JP4193093B2 - 金属板ラミネート用白色ポリエステル系フィルム、フィルムラミネート金属板および金属容器 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料、ビール、缶詰等の食料品用の金属容器の腐食防止等の目的で使用されるポリエステル系フィルム、該フィルムを金属板にラミネートしたフィルムラミネート金属板、および該フィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶の内面および外面の腐食防止には一般的には塗料が塗布され、その塗料としては熱硬化性樹脂が使用されている。
【0003】
熱硬化性樹脂塗料を塗装する方法では、その多くは溶剤型塗料が用いられる。その塗膜の形成には150〜250℃で数分という高温・長時間の加熱が必要であり、かつ焼き付け時に多量の有機溶剤が飛散するため、工程の簡素化や公害防止等の改良が要望されている。
【0004】
また、前述のような条件で形成される塗膜中には、結果的に少量の有機溶剤が残存することも避けられず、例えば上記塗膜を形成させた金属缶に食料品を充填した場合、有機溶剤が食料品に移行し、食料品の味や臭いに悪影響を及ぼすことがある。さらに、塗料中に含まれる添加剤や架橋反応の不完全さに起因する低分子量物質が食料品に移行し、前述の残存有機溶剤の場合と同様の悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
また、他の方法として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法がある。例えば、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルムやポリエステル系フィルムを、加熱したティンフリースチールにラミネートし、該フィルムラミネート金属板を金属缶に利用するというものである。
【0006】
熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法により、上記課題のうち、工程の簡素化や公害防止等の課題は解決できる。
【0007】
しかし、熱可塑性樹脂フィルムのうち、例えばポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系フィルムを用いた場合は、耐熱性に劣るため製缶工程での熱履歴や、製缶後におけるレトルト処理等の熱履歴を受けた場合、フィルムラミネート金属板からフィルムが剥離することがある。
【0008】
一方、熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエステル系フィルムを用いる方法は、上記ポリオレフィン系フィルムが有する問題点が改良されるので、最も好ましい方法である。
【0009】
缶の内面側において、ポリエステル系フィルムは、耐熱性に優れ、かつ低分子量物質の生成も少ないため、ポリオレフィン系フィルムに比べて該低分子量物質の移行による食料品の味や臭いの劣化が生じにくい。所謂、耐フレーバー性に優れている。缶の外面においても、ポリエステル系フィルムは耐熱性に優れ、また、予めフィルムを白色化することにより下地塗装を省略することも出来る。
【0010】
従来、缶外面用の白色ポリエステルフィルムは、単層、積層のどちらも使用されていたが、二酸化チタン等の白色顔料種が全層に添加されており、フィルムの生産効率が悪く、また製缶工程でフィルムが削れて工程汚染の原因となったり、製缶用の金型等に傷を付ける場合もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩含飲料用または、食料品用の金属容器を形成する材料として好適に使用される白色ポリエステルフィルムであり、従来の金属板ラミネート用白色ポリエステル系フィルムと比較して、フィルムの生産効率に優れ、金属板とラミネートする工程では速度条件の幅が広く、金属板との接着性に優れるポリエステル系フィルム、製缶工程を汚染することや金具を傷付けることなく、製缶加工性に優れるフィルムラミネート金属板、ならびに落下などの衝撃によるクラックが発生しにくく、バリヤー性や耐食性に優れ、美麗な金属容器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ニ酸化チタンを含有しないA層と15〜35重量%の二酸化チタンを含有するB層から成るA/B/Aの3層構成のポリエステル系フィルムであり、全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であり、フィルムの衝撃強度が0.25J以上であることを特徴とする二軸延伸白色ポリエステル系フィルムにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は、ニ酸化チタンを含有しないA層と15〜35重量%の二酸化チタンを含有するB層から成るA/B/Aの3層構成のポリエステル系フィルムであり、全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であり、フィルムの衝撃強度が0.25J以上であることを特徴とする二軸延伸白色ポリエステル系フィルムを提供する。
【0014】
また、本発明は、イソフタル酸を5〜20モル%共重合させたエチレンテレフタレート主体のポリエステル(a)とブチレンテレフタレート主体のポリエステル(b)が重量比で20:80〜60:40の割合で構成されるA層とイソフタル酸を5〜20モル%共重合させたエチレンテレフタレート主体のポリエステル(c)とブチレンテレフタレート主体のポリエステル(d)が重量比で20:80〜60:40の割合で構成され、かつ15〜35重量%の二酸化チタンを含有するB層から成るA/B/Aの3層構成のポリエステル系フィルムであり、全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であり、フィルムの衝撃強度が0.25J以上であることを特徴とする二軸延伸白色ポリエステル系フィルムを提供する。
【0015】
また、本発明は、上記ポリエステル系フィルムを金属板の片面にラミネートし、もう片面を透明なポリエステルフィルムをラミネートしてなるフィルムラミネート金属板を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記フィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸延伸白色ポリエステル系フィルムは、ニ酸化チタンを含有しないA層と15〜35重量%の二酸化チタンを含有するB層から成るA/B/Aの3層構成のポリエステル系フィルムであり、全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であり、フィルムの衝撃強度が0.25J以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明のポリエステル系フィルムに用いられるポリエステルは、主としてポリカルボン酸と多価アルコールが重縮合されてなるものであり、単独重合体であっても良いが、目的に応じ他の成分を共重合しても良い。
【0019】
上記ポリカルボン酸成分としてはジカルボン酸が挙げられ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニールジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0020】
また、多価アルコール成分としてはグリコールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスフェノール誘導体のエチレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール類等が挙げられる。
【0021】
A層に用いるポリエステルの融点は、200〜250℃であり、好ましくは210〜230℃である。融点が200℃未満であると製缶工程等での耐熱性が不十分になるので好ましくない。また、融点が250℃を越えると製缶時の成形性が困難である。
【0022】
A層に使用されるポリエステルとしては、上記ジカルボン酸およびグリコールから得られるものが挙げられるが、好ましくは、酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸〔好ましくはそのモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)が95/5〜80/20、特に好ましくは95/5〜85/15である〕であり、グリコール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステルが挙げられる。更に好ましくは、酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−エチレングリコール成分系と酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−ブタンジオール成分系の併用系である。更により好ましくは、その重量比(酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−エチレングリコール成分系/テレフタル酸−ブタンジオール成分系)が20/80〜60/40、更に特に好ましくは30/70〜50/50であるものが挙げられる。上記構成成分にすることにより、金属板にラミネートを施した場合、十分なラミネート密着力を得られる。
【0023】
B層に用いるポリエステルの融点は、200〜250℃であり、好ましくは210〜230℃である。該融点が200℃未満であると製缶工程等での耐熱性が不十分になるので好ましくない。また、融点が250℃を越えると製缶時の成形性が困難である。
【0024】
B層に使用されるポリエステルとしては、上記ジカルボン酸およびグリコールから得られるものが挙げられるが、好ましくは、酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸〔好ましくはそのモル比(テレフタル酸/イソフタル酸)が95/5〜80/20、特に好ましくは95/5〜85/15である〕であり、グリコール成分がエチレングリコールである共重合ポリエステルが挙げられる。更に好ましくは、酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−エチレングリコール成分系と酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−ブタンジオール成分系の併用系である。更により好ましくは、その重量比(酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸−エチレングリコール成分系/テレフタル酸−ブタンジオール成分系)が20/80〜60/40、更に特に好ましくは30/70〜50/50であるものが挙げられる。上記構成成分にすることにより、製缶工程等での耐熱性と成形性を両立することができる。
【0025】
また、上記ポリエステルは、力学特性、特に衝撃強度確保、経済性の点から、好ましくは極限粘度が0.5〜1.5であり、より好ましくは0.55〜1.2である。
【0026】
本発明のポリエステル系フィルムに用いる二酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型等のニ酸化チタンが挙げられるが、色調、隠蔽性等の目的に合わせ使い分けることが出来る。例えば、遮光性はルチル型二酸化チタンがアナターゼ型ニ酸化チタンよりも優れていることから、缶外面被覆用には好ましくはルチル型ニ酸化チタンが使用される。また、目的に応じて表面処理を施すことも出来る。
【0027】
上記ニ酸化チタンは粒子であることが好ましく、また、その平均粒径は、0.1μm以上、1.0μm未満が好ましい。更に好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下である。粒径が1.0μm以上の場合、成形の際にフィルムが破れたり、ニ酸化チタンが脱落し生産性が低下することがある。一方、0.1μm未満の場合には、波長との関係から隠蔽性が低下し、経済的でない。
【0028】
なお、ここでいう平均粒径とは、比表面積径であり、MICROMERITICS社製の表面積自動解析装置2200型等を用いることにより測定される値である。
【0029】
B層へのニ酸化チタンの添加量は、10〜30重量%であり、好ましくは15〜25%である。添加量が30重量%より多い場合は、生産性が低下することがある。また、10重量%より少ない場合は、隠蔽性を満足させる為には、厚みを大きくさせる必要があり、不経済的である。
【0030】
A層へのニ酸化チタンは添加しない。A層に二酸化チタンを添加をすると、フィルム生産中にフィルム表面に傷等が付き、フィルム中の二酸化チタンが起点となり、フィルム破断の原因となる可能性がある為、フィルム生産効率が悪くなる場合があるばかりでなく、金属板とラミネートする工程でも操業性が悪くなる場合もある。また、製缶工程で使用する金具に傷を付ける可能性があるし、削れた白粉により工程を汚染する可能性もある。更に、フィルムの衝撃強度確保の点、つまりフィルム中の二酸化チタンが起点となり、クラック等のフィルム欠点の原因となる為からA層に二酸化チタンを添加すると問題が生じる。
【0031】
本願発明のフィルムと、A層へ二酸化チタンを添加した以外その他の組成を同じにしたフィルムを比較すると、熱収縮率低減のために行う熱固定温度を同じ収縮率になるように設定した場合、A層への二酸化チタンを未添加にした方が低い温度でかまわなく、この時の衝撃強度は、当然A層への二酸化チタンを未添加にした方が大きく、その差も大きいものである。この点からも、A層への二酸化チタンは好ましくない。
【0032】
ニ酸化チタンの添加方法は、特に限定するものではない。一例として、予め練り込み機等で高濃度マスターバッチを作製し、所定濃度の添加量になるように混合したものを押出し機に供給し、溶融押出しする方法がある。
【0033】
全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であることが必要であり、90%以下であることが好ましい。B層の厚み比率が45%未満であるとフィルムを薄くした際、隠蔽性を満足できなくなり、90%を超えるとフィルムの衝撃強度が低下する。
【0034】
本発明のポリエステル系フィルムのB層の厚みは6〜50μmの範囲が好ましく、9〜40μmの範囲がより好ましい。厚みが6μm未満であると隠蔽性が劣り、一方50μmを越えると過剰品質となり経済的でないからである。
【0035】
また、A層の厚みは1〜15μmの範囲が好ましく、1〜9μmの範囲がより好ましい。厚みが1μmより薄い場合は、金属板の表面凹凸を充分に埋めることが出来ず、接着性不良となる。
【0036】
本発明のポリエステル系フィルムの衝撃強度は0.25J以上の範囲が好ましく、0.30J以上の範囲がより好ましく、0.40J以上の範囲が特に好ましい。衝撃強度が0.25J未満であるとフィルム生産中の工程変動に耐えられずフィルム破断が発生する為、フィルム生産効率が悪くなるばかりか、フィルム自体として脆い為、鋼板とのラミネート工程での条件の幅が狭くなり好ましくない。
【0037】
本発明のポリエステル系フィルムの製造方法は限定されず、公知の方法で得ることが出来る。たとえば、A層、B層の原料を2台の押出し機でそれぞれ溶融混練りし、ダイ内で積層し、冷却ロールで引取り未延伸シートを作製する。前記未延伸シートを、60〜120℃の温度で縦方向に2〜5倍延伸し、続いて80〜120℃の温度で横方向に2〜5倍延伸後、熱固定処理を行い作製することが出来る。
【0038】
特に、耐衝撃性を向上させる為には、下記の条件で行なうことが好ましい。例えば、該未延伸シートを、60〜120℃の温度で縦方向に3〜5倍延伸し、続いて80〜120℃の温度で横方向に3〜5倍延伸後、120〜180℃の温度で熱固定処理を行い作製する方法である。
【0039】
また、A層においてポリエステル系フィルムがポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルからなる場合、食料品の保護効果や缶の美観を損なわないことを目的として、例えばポリエステル系フィルムを製膜後に、水や有機溶剤でフィルムから代表的なオリゴマーの1つである、エチレンテレフタレート環状三量体を抽出除去したり、エチレンテレフタレート環状三量体含有量の少ないポリエステルを使用することが出来る。
【0040】
また、本発明のポリエステル系フィルムは、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、二酸化チタン以外の着色剤、帯電防止剤、潤滑剤、結晶核剤等を含有することができる。
【0041】
また、本発明のポリエステル系フィルムには必要に応じ表面処理を施しても良い。表面処理としては、コロナ処理、火炎プラズマ処理のほかインライン、オフラインによる各種コートも含まれる。コート剤としては、易接着剤、帯電防止剤、離型剤、ブロッキング防止剤などを必要により用いることができる。
【0042】
本発明のフィルムラミネート金属板は、上記ポリエステル系フィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートして得られるものであって、製缶加工性に優れたものである。
【0043】
上記フィルムラミネート金属板に用いられる金属板としては、特に限定されないが、例えばブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等が挙げられる。また、その厚さは、特に限定されないが、材料の費用や製缶加工速度などに代表される経済性、一方では材料強度の確保の点から、好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜500μmである。
【0044】
また、ポリエステル系フィルムを金属板の少なくとも片面にラミネートする方法としては、従来公知の方法が適用でき、特に限定されないが、好ましくはサーマルラミネート法が挙げられ、特に好ましくは金属板を通電加熱させてサーマルラミネートする方法が挙げられる。また、ポリエステル系フィルムは、金属板の両面にラミネートされていてもよい。ポリエステル系フィルムを金属板の両面にラミネートする場合、同時にラミネートしても逐次でラミネートしてもよい。
【0045】
また、本発明のポリエステル系フィルムは、前述のようにA層を金属板側にラミネートさせる層として用いるが、この時、B層のバリヤー性や耐食性を優れたものとし、またラミネート密着性を更に向上させるために、熱硬化性樹脂を主成分とした従来公知の接着剤を予めA層または、金属板に塗布しておき、ラミネートを実施してもよい。
【0046】
本発明の金属容器は、前述のフィルムラミネート金属板を用いて成形することによって得られる。金属容器の形状は特に限定されないが、例えば缶状、瓶状、樽状等とすることができる。また、金属容器の成形方法も特に限定されないが、例えば絞り成形法、しごき成形法、絞りしごき成形法等の公知の方法を使用することができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の内容および効果を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
なお、実施例および比較例におけるフィルムの各特性の測定方法を以下に記載する。
【0049】
(1)融点
試料を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、10℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を示差走査型熱量計で測定した。
【0050】
(2)極限粘度
フェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比で6/4)に、試料を濃度0.4g/デシリットルとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用いて温度30℃で測定した。
【0051】
(3)衝撃強度の測定法
東洋精機(株)社製、「フィルムインパクトテスター」によってフィルムの衝撃強度を測定した。この時のフィルムサンプル寸法は、縦及び横が150mm以上、又は直径が150mm以上のものとする。
【0052】
(4)耐削れ性評価法
a)絞り缶の作製
フィルム被覆金属板を絞り比2.5で絞り加工して直径30mmの絞り缶を作製した。
【0053】
b)耐削れ性評価法
上記絞り缶を連続100缶作製の後、目視で金型を観察し、金型に白粉付着および金型の傷付きが存在するかを確認し、無い場合を良好とし、存在する場合を不良とした。
【0054】
(実施例1)
(ポリエステル系フィルムの製造)
A層用のポリエステルとして、平均粒径1μmの球状シリカ0.1重量%を含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比90/10)とエチレングリコールからの共重合ポリエステル(融点230℃)40重量部と極限粘度1.2のポリブチレンテレフタレート60重量部の混合物を用いた。このポリエステルの融点は220℃であった。一方、B層用ポリエステルとして、平均粒径1μmの球状シリカ0.1重量%を含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比90/10)とエチレングリコールからの共重合ポリエステル(融点230℃)40重量部と極限粘度1.2のポリブチレンテレフタレート20重量部と平均粒径0.25μmのルチル型二酸化チタンからなる50%マスターバッチ40重量部の混合物を用いた。これらのA層用およびB層用のポリエステルをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ内で合流させた後、冷却ドラム上に押出し、無定形シートとした。その後、上記無定形シートを90℃で縦方向に3.5倍、横方向に3.5倍延伸し、180℃で熱固定して、A層の総厚さ3μmおよびB層厚さ9μm(総厚さ12μm)のポリエステル系フィルムを得た。上記に示す方法でのフィルムの衝撃強度は0.52Jであった。
【0055】
(フィルムラミネート金属板の製造)
脱脂処理した厚さ190μmの金属板(ティンフリースチール、新日本製鐵社製)を220℃に予熱しておき、該金属板と上記ポリエステル系フィルムのB層側の面とを合わせ、圧力を500N/cmとしたゴムロールとゴムロールとの間を速度10m/分の条件で通過、次いで急水冷させてフィルムラミネート金属板〔厚さ202μm(ポリエステル系フィルム(A層/B層/A層)/金属板=12μm(1.5μm/9μm/1.5μm)/190μm)〕を得た。また、ラミネート金属板の外観は、下地塗装である白印刷を省略することが出来るレベルの白さと隠蔽性を備えていた。
【0056】
(金属容器の製造)
前述のフィルムラミネート金属板を用い、製缶したところ、製缶工程での白粉による工程汚染もなく、製缶工程での金型の傷付きも問題なかった。また、こうして得られた缶に食料品を充填して125℃、30分間のレトルト処理を実施し、40℃、高湿度下で6ヶ月間の貯蔵テストを実施したところ、耐食性の良好な変色の無いものであった。
【0057】
(実施例2)
上記実施例1におけるA層の総厚さ4μmおよびB層厚さ8μm(総厚さ12μm)にした他は実施例1と同じである。上記に示す方法でのフィルムの衝撃強度は0.55Jであった。
【0058】
また、当該ポリエステル系フィルムを用いてフィルムラミネート金属板を製造したラミネート金属板の外観は、下地塗装である白印刷を省略することが出来るレベルの白さと隠蔽性を備えていた。
【0059】
また、当該ラミネート金属板を用いて製缶したところ、製缶工程での白粉による工程汚染もなく、製缶工程での金型の傷付きも問題なかった。また、実施例1と同様に缶に食料品を充填してレトルト処理を実施し、40℃、高湿度下で6ヶ月間の貯蔵テストを実施したところ、耐食性の良好な変色の無いものであった。
【0060】
(比較例1)
上記実施例1におけるA層用ポリエステルとして、平均粒径1μmの球状シリカ0.1重量%を含むテレフタル酸/イソフタル酸(モル比90/10)とエチレングリコールからの共重合ポリエステル(融点230℃)40重量部と極限粘度1.2のポリブチレンテレフタレート20重量部と平均粒径0.25μmのルチル型二酸化チタンからなる50%マスターバッチ40重量部の混合物を用いた他は、実施例と同じである。上記に示す方法でのフィルムの衝撃強度は0.20Jであり、フィルム生産時フィルム破断が多発し、悪影響を与えた。
【0061】
また、当該ポリエステル系フィルムを用いてフィルムラミネート金属板を製造した際、フィルムが割れ易く、収率は低いものであった。さらにこのフィルムラミネート金属板を用いて金属容器を製造したところ、製缶工程が白粉で汚染され、更に製缶を続けると、金型まで削れてしまった。
【0062】
(比較例2)
上記実施例1におけるA層の総厚さ8μmおよびB層厚さ4μm(総厚さ12μm)にした他は実施例1と同じである。上記に示す方法でのフィルムの衝撃強度は0.64Jであった。
【0063】
また、当該ポリエステル系フィルムを用いてフィルムラミネート金属板を製造したラミネート金属板の外観は、下地塗装である白印刷がないと金属の下地が見えるレベルの隠蔽性であり、実用性に乏しいものであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の白色ポリエステル系フィルムは、フィルムが効率良く生産でき、金属板へのラミネート工程での速度条件の幅が広く、製缶工程での汚染がなく、また、製缶工程の金型が磨耗することなく、適度な隠蔽性がある金属容器を提供することができる。
Claims (3)
- イソフタル酸を5〜20モル%共重合させたエチレンテレフタレート主体のポリエステル(a)とブチレンテレフタレート主体のポリエステル(b)が重量比で20:80〜60:40の割合で構成され、二酸化チタンを含有しないA層とイソフタル酸を5〜20モル%共重合させたエチレンテレフタレート主体のポリエステル(c)とブチレンテレフタレート主体のポリエステル(d)が重量比で20:80〜60:40の割合で構成され、かつ15〜35重量%の二酸化チタンを含有するB層から成るA/B/Aの3層構成のポリエステル系フィルムであり、全厚み中の該B層厚みの比率が45%以上であり、フィルムの衝撃強度が0.40J以上であることを特徴とする二軸延伸白色ポリエステル系フィルム。
- 請求項1に記載のポリエステル系フィルムを金属板の片面にラミネートし、もう片面を透明のポリエステル系フィルムをラミネートしてなるフィルムラミネート金属板。
- 請求項2記載のフィルムラミネート金属板を成形してなる金属容器。
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