JP4193021B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車室空調装置用コンプレッサ等に使用され、過大トルクの発生時にトルクリミッタとして機能する動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車室空調装置の冷凍サイクルにおいて、冷媒コンプレッサは、エンジンのクランクプーリからプーリベルトを介して入力される回転トルクを、動力伝達装置を介して回転軸に伝達し、この回転軸に設けられた斜板を介して、冷媒ガスを圧縮する円周方向複数のピストンを往復動作させるようになっている。
【0003】
図4は、従来の技術による動力伝達装置を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図である。すなわち、従来の動力伝達装置は、図4に示されるように、冷媒コンプレッサのハウジング101にボールベアリング102を介して回転自在に支持されたプーリ103と、ハウジング101の軸孔に挿通された回転軸104とプーリ103とを弾性的に連結するカップリング105とを備える。カップリング105は、回転軸104の軸端にボルト106により取り付けられたハブ105aと、プーリ103の端面にボルト107により取り付けられた外環105bとの間に、環状のゴム状弾性材料からなるカップリングゴム105cを加硫接着した構造を備え、プーリ103から回転軸104へトルクを伝達すると共に、この伝達トルクの変動や振動を、カップリングゴム105cの剪断変形により吸収するものである。
【0004】
ところで、冷媒コンプレッサの駆動機構等が焼き付き等を発生してその回転軸104がロックしたような場合、カップリング105を介してプーリ103の回転もロック状態になるため、エンジンからプーリ103へ動力を伝達するプーリベルト(図示省略)が、過大な張力や摩擦により破損する。しかも、プーリベルトがいったん破損すると、このベルトによってエンジンの動力が供給されているエンジン冷却水循環ポンプやオルタネータ等、他の補機も停止してしまうので、エンジンが停止して自動車の走行不能という重大な事態を引き起こしてしまう問題がある。
【0005】
したがって、このような事態を回避するには、回転軸104が冷媒コンプレッサの作動部の焼き付き等によってロックした場合には、動力伝達装置がトルクリミッタとして機能し、トルク伝達を解除することにより、プーリ103を回転可能な状態に保持して、プーリベルトの破損を防止する必要がある。そしてこのような動力伝達装置の従来公知の技術としては、例えば特開平9−292003号公報に開示されたものがある。
【0006】
この公知技術は、外周の駆動側保持部材と、内周の従動側保持部材の間に介在されて、駆動側から従動側へトルクを伝達すると共に捩り振動(トルク変動)を吸収するカップリングゴム(弾性部材)に、トルクリミッタとしての機能を与えたもので、すなわち、コンプレッサの焼き付き等により回転軸がロックして、過大トルクが作用した場合には、カップリングゴムが変形されて駆動側保持部材の係合部との滑りを起こし、これによって、駆動側保持部材との係合状態が解除され、過負荷を防止する構造となっている。
【0007】
ところが、上記従来の技術によれば、過大トルクによってカップリングゴムと駆動側保持部材との係合状態がいったん解除されても、駆動側保持部材が係合解除後に所定角度だけ回転した時点で、再び係合状態になり、これによってトルクが増大すると、カップリングゴムが変形されて滑りを起こす、といった動作が繰り返されることになる。このため、完全にトルク伝達を遮断することはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、動力伝達装置にトルクリミッタ機能を与えることにより、回転軸のロック等による過負荷の発生を防止し、ひいては過負荷の発生に起因する重大事故を防止し得る動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題は、本発明によって有効に解決することができる。
すなわち、請求項1の発明に係る動力伝達装置は、回転軸に取り付けられたハブと、外環と、前記ハブと前記外環との間に一体的に接合されたカップリングゴムとからなるカップリングを備え、前記カップリングの前記外環に所定の位相間隔で突設された複数の被係止部が、前記駆動側回転体に前記被係止部と対応する位相間隔で配置された複数の係止部で前記駆動側回転体へ向けて押圧されることによって、前記係止部と被係止部及び前記外環と前記駆動側回転体が所定の摩擦力をもって圧接され、前記係止部と被係止部は設定値よりも大きなトルクの入力によって円周方向両側へ互いに滑動可能であり、前記被係止部と係止部が互いに完全に異なる位相上にある時に、この前記係止部を、被係止部と非接触となる逃げ位置に保持する付勢手段を備えるものであって、前記係止部が、駆動側回転体に円周方向所定間隔で軸方向に突設された支持軸に軸方向移動自在に支持されたカラーに設けられ、逃げ位置が前記駆動側回転体に凹設された逃げ凹部からなり、付勢手段が、前記支持軸に外挿されて前記係止部を前記逃げ凹部へ向けて付勢するばねからなり、前記係止部と前記被係止部とが、係合状態においても、係合状態が解除された状態においても、前記外環と前記駆動側回転体との軸方向位置が変化しない構成としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る動力伝達装置の好ましい実施の形態を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図であり、図2は、本形態の動力伝達装置がトルク伝達を遮断した状態を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図である。まず図1において、参照符号1は自動車の車室空調装置における可変容量型コンプレッサのハウジング正面側の筒状端部を示しており、2はこの筒状端部1の内周からハウジング内部に挿通されコンプレッサ内部のピストン駆動機構を動作させる回転軸である。
【0013】
なお、可変容量型コンプレッサは、ここではその全体を図示していないが、良く知られているように、ピストンのストロークを、回転軸2の回転を、冷媒を圧縮する往復動ピストンのストローク運動に変換する斜板の傾斜角度を変化させて、冷媒吐出容量を0〜100%まで無段階で制御可能としたものであるため、本形態の動力伝達装置では、回転軸2への動力伝達を断続するための電磁クラッチが不要となっている。
【0014】
本形態による動力伝達装置は、可変容量型コンプレッサのハウジング筒状端部1の外周にボールベアリング3を介して回転自在に保持されたプーリ4と、回転軸2の正面側の軸端に装着されたカップリング5を備える。また、カップリング5は、回転軸2の軸端2aに固定されたハブ51と、その外周側に同心的に配置された外環52と、外環52とハブ51の間に介在するカップリングゴム53からなる。
【0015】
プーリ4は、請求項1における駆動側回転体に相当するものであって、鉄系金属で製作され、その外周面にはポリV溝41が形成されている。このポリV溝41にはエンジンのクランクプーリからの駆動力を伝達するためのプーリベルト(図示省略)が、エンジン冷却水循環ポンプやオルタネータ等、他の補機のプーリを経由して巻き掛けられる。また、プーリ4の正面側の端面には、後述する外環52のフランジ部521と接触される突条42が、円周方向へ連続して形成されている。
【0016】
カップリング5におけるハブ51は、鉄系の金属材料で製作され、回転軸2の軸端2aにスプライン嵌合されると共にボルト54によって固定されたボス部511と、その正面側の端部からハウジング筒状端部1の正面側を外周側へ展開した円盤部512と、この円盤部512の外周縁に周設され正面側へ突出したリム部513とからなる。一方、外環52は、鉄系の金属板を打ち抜きプレス成形して製作されたものであって、背面がプーリ4の突条42に接触されるフランジ部521と、このフランジ部521の内径から正面側へ延びるスリーブ部522とを有する。そして、カップリングゴム53は、ハブ51のリム部513と、これに径方向に対向する外環52のスリーブ部522との間に、円周方向に連続して成形されると共に加硫接着等により一体的に接合されたものである。
【0017】
カップリング5における外環52のフランジ部521には、外周側へ突出した複数の被係止部523が、円周方向120°の位相間隔で形成されている。この被係止部523は、外径縁がプーリ4の突条42の外径よりも適宜大径となっている。
【0018】
プーリ4の正面側には環状のカラー6が同心的に配置されている。このカラー6は、鉄系の金属板を打ち抜きプレス成形して製作されたものであって、内径縁に、カップリング5における外環52の各被係止部523と軸方向に衝合可能な係止部61が、円周方向120°の位相間隔で形成されている。この係止部61の内径縁は、被係止部523の外径縁よりも小径かつプーリ4の突条42の外径よりも適宜大径であり、各係止部61の間の部分の内径縁6aは、被係止部523の外径縁よりも大径に形成されている。また、各被係止部523の円周方向長さは、各係止部61の間における内径縁6aの円周方向長さより短いものとなっている。
【0019】
カラー6は、各係止部61の外周側に位置して円周方向120°の位相間隔で開設された取付穴6bにそれぞれ挿通された支持軸7を介して、プーリ4の正面側に軸方向移動可能な状態で支持されている。詳しくは、支持軸7は段付きボルト状であって、その軸部がカラー6の取付穴6bに挿通されると共に、軸部先端の螺子部7aが、プーリ4の正面側の端面に形成された雌螺子孔に螺合されている。
【0020】
各支持軸7の頭部7bとカラー6の間には、各支持軸7の軸部に外挿されたコイルスプリング8が完全に圧縮された状態で介在している。このコイルスプリング8は、請求項1における付勢手段に相当し、ひいては請求項2におけるばねに相当するものである。このコイルスプリング8は、外環52の被係止部523の外径縁よりも外周側に配置されている。
【0021】
本形態の動力伝達装置は、図1に示されたような装着状態とするには、まず各被係止部523と各係止部61が同位相となるように、カップリング5(外環52)とカラー6とを互いに位置合わせして、このカラー6の各取付穴6bに挿通した支持軸7をプーリ4の雌螺子孔にねじ込む。これによって、コイルスプリング8を介して支持軸7の頭部7bにより押圧されるカラー6が、その各係止部61においてカップリング5の外環52の各被係止部523を押圧し、外環52のフランジ部521の背面を、プーリ4の突条42に圧接させる。そして、各支持軸7の螺子部7aを完全にねじ込むことによって、コイルスプリング8が完全に圧縮され、カップリング5の外環52のフランジ部521とプーリ4の突条42、及びカラー6の係止部61とカップリング5の外環52の被係止部523が、所定の摩擦力をもって互いに圧接した状態となる。
【0022】
したがって、図1に示される装着状態において、プーリ4及びカラー6と、カップリング5の外環52との互いの圧接面に、設定された摩擦力よりも大きなトルクが入力された場合は、一体に回転するプーリ4の突条42及びカラー6の係止部61が、カップリング5における外環52のフランジ部521及び被係止部523に対して円周方向へ滑りを起こすようになっている。
【0023】
また、プーリ4における突条42の外周側は、軸方向へ相対的に後退した溝状の逃げ凹部43となっている。この逃げ凹部43は、突条42の先端面からの相対的な後退距離が、カラー6の軸方向肉厚よりも大きく、突条42の外周面に相当する逃げ凹部43の内周面は、カラー6の係止部61の内径縁よりも小径に形成されている。すなわち、この逃げ凹部43は、カラー6及びその係止部61を収容可能な大きさであって、カラー6及び係止部61は、逃げ凹部43に収容された状態では、カップリング5の外環52及びその被係止部523に対して非接触となる。
【0024】
このため、過大トルクの入力によって、プーリ4の突条42及びカラー6の係止部61が、カップリング5における外環52のフランジ部521及び被係止部523に対して円周方向へ滑動し、これによって、図2(A)に示されるように、係止部61が、被係止部523から完全に外れた位置に達した時点で、図2(B)に示されるように、カラー6が、コイルスプリング8の付勢力によって、プーリ4の逃げ凹部43へ押し出され、カップリング5の外環52及びその被係止部523と非接触状態に保持されるようになっている。
【0025】
以上のように構成された動力伝達装置によれば、プーリ4は、その外周に巻き掛けられたプーリベルト(図示省略)を介してエンジンの駆動力が伝達され、回転する。また、このプーリベルトは、エンジン冷却水循環ポンプやオルタネータ等、他の補機のプーリを経由して巻き掛けられており、したがって、これらの補機も、共通のプーリベルトで駆動されるようになっている。
【0026】
本形態の動力伝達装置は、通常は図1に示される状態にあり、すなわちカラー6からの軸方向押圧力によって、プーリ4の突条42とカップリング5における外環52のフランジ部521が、コンプレッサ内部のピストン駆動機構を動作させるための回転軸2へのトルク伝達に十分な摩擦力をもって、互いに圧接している。したがって、プーリベルトからプーリ4に入力された回転トルクは、プーリ4の突条42と外環52のフランジ部521との圧接面を介してカップリング5に伝達され、更にこのカップリング5のハブ51から回転軸2に伝達され、これによって回転軸2がプーリ4と同一回転数で回転される。また、通常運転状態におけるトルク変動(捩り振動)は、カップリングゴム53の剪断変形によって有効に吸収される。
【0027】
また、例えば回転軸2がコンプレッサの内部機構の焼き付き等によってロックした場合のように、エンジンからの動力を受けて強制回転されるプーリ4との間で過大なトルクが入力された場合は、本形態の動力伝達装置は、トルクリミッタとして機能する。すなわち、過大なトルクの入力によって、プーリ4の突条42及びカラー6の係止部61との圧接部に、その摩擦力よりも大きな円周方向荷重が作用すると、カップリング5における外環52のフランジ部521及び被係止部523に対して円周方向へ滑動し、図2(A)に示されるように、係止部61が、被係止部523から外れるので、図2(B)に示されるように、カラー6が、コイルスプリング8の付勢力によって、プーリ4の逃げ凹部43へ押し出され、カップリング5の外環52及びその被係止部523と非接触となる逃げ位置に保持される。このため、外環52のフランジ部521は、カラー6による押圧力を解除されて、プーリ4の突条42との面圧が著しく低下し又は非接触状態になり、プーリ4からカップリング5へのトルク伝達が遮断される。
【0028】
また、上述のようにしてトルク伝達が遮断された状態では、カップリング5が、ロックした回転軸2と共に回転が停止する一方、プーリ4にねじ込まれた支持軸7と、これに保持されたカラー6及びコイルスプリング8は、プーリベルトから継続してプーリ4に入力される駆動トルクによって、このプーリ4と一体に回転するが、コイルスプリング8の付勢力によってプーリ4の逃げ凹部43へ収容されたカラー6は、その係止部61が、回転の過程でカップリング5における外環52の被係止部523と干渉するようなことはい。また、カラー6を保持している支持軸7やこれに外挿されたコイルスプリング8も、外環52の被係止部523より外周側に位置するため、回転の過程で被係止部523と干渉するようなことはない。
【0029】
このため、回転軸2がロックされてもプーリ4はロック状態にはならず、円滑な回転が継続されるので、回転軸2のロック時にプーリベルトが過大なトルクによって破損するようなことがなく、このプーリベルトによって作動しているエンジン冷却水循環ポンプやオルタネータ等、他の補機も継続して運転されるので、エンジンが停止して自動車の走行不能といった事態の発生を防止することができる。
【0030】
図3は、本発明に係る動力伝達装置の好ましい他の実施の形態を、軸心を通る平面で切断した半断面図で、(A)はトルク伝達状態、(B)はトルク伝達を遮断した状態を示すものである。本形態において、図1に示される実施の形態と異なる点は、プーリ4の端面に図1のような突条42及び逃げ凹部43が形成されておらず、かつカップリングゴム53が、図3(B)に示されるように、自由状態では外周ほど正面側へせりだした断面形状となっていて、外環52のフランジ部521が、プーリ4の端面4aから、カラー6の肉厚より大きな距離だけ離れていることにある。その他の部分は、基本的には図1と同様である。
【0031】
すなわち、図3(A)に示されたような装着状態とするには、各被係止部523と各係止部61が同位相となるように、カップリング5(外環52)とカラー6とを互いに位置合わせして、このカラー6の各取付穴6bに挿通した支持軸7をプーリ4の雌螺子孔にねじ込む。これによって、コイルスプリング8を介して支持軸7の頭部7bにより押圧されるカラー6が、カップリングゴム53の軸方向剪断変形を伴いながら外環52をプーリ4側へ変位させるので、そのフランジ部521の背面が、プーリ4の端面に圧接する。そして、各支持軸7の螺子部7aを完全にねじ込むことによって、コイルスプリング8が完全に圧縮されると共に、外環52のフランジ部521とプーリ4の端面、及びカラー6の係止部61とカップリング5の外環52の被係止部523が、所定の摩擦力をもって互いに圧接した状態となる。
【0032】
以上のように構成された動力伝達装置が、トルクリミッタとして機能する場合は、次のように動作する。すなわち、回転軸2がコンプレッサの内部機構の焼き付きによりロックすること等に起因する過大なトルクの入力によって、プーリ4の突条42及びカラー6の係止部61との圧接部に、その摩擦力よりも大きな円周方向荷重が作用すると、図2(A)と同様、プーリ4の端面及びカラー6の係止部61が、カップリング5における外環52のフランジ部521及び被係止部523に対して円周方向へ滑動し、この被係止部523上から係止部61が外れるので、図3(B)に示されるように、カラー6が、コイルスプリング8の付勢力によってプーリ4の端面との当接位置へ移動する。一方、カラー6の係止部61による押圧を解除されたカップリング5の外環52は、カップリングゴム53の復元力によって、プーリ4の端面から離れるので、プーリ4からカップリング5へのトルク伝達が遮断される。
【0033】
また、上述のようにしてトルク伝達が遮断された状態では、カップリング5が、ロックした回転軸2と共に回転が停止する一方、プーリ4にねじ込まれた支持軸7と、これに保持されたカラー6及びコイルスプリング8は、プーリベルトからプーリ4に入力される駆動トルクによって、このプーリ4と一体に回転する。そして、カップリングゴム53の復元力によってプーリ4の端面から離れた外環52の被係止部523は、プーリ4の端面に当接されたカラー6の係止部61と非接触の逃げ位置にあるため、回転しているカラー6の係止部61と干渉するようなことはない。また、カラー6を保持している支持軸7やこれに外挿されたコイルスプリング8も、外環52の被係止部523より外周側に位置するため、回転の過程で被係止部523と干渉するようなことはない。
【0034】
このため、回転軸2がロックされてもプーリ4はロック状態にはならず、円滑な回転が継続されるので、先に説明した図1の形態と同様の効果を実現することができる。
【0035】
なお、上述した実施の形態においては、電磁クラッチを用いない可変容量型コンプレッサの動力伝達装置について説明したが、本発明は、電磁クラッチを備える動力伝達装置についても適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る動力伝達装置によると、過大なトルクが入力された場合には、係止部が被係止部から滑動して外れることによって、カップリングの外環と駆動側回転体の圧接状態が解除されて、駆動側回転体からカップリングによる回転軸へのトルク伝達が遮断されると共に、被係止部及び係止部のうちの一方が、付勢手段によって他方との逃げ位置に保持されるため、トルク遮断状態を維持して、回転軸のロック等による過負荷の発生を防止し、過負荷の発生に起因する重大事故を防止することができる。
【0037】
請求項2の発明に係る動力伝達装置によると、過大なトルクが入力されることによって、係止部が被係止部から滑動して外れた時に、係止部が、駆動側回転体に円周方向所定間隔で軸方向に突設された支持軸に外挿されたばねの付勢力によって、駆動側回転体に凹設された逃げ凹部へ移動して、被係止部との逃げ位置に保持されるため、確実に請求項1による効果を実現することができる。
【0038】
請求項3の発明に係る動力伝達装置によると、過大なトルクが入力されることによって、係止部が被係止部から滑動して外れた時に、被係止部が、カップリングのカップリングゴムの付勢力によって、駆動側回転体から離れる方向へ移動して、係止部との逃げ位置に保持されるため、確実に請求項1による効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力伝達装置の好ましい実施の形態を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図である。
【図2】本形態の動力伝達装置がトルク伝達を遮断した状態を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図である。
【図3】本発明に係る動力伝達装置の好ましい他の実施の形態を、軸心を通る平面で切断した半断面図で、(A)はトルク伝達状態、(B)はトルク伝達を遮断した状態を示すものである。
【図4】従来の技術による動力伝達装置を示すもので、(A)は半裁正面図、(B)は(A)におけるB−B断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング筒状端部
2 回転軸
3 ボールベアリング
4 プーリ(駆動側回転体)
4a 端面
42 突条
43 逃げ凹部
5 カップリング
51 ハブ
52 外環
523 被係止部
53 カップリングゴム
6 カラー
61 係止部
7 支持軸
8 コイルスプリング(ばね)
Claims (1)
- 駆動側回転体(4)から回転軸(2)へ駆動トルクを伝達する動力伝達装置であって、前記回転軸(2)に取り付けられたハブ(51)と、外環(52)と、前記ハブ(51)と前記外環(52)との間に一体的に接合されたカップリングゴム(53)とからなるカップリング(5)を備え、前記カップリング(5)の前記外環(52)に所定の位相間隔で突設された複数の被係止部(523)が、前記駆動側回転体(4)に前記被係止部(523)と対応する位相間隔で配置された複数の係止部(61)で前記駆動側回転体(4)へ向けて押圧されることによって、前記係止部(61)と被係止部(523)及び前記外環(52)と前記駆動側回転体(4)が所定の摩擦力をもって圧接され、前記係止部(61)と被係止部(523)は設定値よりも大きなトルクの入力によって円周方向両側へ互いに滑動可能であり、前記被係止部(523)と係止部(61)が互いに完全に異なる位相上にある時に、この前記係止部(61)を、被係止部(523)と非接触となる逃げ位置に保持する付勢手段を備えるものであって、前記係止部(61)が、駆動側回転体(4)に円周方向所定間隔で軸方向に突設された支持軸(7)に軸方向移動自在に支持されたカラー(6)に設けられ、逃げ位置が前記駆動側回転体(4)に凹設された逃げ凹部(43)からなり、付勢手段が、前記支持軸(7)に外挿されて前記係止部(61)を前記逃げ凹部(43)へ向けて付勢するばね(8)からなり、前記係止部(61)と前記被係止部(523)とが、係合状態においても、係合状態が解除された状態においても、前記外環(52)と前記駆動側回転体(4)との軸方向位置が変化しないことを特徴とする動力伝達装置。
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