JP4422813B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法(以下CZ法)によるシリコン単結晶の製造方法およびこの方法により製造したシリコン単結晶より切り出されるシリコンウエハーに関する。特に、熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥(以下OSF)がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅し、かつウエハー全面で転位クラスターが無いシリコン単結晶の製造方法およびこの方法により製造したシリコン単結晶より切り出されるシリコンウエハーに関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン単結晶製造方法として、ルツボ内融液から結晶を育成させつつ引き上げるCZ法が広く行われている。このCZ法によりシリコン単結晶を得ようとする場合、例えば図1に模式的に示すような構成の単結晶製造装置が用いられる。このようなシリコン単結晶製造方法において、まず図中のルツボ内に原料としてシリコン多結晶を入れ、それらを取り囲むヒーター(以下ヒーター、断熱材などの炉内構造物を総称してホットゾーンという)によってこの原料を融解する。そしてこのルツボ内の融液の上方より種結晶を降ろして融液表面に接触させる。この種結晶を回転させながら、引き上げ速度を制御しつつ上方に引き上げることにより所定の径の単結晶を作製する。結晶が成長していくにつれてシリコン融液が減っていくがこれによってシリコン融液内の熱伝導や流動などの結晶成長環境が変化していく。これらの環境をなるべく一定にし結晶育成を安定にするために実際の結晶製造工程では様々な工夫がなされている。例えば一般に結晶引上げ中はシリコン融液表面の位置をヒーターに対して一定にするために引上げられた結晶重量に応じてルツボ位置を上昇させている。結晶が成長していく過程で結晶側の伝熱条件の変化は融液側と比較すると極めて小さく、ほぼ炉構造および炉内のホットゾーン構造により決まり、結晶長さによってゆっくり小さく変化する。
【0003】
CZ法によるシリコン単結晶の製造では、ルツボとして石英を使用する。結晶引上げ中にこの石英ルツボはシリコン融液に少しずつ溶解するために、シリコン融液中には酸素が存在する。この石英坩堝から溶け出た酸素はシリコン融液の流動および拡散によって移動し、大部分は融液表面からSiOガスとなって蒸発する。しかし一部は結晶に取り込まれる。高温で取り込まれた酸素は結晶が冷える過程で過飽和になり、結晶中に微小な析出物を形成する場合が有る。この結晶から切り出したウエハーをデバイス製造前やデバイス製造工程で熱処理すると、デバイス活性領域となるウエハー最表面ではこの微小な酸素析出物は消滅し、表面から離れた深い領域では析出物を大きくすることができる。大きくなった酸素析出物はその周りに歪み場を形成する。デバイスプロセスではこの歪み場を利用してデバイスに悪影響を及ぼす金属不純物をデバイス活性領域から離れた位置にトラップさせる技術がよく用いられる。これをイントリンシックゲッタリング(以下IG)技術という。このようにシリコン単結晶中の酸素はシリコンウエハーの品質に重要な役割を果たし、酸素濃度のウエハー面内均一性は重要な品質指標である。
【0004】
作製した単結晶から切り出したウエハーには上記微小酸素析出物以外にも微小な転位クラスターやボイドが存在する場合が有る。ボイドはウエハーに切り出して表面を表面異物検査装置で測定すると小さなピットとして観察される。このピットをCOP(Crystal Originated Pit)という。またウエハーに熱酸化処理を加えるとOSFなどの欠陥が出現する場合が有る。IG技術に利用される酸素の微小析出物とは異なり、これらの微小欠陥はDRAMなどの電子デバイスを作る際にその歩留まりを落とす可能性が有るため、欠陥の種類、密度、サイズなどを制御する必要があり、理想的にはこれらの欠陥密度を0とする必要がある。これらの微小欠陥の形成過程について、以下で詳しく述べる。
【0005】
VoronkovはV/G値とシリコン単結晶内の欠陥種との関係を、フローティングゾーン(FZ)結晶育成法において初めて指摘し、CZ法に関しても同様のことが起こることを示唆した(V.V.Voronkov:Journal of Crystal Growth,1982年,第59巻,P625〜P643)。ここでVはシリコン単結晶の育成速度を表し、Gは結晶成長界面近傍の引上げ軸方向の結晶内温度勾配である。またFZ法とは、ロッド状の多結晶シリコンを上から吊るし、その下端を高周波加熱で溶かしながら種結晶をこの融けたシリコン融液の部分に接触させ、下に移動させることで単結晶を得る方法である。CZ法との大きな違いは、FZ法の場合シリコン融液部は融液自体の表面張力で支持され、CZ法のように融液を保持する石英坩堝が必要ないことである。従ってFZ法により得られた結晶にはCZ法に比べて酸素が非常に少ない。
【0006】
この文献によると、V/Gの値が小さなときには格子間シリコン型の欠陥であるA欠陥とB欠陥がシリコン単結晶内に存在する。V/Gを増加させていくと、ある臨界値ξaを越えるとA欠陥が消える。しかし結晶内にはB欠陥が残存する。更に大きくしてξbを越えるとB欠陥も消え、無欠陥領域が現われる。更に大きくしてξdを越えると原子空孔型のD欠陥が発生する。そしてV/Gをξbからξdの間で制御すれば、無欠陥領域の単結晶が得られることが確認されていた。提案された欠陥形成モデルは、結晶成長界面から導入された点欠陥(格子間シリコンと原子空孔)が結晶成長界面近傍で拡散や再結合反応を起こして、最終的にシリコン結晶中に多く残存した点欠陥が上記A、BやD欠陥を形成するというものである。このV/Gとシリコン単結晶内に現れる点欠陥種との関係はCZ法により育成されたシリコン単結晶にも適用できることがこの文献で示唆されている。
【0007】
CZ法におけるシリコン単結晶中の欠陥種と育成条件との関係については、これまでVoronkovの提唱したV/G値を指標としてFZ法と同様に以下のように考えられてきた。結晶高温領域における優勢な点欠陥濃度は、引上げ速度Vと結晶成長界面での結晶側の温度勾配Gとの比V/G値との間に図2に示すような関係に有る。即ち、V/G値が大きい場合には結晶高温領域における優勢な点欠陥の種類は原子空孔であり、V/G値が小さくなるに従って原子空孔濃度が小さくなり、ある値で0となる。V/G値を更に小さくしていくと、今度は、結晶高温領域における優勢な点欠陥の種類は格子間シリコンになり、V/G値を小さくするに従ってその密度も増加する。結晶高温領域で優勢な点欠陥は、結晶高温領域におけるその濃度に依存して、結晶が冷える過程で様々な種類の欠陥に変化していくと考えられている。V/G値がη1よりも小さい場合は転位クラスターとなる。η1からη2までの範囲では格子間シリコンが微少に存在すると考えられている。η2からη3までの範囲では微小な酸素析出物の発生核(以下酸素析出核)となる。η3からη4までの範囲ではOSFの発生核(以下OSF発生核。リング状に分布するOSFの核)となり、そしてη4より大きくなるとボイドとなる。転位クラスター自体はデバイス特性を劣化させることが明らかになっている。微小な格子間シリコンはデバイス特性に影響を及ぼす欠陥とはならないと考えられている。酸素析出核はきわめて微小な欠陥であるため、それ自体はデバイス特性を劣化させる原因にはならず、逆に有害な不純物の吸収源として働く効果が有る。OSF核の実体は板状の酸素析出物と推測されており、それ自体がデバイス特性の劣化原因となる場合も有ると考えられている。また、熱酸化で発生したOSFがデバイス活性領域であるウエハー表面に存在すると、デバイス特性を劣化させることが解っている。ボイドはウエハー表面では小さなピットとして現れ、ある大きさ以上になるとデバイス特性を劣化させる事が解っている。
【0008】
このようにV/G値がη1からη3までの範囲であればデバイス特性に悪影響を及ぼす欠陥は形成されないと考えられており、この条件で育成された結晶領域は無欠陥領域といわれている。
【0009】
一方一般的な条件で育成した結晶ではウエハー表面上にはOSFのリング状分布領域を含む様々な欠陥が同心円状に分布してしまう。図3はこのような欠陥分布をもつウエハーの模式図を示している。ウエハーの最外周から、転位クラスター領域、格子間シリコン型無欠陥領域、原子空孔型無欠陥領域、OSF領域、そしてもっとも中心の領域がボイド領域となる。これまではV/G値がη3に近い条件で結晶育成が行われてきたため、ウエハー全面ではη1からη4まで様々な値を横切り、図3のような欠陥分布になったと考えられる。
【0010】
Voronkovの提案したV/Gを指標としたCZ法における欠陥制御方法に関して、特開平8−330316号公報に、CZ法により育成されたシリコン単結晶ウエハーであって、熱酸化処理をした際にリング状に発生する酸化誘起積層欠陥がウエハー中心部で消滅した低速育成ウエハーであり、且つウエハー全面から転位クラスターが排除されていることを特徴とするシリコン単結晶ウエハーの製造方法が開示されている。この製造方法は、CZ法でシリコン単結晶を育成する際に、引上げ速度をV(mm/min)とし、シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG(℃/mm)とするとき、V/G値を結晶中心位置と結晶外周から30mmまでの位置との間では0.20〜0.22mm2/℃・minとし、結晶外周から30mmまでの位置と結晶外周位置との間では0.20〜0.22mm2/℃・minとするか若しくは結晶外周に向かって漸次増加させることを特徴とする。
【0011】
上記特開平8−330316号公報で開示されているのは、酸化誘起積層欠陥のリング状分布領域と転位クラスター領域の間の無欠陥領域を全面に広げたウエハーの製造方法に関するものである。
【0012】
しかしながら、V/Gが結晶中の欠陥種の指標となるかどうかはまだ実験的に検証されておらず、無欠陥領域を得るためのV/G値も様々な値が報告されている。
【0013】
一方、これまで融液流動制御に関する方法は多く報告されているが、結晶成長界面における融液側の温度勾配を制御する目的として用いられたことは無かった。また無欠陥領域形成を目的とした結晶成長界面における融液側の温度勾配の制御技術は存在しなかった。
【0014】
ウエハー面内全域にわたって無欠陥領域を得るための具体的なV/Gの制御方法に関しては、例えば特開平10−265294号公報に、結晶を取り囲む熱遮蔽材により結晶側面からの入熱量を制御し、結晶側の結晶育成方向の温度勾配Gを結晶面内で均一にすることでV/Gを結晶面内で均一にする方法が提案されている。但しこの報告でもVは結晶引き上げ速度である。
【0015】
シリコン単結晶を引上げる際、融液表面から上方に円筒やロートを設置する方法はこれまでにも多く報告されている。例えば、特開平9−183690,特開平8−26890,特開平8−26884,特開平8−81294,特開平8−59388,特開平8−319190号公報などが挙げられる。これは、融液から結晶への輻射や石英ルツボの外側に配置されているヒーターから結晶への輻射を遮蔽し、結晶の冷却を促進する効果を有してる。
【0016】
また特開平8−330316号公報の実施例には、カーボンヒーターとルツボとの相対位置、結晶の周囲に配置されたカーボンからなる半円錐形の輻射遮蔽材の先端と融液表面との距離等を最適化することにより、結晶成長界面近傍の結晶側面からの入熱条件を制御する方法等が記述されている。しかし、輻射遮蔽材の先端と融液表面との距離やヒーターとルツボとの位置関係などの具体的な条件については一切記述されていない。
【0017】
Gは結晶面内で一般には均一ではない。結晶成長界面における結晶側温度勾配は結晶端近傍の方が結晶中心近傍より大きい。それは結晶側面からの放射冷却により、結晶側面の方がより冷やされるためである。また結晶成長界面における融液側の温度勾配は平均的に見ると結晶端の方が結晶中心より大きい。なぜならば結晶端でも結晶中心でも結晶成長界面では結晶成長温度で同じ温度であり、その一方で結晶中心よりも結晶端の方がヒーターから近いためである。このように結晶成長界面における温度勾配分布は、結晶端では融液側温度勾配と結晶側温度勾配はともに大きく、結晶中心ではともに小さい。伝熱量は温度勾配に比例するので、上記関係は、結晶の中心近傍でも、結晶の端近傍でも熱の流れがマクロにはバランスが取れていることを示している。そのため結晶側面の入熱量制御によるV/Gの制御は非常に難しい。
【0018】
このような状況で、例えば特開平8−330316号公報や特開平10−265294号公報に示されているように結晶側面の入熱量を制御したとする。例えば入熱量を大きくすることで結晶端近傍のGを小さくできたとしても、結晶中心近傍でのGもその影響で小さくなる。結局特開平8−330316号公報のように、仮に無欠陥領域形成の指標としてV/Gが有効だとしても、このV/Gを制御することは開示された方法では不可能か、可能だとしても非常に限定された狭い結晶育成条件でしか成立しない。
【0019】
このように、結晶側のみの伝熱条件を工夫してウエハー面内全域でV/Gを狭い範囲に制御しようとしても、容易に制御することができない。
【0020】
融液流動制御の手段として、例えば特公昭58−50951号公報に示されるような水平磁場と、特公平2−12920号公報に示されるようなカスプ磁場が提案されている。しかしこれらの刊行物には、無欠陥領域を得るために結晶成長界面における融液側の温度勾配を制御するような技術の記述はない。
【0021】
カスプ磁場装置とは、例えば特公平2−12920号公報に示されるように、引上げ装置の外壁の上下に同軸対向磁石を配置したもので、この磁石により融液内には等軸対称的かつ放射状のカスプ磁場が形成される。カスプ磁場の特徴は、ちょうど上下の磁石の等軸上、中間位置に磁場強度が0となる点が存在すること、この0磁場位置が融液表面上にある場合は融液表面と放射状に広がった磁場の方向が一致していることである。磁場はそれと垂直に融液が流れるときその流れを制動する効果が有るため、磁場と平行な融液表面の流れはこのままでは制動されない。一方、ルツボ壁近傍では磁場を融液流動が横切るために流れは制動力を受ける。この様子を図4に模式的に示す。
【0022】
水平磁場装置とは、例えば特公昭58−50951号公報に示されるように、引上げ装置の外壁の左右に同軸対向磁石を配置したもので、この磁石により融液内には水平方向の磁場が形成される。水平磁場装置を配置した引上げ炉を図5に模式的に示す。水平磁場はシリコン融液に対して非軸対称に印加されるため、この磁場によって制動を受ける流れも非軸対称なものとなる。この流れによってシリコン融液の温度分布も非軸対称となる。水平磁場を印加した場合の融液表面上の温度分布を図6に模式的に示す。
【0023】
さらに酸素濃度およびそのウエハー面内分布は格子間シリコン型無欠陥領域においてはより重要になる。酸素濃度が面内で不均一だと、酸素析出量の面内不均一度が大きくなる可能性が有る。格子間シリコン型無欠陥領域においては点欠陥に起因した酸素析出核が形成されないため、一般の結晶に比べて酸素の析出がほとんど起こらない。そのため例えばIG効果をもつウエハーを作製するためには酸素濃度を高くし、酸素濃度に依存した酸素析出核を形成する必要が有る。従って酸素濃度が面内で不均一な場合は、面内で均一なIG効果が得られなくなる。このように、無欠陥領域における酸素濃度およびそのウエハー面内均一性はウエハー品質にとって非常に重要になる。しかしこれまでの無欠陥領域の製造方法を開示した文献には、同時に酸素濃度を制御する技術に関しての記述はなかった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、CZ法によるシリコン単結晶育成において、結晶成長界面における融液側の温度勾配を制御することで、熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面から転位クラスターが無いことを特徴とするシリコン単結晶ウエハーを結晶の全長にわたって、高歩留まりに製造する方法を提供することに有る。
また前記ウエハーであって、酸素濃度が制御され、かつ酸素濃度のウエハー面内におけるバラツキが5%以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウエハーの製造方法を提供することに有る。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため手段は、
(1)チョクラルスキー法によるシリコン単結晶育成において、結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の融液側温度勾配Gmと結晶側温度勾配Gsとの比Gm/Gsが、結晶成長界面の面内で0.16±0.05であることを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
(2)前記において、シリコン融液にカスプ磁場を印加したことを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
(3)前記において、シリコン融液に水平磁場を印加したことを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
(4)シリコン融液表面よりも上方に円筒あるいはロートを配置し、円筒あるいはロートの中心軸と引上軸を等しくし、シリコン融液にカスプ磁場を印加した状態で該円筒あるいはロートの内側を通過させつつ直径Dインチの結晶を引き上げるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lを30×D/8から80×D/8mmの範囲とし、かつ融液表面をヒーターの発熱中心より上に0から100mmの範囲で位置させつつ、融液表面における垂直成分が0.01Tから0.4Tの範囲で印加されるカスプ磁場における0磁場位置を融液表面から下に0から200mmの範囲に位置するように制御することによって結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の融液側温度勾配Gm及びその結晶成長面内分布を制御し、前記結晶の引き上げ過程において前記融液側温度勾配Gmと結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の結晶側温度勾配Gsとの比Gm/Gsが結晶成長界面の面内で0.16±0.05であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
(5)シリコン融液表面よりも上方に円筒あるいはロートを配置し、円筒あるいはロートの中心軸と引上軸を等しくし、シリコン融液に水平磁場を印加した状態で該円筒あるいはロートの内側を通過させつつ直径Dインチの結晶を引き上げるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lを30×D/8から80×D/8mmの範囲とし、かつ融液表面をヒーターの発熱中心より上に0から100mmの範囲に位置させつつ、ルツボの回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4Tの範囲となるように制御することによって結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の融液側温度勾配Gm及びその結晶成長面内分布を制御し、前記結晶の引き上げ過程において前記融液側温度勾配Gmと結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の結晶側温度勾配Gsとの比Gm/Gsが結晶成長界面の面内で0.16±0.05であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【0026】
これらの方法により、
(1)熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面において転位クラスターが無いことを特徴とするシリコン単結晶ウエハー。
(2)熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面において転位クラスターが無く、かつ酸素濃度のウエハー面内におけるバラツキが5%以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウエハー。
(3)熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面において転位クラスターが無く、かつ酸素濃度のウエハー面内におけるバラツキが5%以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウエハー。を得ることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ウエハー面内全域において無欠陥領域を得るためには、結晶側の熱伝達現象のみでなく、融液側の現象を含めた結晶の凝固にかかわる現象が重要と考えた。そこで結晶成長界面における結晶引上げ方向の融液側温度勾配Gmと結晶側温度勾配Gsを計算機シミュレーションにより予測すると同時に、結晶内部に熱電対を差し込み実際に結晶育成を行なうなどの実験を繰り返し厳密に測定した。そのデーターと実際に引き上げた結晶の品質を比較することで、Gm/Gsが0.16±0.05のとき無欠陥領域が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0028】
またこのGm/Gsを結晶成長界面全面で0.16±0.05にすることで、この結晶から切り出したウエハー全面にわたって無欠陥領域が得られることを見出した。
【0029】
図7に我々が計算機シミュレーション、測温実験および結晶育成試験から得たGm/Gsと結晶内に現れる欠陥種との関係を模式的に示す。Gm/Gsがζ1=0.11より小さいときはOSF核やボイドが発生し、Gm/Gsがζ1=0.11からζ2=0.21の間では無欠陥領域が得られ、Gm/Gsがζ2=0.21より大きいときは転位クラスターが発生する。
【0030】
このデータは結晶引上げ速度とは独立に成り立つ。即ちGsの結晶成長面内分布は、炉構造およびホットゾーンによりほぼ決まる。この各炉構造、各ホットゾーンの組み合わせに応じて結晶成長面内におけるGm/Gsが上記範囲内になるようにGmの結晶成長面内分布を調整できさえすれば、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。
【0031】
更に、Gsの変化は炉構造およびホットゾーン構造でほぼ決定されるため、結晶が成長していく過程でのGsの変化はゆっくりでかつ小さいことがわかった。したがって、Gm/Gsを結晶長さ方向にわたって常に一定にするためにはGsのゆっくりとした変化に応じてGmを制御する必要がある事が分かった。Gm/Gsを一定にするようにGmを制御することにより結晶全長に対する無欠陥領域の割合を大きくできることを見出した。
【0032】
また本発明者らは、カスプ磁場および水平磁場を用いてGmおよびその結晶成長界面における面内分布を制御できることを見出した。更に結晶育成によりシリコン融液量が減少していっても容易にGm/Gsを0.16±0.05に制御できることを見出した。
【0033】
カスプ磁場による制御に関して、0磁場位置を融液表面以下で変化させることでGmの結晶成長面内分布を制御できることを見出した。また融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分の大きさを調節することで、Gm結晶成長面内分布を変化させないでその絶対値を調整できることを見出した。これによりGm/Gsを結晶成長界面で均一で、かつ広い範囲でその値を制御できることが可能となった。
【0034】
Gsの結晶成長面内分布は、炉構造およびホットゾーンによりほぼ決まる。この各炉構造、各ホットゾーンの組み合わせに応じたGsの値を測温実験および計算により求めておく。そして結晶成長面内におけるGm/Gsが上記範囲内になるようにGmの結晶成長面内分布を結晶育成中に調整できさえすれば、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。予め求めておいたGsに対して、実際の結晶育成においてGmの結晶成長面内分布をカスプ磁場の0磁場位置が融液表面から下に0から200mmの範囲で調整し、Gmの大きさを融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分が0.01Tから0.4Tの範囲で調整することでGm/Gsを0.16±0.05とすることができ、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。カスプ磁場の0磁場位置が融液表面から下に0から200mmの位置とするのは、この範囲でGmの結晶成長面内分布が大きく変化し、制御範囲が広がるからである。0磁場位置が上記範囲外になると酸素のウエハー面内バラツキが大きくなる。融液表面におけるカスプの垂直成分が0.01T以上0.4T以下とするのは、0.01T以下だと磁場が弱すぎて効果が無く、0.4T以上にしても大きな効果の上昇は得られないためである。
【0035】
さらにカスプ磁場引上げでは、Gm/Gsの制御と独立して、酸素濃度の制御が可能なことを見出した。例えば融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分が0.1T以下では結晶内酸素濃度はルツボ回転に大きな影響を受け、融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分や0磁場位置にはほとんど影響を受けないことがわかった。従って必要な酸素濃度を得るためにまずルツボ回転を設定し、そのルツボ回転でGm/Gsが設定値になるように0磁場位置および融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分の大きさを調節すればよい。
【0036】
酸素の結晶面内分布に関しては、融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分の大きさに関わらず、0磁場位置が融液表面より下の場合は酸素面内ばらつきを5%以内に均一にできることを見出した。このようにカスプ磁場を使用すればGm/Gsと独立して酸素濃度および酸素面内分布も広範囲に制御できる。
【0037】
水平磁場による制御に関しては、我々は水平磁場を印加したシリコン融液表面に図6に示すような高温領域と低温領域ができることを見出した。この融液面上で結晶が回転すると、Gmは結晶成長面内で高温と低温が平均化された値で均一となる。この高温領域と低温領域の温度および面積比は、ルツボ回転を変更することにより制御できることを見出した。これによりGm/Gsを結晶成長界面で均一でかつ、広い範囲でその値を制御できることが可能となった。
【0038】
Gsの結晶成長面内分布は、炉構造およびホットゾーンによりほぼ決まる。この各炉構造、各ホットゾーンの組み合わせに応じたGsの値を測温実験および計算により求めておく。そして結晶成長面内におけるGm/Gsが0.16±0.05になるようにGmの結晶成長面内分布を結晶育成中に調整できさえすれば、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。予め求めておいたGsに対して、実際の結晶育成において、ルツボ回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4T以下とし、ルツボ回転を1rpmから15rpmの範囲で変化させることによりGmの大きさを調整してGm/Gsを0.16±0.05とすることができ、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。ルツボ回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4T以下とするのは、磁場強度が0.01T以下では磁場強度が弱くて融液表面における温度分布が図6のような分布にならないためである。また磁場強度が0.4T以下とするのは、それ以上にしても大きな効果の上昇が得られないためである。ルツボ回転を1rpmから15rpmとするのは、この範囲で高温および低温領域の温度が大きく変化し、また、それらの面積比も大きく変化するためである。1rpm以下および15rpm以上では高温領域および低温領域の温度変化は小さい。また、それらの面積比の変化も小さい。
【0039】
更に、水平磁場を使用するとGm/Gsの最適化と独立して酸素の結晶面内分布が5%以内で均一になることも見出した。
【0040】
また本発明者らは、Gm/Gs値を制御する方法としてシリコン融液とヒーターの相対位置を制御する方法を見出した。一般的にヒーターは図8に示すように多くのスリットをもった形状をしており、図8中の点a近傍が最も高温になる。このa点をヒーターの発熱中心と定義したとき、この発熱中心とシリコン融液表面位置との相対位置を調整することでGmおよびその結晶成長界面における面内分布を変化させることができる。
【0041】
Gsの結晶成長面内分布は、炉構造およびホットゾーンによりほぼ決まる。この各炉構造、各ホットゾーンの組み合わせに応じたGsの値を測温実験および計算により求めておく。そして結晶成長面内におけるGm/Gsが0.16±0.05になるようにGmの結晶成長面内分布を結晶育成中に調整できさえすれば、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。予め求めておいたGsに対して、実際の結晶育成において融液表面位置をヒーター発熱中心より上に0mmから100mmの範囲で変化させることでGmの結晶成長面内分布を調節すればGm/Gsを0.16±0.05とすることができ、ウエハー面内全域において無欠陥領域が得られる。融液表面がヒーターの発熱中心より上に0から100mmの位置とするのは、発熱中心から結晶の端および中心までの距離を変化させてGmの結晶成長面内分布を調整するためである。融液表面がヒーター発熱中心よりも100mmよりも上になると、融液の対流モードが変化して、結晶育成が不安定になる。また融液表面がヒーター発熱中心よりも下になっても結晶育成が不安定になる。
【0042】
シリコン単結晶の引き上げにおいては、シリコン単結晶を取り囲み、周囲からの放射伝熱による入熱を制御する円筒あるいはロートを用いることがある。本発明者らは、これら円筒あるいはローとの下端からシリコン融液表面までの距離と、融液表面とヒーターの発熱中心との相対位置と、カスプ磁場の0磁場位置と、カスプ磁場の融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分を同時に制御することにより、Gm/Gsの値とその結晶成長界面における分布および酸素濃度および酸素の結晶面内分布をより広い範囲で制御できることを見出した。
【0043】
具体的には、結晶の直径をDインチとして、円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lが30×D/8から80×D/8mmであり、かつ融液表面がヒーターの発熱中心より上に0から100mmの位置に有り、かつカスプ磁場の0磁場位置が融液表面から下に0から200mmの位置に有り、かつ融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分が0.01T以上0.4T以下として引き上げを行う。これにより、ウエハー面内全域でGm/Gsを0.16±0.05の範囲内に制御することができる。
【0044】
距離Lを30×D/8から80×D/8mmとするのは、30×D/8よりも小さいと、結晶中心近傍と結晶端近傍でGsの差が大きくなりすぎて、Gmの制御によりGm/Gsを結晶成長面内で0.16±0.05とすることが困難になるためである。また80×D/8mmよりも大きいと、全体的にGsの絶対値が小さくなり、円筒あるいはロートを使用する意味が無くなるからである。融液表面がヒーターの発熱中心より上に0から100mmの位置とするのは、発熱中心から結晶の端および中心までの距離を変化させてGmの結晶成長面内分布を調整するためである。融液表面がヒーター発熱中心よりも100mmよりも上になると、融液の対流モードが変化して、結晶育成が不安定になる。また融液表面がヒーター発熱中心よりも下になっても結晶育成が不安定になる。カスプ磁場の0磁場位置が融液表面から下に0から200mmの位置とするのは、この範囲でGmの結晶成長面内分布が大きく変化し、制御範囲が広がるからである。0磁場位置が上記範囲外になると酸素のウエハー面内バラツキが大きくなる。融液表面におけるカスプの垂直成分が0.01T以上0.4T以下とするのは、0.01T以下だと磁場が弱すぎて効果が無く、0.4T以上にしても大きな効果の上昇は得られないためである。
【0045】
また本発明者らは、シリコン単結晶を取り囲み、周囲からの放射伝熱による入熱を制御する円筒あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離と、融液表面とヒーターの発熱中心との相対位置と、ルツボの回転中心軸における水平磁場強度を同時に制御することにより、Gm/Gsの値とその結晶成長界面における分布および酸素濃度および酸素の結晶面内分布をより広い範囲で制御できることを見出した。
【0046】
具体的には、結晶の直径をDインチとして、円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lが30×D/8から80×D/8mmであり、かつ融液表面がヒーターの発熱中心より上に0から100mmの位置に有り、かつるつぼの回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4T以下として引き上げを行う。これにより、ウエハー面内全域でGm/Gsを0.16±0.05の範囲内に制御することができる。
【0047】
距離Lを30×D/8から80×D/8mmとするのは、30×D/8よりも小さいと、結晶中心近傍と結晶端近傍でGsの差が大きくなりすぎて、Gmの制御によりGm/Gsを結晶成長面内で0.16±0.05とするのが困難になるためである。また80×D/8mmよりも大きいと、全体的にGsの絶対値が小さくなり、円筒あるいはロートを使用する意味が無くなるからである。融液表面がヒーターの発熱中心より上に0から100mmの位置とするのは、発熱中心から結晶の端および中心までの距離を変化させてGmの結晶成長面内分布を調整するためである。融液表面がヒーター発熱中心よりも100mmよりも上になると、融液の対流モードが変化して、結晶育成が不安定になる。また融液表面がヒーター発熱中心よりも下になっても結晶育成が不安定になる。ルツボ回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4T以下とするのは、磁場強度が0.01T以下では磁場強度が弱くて融液表面における温度分布が図6のような分布にならないためである。また磁場強度が0.4T以下とするのは、それ以上にしても大きな効果の上昇が得られないためである。
【0048】
このようにして得られた、熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面において転位クラスターが無いことを特徴とするシリコン単結晶ウエハーは、デバイスプロセスの歩留まりを大きく向上することが解った。
【0049】
またおなじくこのようにして得られた、熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面において転位クラスターが無く、かつ酸素濃度のウエハー面内におけるバラツキが5%以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウエハーはデバイスプロセスの歩留まりを大きく向上することが解った。
【0050】
以下に本発明の実施例を上げて説明するが、本発明がこれらの実施例の記載によって制限されるものでは無いことは言うまでもない。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
図1の装置を使い以下の条件で直胴部400mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:95kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:6rpm
・引上げ速度:0.3mm/min
上記条件で育成することで結晶直胴部の300mmから400mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴300mmから400mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。
【0052】
(実施例2)
図4の装置を使い、シリコン融液にカスプ磁場を印加して、以下の条件で直胴部400mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:95kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:6rpm
・引上げ速度:0.3mm/min
・0磁場位置:融液表面から90mm下の位置
・融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分:0.047T
上記条件で育成することで結晶直胴部の100mmから400mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。しかしこの育成条件では、引上げ速度をV(mm/min)とし、シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG(℃/mm)としたときのV/G値が、結晶中心位置と結晶外周から30mmまでの位置との間では0.17mm2/℃・minであり、結晶外周から30mmまでの位置と結晶外周位置との間では0.19mm2/℃・minであった。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴100mmから400mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は10×1017から8×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)で、酸素の面内分布は4%以内であった。
【0053】
(実施例3)
図4の装置を使い、シリコン融液にカスプ磁場を印加して、以下の条件で直胴部800mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:6rpm
・引上げ速度:0.3mm/min
・0磁場位置:融液表面から90mm下の位置
・融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分:0.05T(直胴部0mm)から0.01T(直胴部800mm)に線形変化
上記条件で育成することで結晶直胴部の300mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴300mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は10×1017から8×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は4%以内であった。
【0054】
(実施例4)
図4の装置を使い、シリコン融液にカスプ磁場を印加して、以下の条件で直胴部800mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:2rpm
・引上げ速度:0.3mm/min
・0磁場位置:融液表面から90mm下の位置
・融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分:0.05T(直胴部0mm)から0.01T(直胴部800mm)に線形変化
上記条件で育成することで結晶直胴部の200mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴200mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は6×1017から4×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は2%以内であった。
【0055】
(実施例5)
図5の装置を使い、シリコン融液に水平磁場を印加して、以下の条件で直胴部800mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:2rpm
・引上げ速度:0.4mm/min
・磁場強度:0.3T
上記条件で育成することで結晶直胴部の200mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴200mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は8×1017から5×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は2%以内であった。
【0056】
(実施例6)
図5の装置を使い、シリコン融液に水平磁場を印加して、以下の条件で直胴部800mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:1rpm
・引上げ速度:0.5mm/min
・磁場強度:0.3T
上記条件で育成することで結晶直胴部の200mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴200mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は7×1017から5×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は2%以内であった。
【0057】
(実施例7)
図9の装置で、シリコン融液表面よりも上方にその中心軸と引き上げ軸を等しくしたロートを配置し、そのロートの内側を通過させつつ、かつカスプ磁場印加しながら、以下の条件で直胴部800mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ロート下端と表面との距離:80mm
・ルツボ回転:6rpm
・引上げ速度:0.5mm/min
・0磁場位置:融液表面から90mm下の位置
・融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分:0.05T(直胴部0mm)から0.01T(直胴部800mm)に線形変化
上記条件で育成することで結晶直胴部の100mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴100mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は8×1017から5×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は5%以内であった。
【0058】
(実施例8)
図10の装置で、シリコン融液表面よりも上方にその中心軸と引き上げ軸を等しくしたロートを配置し、そのロートの内側を通過させつつ、かつ水平磁場印加しながら、以下の条件で直胴部800mm の8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:110kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ロート下端と表面との距離:40mm
・ルツボ回転:2rpm
・引上げ速度:0.6mm/min
・磁場強度:0.3T
上記条件で育成することで結晶直胴部の100mmから800mmの間でGm/Gsを0.16±0.05にすることができる。この結晶からウエハーを切り出して調べたところ直胴100mmから800mmまではウエハー全面が無欠陥領域となった。また酸素濃度は8×1017から5×1017atoms/cm3(JEIDA換算係数)の範囲で、酸素の面内分布は5%以内であった。
【0059】
(実施例9)
図4の装置を使い、シリコン融液にカスプ磁場を印加して、以下の条件で直胴部400mmの8インチシリコン単結晶を育成した。
・坩堝径:22インチ
・シリコンチャージ量:95 kg
・融液表面位置:ヒーターのa点より上方40mm
・ルツボ回転:6rpm
・引上げ速度:0.3mm/min
・0磁場位置:融液表面から90mm下の位置
・融液表面におけるカスプ磁場の垂直成分:0.047T
上記条件で育成することで結晶直胴部全領域でGm/Gsは0.09から0.10となった。一方この育成条件では、引上げ速度をV(mm/min)とし、シリコン融点から1300℃までの温度範囲における引上げ軸方向の結晶内温度勾配の平均値をG(℃/mm)としたときのV/G値が、結晶中心位置と結晶外周から30mmまでの位置との間では0.20mm2/℃・minであり、結晶外周から30mmまでの位置と結晶外周位置との間では0.21mm2/℃・minであった。この結晶からウエハーを切り出して調べたところウエハー全面が無欠陥領域となる部位は無かった。
【0060】
【発明の効果】
この発明により、熱酸化処理をした際に酸化誘起積層欠陥がリング状に発生する領域がウエハー中心部に消滅したウエハーであり、かつウエハー全面から転位クラスターが無く、かつ酸素濃度のウエハー面内におけるバラツキが5%以下であることを特徴とするシリコン単結晶ウエハー作製の歩留まりを80%以上にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なシリコンウエーハの製造装置を示す図
【図2】シリコン単結晶内の欠陥種とV/Gとの関係
【図3】酸化誘起積層欠陥がリング状に分布する領域がウエハー半径の中央位置に存在する場合のウエハー面内の欠陥分布模式図
【図4】カスプ磁場装置およびカスプ磁場分布の模式図
【図5】水平磁場装置模式図
【図6】水平磁場を印加したシリコン融液の融液表面温度分布
【図7】Gm/Gsと結晶内に現れる欠陥種との関係を示す模式図
【図8】一般的なヒーター形状と発熱中心の模式図
【図9】カスプ磁場を印加し、熱遮蔽材を備えた結晶育成装置
【図10】水平磁場を印加し、熱遮蔽材を備えた結晶育成装置
【符号の説明】
1・・・・CZシリコン単結晶引上げ炉
2・・・・ワイヤ巻き上げ機
3・・・・断熱材
4・・・・加熱ヒータ
5・・・・ルツボ回転治具
6a・・・・石英坩堝
6b・・・・黒鉛坩堝
7・・・・・ワイヤ
8・・・・・種結晶
9・・・・・種結晶保持具
10・・・・・熱遮蔽材
20・・・・・カスプ磁場印加用同軸対向電磁石
30・・・・・水平磁場印加用同軸対向電磁石
S・・・・・シリコン単結晶
G・・・・カスプ磁場分布
O・・・・・0磁場位置
M・・・・・シリコン融液
Claims (2)
- シリコン融液表面よりも上方に円筒あるいはロートを配置し、円筒あるいはロートの中心軸と引上軸を等しくし、シリコン融液にカスプ磁場を印加した状態で該円筒あるいはロートの内側を通過させつつ直径Dインチの結晶を引き上げるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lを30×D/8から80×D/8mmの範囲とし、かつ融液表面をヒーターの発熱中心より上に0から100mmの範囲で位置させつつ、融液表面における垂直成分が0.01Tから0.4Tの範囲で印加されるカスプ磁場における0磁場位置を融液表面から下に0から200mmの範囲に位置するように制御することによって結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の融液側温度勾配Gm及びその結晶成長面内分布を制御し、前記結晶の引き上げ過程において前記融液側温度勾配Gmと結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の結晶側温度勾配Gsとの比Gm/Gsが結晶成長界面の面内で0.16±0.05であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - シリコン融液表面よりも上方に円筒あるいはロートを配置し、円筒あるいはロートの中心軸と引上軸を等しくし、シリコン融液に水平磁場を印加した状態で該円筒あるいはロートの内側を通過させつつ直径Dインチの結晶を引き上げるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
円筒の下端あるいはロートの下端からシリコン融液表面までの距離Lを30×D/8から80×D/8mmの範囲とし、かつ融液表面をヒーターの発熱中心より上に0から100mmの範囲に位置させつつ、ルツボの回転中心軸における水平磁場強度が0.01T以上0.4Tの範囲となるように制御することによって結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の融液側温度勾配Gm及びその結晶成長面内分布を制御し、前記結晶の引き上げ過程において前記融液側温度勾配Gmと結晶成長界面における結晶引上げ軸方向の結晶側温度勾配Gsとの比Gm/Gsが結晶成長界面の面内で0.16±0.05であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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