JP4315502B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチュクラルスキー法によりシリコン単結晶を製造する方法、特に成長欠陥のない高品質なシリコンウェーハを得るためのシリコン単結晶製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チュクラルスキー法(以下、CZ法)により得られるCZシリコン単結晶の成長中に発生する結晶欠陥は、MOSデバイスのゲート酸化膜の信頼性やPNジャンクションリーク特性などに悪影響を及ぼす。このため、このような結晶欠陥をできる限り低減することが必要となり、その方法として従来は、結晶成長中の結晶を可能な限り徐冷する方法を採用していた(特開平10−152395号公報,特開平8−12493号公報,特開平8−337490号公報など)。しかし、この方法では欠陥の低減に限界があり、しかも欠陥の巨大化を招くという問題も抱えていた。
【0003】
結晶欠陥の低減のための他のアプローチとして、宝来らは、結晶の成長速度と引き上げ軸方向の結晶内温度勾配との関係を特殊な範囲の比となるように調整して欠陥の発生を焼失・排除する方法を提案しており、これによって成長欠陥を含まない無欠陥単結晶が得られたと報告している(1993年(平成5年)、第54回応用物理学会学術講演会(1993年9月27日から30日)、第54回応用物理学会学術講演会講演予稿集No.1、p303、29a−HA−7 : 特開平8−330316号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、宝来らにより提案されたこの方法では、成長条件によっては無欠陥単結晶を得ることが工業的に極めて困難である。即ち、宝来らにより示された範囲内に条件を設定してシリコン単結晶のインゴットを得た場合には、実際には無欠陥単結晶の部分が割合に少なく、成長欠陥のないシリコンウェーハを工業的な過程で安定供給するという観点からすれば、確実性という面での問題があるのである。
【0005】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、無欠陥単結晶を得るのに一層好適な成長条件を突き止め、成長欠陥のない高品質なシリコンウェーハの安定供給を可能にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明者らが実用的な成長条件について詳細に検討をした結果、無欠陥単結晶を得ることができる好適な成長条件を見出すに至り、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、成長欠陥のない高品質なシリコンウェーハを得るものであり、チュクラルスキー法でシリコン単結晶を育成する際に、引き上げ速度をV(mm/min)とし、シリコン融点から1350℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG(℃/mm)とするとき、V/Gの値を結晶中心位置と結晶外周までの位置との間で0.16〜0.18mm2/℃・minとし、シリコン融点から1350℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値Gの結晶の外側面と結晶中心での値の比G outer/G centerを1.10以下とすることを特徴とする。これにより、ボイド状欠陥や転位クラスタ等の成長欠陥を含まないシリコン単結晶バルクが得られ、それを常法に従って加工することにより、成長欠陥のない高品質なシリコンウェーハを得ることができる。
【0008】
このような本発明は、基本的には、チュクラルスキー法でシリコン単結晶を育成する際に、シリコン単結晶バルクの成長速度を調整することにより成長欠陥の発生を防止するものである。そして、これを実現すべく、前記各パラメータ(V、G、V/G、G outer/G center)を変化させることは、チュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置に備え付けられている熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離を変化させることによって、実施可能な範囲で実現できる。
【0009】
より具体的には、本発明は、以下のようなシリコン単結晶バルク製造方法及び装置、並びに、それらから製造されるシリコン単結晶バルクより得られるシリコン単結晶ウェーハを提供するものである。
【0010】
(1) チュクラルスキー法により、次の(a)及び(b)の条件でシリコン単結晶バルクを製造する方法。[(a)「結晶中心位置と結晶外周までの位置との間のV/G値」=「0.16〜0.18mm2/℃・min」、及び、(b)「G outer/G center」≦1.10]。
【0011】
ここで、「V(mm/min)」はチュクラルスキー法における引き上げ速度、「G(℃/mm)」はシリコン融点(約1412℃)から1350℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値、「G outer」は結晶の外側面におけるG値、「G center」は結晶中心におけるG値である。なお、シリコン融点については定説はなく、1420℃であると記載している文献も存在する。しかしながら、シリコン融点が何℃であるかということは本発明において問題ではなく、定説となるシリコン融点が何℃であろうと、「シリコン融点から1350℃までの温度範囲」であれば、本発明の範囲に含まれる。
【0012】
(2) チュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置に備え付けられている熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離を変化させることにより、前記(a)及び(b)の条件の調整を行うことを特徴とする上記記載のシリコン単結晶バルク製造方法。
【0013】
(3) チュクラルスキー法によるシリコン単結晶バルクの製造の際に、シリコン単結晶バルクの引き上げ速度を変化させることにより、前記(a)及び(b)の条件の調整を行うことを特徴とする上記記載のシリコン単結晶バルクの製造方法。
【0014】
(4) 上記記載のシリコン単結晶バルクから得られる、成長欠陥が低減されているシリコン単結晶ウェーハ。
【0015】
(5) 上記記載のシリコン単結晶バルクから得られる、成長欠陥を含まないシリコン完全単結晶ウェーハ。
【0016】
(6) チュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置に備え付けられている熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離を調整しながらシリコン単結晶バルクの製造を行うことを特徴とするシリコン単結晶バルク製造方法。なお、この方法によれば、後述するように、少なくとも、シリコン単結晶バルクに対する輻射熱の量や不活性ガスの風量が調整されることとなるため、少なくともシリコン単結晶バルクの結晶内温度勾配が調整されることになる。
【0017】
(7) シリコン融液を貯留しかつ回転及び上下駆動をするルツボ体と、前記シリコン融液からシリコン単結晶バルクを回転させながら引き上げる引上げ体と、前記ルツボ体を加熱する発熱体と、前記発熱体からの輻射熱を遮蔽するための熱遮蔽体と、を密閉容器内に備えるチュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置において、シリコン単結晶バルクの引き上げ軸方向の結晶内温度勾配を変化させるために前記熱遮蔽体を動かす駆動機構を備えることを特徴とするシリコン単結晶バルク製造装置。
【0018】
なお、(6)の方法と(7)の装置において、シリコン単結晶バルクに対する輻射熱の量や不活性ガスの風量を調整することが温度範囲に依存はしないため、(6)の方法と(7)の装置によって調整される結晶内温度勾配は、シリコンの融点から1350℃の温度範囲のものに限定されず、また、結晶中心におけるものと結晶の外側面におけるものとを問わない。
【0019】
(8) チュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置に備え付けられている熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離を調整することにより、同法によるシリコン単結晶バルクの引き上げ速度を変化させることと同等の効果を得る方法。
【0020】
なお、熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離の調整とシリコン単結晶バルクの引き上げ速度の変更とは、同等の効果が得られるからといってそれらが互いを排斥するものではないので、前記距離の調整を行うと同時に前記引き上げ速度の変更を行うことも可能である。
【0021】
【発明を実施するための形態】
[本発明の基礎となる基本原理・現象]
図1は、CZ法におけるシリコン単結晶の成長速度を一定にした場合に、得られるシリコン単結晶バルク中に生ずる欠陥の分布のパターンを図示した概念図である(なお、この明細書において「成長欠陥」とは、OSFリング、ボイド状欠陥、転位クラスタ等の一般的なCZ法におけるシリコン単結晶の成長時に通常発生する結晶中の欠陥のことを意味する。)。
【0022】
この図1に示されるように、シリコン単結晶の成長速度を一定にした場合には、シリコン単結晶バルク引上げの初期の段階では転位クラスタが生じ、その後、OSFリング及びボイド状欠陥が生じる。この場合において、転位クラスタとOSFリングの間に位置する偶発的に条件が整った部分が無欠陥領域を形成することになる。従って、原理的には、無欠陥領域を形成する最適な条件を突き止め、その条件下でシリコン単結晶バルクの引上げを行うようにすれば、無欠陥領域を拡張させることができるということになる。
【0023】
[本発明と従来技術の対比]
ここで、この「無欠陥領域を形成する最適な条件」として、宝来ら(特開平8−330316号公報)は、「シリコン融点から1300℃までの温度範囲において、結晶バルク外周から30cmよりも内側ではV/G値=0.20〜0.22mm2/℃・min、それよりも外側ではV/G値=0.20〜0.22mm2/℃・minもしくはそれ以上(但し、結晶バルク外周に向かって漸次増加させる)」という条件を提示している。
【0024】
これに対し、本発明では上記「課題を解決するための手段」の(1)にて示した条件を提示しているが、宝来らの発明(従来技術)と本発明との関係を説明すると次のようになる。
【0025】
まず、図2は、シリコン融液の液面からの距離とシリコン単結晶バルクの結晶内温度の関係を示した模式図である。図中、hはシリコン融液の液面からの距離(mm)を表し、Tはシリコン単結晶バルクの結晶内温度(℃)を表す。この図2に示されるように、シリコン融液からシリコン単結晶バルクの引上げを行っているときに、シリコン単結晶バルクの結晶内温度は、シリコン融液の液面から遠ざかるにつれて低下していく。そして、この図2において、シリコン融液液面からh1だけ離れた個所の結晶内温度が1350℃であり、このシリコン融液液面からh1の高さに至るまでの結晶内温度勾配を監視することによって完全結晶を得んとするのが本発明である。
【0026】
これに対し、この部分h1よりも上方に位置し、従ってh1の部分よりも温度が低くなって1300℃となっているh2の高さに至るまでの結晶内温度勾配を監視することによって完全結晶を得んとするのが宝来らの発明である。
【0027】
即ち本発明は、シリコン単結晶バルクの製造工程において、宝来らにより提示された最適条件の範囲の中で、より最適なものを提示したものであるという側面を有する。このことは、G outer/G centerと結晶内温度(℃)の関係を示す図3からも明らかであり、この図3に示されるように、本発明の範囲(図中の左下がりの斜線部分)のある部分は、宝来らにより示された範囲(図中の右下がりの斜線部分)の一部分と重複している。このことから、当該部分については、本発明は、先行発明の範囲の中からより最適な条件を選び出した有益な選択発明であると位置付けることができる。
【0028】
しかしながらこの一方で、同じ図3に示されるように、左下がりの斜線部分の全てが右下がりの斜線部分に包含されているものではなく、本発明は、宝来らにより示された範囲の外で(言い換えれば、宝来らが示していない範囲において)シリコンの完全結晶を得るものであるという側面も有している。このことから明らかなように、本発明は、先行する宝来らの発明に全てが包含されるというものではなく、その完全なる選択発明あるいは利用発明というものではない。
【0029】
このことは、V/G値(mm2/℃・min)と結晶内温度(℃)で宝来らの発明との関係を示す図4(図中、Aの部分が本発明の範囲、Bの部分が宝来らの発明の範囲)、および、G outer/G centerとV/G値(mm2/℃・min)で宝来らの発明との関係を示す図5(図中、Aの部分が本発明の範囲、Bの部分が宝来らの発明の範囲)より、これらのパラメータにより示される領域で対比をした場合には両発明の範囲が完全にシフトすることになるということからも明らかである。
【0030】
[シリコン単結晶バルク製造装置]
図6は、本発明に係るシリコン単結晶バルク製造装置の要部を示すブロック図である。本発明に係るシリコン単結晶バルク製造装置は、通常のCZ法シリコン単結晶製造装置と同様に、密閉容器たるチャンバー11内に、シリコン融液12の製造・貯蔵のためのルツボ13(このルツボ13は、通常のCZ法シリコン単結晶製造装置と同様に、黒鉛ルツボ13aの内側に石英ルツボ13bが配設されたものからなる)と、このルツボ13を加熱するためのヒータ14と、このヒータ14に電力を供給する電極15と、ルツボ13を支持するルツボ受け16と、ルツボ13を回転させるペディスタル17と、を備える。チャンバー11内には適宜、断熱材21、メルトレシーブ23、内筒24が備え付けられる。また、この装置には、ヒータ14からシリコンバルク27への熱の輻射を遮蔽するための熱遮蔽体25が備え付けられている。更に、本発明に係るシリコン単結晶バルク製造装置は、特に図示していないが、この種のCZ法シリコン単結晶製造装置に通常装備される不活性ガスの導入・排気システムを備えている。そして、このようなシステム下にあって、熱遮蔽体25は不活性ガスの流通路を調整する働きも兼ね備えている。
【0031】
本発明に係るシリコン単結晶バルク製造装置において特徴的なことは、熱遮蔽体25を動かし、当該熱遮蔽体25の先端部分とシリコン融液12の液面からの距離hを調整することによって、本発明遂行のポイントとなるV/G値(mm2/℃・min)やG outer/G centerを調整することである。実際に、距離hを調整することによってヒータ14やシリコン融液12の液面からシリコンバルク27への熱の遮蔽量が変化するのと同時に、シリコンバルク27表面を流れる不活性ガスの量や速度が微妙に変化するので、これによって本発明ではシリコンバルク27表面における結晶引上げ軸方向の結晶内温度勾配、ひいてはその中心部分における結晶引上げ軸方向の結晶内温度勾配との比を調整することができるものと考えられている。
【0032】
なお、この実施の形態において、当該熱遮蔽体25の先端部分とシリコン融液12の液面からの距離hの調整は、熱遮蔽体25の高さを調整するリフター25aと、熱遮蔽体25の傾きを調整するアンギュラー25bの連動により行うこととしている。しかしながら、距離hの調整はこの機構に限られるものではない。即ち、本発明が、CZ法シリコン単結晶製造装置に装備されている熱遮蔽体を利用してV/G値(mm2/℃・min)やG outer/G centerを調整する最初のものである以上、距離hの調整を行えるものであればいかなる実施態様も本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【0033】
また、本発明においては、距離hの調整は、例えば総合電熱解析のようなシュミレーション解析による計算結果に基づいて行うようにしてもよく、実測値に基づいたフィードバック制御などによって行うようにしてもよい。
【0034】
[シリコン単結晶ウェーハ]
本発明に係る方法もしくは装置により製造されたシリコン単結晶バルクは、先行する宝来らの発明によって得られるシリコン単結晶バルクよりも、成長欠陥を含まない領域が得られる確実性が高く、しかもその量的な割合も多い。従って、本発明に係るシリコン単結晶バルクからは、成長欠陥を含まないシリコン完全単結晶ウェーハが従来よりも大量かつ確実に得ることができ、最終的にはICの歩留まりの飛躍的な向上に貢献することになる。
【0035】
ところで、本発明に係る方法もしくは装置により製造されたシリコン単結晶バルクは、その全ての部分において成長欠陥がないというわけではなく、結晶欠陥が含まれている部分も存在する。しかしながら、少なくともその全体において、成長欠陥の存在率はかなりの程度低減されているため、成長欠陥が存在する部分から切り出して得られるウェーハも高品質であることに変わりはなく、そうである以上は、当該部分はその意味では新規なウェーハということができるので、特許請求に係る本発明の一部を構成することになる。
【0036】
なお、これらの高品質ウェーハは、通常のウェーハの作製と同様に、シリコン単結晶バルクから所定の厚さで切り出し、必要な加工を施すことにより作製することができる。
【0037】
【実施例】
【実施例1】
種々の成長条件によって無欠陥結晶が得られる成長条件を調べた。その結果を表1に示す。実験は直径200mmの結晶を用いて行った。結晶欠陥の分布は、一般的には結晶をエッチング液に浸した後にその表面を観察することにより調査できるが、この実施例では、ボイド及び転位クラスタについては無撹拌Seccoエッチングをすることにより、OSFについては780℃で3時間及びそれに続く1000℃で16時間の酸化性熱処理をした後にライトエッチングをすることにより、欠陥の分布を調査した。半径方向の各位置での引き上げ軸方向の結晶内温度勾配は、現在確立されている成長装置内の総合伝熱解析により求めた。
【0038】
表1は、各成長条件毎の無欠陥結晶が得られた成長速度の範囲を示す。ここで、成長速度の範囲が示されていない条件は、結晶の面内の一部にしか無欠陥部が発生しなかった条件である。
【0039】
【表1】
【0040】
この表1より、シリコン融点から1350℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値Gの結晶の外側面と結晶中心での値の比G outer/G centerが1・10以下としたときにのみ、無欠陥結晶が得られることが解る。また、G outer/G centerの1.10以下の条件において、引き上げ速度をV(mm/min)としたとき、V/Gが0.16〜0.18mm2/℃・minの範囲となる引き上げ速度であるときに無欠陥結晶が得られることが解る。
【0041】
【実施例2】
表1にて求められた成長条件において、引き上げ速度一定にて結晶を成長させたとき、成長中における結晶内温度勾配の変化のため、最適な成長条件から徐々にずれていってしまう場合がある。そして、これをそのまま放置した場合には、図1の概念図に示したような無欠陥成長案件からズレたものが出来上がってしまうことになるので、条件を適切に変化させて最適条件へと導いてやる必要が生じる。
【0042】
このような場合にあって、この実施例2では、最適条件へと導くために引き上げ速度を変化させることとした。そして、表2に示すように、引き上げ速度Vを結晶の長さの変化に追従させて変化させることにより、無欠陥結晶を得ることができた。
【0043】
【表2】
【0044】
【実施例3】
この実施例は、実施例2と同様に成長中における結晶内温度勾配の変化のために徐々に最適な成長条件からずれていってしまったときに、シリコン融液と熱遮蔽体との間の距離の変化を与えることにより、無欠陥結晶を得ることができるということを示すためのものである(表3)。
【0045】
【表3】
【0046】
表3に示すように、引き上げ速度一定の条件下で、シリコン融液と熱遮蔽体との間の距離を、結晶の長さの変化に追従させて変化させることにより、無欠陥結晶を得ることができた。ここで、この実施例3によって、シリコン融液と熱遮蔽体との間の距離を変化させれば、引き上げ速度を変化させた場合(実施例2)と同じ効果が得られることがわかる。そしてこのことから、無欠陥結晶を得るという観点からすれば、シリコン単結晶バルク製造装置においてシリコン融液と熱遮蔽体との間の距離を変化させることは、引き上げ速度を変化させることと等価の効果が得られるということが明らかになった。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る方法もしくは装置によれば、従来と比較して、成長欠陥を含まないシリコン完全単結晶の領域が多いシリコン単結晶バルクを安定して製造することができる。このため、成長欠陥を含まないシリコン完全単結晶ウェーハを確実かつ大量に供給でき、最終的にはIC製品の歩留まりを著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CZ法におけるシリコン単結晶の成長速度を一定にした場合に、得られるシリコン単結晶バルク中に生ずる欠陥の分布のパターンを図示した概念図である。
【図2】 シリコン融液の液面からの距離とシリコン単結晶バルクの結晶内温度の関係を示した模式図である。
【図3】 G outer/G centerと結晶内温度(℃)の関係で規定される本発明の範囲と従来発明の範囲を示す図である。
【図4】 V/G値(mm2/℃・min)と結晶内温度(℃)の関係で規定される本発明の範囲と従来発明の範囲を示す図である。
【図5】 G outer/G centerとV/G値(mm2/℃・min)の関係で規定される本発明の範囲と従来発明の範囲を示す図である。
【図6】 本発明に係るシリコン単結晶バルク製造装置の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 チャンバー(密閉容器)
12 シリコン融液
13 ルツボ
13a 黒鉛ルツボ
13b 石英ルツボ
14 ヒータ
15 電極
16 ルツボ受け
17 ペディスタル
21 断熱材
23 メルトレシーブ
24 内筒
25 熱遮蔽体
25a リフター
25b アンギュラー
27 シリコンバルク
h 熱遮蔽体25の先端部分とシリコン融液12の液面からの距離
Claims (3)
- チュクラルスキー法により、以下の条件でシリコン単結晶バルクを製造する方法。
(a)結晶中心位置と結晶外周までの位置との間のV/G値=0.16〜0.18mm2/℃・min
(b)G outer/G center≦1.10
ここで、V(mm/min)はチュクラルスキー法における引き上げ速度、G(℃/mm)はシリコン融点から1350℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値、G outerは結晶の外側面におけるG値、G centerは結晶中心におけるG値である。 - チュクラルスキー法シリコン単結晶製造装置に備え付けられている熱遮蔽体とシリコン融液との間の距離を変化させることにより、前記(a)及び(b)の条件の調整を行うこと
を特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶バルク製造方法。 - チュクラルスキー法によるシリコン単結晶バルクの製造の際に、シリコン単結晶バルクの引き上げ速度を変化させることにより、前記(a)及び(b)の条件の調整を行うこと
を特徴とする請求項1または2記載のシリコン単結晶バルクの製造方法。
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