空間33が形成され、突き合わせ部の他端には、切り欠き31b及び32bによって切り欠き空間34が形成される。つまり、突き合わせ部の両端にはそれぞれ切り欠き空間33及び34が形成される。そして、切り欠き空間33から切り欠き空間34までが接合線(接合ライン)35とされる。つまり、切り欠き空間33及び34を除く部分が接合ライン35なる。なお、切り欠き空間33及び34の幅をTとする。接合ライン35に沿って摩擦攪拌接合を行う際には、図1(B)に示す工具41が用いられる。
【0024】
図1(B)は工具を挿入した状態を上方から示す図であり、図2は図1に示す摩擦攪拌を説明するための斜視図である。図1(B)及び図2において、工具41は、被加工物に摩擦熱を付与する円形ショルダ面を備えるショルダ部41aとショルダ面の中心軸線上に沿って垂設されたプローブ41bとを有しており、円形ショルダ面、つまり、ショルダ部41aの直径をA、プローブ41bの直径をBとすると、B<T<Aに規定される。
【0025】
長尺板31及び32を接合する際には、前述のようにして、長尺板31及び22を突き合わせ部で突き合わせ、架台上でクランプする。次に、工具41を回転させつつ、プローブ41bを、切り欠き空間34側から挿入して、接合ライン35の始端にプローブ41bを接する。そして、工具41を回転させつつ、始端から接合ライン35の終端に向かって移動させる。この際、例えば、工具42の回転数は800〜2000rpm、送り速度(工具42の移動速度)は100〜1000mm/分とされる。
【0026】
長尺板31及び32に接触しつつ回転するショルダ部41aは、軟化した長尺板31及び32(材料)が飛び出すのを防止するとともに、長尺板31及び32との相対的運動による摩擦熱の発生及び維持を行い、発生熱量の大部分を担う。接合部(突き合わせ部)の温度は長尺板31及び32の融点温度以下であるが、プローブ41bの回転とショルダ部41aの移動に起因する流体圧力効果によって、ショルダ部41aの回転運動に応じて発生した摩擦熱によって軟化した材料がプローブ回りに流動して、接合ライン35に沿って接合ビード36が形成され、長尺板31及び32が接合ライン35にわたって接合される。その後、図1(C)に示すように、切り欠き空間31及び32に対応する部分はカットされる。つまり、接合ライン35の始端及び終端よりも外側に位置する部分はカットされる。
【0027】
いま、摩擦攪拌接合による熱歪みに起因する幅方向への収縮量(熱歪み分)をαとすると、切り欠き空間33及び34の開口端幅Tは、T>αとされる。この結果、摩擦攪拌接合後においては、長尺板31及び32が幅方向へ収縮しても、この収縮が切り欠き空間33及び34によって吸収されることになって(接合後においては、切り欠き空間33及び34の開口端幅は(T−α)となり(図1(C)参照))、長尺板31及び32が接合された接合体37がその長手方向に沿って凹形状となることがない(つまり、従来技術において図5(C)で示したようなギャップGが生じることがない)。従って、接合体37にさらに別の長尺板を容易に接合することができ、平行で精度のよい幅広接合体を形成することができる。
【0028】
なお、上述の例では、一つのショルダ部41aを有する工具41を用いたが、プローブを挟んで接合部(突き合わせ部)の表裏両面側に位置する一対のショルダ部を有するホビンツールを用いるようにしてもよい。つまり、図示はしないが、プローブとこのプローブを挟む一対の断面円形のショルダ部を有するボビンツールを用いて、一対のショルダ部によって、長尺板同士の突き合わせ部を挟み、突き合わせ部に摩擦熱を付与しつつ、ボビンツールを接合ラインに沿って移動させて、摩擦攪拌接合を行うようにしてもよい。
【0029】
上述の説明から明らかなように、図1に示す例では、片側切り欠きを有する長尺部材同士を前後逆に交互に配置して突き合わせ、突き合わせた長尺部材同士の両端側に切り欠き空間を形成し、この切り欠き空間を除いた接合ラインに沿って摩擦攪拌接合を行っている。
【0030】
図1に示す例では、長尺板同士を当接した際に接合線端の少なくとも一の外側領域に長手方向に沿って、当接された長尺部材同士の接合線延長位置の幅方向両側に存在する切り欠き空間を形成して、切り欠き空間の開端幅を、長尺板の幅方向の収縮量より大としたから、長尺板の熱歪みによる収縮を吸収でき、その結果、平行で精度のよい幅広接合体を形成することができる。さらに、切り欠き空間の開端幅を、プローブ直径より大で、ショルダ直径より小としたから、ショルダ部によって長尺板を押圧しつつ容易にプローブを切り欠き空間から接合ラインに沿って挿入することができる。加えて、図1に示す例では、切り欠き空間を、当接される長尺部材同士の接合線延長位置の幅方向両側に存在する切り欠き空間としたので、切り欠き空間によって均等に熱収縮を吸収できる。
【0031】
図3を参照して、本発明による複数列部材の接合体の他の例について説明する。図3(A)に示す例では、各長尺板51乃至53にはその対角線で対向する端部にそれぞれ矩形状の切り欠き51a及び51b、52a及び52b、及び53a及び53bが予め形成されている。これら切り欠き51a及び51b、52a及び52b、及び53a及び53bは突き合わせ部に沿って幅方向の延びている。そして、これら長尺板51乃至53を順次長手方向に延びる突き合わせ部で突き合わせると、つまり、長尺板51に長尺板52を突き合わせると、長尺板51と長尺板52との突き合わせ部の両端部にはそれぞれ切り欠き52a及び51bで規定される切り欠き空間が形成される。
【0032】
同様に、長尺板52に長尺板53を突き合わせると、長尺板52と長尺板53との突き合わせ部の両端部にはそれぞれ切り欠き53a及び52bで規定される切り欠き空間が形成される。このようにして、突き合わせ部の両端に切り欠き空間を規定して、切り欠き空間を除く接合ライン54及び55に沿って、図1で説明したようにして、摩擦攪拌接合を行う。
【0033】
図3(A)に示す例においても、切り欠き空間の開端幅は、長尺板51乃至53の幅方向の収縮量より大とされ、工具のショルダ直径より小とされ、さらに、その開端幅はプローブ直径より大とされる。また、切り欠き空間の開端幅は長尺板51乃至53の幅方向への収縮量より大とされる。
【0034】
図3(A)に示す例では、長尺板同士を当接した際に接合線端の外側領域に長手方向に沿って、当接された長尺部材同士の接合線延長位置の幅方向片側に存在する切り欠き空間を形成して、切り欠き空間の開端幅を、長尺板の幅方向の収縮量より大としたから、長尺板の熱歪みによる収縮を吸収でき、その結果、平行で精度のよい幅広接合体を形成することができる。さらに、切り欠き空間の開端幅を、プローブ直径より大で、ショルダ直径より小としたから、ショルダ部によって長尺板を押圧しつつ容易にプローブを切り欠き空間から接合ラインに沿って挿入することができる。
【0035】
さらに、図3(A)に示す例では、片側切り欠きを有する長尺部材同士を前後逆に交互に配置して突き合わせ配置し、突き合わせた長尺部材同士の両端側に切り欠き空間を形成するようにしたので、複数の長尺部材を接合する際においても、容易に切り欠き空間をその端部に位置づけることができる。
【0036】
図3(B)に示す例では、各長尺板61乃至63にはその長手方向一辺の両端それぞれ矩形状の切り欠き61a及び61b、62a及び62b、及び63a及び63bが予め形成されている。これら切り欠き61a及び61b、62a及び62b、及び63a及び63bは突き合わせ部に沿って幅方向の延びている。そして、これら長尺板61乃至63を順次長手方向に延びる突き合わせ部で突き合わせると、つまり、長尺板61と長尺板62とを、長尺板61の切り欠きが形成された長手方向一辺と長尺板62の切り欠きが形成されてない長手方向一辺とで突き合わせると、長尺板61と長尺板62との突き合わせ部の両端部にはそれぞれ切り欠き61a及び61bで規定される切り欠き空間が形成される。
【0037】
同様に、長尺板62と長尺板63とを、長尺板62の切り欠きが形成された長手方向一辺と長尺板63の切り欠きが形成されてない長手方向一辺とで突き合わせると、長尺板62と長尺板63との突き合わせ部の両端部にはそれぞれ切り欠き62a及び62bで規定される切り欠き空間が形成される。
【0038】
このようにして、突き合わせ部の両端に切り欠き空間を規定して、切り欠き空間を除く接合ライン64及び65に沿って、図1で説明したようにして、摩擦攪拌接合を行う。この際にも、切り欠き空間の開端幅は、長尺板61乃至63の幅方向の収縮量より大とされ、工具のショルダ直径より小とされ、さらに、その開端幅はプローブ直径より大とされる。また、切り欠き空間の開端幅は長尺板61乃至63の幅方向への収縮量より大とされる。
【0039】
図3(B)に示す例では、切り欠き空間を、当接される長尺部材同士の接合線延長位置の幅方向片側に存在する切り欠き空間としたので、切り欠き空間が形成された長尺板と切り欠き空間が形成されていない長尺部材同士を摩擦攪拌接合する際においても、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができ、容易に精度のよい接合体を製造することができる。
【0040】
さらに、図3(C)に示すように、各長尺板71乃至73の四隅を予め切り取るようにしてもよい。この際には、長尺板71と長尺板72とを突き合わせると、長尺板71と長尺板72との突き合わせ部の両端部にはそれぞれナイフエッジ状又はV字状の切り欠き空間74及び75が形成される。
【0041】
同様に、長尺板72と長尺板73とを突き合わせると、長尺板72と長尺板73との突き合わせ部の両端部にはそれぞれナイフエッジ状又はV字状の切り欠き空間76及び77が形成される。
【0042】
このようにして、突き合わせ部の両端に切り欠き空間74乃至77を規定して、切り欠き空間を除く接合ライン78及び79に沿って、図1で説明したようにして、摩擦攪拌接合を行う。この際においても、切り欠き空間の開端幅は、長尺板71乃至73の幅方向の収縮量より大とされ、工具のショルダ直径より小とされ、さらに、その開端幅はプローブ直径より大とされる。また、切り欠き空間の開端幅は長尺板71乃至73の幅方向への収縮量より大とされる。
【0043】
なお、上述の例では、長尺板を摩擦攪拌接合して幅広接合体を得る例について説明したが、複数の長尺型材を摩擦攪拌接合して幅広接合体を形成する際においても、同様にして、切り欠き空間を形成しておけば、熱歪みによる収縮に起因するギャップの発生を防止することができ、平行で精度のよい幅広接合体を形成することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側に位置する長尺部材の突き合わせ部に、接合線を挟んで隣接する長尺部材の幅方向の収縮を許容する収縮許容部を形成したので、長尺部材の幅方向の収縮が許容されることになって、その結果、熱歪みによる幅方向の収縮に起因するギャップが防止でき、複数本の長尺部材が良好に摩擦攪拌接合された接合体を得ることができるという効果がある。
【0045】
本発明では、収縮許容部として、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側の長尺部材の突き合わせ部に長手方向に沿ってU字、矩形状若しくはV字状、若しくはナイフエッジ状の切り欠き空間を形成するようにしたので、収縮許容部を容易に形成することができ、しかもこの切り欠き空間によって、熱歪みによる幅方向への収縮に対して長尺板の両端部が反発することがなく、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができるという効果がある。
【0046】
本発明では、切り欠き空間の少なくとも開端幅を、幅方向の収縮量より大としたので、長尺部材の端部が熱収縮によってぶつかり合うことがなく、熱収縮を吸収して、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができるという効果があり、しかも、切り欠き空間の開端幅をショルダ直径より小としたので、摩擦攪拌接合の始端及び終端においても、ショルダ面が長尺部材に当接するから、摩擦攪拌接合が損なわれることがないという効果がある。
【0047】
本発明では、切り欠き空間の少なくとも開端幅を、プローブ直径より大で、ショルダ直径より小としたので、接合ラインに予め孔を設ける必要がなく、しかもプローブをネジ状とする必要もなく、容易にプローブを接合ラインに挿入することができるという効果がある。
【0048】
本発明では、切り欠き空間を、前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部夫々に(接合線延長位置の幅方向両側に存在する)切り欠き空間を設けたので、該切り欠き空間によって均等に熱収縮を吸収できるという効果がある。
【0049】
本発明では、前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部の一の長尺部材側(長尺部材同士の接合線延長位置の幅方向片側)に設けた為に、切り欠き空間が形成された長尺板と切り欠き空間が形成されていない長尺部材同士を摩擦攪拌接合する際においても、熱歪みによる幅方向への収縮に起因するギャップを防止することができ、容易に精度のよい接合体を製造することができるという効果がある。
【0050】
本発明では、片側切り欠きを有する長尺部材同士を前後逆に交互に配置して突き合わせ配置し、突き合わせた長尺部材同士の両端側に切り欠き空間を形成するようにしたので、複数の長尺部材を接合する際において、接合ラインの延長線上に、容易に切り欠き空間を位置づけることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による摩擦攪拌による複数列部材の接合体の製造の一例を説明するための図であり、(A)は切り欠きが形成された長尺板同士を突き合わせた状態を上方から示す図、(B)は工具を挿入した状態を上方から示す図、(C)は摩擦攪拌接合の終了時点の状態を上方から示す図である。
【図2】 図1に示す摩擦攪拌を説明するための斜視図である。
【図3】 本発明による摩擦攪拌による複数列部材の接合体の製造の他の例を説明するための図であり、(A)は対角線に位置する切り欠きが形成された長尺板同士を突き合わせた状態を上方から示す図、(B)は長手方向一辺の両端に切り欠きが形成された長尺板同士を突き合わせた状態を上方から示す図、(C)は四隅に切り欠きが形成された長尺板同士を突き合わせた状態を上方から示す図である。
【図4】 従来の摩擦攪拌接合を説明するための図あり、(A)は工具を示す図、(B)は摩擦攪拌接合を示す斜視図である。
【図5】 従来の摩擦攪拌接合を説明するための図であり、(A)は長尺板同士を突き合わせて摩擦攪拌接合を開始を上方から示す図、(B)は摩擦攪拌接合の途中を上方から示す図、(C)は摩擦攪拌接合の終了時点の状態を上方から示す図である。
【符号の説明】
31、32、51〜53、61〜63、71〜73 長尺板
33、34、74〜77 切り欠き空間
35、35、54、55、64、65、78、79 接合線(接合ライン)
41 工具
36 接合ビード

Claims (7)

  1. 長手方向に平行に延在する複数本の長尺板や型材(以下長尺部材という)同士を、長手方向に延びる突き合わせ部に沿って突き合わせ、1又は複数のショルダ面とショルダ面中心より垂設するプローブを有する工具を用いて前記プローブを前記長尺部材の突き合わせ部の長手方向端より僅かに内側接合線始端位置より挿設させて突き合わせラインの長手方向他端側に向けて工具を移動しながら前記突き合わせ部の長手方向他端の僅かに内側の接合線終端位置まで摩擦攪拌接合されて接合線が形成されてなる広幅接合体において、
    前記接合線を挟んで隣接する長尺部材の幅方向の収縮を許容する収縮許容部が、前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側に位置する長尺部材の突き合わせ部に形成されていることを特徴とする摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  2. 前記接合線始端若しくは接合線終端位置より長手方向外側の長尺部材の突き合わせ部に位置する、前記収縮許容部が、長手方向に沿って形成される、U字、矩形状若しくはV字状、若しくはナイフエッジ状の切り欠き空間であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  3. 前記切り欠き空間の少なくとも開端幅が、幅方向の収縮量より大で、ショルダ直径より小なることを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  4. 前記切り欠き空間の少なくとも開端幅が、プローブ直径より大で、ショルダ直径より小なることを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  5. 前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部夫々に存在する切り欠き空間であることを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  6. 前記切り欠き空間が、前記長尺部材同士の接合線を延長した延長線を挟んで対面する2つの長尺部材の突き合わせ部の一の長尺部材側に存在する切り欠き空間であることを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
  7. 片側切り欠きを有する長尺部材同士が前後逆に交互に配置されて突き合わせ配置され、突き合わせ部材同士の両端側に切り欠き空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌による複数列部材の接合体。
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