JP4193500B2 - シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 - Google Patents

シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英るつぼに貯留されたシリコン融液からシリコン単結晶のインゴットを引上げる装置及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン単結晶の製造方法として、シリコン単結晶のインゴットをチョクラルスキー法(以下、CZ法という)により引上げる方法が知られている。このCZ法は、石英るつぼに貯留されたシリコン融液に種結晶を接触させ、石英るつぼ及び種結晶を回転させながら種結晶を引上げることにより、円柱状のシリコン単結晶のインゴットを製造する方法である。
一方、半導体集積回路を製造する工程において、歩留りを低下させる原因として酸化誘起積層欠陥(Oxidation-induced Stacking Fault、以下、OSFという。)の核となる酸素析出物の微小欠陥や、結晶に起因したパーティクル(Crystal Originated Particle、以下、COPという。)や、或いは侵入型転位(Interstitial-type Large Dislocation、以下、L/Dという。)の存在が挙げられている。OSFは、結晶成長時にその核となる微小欠陥が導入され、半導体デバイスを製造する際の熱酸化工程等で顕在化し、作製したデバイスのリーク電流の増加等の不良原因になる。またCOPは、鏡面研磨後のシリコンウェーハをアンモニアと過酸化水素の混合液で洗浄したときにウェーハ表面に出現する結晶に起因したピットである。このウェーハをパーティクルカウンタで測定すると、このピットも本来のパーティクルとともに光散乱欠陥として検出される。
【0003】
このCOPは電気的特性、例えば酸化膜の経時絶縁破壊特性(Time Dependent dielectric Breakdown、TDDB)、酸化膜耐圧特性(Time Zero Dielectric Breakdown、TZDB)等を劣化させる原因となる。またCOPがウェーハ表面に存在するとデバイスの配線工程において段差を生じ、断線の原因となり得る。そして素子分離部分においてもリーク等の原因となり、製品の歩留りを低くする。更にL/Dは、転位クラスタとも呼ばれたり、或いはこの欠陥を生じたシリコンウェーハをフッ酸を主成分とする選択エッチング液に浸漬するとピットを生じることから転位ピットとも呼ばれる。このL/Dも、電気的特性、例えばリーク特性、アイソレーション特性等を劣化させる原因となる。この結果、半導体集積回路を製造するために用いられるシリコンウェーハからOSF、COP及びL/Dを減少させることが必要となっている。
【0004】
このOSF、COP及びL/Dを有しない無欠陥のシリコンウェーハを切出すためのシリコン単結晶インゴットの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。一般に、シリコン単結晶のインゴットを速い速度で引上げると、インゴット内部に空孔型点欠陥の凝集体が支配的に存在する領域[V]が形成され、インゴットを遅い速度で引上げると、インゴット内部に格子間シリコン型点欠陥の凝集体が支配的に存在する領域[I]が形成される。このため上記製造方法では、インゴットを最適な引上げ速度で引上げることにより、上記点欠陥の凝集体が存在しないパーフェクト領域[P]からなるシリコン単結晶を製造できるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許番号6,045,610号
【特許文献2】
特開平11−1393号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の米国特許番号6,045,610号に対応する特開平11−1393号公報に示されたシリコン単結晶インゴットの製造方法では、シリコン単結晶のインゴットとシリコン融液との固液界面近傍での鉛直方向の温度勾配が均一になるように制御する必要があり、この制御はシリコン融液の残量の変化や対流の変化による影響を受けるため、インゴットの直胴部全長にわたって、無欠陥のシリコン単結晶を製造することは困難であった。
本発明の目的は、無欠陥のシリコン単結晶のインゴットを比較的容易に製造できる、シリコン単結晶の引上げ装置及びその方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、チャンバ11内に設けられシリコン融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英るつぼ13の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱するヒータ18と、シリコン融液12から引上げられるインゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36と、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段28とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、図2に示すように、下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置し膨出部41とインゴットの間の不活性ガス流下空間を2分する筒体48が筒部37と同心状に膨出部41に支柱49を介して取付けられ、複数の移動板51がインゴット25を包囲するように膨出部41の上部又は下部に放射状にかつ移動可能に配置され、複数の移動板51をそれぞれ移動して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成された移動板移動手段52を備えたところにある。
ここで、移動板移動手段52は、駆動モータ54と、その駆動モータ54と移動板51を連結する連結ワイヤ53とを有することが好ましい。
【0008】
請求項8に係る発明は、図2に示すように、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、シリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶のインゴット25を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36を設け、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、インゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度でインゴット25を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法の改良である。
その特徴ある点は、膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分する筒体48を筒部37と同心状に支柱49を介して膨出部41に取付け、インゴット25を包囲するように複数の移動板51を膨出部41の上部又は下部に放射状にかつ移動可能に配置し、複数の移動板51をそれぞれ移動調整して筒体51と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成された移動板移動手段52を設け、移動板移動手段52により複数の移動板51をそれぞれ移動調整して筒体51と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を狭め、筒体48とインゴット25の間の内空間における不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流12a,12bを起こさせてシリコン融液12とインゴット25との固液界面26が上凸状になるように移動板移動手段52を制御するところにある。
【0009】
この請求項1並びに請求項2に記載されたシリコン単結晶の引上げ装置及び請求項8に記載されたシリコン単結晶の引上げ方法では、複数の移動板51をそれぞれ移動調整して筒体51と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変化させながら、インゴット25を引上げると、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12c近傍を流れる不活性ガスによりシリコン融液12に所定の対流12a,12bが発生する。これらの対流12a,12bにより固液界面26形状が上側に凸状となるように移動板51を移動調整すると、固液界面の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、固液界面26形状が上側に凸状となるように移動板51を移動調整することにより、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0010】
請求項3に係る発明は、図8に示すように、チャンバ11内に設けられシリコン融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英るつぼ13の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱するヒータ18と、シリコン融液12から引上げられるインゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36と、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段28とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、膨出部41の内面に複数の支軸71がインゴット25に向かって放射状に突出され、インゴット25の外周面を包囲して膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように支軸71の数に相当する複数の縦板72が筒部37と同心状に複数の支軸71の先端に枢支され、複数の縦板72をそれぞれ傾動可能に構成された縦板傾動手段73を備えたところにある。
ここで、縦板傾動手段73は、駆動モータ75と、その駆動モータ75と縦板72を連結する連結ワイヤ74とを有することが好ましい。
【0011】
請求項9に係る発明は、図9に示すように、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、シリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶のインゴット25を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36を設け、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、インゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度でインゴット25を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法の改良である。
その特徴ある点は、膨出部41の内面に複数の支軸71をインゴット25に向かって放射状に突出させ、インゴット25の外周面を包囲して膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように支軸71の数に相当する複数の縦板72を複数の支軸71の先端に枢支し、複数の縦板72をそれぞれ傾動可能に構成された縦板傾動手段73を設け、縦板傾動手段73により複数の縦板72をそれぞれ傾動調整して複数の縦板72とインゴット25の間に流入する不活性ガスの流量を増大させ、複数の縦板72とインゴット25の間から流出する不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流12a,12bを起こさせてシリコン融液12とインゴット25との固液界面26が上凸状になるように縦板傾動手段73を制御するところにある。
【0012】
この請求項3並びに請求項4に記載されたシリコン単結晶の引上げ装置及び請求項9に記載されたシリコン単結晶の引上げ方法では、複数の縦板72をそれぞれ傾動調整しながら、インゴット25を引上げると、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12c近傍を流れる不活性ガスによりシリコン融液12に所定の対流12a,12bが発生する。これらの対流12a,12bにより固液界面26形状が上側に凸状となるように縦板71を傾動させると、固液界面の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、固液界面26形状が上側に凸状となるように縦板72を傾動調整することにより、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0013】
請求項5に係る発明は、図12に示すように、チャンバ11内に設けられシリコン融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英るつぼ13の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱するヒータ18と、シリコン融液12から引上げられるインゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36と、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段28とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、インゴット25の外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材91が膨出部41の内面に挿着され、インゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板92が筒部37と同心状に固定部材91の内周縁に枢支され、複数の揺動板92をそれぞれ揺動可能に構成された揺動手段93を備えたところにある。
ここで、ドーナツ状の固定部材91は、揺動板92の数に相当する複数の扇状板91aにより構成されることが好ましく、揺動手段93は、駆動モータと、その駆動モータと揺動板92を連結する連結ワイヤ94とを有することが好ましい。
【0014】
請求項10に係る発明は、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、シリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶のインゴット25を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する筒部37と筒部37の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部41とを有する熱遮蔽部材36を設け、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、インゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度でインゴット25を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法の改良である。
その特徴ある点は、インゴット25の外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材91を膨出部41の内面に挿着させ、インゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板92を筒部37と同心状に固定部材91の内周縁に枢支させ、複数の揺動板92をそれぞれ揺動可能に構成された揺動手段93を設け、揺動手段93により複数の揺動板92をそれぞれ揺動調整して複数の揺動板92とインゴット25の間に流入する不活性ガスの流量を増大させ、複数の揺動板92とインゴット25の間から流出する不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流12a,12bを起こさせてシリコン融液12とインゴット25との固液界面26が上凸状になるように揺動手段93を制御するところにある。
【0015】
この請求項5〜請求項7に記載されたシリコン単結晶の引上げ装置及び請求項10に記載されたシリコン単結晶の引上げ方法では、複数の揺動板92をそれぞれ揺動調整しながら、インゴット25を引上げると、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12c近傍を流れる不活性ガスによりシリコン融液12に所定の対流12a,12bが発生する。これらの対流12a,12bにより固液界面26形状が上側に凸状となるように揺動板91を揺動させると、固液界面の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、固液界面26形状が上側に凸状となるように揺動板92を揺動調整することにより、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に本発明のシリコン単結晶の引上げ装置10を示す。この引上げ装置10のチャンバ11内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられ、この石英るつぼ13の外周面は黒鉛サセプタ14により被覆される。石英るつぼ13の下面は上記黒鉛サセプタ14を介して支軸16の上端に固定され、この支軸16の下部はるつぼ駆動手段17に接続される。るつぼ駆動手段17は図示しないが石英るつぼ13を回転させる第1回転用モータと、石英るつぼ13を昇降させる昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英るつぼ13が所定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能となっている。石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13から所定の間隔をあけてヒータ18により包囲され、このヒータ18は保温筒19により包囲される。ヒータ18は石英るつぼ13に投入された高純度のシリコン多結晶体を加熱・融解してシリコン融液12にする。
【0017】
またチャンバ11の上端には円筒状のケーシング21が接続される。このケーシング21には引上げ手段22が設けられる。引上げ手段22はケーシング21の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させる第2回転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ13の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル23と、上記ヘッド内に設けられワイヤケーブル23を巻取り又は繰出す引上げ用モータ(図示せず)とを有する。ワイヤケーブル23の下端にはシリコン融液12に浸してシリコン単結晶のインゴット25を引上げるための種結晶24が取付けられる。
更にチャンバ11にはこのチャンバ11のインゴット側に不活性ガスを供給しかつ上記不活性ガスをチャンバ11のるつぼ内周面側から排出するガス給排手段28が接続される。ガス給排手段28は一端がケーシング21の周壁に接続され他端が上記不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パイプ29と、一端がチャンバ11の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ30とを有する。供給パイプ29及び排出パイプ30にはこれらのパイプ29,30を流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁31,32がそれぞれ設けられる。
【0018】
一方、引上げ用モータの出力軸(図示せず)にはエンコーダ(図示せず)が設けられ、るつぼ駆動手段17には支軸16の昇降位置を検出するエンコーダ(図示せず)が設けられる。2つのエンコーダの各検出出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、コントローラの制御出力は引上げ手段22の引上げ用モータ及びるつぼ駆動手段の昇降用モータにそれぞれ接続される。またコントローラにはメモリ(図示せず)が設けられ、このメモリにはエンコーダの検出出力に対するワイヤケーブル23の巻取り長さ、即ちインゴット25の引上げ長さが第1マップとして記憶される。また、メモリには、インゴット25の引上げ長さに対する石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面レベルが第2マップとして記憶される。コントローラは、引上げ用モータにおけるエンコーダの検出出力に基づいて石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面を常に一定のレベルに保つように、るつぼ駆動手段17の昇降用モータを制御するように構成される。
【0019】
インゴット25の外周面と石英るつぼ13の内周面との間にはインゴット25の外周面を包囲する熱遮蔽部材36が設けられる。この熱遮蔽部材36は円筒状に形成されヒータ18からの輻射熱を遮る筒部37と、この筒部37の上縁に連設され外方に略水平方向に張り出すフランジ部38とを有する。上記フランジ部38を保温筒19上に載置することにより、筒部37の下縁がシリコン融液12表面から所定の距離だけ上方に位置するように熱遮蔽部材36はチャンバ11内に固定される。この実施の形態における筒部37は同一直径の筒状体であり、この筒部37の下部には筒内の方向に膨出しかつ内部に断熱部材47を有する膨出部41が設けられる。この筒部37及び膨出部41はC(黒鉛)により、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛等により作られる。
【0020】
図2に詳しく示すように、膨出部41には不活性ガス流下空間を2分する筒体48が設けられる。この筒体48は膨出部41の内側にインゴット25の中心に向かって突出して設けられた複数の支柱49の先端に設けられる。この筒体48はC(黒鉛)により、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛等により作られ、その下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように熱遮蔽部材36における筒部37と同心状に複数の支柱49の先端に取付けられる。一方、膨出部41の上部には複数の移動板51がインゴット25を包囲するように放射状にかつ移動可能に配置される。本実施の形態における膨出部41の上面はインゴット25に向かって下向きに傾斜するように形成され、図3に示すように、移動板51は6枚使用される。6枚の移動板51はそれぞれカーボンにより作られ、図4に示すように、下部にローラ51aが設けられる。膨出部41の上面にはそのローラ51aが挿入可能な幅を有する凹溝41aが放射状に形成され、ローラ51aをその凹溝41aに挿入することにより6個の移動板51は放射状にそれぞれ移動可能に配置される。
【0021】
6個の移動板51には後述する移動板移動手段52(図1)の連結ワイヤ53の一端がそれぞれ接続される。このワイヤ53が引張られることにより図4の破線矢印で示すように複数の移動板51が移動して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を拡大し、ワイヤ53が繰出されることにより図の実線矢印で示すように複数の移動板51が移動して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を狭めるように構成される。
【0022】
図1に戻って、チャンバ11の上部にはケーシング21を挟むように一対の移動板移動手段52が設けられる。移動板移動手段52はチャンバ11の上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ11の上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータ54と、チャンバ11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒56と、支持棒56の下端と移動板51を連結する連結ワイヤ53とを有する。駆動ギヤはチャンバ11の上部に設けられたギヤボックス57に内蔵され、連結ワイヤ53は筒部37の外側に設けられた転向ローラ58(図2)によりその方向を変化させて配索される。移動板移動手段52は、駆動モータ54による回転軸54aの回転によりギヤボックス57に内蔵された図示しない駆動ギヤが回転し、支持棒56を上下動させることにより連結ワイヤ53を介して移動板51をそれぞれ移動させて、筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成される。
【0023】
次に、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法を説明する。この方法は、上述した装置10、即ち膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分する筒体48が筒部37と同心状に膨出部41に支柱49を介して取付けられ、複数の移動板51がインゴット25を包囲するように膨出部41の上部に放射状にかつ移動可能に配置され、複数の移動板51をそれぞれ移動して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成された移動板移動手段52を備えた装置10を用いて行われる。そして、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、そのシリコン融液12からシリコン単結晶から成るインゴット25を引上げる方法である。このインゴット25は、このインゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で引上げられる。即ち、インゴット25は、CZ法によりホットゾーン炉内のシリコン融液12からボロンコフ(Voronkov)の理論に基づいた所定の引上げ速度プロファイルで引上げられる。
【0024】
一般的に、CZ法によりシリコン融液12からシリコン単結晶のインゴット25を引上げると、インゴット25内には、点欠陥(point defect)と点欠陥の凝集体(agglomerates:三次元欠陥)が発生する。点欠陥は空孔型点欠陥と格子間シリコン型点欠陥という二つの一般的な形態がある。空孔型点欠陥は一つのシリコン原子がシリコン結晶格子で正常的な位置の一つから離脱したものである。このような空孔が空孔型点欠陥になる。一方、原子がシリコン結晶の格子点以外の位置(インタースチシャルサイト)で発見されるとこれが格子間シリコン点欠陥になる。
【0025】
点欠陥は一般的にシリコン融液12とインゴット25の間の接触面、即ち固液界面26で形成される。しかし、インゴット25を継続的に引上げることによって固液界面26であった部分は引上げとともに冷却し始める。冷却の間、空孔型点欠陥又は格子間シリコン型点欠陥は拡散により互いに合併して、空孔型点欠陥の凝集体(vacancy agglomerates)又は格子間シリコン型点欠陥の凝集体(interstitial agglomerates)が形成される。言い換えれば、凝集体は点欠陥の合併に起因して発生する三次元構造となる。
空孔型点欠陥の凝集体は、前述したCOPの他に、LSTD(Laser Scattering Tomograph Defects)又はFPD(Flow Pattern Defects)と呼ばれる欠陥を含み、格子間シリコン型点欠陥の凝集体は前述したL/Dと呼ばれる欠陥を含む。FPDとは、インゴット25をスライスして作製されたシリコンウェーハを30分間セコエッチング(Secco etching、HF:K2Cr27(0.15mol/l)=2:1の混合液によるエッチング)したときに現れる特異なフローパターンを呈する痕跡の源であり、LSTDとは、シリコン単結晶内に赤外線を照射したときにシリコンとは異なる屈折率を有し散乱光を発生する源である。
【0026】
ボロンコフの理論は、欠陥の数が少ない高純度インゴット25を成長させるために、インゴット25の引上げ速度をV(mm/分)、インゴット25とシリコン融液12の界面26近傍のインゴット25中の温度勾配をG(℃/mm)とするときに、V/G(mm2/分・℃)を制御することである。この理論では、図5に示すように、V/Gを横軸にとり、空孔型点欠陥濃度と格子間シリコン型点欠陥濃度を同一の縦軸にとって、V/Gと点欠陥濃度との関係を図式的に表現し、空孔領域と格子間シリコン領域の境界がV/Gによって決定されることを説明している。より詳しくは、V/G比が臨界点以上では空孔型点欠陥濃度が優勢なインゴット25が形成される反面、V/G比が臨界点以下では格子間シリコン型点欠陥濃度が優勢なインゴット25が形成される。図5において、[I]は格子間シリコン型点欠陥が支配的であって、格子間シリコン型点欠陥の凝集体が存在する領域((V/G)1以下)を示し、[V]はインゴット25内での空孔型点欠陥が支配的であって、空孔型点欠陥の凝集体が存在する領域((V/G)2以上)を示し、[P]は空孔型点欠陥の凝集体及び格子間シリコン型点欠陥の凝集体が存在しないパーフェクト領域((V/G)1〜(V/G)2)を示す。領域[P]に隣接する領域[V]にはOSF核を形成する領域[OSF]((V/G)2〜(V/G)3)が存在する。
【0027】
このパーフェクト領域[P]は更に領域[PI]と領域[PV]に分類される。[PI]はV/G比が上記(V/G)1から臨界点までの領域であり、[PV]はV/G比が臨界点から上記(V/G)2までの領域である。即ち、[PI]は領域[I]に隣接し、かつ侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン型点欠陥濃度未満の格子間シリコン型点欠陥濃度を有する領域であり、[PV]は領域[V]に隣接し、かつOSFを形成し得る最低の空孔型点欠陥濃度未満の空孔型点欠陥濃度を有する領域である。なお、上記OSFは、結晶成長時にその核となる微小欠陥が導入され、半導体デバイスを製造する際の熱酸化工程等で顕在化し、作製したデバイスのリーク電流の増加等の不良原因になる。
【0028】
図1に戻って、シリコン融液12からインゴット25を引上げる際には、複数の移動板51をそれぞれ移動調整して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変化させ、筒体48とインゴット25の間の内空間における不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流を起こさせる。即ち、図3及び図4に示すように、筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を狭めると、筒体48とインゴット25の間の内空間における不活性ガスの流速が増す。この内空間を流下する不活性ガスは、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12cに添って方向を転換してシリコン融液12の液面に添って流れる。一方、メニスカス12cにおけるシリコン融液12は図4の一点鎖線矢印で示すようにそのメニスカス12cに添って方向を転換する不活性ガスの流れによって、シリコン融液12に生じる対流を変化させる。
【0029】
このように複数の移動板51をそれぞれ移動調整して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変化させながら、シリコン単結晶のインゴット25を引上げると、図2に示すように、石英るつぼ13の底部中央から固液界面26の中央に向って上昇した後に、固液界面26の外周縁近傍から石英るつぼ13の底部中央に流下する第1対流12aを拡大させ、石英るつぼ13の底部外周縁から周縁に沿って上昇した後に、上記第1対流12aに沿って流下する第2対流12bを縮小させる。上記第1対流12aの拡大は固液界面26を押上げるので、固液界面26形状は上側に凸状となる。このように固液界面26が上凸状になるように複数の移動板51をそれぞれ移動調整する。この結果、固液界面26の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面26の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0030】
なお、上述した実施の形態では、膨出部41の上部に複数の移動板51が配置される場合を示したが、複数の移動板51をそれぞれ移動して筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能である限り、図6に示すように、膨出部41の下部に複数の移動板51を配置しても良い。図6における移動板51は一対の吊支部材52aにより移動可能に吊支され、一対の吊支部材52aの上端が膨出部41の下部に取付けられる。図7に示すように、吊支部材52aはガイドピン52bと転動ローラ52cにより構成され、移動板51の中央にはインゴット25の半径方向に延びる長孔51bが形成される。移動板51の長孔51bには膨出部41の下面に取付けられたガイドピン52bが遊挿される。またガイドピン52bの下端には、移動板51を受ける転動ローラ52cが回転可能に取付けられる。これにより移動板51はガイドピン52bに案内されて転動ローラ52c上をインゴット25の半径方向に往復動可能に構成される。図6に戻って、移動板51の外端及び内端に連結ワイヤ53がそれぞれ接続され、連結ワイヤ53は筒部37の内側及び膨出部41に設けられた複数の転向ローラ58によりその方向を変化させて配索される。そして、移動板移動手段52はこの連結ワイヤ53を介して移動板51をそれぞれ移動させて、筒体48と膨出部41の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成される。
【0031】
また、上述した実施の形態では、膨出部41の上部を傾斜させ、この傾斜した上部に複数の移動板51が配置される場合を示したが、複数の移動板51がそれぞれ移動可能である限り、膨出部41の上部は水平であっても良い。また、図6では膨出部41の下部を水平に表したが、複数の移動板51がそれぞれ移動可能である限り、この下部を傾斜させても良い。
更に、上述した実施の形態では、駆動ギヤと、駆動ギヤを駆動する駆動モータ54と、駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒56と、支持棒56の下端と移動板51を連結する連結ワイヤ53とを有する移動板移動手段52を説明したが、移動板移動手段は、移動板を移動可能である限り、駆動ギヤ及び支持棒を設けずに駆動モータと移動板を直接ワイヤにより接続しても良く、ガス流の密閉を考慮する上に、連結ワイヤ53及びその方向を変化させる転向ローラ58等を熱遮蔽部材36における筒部37の内側に設けても良い。
【0032】
次に本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。図中上述した実施の形態と同一符号は同一部品を示し繰り返しての説明を省略する。
図8〜図11に示すように、この実施の形態における引き上げ装置10は、複数の支軸71とその複数の支軸71の数に相当する複数の縦板72とを備える。図10に示すように、この実施の形態における複数の支軸71は12本であり、インゴット25に向かうような放射状に膨出部41の内面から突出される。一方、複数の縦板72は、インゴット25の外周面を包囲して膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分するように筒部37と同心状に複数の支軸71の先端に枢支される。この縦板72はC(黒鉛)により、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛等により作られ、それぞれの両端が重なり合う大きさに形成される。そして図11に示すように、その下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように略中央部分が支軸71の先端に枢支される。この縦板72の上部及び下部には後述する縦板傾動手段73(図8)の連結ワイヤ74の一端がそれぞれ接続される。このワイヤ74が移動することにより図11の破線矢印で示すように複数の縦板72がそれぞれ傾動するように構成される。
【0033】
図8に戻って、チャンバ11の上部にはケーシング21を挟むように一対の縦板傾動手段73が設けられる。縦板傾動手段73はチャンバ11の上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ11の上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータ75と、チャンバ11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された一対の支持棒77と、支持棒77の下端と縦板72を連結する連結ワイヤ74とを有する。駆動ギヤはチャンバ11の上部に設けられたギヤボックス78に内蔵され、連結ワイヤ74は筒部37の外側に設けられた転向ローラ79(図9及び図11)によりその方向を変化させて配索される。縦板傾動手段73は、駆動モータ75による回転軸75aの回転によりギヤボックス78に内蔵された図示しない駆動ギヤが回転し、一対の支持棒77を互いに異なる方向に上下動させることにより連結ワイヤ74を介して縦板72をそれぞれ傾動可能に構成される。
【0034】
次に、本発明の別のシリコン単結晶の引上げ方法を説明する。この方法は、上述した装置10、即ち膨出部41の内面に複数の支軸71をインゴット25に向かって放射状に突出させ、そのインゴット25の外周面を包囲して膨出部41とインゴット25の間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように支軸71の数に相当する複数の縦板72を複数の支軸71の先端に枢支し、複数の縦板72をそれぞれ傾動可能に構成された縦板傾動手段73を備えた装置10を用いて行われる。そして、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、そのシリコン融液12からシリコン単結晶から成るインゴット25を引上げる方法である。このインゴット25は、このインゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で引上げられる。即ち、インゴット25は、CZ法によりホットゾーン炉内のシリコン融液12からボロンコフ(Voronkov)の理論に基づいた所定の引上げ速度プロファイルで引上げられる。
【0035】
シリコン融液12からインゴット25を引上げる際には、複数の縦板72をそれぞれ傾動調整して複数の縦板72とインゴット25の間を流下する不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流を起こさせる。即ち、複数の縦板72とインゴット25の間を流下する不活性ガスは、図11に示すように、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12cに添って方向を転換する。一方、メニスカス12cにおけるシリコン融液12はそのメニスカス12cに添って方向を転換する不活性ガスにつられて流れ、シリコン融液12全体の対流を変化させる。
【0036】
このように複数の縦板72をそれぞれ傾動調整しながら、シリコン単結晶のインゴット25を引上げると、図9に示すように石英るつぼ13の底部中央から固液界面26の中央に向って上昇した後に、固液界面26の外周縁近傍から石英るつぼ13の底部中央に流下する第1対流12aを拡大させ、石英るつぼ13の底部外周縁から周縁に沿って上昇した後に、上記第1対流12aに沿って流下する第2対流12bを縮小させる。上記第1対流12aの拡大は固液界面26を押上げるので、固液界面26形状は上側に凸状となる。このように固液界面26が上凸状になるように複数の縦板72をそれぞれ傾動調整する。この結果、固液界面26の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面26の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、駆動ギヤと、駆動ギヤを駆動する駆動モータ75と、駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒77と、支持棒77の下端と縦板72を連結する連結ワイヤ74とを有する縦板傾動手段73を説明したが、縦板傾動手段は、縦板を傾動可能である限り、駆動ギヤ及び支持棒を設けずに駆動モータと縦板を直接ワイヤにより接続しても良い。
【0038】
次に本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。図中上述した実施の形態と同一符号は同一部品を示し繰り返しての説明を省略する。
図12〜図15に示すように、この実施の形態における引き上げ装置10は、膨出部41の内面に挿着されたドーナツ状の固定部材91と、その固定部材91の内周縁に上端が枢支された複数の揺動板92とを備える。図13に示すように、この実施の形態におけるドーナツ状の固定部材91は揺動板92の数に相当する12枚の扇状板91aにより構成され、この12枚の扇状板91aは膨出部41の内面に沿って互いの両端部分を隣接する扇状板91aの端縁に重なり合うようにして円周状に配置される。
【0039】
一方、複数の揺動板92は、インゴット25の外周面を包囲するように筒部37と同心状に固定部材の内端縁にその上端が枢支される。この固定部材91を構成する扇状板91a及び揺動板92はC(黒鉛)により、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛等によりそれぞれ作られる。図13及び図14に示すように、複数の揺動板92は、それぞれの両端が重なり合う大きさに形成され、その下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するようにその上端が固定部材91を構成する扇状板91aの内端にそれぞれ枢支される。この揺動板92の下部には後述する揺動手段93の連結ワイヤ94の一端が連結ロッド96を介してそれぞれ接続される。連結ロッド96は吊支部材96aにより移動可能に吊支され、吊支部材96aの上端が膨出部41の下部に取付けられる。
【0040】
図15に示すように、吊支部材96aは一対のガイドピン96b,96bと転動ローラ96cにより構成され、一対のガイドピン96b,96bは連結ロッド96を挟むようにしてその上端が膨出部41の下部に取付けられる。転動ローラ96cは一対のガイドピン96b,96bの下端を連結するようにその下端に枢支される。転動ローラ96cは連結ロッド96を下方から支持し、転動ローラ96cが回転することにより連結ロッド96はインゴット25の半径方向に往復動可能に構成される。
【0041】
図14に戻って、連結ロッド96の内端及び外端に連結ワイヤ94が接続され、連結ロッド96の内端縁は揺動板92の下部に枢支される。連結ワイヤ94は筒部37の内側及び膨出部41に設けられた複数の転向ローラ99によりその方向を変化させて配索される。そして、揺動手段93はこの連結ワイヤ94を移動させることにより連結ロッド96をそれぞれ移動させ、連結ロッド96の移動により複数の揺動板92がそれぞれ揺動するように構成される。揺動手段93は、この連結ワイヤ94の他に、図示しないがチャンバ11の上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ11の上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータと、チャンバ11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された一対の支持棒97とを有する。駆動ギヤはチャンバ11の上部に設けられたギヤボックスに内蔵され、連結ワイヤ94は筒部37の外側に設けられた転向ローラ99(図12及び図14)によりその方向を変化させて配索される。揺動手段93は、図示しない駆動モータによる回転軸の回転によりギヤボックスに内蔵された図示しない駆動ギヤが回転し、一対の支持棒97を互いに異なる方向に上下動させることにより連結ワイヤ94及び連結ロッド96を介して揺動板92をそれぞれ揺動可能に構成される。
【0042】
次に、本発明の別のシリコン単結晶の引上げ方法を説明する。この方法は、上述した装置、即ち、インゴット25の外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材91を膨出部41の内面に挿着させ、インゴット25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板92を筒部37と同心状に固定部材91の内周縁に枢支させ、複数の揺動板92をそれぞれ揺動可能に構成された揺動手段93を設けた装置を用いて行われる。そして、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を所定の回転速度で回転させ、チャンバ11の上部からチャンバ11の内部に不活性ガスを供給して膨出部41とインゴット25の間に不活性ガスを流下させつつ、そのシリコン融液12からシリコン単結晶から成るインゴット25を引上げる方法である。このインゴット25は、このインゴット25内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で引上げられる。即ち、インゴット25は、CZ法によりホットゾーン炉内のシリコン融液12からボロンコフ(Voronkov)の理論に基づいた所定の引上げ速度プロファイルで引上げられる。
【0043】
シリコン融液12からインゴット25を引上げる際には、複数の揺動板92をそれぞれ揺動調整して複数の揺動板92とインゴット25の間を流下する不活性ガスの流速によりシリコン融液12に対流を起こさせる。即ち、複数の揺動板92とインゴット25の間を流下する不活性ガスは、図12に示すように、インゴット25の外周面下端に形成されるシリコン融液12のメニスカス12cに添って方向を転換する。一方、メニスカス12cにおけるシリコン融液12はそのメニスカス12cに添って方向を転換する不活性ガスにつられて流れ、シリコン融液12全体の対流を変化させる。
【0044】
このように複数の揺動板92をそれぞれ揺動調整しながら、シリコン単結晶のインゴット25を引上げると、石英るつぼ13の底部中央から固液界面26の中央に向って上昇した後に、固液界面26の外周縁近傍から石英るつぼ13の底部中央に流下する第1対流12aを拡大させ、石英るつぼ13の底部外周縁から周縁に沿って上昇した後に、上記第1対流12aに沿って流下する第2対流12bを縮小させる。上記第1対流12aの拡大は固液界面26を押上げるので、固液界面26形状は上側に凸状となる。このように固液界面26が上凸状になるように複数の揺動板92をそれぞれ揺動調整する。この結果、固液界面26の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面26の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面26の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。従って、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴット25を比較的容易に製造できる。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、膨出部とインゴットの間の不活性ガス流下空間を2分する筒体を筒部と同心状に支柱を介して膨出部に取付け、インゴットを包囲するように複数の移動板を膨出部の上部又は下部に放射状にかつ移動可能に配置し、複数の移動板をそれぞれ移動調整して筒体と膨出部の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変化させ、シリコン融液に対流を起こさせてシリコン融液とインゴットとの固液界面が上凸状になるように調整するので、固液界面の中心がシリコン融液12表面の延長面上より上方に位置するため、固液界面の中心における鉛直方向の温度勾配が大きくなり、固液界面の中心における鉛直方向の温度勾配と、固液界面の周縁における鉛直方向の温度勾配との差が小さくなる。これにより、略全長にわたって無欠陥で高品質のシリコン単結晶のインゴットを比較的容易に製造することが可能になる。
【0046】
なお、膨出部の内面に複数の支軸をインゴットに向かって放射状に突出させ、インゴットの外周面を包囲して膨出部とインゴットの間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端がシリコン融液表面から間隔をあけて上方に位置するように支軸の数に相当する複数の縦板を複数の支軸の先端に枢支し、複数の縦板をそれぞれ傾動調整してシリコン融液に対流を起こさせ、シリコン融液とインゴットとの固液界面が上凸状になるようにしても同様の効果を得ることができる。
更に、インゴットの外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材を膨出部の内面に挿着させ、インゴットの外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板を筒部と同心状に固定部材の内周縁に枢支させ、複数の揺動板をそれぞれ揺動調整してシリコン融液に対流を起こさせ、シリコン融液とインゴットとの固液界面が上凸状になるようにしても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における引上げ装置を示す断面構成図。
【図2】その装置によりインゴットが引上げているシリコン融液の対流を示す断面構成図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB部拡大断面図。
【図5】ボロンコフの理論に基づいた、V/G比が臨界点以上では空孔型点欠陥濃度が優勢なインゴットが形成され、V/G比が臨界点以下では格子間シリコン型点欠陥濃度が優勢なインゴットが形成されることを示す図。
【図6】移動板が膨出部の下部に設けられた別の引上げ装置を示す図4に対応する断面構成図。
【図7】図6のE−E線断面図。
【図8】本発明の第2実施形態における引上げ装置を示す断面構成図。
【図9】その装置によりインゴットが引上げているシリコン融液の対流を示す断面構成図。
【図10】その縦板の配置状態を示す図9のD−D線断面図。
【図11】図9のC部拡大断面図。
【図12】本発明の第3実施形態における引上げ装置によりインゴットが引上げているシリコン融液の対流を示す断面構成図。
【図13】その固定部材を構成する扇状板及び揺動板の配置状態を示す図12のF−F線断面図。
【図14】図12のG部拡大断面図。
【図15】図14のH−H線断面図。
【符号の説明】
10 引上げ装置
11 チャンバ
12 シリコン融液
12a,12b 対流
12c メニスカス
13 石英るつぼ
18 ヒータ
25 インゴット
26 固液界面
36 熱遮蔽部材
28 不活性ガス給排手段
37 筒部
41 膨出部
48 筒体
49 支柱
51 移動板
52 移動板移動手段
53 連結ワイヤ
54 駆動モータ
56 支持棒
71 支軸
72 縦板
73 縦板傾動手段
74 連結ワイヤ
75 駆動モータ
77 支持棒
91 固定部材
91a 扇状板
92 揺動板
93 揺動手段
94 連結ワイヤ
97 支持棒

Claims (10)

  1. チャンバ(11)内に設けられシリコン融液(12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(13)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒータ(18)と、前記シリコン融液(12)から引上げられるインゴット(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)と、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段(28)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置において、
    下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置し前記膨出部(41)と前記インゴットの間の不活性ガス流下空間を2分する筒体(48)が前記筒部(37)と同心状に前記膨出部(41)に支柱(49)を介して取付けられ、
    複数の移動板(51)が前記インゴット(25)を包囲するように前記膨出部(41)の上部又は下部に放射状にかつ移動可能に配置され、
    前記複数の移動板(51)をそれぞれ移動して前記筒体(48)と前記膨出部(41)の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成された移動板移動手段(52)を備えた
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。
  2. 移動板移動手段(52)が、駆動モータ(54)と、前記駆動モータ(54)と移動板(51)を連結する連結ワイヤ(53)とを有する請求項1記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  3. チャンバ(11)内に設けられシリコン融液(12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(13)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒータ(18)と、前記シリコン融液(12)から引上げられるインゴット(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)と、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段(28)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置において、
    前記膨出部(41)の内面に複数の支軸(71)が前記インゴット(25)に向かって放射状に突出され、
    前記インゴット(25)の外周面を包囲して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するように前記支軸(71)の数に相当する複数の縦板(72)が前記筒部(37)と同心状に前記複数の支軸(71)の先端に枢支され、
    前記複数の縦板(72)をそれぞれ傾動可能に構成された縦板傾動手段(73)を備えた
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。
  4. 縦板傾動手段(73)が、駆動モータ(75)と、前記駆動モータ(75)と縦板(72)を連結する連結ワイヤ(74)とを有する請求項3記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  5. チャンバ(11)内に設けられシリコン融液(12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(13)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒータ(18)と、前記シリコン融液(12)から引上げられるインゴット(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)と、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させる不活性ガス給排手段(28)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置において、
    前記インゴット(25)の外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材(91)が前記膨出部(41)の内面に挿着され、
    前記インゴット(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板(92)が前記筒部(37)と同心状に前記固定部材(91)の内周縁に枢支され、
    前記複数の揺動板(92)をそれぞれ揺動可能に構成された揺動手段(93)を備えた
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。
  6. ドーナツ状の固定部材(91)が、揺動板(92)の数に相当する複数の扇状板(91a)により構成された請求項5記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  7. 揺動手段(93)が、駆動モータと、前記駆動モータと揺動板(92)を連結する連結ワイヤ(94)とを有する請求項5又は6記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  8. シリコン融液(12)を貯留する石英るつぼ(13)を所定の回転速度で回転させ、前記シリコン融液(12)から引上げられるシリコン単結晶のインゴット(25)を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)を設け、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させつつ、前記インゴット(25)内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で前記インゴット(25)を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法において、前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間の不活性ガス流下空間を2分する筒体(48)を前記筒部(37)と同心状に支柱(49)を介して前記膨出部(41)に取付け、
    前記インゴット(25)を包囲するように複数の移動板(51)を前記膨出部(41)の上部又は下部に放射状にかつ移動可能に配置し、
    前記複数の移動板(51)をそれぞれ移動調整して前記筒体(51)と前記膨出部(41)の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を変更可能に構成された移動板移動手段(52)を設け、
    前記移動板移動手段(52)により前記複数の移動板(51)をそれぞれ移動調整して前記筒体(51)と前記膨出部(41)の間の外空間における不活性ガスの流通断面積を狭め、
    前記筒体(48)と前記インゴット(25)の間の内空間における不活性ガスの流速により前記シリコン融液(12)に対流(12a,12b)を起こさせて前記シリコン融液(12)と前記インゴット(25)との固液界面(26)が上凸状になるように前記移動板移動手段(52)を制御する
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
  9. シリコン融液(12)を貯留する石英るつぼ(13)を所定の回転速度で回転させ、前記シリコン融液(12)から引上げられるシリコン単結晶のインゴット(25)を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)を設け、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させつつ、前記インゴット(25)内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で前記インゴット(25)を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法において、前記膨出部(41)の内面に複数の支軸(71)を前記インゴット(25)に向かって放射状に突出させ、
    前記インゴット(25)の外周面を包囲して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間の不活性ガス流下空間を2分しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するように前記支軸(71)の数に相当する複数の縦板(72)を前記複数の支軸(71)の先端に枢支し、
    前記複数の縦板(72)をそれぞれ傾動可能に構成された縦板傾動手段(73)を設け、
    前記縦板傾動手段(73)により前記複数の縦板(72)をそれぞれ傾動調整して前記複数の縦板(72)と前記インゴット(25)の間に流入する不活性ガスの流量を増大させ、
    前記複数の縦板(72)と前記インゴット(25)の間から流出する不活性ガスの流速により前記シリコン融液(12)に対流(12a,12b)を起こさせて前記シリコン融液(12)と前記インゴット(25)との固液界面(26)が上凸状になるように前記縦板傾動手段(73)を制御する
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
  10. シリコン融液(12)を貯留する石英るつぼ(13)を所定の回転速度で回転させ、前記シリコン融液(12)から引上げられるシリコン単結晶のインゴット(25)を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置する筒部(37)と前記筒部(37)の下部に筒内の方向に膨出して設けられた膨出部(41)とを有する熱遮蔽部材(36)を設け、前記チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)の内部に不活性ガスを供給して前記膨出部(41)と前記インゴット(25)の間に不活性ガスを流下させつつ、前記インゴット(25)内が格子間シリコン型点欠陥の凝集体及び空孔型点欠陥の凝集体の存在しないパーフェクト領域となる引上げ速度で前記インゴット(25)を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法において、
    前記インゴット(25)の外周面から所定の間隔をあけて内周面が離間するドーナツ状の固定部材(91)を前記膨出部(41)の内面に挿着させ、
    前記インゴット(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シリコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するように複数の揺動板(92)を前記筒部(37)と同心状に前記固定部材(91)の内周縁に枢支させ、
    前記複数の揺動板(92)をそれぞれ揺動可能に構成された揺動手段(93)を設け、前記揺動手段(93)により前記複数の揺動板(92)をそれぞれ揺動調整して前記複数の揺動板(92)と前記インゴット(25)の間に流入する不活性ガスの流量を増大させ、
    前記複数の揺動板(92)と前記インゴット(25)の間から流出する不活性ガスの流速により前記シリコン融液(12)に対流(12a,12b)を起こさせて前記シリコン融液(12)と前記インゴット(25)との固液界面(26)が上凸状になるように前記揺動手段(93)を制御する
    ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
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